JP2941083B2 - 転がり軸受用保持器 - Google Patents

転がり軸受用保持器

Info

Publication number
JP2941083B2
JP2941083B2 JP9681291A JP9681291A JP2941083B2 JP 2941083 B2 JP2941083 B2 JP 2941083B2 JP 9681291 A JP9681291 A JP 9681291A JP 9681291 A JP9681291 A JP 9681291A JP 2941083 B2 JP2941083 B2 JP 2941083B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component unit
acid component
cage
dicarboxylic acid
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP9681291A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04327024A (ja
Inventor
文利 池尻
昇 梅本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ENUTEIENU KK
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
ENUTEIENU KK
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ENUTEIENU KK, Mitsui Chemicals Inc filed Critical ENUTEIENU KK
Priority to JP9681291A priority Critical patent/JP2941083B2/ja
Publication of JPH04327024A publication Critical patent/JPH04327024A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2941083B2 publication Critical patent/JP2941083B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/30Parts of ball or roller bearings
    • F16C33/38Ball cages
    • F16C33/41Ball cages comb-shaped
    • F16C33/412Massive or moulded comb cages, e.g. snap ball cages
    • F16C33/414Massive or moulded comb cages, e.g. snap ball cages formed as one-piece cages, i.e. monoblock comb cages
    • F16C33/416Massive or moulded comb cages, e.g. snap ball cages formed as one-piece cages, i.e. monoblock comb cages made from plastic, e.g. injection moulded comb cages
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/30Parts of ball or roller bearings
    • F16C33/38Ball cages
    • F16C33/44Selection of substances

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は高温下で使用できるプ
ラスチックス製の転がり軸受用保持器に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に転がり軸受は、転動体の種類によ
り玉軸受ところ軸受に大別され、さらに細かく分類され
ている。すなわち、代表的なものとして、玉軸受は一般
タイプ、冠型、アンギュラ軸受用スラスト玉軸受等があ
り、それぞれに対応する玉軸受用保持器がある。一方、
ころ軸受には、円錐ころ軸受、球面ころ軸受、円筒ころ
軸受、スラストころ軸受、スラスト球面軸受等があり、
それぞれに対応するころ軸受用保持器がある。
【0003】通常、プラスチックス製の転がり軸受用保
持器(以下、保持器という)は、成形性、柔軟性などの
機械的諸特性および原材料費等の生産性に優れたポリア
ミド系樹脂を素材とする、いわゆるナイロン製の保持器
が広く用いられている。たとえば、冠型保持器は図1に
その要部を示すように、上部に爪部2を有して出入口が
狭小のポケット部3に鋼球などの転動体4を組み込んで
回転自在に保持するものである。
【0004】しかし、従来のナイロン製の保持器1は、
120℃以上の連続使用温度条件下、または、極圧添加
剤その他が添加された油類もしくはその他の酸性の薬剤
と接触する条件下では、ナイロンが劣化し、その特性を
失うため良好な状態で使用することができなかった。
【0005】このようなナイロンに代わる素材であっ
て、高温条件下で使用され、比較的廉価な材料に、ポリ
フェニレンサルファイド樹脂(以下、PPS樹脂と略称
する)があり、耐熱性とともに耐薬品性、成形性などに
も優れている。このPPS樹脂には架橋性PPS樹脂
(分岐状PPS樹脂とも呼ばれる)と直鎖状PPS樹脂
との2種類があって、前者の架橋性PPS樹脂は、たと
えば重合上りの溶融粘度が約20〜100ポアズぐらい
の低粘度低分子量のPPS樹脂を空気中において融点以
下に加熱し、酸化架橋させて溶融粘度を高めたり、また
は意図的に架橋剤もしくは分岐剤を添加して架橋もしく
は分岐構造を導入し、溶融粘度を高めたりしている。
【0006】しかし、このようにして得られた架橋性P
PS樹脂は、溶融粘度が高められ、すなわち、耐熱性は
向上しているが、かなり脆くなって柔軟性に欠けるた
め、転動体4をポケット部3へ組み込む際に柔軟性を必
要とする保持器の素材としては不適当であった。
【0007】一方、直鎖状PPS樹脂は重合段階で直鎖
状に分子鎖を高分子量にまで成長させたPPS樹脂であ
り、前記の架橋性PPS樹脂に比べると、非常に柔軟で
靱性が大きいという特徴がある。この直鎖状PPS樹脂
を転がり軸受用保持器として使用する提案が特開昭64
−79419号に開示されている。しかし、この直鎖状
PPS樹脂からなる軸受用保持器は、確かに組み立て時
の組み込み性には優れているが、熱安定性や高温(15
0℃以上)での耐クリープ特性などの機械的特性などが
劣っており、軸受用の保持器として使用した場合には、
保持器が遠心力によって変形し、外輪と接触して異常な
摩擦熱が発生する結果、潤滑剤を劣化させ、軸受の性能
を低下させるものであった。
【0008】その他、150℃を越えるような高温条件
下で使用されるプラスチックス製の転がり軸受用保持器
材の例としては、ポリエーテルスルフォン(以下PES
と略記) 、ポリエーテルイミド (以下PEIと略記) 、
ポリアミドイミド (以下PAIと略記) またはポリエー
テルエーテルケトン (以下PEEKと略記) などの、い
わゆる超エンジニアリング・プラスチックスが挙げられ
る。
【0009】しかし、これら材料は非常に高価であり、
また、耐熱性または耐薬品性は優れているものの、保持
器として要求される物理的特性、たとえば、成形時また
は組み立て時に必要な適度の柔軟性、耐疲労性等の点で
なお問題があるため、未だ汎用されるには至っていな
い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
ポリアミド樹脂は耐熱性に劣り、120℃以上の温度条
件下における連続使用では、転がり軸受用保持器として
使用することはできず、また、その他のエンジニアリン
グ・プラスチックスでは、耐熱性は充分であるが、柔軟
性、成形性、耐油性などは劣るという問題点があり、転
がり軸受用保持器材として成形性、耐薬品性と共に柔軟
性を有して軸受に組み込み易く、しかも耐熱変形率を低
いものとして軸受を損傷したり、潤滑剤を劣化すること
のないものとすることが課題であった。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この発明は、テレフタル酸成分単位60〜100
モル%の範囲およびテレフタル酸成分単位以外の芳香族
ジカルボン酸成分単位0〜40モル%の範囲からなる芳
香族系ジカルボン酸成分単位(a)および炭素数6〜1
8の直鎖脂肪族アルキレンジアミン成分単位(b)から
なり、かつ濃硫酸中30℃で測定した極限粘度〔η〕が
0.5〜3.0dl/gの範囲にある芳香族ポリアミド(A)
と、α,β−不飽和カルボン酸、その無水物またはその
誘導体でグラフト変性され、かつ実質的に未変性のポリ
オレフィンを含まない極限粘度〔η〕0.5〜35dl/gの
変性ポリオレフィン(B)と、繊維径3〜7μmのガラ
ス繊維(C)とからなる組成物を転がり軸受用保持器の
素材とする手段を採用したのである。
【0012】以下この発明の詳細を述べる。
【0013】まず、この発明の転がり軸受用保持器に使
用される芳香族ポリアミドはテレフタル酸成分単位60
〜100モル%の範囲およびテレフタル酸成分単位以外
の芳香族ジカルボン酸成分単位0〜40モル%の範囲か
らなる芳香族系ジカルボン酸成分単位(a)および炭素
数6〜18の直鎖脂肪族アルキレンジアミン成分単位
(b)からなるポリアミドであり、この芳香族ポリアミ
ドの濃硫酸中で30℃で測定した局限粘度〔η〕は0.5
〜3.0dl/gの範囲にあることが必要であり、好ましくは
0.6〜2.5dl/gの範囲である。
【0014】この芳香族ポリアミドを構成する芳香族系
ジカルボン酸成分単位(a)として具体的には、テレフ
タル酸、イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタ
ル酸、ナフタリンジカルボン酸などの各成分単位を例示
することができる。芳香族系ジカルボン酸成分単位
(a)の組成は、テレフタル酸成分単位単独であっても
よいが、テレフタル酸成分単位とテレフタル酸成分単位
以外の前記例示の芳香族ジカルボン酸成分単位の混合物
であってもよい。いずれの場合にもこの芳香族ポリアミ
ドを構成する芳香族系ジカルボン酸成分単位(a)の組
成は、テレフタル酸成分単位60〜100モル%の範囲
およびテレフタル酸成分単位以外の芳香族ジカルボン酸
成分単位0〜40モル%の範囲からなることが必要であ
る。さらに芳香族系ジカルボン酸成分単位(a)の組成
は、ポリアミドを構成する直鎖脂肪族アルキレンジアミ
ン成分単位(b)が炭素数6の直鎖脂肪族アルキレンジ
アミンの場合、テレフタル酸成分単位が60〜85モル
%の範囲およびテレフタル酸成分単位以外の芳香族ジカ
ルボン酸成分単位が15〜40モル%の範囲にあると、
転がり軸受用保持器とした場合の熱変形温度などの耐熱
特性、曲げ強度、耐摩耗性などの機械的特性、高温度下
での耐潤滑油性などの耐薬品性、成形性が向上するよう
になるので特に好ましい。また、ポリアミドを構成する
直鎖脂肪族アルキレンジアミン成分単位(b)が炭素数
8の直鎖脂肪族アルキレンジアミンの場合は、テレフタ
ル酸成分単位65〜100モル%の範囲およびテレフタ
ル酸成分単位以外の芳香族ジカルボン酸成分単位0〜3
5モル%の範囲にあると、同じく熱変形温度などの耐熱
特性、曲げ強度、耐摩耗性などの機械的特性、高温度下
での耐潤滑油性などの耐薬品性、成形性が向上するよう
になるので特に好ましい。また、ポリアミドを構成する
直鎖脂肪族アルキレンジアミン成分単位(b)が炭素数
10〜18の直鎖脂肪族アルキレンジアミンの場合は、
テレフタル酸成分単位75〜100モル%の範囲および
テレフタル酸成分単位以外の芳香族ジカルボン酸成分単
位0〜25モル%の範囲にあると、熱変形温度などの耐
熱特性、曲げ強度、耐摩耗性などの機械的特性、高温度
下での耐潤滑油性などの耐薬品性、成形性が向上するよ
うになるので特に好ましい。芳香族系ジカルボン酸成分
単位(a)の組成が、テレフタル酸成分単位が60モル
%未満で、かつテレフタル酸成分単位以外の芳香族ジカ
ルボン酸成分単位が40モル%より大きくなると、熱変
形温度などの耐熱特性、引張り強度、耐摩耗性などの機
械的特性、高温度下での耐潤滑油性などの耐薬品性、耐
水性などの化学的物理的特性が低下するようになる。こ
の芳香族ポリアミドを構成する芳香族系ジカルボン酸成
分単位(a)のテレフタル酸成分単位以外の芳香族ジカ
ルボン酸成分単位のうちでは、イソフタル酸成分単位ま
たはナフタリンジカルボン酸成分単位であることが好ま
しく、中でもイソフタル酸成分単位であることが好まし
い。また、この芳香族ポリアミドを構成する前記芳香族
系ジカルボン酸成分単位(a)は、テレフタル酸成分単
位およびテレフタル酸成分単位以外の前記芳香族ジカル
ボン酸成分単位を主成分とするものであるが、前記必須
成分の他に少量のトリメリット酸、ピロメリット酸など
の三塩基性以上の多価カルボン酸成分単位を含んでいて
も差し支えない。
【0015】この発明に用いられる芳香族ポリアミドを
構成する直鎖脂肪族アルキレンジアミン成分単位(b)
は、炭素数が6〜18の直鎖脂肪族アルキレンジアミン
であり、具体的には、1,6−ジアミノヘキサン、1,
7−ジアミノヘプタン、1,9−ジアミノノナン、1,
10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカ
ン、1,12−ジアミノドデカンなどの各成分単位を例
示することができる。これらの直鎖脂肪族アルキレンジ
アミン成分単位(b)のうちでは、特に1,6−ジアミ
ノヘキサン成分単位であることが好ましい。
【0016】ここで、この発明で使用される前記芳香族
ポリアミドは、従来公知の種々の方法によって製造する
ことができる。たとえば、Paul W.Morgan 著:Polymer
Reviews 10,「Condensation Polymers By Interfacial a
nd Solution Methods 」 Intersci- ence publishers(19
65) 発行およびVon H.Hopff and A.Krieger 著:Makrom
ol.Chem.,47 93 〜113 (1961)に記載されているよう
に、この芳香族ポリアミドの構成成分単位の前記芳香族
系ジカルボン酸成分単位(a)に相当する芳香族ジカル
ボン酸のジ酸ハライドと前記直鎖脂肪族アルキレンジア
ミン成分単位(b)に相当する直鎖脂肪族アルキレンジ
アミンを溶液法によって重縮合させることにより製造す
ることもできるし、界面法によって重縮合させることに
より製造することもできる。またこの芳香族ポリアミド
の構成成分単位の前記芳香族ジカルボン酸成分単位
(a)に相当する芳香族ジカルボン酸と前記直鎖脂肪族
アルキレンジアミン成分単位(b)に相当する直鎖脂肪
族アルキレンジアミンとのナイロン塩を加熱し、オリゴ
マーを製造した後、溶融重合または固相重合させて製造
することもできる。この発明で使用する芳香族ポリアミ
ドは、いずれの方法によって製造されたものであっても
よい。
【0017】この発明で用いられる変性ポリオレフィン
(B)は、α,β−不飽和カルボン酸、その無水物、ま
たはその誘導体でグラフト変性され、かつ実質的に未変
性のポリオレフィンを含まない極限粘度〔η〕0.5〜3
5dl/gの高分子量変性ポリオレフィンである。
【0018】この発明で用いられるグラフト変性前のポ
リオレフィンは、たとえば炭素数が2〜20のα−オレ
フィンであって、エチレン、プロピレン、ブテン−1、
ペンテン−1、4メチルペンテン−1、ヘキサドデセン
−1を例示できるが、特に炭素数が2〜8のものを単独
で用いるか、または複数種組み合わせて用いることが好
ましい。また、2個以上の二重結合を有するポリオレフ
ィンとして鎖状ポリエチレン化合物、環状ポリエチレン
化合物を用いることもできる。
【0019】この発明でグラフトモノマーとして使用さ
れるα,β−不飽和カルボン酸等としては、たとえば、
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テ
トラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロ
トン酸、エンドシス−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−
5−エン−2,3−ジカルボン酸(登録商標:ナルジッ
ク酸)またはこれらの酸無水物あるいはこれらの誘導
体、たとえば酸ハライド、アミド、イミド、エステルな
どが挙げられ、具体的には、塩化マレニル、マレニルイ
ミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸
モノメチル、マレイン酸ジメチルなどが挙げられる。こ
れらの内では、不飽和ジカルボン酸、ナルジック酸また
はこれらの酸無水物が好適である。
【0020】この発明で用いられる変性ポリオレフィン
(B)のグラフトモノマーのグラフト割合は、このポリ
オレフィン1gに対して、0.001〜0.04mg当量、
好ましくは0.005〜0.03mg当量の範囲である。
【0021】また、この発明においては、グラフトモノ
マーとして、上記のようなα,β−不飽和カルボン酸等
の代わりに、ポリオレフィンのエポキシ変性で用いられ
る変性剤、たとえばグリシジルメタクリレート(GM
A)、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエ
ーテル、グリシジルイタコネートなどのグリシジル化合
物を用いることも可能である。
【0022】つぎに、この発明におけるガラス繊維とし
ては、SiO2、B2O3、Al2O3 、CaO 、Na2O、K2O などを成
分とする無機ガラスから得られ、一般に無アルカリガラ
ス(Eガラスと略記)、含アルカリガラス(Cガラス、
Aガラスと略記)などがあるが、この発明においてはE
ガラスが望ましい。また、このガラス繊維は繊維径が3
〜7μmのものであり、その繊維長は、0.05〜6mmの
ものが好ましい。なぜならば、繊維径が7μmよりも太
いガラス繊維を用いると、成形して得られる転がり軸受
用プラスチック保持器材は柔軟性に欠け、組み立て時の
組み込み性が悪くなるからであり、また、3μmよりも
細いガラス繊維を用いると、組成物の機械的特性が劣
り、転がり軸受用保持器として使用した場合、高温で変
形してしまって好ましくないからである。さらに、繊維
長が6mmより長いガラス繊維を用いると、組成物の柔軟
性および成形性が著しく劣り、または0.05mmより短い
ガラス繊維を用いると、組成物の機械的特性が劣り、い
ずれの場合も転がり軸受用保持器としては好ましくな
い。
【0023】そして、繊維径が3〜7μmのガラス繊維
の添加量は、ガラス繊維を含有した芳香族ポリアミド組
成物の全体を100%として、1〜80重量%、好まし
くは5〜50重量%である。なお、芳香族ポリアミドと
の親和性をもたせるために、繊維状強化材はアミノシラ
ン、エポキシシラン、メルカプトシラン等のシランカッ
プリング剤またはクロム系カップリング剤を含むサイジ
ング剤さらには集束を目的とした集束剤などによって処
理されたものであっても良い。
【0024】また、この発明の効果を損なわない限り各
種の充填材を添加することもできる。このような充填材
として、芳香族ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテル
イミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアミド
イミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、フェノ
ール系樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリイミド樹
脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の有機質耐熱性高分
子材料を始めとし、グラファイトまたは亜鉛、アルミニ
ウム、マグネシウムなどの金属もしくは酸化物などの熱
伝導改良用無機粉末、ガラスビーズ、シリカバルーン、
珪藻土、石綿、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸
化カルシウム、フッ化カルシウム、水酸化カルシウム等
の無機質粉末、二硫化モリブデン、グラファイト、カー
ボン、マイカ、タルク、三酸化モリブデン等の潤滑性向
上用無機質粉末、および酸化鉄、硫化カドミウム、セレ
ン化カドミウム、カーボンブラック等の無機質顔料、シ
リコーンオイル、エステルオイル、フッ素オイル、ポリ
フェニレンエーテルオイル、ワックス、ステアリン酸亜
鉛などの内部滑剤的添加剤、さらには酸化防止剤など数
多くのものを例示することができる。
【0025】この発明における組成物の芳香族ポリアミ
ド(A)、変性ポリオレフィン(B)およびガラス繊維
(C)の配合割合は、それぞれ(A):40〜90重量
%、(B):5〜20重量%、(C):5〜40重量%
である。なぜなら変性ポリオレフィン(B)が5重量%
未満の少量では、柔軟性に欠け保持器への転動体の組み
込み時に割れが発生し易く、20重量%を越える多量で
は耐クリープ特性に欠け、高温時に変形してしまう。ま
た、ガラス繊維(C)が5重量%未満の少量では機械的
強度が著しく劣ることとなり、40重量%を越える多量
では、耐クリープ特性に劣ることとなって好ましくない
からである。
【0026】この発明に係る転がり軸受用保持器の成形
用材料としてのポリアミド樹脂組成物は、前記ポリアミ
ド樹脂組成物の各構成成分を溶融状態に維持しながら充
填剤を配合するなどの方法により調製することができ
る。この際、押出機、ニーダーなどを用いることができ
る。
【0027】上記のようなポリアミド樹脂組成物は、通
常の溶融成形法、たとえば圧縮成形法、射出成形法また
は押出し成形法などによって成形することができる。
【0028】
【実施例】この発明の実施例および比較例に使用した原
材料を一括して示す。
【0029】芳香族ポリアミド(つぎの方法によって
得た。)すなわち、1,6−ジアミノヘキサン254g
(2.19モル) 、テレフタル酸247g(1.49モル)
、イソフタル酸106g(0.64モル) と触媒として
次亜リン酸ナトリウム0.45g(4.25×10-3モル)
とイオン交換水148mlを内容積1リットルの反応器
に仕込み、窒素置換後250℃、35kg/cm2 で1時間
反応を行なった。反応終了後反応器より約10kg/cm2
低く設定した圧力の受器へ抜き出し、極限粘度〔η〕が
0.10dl/g(濃硫酸、30℃) のポリアミド545gを
得た。
【0030】ついで、このポリアミドを乾燥した後、二
軸押出機を用いてシリンダー設定温度330℃で溶融重
合して極限粘度〔η〕が1.1dl/g(濃硫酸、30℃) の
芳香族ポリアミドを得た。この芳香族ポリアミド中のテ
レフタル酸成分単位のモル%は71%であり、融点は3
20℃であった。
【0031】変性ポリエチレン(つぎの方法によって
得た)すなわち、極限粘度〔η〕が3.74dl/gである高
密度ポリエチレン(三井石油化学工業社製:ハイゼック
ス8000F)のペレット5kgに、アセトン25gに溶
融させた無水マレイン酸50g、有機過酸化物(日本油
脂社製:パーヘキシン25B)2gを加えて充分混合し
た後、二軸押出機(池貝鉄工社製:PCM45)により
シリンダー温度250℃で溶融下反応を行ない、ペレタ
イザーにてペレット化した。
【0032】得られた樹脂の無水マレイン酸含量は、
0.96重量%であった。
【0033】ポリアミド〔6,6ナイロン〕樹脂(B
ASF社製:ウルトラミッドA3HG5、ガラス繊維G
F25%入り) 、ポリアミド〔4,6ナイロン〕樹脂
(ユニチカ社製:4,6ナイロン、ガラス繊維GF30
%入り) 、PPS樹脂 (呉羽化学工業社製:KPS−
#214) 、PPS樹脂 (フイリップス・ペトローリ
アム・インターナショナル社製:P−4)、ガラス繊
維 (旭ファイバーグラス社製:CS03DE−FT2
A、繊維径6μm、繊維長3mm)、ガラス繊維 (旭フ
ァイバーグラス社製:CS03DE−FT562、繊維
径6μm、繊維長3mm)、四フッ化エチレン樹脂(喜
多村社製:KTL610)
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】および以外の原材料を表1または表2
に示すような割合でヘンシェルミキサーを用いて乾式混
合し、さらに同表に示す溶融混合条件および射出成形条
件のもとに図1のような軸受6203の保持器1を射出
成形し、つぎに示す諸試験を行なった。
【0037】(1)組み立て時の組み込み性試験 図2に示すようにミニプレスにて実際に軸受本体5に組
み込んで保持器1の爪部2の部分の転動体4(鋼球)に
よる損傷度合と鋼球の組み込み性を調べ、つぎの判定基
準に従って判定し、表1または表2に示した。
【0038】保持器の爪の部分の損傷度合: ○……全く損傷しない △……少し損傷する ×……かなり損傷する 鋼球の組み込み性: ○……組み込み時に無理なく組み込める △……組み込み時に少し抵抗がある ×……組み込み時にかなり抵抗がある (2)保持器の爪部の耐久試験 図3に示すように、保持器1のポケット部3に球部6の
径が直径7.16mmである鋼球を備えた棒7を試験機8に
よって50回/分の速さで出し入れさせて、保持器1の
爪部2が破損するまでの出し入れ回数を測定し、その値
を表1または表2に示した。この出し入れ回数が多い
程、保持器1の爪部2の疲労強度は大きく、製造工程に
おいて保持器1の転動体4を組み込む際の安全率は高い
といえる。
【0039】(3)保持器の変形率測定試験 潤滑剤(協同油脂社製:ウレア系グリース、ET−13
0)を0.8g封入し、フッ素系ゴムにてシールをした軸
受6203を運転試験機にて、回転数15000rp
m、スラスト荷重6.8kgf、温度180℃の条件で2
00時間運転し、保持器外径の寸法変形率を測定し表1
または表2に示した。この寸法変形率が小さい程、保持
器は変形していないことを示す。
【0040】(4)潤滑剤の劣化度合判定試験 試験(3)と全く同様の条件で200時間継続運転後の
潤滑剤(協同油脂社製:ウレア系グリース、ET−13
0)の劣化度合を判定し、表1または表2に併記した。
【0041】 ○……変色有り、劣化なし △……変色有り、少し劣化あり ×……変色有り、かなり劣化している 表1または表2の試験結果から明らかなように、実施例
1〜3の転がり軸受用保持器は、比較例1〜4の従来の
6,6ナイロン、4,6ナイロンもしくはPPS樹脂か
らなる保持器と比べると、組み立て時の組み込み性や保
持器の爪部の耐久性に優れ、しかも高温で運転される軸
受内にあって変形率は低く、潤滑剤を劣化させることが
ない。
【0042】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、この
発明の保持器は、柔軟性を有して軸受への組み込み性が
良好で、高温で使用した場合でも変形率が低いので軸受
が損傷せず、しかも芳香族ポリアミド本来の耐熱性、機
械的特性をも兼ね備えたものであって、その利用分野は
きわめて広く、自動車関連業界、一般機器関連業界、電
気・電子機器関連業界その他多くの分野で用いられる転
がり軸受用保持器として最適のものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】転がり軸受用保持器の要部を示す斜視図
【図2】鋼球の組み込み性を調べるための転がり軸受用
保持器と軸受との関係を示す断面図
【図3】転がり軸受用保持器の爪部の耐久試験を説明す
る試験機の平面図
【符号の説明】
1 保持器 2 爪部 3 ポケット部 4 転動体 5 軸受本体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16C 33/44 F16C 33/56

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テレフタル酸成分単位60〜100モル
    %の範囲およびテレフタル酸成分単位以外の芳香族ジカ
    ルボン酸成分単位0〜40モル%の範囲からなる芳香族
    系ジカルボン酸成分単位(a)および炭素数6〜18の
    直鎖脂肪族アルキレンジアミン成分単位(b)からな
    り、かつ濃硫酸中30℃で測定した極限粘度〔η〕が
    0.5〜3.0dl/gの範囲にある芳香族ポリアミド(A)
    と、α,β−不飽和カルボン酸、その無水物またはその
    誘導体でグラフト変性され、かつ実質的に未変性のポリ
    オレフィンを含まない極限粘度〔η〕0.5〜35dl/gの
    変性ポリオレフィン(B)と、繊維径3〜7μmのガラ
    ス繊維(C)とからなる組成物を素材とした転がり軸受
    用保持器。
  2. 【請求項2】 芳香族ポリアミド(A)40〜90重量
    %、変性ポリオレフィン(B)5〜20重量%およびガ
    ラス繊維(C)5〜40重量%からなる組成物を素材と
    した請求項1記載の転がり軸受用保持器。
JP9681291A 1991-04-26 1991-04-26 転がり軸受用保持器 Expired - Lifetime JP2941083B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9681291A JP2941083B2 (ja) 1991-04-26 1991-04-26 転がり軸受用保持器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9681291A JP2941083B2 (ja) 1991-04-26 1991-04-26 転がり軸受用保持器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04327024A JPH04327024A (ja) 1992-11-16
JP2941083B2 true JP2941083B2 (ja) 1999-08-25

Family

ID=14175011

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9681291A Expired - Lifetime JP2941083B2 (ja) 1991-04-26 1991-04-26 転がり軸受用保持器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2941083B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0765911A3 (de) * 1995-09-26 1998-05-20 Bayer Ag Mit Verstärkungsstoffen gefüllte biologisch abbaubare Kunststoffe
JP4952996B2 (ja) 2004-08-17 2012-06-13 株式会社ジェイテクト 軸受用保持器
JP6577184B2 (ja) * 2014-12-24 2019-09-18 Ntn株式会社 転がり軸受

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04327024A (ja) 1992-11-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2871752B2 (ja) 転がり軸受用保持器
US20130196104A1 (en) Method for producing thermoplastic resin composition, thermoplastic resin composition, and molded article
US6513986B2 (en) Electrical pittingproof rolling bearing
US6596792B2 (en) Tribological performance of thermoplastic composites via thermally conductive material and other fillers and a process for making the composite and molded articles of the same
WO2005073315A1 (ja) ポリエステルエラストマー組成物
JP5411010B2 (ja) 転がり軸受用部材および転がり軸受
TW200932779A (en) Class E segment cables and tubes
JP2941083B2 (ja) 転がり軸受用保持器
JP4755828B2 (ja) フィラーを含有する低摩擦係数の熱可塑性組成物
JPH10159854A (ja) 複合滑り軸受
KR100337804B1 (ko) 수지조성물 및 이를 성형해서 얻어진 내열성의 회복가능한 ic트레이
EP3002307A1 (en) Bearing material
JPH11191234A (ja) 光学式ピックアップのレンズホルダおよびそのアクチュエータ
JP3303697B2 (ja) 寸法精度に優れた摺動部材用樹脂組成物
JP2525490B2 (ja) 軸受用プラスチック保持器
JP2769207B2 (ja) 転がり軸受用保持器
JP2948626B2 (ja) 転がり軸受用保持器
JP2994770B2 (ja) 転がり軸受用プラスチック保持器
JP7022673B2 (ja) 樹脂製プーリ
JPH01120423A (ja) 転がり軸受用保持器材
JPH0747691B2 (ja) ポリイミド系摩擦材およびその製造方法
JP2011006519A (ja) 高硬度ポリエステルエラストマー組成物及び樹脂被覆ワイヤロープ
JP2698344B2 (ja) 光学式ピツクアツプのレンズホルダー
JP5314373B2 (ja) 電子写真機器用無端ベルト
JPH10316842A (ja) 耐熱・潤滑性樹脂組成物