JP2945766B2 - 電解コンデンサの駆動用電解液 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、低損失で、かつ、高い
耐電圧を有するアルミニウム電解コンデンサの製作を可
能とする電解コンデンサの駆動用電解液（以下電解液と
いう）に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より電解コンデンサの電解液として
は、エチレングリコ−ルを主体とした溶液に有機酸ある
いはその塩を溶解した電解液が用いられており、低損失
化の要求とともに、溶質量の増大あるいは水分配合比の
増大が検討されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】低損失化の要求に伴
い、溶質量の増大あるいは水分配合比の増大が検討され
ているが、これらは共に耐電圧を大きく低下させてしま
う。そこで、溶質量あるいは水分配合比を増大させた電
解液へ、亜リン酸を添加することにより耐電圧を向上さ
せる検討がされているが、未だ十分なものは得られてい
ない。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は上述の課題を解
決するもので、従来の電解液から得られる優れた特性を
損なうことなく、電解液の耐電圧を向上せしめるもので
ある。すなわち、エチレングリコ−ルを主体とした溶液
に、下記の化学式で表わされるリン化合物あるいはその
塩を溶解したことを特徴とする電解液である。

【０００５】

【化１】

【０００６】

【作用】本発明の電解液は、従来のリン化合物を用いた
電解液に比べアルミニウム電極箔との錯体形成能力が非
常に強いため高い耐電圧を有し、また、強固な耐水性皮
膜を形成するため、高温度雰囲気中での信頼性も十分に
確保することができる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。表
１は本発明の電解液と従来の電解液の組成、比抵抗およ
び火花発生電圧についての比較例を示す。表１中電解液
試料記号Ａ，Ｂ，Ｃは従来例、Ｄ，Ｅ，Ｆ，Ｇ，Ｈ，Ｉ
は本発明例である。なお、電解液試料記号Ｄ，Ｅ，Ｆに
は リン酸シ゛フェニル、電解液試料記号Ｇには シ゛フェニルホスフィン
酸、電解液試料記号Ｈにはリン酸フェニル、電解液試料記号Ｉ
には フェニルホスホン酸を使用した。

【０００８】

【表１】 表１から明らかなように、本発明に係わる試料記号Ｄ，
Ｅ，Ｆ，Ｇ，Ｈ，Ｉの電解液は従来の電解液に比べ、大
幅な耐電圧の向上がみられる。

【０００９】表２は、表１に示す電解液を用いて試作し
た定格 200Ｖ330μＦのアルミニウム電解コンデンサに
よる、105 ℃ 2000 時間 高温負荷試験を行なった結果
を示す。

【００１０】

【表２】

【００１１】表２から明らかなように、本発明に係る試
料記号Ｄ，Ｅ，Ｆ，Ｇ，Ｈ，Ｉの電解液を用いた電解コ
ンデンサは、長時間の高温雰囲気中における試験におい
ても全ての特性に問題がなく、低損失化が可能となる。
また、本発明に係るリン化合物あるはその塩の添加量が
０．０５ 重量％未満では耐電圧向上の効果がみられ
ず、５ 重量％ を超えた場合には、それ以上の耐電圧の
向上はみられない。なお、今回の実施例以外の各種アル
キル基および各種アリ−ル基で置換されたものについて
も評価を行なったが、結果は同様な傾向を示し、特性的
には二塩基酸のものよりも一塩基酸のものが優れてい
た。

【００１２】

【発明の効果】以上のように、本発明のエチレングリコ
−ルを主体とした溶液に、前述の一般式で表わされるリ
ン化合物あるいはその塩を溶解したことを特徴とする電
解液を用いたアルミニウム電解コンデンサは、高温度範
囲で優れた特性を示し、かつ、低損失でかつ高い耐電圧
を有し、工業的ならびに実用的価値の大なるものであ
る。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 【化１】 で表わされる分子内に１つ以上のＯＨ基を有するリン化
   合物あるいはその塩を、エチレングリコールを主体とし
   た溶媒へ溶解したことを特徴とする電解コンデンサの駆
   動用電解液。
2. 【請求項２】 上記リン化合物あるいはその塩の添加量
   が０．０５〜５重量％であることを特徴とする請求項１
   の電解コンデンサの駆動用電解液。