JP2942238B1 - 紙送りローラーおよびその製造方法 - Google Patents
紙送りローラーおよびその製造方法Info
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Abstract
【要約】
【課題】紙の把持能力が高く耐久性に優れた紙送りロー
ラー、およびその製造方法の提供。 【解決手段】綾目ローレット加工が施された金属本体2
の表面に、金属メッキ層3、またはセラミックス粒子4
を含有する複合金属メッキ層3が形成されている紙送り
ローラー。その製造方法は次のとおりである。所定寸法
に切断された金属素材に、一対の平ダイスを用いる転造
によって綾目ローレット加工を施して粗面化し、次い
で、その表面に金属メッキまたはセラミックス粒子を含
む複合メッキ層を形成する。
ラー、およびその製造方法の提供。 【解決手段】綾目ローレット加工が施された金属本体2
の表面に、金属メッキ層3、またはセラミックス粒子4
を含有する複合金属メッキ層3が形成されている紙送り
ローラー。その製造方法は次のとおりである。所定寸法
に切断された金属素材に、一対の平ダイスを用いる転造
によって綾目ローレット加工を施して粗面化し、次い
で、その表面に金属メッキまたはセラミックス粒子を含
む複合メッキ層を形成する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙を或る位置から
別の位置へ1枚づつ送り出すための紙送りローラーであ
って、紙の捕捉能力に優れ、かつ耐久性に富むローラ
ー、およびその製造方法に関する。
別の位置へ1枚づつ送り出すための紙送りローラーであ
って、紙の捕捉能力に優れ、かつ耐久性に富むローラ
ー、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、複写機、プリンター、ファクシ
ミリ等の機器では、紙を一枚づつ移動させて必要部位へ
送り出す機構が必須である。そのような機構には図1に
示すようなローラー(ここでは「紙送りローラー」とい
う)が組み込まれていて、このローラーが紙の表面に接
触して回転し、相互の摩擦によって紙を送り出す。
ミリ等の機器では、紙を一枚づつ移動させて必要部位へ
送り出す機構が必須である。そのような機構には図1に
示すようなローラー(ここでは「紙送りローラー」とい
う)が組み込まれていて、このローラーが紙の表面に接
触して回転し、相互の摩擦によって紙を送り出す。
【0003】上記のような機器において、紙の的確で迅
速な送り出しは、機器の性能評価の重要な要素の一つで
ある。従って、送りローラーには、適切な摩擦力で紙を
捉えて送り出す機能が必須であるだけでなく、膨大な枚
数の紙を送り出した後にもなお、十分な送り出し機能を
有すること、言い換えれば耐久性に優れ、使用可能な寿
命が長いこと、が要求される。さらに、このローラーは
精密機器の部品であるから、真円度および真直度におい
ても優れていることが必要とされる。
速な送り出しは、機器の性能評価の重要な要素の一つで
ある。従って、送りローラーには、適切な摩擦力で紙を
捉えて送り出す機能が必須であるだけでなく、膨大な枚
数の紙を送り出した後にもなお、十分な送り出し機能を
有すること、言い換えれば耐久性に優れ、使用可能な寿
命が長いこと、が要求される。さらに、このローラーは
精密機器の部品であるから、真円度および真直度におい
ても優れていることが必要とされる。
【0004】紙送りローラーは、通常、鋼その他の金属
製丸棒を本体として、その表面に何等かの表面処理を施
して製造される。この表面処理は、本体表面に微細な凹
凸を持たせて紙を捉えるのに必要な摩擦力を持たせるた
めの処理である。また、本体の防錆および耐摩耗性向上
という目的も有する。そのような処理が施されたローラ
ーとしてこれまでに提案された主なものは下記のとおり
である。
製丸棒を本体として、その表面に何等かの表面処理を施
して製造される。この表面処理は、本体表面に微細な凹
凸を持たせて紙を捉えるのに必要な摩擦力を持たせるた
めの処理である。また、本体の防錆および耐摩耗性向上
という目的も有する。そのような処理が施されたローラ
ーとしてこれまでに提案された主なものは下記のとおり
である。
【0005】(1)エッチングによって表面に突起を生じ
させ、その表面に超硬粒子(ダイヤモンド粒子)を付着
させたローラー(特開昭61-60558号公報)。
させ、その表面に超硬粒子(ダイヤモンド粒子)を付着
させたローラー(特開昭61-60558号公報)。
【0006】(2)無機粉体を含む樹脂電着塗装皮膜を設
けたローラー(特開平4-223948号公報)。
けたローラー(特開平4-223948号公報)。
【0007】(3)微粒子を含む金属複合メッキ層を設け
たローラー(特開平9-194071号公報)。
たローラー(特開平9-194071号公報)。
【0008】(4)ダイヤモンド粉末をニッケルメッキ
し、その粉体の一部をメッキ面から突出させたローラー
(登録実用新案第3031350号公報)。 上記のようにこれまでにも様々な提案がなされ、その一
部は実用化もされているが、それぞれ製造上或いは使用
上の難点がある。例えば、(1)のローラーは、エッチン
グによる突起の付与には複雑な工程が必要で処理に時間
がかかる。(2)の樹脂塗装皮膜は、製造過程で皮膜の
タレが生じてローラーの真円度が損なわれる。また、ロ
ーラーの耐久性も十分ではない。(3)および(4)のロ
ーラーでは、本体表面の予備加工(下地加工)が考慮さ
れていないので、本体とメッキ皮膜の密着性が劣り、使
用寿命が短い。
し、その粉体の一部をメッキ面から突出させたローラー
(登録実用新案第3031350号公報)。 上記のようにこれまでにも様々な提案がなされ、その一
部は実用化もされているが、それぞれ製造上或いは使用
上の難点がある。例えば、(1)のローラーは、エッチン
グによる突起の付与には複雑な工程が必要で処理に時間
がかかる。(2)の樹脂塗装皮膜は、製造過程で皮膜の
タレが生じてローラーの真円度が損なわれる。また、ロ
ーラーの耐久性も十分ではない。(3)および(4)のロ
ーラーでは、本体表面の予備加工(下地加工)が考慮さ
れていないので、本体とメッキ皮膜の密着性が劣り、使
用寿命が短い。
【0009】さらに、これまでに提案されたローラーま
たはその製造方法では、ローラーの真円度および真直度
の向上という視点が欠けている。ローラー本体は、例え
ば、JISのSS41等の鋼材の冷間引抜き材(棒鋼)である
が、これをローラー本体として使用する場合には、所定
長さに切断してから真円度および真直度を高めるため
に、いわゆるセンターレス研磨という形状矯正の工程を
経る。この形状矯正を行わないと、真円度や真直度の狂
いがあって、前記のような精密機器の部品としては不合
格になる。従って、一般には表面処理前の矯正工程が必
須であり、それが、紙送りローラー製造のコスト上昇の
一因となっている。
たはその製造方法では、ローラーの真円度および真直度
の向上という視点が欠けている。ローラー本体は、例え
ば、JISのSS41等の鋼材の冷間引抜き材(棒鋼)である
が、これをローラー本体として使用する場合には、所定
長さに切断してから真円度および真直度を高めるため
に、いわゆるセンターレス研磨という形状矯正の工程を
経る。この形状矯正を行わないと、真円度や真直度の狂
いがあって、前記のような精密機器の部品としては不合
格になる。従って、一般には表面処理前の矯正工程が必
須であり、それが、紙送りローラー製造のコスト上昇の
一因となっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、紙送
りローラーとして紙の捕捉能力に優れ、かつ耐久性に富
み寿命の長いローラーを提供することにある。さらにま
た、このようなローラーを簡易な工程で安価に製造する
方法を提供することにある。
りローラーとして紙の捕捉能力に優れ、かつ耐久性に富
み寿命の長いローラーを提供することにある。さらにま
た、このようなローラーを簡易な工程で安価に製造する
方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)の送りローラーおよび(2)のその製造方法にある。 (1) 綾目ローレット加工が施された金属本体の表面に
セラミックス粒子を含有する複合金属メッキ層が形成さ
れていることを特徴とする紙送りローラー。
(1)の送りローラーおよび(2)のその製造方法にある。 (1) 綾目ローレット加工が施された金属本体の表面に
セラミックス粒子を含有する複合金属メッキ層が形成さ
れていることを特徴とする紙送りローラー。
【0012】(2) 所定寸法に切断された金属素材に、
平ダイスを用いる転造によって綾目ローレット加工を施
し、次いで、表面に複合金属メッキ層を形成することを
特徴とする上記(1)の紙送りローラーの製造方法。
平ダイスを用いる転造によって綾目ローレット加工を施
し、次いで、表面に複合金属メッキ層を形成することを
特徴とする上記(1)の紙送りローラーの製造方法。
【0013】なお、複合金属メッキ層を形成させるに
は、セラミックス粒子を懸濁させたメッキ浴中で電気メ
ッキまたは無電解メッキを行う。
は、セラミックス粒子を懸濁させたメッキ浴中で電気メ
ッキまたは無電解メッキを行う。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の紙送りローラー
1を示す斜視図、図2の(a)はその模式的横断面図、お
よび(b)はA部の模式的な拡大図である。例えば、A3サ
イズの用紙を使用できる複写機用のローラーであれば、
本体1の長さL1は約320mm、径dは12mmであり、本体2の
長さ方向のL2(約220mm)の範囲に表面処理層(メッキ
層)3が形成される。本体2は、一般にはSS41のような
鋼の丸棒が使用されるが、それに限らず、後述のローレ
ット加工およびメッキ処理が可能であれば他の金属製で
もよい。また、中実の棒材に限らず、中空の管材でもよ
い。以下、本発明の紙送りローラーおよびその製造方法
を工程順に説明する。
1を示す斜視図、図2の(a)はその模式的横断面図、お
よび(b)はA部の模式的な拡大図である。例えば、A3サ
イズの用紙を使用できる複写機用のローラーであれば、
本体1の長さL1は約320mm、径dは12mmであり、本体2の
長さ方向のL2(約220mm)の範囲に表面処理層(メッキ
層)3が形成される。本体2は、一般にはSS41のような
鋼の丸棒が使用されるが、それに限らず、後述のローレ
ット加工およびメッキ処理が可能であれば他の金属製で
もよい。また、中実の棒材に限らず、中空の管材でもよ
い。以下、本発明の紙送りローラーおよびその製造方法
を工程順に説明する。
【0015】1.本体の予備加工 所定の長さに切断された本体用の素材にローレット加工
を施す。この加工は、本体表面を粗面にして、紙を捕捉
する能力を高めるとともに後に形成するメッキ層の密着
性を高めるための下地加工である。また、素材の真円度
および真直度を上げるための形状矯正処理も兼ねるもの
ある。
を施す。この加工は、本体表面を粗面にして、紙を捕捉
する能力を高めるとともに後に形成するメッキ層の密着
性を高めるための下地加工である。また、素材の真円度
および真直度を上げるための形状矯正処理も兼ねるもの
ある。
【0016】なお、メッキ面を粗面にするための処理と
してはサンドブラストやショットピーニングが広く使用
されているが、これらの方法では、処理された表面の凹
凸はシャープではなく(山の頂点がつぶれた状態)、本
発明の目的にかなう望ましい表面状態は得られない。ま
た、素材(棒鋼等)の形状矯正の効果もない。
してはサンドブラストやショットピーニングが広く使用
されているが、これらの方法では、処理された表面の凹
凸はシャープではなく(山の頂点がつぶれた状態)、本
発明の目的にかなう望ましい表面状態は得られない。ま
た、素材(棒鋼等)の形状矯正の効果もない。
【0017】ローレット加工であっても、平目、傾斜目
のような一方向の目ではよくない。これらの場合は、表
面の凹凸は筋状の連続した山と谷で構成されることにな
って十分な粗さを持った下地は得られないからである。
綾目であれば目が交叉したところで山が分断され、独立
した多数の頂点が形成されるので、メッキ層の密着性が
高まるだけでなく、ローラーの紙を捉える性能が著しく
高まる。
のような一方向の目ではよくない。これらの場合は、表
面の凹凸は筋状の連続した山と谷で構成されることにな
って十分な粗さを持った下地は得られないからである。
綾目であれば目が交叉したところで山が分断され、独立
した多数の頂点が形成されるので、メッキ層の密着性が
高まるだけでなく、ローラーの紙を捉える性能が著しく
高まる。
【0018】上記の理由から、本発明では、予備加工
(下地加工)として綾目のローレット加工を採用した。
その加工を施した下地の一部分を図3に模式的に示す。
このようなローレット加工は、図4に示すような平ダイ
スを用いる転造法で行うのがよい。即ち、表面に綾目を
刻んだ上下の平ダイス6と7の間に本体(素材)1を挟
んで、適当な圧力で抑えて転造するのである。ダイス表
面の刻み目の間隔および深さと、ダイスを押しつける圧
力の調整によって任意の深さとピッチで素材に綾目をつ
けることができる。通常の複写機等の紙送りローラーで
あれば、図2(b)の山高さhは0.1mmから0.5mm程度、山の
ピッチPも0.1mmから0.5mm程度でよい。
(下地加工)として綾目のローレット加工を採用した。
その加工を施した下地の一部分を図3に模式的に示す。
このようなローレット加工は、図4に示すような平ダイ
スを用いる転造法で行うのがよい。即ち、表面に綾目を
刻んだ上下の平ダイス6と7の間に本体(素材)1を挟
んで、適当な圧力で抑えて転造するのである。ダイス表
面の刻み目の間隔および深さと、ダイスを押しつける圧
力の調整によって任意の深さとピッチで素材に綾目をつ
けることができる。通常の複写機等の紙送りローラーで
あれば、図2(b)の山高さhは0.1mmから0.5mm程度、山の
ピッチPも0.1mmから0.5mm程度でよい。
【0019】2枚の平ダイスを用いる転造法であれば、
素材の形状矯正効果も同時に得られ、真円度および真直
度に優れた本体1が製造できる。従って、従来の素材の
形状矯正の工程が省略できる。
素材の形状矯正効果も同時に得られ、真円度および真直
度に優れた本体1が製造できる。従って、従来の素材の
形状矯正の工程が省略できる。
【0020】2.メッキ処理 図2は、本発明の紙送りローラーのメッキ処理した部分
の模式的横断面図(a)と、そのA部の模式的拡大図(b)で
ある。なお、(b)に示すようにメッキ層はセラミックス
粒子を含む複合金属メッキである。
の模式的横断面図(a)と、そのA部の模式的拡大図(b)で
ある。なお、(b)に示すようにメッキ層はセラミックス
粒子を含む複合金属メッキである。
【0021】メッキ金属として最も一般的なのはNi(ニ
ッケル)メッキであるが、その外に、Cr(クロム)メッ
キ、Cu(銅)メッキ、亜鉛(Zn)めっき等も使用できる。
メッキ層の厚さは、メッキ時間によって調整できる。そ
の厚さは、本体表面のローレット目を埋めてしまうこと
がないように、言い換えれば、図2の(b)に示すように
ローレット目の山谷にそってメッキ層が形成されるよう
な厚さとする。その厚さは概ね10〜50μmである。メッ
キ方法は、電気メッキ法、無電解メッキ法のいずれでも
よい。
ッケル)メッキであるが、その外に、Cr(クロム)メッ
キ、Cu(銅)メッキ、亜鉛(Zn)めっき等も使用できる。
メッキ層の厚さは、メッキ時間によって調整できる。そ
の厚さは、本体表面のローレット目を埋めてしまうこと
がないように、言い換えれば、図2の(b)に示すように
ローレット目の山谷にそってメッキ層が形成されるよう
な厚さとする。その厚さは概ね10〜50μmである。メッ
キ方法は、電気メッキ法、無電解メッキ法のいずれでも
よい。
【0022】セラミックス粒子を含まない金属メッキを
施したローラーでも、ローレット加工による規則的で密
度の高い表面凹凸によって、紙を捕捉する能力は大き
い。しかし、メッキ層を図2の(b)に示すようなセラミ
ックス粒子を含む複合金属メッキにすれば、その能力は
さらに大きくなる。
施したローラーでも、ローレット加工による規則的で密
度の高い表面凹凸によって、紙を捕捉する能力は大き
い。しかし、メッキ層を図2の(b)に示すようなセラミ
ックス粒子を含む複合金属メッキにすれば、その能力は
さらに大きくなる。
【0023】複合金属メッキのメッキ皮膜3は、図2
(b)に示すように、その中にセラミックスの微細粒子4
を含むものである。セラミックスの種類としては、A12O
3、SiO2、TiO2、ZrO2のような酸化物、SiC、TiCのよう
な炭化物、SiN、TiNのような窒化物等が使用できる。こ
れらを単独で使用してもよく、また、2種以上組み合わ
せて用いてもよい。これらセラミックス粒子は、メッキ
皮膜の表面からわずかに突出する程度の大きさであるの
が望ましい。一般的には50〜200メッシュ程度の粒度の
ものでよい。
(b)に示すように、その中にセラミックスの微細粒子4
を含むものである。セラミックスの種類としては、A12O
3、SiO2、TiO2、ZrO2のような酸化物、SiC、TiCのよう
な炭化物、SiN、TiNのような窒化物等が使用できる。こ
れらを単独で使用してもよく、また、2種以上組み合わ
せて用いてもよい。これらセラミックス粒子は、メッキ
皮膜の表面からわずかに突出する程度の大きさであるの
が望ましい。一般的には50〜200メッシュ程度の粒度の
ものでよい。
【0024】複合メッキは、前記のセラミックス粒子を
浴に懸濁させて電気メッキ法または無電解メッキ法で行
う。それによってローレット加工で粗面化された本体表
面にメッキ金属とセラミックス粒子が共析して、図2の
(b)に示すようなセラミックス粒子4を含む複合メッキ
層3が形成される。メッキ層の適当な厚さは前記のとお
りであるが、そのメッキ層からセラミックス粒子の一部
が突出するような状態が望ましいので、メッキ層の厚み
はセラミックス粒子の径よりもやや薄くなるようにする
のがよい。
浴に懸濁させて電気メッキ法または無電解メッキ法で行
う。それによってローレット加工で粗面化された本体表
面にメッキ金属とセラミックス粒子が共析して、図2の
(b)に示すようなセラミックス粒子4を含む複合メッキ
層3が形成される。メッキ層の適当な厚さは前記のとお
りであるが、そのメッキ層からセラミックス粒子の一部
が突出するような状態が望ましいので、メッキ層の厚み
はセラミックス粒子の径よりもやや薄くなるようにする
のがよい。
【0025】粗面化された下地に電気メッキを施すと、
特に凸部の頂点には電流が集中してメッキ層が厚く着
く。そして、その頂点にセラミックス粒子がしっかりと
固着されるので、これによってもローラーの紙を捉える
能力が著しく向上する。
特に凸部の頂点には電流が集中してメッキ層が厚く着
く。そして、その頂点にセラミックス粒子がしっかりと
固着されるので、これによってもローラーの紙を捉える
能力が著しく向上する。
【0026】
【実施例】直径11mmのSS41棒鋼を素材として、長さ(図
1のL1)が320mm、表面被覆部分(図1のL2)が220mmの
複写機用紙送りローラーを作製した。作製条件は、表1
に示すとおりである。
1のL1)が320mm、表面被覆部分(図1のL2)が220mmの
複写機用紙送りローラーを作製した。作製条件は、表1
に示すとおりである。
【0027】まず、素材を320mmの長さに切断し、試験N
o.1、2および4〜8では図4に示したような平ダイス
による転造でその表面の被覆予定部分に図3に示したよ
うな綾目のローレット加工を施した。ローレット目の山
の高さ(h)およびピッチ(P)は、それぞれ0.3mmとし
た。所定長さに切断した素材の棒鋼には、約5/100程度
のそり(曲がり)と2/100程度の真円度の狂いがあった
が、上記ローレット加工の後は真円度においても真直度
においても、まったく問題のないものとなった。このこ
とから、綾目ローレット加工が、単に表面粗度を高める
だけでなく、素材の形状矯正の作用も併せ持つことが分
かる。
o.1、2および4〜8では図4に示したような平ダイス
による転造でその表面の被覆予定部分に図3に示したよ
うな綾目のローレット加工を施した。ローレット目の山
の高さ(h)およびピッチ(P)は、それぞれ0.3mmとし
た。所定長さに切断した素材の棒鋼には、約5/100程度
のそり(曲がり)と2/100程度の真円度の狂いがあった
が、上記ローレット加工の後は真円度においても真直度
においても、まったく問題のないものとなった。このこ
とから、綾目ローレット加工が、単に表面粗度を高める
だけでなく、素材の形状矯正の作用も併せ持つことが分
かる。
【0028】試験No.3と9は、性能比較のために試作
したもので、本体表面の粗面化をサンドブラストで実施
した。なお、この場合は、素材の形状矯正のために、サ
ンドブラストの前にセンタレス研磨を施した。
したもので、本体表面の粗面化をサンドブラストで実施
した。なお、この場合は、素材の形状矯正のために、サ
ンドブラストの前にセンタレス研磨を施した。
【0029】上記のように下地加工をした本体をアルカ
リ脱脂し、電解洗浄してその表面を清浄にした後、表1
に示す各種のメッキを施した。
リ脱脂し、電解洗浄してその表面を清浄にした後、表1
に示す各種のメッキを施した。
【0030】
【表1】
【0031】Crメッキは、CrO3−SO4浴を使用して温度5
5℃、電流密度50A/dm2の電気メッキとした。また、Niメ
ッキは、いずれもワット浴を使用し、温度55℃、電流密
度5A/dm2の電気メッキで実施した。メッキ層の厚さ
は、すべて約25μmとした。なお、セラミックス粒子を
含む複合メッキの場合は、各セラミックスを50g/リットルの
割合で加えたメッキ浴を使用し、メッキ作業中にセラミ
ックス粒子の沈殿を防止するために浴を攪拌した。
5℃、電流密度50A/dm2の電気メッキとした。また、Niメ
ッキは、いずれもワット浴を使用し、温度55℃、電流密
度5A/dm2の電気メッキで実施した。メッキ層の厚さ
は、すべて約25μmとした。なお、セラミックス粒子を
含む複合メッキの場合は、各セラミックスを50g/リットルの
割合で加えたメッキ浴を使用し、メッキ作業中にセラミ
ックス粒子の沈殿を防止するために浴を攪拌した。
【0032】表1の試験No.1、2は、綾目ローレット
加工を施した本体表面にCrメッキまたはNiメッキを施し
た比較例のローラーである。このメッキ皮膜にはセラミ
ックス粒子は含まれていない。試験No.3は、下地加工
をサンドブラストで行い、Crメッキを施した比較例であ
る。
加工を施した本体表面にCrメッキまたはNiメッキを施し
た比較例のローラーである。このメッキ皮膜にはセラミ
ックス粒子は含まれていない。試験No.3は、下地加工
をサンドブラストで行い、Crメッキを施した比較例であ
る。
【0033】試験No.4〜8は、下地加工を綾目ローレ
ット加工で行い、その上にNiとセラミックス粒子の複合
メッキを施した本発明の例である。試験No.9は、下地
処理をサンドブラストで行い、同じように複合メッキを
施した比較例である。
ット加工で行い、その上にNiとセラミックス粒子の複合
メッキを施した本発明の例である。試験No.9は、下地
処理をサンドブラストで行い、同じように複合メッキを
施した比較例である。
【0034】上記試験No.1から9までのローラーを複
写機に組み込んで紙送りの試験を行った。No.1と2の
ローラーは、前記のとおりメッキ層がセラミックス粒子
を含まないものである。しかし、綾目ローレット加工に
よる表面の凹凸がよく紙を捉えて、送り性能は良好であ
った。試験No.3のローラーは、紙送りの性能が劣るだ
けでなく、使用中にメッキ層の剥離が生じた。その結
果、使用寿命は、No.1、2にくらべて1/2程度であ
った。
写機に組み込んで紙送りの試験を行った。No.1と2の
ローラーは、前記のとおりメッキ層がセラミックス粒子
を含まないものである。しかし、綾目ローレット加工に
よる表面の凹凸がよく紙を捉えて、送り性能は良好であ
った。試験No.3のローラーは、紙送りの性能が劣るだ
けでなく、使用中にメッキ層の剥離が生じた。その結
果、使用寿命は、No.1、2にくらべて1/2程度であ
った。
【0035】試験No.4〜8の複合メッキ層を持つロー
ラーは、紙の捕捉能力においてNo.1、2のローラーよ
りも一層優れるだけでなく、使用寿命も約30%程度長
い。これは、ローレット加工の綾目の凹凸とセラミック
ス粒子を含むメッキ層との複合作用によってもたらされ
た効果である。なかでもNo.5の比較的粗粒のアルミナ
粒子を含む複合メッキローラーは、きわめて優れた性能
を示した。
ラーは、紙の捕捉能力においてNo.1、2のローラーよ
りも一層優れるだけでなく、使用寿命も約30%程度長
い。これは、ローレット加工の綾目の凹凸とセラミック
ス粒子を含むメッキ層との複合作用によってもたらされ
た効果である。なかでもNo.5の比較的粗粒のアルミナ
粒子を含む複合メッキローラーは、きわめて優れた性能
を示した。
【0036】比較例として試作したNo.9のローラー
は、前記のNo.3のローラーよりは紙の捕捉能力が高い
が、No.4〜8のローラーに較べれば劣り、耐久性にお
いてはNo.3のローラーと同程度であった。これは、サ
ンドブラストではシャープな凹凸を持つ下地が得られ
ず、メッキ層の密着性が劣るからである。
は、前記のNo.3のローラーよりは紙の捕捉能力が高い
が、No.4〜8のローラーに較べれば劣り、耐久性にお
いてはNo.3のローラーと同程度であった。これは、サ
ンドブラストではシャープな凹凸を持つ下地が得られ
ず、メッキ層の密着性が劣るからである。
【0037】
【発明の効果】実施例にも示したとおり、本発明の紙送
りローラーは、綾目ローレット加工で下地処理された表
面にセラミックス粒子を含んだ複合メッキが施されたも
のである。従って、メッキ層の密着性が高く、耐久性に
優れる。また、綾目ローレット加工による十分な粗面化
により、紙を捉える性能も著しく大きい。メッキ層がセ
ラミックス粒子を含むのでその効果が一層大きい。本発
明の紙送りローラーの製造方法によれば、ローラー素材
の形状矯正と粗面化が、転造によるローレット加工で同
時に行える。従って、通常行われる表面処理の前の形状
矯正加工が省略でき、加工工程の簡素化による製造コス
トの削減も可能である。
りローラーは、綾目ローレット加工で下地処理された表
面にセラミックス粒子を含んだ複合メッキが施されたも
のである。従って、メッキ層の密着性が高く、耐久性に
優れる。また、綾目ローレット加工による十分な粗面化
により、紙を捉える性能も著しく大きい。メッキ層がセ
ラミックス粒子を含むのでその効果が一層大きい。本発
明の紙送りローラーの製造方法によれば、ローラー素材
の形状矯正と粗面化が、転造によるローレット加工で同
時に行える。従って、通常行われる表面処理の前の形状
矯正加工が省略でき、加工工程の簡素化による製造コス
トの削減も可能である。
【0038】本発明の紙送りローラーの製造方法によれ
ば、ローラー素材の形状矯正と粗面化が、転造によるロ
ーレット加工で同時に行える。従って、通常行われる表
面処理の前の形状矯正加工が省略でき、加工工程の簡素
化による製造コストの削減も可能である。
ば、ローラー素材の形状矯正と粗面化が、転造によるロ
ーレット加工で同時に行える。従って、通常行われる表
面処理の前の形状矯正加工が省略でき、加工工程の簡素
化による製造コストの削減も可能である。
【図1】本発明の紙送りローラーの外観を模式的に示す
図である。
図である。
【図2】(a)は本発明の紙送りローラーの概略横断面
図、(b)はそのA部の模式的拡大図である。
図、(b)はそのA部の模式的拡大図である。
【図3】綾目ローレット加工を施した本体(素材)の一
部を模式的に示す図である。
部を模式的に示す図である。
【図4】転造によるローレット加工の概念を示す図であ
る。
る。
1:紙送りローラー、 2:本体、 3:メッキ層、
4:セラミックス粒子、 5:綾目ローレット加工、
6:上平ダイス、 7:下平ダイス
4:セラミックス粒子、 5:綾目ローレット加工、
6:上平ダイス、 7:下平ダイス
Claims (2)
- 【請求項1】綾目ローレット加工が施された金属本体の
表面に、セラミックス粒子を含有する複合金属メッキ層
が形成されていることを特徴とする紙送りローラー。 - 【請求項2】所定寸法に切断された金属素材に、平ダイ
スを用いる転造によって綾目ローレット加工を施し、次
いで、セラミックス粒子を懸濁させたメッキ浴中でメッ
キして、表面に複合金属メッキ層を形成することを特徴
とする請求項1の紙送りローラーの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9134498A JP2942238B1 (ja) | 1998-04-03 | 1998-04-03 | 紙送りローラーおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9134498A JP2942238B1 (ja) | 1998-04-03 | 1998-04-03 | 紙送りローラーおよびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2942238B1 true JP2942238B1 (ja) | 1999-08-30 |
JPH11292339A JPH11292339A (ja) | 1999-10-26 |
Family
ID=14023814
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9134498A Expired - Lifetime JP2942238B1 (ja) | 1998-04-03 | 1998-04-03 | 紙送りローラーおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2942238B1 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR19990084089A (ko) * | 1999-09-13 | 1999-12-06 | 박영선 | 대형 스크린용 수직렌즈 성형을 위한 성형 로울러의제작방법 및 성형로울러를 이용한 수직렌즈 성형장치 |
JP4748537B2 (ja) * | 2008-03-18 | 2011-08-17 | 株式会社アート | 段ボ−ル用印刷装置 |
KR101253267B1 (ko) * | 2011-03-10 | 2013-04-10 | 한국기계연구원 | 전주 마스터 및 이의 제조방법 |
-
1998
- 1998-04-03 JP JP9134498A patent/JP2942238B1/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11292339A (ja) | 1999-10-26 |
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