JP4430217B2 - アルミニウム電解コンデンサ駆動用電解液 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム電解コンデンサ駆動用電解液（以下、電解液と称す）に関するものであり、特に耐電圧を改善した電解液に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、γ−ブチロラクトンを主成分とする溶媒に、カルボン酸またはその塩、およびホウ酸またはその塩を溶解した電解液は、ホウ酸がアルミニウム酸化皮膜に対して安定な弱酸であるため耐電圧を維持でき、更にマンニトール，ソルビトール等の多価アルコール類を添加すると、ホウ酸とエステル化合物を形成することによって耐電圧を向上させることが可能であることが知られている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マンニトール，ソルビトール等の添加によって耐電圧を向上させるためには、これらを多量に添加する必要があり、それに伴って著しく比抵抗が上昇するという問題があり、電解液の比抵抗上昇を抑制しつつ、耐電圧の向上が求められていた。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため、マンニトール，ソルビトール等よりもホウ酸とのエステル化合物を生成し易い物質であるグリコサンを添加することで電解液の耐電圧の向上を図り、かつ比抵抗の上昇を抑制するものである。
すなわち、γ−ブチロラクトンを主成分とする溶媒に、カルボン酸またはその塩、およびホウ酸またはその塩を溶解し、α−グルコサン（化３）および／またはβ−グルコサン（化４）を添加することを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ駆動用電解液である。
【０００５】
【化３】

【０００６】
【化４】

【０００７】
そして、α−グルコサンおよび／またはβ−グルコサンの添加量が、０．２０〜１０．０ｗｔ％であることを特徴とする上記アルミニウム電解コンデンサ駆動用電解液である。
【０００８】
また、γ−ブチロラクトンを主溶媒とし、副溶媒としてエチレングリコールを１〜２０ｗｔ％添加したことを特徴とする上記アルミニウム電解コンデンサ駆動用電解液である。
【０００９】
【発明の実施の形態】
グルコサンは、マンニトール，ソルビトール等よりもホウ酸とのエステル化合物を生成し易いため、同じ添加量における比抵抗の上昇がグルコサンの方が小さい。更に、グルコサンの分子構造に起因して、アルミニウム電極箔上に三次元網目構造を形成し易いため、ホウ酸とのエステル化以上に電解液の耐電圧を向上することができる。
【００１０】
【実施例】
以下、実施例の具体的内容について説明する。表１の組成の電解液を調合し、３０℃における電解液の比抵抗と、８５℃における電解液の火花発生電圧（耐電圧）を測定した。 ここで、マンニトールの添加に際しては、ホウ酸濃度と同量にすることで耐電圧向上に効果があることが公知であることから、本発明実施例のグルコサンの添加に際しても、ホウ酸と同量とした。
【００１１】
【表１】

【００１２】
表１より火花発生電圧がほぼ等しい実施例５，１０と従来例４の比抵抗を比較すると、実施例５，１０の方が低く抑えられていることが分かる。
なお、このときグルコサンの添加量が０．１０ｗｔ％では耐電圧の向上に効果が少なく、２０．０ｗｔ％では完全に溶解することができないため溶解した量の効果しかない。したがって、グルコサンの添加量は、０．２０〜１０．０ｗｔ％の範囲が好ましい。
【００１３】
また、副溶媒としてエチレングリコールを添加すると、混合量が多いほど低比抵抗化が可能だが、混合量が多いと低温での比抵抗が高くなるので、エチレングリコールの添加量は、１〜２０ｗｔ％の範囲が好ましい。
【００１４】
【発明の効果】
上記のとおり、α−グルコサンおよび／またはβ−グルコサンを添加することで、電解液の比抵抗の上昇を抑制しながら耐電圧の向上を図ることができる。

Claims (3)

1. γ−ブチロラクトンを主成分とする溶媒に、カルボン酸またはその塩、およびホウ酸またはその塩を溶解し、α−グルコサン（化１）および／またはβ−グルコサン（化２）を添加することを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ駆動用電解液。
   

   

   
2. α−グルコサンおよび／またはβ−グルコサンの添加量が、０．２０〜１０．０ｗｔ％であることを特徴とする請求項１記載のアルミニウム電解コンデンサ駆動用電解液。
3. γ−ブチロラクトンを主溶媒とし、副溶媒としてエチレングリコールを１〜２０ｗｔ％添加したことを特徴とする請求項１記載のアルミニウム電解コンデンサ。