JP2024042349A - 転がり軸受及び鉄道車両用車軸軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸受には基油のみが継続的に供給されるため、グリースの巻き込みよる温度上昇の改善とメンテナンス周期延伸が両立した転がり軸受および鉄道車両用車軸軸受を提供する。【解決手段】内輪と、外輪と、内外輪間に介在する転動体と、内外輪間に配設されて前記転動体を保持する保持器と、内外輪間の開口部を密封する密封装置とを備えた転がり軸受である。密封装置は、グリースが封入される空間であるグリースタンクが形成されるシールケースを有し、グリースタンクに封入されたグリースの基油が軸受へ供給される給油口が少なくとも1か所設けられ、グリースタンク内の容積を、軸受の全空間容積の5~50%とした。【選択図】図1
Description
本発明は、転がり軸受及び鉄道車両用車軸軸受に関する。
鉄道車両用軸受は、図4に示すように、外輪1と、一対の内輪2、2と、複列をなす転動体としての円すいころ3と、各列の円すいころ3を円周方向で所定の間隔に保持する保持器4と、外輪1の両端に取り付けられる密封装置Sとを主要な構成要素として備える。
外輪1は、図示しない軸箱に組み込まれ、一対の内輪2、2は車軸5の軸端部に嵌合される。一対の内輪2,2を挟んで、車軸5の一端側には油切り6が配設され、その反対側(他端側)には後蓋7が配設されている。
密封装置Sは、シールケース10とこのシールケース10に収納状となるオイルシールを含むシール部材11とで構成される。シールケース10は金属製で、この図例では、大径部10aと中径部10bと小径部10cの三段円筒形状をなす。このうち、大径部10aは外輪1の内周に例えば圧入を伴って嵌合固定され、これにより密封装置Sが外輪1に固定されるようになっている。
ところで、従来の転がり軸受には、グリースが充填されるグリースポケットを形成し、このグリースポケット内のグリースを均等に保持可能で、かつ、軸受内部へのグリースの流入量を適正な状態に維持するようにしているものがある(特許文献1)。
特許文献1の転がり軸受では、密封部材の内部がグリースポケットとして機能させ、軸受内部に適切な量のグリースを封入することを可能としている。また、密封部材内部を円周方向に区切る堰を複数個設けることにより、グリースポケット内のグリースを均等に保持することを可能としている。
また、従来には、メンテナンスフリーで長期間の運転が行える転がり軸受の潤滑構造も提案されている(特許文献2)。
前記特許文献2は、2列の内輪が内輪間座を介して並設された複列の転がり軸受に適用されるものである。この軸受において、内輪間座に、両側の内輪に係合する係合部を設け、両内輪の隣接する端部と内輪間座とにわたって内径面に潤滑剤溜め凹部を設ける。この潤滑剤溜め凹部から内外輪間の空間に開通する潤滑剤流出路を設ける。
この構成によると、潤滑剤溜め凹部内に封入された潤滑剤またはその成分が、軸受の回転に伴う遠心力等で潤滑剤流出路から流出し、外輪間の空間に入る。このとき、潤滑剤流出路の断面を適宜の大きさとしておくこと等により、潤滑剤またはその成分は僅かな量ずつ流出するため、潤滑剤の攪拌抵抗等で軸受温度が急上昇することもなく、良好な潤滑状態となる。このように、潤滑剤溜め凹部から潤滑剤またはその成分が連続して微量供給されるため、潤滑寿命が向上し、長期メンテナンスフリーで使用できる。なお、内外輪間には従来通り潤滑剤を封入しておく。また内輪間座は、係合部が両側の内輪に係合するため、内径面の全体が潤滑剤溜め凹部となっていて軸から離れていても、径方向の位置が保たれる。
ところで、特許文献1及び特許文献2に記載のものでは、軸受内のグリースの流入量を調整することでメンテナンス周期を延伸でき、グリースのまき込みによる一時的な温度上昇の改善に繋がることが考えられる。しかし、グリース自体を軸受内部に直接封入するため、回転に伴う流入や温度上昇を十分に抑制出来ない可能性が有る。
そこで、本発明は、軸受には基油のみが継続的に供給されるため、グリースの巻き込みによる温度上昇の改善とメンテナンス周期延伸が両立した転がり軸受および鉄道車両用車軸軸受を提供する。
本発明の転がり軸受は、内輪と、外輪と、内外輪間に介在する転動体と、内外輪間に配設されて前記転動体を保持する保持器と、内外輪間の開口部を密封する密封装置とを備えた転がり軸受であって、前記密封装置は、グリースが封入されるグリースタンクが形成されるシールケースを有し、グリースタンクに封入されたグリースの基油が前記軸受へ供給される給油口が少なくとも1か所設けられ、グリースタンク内の容積を、前記軸受の全空間容積の5~50%としたものである。
本発明の転がり軸受は、軸受空間へグリースの基油が給油口を介して供給される。グリースタンクにグリースを封入するため、グリースの攪拌抵抗により温度上昇やグリース巻き込みに伴う突発的な温度上昇を抑制することができる。
前記グリースタンク内の容積を、軸受の全空間容積の5~50%としたり、好ましくは、軸受の全空間容積の15~35%としたりできる。グリースタンクの容積が小さいと封入できるグリース量が少なく、長期的な使用において十分な潤滑性能を得ることができない。一方でグリースタンクの容積を大きくすると、軸受寸法に対して適切な機能(例えば、定格荷重やトルクなど)を有することができず、また軸受及び周辺部品の重量が大きくなるため、軽量化の妨げとなる。このため、グリースタンク内の容積を、軸受の全空間容積の5~50%程度とするのが好ましく、さらには、15~35%とするのがより好ましいものとなる。
前記軸受にグリースの基油を検知するセンサを備えたものが好ましい。このようなセンサを備えたものでは、軸受にグリースの基油が供給されているか検知することができる。このため、グリースの基油が軸受に供給されることで、機能する作用効果を有効に発揮できる転がり軸受を安定して提供できる。ところで、センサとしては、漏油検出器を用いることができる。また、漏油検出器には、測定電極とアース間のインピーダンスを利用するもの、光ファイバを利用するものがある。
前記内輪はその外周の軌道を有するとともに、その軌道の大径側に大鍔を有し、前記グリースタンクの給油口が、前記保持器内径面と内輪の大鍔外径面との間の空間に開口するものが好ましい。このように構成することによって、給油口から安定して軸受にグリースの基油を供給することができる。
本発明に係る鉄道車両用車軸軸受は、前記転がり軸受を備えたものである。このため、本発明に係る鉄道車両用車軸軸受は、軸受のグリースタンクにグリースを封入するため、グリースの攪拌抵抗により温度上昇やグリース巻き込みに伴う突発的な温度上昇を抑制することができる。
鉄道車両用車軸軸受として、内周に複列の軌道を有する外輪と、そのそれぞれの外周に軌道を有する一対の内輪と、前記内輪と前記外輪との間に介在する複列の円すいころと、各列の円すいころを円周方向で所定間隔に保持する保持器とを備えたものが好ましい。
本発明では、グリースのまき込みによる一時的な温度上昇の改善、メンテナンス周期の延伸、軸受内部のグリース除去に伴うメンテナンス工数を削減できる。
以下本発明の実施の形態を図1~図3に基づいて説明する。図1は本発明の鉄道車両車軸用軸受の要部拡大断面図を示している。鉄道車両車軸用軸受は、車軸20の小径端部20aに装着されるものであって、外輪21と、一対の内輪22、22と、複数の転動体23を主要な構成要素としている。外輪21は内周に二列の軌道21a、21aを形成した複列外輪である。各内輪22,22は外周に軌道22a、22aが形成してある。外輪21の軌道21aと内輪22の軌道22aとの間に二列の転動体23(本実施形態では円すいころ)を転動自在に介在させている。なお、転動体23は円すいころ23aにて構成され、各列の円すいころ23aは保持器24によって円周方向に所定の間隔に保持される。
外輪21は軸箱(図示省略)に固定され、その軸箱は軸ばねを介して台車枠等に固定される。一対の内輪22、22の一方の軸端側に油切り25が配設されるとともに、一対の内輪22,22の他方の軸端側に後蓋26が配設されている。一対の内輪22,22と油切り25と後蓋26とが車軸20の小径端部20aに外嵌固定されている。また、内輪22は、その軌道22aの大径側に大鍔22bを有し、その軌道22aの小径側に小鍔22cを有する。
油切り25は、肉厚短円筒体の本体部25aと、この本体部25aの軸方向外端部に設けられる外鍔部25bを有するリング体からなる。また、後蓋26は、短筒体の本体部26aを有し、この本体部26aの軸方向内端部に内鍔部26bが設けられている、
また、本転がり軸受の軸方向開口部には、その開口部を密封する密封装置S(Sa、Sb)が配設されている。なお、密封装置Sa、Sbは、同一構造であるので、まず、車軸20の小径端部20aの基端側の密封装置Saについて説明する。
密封装置Saは、図2に示すように、外輪21の内径側の軸方向端部に装着されるシールケース40と、このシールケース40内に配設される第1・第2仕切板41,42およびシール部材43とを備えたものである。
シールケース40は、大径部40aと中径部40bと小径部40cとを有する段付き円筒形状体からなり、大径部40aと中径部40bとの間に段付き部40dが設けられ、中径部40bと小径部40cとの間に段付き部40eが設けられる。そして、シールケース40の大径部40aが外輪21の端部に設けられた周方向切欠部21bに嵌入されている。
シール部材43は、芯金44と、この芯金44に付設されるシールリップ部45を備える。芯金44はシールケース40の中径部40bに内嵌される短円筒形状の第1部44aと、この第1部44aの軸受外方端から内径方向に延びる第2部44bとからなり、第2部44bは、外径部44b1と、内径部44b2と、外径部44b1と内径部44b2を連結する傾斜部44b3とからなり、内径部44b2が外径部44b1より軸受内部側に配置される。そして、外径部44b1がシールケース40の段付き部40eに当接乃至密接し内径部44b2にシールリップ部45が配置されている。
第1仕切板41は、シールケース40の大径部40aに嵌入される短円筒体からなる第1部41aと、第1部41aの開口側端部から内径側に伸びる平板リング体の第2部41bと、第2部41bの内径端から軸受内部側へ延びる第3部41cとからなる。この場合、第2部41bの外径側がシールケース40の段付き部40dに当接している。また、第3部41cは、第2部41bの内径端側から軸受内部側に向かって順次内径側に傾斜する傾斜壁となっている。この傾斜角度θとしては、例えば、0°~90°程度としている。
また、第2仕切板42は、シール部材43の芯金44の第1部44aに内嵌状に嵌合する短円筒体の第1部42aと、第1部42aの軸受内部側の端部から内径側に伸びる平板リング体の第2部42bと、第2部42bの内径端から軸受内部側へ延びる第3部42cとからなる。なお、第3部42cは軸受軸方向に沿って伸びている。
ところで、後蓋26には第2仕切板42を受ける受部材46が装着されている。この場合、後蓋26と、内輪との間に隙間47が設けられ、この隙間47に、受部材46の一部が嵌入している。すなわち、隙間47は、外径側の大隙間部47aと、内径側の小隙間部47bとがあり、受部材46は、筒状体からなる本体部46aと、後蓋26の内輪側端面の外径端部に係合する係合片46bと、係合片46bと反対側の本体部46aの端部に連設される断面倒立L字形の外側部材46cとからなる。そして、受部材46の本体部46aの係合片46b側にて、第2仕切板42の第3部42cの第2部42b側が受けられている。なお、隙間47には、スペーサ49が配設されている。
外側部材46cは、本体部46aから外径側に延びる第1部46c1と、この第1部46c1の外径端から軸受内部側へ延びる第2部46c2とからなる。
このように密封装置を構成することによって、シールケース40内に、第1仕切板41と、第2仕切板42とで、空間、つまりグリースが封入される空間であるグリースタンクTが形成される。そして、グリースタンクTから、軸受外方から軸受内部側に向かって伸びる給油路48が設けられ、保持器内径面と内輪の大鍔外径面との間の空間に開口する油供給口(給油口)48aが設けられる。すなわち、給油路48は、第1仕切板41の第3部41cと、この第3部41cの内径側に配設される第2仕切板42の第3部42cの軸受内部側とで構成される。すなわち、中空の短円筒体が形成され、この中空部が給油路48を形成する。この場合、グリースタンクTから、軸受外方から軸受内部側に向かって順次断面積が小さくなっており、いわゆる先細りとなっている。なお、この実施形態では、図2に示すように、第1仕切板41の第3部41cの先端を、第2仕切板42の第3部42cの先端よりも軸受内部側へ突出させているが、突出させないものであっても、逆に、第2仕切板42の第3部42cの先端を、第1仕切板41の第3部41cの先端よりも軸受内部側へ突出させてもよい。
このように構成された密封装置Sでは、グリースタンクTにグリースを充填することになる。ここで、グリースとは、潤滑油の粘度を調整して半個体状にした潤滑剤のことをいい、グリースの成分は、基本的には、基油(原料油)と増ちょう剤、添加剤の3つからなる。基油とは、オイルやグリースの基材となる油のことで、基油は、鉱油と合成油に大別される。合成油は、高温安定性や温度-粘度特性等が優れており、鉱油では対応できない条件では合成油が使用され、基油はグリースの潤滑性、耐熱性、酸化安定性、低温性、対ゴム性、対樹脂性に大きく影響する主成分である。増ちょう剤はグリースを半固体又は固体状に維持させるもので、主に金属(Li、Ca)石けんが主流であるが、非石けん系の有機化合物(ウレア)も多く使用され、構造維持の他にも耐熱性、耐水性、機械安定性に影響を与える。
ところで、グリースタンクTの容積が小さいと封入できるグリース量が少なく、長期的な使用において十分な潤滑性能を得ることができない。一方でグリースタンクTの容積を大きくすると、軸受寸法に対して適切な機能(例えば、定格荷重やトルクなど)を有することができず、また軸受及び周辺部品の重量が大きくなるため、軽量化の妨げとなる。
また、グリースタンクTに封入するグリースは、停止中及び運転中において適当に基油が分離する必要がある。すなわち、油分離が早すぎると油分がなくなり早期のグリース交換が必要となり、油分離が乏しいと潤滑不良の要因となるため、低粘度のグリースが望ましい。
このため、軸受のグリースの基油を検知するセンサ51を備えるのが好ましい。センサ51の設置部位とは、給油口48a近傍の軸受内部に設けるのが好ましい。このようなセンサ51を備えたものでは、軸受にグリースの基油が供給されているか検知することができる。このため、グリースの基油が軸受内部側に供給されることで、機能する作用効果を有効に発揮できる転がり軸受を安定して提供できる。ところで、センサ51としては、漏油検出器を用いることができる。また、漏油検出器は、例えば、測定電極とアース間のインピーダンスを測定し、油膜が生じた場合のインピーダンスの上昇を検知する構造のものを用いることができる。また、漏油検出器として、インピーダンスを利用しないものであって、光ファイバを利用するものを用いてもよい。
本発明の転がり軸受は、軸受空間へグリースの基油が給油口48aを介して供給される。グリースタンクにグリースを封入するため、グリースの攪拌抵抗により温度上昇やグリース巻き込みに伴う突発的な温度上昇を抑制することができる。すなわち、グリースのまき込みによる一時的な温度上昇の改善、メンテナンス周期の延伸、軸受内部のグリース除去に伴うメンテナンス工数を削減できる。
グリースタンクT内の容積を、表1でわかるように、軸受の全空間容積の5~50%とするのが好ましい。このように設定すれば、長期的な使用において十分な潤滑性能を得ることができ、かつ、軸受寸法に対して適切な機能(例えば、定格荷重やトルクなど)を有することができ、軸受及び周辺部品の重量が大きくなるのを有効に防止できて軽量化の妨げにならない。さらには、特に15~35%とするのがより好ましいものとなることがわかる。軸受の全空間容積をVは、密封装置Sa、Sb内の静止空間S1、S2の容積をA、A’とし、一対の内輪22、22間と、これに対向する外輪21内面との間の静止空間S5の容積をBとし、保持器ところが通過する空間から保持器及びころ自体の体積を省いた動空間S3、S4の容積をA1、A1’とし、グリースタンクT内の容積S6をCとしたときに、V=(A+A’+B+A1+A1’+C)である。
。
また、グリースタンクTの給油口48aが、前記保持器24内径面と内輪22の大鍔21b外径面との間の空間に開口するものが好ましい。このように構成することによって、給油口48aから安定して軸受にグリースの基油を供給することができる。
また、グリースタンクTの給油口48aが、前記保持器24内径面と内輪22の大鍔21b外径面との間の空間に開口するものが好ましい。このように構成することによって、給油口48aから安定して軸受にグリースの基油を供給することができる。
ところで、車軸20の小径端部20aの先端側の密封装置Sbも、基端側の密封装置Saと同様な構成であって、詳細な説明を省略する。この場合、第2仕切板42を受ける受部材46は、油切り25に装着されることになる。このため、この密封装置Sbに、密封装置Saと同様の作用効果を奏する。
ところで、給油路48としては、グリースタンクTから軸受内部側に向かって順次断面積が小さくなっており、いわゆる先細りとなっているので、グリースタンクTに保持したグリースの基油が軸受内部側に供給され易くなっている。
そこで、第2仕切板42の第3部42cの外周面(つまり、グリースタンクTの内径面)に図3に示すように、基油の流動性を高めるガイド構造Gを設けるのが好ましい。この場合、軸受外方から軸受内部側に向かって、幅を順次小としたガイド溝52を設けている。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、実施形態における鉄道車両車軸軸では、2個ある密封装置Sa,Sbにおいて、いずれも密封装置であっても、本発明の転がり軸受の構成を用いたが、いずれか一方のみ、用いるものであってもよい。また、グリースタンクTの給油口48aとして、保持器24内径面と内輪22の大鍔22b外径面との間の空間に開口させていたが、この場合、ころ端面側に配設するのが好ましい。ころ端面に近いほど効率(軸受への基油の供給効率)がよいと考えられるからである。
また、グリースタンクTの給油口48aとして、一つに限るものではなく、2か所以上に設けてもよい。この場合、各給油口48aから、軸受にグリースの基油が供給される位置であればよい。給油路48としては、グリースタンクTから軸受内部側に向かって順次断面積が小さくなっており、いわゆる先細りとなっているが、このように先細りに設定しないものであってもよい。
ところで、シールケース40内にグリースタンクTを形成する場合、前記実施形態では、第1・第2仕切板41,42を圧入することによって形成していたが、シールケース40と第1・第2仕切板41,42とを一体成形にて形成するものであってもよい。また、グリースタンクTとして、再度のグリース封入のため、シールケース40から取り外せるものであってもよい。
鉄道車両車軸用軸受に適用した実施例を例にとってこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、添付図面に示し、かつ、上に述べた実施の形態に限らず、特許請求の範囲に悖ることなく種々の改変を加えて実施をすることが可能である。
一例を挙げるならば、ここでは複列円すいころ軸受を用いた場合を例にとったが、複列円筒ころ軸受を用いた場合にも同様に適用することができる。その場合、円すいころを円筒ころと読み替え、大つばをつばと読み替えるなど、適宜の読み替えをすべきことは言うまでもない。また、用途に関しても鉄道車両用に限られない。
密封装置Sも、ここに図示し、かつ述べたものに限らず、とくにリップの形状や構造については任意の形状、構造を採用することができる。例えばJIS B 2042-1:2013に規定されたオイルシールのなかから選択して採用してもよい。
図1に示す構成の鉄道用車両車軸用軸受を形成し、軸受の全空間容積に対するグリースタンクの容積の割合の評価を行った。表1において、aは、軸受の全空間容積に対するグリースタンクの容積の割合を示し、軸受の全空間容積をAとし、グリースタンクの容積Bとしたときに、a(%)=B/Aとしている。この場合、a<5%、5%≦a≦50%、15%≦a≦35%、50%<aの場合について評価を行った。
表1において、×は十分な潤滑性能が得られないことを示し、△は十分な潤滑性能が得られるが、軸受寸法(軸受サイズ)に対して適切な機能が得られないことを示し、〇は十分な潤滑性能が得られるが、軸受寸法(軸受サイズ)に対して適切な機能が得られるか不明であり、◎は十分な潤滑性能が得られ、軸受サイズに対して適切な機能を有することを示している。ここで、十分な潤滑性能が得られるとは、長期にわたって使用しても、潤滑性能を有効に発揮できるということであり、軸受寸法に対して適切な機能とは、定格荷重やトルクが適正を値を示すことである。
表1から、グリースタンク内の容積を、軸受の全空間容積の5~50%とするのが好ましく、さらには、15~35%とするのがより好ましいことがわかる。
21 外輪
21a 軌道
22 内輪
22a 軌道
22b 大鍔
23 転動体
24 保持器
40 シールケース
48a 給油口
51 センサ
S、Sa、Sb 密封装置
T グリースタンク
21a 軌道
22 内輪
22a 軌道
22b 大鍔
23 転動体
24 保持器
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51 センサ
S、Sa、Sb 密封装置
T グリースタンク
Claims (6)
- 内輪と、外輪と、内外輪間に介在する転動体と、内外輪間に配設されて前記転動体を保持する保持器と、内外輪間の開口部を密封する密封装置とを備えた転がり軸受であって、
前記密封装置は、グリースが封入されるグリースタンクが形成されるシールケースを有し、グリースタンクに封入されたグリースの基油が前記軸受へ供給される給油口が少なくとも1か所設けられ、前記グリースタンク内の容積を、前記軸受の全空間容積の5~50%としたことを特徴とする転がり軸受。 - 前記グリースタンク内の容積を、前記軸受の全空間容積の15~35%としたことを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。
- 前記軸受にグリースの基油を検知するセンサを備えたことを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。
- 前記内輪はその外周の軌道を有するとともに、その軌道の大径側に大鍔を有し、前記グリースタンクの給油口が、前記保持器内径面と内輪の大鍔外径面との間の空間に開口することを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。
- 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の転がり軸受を用いたことを特徴とする鉄道車両車軸軸受。
- 内周に複列の軌道を有する外輪と、そのそれぞれの外周に軌道を有する一対の内輪と、前記内輪と前記外輪との間に介在する複列の円すいころと、各列の円すいころを円周方向で所定間隔に保持する保持器とを備えたことを特徴とする請求項5に記載の鉄道車両車軸軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022147010A JP2024042349A (ja) | 2022-09-15 | 2022-09-15 | 転がり軸受及び鉄道車両用車軸軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022147010A JP2024042349A (ja) | 2022-09-15 | 2022-09-15 | 転がり軸受及び鉄道車両用車軸軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2024042349A true JP2024042349A (ja) | 2024-03-28 |
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ID=90417739
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2022147010A Pending JP2024042349A (ja) | 2022-09-15 | 2022-09-15 | 転がり軸受及び鉄道車両用車軸軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2024042349A (ja) |
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2022
- 2022-09-15 JP JP2022147010A patent/JP2024042349A/ja active Pending
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