JP2947366B2 - 硫酸の製造方法 - Google Patents

硫酸の製造方法

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JP2947366B2 JP2253387A JP25338790A JP2947366B2 JP 2947366 B2 JP2947366 B2 JP 2947366B2 JP 2253387 A JP2253387 A JP 2253387A JP 25338790 A JP25338790 A JP 25338790A JP 2947366 B2 JP2947366 B2 JP 2947366B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、塩素酸塩を含む水溶液から二酸化塩素を発
生させた後に回収される硫酸ナトリウムの水溶液から硫
酸を製造する方法に関する。
(従来の技術) 硫酸は、化学工業における基礎原料として広範囲に使
用されている。特に、鉄鋼の酸洗、アルミニウムの表面
処理、銅や亜鉛などの金属精錬、二酸化チタンの製造、
パルプ工業における二酸化塩素による漂白工程などに多
量の硫酸が使用されている。
このうち、パルプ工業における二酸化塩素による漂白
工程からは硫酸ナトリウムを含む濃い硫酸が廃液として
排出される。このため、上記廃液中の硫酸を有効に利用
する方法が採用されている。例えば、上記の廃液は、従
来は、クラフトパルプ蒸解液系に送られ、パルプ製造に
必要なイオウ分補充薬品として使用されてきた。また、
上記の廃液に水酸化アルミニウムを添加して硫酸バンド
として回収することも行なわれている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、近年、イオウ化合物の大気への放出が
厳しく規制されるようになって、各パルプ工場では、集
塵装置や、スクンバー等の除塵装置の設置が強化される
に伴い、イオウ分補充用薬品の回収率が向上し、その消
費量が著しく減少した。また、サイジング用や排水処理
用として利用されていた硫酸バンドも排水量の減少に伴
い、消費量が減少した。このため、上記した廃液中の硫
酸を有効利用する方法に行き詰まりが生じた。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、上記の問題を解決するべく鋭意研究し
た結果、上記の廃液から硫酸を製造することに成功し、
本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、塩素酸塩を含む水溶液から二酸化塩
素を発生させた後に回収される硫酸塩の水溶液を還元し
た後、バイポーラ膜を用いた電気透析により硫酸塩を分
解することを特徴とする硫酸の製造方法である。
塩素酸塩を含む水溶液から二酸化塩素を発生させる方
法は、次の2つの方法が主として実施されている。
1)SO2法:塩素酸塩を二酸化イオウで還元する方法。
2NaClO3+SO2→2ClO2+Na2SO4 2)R−2法:塩素酸塩を塩化物で還元する方法。
NaClO3+NaCl+H2SO4 →ClO2+1/2Cl2+Na2SO4+H2O また、R−2法と同様な反応で、硫酸を含む水溶液な
どの排水を全く出さないR−3法も知られている。R−
3法では、副生成物として、硫酸ナトリウムが固体の形
で排出される。
これらの反応は、約4〜10.5Nの硫酸の存在下で行な
うことが必須条件である。
上記のR−2法の廃液組成は、硫酸約10N、硫酸ナト
リウム約2.4モル/であり、その他、塩化ナトリウム
約3g/、原料の塩素酸ナトリウム2g/が含まれ、ま
た、微量の塩素や二酸化塩素原料の不純物であるクロム
イオンや鉄イオンが含まれる。
SO2法についても、ほぼ同様な廃液組成である。
本発明においては、上記のいずれの硫酸塩も原料とし
て使用可能である。硫酸塩を回体で回収する場合には、
これを再度水に溶解して水溶液として用いれば良い。こ
の場合の硫酸塩の水溶液の濃度は、硫酸の製造効率の点
から10重量%〜飽和濃度の範囲であることが好ましい。
上記で得られた硫酸塩の水溶液中には微量の塩素酸塩
や二酸化塩素が含まれており、この硫酸塩の水溶液を直
接バイポーラ膜を用いた電気透析にかけた場合、バイポ
ーラ膜が塩素酸塩や二酸化塩素によって劣化する。この
ため、上記で得られた硫酸塩の水溶液の還元がまず行な
われる。
還元に使用される還元剤としては、公知のものが何ら
制限なく採用される。例えば、硫酸第一鉄などの第一鉄
塩、亜ヒ酸やその塩、チオ硫酸ナトリウムなどのチオ硫
酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、亜硫酸ガス、スズ(II)
塩、チアン(III)塩、クロム(II)塩などが有効であ
る。また、金属亜鉛や金属銀などの金属でもよく、イソ
プロピルアルコールなどの有機化合物でも良い。これら
の中でも特に好ましいのは亜硫酸ナトリウムである。
還元反応は、上記の還元剤の適当量が硫酸塩の水溶液
に加えられ、0〜50℃、好ましくは20〜40℃で15分〜6
時間行なわれる。反応中は撹拌を行なうことが好まし
い。尚、還元反応はpH7以下、さらにはpH4以下で行なう
ことが好ましいため、硫酸酸性下に反応を行なうのがよ
い。
還元剤での還元の代りに、酸化還元樹脂を用いること
もできる。酸化還元樹脂は特に制限を受けず、公知のも
のが使用できる。例えばキノン型、チオール型、フェノ
チアジン型、チオニン型、ビオロゲン型、インジゴ型、
ベンジジン型、ニコチン酸アミド型、イソアロキサジン
型、フェロセン型、ポルフィリン型などの酸化還元樹脂
が有効である。
酸化還元樹脂を還元型にし、カラムにつめ、硫酸塩の
水溶液を注ぐことにより、塩素酸塩や二酸化塩素を除去
できる。
還元反応終了後、反応液中に塩素酸塩や二酸化塩素が
実質的に存在しないことを、公知の方法、例えば、ヨウ
素還元滴定等の方法で確認することが好ましい。尚、塩
素酸塩や二酸化塩素が実質的に存在しないとは、後述す
るバイポーラ膜を劣化させない程度であることをいう。
通常は、これら合計の濃度が0.1ppm以下であれば、バイ
ポーラ膜の劣化はほとんど生じない。
次に、還元反応後の水溶液中の溶質がほとんど硫酸塩
である場合には、そのまま或いは好ましくは中和した後
に次のバイポーラ膜を用いた電気透析により処理するこ
とができるが、硫酸と硫酸塩の混合水溶液の場合には、
これをそのままバイポーラ膜を用いた電気透析により処
理すると、硫酸塩の分解の効率が低下するため、まず、
アニオン交換膜およびカチオン交換膜を用いた電気透析
やアニオン交換膜を用いた拡散透析等の手段により、硫
酸と硫酸塩水溶液とを分離した後、硫酸塩水溶液を中和
してバイポーラ膜を用いた電気透析により処理すること
が好ましい。
上記のアニオン交換膜およびカチオン交換膜を用いた
電気透析や拡散透析は、公知の方法が何ら制限なく採用
される。
上記における硫酸塩の水溶液の中和は、バイポーラ膜
を用いた電気透析による硫酸塩の分解の効率を上げるた
めに行なわれる。中和に用いるアルカリの種類は特に制
限を受けない。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物;炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウムなどの炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、
炭酸水素カリウムなどの炭酸水素塩;酸化カルシウムな
どの金属酸化物;酢酸ナトリウムなどのカルボン酸塩;
水酸化テトラメチルアンモニウムなどの水酸化アンモニ
ウム塩などが有効である。
こうして得られた硫酸塩水溶液、或いは、前記の還元
反応後、必要により中和して得られた硫酸塩水溶液は、
次いで、バイポーラ膜を用いた電気透析により処理され
る。
バイポーラ膜の構造を図1に示す。
バイポーラ膜は、カチオン交換膜部分1とアニオン交
換膜部分2が貼り合わさった構造をしている。
図1のように、バイポーラ膜をはさんでアニオン交換
膜部分側に陽極、カチオン交換膜側に陰極を置き、両電
極間に電圧をかけると、アニオン交換膜部分とカチオン
交換膜部分との界面で水分解が起こり、アニオン交換膜
側に水酸イオン、カチオン交換膜側に水素イオンを発生
させる。
バイポーラ膜としては、特に制限されず公知の膜が使
用できる。後えば膜をカバーフィルムで部分的に被覆
し、カバーフィルムの接触していない方の表面をスルホ
ン化してカチオン交換基を導入した後、カバーフィルム
を剥離し、剥離した表面にアニオン交換基を導入したバ
イポーラ膜(特開昭55−86821号、特開昭55−99927
号)、アニオン交換膜とカチオン交換膜との界面を無機
化合物で処理し、両膜を接合したバイポーラ膜(特開昭
59−47235号)、部分クロロメチル化ポリスチレンにア
ミンを反応させアニオン交換膜を造り、微粒子状のカチ
オン交換樹脂を塗布、その上に、一部スルホン化された
ポリスチレンと水素化されたブタジエンブロックコポリ
マーによってカチオン交換膜を形成したバイポーラ膜
(特開平1−502673号)等が使用される。
バイポーラ膜電気透析槽の形式には特に制限はない。
ここでは、3室での例を図1に示す。
パイポーラ膜10、カチオン交換膜11、アニオン交換膜
12で1組の単位となる。カチオン交換膜については、特
に制限を受けないが、高いpHで安定なものが好ましい。
具体的には、商品名「ネオセプタCMH」(徳山曹達
(株)製)として市販されている耐アルカリ性カチオン
交換膜等が使用できる。また、アニオン交換膜について
も特に制限を受けないが、水素イオンの拡散性の低いも
のが好ましい。具体的には、商品名「ネオセプタACM」
(徳山曹達(株)製)として市販されている超低拡散性
の酸濃縮用アニオン交換膜等が使用できる。
「カチオン交換膜11とアニオン交換膜12との間の室14
には硫酸アルカリ水溶液が供給され、バイポーラ膜10と
アニオン交換膜12との間の室13には、薄い硫酸水溶液が
供給される。室13に供給する硫酸の濃度は、特に制限を
受けないが、通常は、0.001N〜3.0N、好ましくは0.1N〜
1.0Nである。
バイポーラ膜10とカチオン交換膜11との間の室15には
薄い水酸化アルカリ水溶液が供給される。室15に供給す
る水酸化アルカリの濃度は特に制限を受けないが、通常
は、0.001N〜3.0N、好ましくは、0.1N〜1.0Nである。
陽極室16および陰極室17に供給する液は、特に制限を
受けないが、好ましいのは硫酸アルカリ水溶液である。
13,14,15,16,17の各室の液は、それぞれ循環される。そ
の場合の液の流速は、特に制限を受けないが、一般に
は、0.1〜20cm/sec.。好ましくは、3〜10cm/sec.であ
る。
陽極と陰極との間に電圧をかけると、室14からアルカ
リ金属イオンがカチオン交換膜11を透過して、室15に移
動し、硫酸イオンは室14からアニオン交換膜12を透過し
て室13に移動する。その結果、室14の硫酸アルカリ濃度
は減少する。
室13には、パイポーラ膜10から水素イオンが移動し、
室14からはアニオン交換膜を透過して硫酸イオンが移動
してきて、結果として硫酸が濃縮される。
室15には、バイポーラ膜10から水酸イオンが移動し、
14からカチオン交換膜を透過してアルカリ金属イオンが
移動してきて、結果として水酸化アリカリが濃縮される
ことになる。
透析電流密度は、特に制限を受けないが、一般には、
0.01A/dm2〜30A/dm2、好ましくは3A/dm2〜15A/dm2であ
る。
室13で濃縮された硫酸は、パルプ工場のアルカリ性排
水の中和などに利用される。また、室15で濃縮された水
酸化アルカリは、中和槽4での中和や、パルプ漂白工程
でのアルカリ抽出などに利用される。
このようにして、硫酸を製造することができる。
本発明においては、上記したように塩素酸塩を含む水
溶液から酸化塩素を発生させた後に回収される硫酸塩の
水溶液の還元がまず行なわれ、次いでバイポーラ膜を用
いた電気透析が行なわれるが、上記硫酸塩の水溶液の処
理を十分に行なうためには、第2図に示したように、還
元21、限外過22、アニオン交換膜およびカチオン交換
膜を用いた電気透析又は拡散透析23、中和24、過25、
金属イオン除去26、バイポーラ膜を用いた電気透析27の
順に処理を行なうことが好ましい。
上記の限外過は、上記の硫酸塩の水溶液中に浮遊物
を除去するために行なわれ、公知の方法が何ら制限なく
採用される。
上記の過は、前工程の中和により生成した水酸化ク
ロム(III)等の重金属の水酸化物の沈澱を除去するた
めに行なわれる。クロムイオンは、公害問題で系外に放
出できないので、この工程で除去する。
過膜の材質は、特に限定を受けない。例えば、セル
ロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ガラス繊
維、シリカ繊維、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデ
ン、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、スルホ
ン化ポリスルホン、ポリアクリロニオリル、ポリオレフ
ィンなどが好ましい。過膜の孔径は、0.1μm〜100μ
m、好ましくは、1〜10μmである。
また、膜モジュールの形態も何ら制限されず、管状、
中空繊維状、スパイラル状、プレート状等種々の形態の
モジュールが用いられる。
さらに上記の金属イオン除去は、キレート樹脂等を用
いて行なわれる。キレート樹脂によって、鉄イオン等の
金属イオンを除去することができる。
キレート樹脂の配位性基は、特に制限を受けず、例え
ば、アミノカルボン酸型、ポリアミン型、ポリイミン
型、シッフ塩基型、アゾ型、オキシン型、ピリジンカル
ボン酸型、ヒドロキサム酸型、オキシム型、β−ジケト
ン型、リン酸型などが有効である。具体的には、ダウェ
ックス(Dowex)A−1(ダウケミカル社製)等が使用
される。ダウェックスA−1は、NH2,NH,NHCH2COOH,NCH
2COOH,N(CH2COOH)などの種類の配位性基を有し、特
に、鉄イオンの吸着効率が高いので有効である。
過の後に送られてくる液をキレート樹脂カラムを通
して、鉄イオンなどを除去し、バイポーラ膜電気透析槽
に送る。
バイポーラ膜電気透析槽に送られる液は、微量の塩化
ナトリウムを含む硫酸ナトリウム水溶液となる。
(効 果) 本発明の方法によれば、パルプの漂白に使用された硫
酸塩を多量に含む廃液から効率よく硫酸を製造すること
ができる。製造された硫酸は他の化学工業において広く
使用することができるから、本発明は、省資源および公
害防止に大きく寄与するものである。
(実施例) 以下、本発明をさらに詳しく説明するために実施例を
掲げるが、本発明はこれらの実施例に制限されるもので
はない。
実施例1 R−3法により晶出した硫酸ナトリウム4260g(不純
物として1.5gの塩素酸ナトリウムを含む)に、硫酸水溶
液(硫酸73.5gを含む)を加え、15とした。その液のp
Hは、1であった。
次に、亜硫酸ナトリウム8gを加え、30℃、2時間撹拌
した。
ヨウ素還元滴定を行ない、塩素酸ナトリウムなどの酸
化性化合物が存在しないことを確認した。
その液に、水酸化ナトリウム水溶液1(水酸化ナト
リウム60gを含む)を加えて、16とした。その液はpH
は7であった。
得られた液16をバイポーラ膜電気透析した。
バイポーラ膜電気透析槽は、図1に示すように、1対
の陰陽極間に、耐アルカリ性カチオン交換膜〔商品名:
ネオセプタCMH〕(徳山曹達(株)製)、超低拡散性の
酸濃縮用アニオン交換膜〔商品名:ネオセプタACM〕
(徳山曹達(株)製)およびバイポーラ膜が順番にそれ
ぞれ20枚ずつ(カチオン交換膜、アニオン交換膜、バイ
ポーラ膜の有効面積はいずれも5dm2、総面積はそれぞれ
1m2)配置され、脱塩室、酸室、アルカリ室が形成され
たフィルタープレス型バイポーラ膜電気透析槽を用い、
脱塩室には、上記中和液16を、酸室には、硫酸水溶液
30(274gの硫酸を含む)を、アルカリ室には、水酸化
ナトリウム水溶液30(120gの水酸化ナオリウムを含
む)をそれぞれ6cm/sec.の速度で供給、循環した。ま
た、陽極室、陰極室はそれぞれ硫酸ナトリウム水溶液5
(490gの硫酸ナトリウムを含む)を循環した。30℃、
電流密度10A/dm2で電気透析を行った。
その結果、酸室からは、硫酸3222.2g、塩酸0.5gを含
む水溶液30が、アルカリ室からは、水酸化ナトリウム
水溶液30(水酸化ナトリウム2510.4gを含む)が、ま
た、脱塩室からは、硫酸ナトリウム水溶液16(硫酸ナ
トリウム22.7gを含む)が得られた。
比較例1 R−3法により晶出した硫酸ナトリウム4260g(不純
物として1.5gの塩素酸ナトリウムを含む)に水を加え、
16の水溶液とした。
その液を還元処理することなく、バイポーラ膜電気透
析槽の脱塩室に供給し、他は実施例1と同様の操作を行
なった。
その結果、酸室からは、硫酸3051.7g、硫酸ナトリウ
ム142gを含む水溶液30が、アルカリ室からは、水酸化
ナトリウム2371.2g、硫酸ナトリウム99.4gを含む水溶液
30が、また、脱塩室からは、硫酸ナトリウム水溶液16
(硫酸ナトリウム22.7gを含む)が得られた。
バイポーラ膜の劣化により酸室からの水溶液中に硫酸
ナトリウムがかなり混入した。
実施例2 容量20の磁性容器にR−2法の廃液14を入れた。
その液中には、硫酸6860g、硫酸ナトリウム4760g、塩素
酸ナトリウム28g、塩化ナトリウム42g、二酸化塩素0.28
g、塩素0.028g、クロムイオン0.14g、鉄イオン0.014gが
含まれていた。
この廃液に、亜硫酸ナトリウム水溶液1(亜硫酸ナ
トリウム112.3gを含む)を加え、30℃で2時間撹拌し
た。その結果、硫酸6860g、硫酸ナトリウム4873.2g、塩
化ナトリウム57.6g、クロムイオン0.14g、鉄イオン0.01
4gを含む水溶液15が得られた。
この液のヨウ素還元滴定を行ない、塩素酸ナトリウ
ム、二酸化塩素、塩素などの酸化性化合物が存在しない
ことを確認した。
次に、上記液15を電気透析した。電気透析は、1対
の陰陽極間に1価イオン選択透過性カチオン交換膜〔商
品名:ネオセプタCMS〕(徳山曹達(株)製)および超
低拡散性の酸濃縮用アニオン交換膜〔商品名:ネオセプ
タACM〕(徳山曹達(株)製)が交互にそれぞれ20枚ず
つ(カチオン交換膜、アニオン交換膜の有効面積はいず
れも5dm2、総面積はそれぞれ1m2)配置され、脱塩室、
濃縮室が交互に形成されたフィルタープレス型電気透析
槽を用い、上記液15を、脱酸室に、硫酸水溶液15
(硫酸150gを含む)を、濃縮室に、それぞれ6cm/sec.の
速度で供給し、30℃、電流密度3.0A/dm2で電気透析を行
った。
その結果、硫酸6750g、硫酸ナトリウム763.2g、塩化
ナトリウム18.6gを含む回収酸液15と、硫酸110g、硫
酸ナトリウム4110g、塩化ナトリウム39g、クロムイオン
0.14g、鉄イオン0.014gを含む脱酸液15を得た。
この脱酸液15を磁性容器に入れ、水酸化ナトリウム
水溶液2(水酸化ナトリウム89.8gを含む)を30℃に
保ちながら加え、1時間撹拌した。反応液のpHが7であ
ることを確認した。
この液17を実施例1と同様にバイポーラ膜電気透析
した。脱塩室には、上記液17を、酸室には、硫酸水溶
液30(294gの硫酸を含む)をアルカリ室には、水酸化
ナトリウム水溶液30(120gの水酸化ナトリウムを含
む)をそれぞれ6cm/sec.の速度で供給、循環した。ま
た、陽極室、陰極室には、それぞれ硫酸ナトリウム水溶
液5(490gの硫酸ナトリウムを含む)を循環した。30
℃、電流密度10A/dm2で電気透析を行った。
その結果、酸室からは、硫酸3076.8g、硫酸ナトリウ
ム142g、塩酸24.3gを含む水溶液が、アルカリ室から
は、水酸化ナトリウム2418.3g、硫酸ナトリウム71gを含
む水溶液が、また、脱塩室からは、硫酸ナトリウム水溶
液17(硫酸ナトリウム24.1gを含む)が、得られた。
実施例3 亜硫酸ナトリウム水溶液による還元反応までは、実施
例2と同様に行なった。
次いで、ポリスルホンからなる限外濾過用平膜(分画
分子量8,00純水透水量10m3/m2・日・kg/cm2)を平膜型
限外濾過試験機に装置し、4kg/cm2の圧力下、30℃で、
上記還元して得た液15を透過させた。
この操作では、9m3/m2・日・kg/cm2の透水量が得られ
た。
この液の透過させる前の浮遊物は1ppmあったが、限外
濾過した後の液の浮遊物は0ppmであった。
次に、限外濾過により得られた液15を拡散透析し
た、拡散透析は、拡散透析用アニオン交換膜〔商品名:
ネオセプタAFN〕(徳山曹達(株)製)を隔膜(有効面
積5dm2)として、20枚備えたフィルタープレス型の拡散
透析槽を用いた。限外濾過液15は水15を向流に供給
した。供給速度は、それぞれ1/hr・m2とし、30℃で
2時間行なった。
その結果、硫酸6750g、硫酸ナトリウム439.7g、塩化
ナトリウム8.6gを含む回収酸液と、硫酸110g、硫酸ナト
リウム4433.5g、塩化ナトリウム49g、クロムイオン0.14
g、鉄イオン0.014gを含む脱酸液15を得た。
拡散透析により得られた液15を磁性容器に入れ、水
酸化ナトリウム水溶液1.5(水酸化ナトリウム89.8gを
含む)を30℃に保ちながら加え、1時間撹拌した。反応
液のpHが7であることを確認した後、生じた微量の沈殿
を、セルロース繊維からなる濾紙〔商品名:アドバンテ
ックNo.5C〕(東洋濾紙(株)製)(膜面積:270cm2)で
濾紙して除去した。その結果、硫酸ナトリウム4592.8
g、塩化ナトリウム49g、鉄イオン0.014gを含む水溶液1
6.5を得た。また、クロムイオンが完全に除去されて
いることを確認した。
次に、ナトリウム型にしたキレート樹脂〔商品名:Dow
ex A−1〕(ダウケミカル社製)100g(0.3eg)をカラ
ムにつめ、上記濾過液16.5を流した。その結果、硫酸
ナトリウム4592.8g、塩化ナトリウム49gを含む水溶液17
を得た。また、鉄イオンが完全に除去されていること
を確認した。
上記キレート樹脂により処理した液17を実施例1と
同様にバイポーラ膜電気透析した。脱塩室には、上記液
17を、酸室には、硫酸水溶液30(294gの硫酸を含
む)をアルカリ室には、水酸化ナトリウム水溶液30
(120gの水酸化ナトリウムを含む)をそれぞれ6cm/sec.
の速度で供給、循環した。また、陽極室、陰極室には、
それぞれ硫酸ナトリウム水溶液5(490gの硫酸ナトリ
ウムを含む)を循環した。30℃、電流密度10A/dm2で電
気透析を行なった。その結果、酸室からは、硫酸3447.0
g、塩酸30.5gを含む水溶液30が、アルカリ室からは、
水酸化ナトリウム水溶液30(水酸化ナトリウム2727.4
gを含む)が、また、脱塩室からは、硫酸ナトリウム水
溶液17(硫酸ナトリウム24.1gを含む)が得られた。
実施例4 還元反応までは実施例2と同様に行なった。
次いで、ポリスルホンからなる限外濾過用平膜(分画
分子量8,000純水透水量10m3/m2・日・kg/cm2)を平膜型
限外濾過試験機に装置し、4kg/cm2の圧力下、30℃で、
上記還元して得た液15を透過させた。
この操作では、9m3/m2・日・kg/cm2の透水量が得られ
た。
この液の透過させる前の浮遊物は1ppmあったが、限外
濾過した後の液の浮遊物は0ppmであった。
次に、限外濾過した液15を実施例2と同様に電気透
析した。
上記液15を脱塩室に、硫酸水溶液15(硫酸150gを
含む)を濃縮室に、それぞれ拡散6cm/sec.の速度で供給
し、30℃、電気密度3.0A/dm2で電気透析を行なった。そ
の結果、硫酸6750g、硫酸ナトリウム419.7g、塩化ナト
リウム8.6gを含む回収酸液15と、硫酸110g、硫酸ナト
リウム4453.5g、塩化ナトリウム49g、クロムイオン0.14
g、鉄イオン0.014gを含む脱酸液15を得た。
電気透析により得られた液15を磁性容器に入れ、水
酸化ナトリウム水溶液1.5(水酸化ナトリウム89.8gを
含む)30℃に保ちながら加え、1時間撹拌した。反応液
のpHが7であることを確認した後、生じた微量の沈殿
を、セルロース繊維からなる濾紙〔商品名:アドバンテ
ックNo.5C〕(東洋濾紙(株)製)(膜面積:270cm2)で
濾過して除去した。その結果、硫酸ナトリウム4612.8
g、塩化ナトリウム49g、鉄イオン0.014gを含む水溶液1
6.5を得た。また、クロムイオンが完全に除去されて
いることを確認した。
次に、ナトリウム型にしたキレート樹脂〔商品名:Dow
ex A−1〕(ダウケミカル社製)100g(0.3eg)をカラ
ムにつめ、上記濾過液16.5を流した。その結果、硫酸
ナトリウム4612.8g、塩化ナトリウム49gを含む水溶液17
を得た。また、鉄イオンが完全に除去されていること
を確認した。上記キレート樹脂により処理した液17を
実施例1と同様にバイポーラ膜電気透析した。脱塩室に
は、上記液17を、酸室には、硫酸水溶液30(294gの
硫酸を含む)をアルカリ室には、水酸化ナトリウム水溶
液30(120gの水酸化ナトリウムを含む)をそれぞれ6c
m/sec.の速度で供給、循環した。また、陽極室、陰極室
には、それぞれ硫酸ナトリウム水溶液5(490gの硫酸
ナトリウムを含む)を循環した。30℃、電気密度10A/dm
2で電気透析を行なった。その結果、酸室からは、硫酸3
460.8g、塩酸30.5gを含む水溶液30が、アルカリ室か
らは、水酸化ナトリウム水溶液30(水酸化ナトリウム
2738.7gを含む)が、また、脱塩室からは、硫酸ナトリ
ウム水溶液17(硫酸ナトリウム24.1gを含む)が得ら
れた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、バイポーラ膜を用いた電気透析槽の概略図で
あり、第2図は、本発明による硫酸の製造方法の代表的
な工程を示す概略図である。 図中、10はバイポーラ膜、11はカチオン交換膜、12はア
ニオン交換膜、13,14,15は室、16は陽極、17は陰極、21
は還元槽、22は限外濾過槽、23は電気透析槽又は拡散透
析槽、24は中和槽、25は濾過槽、26は金属除去槽、27は
バイポーラ膜電気透析槽を夫々示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩素酸塩を含む水溶液から二酸化塩素を発
    生させた後に回収される硫酸塩の水溶液を還元した後、
    バイポーラ膜を用いた電気透析により硫酸塩を分解する
    ことを特徴とする硫酸の製造方法。
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