JP2943524B2 - 多層構造を有する耐食性鋼板 - Google Patents
多層構造を有する耐食性鋼板Info
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- JP2943524B2 JP2943524B2 JP23558692A JP23558692A JP2943524B2 JP 2943524 B2 JP2943524 B2 JP 2943524B2 JP 23558692 A JP23558692 A JP 23558692A JP 23558692 A JP23558692 A JP 23558692A JP 2943524 B2 JP2943524 B2 JP 2943524B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、燃焼機器や調理機器な
どの高温部あるいは腐食環境の厳しい部位に使用する耐
食性鋼板に関するものである。
どの高温部あるいは腐食環境の厳しい部位に使用する耐
食性鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄−クローム系あるいはニッケル−クロ
ーム系の耐食性鋼板は高温酸化による腐食、湿式腐食等
の腐食形態にあわせて、他元素を添加することによる防
食効果を向上したものが多く提供されている。
ーム系の耐食性鋼板は高温酸化による腐食、湿式腐食等
の腐食形態にあわせて、他元素を添加することによる防
食効果を向上したものが多く提供されている。
【0003】それらは、燃焼機器の燃焼部や排ガス通
路、熱交換部あるいは調理機器に使用される電気ヒータ
ー等の構造材料として使用されている。
路、熱交換部あるいは調理機器に使用される電気ヒータ
ー等の構造材料として使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来技術では以下の課題を有していた。
ような従来技術では以下の課題を有していた。
【0005】例えば、給湯用のボイラーでは熱交換部に
ニッケル−クロム系鋼板を使用しているが、これは湿式
腐食については効果があるが高温酸化には弱い。また鉄
−クロム系鋼板では高温酸化に強いものの湿式の腐食に
弱い。
ニッケル−クロム系鋼板を使用しているが、これは湿式
腐食については効果があるが高温酸化には弱い。また鉄
−クロム系鋼板では高温酸化に強いものの湿式の腐食に
弱い。
【0006】熱交換部では鋼板を隔てて燃焼炎と水が直
接接触するので耐酸化性、耐食性のいずれも要求される
ものであるが、従来の鋼板ではこれらを両立することは
困難であった。
接接触するので耐酸化性、耐食性のいずれも要求される
ものであるが、従来の鋼板ではこれらを両立することは
困難であった。
【0007】本発明は上記課題を解決するもので、従来
鋼板の特徴を生かしながら金属間化合物を介して異種鋼
板の接合を行い、新しい高耐食性鋼板を提供することを
目的としている。
鋼板の特徴を生かしながら金属間化合物を介して異種鋼
板の接合を行い、新しい高耐食性鋼板を提供することを
目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の耐食性鋼板は、鉄−クロム系化合物と、ア
ルミニウムと、ニッケル−クロム系化合物あるいはニッ
ケル化合物とからなり、前記アルミニウムをはさむよう
に層状に積層された構造であり、熱処理により接合界面
に金属間化合物を形成した多層構造とするものである。
に、本発明の耐食性鋼板は、鉄−クロム系化合物と、ア
ルミニウムと、ニッケル−クロム系化合物あるいはニッ
ケル化合物とからなり、前記アルミニウムをはさむよう
に層状に積層された構造であり、熱処理により接合界面
に金属間化合物を形成した多層構造とするものである。
【0009】
【作用】本発明は、上記した構成によって以下の作用を
有する。
有する。
【0010】異種材料を第3の材料を介して、かつ熱処
理により接合界面近傍での元素の拡散とそれに伴う金属
間化合物の生成で接合することにより、通常の接着剤の
使用による化学的接着や物理的接着に伴う剥離の問題は
低下する。
理により接合界面近傍での元素の拡散とそれに伴う金属
間化合物の生成で接合することにより、通常の接着剤の
使用による化学的接着や物理的接着に伴う剥離の問題は
低下する。
【0011】鉄−クロム系化合物と、アルミニウムと、
ニッケル−クロム系化合物あるいはニッケル化合物と
を、アルミニウムをはさむように層状に積層し熱処理す
ると、各接合界面に鉄−アルミニウム、ニッケル−アル
ミニウムなどによる金属間化合物が生成され多層構造が
形成される。これにより、表面にでる各材料の特長が生
かされつつ熱衝撃などに起因する接合界面での剥離が防
止できる。
ニッケル−クロム系化合物あるいはニッケル化合物と
を、アルミニウムをはさむように層状に積層し熱処理す
ると、各接合界面に鉄−アルミニウム、ニッケル−アル
ミニウムなどによる金属間化合物が生成され多層構造が
形成される。これにより、表面にでる各材料の特長が生
かされつつ熱衝撃などに起因する接合界面での剥離が防
止できる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて説明す
る。
る。
【0013】図1は、本発明の多層構造を有する耐食性
鋼板の接合界面近傍の拡大断面及びA−A’での元素濃
度プロフィールで、いわゆる異種金属の接合界面であ
る。図1(a)は熱処理前、図1(b)は熱処理(60
0℃、3h)後である。1が鉄−クロム系化合物、2が
ニッケル−クロム系化合物、3がアルミニウム、4が鉄
とアルミニウムの金属間化合物、5がニッケルとアルミ
ニウムの金属間化合物である。接合界面は空気と非接触
なので酸化膜は生成しない。
鋼板の接合界面近傍の拡大断面及びA−A’での元素濃
度プロフィールで、いわゆる異種金属の接合界面であ
る。図1(a)は熱処理前、図1(b)は熱処理(60
0℃、3h)後である。1が鉄−クロム系化合物、2が
ニッケル−クロム系化合物、3がアルミニウム、4が鉄
とアルミニウムの金属間化合物、5がニッケルとアルミ
ニウムの金属間化合物である。接合界面は空気と非接触
なので酸化膜は生成しない。
【0014】鉄−クロム系化合物とニッケル−クロム系
化合物の組成は表1に示している。
化合物の組成は表1に示している。
【0015】
【表1】
【0016】図1の元素濃度プロフィールから接合界面
では熱処理により拡散した元素のオーバーラップ領域が
存在し、その構造はX線解析から4はAl5Fe2とAl
Fe、5はAlNi3、AlNiからなること、その存
在比は熱処理に依存することがわかった。
では熱処理により拡散した元素のオーバーラップ領域が
存在し、その構造はX線解析から4はAl5Fe2とAl
Fe、5はAlNi3、AlNiからなること、その存
在比は熱処理に依存することがわかった。
【0017】このようにしてできた異種金属の接合界面
は、図1の濃度プロフィールからもわかるように傾斜し
た濃度勾配をもち、比較的に境界線が不明確であるため
に熱衝撃などによる剥離に対して強い。従って、異種金
属の特長をそのまま残し、高温下でも使える耐食性鋼板
が得られる。
は、図1の濃度プロフィールからもわかるように傾斜し
た濃度勾配をもち、比較的に境界線が不明確であるため
に熱衝撃などによる剥離に対して強い。従って、異種金
属の特長をそのまま残し、高温下でも使える耐食性鋼板
が得られる。
【0018】また、ニッケル等と金属間化合物を生成す
るチタンを上記アルミニウムにかえて使用してもよい。
るチタンを上記アルミニウムにかえて使用してもよい。
【0019】一方、鉄−クロム系あるいはニッケル−ク
ロム系化合物単体の耐食性、耐酸化性を改良するために
表面にアルミニウム層を設けるとよい。この場合も熱処
理により、接合界面には上記のような金属間化合物が生
成し、表面は空気中の酸素と反応して酸化アルミニウム
の膜が生成される。
ロム系化合物単体の耐食性、耐酸化性を改良するために
表面にアルミニウム層を設けるとよい。この場合も熱処
理により、接合界面には上記のような金属間化合物が生
成し、表面は空気中の酸素と反応して酸化アルミニウム
の膜が生成される。
【0020】図2は鉄−クロム系及びニッケル−クロム
系化合物の各単体にアルミニウムをクラッドし、熱処理
(800℃、1h)を加えた後の酸化増量曲線である。
各単体の酸化増量も示しており、これらを比較するとア
ルミニウム層を設けたことの効果が明かである。
系化合物の各単体にアルミニウムをクラッドし、熱処理
(800℃、1h)を加えた後の酸化増量曲線である。
各単体の酸化増量も示しており、これらを比較するとア
ルミニウム層を設けたことの効果が明かである。
【0021】表2には鉄−クロム系及びニッケル−クロ
ム系化合物の各単体にアルミニウムをクラッドし、熱処
理(800℃、1h)を加えた後の腐食試験の結果及
び、各単体の腐食試験の結果を示している。腐食試験は
帯状の試料を800℃に通電加熱しながら室温、5%の
食塩水を2分間隔で滴下し、破断するまでの回数をカウ
ントするものである。表2からもアルミニウム層の効果
が明かである。
ム系化合物の各単体にアルミニウムをクラッドし、熱処
理(800℃、1h)を加えた後の腐食試験の結果及
び、各単体の腐食試験の結果を示している。腐食試験は
帯状の試料を800℃に通電加熱しながら室温、5%の
食塩水を2分間隔で滴下し、破断するまでの回数をカウ
ントするものである。表2からもアルミニウム層の効果
が明かである。
【0022】
【表2】
【0023】このように、表面にアルミニウム層を設け
ると、接合界面に生成した金属間化合物と表面に生成し
た酸化アルミニウムにより、鉄−クロム系及びニッケル
−クロム系化合物単体は保護され耐食性、耐酸化性が向
上する。特に鉄−クロム系では酸化アルミニウム、ニッ
ケル−クロム系では金属間化合物が主に影響しているこ
とが表面酸素量、アノード文極特性、X線解析等から考
えられる。
ると、接合界面に生成した金属間化合物と表面に生成し
た酸化アルミニウムにより、鉄−クロム系及びニッケル
−クロム系化合物単体は保護され耐食性、耐酸化性が向
上する。特に鉄−クロム系では酸化アルミニウム、ニッ
ケル−クロム系では金属間化合物が主に影響しているこ
とが表面酸素量、アノード文極特性、X線解析等から考
えられる。
【0024】また、熱処理時に表面が変色する原因とな
る酸化膜生成を避けたいとき、不活性雰囲気中で熱処理
しても接合界面の状態には何等の影響もないので、その
ような熱処理を行ってもよい。
る酸化膜生成を避けたいとき、不活性雰囲気中で熱処理
しても接合界面の状態には何等の影響もないので、その
ような熱処理を行ってもよい。
【0025】以上説明したような、例えば図1に示した
耐食性鋼板を、従来例で説明したボイラーの熱交換部材
料として使用することができる。この場合、水との接触
側にニッケル−クロム系を、燃焼炎との接触側に鉄−ク
ロム系を配置させるようにしたらよい。湿式腐食に強い
ニッケル−クロム系と、高温酸化に強い鉄−クロム系の
組合せで従来にない長寿命の熱交換部ができる。
耐食性鋼板を、従来例で説明したボイラーの熱交換部材
料として使用することができる。この場合、水との接触
側にニッケル−クロム系を、燃焼炎との接触側に鉄−ク
ロム系を配置させるようにしたらよい。湿式腐食に強い
ニッケル−クロム系と、高温酸化に強い鉄−クロム系の
組合せで従来にない長寿命の熱交換部ができる。
【0026】
【発明の効果】以上のように本発明の耐食性鋼板によれ
ば、次の効果が得られる。
ば、次の効果が得られる。
【0027】接合界面で傾斜した濃度勾配をもち、比較
的に境界線が不明確であるため熱衝撃などでの剥離に対
して強く、高温及び腐食環境下でも使えるため長寿命の
燃焼機器の燃焼部や排ガス通路、熱交換部あるいは調理
機器に使用される電気ヒーター等の構造材料が得られ
る。
的に境界線が不明確であるため熱衝撃などでの剥離に対
して強く、高温及び腐食環境下でも使えるため長寿命の
燃焼機器の燃焼部や排ガス通路、熱交換部あるいは調理
機器に使用される電気ヒーター等の構造材料が得られ
る。
【図1】耐食性鋼板の接合界面近傍の拡大断面及び元素
濃度プロフィールを示す図
濃度プロフィールを示す図
【図2】酸化増量曲線を示す図
1 鉄−クロム系化合物 2 ニッケル−クロム系化合物 3 アルミニウム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 政夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 28/00
Claims (4)
- 【請求項1】鉄−クロム系化合物と、アルミニウムと、
ニッケル−クロム系化合物あるいはニッケル化合物とか
らなり、前記アルミニウムをはさむように層状に積層さ
れた構造であり、熱処理により接合界面に金属間化合物
を形成した多層構造を有する耐食性鋼板。 - 【請求項2】前記鉄−クロム系化合物の表面にアルミニ
ウムを積層した請求項1記載の多層構造を有する耐食性
鋼板。 - 【請求項3】前記ニッケル−クロム系化合物の表面にア
ルミニウムを積層した請求項1記載の多層構造を有する
耐食性鋼板。 - 【請求項4】前記熱処理を不活性雰囲気で行う構成とし
た請求項1記載の多層構造を有する耐食性鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23558692A JP2943524B2 (ja) | 1992-09-03 | 1992-09-03 | 多層構造を有する耐食性鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23558692A JP2943524B2 (ja) | 1992-09-03 | 1992-09-03 | 多層構造を有する耐食性鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0681168A JPH0681168A (ja) | 1994-03-22 |
JP2943524B2 true JP2943524B2 (ja) | 1999-08-30 |
Family
ID=16988200
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23558692A Expired - Fee Related JP2943524B2 (ja) | 1992-09-03 | 1992-09-03 | 多層構造を有する耐食性鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2943524B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5245034A (en) * | 1988-12-26 | 1993-09-14 | Kiroyoshi Hidaka | Compound having vessel smooth muscle relaxation activity |
-
1992
- 1992-09-03 JP JP23558692A patent/JP2943524B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0681168A (ja) | 1994-03-22 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |