JP2945464B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔概要〕 化合物半導体、特にInP系のエピタキシャルウェハを
有機金属気相成長(MOVPE)法で製造する方法に関し、 InGaAs(又はInGaAsP)層の結晶性、及び該層とInP層
との界面状態を改善することにより、暗電流や微分効率
等の電気的特性が良好な半導体装置を製造することを目
的とし、 InP単結晶基板上に、有機金属化合物からなるIII族原
料を用いて、少なくとも結晶成長されたInPの第1の半
導体層、該基板と格子整合したInGaAsの第2の半導体
層、InPの第3の半導体層のうち、第2の半導体層を成
長するに際し、結晶成長速度が2.5μm/Hr以下で、か
つ、Asの化合物原料の気相中のモル比が2.5×10-3以下
で成長させる工程を含む。又、第2の半導体層を、Asの
化合物原料の気相中のモル比と、III族の化合物原料の
気相中のモル比との比を16以下にして成長させる。
〔産業上の利用分野〕
本発明は、化合物半導体、特にInP系のエピタキシャ
ルウェハをMOVPE法で製造する方法に関する。
例えば光ファイバを用いた光通信には発光素子及び受
光素子が使用されるが、これら発光素子及び受光素子に
は化合物半導体、特にInP系のエピタキシャルウェハが
用いられている。従来、エピタキシャルウエハの製造に
は液相成長(LPE)法が用いられてきたが、最近では、
膜厚の均一性や大面積化の必要からMOVPEが実用化され
つつある。
そこで、MOVPE法で製造されたウェハを用いてもIPE法
で製造されたウェハを用いた場合と同等又はそれ以上の
素子特性を得る必要があるが、実際にはMOVPE法で製造
されたウェハを受光素子位に用いた場合は後述のように
暗電流が大きく、弱い光を受けた時には十分な出力電流
を得ることができない。このため、MOVPE法で暗電流の
小さいエピタキシャルウェハ、又、十分な微分効率のエ
ピタキシャルウェハを製造する必要がある。
〔従来の技術〕
例えば受光素子であるアバランシェホトダイオード
(APD)に用いられるエピタキシャルウェハをMOVPE法で
製造する場合、トリメチルインジウム(TMI)、トリエ
チルガリウム(TEG)、アルシン(AsH3)、ホスフイン
(PH3)を夫々In,Ga,As,Pの原料として用い、成長温度
を590℃〜650℃,成長圧力を50torr〜100torrとする。
このような条件において、InP基板上にInPバッファ層、
基板と格子整合したInGaAs層、InGaAsPバッファ層、InP
層を成長してダブルヘテロ構造のウェハを製造する。
特に、InGaAs層の結晶成長速度(Rg)は4μm/Hr〜6
μm/Hr,気相中のAsH3のモル比は4×10-3〜6×10-3
ある。このような成長条件のもので製造されたエピタキ
シャルウェハを用いてアバランシェホトダイオードを構
成した場合、ブレークダウン電圧の90%の電圧を印加し
たときの暗電流は百数十nAである。
一方、受光素子であるPINホトダイオードに用いられ
るエピタキシャルウェハをMOVPE法で製造する場合、APD
の場合と同じ原料を用い、成長温度、成長圧力もAPDの
場合と同じにし、InP基板上にInPバッファ層、基板と格
子整合したInGaAs層、InGaAsPバッファ層、InP層を成長
してダブルヘテロ構造のウェハを製造する。特に、InGa
As層のRgはAPDの、場合と同じ4μm/Hr〜6μm/Hr,気相
中のAsH3のモル比は4×10-3〜6×10-3である。このよ
うな成長条件のもとで製造されたエピタキシャルウェハ
を用いてPINホトダイオードを構成した場合、5V逆方向
電圧を印加したときの暗電流は2nAである。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来装置は、InGaAs層の成長速度及び成長圧力を前述
のような条件に設定しているので、APDの暗電流が百数
十nA(10nA以下であることが望ましい)、PINホトダイ
オードの暗電流が2nA(0.1nA以下であることが望まし
い)というようにLPE法でエピタキシャルウェハを製造
した場合よりも夫々かなり大きく、特に弱い光を受けた
時などでは十分な出力電流を得ることができず、実用化
が困難である問題点があった。又、半導体レーザに用い
られるエピタキシャルウェハに関しても、前述と同様の
成長条件を用いて製造しているので、十分な微分効率を
得ることができない問題点があった。
このような問題点を生じるのは、後で詳述する如く、
理由は明確でないが、前述の成長条件を用いて成長を行
なうと、InGaAs(又はInGaAsP)層の結晶性、及び該層
とInP層との界面状態が悪化するための考えられる。
本発明は、InGaAs(又はInGaAsP)層の結晶性、及び
該層とInP層との界面状態を改善することにより、暗電
流や微分効率等の電気的特性が良好な半導体装置の製造
方法を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
第1図は本発明の原理図を示す。同図(A)は結晶成
長速度及びAsの化合物原料の気相中のモル比と、暗電流
との関係を示す特性図、同図(B)は本発明方法によっ
て製造された半導体装置の構成図である。上記問題点
は、同図(A)に示す如く、InP単結晶基板20上に、有
機金属化合物からなるIII族原料を用いて、少なくともI
nPの第1の半導体層21,該基板20と格子整合したInGaAs
の半導体層22,InPの第3の半導体層23を有機金属気相成
長法で連続して結晶成長してダブルヘテロ構造の半導体
装置を製造する方法において、第2の半導体層22を、同
図(A)に示す如く、結晶成長速度が2.5μm/Hr以下
で、かつ、Asの化合物原料の気相中のモル比が2.5×10
-3以下で成長させる工程を含むことを特徴とする半導体
装置の製造方法によって解決される。又、この場合、第
2の半導体層22を、Asの化合物原料の気相中のモル比
と、III族の化合物原料の気相中のモル比との比を16以
下にして成長させる。
〔作用〕
モル比を前述のように設定すると、成長がInGaAsの第
2の半導体層22からInPの第3の半導体層23に切換る時
にその界面にIn−AsXP(1-X)のような中間層(残留又は
反応管などに付着したAsの量に依存して厚く、格子不正
も大きくなると思われる)が形成されないと考えられ、
又、結晶成長速度を前述のように設定すると結晶性が向
上するものと考えられる。また、Asの化合物原料の気相
中のモル比と、III族の化合物原料の気相中のモル比と
の比を前述のように設定したので、III族の化合物原料
の空格子等の欠陥を少なくできる。本発明によると第2
の半導体層22の結晶性、及び第2の半導体層22と第3の
半導体層23との界面状態を改善できるので、これらの相
乗作用からAPDの場合では暗電流を10nA以下、PINホトダ
イオードの場合では暗電流を0.1nA以下にすることがで
きる。又、半導体レーザの場合では微分効率を従来例に
比して25%程度改善できる。
〔実施例〕
第2図は本発明方法によって製造されたPINホトダイ
オードの構成図を示す。第2図中、1はn−InP基板、
2はn−InPバッファ層、3はn-−InGaAsキャップ層、
5は窒化珪素膜、6はZn拡散によるP+−InP層、7はp
電極、8はn電極であり、PINホトダイオードを構成す
る。なお、構造上は従来のものと同じである。ここで、
p電極7に負電圧、n電極8に正電圧を印加し、成長条
件に対する暗電流を測定した結果を第3図及び第4図に
示す。
第3図はInGaAs層3の成長速度(Rg)と暗電流(Id)
との関係を気相中のAsH3のモル比(XASH3)をパラメー
タとしてプロットしたもの、第4図はAsH3のモル比(X
ASH3)と暗電流(Id)との関係をInGaAs層3の成長速度
(Rg)をパラメータとしてプロットしたものである。PI
Nホトダイオードではその性能上、暗電流は0.1nA以下で
あることが望ましいとされるが、このような望ましい値
を得るには、第3図、第4図より明らかな如く、InGaAs
層3のRGが25μm/Hr以下で、かつ、AsH3のモル比(X
ASH3)が2.5×10-3以下であることが必要であることが
わかる。
そこで、本発明では、MOVPE法でエピタキシャルウェ
ハを製造する際の成長条件として、InGaAs層3のRgを2.
5μm/Hr以下、Asの化合物原料の気相中のモル比を2.5×
10-3以下とする。なお、成長圧力は76torr,成長温度は6
30℃とする。この場合、理由が明確でないが、AsH3のモ
ル比(XASH3)が必要以上に大きいと気相中に残留するA
s化合物(AsH3)や、リアクタ(反応管)及びサセプタ
等に付着したAsが再離脱し、成長がInGaAs層3からInP
層4に切換る時に中間層(InAsXP(1-X)がAsの量に依存
して厚く形成され、この中間層によって格子不正が大き
くなるからと思われる。このため、本発明は、AsH3のモ
ル比を必要以上に大きくとらず、2.5×10-3以下に設定
してInGaAs層3とInPキャップ層4との界面に中間層を
形成しないようにして、界面状態を改善する。一方、Rg
が必要以上に大きいとInGaAs層3の結晶性が悪化するの
で、本発明はRgを2.5μm/Hr以下にする。このとき、気
相中のAsH3のモル比(XASH3)とIII族の化合物原料(In
とGa)のモル比(XIII)との比(XASH3/XIII)が大きい
とIII族の化合物原料の空格子等の欠陥が多く生成され
ると思われるので、この欠陥を少なくするためには、成
長表面からのいわゆるAs抜けによる欠陥を生じない範囲
でXASH3/XIIIを14と小さくする。
このように、本発明ではInGaAs層3のRg2.5μm/Hr以
下で、かつ、Asの化合物原料の気相中のモル比を2.5×1
0-3以下にすることにより、InGaAs層3の結晶性、及びI
nGaAs層3とInP層4との界面状態を改善できるので、こ
れらの相乗作用により、暗電流を0.1nA以下にでき、弱
い光を受けた時にでも十分な出力電流を取出すことがで
きる。
以上の実施例はPINホトダイオードの場合であるが、
アバランシェホトダイオード(APD)の場合もPINホトダ
イオードの場合に準じた考え方でもよい。第5図は本発
明方法によって製造されたAPDの構成図を示し、同図
中、第2図と同一構成部分には同一番号を付してその説
明を省略する。第5図中、4aはパイルアップ防止のため
のInGaAsPバッファ層、4bはn+−InP層、4cはn−InP増
倍層、6aはガードリング、9は無反射コートであり、AP
Dを構成する。なお、構造上は従来のものと同じであ
る。
このAPDのエピタキシャルウェハの製造に際し、成長
圧力を76torr,成長温度を630℃とし、AsH3を使用し、不
純物はSiをドーピングし、InGaAs層3のRgを2μm/Hr,X
ASH3を1.5×10-3,XASH3/XIIIを14としてエピタキシャル
ウェハの成長を行なう。この結果、このエピタキシャル
ウェハを用いて作成したAPDの暗電流(Id)は10nAと、
前述の従来例(百数十nA)に比して大幅に小さくでき、
弱い光を受けた時にでも十分な出力電流を取出すことが
できる。APDの場合も、従来の成長条件で成長を行なう
と、InGaAs層3とInGaAsPバッファ層4aとの間にInyGa
(1-y)AsXP(1-X)(AsXが多量に含まれる)なる中間層が
形成されるが、本発明の成長条件にすればこの中間層が
形成されないと考えられ、又、InGaAs層3の結晶性を改
善できると考えられる。この場合、Rg及びXASH3を夫々
前記の1/2にすると、暗電流を更に小さくすることがで
きる。
更に他の実施例として、第6図に示す半導体レーザが
あるが、この場合のエピタキシャルウェハの製造につい
ても前述の実施例と同様の考え方でよい。第6図中、10
はp−InP基板、11はp−InPバッファ層、12はInGaAsP
活性層、13はn−InPクラッド層であり、構造上は従来
のものと同じである。その製造に際し、InGaAsP活性層1
2(波長は1.3μm)の成長を成長温度630℃,成長圧力7
6torr,Rg=1.5μm/Hr,XASH3=5.9×10-4,XASH3/XIII
8.3の諸条件で行ない、成長後のウェハをストライプ状
にメサエッチ後、従来と同様にLPE法で埋込み、その後
素子化する。このようにして製造された半導体レーザの
微分効率は従来例に比して25%程度改善され、0.2mW/mA
程度のものが得られた。このように前述の各実施例と同
様の考え方に基づく成長条件で成長した場合、InGaAsP
層12とInP層13との界面状態が前述の実施例のように改
善され、この界面でのパワーロスが少なくなるためと考
えられる。
なお、As化合物としてターシャルブチルアルシン(TB
A)を用いると分解率が高くなるので、AsH3の代りにこ
のTBAを用いてもよい。TBAを用いると、更に気相中のモ
ル比XTBAを下げることができ、更に暗電流を下げること
ができる。
〔発明の効果〕
以上説明した如く、本発明によれば、InGaAs層を、Rg
が2.5μm/Hr以下で、かつ、Asの化合物原料の気相中の
モル比が2.5×10-3以下で成長させているため、InGaAs
の結晶性、及びこれら2層の界面状態を改善でき、これ
らの相乗作用によりAPDやPINホトダイオードでは従来例
よりも暗電流を小さくでき、又、半導体レーザでは従来
例よりも効率の高いものを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の原理図、 第2図は本発明によって製造されたPINホトダイオード
の構成図、 第3図はPINホトダイオードのRg対暗電流特性図、 第4図はPINホトダイオードのXASH3対暗電流特性図、 第5図は本発明によって製造されたAPDの構成図、 第6図は本発明によって製造されは半導体レーザの構成
図である。 図において、 1,10はInP基板、 2,11はInPバッファ層、 3はInGaAs層、 4はInPキャップ層、 4aはInGaAsPバッファ層、 4b,4c,6,11,13はInP層、 5は窒化珪素膜、 7はp電極、 8はn電極、 9は無反射コート、 12はInGaAsP活性層、 20はInP単結晶基板、 21はInPの第1の半導体層、 22はInGa,Asの第2の半導体層、 23はInPの第3の半導体層 を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 修 山梨県中巨摩郡昭和町紙漉阿原1000番地 株式会社富士通山梨エレクトロニクス 内 (72)発明者 今川 伸次 山梨県中巨摩郡昭和町紙漉阿原1000番地 株式会社富士通山梨エレクトロニクス 内 (56)参考文献 特開 平2−181978(JP,A) 特開 昭62−2526(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 31/10 H01L 33/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】InP単結晶基板上に、有機金属化合物から
    なるIII族原料を用いて、少なくともInPの第1の半導体
    層、該基板と格子整合したInGaAsの第2の半導体層、In
    Pの第3の半導体層を有機金属気相成長法で連続して結
    晶成長してダブルヘテロ構造の半導体装置を製造する方
    法において、 上記第2の半導体層を、結晶成長速度が2.5μm/Hr以下
    で、かつ、Asの化合物原料の気相中のモル比が2.5×10
    -3以下で成長させる工程を含むことを特徴とする半導体
    装置の製造方法。
  2. 【請求項2】上記第2の半導体層を、Asの化合物原料の
    気相中のモル比と、III族の化合物原料の気相中のモル
    比との比を16以下にして成長させることを特徴とする請
    求項1記載の半導体装置の製造方法。
  3. 【請求項3】上記第2の半導体層は、Pを含む層である
    ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方
    法。
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