JP2942193B2 - 転がり軸受用密封装置 - Google Patents

転がり軸受用密封装置

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JP2942193B2 JP8125309A JP12530996A JP2942193B2 JP 2942193 B2 JP2942193 B2 JP 2942193B2 JP 8125309 A JP8125309 A JP 8125309A JP 12530996 A JP12530996 A JP 12530996A JP 2942193 B2 JP2942193 B2 JP 2942193B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、転がり軸受の密封
装置に係り、特に、円筒ころ軸受及び深みぞ玉軸受の両
端部側に配置される転がり軸受用密封装置に関する。
【0002】
【従来の技術】グリースは、潤滑油(基油)中に3次元構
造を形成する増ちょう剤を分散させて半固体状又は固体
状にしたものである。 所謂、スポンジ(増ちょう剤)に
潤滑油(基油)を含浸した構造となっている。基油には精
製鉱油、合成潤滑油及びこれらの混合油等が使用されて
いる。増ちょう剤には、リチウム、カルシウム、ナトリ
ウム、アルミニウム、リチウム複合、カルシウム複合等
の金属石鹸、ベントナイト、シリカゲル等の無機化合物
及び尿素誘導体、ナトリウムテレフタラメート、フタロ
シアニン等の有機化合物がある。グリースは、用途によ
って分類し、更に種別及びちょう度番号(硬さ)によって
細分されている。
【0003】JIS K2220規格による転がり軸受
用グリースには、用途別に1,2及び3種があり、該ち
ょう度番号0,1,2及び3号に分類されている。一般
にグリースは、一度充填すれば長期間補給しなくともよ
いが、運転条件によっては、たびたび補給又は交換を必
要とする。転がり軸受の潤滑に関し、軸受の回転によっ
て剪断された軟化グリースが軸受内に導入されることに
よって潤滑が行われる説と、グリース中に含有する基油
が軸受内に供給されることによって潤滑が行われ説があ
る。前者の場合は、グリースの動きが軸受寿命に大きく
影響している。後者は基油分離量の経時変化が軸受寿命
に大きく影響している。そして、少量の基油分離量では
潤滑不良による軸受の摩耗や損傷が起る。一方、過度の
分離量は基油の早期枯渇やグリースの早期硬化による潤
滑不良といった障害を招く。いずれの現象も軸受の長寿
命に対し好ましいとは言えない。
【0004】そして、軸受蓋内のグリースを定期的に補
給し、新旧グリースの入れ替えによって充分なグリース
量を確保し潤滑効率の向上を図る技術としては、特開昭
61−85030号ならびに特開昭64−8839号公
報に開示された回転電機用の軸受装置がある。
【0005】図11は、従来例の転がり軸受用密封装置
を示す断面図である。円筒ころ軸受装置の場合である。
図12は、図11のB〜B’断面図である。グリース充
填室は、仕切り板13によって4室の隣接充填室5bに完
全に仕切られている。そして図13は、図12のC〜
C’断面図である。図11〜図13において、回転軸1
に円筒ころ軸受2(以下、軸受2)の内輪2aが嵌合され
ており、外輪2bはエンドブラケット3嵌合されてい
る。軸受2の両側に軸受蓋4a及び軸受蓋4bが配置さ
れ、軸受蓋4a及び軸受蓋4bの内側にはグリースが充填
され、グリース充填室として隣接充填室5a及び5bが形
成されている。軸受蓋内のグリースを定期的に補給する
場合には、軸受蓋4a(またはエンドブラケット3)に設
けられた給油孔9より補給する。注入グリースは図中の
矢印の方向に沿って導入路10を流れ、オイルスロワ11の
遠心力とグリースにかかる重力で排油室12から排出され
る。
【0006】図14は、 他の従来例の転がり軸受用密
封装置を示す断面図である。 特開昭64−8839号
公報に開示された軸受装置を示すものである。 図15
は、 図14のD〜D’断面図である。図において、注
入グリースは、給油孔9から軸受蓋4aの外周面に沿つ
た環状の導入路10を流れ、導入路10a,10bを経て、軸
受2内を潤滑し、劣化グリースが排出される構造になっ
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術におい
て、グリースは、軸受2及び軸受蓋4a,4bに設けられ
た隣接充填室5a,5bに充填される。軸受2の回転に伴
い、軸受2中のグリースは剪断を受け大部分のグリース
は軸受蓋4a,4b側に押し出され、軸受内に残存した少
量のグリースによって軸受2の潤滑が行われる。長期間
充分な潤滑を行うには、定期的にグリースを補給し充分
な量を軸受2内に残存しなければならない。そして、図
15に示すような従来例において、注入グリースの導入
を良好な状態にするには、導入路10,10a,10bを大きくす
ることが望まれる。しかし、導入路が長くグリースの軸
受に対する注入と排出がスムーズに行われない場合は、
粘性抵抗による発熱(温度上昇大)が大きくなりグリース
の劣化を促進し、潤滑性能を著しく低下させる虞れがあ
る。 グリース補給による新旧グリースの交換率は30(wt
%)以下と低くなり、効率が悪いと言う欠点がある。 換
言すれば、高性能グリースを充填し補給することが求め
られると言う欠点がある。
【0008】一方、軸受の運転時間の経過と共にグリー
ス中の基油含油量が徐々に低下することを考慮すると、
分離基油が軸受内に有効に供給できる軸受蓋構造でなけ
ればならない。グリース中の基油は、主に増ちょう剤が
形成する3次元構造内の空隙部分に毛管現象で保持され
ているので、基油は重力によって分離(離漿)する。この
現象は、温度、基油の粘度、増ちょう剤の構造や剪断安
定性に関係する。
【0009】この点から考えると、図12に示す従来例
の軸受蓋構造では、充填したグリースが仕切り板13で完
全に仕切られている状態にあり、隣接充填室5bから次
の隣接充填室5bへの基油分離が困難であり、更に、隣
接充填室5bの底部近傍5d,5eに基油が溜る形状とな
っているので、基油分離を困難にしていると言える。ま
た、図15に示す従来例でも、隣接充填室5aが細長く
環状であり、且つ、環状下部5fに基油が溜るので、や
はり基油分離が困難である。
【0010】更に、図11に示す従来例において、隣接
充填室5bの外径7bが軸受2の外輪2bのツバ内径6bよ
りも大きくなっていて、段差8があるので、該段差8に
滞留する基油を軸受内に有効に導入できないという欠点
もある。いずれの場合も基油を有効に、且つ効果的に軸
受内に供給できない点があり、グリース補給間隔の延長
すなわち軸受の長寿命化に課題がある。
【0011】したがって、本発明の目的は、グリース補
給間隔を制御し軸受の長寿命化が図られる転がり軸受用
密封装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的は、潤滑される
転がり軸受の両側面に配置され、内部に潤滑油充填室を
形成する軸受蓋を備える転がり軸受用密封装置におい
て、前記潤滑油充填室は、複数個の隣接充填室に仕切る
仕切り板で区分され、該仕切り板は、前記各隣接充填室
間に滞留を回避しながら基油分離量を制御するための重
力方向にそって上下に連通する基油通路を形成している
ことにより達成される。
【0013】本発明によれば、油溜りを回避する基油通
路によって初期の基油分離量が制御されるのでグリース
補給間隔が延長し、軸受の長寿命化が図れる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照し説明する。 〔実施形態例1〕図1は、本発明による一実施例の転が
り軸受用密封装置を示す断面図である。本発明による転
がり軸受用密封装置を円筒ころ軸受に適用した場合を示
したものである。グリースを定期的に補給する円筒ころ
軸受の密封装置の全体構造の断面図を示している。 図
において回転軸1に円筒ころ軸受2(以下、 軸受2)の
内輪2aが嵌合されており、外輪2bはエドブラケット3
に嵌合固定されている。軸受2の両側面には外側の軸受
蓋4aと内側の軸受蓋4bが配置されている。(以下、図
1の右側を外側の軸受蓋4a、左側を内側の軸受蓋4bと
する。) そして、グリースは、軸受蓋4a及び軸受蓋4b
の内側に潤滑油充填室としてのグリース充填室があり、
該グリース充填室に充填される。
【0015】図1において、グリースを補給する場合、
軸受蓋4aの上部に設けられた給油孔9から補給された
グリースは、エンドブラケット3に形成された導入路10
を通り軸受蓋4bのグリース充填室(後述する隣接充填室
5a,5b)に流れて軸受2内部を通過し、そして劣化した
グリースや余分なグリースがオイルスロワー11や重力に
よって移動させられて、 軸受蓋4a側にある排出室12か
ら排出される構造となっている。
【0016】図2は、図1のA〜A’断面図である。
軸受蓋4b内部のグリース充填室と仕切り板13との関係
を示している。図3は、図2のE〜E’断面図である。
軸受蓋4bの内部に設けられた仕切り板13の部位を拡大
断面で示している。 図2に示すように、軸受蓋4bの内
部には、2箇所に仕切り板13が設けられ、軸受蓋4b内
部の潤滑油充填室としてのグリース充填室は、仕切り板
13によって2室の隣接充填室5bに分けられている。す
なわち、軸受蓋4b内部には、グリース充填室を複数個
の隣接充填室5bに仕切る仕切り板13が配置されてい
る。また仕切り板13は、軸受蓋4bの「重力方向に垂直な
る中心線」(以下、水平中心線)より下側の位置に設けら
れた構造である。
【0017】該仕切り板13を設けることによって、当該
仕切り板13と軸受蓋4bの内壁面との間に、 隣接充填室
5b同士を重力方向の上下に連通する基油通路としての
通路14a(間隙)を形成する。この通路14aは分離した基油
が重力によって少しづつ通過するように、すなわち、初
期の基油分離量を制御(抑制)するために、隣接充填室5
b同士の間に形成されている。本実施例では、仕切り板1
3の長手方向が、軸受蓋4bの軸心(即ち、軸受2の中心)
方向に延長している構成で、仕切り板13が配設されてい
る。
【0018】かつ、仕切り板13の位置が上記水平中心線
より下側にある場合は、通路14a(間隙)の位置はグリー
ス充填室(隣接充填室5b)の外径方向側(内壁面の外周
側)に形成される。これは、基油の油溜り(前述したよう
な従来技術の底部近傍5d,5eや環状下部5fに相当)
を、隣接充填室5bの内部に形成させないためである。
なお、本実施例では、通路14aは仕切り板13と軸受蓋4b
とによって形成されているが、仕切り板13自体が通路14
aを有する構造のものでも可である。
【0019】一方、グリース充填室の外径7b(軸受蓋4
bの内壁面の外周側)の部位のうち重力方向である下側に
位置する隣接充填室5bの外径7bの外径面に、平坦部7
cが設けてある。この平坦部7cの外径面は、重力方向の
最下端において、軸受2の外輪2bのツバ内径6bの内径
面と同一径となっている。すなわち、図1に示すよう
に、重力方向の最下端における隣接充填室5bの外径面
としての平坦部7cと、軸受外輪ツバとしてのツバ内径
6bの内径面との段差8は、ゼロ段差となっている。ゼ
ロ段差の構造とすることにより分離した基油が段差に溜
らないので、分離基油を軸受2内に効果的に導入できる
ものとなる。
【0020】また、ゼロ段差の代わりに逆段差でも可で
ある。すなわち、隣接充填室5bの平坦部7cまたは重力
方向の下側の外径7bの部位と外輪2bのツバ内径6bと
の段差8を、ゼロ段差または逆段差とする、換言すれ
ば、隣接充填室5bの外径7bの重力方向の最下端におい
て、分離基油が滞留しない構造とすることにより、基油
溜りを無くし、有効かつ効果的に軸受2内に分離基油を
導入するものである。具体的には、NU320型円筒こ
ろ軸受において、仕切り板13は、分離基油が通過する通
路14aの通路幅を5mmとした。仕切り板13の高さ寸法
は、特に限定しないが基油分離量の抑制から隣接充填室
5bの深さと同一寸法であることが望ましい。
【0021】ところで、図4は、本発明による他の実施
例の仕切り板によって形成される通路を示す断面図であ
る。仕切り板13によって形成される通路14cは、図に示
すように分離基油が通過する隣接充填室5bの図示の状
態における底部(軸受蓋4bの内壁面の側面側)に形成さ
れるものでも可である。また更に、図1に示すように、
水平中心線より上側にある隣接充填室5bと下側にある
隣接充填室5bとの各容積は、当該グリース充填室の配
置に応じて異なっている。本実施例の場合は、上側にあ
る隣接充填室5bの上部容積が下側の下部容積より大き
くなっている。これは下部容積が大きいと分離基油の流
失も大きくなるので、下部容積を小さくし初期の基油分
離量を抑制しているためである。しかしながら、グリー
スの用途(使用条件)や種類に応じて初期の基油分離量を
コントロールするために、配置された各グリース充填室
の容積を異なえることが望ましいと言える。
【0022】〔実施形態例2〕図5は、 本発明による
他の実施例の転がり軸受用密封装置を示す断面図であ
る。他の実施例の軸受蓋4b内部における隣接充填室5b
と仕切り板13との関係を示している。図6は、図5のG
〜G’断面図である。図示の実施例では、軸受蓋4b内
部の4箇所に仕切り板13が設けられ、隣接充填室5bを
4室に分け、 4室を連通し分離基油の通過を制御する
通路14a,14bが、4個所に形成されている。そして、仕
切り板13は、軸受蓋4bの軸心方向に延長している。
【0023】図5に示す通路14aは、図3に示した通路1
4aと同様に水平中心線より下側にある場合であり、隣接
充填室5bの外径方向側に形成されている。 これに対
し、通路14bは、水平中心線より上側にある場合であ
り、 図6のG〜G’断面に示すように隣接充填室5bの
内径方向側に形成されている。 すなわち、仕切り板13
は、水平中心線より上部と下部のそれぞれに2個所づつ
設けられ、 上部の通路14bは内径方向側(内壁面の内周
側)に、 下部の通路14aは外径方向側(内壁面の外周側)
に形成されている。これは、前述した理由と同じく、基
油の油溜りを隣接充填室5bに発生させないためであ
る。
【0024】また、本実施例のように仕切り板13を水平
中心線より上側と下側に分けて配設した場合は、上側の
通路14bと下側の通路14aとが仕切り板13の左右先端部に
交互に配設された構造となり、 重力の方向にそった分
離基油の流れが、 隣接充填室5bを対角線方向に横切っ
ている構成となる。この構成によって、 さらに隣接充
填室5bに分離基油が滞留しないようになる。 なお、本
実施例では、NU320型円筒ころ軸受において、仕切
り板13が形成する通路の、分離基油が通過する通路14
a,14bの両方の通路幅を5mmとした。
【0025】図7は、 本発明による別の実施例の転が
り軸受用密封装置を示す断面図である。NU320型円
筒ころ軸受において、仕切り板13が形成する下部の通路
14aの通路幅を3mmとし、上部の通路14bの通路幅を6mm
としたものである。図7の実施例では、上部にて隣接す
る充填室同士を連通する上部の通路14bに比べ、下部に
て隣接する充填室同士を連通する下部の通路14aの通路
断面積を大きくしている。これは、上・下部のグリース
充填室における上・下の基油分離量の流動バランスを取
り、初期分離油量を適切に制御するものである。すなわ
ち、グリースの用途(使用条件)や種類に応じて、初期の
基油分離量をコントロールし、分離基油の過不足による
潤滑不良を回避するものである。
【0026】〔実施形態例3〕図8は、本発明によるも
う1つ別の実施例の転がり軸受用密封装置を示す断面図
である。本実施例の場合は、図5に示した実施例と同様
に隣接充填室5bを4室設け、上部に設けた仕切り板13
にて形成される上部の隣接充填室5bの容積を大きく、
重力方向にある下部の隣接充填室5bの容積を小さく(例
えば、 上部の1/2の容積)とした構造である。分離基
油の流動量を適度に制御するように、 重力と隣接充填
室5bの容積との関係を考慮して、仕切り板13を配置し
た構造である。例えば、基油の粘度が比較的大きい場合
は、 重力の影響により比較的流動し易い上部の隣接充
填室5bの容積を大きくし上から下に押し出すようにす
るなどして、 グリースの用途(使用条件)や種類に応じ
て、 上・下部の隣接充填室の上・下の基油分離量の流
動バランスを取るものである。 なお、NU320型円
筒ころ軸受において、流路14aは幅寸法5mmとした。
【0027】〔実施形態例4〕図9は、本発明によるさ
らにもう1つ別の実施例の転がり軸受用密封装置を示す
断面図である。本実施例の場合は、仕切り板13を6個所
に設置し、隣接充填室5bを6室にした構造である。 そ
して、水平中心線より上部の2個所の通路幅は6mmと
し、水平中心線より下部の4個所の通路幅は3mmに絞っ
た構造である。
【0028】隣接充填室の個数が増えると、分離した基
油が隣接充填室を上部から下部へと順次かつ徐々に移動
する。例えれば、砂溜めが数珠つなぎとなっている砂時
計を流れ落ちる砂のように、基油が順次に徐々に流動す
る。そして、砂時計の砂が滞留しないのと同様に、分離
基油が淀み無く重力にしたがって流れるようにした実施
例である。
【0029】このような構造にすれば、グリースの用途
や種類に応じて初期分離油量を、さらに適切に制御する
ことができる。特に、低粘度の潤滑油に対して、初期分
離油量の抑制に効果があると言える。しかしながら、流
動抵抗が増えるので、抑制し過ぎて潤滑不良になる虞れ
もあり、この点に留意する必要がある。したがって、隣
接充填室5bの設定個数(上限)は、6室位が望ましい。
【0030】なお、仕切り板13を6個所に設置した場
合、そのうちの2個所が水平中心線近傍にくる虞れがあ
る。このような場合は、図示のように仕切り板13の延長
方向を油溜りが生じない方向に、即ち、重力の方向に傾
けることが望ましい。 換言すれば、図9の図示か
ら、本発明の特徴は、仕切り板13の延長する長手方向の
傾斜が右下がりの傾斜であれば、 当該仕切り板13の右
先端部位に通路14aまたは通路14bを配設し、 左下がり
の傾斜であれば、仕切り板13の左先端部位に通路14aま
たは通路14bを配設して、グリース充填室の油溜りを回
避する点にあるとも言える。すなわち、仕切り板13は、
当該仕切り板13の延長する長手方向の傾斜が右下がりの
傾斜または左下がりの傾斜を有し、 該傾斜先端部位に
通路14aまたは通路14bを形成していることになる。
【0031】またさらに、図示してないが、仕切り板13
の長手方向が傾斜せずに水平方向に延長するものであれ
ば、 当該仕切り板13の左右どちらかの先端部位に通路1
4aまたは通路14bが配設されることになる。 そして、水
平の場合には、隣接充填室に油が溜り難くするには、前
述と同じように重力にしたがって生じる分離基油の流線
が隣接充填室を対角線状に横切るように、各通路を交互
に配設することが望ましいと言える。
【0032】以上を纏めると次の通りである。グリース
は、基油と増ちょう剤と特性や性能向上のための添加剤
とが配合されたものである。基油は増ちょう剤によって
形成される3次元繊維構造中に毛管現象で保持されてい
る。基油の分離量の経時変化は、繊維構造、温度、基油
の粘度及び増ちょう剤の含有量等により影響される。グ
リース充填室に充填したグリース中の基油は、重力の方
向にグリース中を移動しながら分離する。これらを配慮
した本発明の思想は、分離した基油の上記移動過程に、
分離基油が通過する通路14a(間隙)を形成する仕切り板
を設置し、分離基油の通過量を適度に絞り制御して、グ
リース特有の性質である「基油の初期の過剰分離」を抑制
制御するにある。
【0033】そして、基油の初期分離量を制御するにあ
たり、グリースの用途や種類に応じて、隣接充填室の個
数、隣接充填室の容積、通路の断面面積、通過する分離
基油の流動方向と重力方向の関係(すなわち、油溜りの
生じない通路の配置など)を適切に設定することに配慮
するものである。さらに、グリース充填室(隣接充填室)
の外径面と軸受外輪ツバの内径面とを同一寸法とするゼ
ロ段差とし、または外輪ツバ内径寸法より小さくする逆
段差とし、基油を軸受内に効果的に導入することにも考
慮するものである。さらにまた、軸受箱と軸受蓋との嵌
合部をオーリング等でシールし、外部への基油の漏出を
防止することが望ましい。
【0034】上記発明思想を具現化した軸受蓋構造とす
ることによって、基油を長期間に亘って軸受内に供給
し、基油を効果的に活用できるので、潤滑寿命を大きく
向上できる。このようにして、グリースの補給間隔及び
軸受のメインテナンスを大幅に延長できる密封構造とし
たものが本発明である。
【0035】〔比較例〕比較例として図12に図示した
構造を持つアルミニウム製軸受蓋を用いた。次に、上記
実施形態例1〜4と比較例との基油分離量に関し評価試
験を実施した。これについて説明する。まず、グリース
に関する基油分離量の試験方法について説明する。
【0036】基油分離量の測定方法は、軸受蓋下部に基
油の流出口を設けた軸受蓋グリース室に所定量のグリー
スを充填し、この軸受蓋を組合せ、100℃の温度に保っ
た恒温槽中に静置した。所定時間毎に取り出し、軸受蓋
の重量変化から基油の分離率を次式から求めた。なお、
組合せ部には、厚さ2mmのニトリルゴムを装着し、組合
せ部から基油が外部に漏れるのを防止した。そして、次
式から基油の分離率を求めて、基油分離量(Wt%)として
把握した。 基油の分離率=(M/N)×100 ただし、M=加熱前の軸受蓋重量−加熱後の軸受蓋重量 N=グリース充填量 である。
【0037】次に、NU320型円筒ころ軸受及び63
20型深みぞ玉軸受の転がり軸受を対象とし、実施形態
例1〜4の形状の軸受蓋(グリース充填室は内径:120m
m、外径190mm、深さ20mm)を製作した。 グリース充填室
には、JIS K2220規格分類1種の転がり軸受用
グリース、ちょう度番号No2相当のリチウム石鹸−鉱油
系グリースのアルバニヤNo2グリース(昭和シェル石油
製)を充填し、軸受蓋を組合せ合わせ面をネジで固定し
た。なお、仕切り板13は、溶接で接合し基油は全て通路
(14aまたは14b)を通過するようにした。軸受蓋を組合せ
面には、外部に基油が漏れるのを防止するためにゴムで
シールした。 これを温度100℃の恒温槽中に静置し、所
定時間毎に取り出し重量変化から基油の分離量を測定し
た。基油分離量(Wt%)の経時変化を図10に示す。
【0038】図10は、本発明による軸受蓋構造と比較
例の軸受蓋構造の基油分離量の経時変化を示す図であ
る。図10の結果から明らかなように、本発明による軸
受蓋構造(ポケット構造)は、グリース特有の性質である
初期の過剰分離油量を抑制することが判る。また、図1
2の比較例の軸受蓋構造(ポケット構造)は、基油の分離
が飽和する時間が450時間である。 特開昭64−883
9号公報の公知技術の構造については、基油分離量を測
定していないが、比較例の軸受蓋と同様に初期分離油量
が多く、分離した基油がグリース充填室下部及び底部に
溜る構造となっているので、飽和する時間は、比較例よ
り更に短くなると予想される。
【0039】これに対して本発明の軸受蓋構造では、初
期分離油量を抑制すると共に飽和するまでの時間を大幅
に延長できることが明らかである。このため、グリース
の補給間隔、並びに軸受寿命を大幅に延長できるので、
転がり軸受のメインテナンスフリー化に大きく貢献でき
る。上記実施例は、グリースを定期的に補給する円筒こ
ろ軸受について説明したが、深みぞ玉軸受についても適
用できる。また、グリース補給を必要としない円筒ころ
軸受及び深みぞ玉軸受についても適用できる。
【0040】以上のように本発明による転がり軸受用密
封装置は、グリース特有の性質である初期の過剰な基油
分離を抑制ための通路を有する仕切り板を配置すること
によって、基油を有効に活用できるので、グリースの補
給間隔すなわち軸受寿命の大幅な延長を可能とする密封
構造である。更に、グリース充填室の外径と軸受外輪ツ
バの内径面の寸法が同一またはグリース充填室の外径を
軸受外輪ツバの内径面より小径としたことにより、より
一層の分離基油を有効に活用できるので、グリース補給
間隔すなわち軸受寿命を大幅な延長が可能となり、グリ
ース潤滑を採用した転がり軸受用密封装置の長期メンテ
ナンスフリー化に貢献できる。
【0041】
【発明の効果】本発明による軸受密封装置は、グリース
充填室を分離基油が通過する通路を有する仕切り板で区
分し、基油の通過量を抑制し初期の基油の過剰分離を阻
止することができるので、基油の早期枯渇による潤滑不
良を防止し長期間に亘って無駄なく有効に活用できる。
【0042】したがって、軸受内の潤滑状態を長期間良
好な状態で保持できるため、軸受の寿命を飛躍的に向上
させることができ、メンテナンスフリー化に貢献でき
る。
【0043】また、本発明による転がり軸受用密封装置
の効果を、リチウム石鹸−鉱油系グリースについて実施
したものであるが、基油分離特性は、グリース組成が異
なっても同様の傾向を示すので同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による一実施例の転がり軸受用密封装置
を示す断面図である。
【図2】図1のA〜A’断面図である。
【図3】図2のE〜E’断面図である。
【図4】本発明による他の実施例の仕切り板によって形
成される通路を示す断面図である。
【図5】本発明による他の実施例の転がり軸受用密封装
置を示す断面図である。
【図6】図5のG〜G’断面図である。
【図7】本発明による別の実施例の転がり軸受用密封装
置を示す断面図である。
【図8】本発明によるもう1つ別の実施例の 転がり軸
受用密封装置を示す断面図である。
【図9】本発明によるさらにもう1つ別の実施例の転が
り軸受用密封装置を示す断面図である。
【図10】本発明による軸受蓋構造と比較例の軸受蓋構
造の基油分離量の経時変化を示す図である。
【図11】従来例の転がり軸受用密封装置を示す断面図
である。
【図12】図11のB〜B’断面図である。
【図13】図12のC〜C’断面図である。
【図14】他の従来例の転がり軸受用密封装置を示す断
面図である。
【図15】図14のD〜D’断面図である。
【符号の説明】
1…回転軸、2…軸受、2a…内輪、2b…外輪、3…エ
ンドブラケット、4a,4b…軸受蓋、5a,5b…隣接充
填室、5d,5e…底部近傍、5f…環状下部、6a,6b
…ツバ内径、7a,7b…外径、7c…平坦部、8…段
差、9…給油孔、10,10a,10b…導入路、11…オイルス
ロワー、12…排油室、13…仕切り板、14a,14b,14c…
通路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梶原 憲三 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (56)参考文献 特開 平5−231434(JP,A) 特開 昭61−85030(JP,A) 特開 昭64−8839(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16C 33/76

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】潤滑される転がり軸受の両側面に配置さ
    れ、内部に潤滑油充填室を形成する軸受蓋を備える転が
    り軸受用密封装置において、 前記潤滑油充填室は、複数個の隣接充填室に仕切る仕切
    り板で区分され、 該仕切り板は、前記各隣接充填室間に滞留を回避しなが
    ら基油分離量を制御するための重力方向にそって上下に
    連通する基油通路を形成していることを特徴とする転が
    り軸受用密封装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記仕切り板は、当該
    仕切り板の延長する長手方向の傾斜が右下がりの傾斜ま
    たは左下がりの傾斜を有し、該傾斜先端部位に前記基油
    通路を形成していることを特徴とする転がり軸受用密封
    装置。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記隣接充填室は2〜
    6室に区分されていることを特徴とする転がり軸受用密
    封装置。
  4. 【請求項4】請求項1において、前記隣接充填室の各容
    積は、当該隣接充填室の配置に応じて異なることを特徴
    とする転がり軸受用密封装置。
  5. 【請求項5】請求項4において、前記隣接充填室の上部
    容積は、下部容積より大きいことを特徴とする転がり軸
    受用密封装置。
  6. 【請求項6】請求項1において、重力方向の最下端にお
    ける前記隣接充填室の外径面と、軸受外輪ツバの内径面
    との段差は、ゼロ段差または逆段差であることを特徴と
    する転がり軸受用密封装置。
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