JP2942197B2 - 表面に突起を有する厚物成形品の成形方法 - Google Patents

表面に突起を有する厚物成形品の成形方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面に突起を有す
る厚物成形品の成形方法に関するものである。詳しくは
表面に円柱状、楕円柱状、長角柱状などの突起を有する
結晶性ポリオレフィン系樹脂厚物成形品を、冷間プレス
成形により効率よく生産するための圧縮成形方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、表面に各種形状の突起や、部分
的に肉厚の相違する箇所(本明細書では、単に「突起」
という。)を有する熱可塑性樹脂成形品の成形方法とし
ては、(1)雌型、雄型のいづれか一方の表面に突起を
賦形するための窪部が刻設された金型を用い、その雌型
内にペレットあるいは粉末状の熱可塑性樹脂の所定量を
投入し、雄型を型締後、金型内の樹脂を加熱溶融しなが
ら圧縮することにより樹脂を流動させ、金型に刻設され
た窪部に樹脂を充填し、金型を冷却し金型内の樹脂を固
化した後、成形品を金型から取り出す圧縮成形法、
(2)前記の圧縮成形機に押出機を併設し、その押出機
にて樹脂を溶融押出して雌型に充填し、充填後、雌型に
雄型を型締めし、その金型を圧縮成形機にて所定圧力で
圧縮して前記と同様にして成形する押出圧縮成形法、
(3)また、その突起が成形品の断面上同一位置で連続
形状の場合には押出成形法、(4)さらには、成形品の
厚みが比較的薄肉で成形品面積が小さい場合には射出成
形法などが採用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、(1)圧縮成
形法は、熱可塑性樹脂のペレットや粉末を所定温度にな
った金型内に充填し、圧縮成形するもので、その樹脂を
圧力を負荷しながら加熱溶融し流動させることで所定形
状に賦形した後、金型を冷却して金型内の樹脂を冷却固
化させ、金型から取り出すことで成形品を得る。この方
法では、ペレットや粉末を加熱しながら圧力を負荷して
も、金型内のペレットや粉末の間には多数の空隙が存在
するために、これが熱の伝導を妨げ、効率的な樹脂の溶
融ができ難いだけでなく、樹脂内部まで所定温度に加熱
する間、長時間にわたり、樹脂は金型に接した状態で高
温にさらされ熱劣化を生じ得る。また、冷却時には、加
熱状態にあった金型を一般には水を冷却媒体として冷却
し、金型内部の賦形された成形品を冷却固化させるの
で、成形に要する時間が長くなる。さらに冷却時には、
金型を冷却してから樹脂部分が冷却されることから樹脂
の冷却速度が遅く、徐冷となり易く、樹脂が結晶性熱可
塑性樹脂であれば球晶が成長したり、成形品内部に収縮
による空洞が生じたりして、成形品は脆弱なものに成り
易く、高い機械的強度を必要とするろ過板などの成形品
には適し難いものである。
【0004】(2)押出圧縮成形法は、熱可塑性樹脂を
押出機で押出ながら所定温度になった金型内に充填し、
その金型で所定形状に賦形しながら冷却して金型内の樹
脂を冷却固化させ、金型から取り出すことで成形品を得
る。この方法では、その樹脂を押出機で溶融・押出して
金型内に充填し、圧縮成形しながら冷却するために、樹
脂を金型内に所定量充填するのに、通常十数分から数十
分の時間を要し、この間、既に金型内に充填された樹脂
を流動可能な温度以上に保つために種々の加熱手段を必
要とすると共に、樹脂の表面が加熱によって劣化を生じ
易くこれが成形品の品質に悪影響を及ぼしたり、充分な
加熱・保温が出来ない場合には表面に冷却固化層がで
き、その後の圧縮成形で良好な突起が形成されない場合
が生じ得る。また、成形サイクルは、ペレットや粉末か
らの圧縮成形法に比しては短いが、それでも長い成形時
間を要し、その樹脂は徐冷状態となるので、樹脂が結晶
性であると前記圧縮成形方法と同様に球晶が成長したり
空洞が生じたりして、高い機械的強度を必要とするろ過
板などの成形品には適しがたいものである。
【0005】(3)押出成形法は、スクリュー内蔵のシ
リンダーに賦形用押出口金を装着して、熱可塑性樹脂を
連続的に溶融・押出して成形するもので、表面が一定の
連続形状をした長尺状成形品は効率的に成形できるもの
であるが、不連続な突起のような複雑な形状をした成形
品の成形には不向きである。
【0006】(4)射出成形法は、スクリュー内蔵のシ
リンダーに賦形用射出金型を装着して、熱可塑性樹脂を
不連続状態で溶融・射出して成形するもので、比較的薄
肉で所定形状の成形品を効率的に成形できると共に、成
形時間が前記の2法と比べあらかじめ金型温度が低く保
たれている為、短時間で成形できる利点はあるが、成形
品の表面に突起がある場合には、収縮によるヒケが生じ
易く、良好な成形品を得難く、また、厚肉の成形品にな
るとなお一層ヒケや空洞不良等が顕著になるので厚肉成
形品には不向きである。さらに、射出金型の投影面積が
限られるために大型の成形品を得ることも困難である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、表面に複数個
の突起を有する結晶性ポリオレフィン系樹脂製の厚物成
形品の成形方法で、比較的安価な設備を用いて、短い成
形サイクルで、表面に各種形状の突起が形成された成形
品が効率良く形成できるものであって、その要旨は表面
のみを熱変形温度以上、分解温度以下に加熱した、厚肉
の結晶性ポリオレフィン系樹脂製板状基体の表面上に、
薄肉のポリオレフィン系樹脂溶融シートを載置し、その
上から突起賦形面を設けた冷却金型を用いて、プレスす
ることおよび溶融シートのゼロせん断粘度が5×104
g/cm・sec以上で、1×103sec-1のせん断
時の粘度が5×104 g/cm・sec以下であること
にある。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、添付の図
面に従って説明する。図1は、成形に使用する装置の概
念的略図であり、同図(a)はプレス前の状態を示し、
(b)はプレス時の状態を示す。また、図2(a)およ
び(b)は、いずれも本発明によって得られる厚物成形
品の平面図および断面図である。
【0009】本発明方法においては、図1に示すよう
に、厚肉の結晶性ポリオレフィン系樹脂製板状基体
(1)を、必要に応じシーリング(11)内に収容した
後、適当な加熱手段(図示せず)を用いて、その表面の
みを熱変形温度以上、分解温度以下に加熱する。このよ
うにして準備した、板状基体(1)の加熱表面上に、薄
肉のポリオレフィン系樹脂溶融シート(2)を載置し
(同図(a)参照)、その上から突起賦形面を設けた冷
却金型(10)を用いて、プレスすることによって表面
に突起を有する厚物成形品(3)が成形される(同図
(b)参照)。
【0010】本発明に使用する、厚肉の板状基体(1)
は、通常、結晶性ポリオレフィン系樹脂を押出成形、プ
レス成形などによって調製するが、比較的大型の基体は
押出成形で成形するのが成形性の面から好適である。厚
肉の板状基体(1)は、平滑面を有するものであれば、
全体が同一の厚みのものでもよいし(図2(a)参
照)、周縁部のみが中央部より厚いいわゆる縁付きのも
のでもよい(図2(b)参照)。一方、突起を賦形する
ための、薄肉の溶融シート(2)は、ポリオレフィン系
樹脂を押出機で成形したばかりの、溶融状態のシートを
そのまま使用するか、あるいは押出成形やプレス成形な
どにより事前に調製した薄肉シートを、本発明の実施に
際して、熱板等を用いて再溶融させて使用する。
【0011】また、厚肉の板状基体(1)の厚みは10
mm以上が好ましい。すなわち、本発明方法は、厚物成
形品を得るのに有利な方法であり、厚み10mm以下の
成形品では、溶融シートに加えて板状基体を用いる利益
はない。一方、薄肉の溶融シート(2)の厚みは、形成
すべき突起の高さ、体積等でも異なるが、シート溶融時
間、成形性、ハンドリング性などから考えて10mm以
下が望ましい。
【0012】厚肉の板状基体(1)を、その表面温度の
みをこれを構成する結晶性ポリオレフィン樹脂の熱変形
温度以上に加熱する際には、赤外線ヒーターや熱板等を
用いるが、板状基体の内部に極力熱が伝達しないように
注意することが肝要である。内部温度が上昇すると、成
形品にソリが発生しやすくなるので注意が必要である。
また、表面温度が低すぎると、溶融シートとの融着強度
が低下するので、薄肉の溶融シート(2)を載置するま
では板状基体の表面温度を最低熱変形温度以上に保持す
ることが必要である。好ましい加熱条件としては、溶融
温度から溶融温度以下40度程度、加熱時間は、熱容量
の大きな熱源によって極めて短時間、好ましくは1分以
内で、その表面のみを加熱するのがよい。
【0013】厚肉の板状基体(1)上に載置すべき、薄
肉の溶融シート(2)は、ゼロせん断粘度が5×104
g/cm・sec以上で、1×103 sec-1のせん断
時の粘度が5×104 g/cm・sec以下であること
が重要である。ゼロせん断粘度が5×104 g/cm・
sec以下であるとハンドリング中に溶融樹脂が流動
し、シート形状をとどめず成形が困難となる。また、1
×103 sec-1のせん断時の粘度が5×104 m/c
m・sec以上であると粘度が高くプレス時の賦形が困
難となる。
【0014】本明細書において、溶融シートのゼロせん
断粘度および1×103 sec-1のせん断時の粘度は、
温度およびせん断速度を変えてシート材料の粘度を測定
し、多数の測定値から、次のモデル式の諸係数を定める
ことによって得られる。 η =η0 /(1+η0 γ/τ* 1-n η0 =Bexp(Tb /T) 式中、ηは粘度(g/cm・sec)であり、η0 はゼ
ロせん断粘度(g/cm・sec)であり、γはせん断
速度(sec-1)であり、Tは温度(°K)であり、
n、τ* 、BおよびTb は係数である。すなわち、ゼロ
せん断粘度(η0 )は、溶融シートの温度の関数として
上記のモデル式から算出され、一方、1×103 sec
-1のせん断時の粘度は、さらにせん断速度(γ)として
1×103 sec-1を代入することによって、これも上
記のモデル式から算出される。
【0015】しかして、粘度の測定は、低せん断域(1
×10-2〜6.0×101 sec-1)と高せん断域
(3.5×101 〜6.0×103 sec-1)に分けて
行われる。例えば、低せん断域の粘度は、レオメトリッ
クス社の動的粘弾性測定装置RDA−IIを用いて、A
STM D4440−84に準拠し、平行円板法に従っ
て測定される。また、高せん断域の粘度は、東洋精機社
のキャピラリー式レオメーター・キャピログラフ1Bを
用いて、JIS K7199に準拠し、長さ40mm、
直径1mmのキャピラリーで測定される。測定点数は、
温度については、溶融シートの成形温度範囲から複数条
件、通常3〜5条件を選択し、しかもそれぞれの温度条
件についてせん断速度条件を変えて、せん断速度依存性
が正確に把握できる程度の多数点を選定する。
【0016】厚肉の板状基体(1)の加熱表面上に、薄
肉の溶融シート(2)を載置した後は、その上から突起
賦形面を設けた冷却金型(10)を用いて、素早くプレ
スを行う。プレスの際の金型温度は、金型内を流れる冷
媒などにより、少なくとも溶融シートを構成するポリオ
レフィン樹脂の熱変形温度より低い温度とすることが必
要であり、好ましくは熱変形温度から熱変形温度以下4
0度程度の範囲の温度とするのがよい。金型温度が高す
ぎると、ポリオレフィン樹脂の冷却に長時間を要し徐冷
となり、内部球晶が成長して物性の低下を招くので好ま
しくない。
【0017】冷却金型(10)は、その表面に、突起を
賦形するための窪部を刻設した雄型であり、突起の形状
は、円柱、楕円柱、角柱、円錐台、角錐台など、厚物成
形品の用途に応じて所望のものが選択される。もちろ
ん、用途によっては、形状や大きさの異なる複数種の突
起を混在させることもある。
【0018】板状基体の周囲は、溶融シートをプレスし
た際の樹脂の流出を防ぐためのシーリング(11)を行
うことが好ましい。シーリング(11)は、図1に示す
ように、厚肉の板状基体および薄肉の溶融シートを十分
収容できるアルミ製枠でもよいが、上記冷却金型(1
0)と合わせて必要なキャビティを形成する雌型であっ
てもよく、また図2(b)に示すような縁付きの板状基
体の場合には、板状基体自体であってもよい。
【0019】プレス圧力は5〜40kgf/cm2 が好
ましい。プレス圧力が5kgf/cm2 以下であると、
樹脂が充分に流動せず転写不良を生じる。また、40k
gf/cm2 以上であると、シーリングを行っても樹脂
が流出し充分な圧力が加わらず、転写不良やヒケ、ボイ
ドなどの不良が発生する。このような方法により、板状
基体(1)と溶融シート(2)の融着、溶融シート
(2)に対する突起の賦形、および厚物成形品(3)の
冷却を同時に行うことが可能となる。
【0020】本発明の厚物成形品の成形に使用されるポ
リオレフィン系樹脂は、結晶性ポリオレフィン系樹脂、
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーまたはこれらを
主体とする組成物である。
【0021】しかして、厚肉の板状基体(1)を形成す
る樹脂と、突起部を形成するための薄肉の溶融シート
(2)を形成する樹脂とは、必ずしも同一のポリオレフ
ィン系樹脂素材を用いる必要はなく、お互いに熱融着可
能であれば別のポリオレフィン系樹脂素材を用いともよ
い。例えば、板状基体(1)には、安価なポリプロピレ
ンを用い、溶融シート(2)には、機能性を有する熱可
塑性エラストマーを使用することも可能である。
【0022】結晶性ポリオレフィン系樹脂は、具体的に
は、エチレン、プロピレン等のα−オレフィンの単独重
合体或いは共重合体であり、例えば、ポリエチレン、ア
イソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポ
リプロピレン、ポリブテン−1、プロピレン−α−オレ
フィン共重合体(例えば、プロピレン−エチレン共重合
体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1
−ヘキセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1−ペ
ンテン共重合体)、エチレン−1−ブテン共重合体など
が挙げられる。
【0023】これら樹脂のうち、ポリプロピレン(P
P)およびポリエチレン(PE)の塑性流動が可能な温
度としての溶融温度(Tm)、樹脂が分解を生じる分解
温度(Td)および樹脂の熱成形が可能な温度としての
熱変形温度(Tf)は、それぞれ次の通りである。 溶融温度(Tm) 分解温度(Td) 熱変形温度(Tf) PP 150〜180℃ 250〜300℃ 50〜70℃ PE 100〜140℃ 240〜300℃ 40〜70℃
【0024】ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーと
しては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの結晶性ポ
リオレフィン系樹脂と、エチレン−プロピレン共重合体
ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−非共役ジエン
共重合体ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジ
エン共重合体ゴム(NBR)などのゴムを、ミキサー、
押出機などにより機械的にブレンドしたもの、または架
橋剤の存在下でブレンドして部分架橋したものなどが挙
げられる。なお、それら結晶性ポリオレフィン系樹脂と
ゴムとのブレンド比は、通常、重量比で10:90〜5
0:50の範囲から選択される。
【0025】ここで、EPMまたはEPDMとしては、
通常、エチレン含量が20〜90重量%、好ましくは4
0〜85重量%で、プロピレン含量が80〜10重量
%、好ましくは60〜15重量%のものが用いられる。
また、EPDMとしては、通常、1,4−ヘキサジエ
ン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエンなど
の鎖状ジエン類、ジシクロペンタジエン、シクロオクタ
ジエンなどの環状ジエン類、メチレンノルボルネン、エ
チリデンノルボルネン、ヘチルテトラヒドロインデンな
どの環状ポリエン類を、通常全体の1〜20重量%、好
ましくは4〜10重量%含むものが用いられる。
【0026】EPMは、融点150〜180℃、分解温
度240〜280℃、EPDMは、融点150〜180
℃、分解温度220〜280℃、ポリブテン−1は、融
点70〜140℃、分解温度240〜280℃である。
【0027】NBRは、アクリロニトリル含量が10〜
90重量%、好ましくは15〜50重量%であるものを
用いるのが良い。また、上記のアクリロニトリル−ブタ
ジエンの2成分共重合体の他、アクリロニトリル−ブタ
ジエン−トリフルオロエチルアクリレート、アクリロニ
トリル−ブタジエン−アクリル酸エステルなどの3元共
重合体や、水素添加したアクリロニトリル−ブタジエン
共重合ゴムも使用することができる。
【0028】ゴム成分として、NBRとEPMまたはE
PDMとの混合物を使用することもできる。その場合、
NBRとEPMまたはEPDMとの割合は、重量比で9
9:30〜1:70の範囲から選択される。結晶性ポリ
オレフィン系樹脂とゴムとのブレンド比は、通常、重量
比で50:50〜70:30の範囲から選択される。こ
の範囲内で併用することにより、両成分が奏する効果が
相乗的に発現し、耐油性に加えて機械的特性にも優れた
ものとすることができる。
【0029】本発明ポリオレフィン系樹脂には、上記の
結晶性ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系熱可塑
性エラストマーのほかに、充填材、顔料、造核剤、可塑
剤や伸展油などの加工助剤、老化防止剤等の各種添加剤
を含有する組成物も使用することができる。なかでも、
造核剤として、ポリオレフィン系樹脂に対して0.1〜
0.3重量%のアジピン酸や安息香酸のナトリウム塩、
シリカなどを添加するときは、冷却時に生成する球晶を
微小化できるので有用である。
【0030】
【実施例】
実施例1 下記の樹脂ペレットを下記条件で押出成形して、厚さ4
0mmの原板を得、300mm角に切り出し板状基体を
得た。 [板状基体] 形 状: 300mm角×厚さ40mm 使用樹脂: ポリプロピレン樹脂 溶融温度 :Tm=165℃ 分解温度 :Td=250℃ 熱変形温度:Tf= 60℃ 押出条件: 押出機 :シングルスクリューφ80mm押出機 押出量 :60kg/hr 成形口金:I(アイ)ダイ 温度 シリンダー:200℃ 成形口金 :220℃
【0031】また、別に押出成形により下記の樹脂ペレ
ットから厚さ6mmのシートを得、300mm角に切断
して突起成形用シートを得た。 [突起形成用シート] 形 状: 300mm角×厚さ6mm 使用樹脂: 板状基体と同様 押出条件: 押出機 :シングルスクリューφ40mm押出機 押出量 :25kg/hr 成形口金:コートハンガーダイ 温度 シリンダー:200℃ 成形口金 :220℃
【0032】前記突起成形用シートは、テフロンコーテ
ィングを施した2枚の熱板に挟んで7分間加熱し、温度
200℃の溶融シートとした。前記板状基体は、突起成
形用シートの加熱中に、アルミ製枠(内法300mm角
×高さ60mm)に挿入して、赤外線ヒーターにて加熱
し、表面を100℃とした。この板状基体の加熱表面上
に素早く上記溶融シートを乗せ、突起賦形面を設けた冷
却金型を取り付けたプレス機を用い、該金型を上方より
下降させて、下記条件で圧縮成形し、図2(a)に示す
表面に円柱状突起を有する、下記仕様の厚物成形品を得
た。 [加熱条件] 溶融シート: 温 度:200℃ ゼロせん断粘度: 6.02×105 g/cm・sec 1×103 sec-1のせん断時の粘度: 3.29×103 g/cm・sec 板状基体: 表面温度:100℃ [プレス条件] 金型温度:25℃ 圧縮圧力:20kgf/cm2 圧縮時間:3分 [成形品仕様] 形 状:300mm角×厚さ45mm(突起高さ含まず) 突起高さ:5mm
【0033】比較例1 実施例1と同様のペレットを、下記条件で押し出して、
実施例1の冷却金型と同様の突起賦形面を有し、しかも
予め加熱用ヒーターで加熱してある雌金型内に、溶融樹
脂を厚物賦形用フォーマを通して充填した。充填は実施
例1の成形品仕様相当量行った。続いて、上記の雌金型
と同様の条件で予め加熱用ヒーターで加熱してある平板
状賦形面を有する雄金型を、上方より降下させて、下記
条件で圧縮成形して、実施例1と同様に、図2(a)に
示す表面に円柱状突起を有する厚物成形品を得た。 [成形品仕様] 実施例1と同様 [使用樹脂] 実施例1と同様 [押出条件] 押出機 :シングルスクリューφ80mm押出機 押出量 :310kg/hr 温度 シリンダー:200℃ [プレス条件] 加熱温度:230℃ 加熱時間:2分 圧縮圧力:20kgf/cm2 圧縮時間:180分(冷却時間を含む)
【0034】 [結果] 実施例 1 比較例 1 繰り返し番号 1 2 3 1 2 3 成形時間(分) 20 20 20 180 180 180 ヒケなどの有無 無 無 無 有 有 有 空洞の有無 無 無 無 有 有 有 注)実施例および比較例における評価基準: ヒケなどの有無=成形品表面における「ヒケ」「バリ」「欠け」などの有無を 肉眼によって観察して評価した。 空洞の有無=成形品を、その外側より100mmの位置4カ所とほぼ中央部の 1カ所において切断し、その切断面における「空洞」の有無を肉眼によって観察 して評価した。
【0035】実施例2 実施例1において、ポリプロピレン樹脂に代えて下記の
ポリエチレン樹脂を使用し、かつ、このポリエチレン樹
脂に合った下記条件を選んだ他は、実施例1と全く同様
にして、実施例1と同様に、図2(a)に示す表面に円
柱状突起を有する厚物成形品を得た。 [板状基体] 使用樹脂: ポリエチレン樹脂 溶融温度 :Tm=135℃ 分解温度 :Td=240℃ 熱変形温度:Tf= 45℃ 押出条件: 温度 シリンダー:180℃ 成形口金 :200℃ [突起形成用シート] 使用樹脂: 板状基体と同様 押出条件: 温度 シリンダー:180℃ 成形口金 :200℃ [加熱条件] 溶融シート: ゼロせん断粘度: 1.52×105 g/cm・sec 1×103 sec-1のせん断時の粘度: 2.24×103 g/cm・sec
【0036】比較例2 比較例1において、ポリプロピレン樹脂に代えて実施例
2に記載のポリエチレン樹脂を使用し、かつ、このポリ
エチレン樹脂に合った下記条件を選んだ他は、比較例1
と全く同様にして、図2(a)に示す表面に円柱状突起
を有する成形品を得た。 [使用樹脂] 実施例2と同様 [押出条件] 温度 シリンダー:180℃ [プレス条件] 加熱温度:200℃
【0037】 [結果] 実施例 2 比較例 2 繰り返し番号 1 2 3 1 2 3 成形時間(分) 20 20 20 180 180 180 ヒケなどの有無 無 無 無 有 有 有 空洞の有無 無 無 無 有 有 有
【0038】実施例3 実施例1において、突起形成用シートのペレットのみを
ポリプロピレン樹脂に代えて下記ポリオレフィン系熱可
塑性エラストマーを使用し、かつ、この熱可塑性エラス
トマーに合った下記条件を選んだ他は、実施例1と全く
同様にして、図2(a)に示す表面に円柱状突起を有す
る成形品を得た。 [突起形成用シート] 使用樹脂: ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー 溶融温度 :Tm=170℃ 分解温度 :Td=245℃ 熱変形温度:Tf= 65℃ [加熱条件] 溶融シート: ゼロせん断粘度: 1.67×106 g/cm・sec 1×103 sec-1のせん断時の粘度: 1.25×103 g/cm・sec
【0039】比較例3 比較例1または2の方法で、実施例3のように、板状基
体と突起部を異種原料にすることは困難であった。
【0040】 [結果] 実施例 3 比較例 3 繰り返し番号 1 2 3 成形時間(分) 20 20 20 成形不可 ヒケなどの有無 無 無 無 空洞の有無 無 無 無
【0041】
【発明の効果】本発明の成形方法に従い、結晶性ポリオ
レフィン系樹脂を主体とした厚物成形品を成形するにあ
たり、平滑面を有する厚肉の板状基体と突起を形成すべ
き薄肉の溶融シートとに分けて材料を準備し、両者を合
わせ所定条件でプレスすることにより、融着、賦形、冷
却を同時に行うことができ、ヒケや空洞などの転写不良
に起因する部分的欠陥を防止でき、しかもその成形時間
を大きく短縮し、球晶成長による物性低下を防ぐことも
できる。さらに、本発明においては、板状基体と突起形
成用シートで樹脂の種類を異種のものにし、機能性を付
与することができるので、経済面、応用面で非常に有利
な成形法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】成形に使用する装置の概念的略図。(a)はプ
レス前の状態を示し、(b)はプレス時の状態を示す。
【図2】本発明によって得られる厚物成形品の平面図お
よび断面図。
【符号の説明】
1 板状基体 2 溶融シート 3 厚物成形品 10冷却金型 11シーリング

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面のみを熱変形温度以上、分解温度以下
    に加熱した、厚肉の結晶性ポリオレフィン系樹脂製板状
    基体の表面上に、薄肉のポリオレフィン系樹脂溶融シー
    トを載置し、その上から突起賦形面を設けた冷却金型を
    用いて、プレスすることを特徴とする表面に突起を有す
    る厚物成形品の成形方法。
  2. 【請求項2】上記溶融シートのゼロせん断粘度が5×1
    4 g/cm・sec以上で、1×103 sec-1のせ
    ん断時の粘度が5×104 g/cm・sec以下である
    ことを特徴とする請求項1記載の成形方法。
  3. 【請求項3】上記ポリオレフィン系樹脂が、結晶性ポリ
    オレフィン系樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラスト
    マーまたはこれらを主体とする組成物であることを特徴
    とする請求項1記載の成形方法。
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