JP2940543B2 - 乗用型苗植機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】この発明は、乗用車体の後部
に移植装置を昇降可能に装着した乗用型苗植機に関する
ものである。 【０００２】 【従来の技術】乗用型苗植機にあって畦際で旋回すると
きは、予め、移植装置の移植作動を停止させ、また移植
装置を上昇させて、機体を旋回させるので、操作が煩雑
となる。そこで、従来は、一つの操作具の操作により移
植装置の移植作動が停止するとともに移植装置が上昇す
るよう構成して、機体を旋回させ前の操作が迅速且つ容
易に行えるようにしたものがあった。 【０００３】また、苗植機においては、移植装置の移植
作動を停止する停止操作するタイミングによって、苗を
圃場に移植する移植具の停止位置が変ってしまうと、移
植具が機体の下方に突出して停止することもあり、よっ
て、移植具が損傷を受けやすくなってしまう。そこで、
従来は、移植具の停止操作するタイミングに関わらず、
移植具が上位に位置する状態になってから停止するよう
に構成し、停止した移植具が損傷を受けにくいようにし
たものがあった。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】すると、旋回時の操作
性を向上させるため、上記のように、一つの操作具の操
作により移植装置の移植作動が停止するとともに移植装
置が上昇する構成とし、そして、停止した移植具が損傷
を受けないようにするため、上記のように、移植具が上
位に位置する状態になってから停止するように構成する
と、操作具を操作して移植装置の移植作動を停止するよ
うにしても、移植具はすぐには停止しないことがあるか
ら、例えば、設定した停止位置を越えた直後で停止操作
された場合は移植具は再びその停止位置まで略一回転し
て停止することになるから、移植装置が上昇しはじめて
もまだ移植具がある程度作動してしまい、空中で苗がば
ら撒かれてしまうことがある。 【０００５】そこで、この発明は、乗用型苗植機にあっ
て、旋回時の操作性を向上させるため、一つの操作具の
操作により移植装置の移植作動が停止するとともに移植
装置が上昇する構成とし、また、停止した移植具が損傷
を受けないようにするため、移植具が上位に位置する状
態になってから停止するように構成しながらも、移植具
ができるだけ早く停止して空中で苗がばら撒かれること
が起こりにくいようにすることを課題とする。 【０００６】 【課題を解決するための手段】この発明は、上記課題を
解決するために、乗用車体１の後部に移植装置１１を昇
降可能に装着した乗用型苗植機において、一つの操作具
２３の操作により移植具１４ａ・１４ｂの回転が停止す
るとともに移植装置１１が上昇する構成とし、移植装置
１１を各条二つの移植具１４ａ・１４ｂを備えて該移植
具１４ａ・１４ｂの一回転で二回苗が圃場に移植される
構成とし、該移植具１４ａ・１４ｂを停止させた時は、
二つの移植具１４ａ・１４ｂが共に整地フロ−ト１６・
１７・１７の下面より上位となる停止位置で停止し、且
つ、移植具１４ａ・１４ｂの一回転中二箇所に設けた停
止位置で停止する構成としたことを特徴とする乗用型苗
植機としたものである。 【０００７】 【作用】上記構成の乗用型苗植機は、移植作業時には、
各条二つの移植具１４ａ・１４ｂが回転して交互に苗を
圃場に移植していく。そして、畦際で旋回する時などに
は、一つの操作具２３を操作することで、移植具１４ａ
・１４ｂの回転が停止するとともに移植装置１１が上昇
する。このとき、移植具１４ａ・１４ｂは、二つの移植
具１４ａ・１４ｂが共に整地フロ−ト１６・１７・１７
の下面より上位となる停止位置で停止し、且つ、移植具
１４ａ・１４ｂの一回転中二箇所に設けた停止位置で停
止する。 【０００８】 【発明の効果】この発明は、乗用型苗植機にあって、移
植装置１１を各条二つの移植具１４ａ・１４ｂを備えて
該移植具１４ａ・１４ｂの一回転で二回苗が圃場に移植
される構成としているから、高速で移植作業が行える。
そして、一つの操作具２３の操作により移植具１４ａ・
１４ｂの回転が停止するとともに移植装置１１が上昇す
る構成として、旋回時の操作性が良いものでありなが
ら、移植具１４ａ・１４ｂを停止させた時は、二つの移
植具１４ａ・１４ｂが共に整地フロ−ト１６・１７・１
７の下面より上位となる停止位置で停止し、且つ、移植
具１４ａ・１４ｂの一回転中二箇所に設けた停止位置で
停止する構成としたから、前記操作具２３の操作により
停止する二つの移植具１４ａ・１４ｂは、共に機体の下
方に突出することがなく、且つ、従来よりも早く停止す
ることになり、そのぶん空中で苗がばら撒かれることが
起こりにくいものとなる。 【０００９】 【発明の実施の形態】この発明の一実施例の乗用型苗植
機を図面に基づいて詳細に説明する。１は乗用車体で、
操向用の前輪２・２と後輪３・３とを有した車体４の前
側上部に操縦枠５を突出させて、これに操縦ハンドル６
を支架させ、この操縦ハンドル６の後方車体上にエンジ
ン７をカバ−８で囲んで取付け、その上部に操縦座席９
を設けている。１０は後輪３・３の伝動支持ケ−スであ
る。 【００１０】１１は移植装置で、車体４の後部に装着さ
れ、前部に位置する主伝動ケ−ス１２ａ部とこの主伝動
ケ−ス１２ａ部から所定の左右間隔を配して後方へ廷設
される３個の副伝動ケ−ス１２ｂ部とからなる移植伝動
ケ−ス１２の上部に、前方が上位となるようにして傾斜
した苗載置台１３を左右往復動するよう支架し、各副伝
動ケ−ス１２ｂの後端に移植具１４ａ・１４ｂが装着さ
れた回転ケ−ス１５を軸架し、更に、移植伝動ケ−ス１
２の下側部に中央整地フロ−ト１６と左右の側部整地フ
ロ−ト１７・１７を前部が上下動するように装着したも
のである。 【００１１】１８は昇降リンク機構で、上部リンク杆１
８ａと下部リンク杆１８ｂの基部側を前記車体４に枢着
し、両リンクの後端を縦リンク１８ｃで枢結し、この縦
リンク１８ｃに前記移植伝動ケ−ス１２を支軸１９を介
してロ−リング自由に連結し、上部リンク１８ａは油圧
シリンダ−装置２０によって昇降可能に設けている。２
１は油圧切替バルブで、主伝動ケ−ス１２ａに一体の突
起枠２２と中央整地フロ−ト１６との間に介装されるよ
うに取付けられ、該フロ−ト１６の上下動で切替えられ
て前記油圧シリンダ−装置２０を作動し、自動的に中央
整地フロ−ト１６の接地圧が移植に適当な範囲になるよ
う構成されている。また、この油圧切替バルブ２１は前
記操縦座席９の側部に装着した昇降操作レバ−２３で任
意に切替えできて移植装置１１が昇降操作できるよう設
けている。 【００１２】２４は停止クラッチで、前記主伝動ケ−ス
１２ａ内の各副伝動ケ−ス１２ｂ側伝動部へ動力を分岐
して伝達する伝動軸２５に装着されている。そして、こ
の停止クラッチ２４は、伝動軸２５に回転自由に遊着さ
れて伝動回転されるクラッチ爪２６ａ付きのクラッチ駆
動ギヤ−２６に、伝動軸２５にばね２７で附勢されて移
動可能で、かつ、伝動軸２５に楔着されて一体的に回転
するクラッチ爪２８ａ付きのクラッチ体２８をクラッチ
爪２６ａと２８ａとが係脱可能なように装着し、このク
ラッチ体２８の回転外周面に、クラッチピン２９が接当
するときばね２７に抗してクラッチ体２８が伝動軸２５
上を移動してクラッチ爪２６ａと２８ａとが外れるよう
にするクラッチカム体３０を前記回転ケ−ス１５に装着
される移植具１４ａ・１４ｂの数、即ち、２個だけ設け
ている。 【００１３】そして、この複数位置定位置停止型の停止
クラッチ２４が働いて伝動軸２５が１回転中２個所で
「切」になるとき、常に回転ケ−ス１５の移植具１４ａ
・１４ｂが整地フロ−ト１６・１７・１７の下面よりも
上位で停止されるように設定している。更に、一方側の
移植具１４ａ或は１４ｂが苗載置台１３側から苗を分割
する直前にあり、他方側の移植具１４ｂ或は１４ａが苗
を移植した直後の整地フロ−ト下面より上位で停止する
ように設定すると、尚一層適切となる。即ち、図１の側
面図には、一方側の移植具１４ａが苗載置台１３側から
苗を分割した後で、他方側の移植具１４ｂが苗を移植し
た後で、二つの移植具１４ａ・１４ｂが略同じ高さまで
回転した状態が示されているが、上記のように設定され
て停止する移植具１４ａ，１４ｂは、図１にあらわれる
移植具１４ａ・１４ｂの位置まで回転しないうちに停止
することになり、従って、二つの移植具１４ａ・１４ｂ
は後方側の移植具が前方側の移植具より低くなる位置で
停止する。このような移植具１４ａ，１４ｂの停止位置
を図示するとすれば、例えば、図４のようになる。 【００１４】そして、前記クラッチピン２９は前記昇降
操作レバ−２３にワイヤ−３１によって連動されてい
て、移植装置１１を上昇する側へ油圧切替バルブ２１を
切替えるときワイヤ−３１が緩んでばねでピン２９が下
動しカム体３０のテ−パ側面に接当してクラッチ２４が
「切」になるよう連動されている。尚、３２は油圧切替
バルブ２１と操作レバ−２３とを連動するワイヤ−であ
る。 【００１５】また、第４図の油圧回路中の記号、３３は
油圧ポンプ、３４はタンク、３５はリリ−フバルブであ
る。次に、上例の作用を説明する。各苗載置台１３…に
苗を載置収容して、乗用車体１を走行させながら、移植
装置１１の中央及び側部の整地フロ−ト１６・１７・１
７を水田の土壌表面に接地させ、各部を伝動回転する
と、伝動軸２５が回転し、クラッチ体２８クラッチ駆動
ギヤ−２６の各クラッチ爪２８ａ・２６ａを係合させた
クラッチ２４を「入」状態にしておくと、分岐された副
伝動ケ−ス１２ｂ…の各伝動機構を介して回転ケ−ス１
５…が伝動回転され、これに取付けられている二つの各
移植具１４ａ・１４ｂが移植軌跡を描いて運動し、その
二つの各移植具１４ａ・１４ｂが交互に左右に往復動す
る苗載置台１３…から苗を一株分づつ分割して下部の整
地フロ−ト１６・１７・１７で整地される土壌面へ移植
される。よって、振動が少なく高速で苗が植付けられて
いく。 【００１６】このような移植作業中、畦畔が近づいて旋
回するとき、昇降操作レバ−２３を操作して油圧切替バ
ルブ２１を切替えて移植装置１１を上昇する。このと
き、ワイヤ−３１が弛緩され、クラッチピン２９がばね
で下動される。すると、回転中のクラッチ体２８のカム
体３０に該ピン２９が接当し、クラッチ体２８がばね２
７に抗して押寄せられ、クラッチ駆動ギヤ−２６のクラ
ッチ爪２６ａからクラッチ体２８のクラッチ爪２８ａが
外れて伝動軸２５が停止される。この場合、クラッチ体
２８には２個のカム体３０が設けられているから、伝動
軸２５は１回転中２個所で停止がかかることになり、移
植装置１１が上昇するとき即時に伝動軸２５が停止し、
このため、回転ケ−ス１５・１５がクラッチ停止操作時
に半回転で停止する。したがって、移植装置１１が上昇
途中で苗を分割してその苗を放出するようなことがな
く、苗が土壌面へばら撒かれることがない。 【００１７】次に、旋回を終えて、苗植機１１を下降す
ると、整地フロ−ト１６・１７・１７が接地してからク
ラッチピン２９がカム体３０から外れ、ばね２７によっ
てクラッチ体２８が移動しクラッチ２４が「入」となり
移植が開始される。よって、上述したものは、乗用型苗
植機にあって、移植装置１１を各条二つの移植具１４ａ
・１４ｂを備えて該移植具１４ａ・１４ｂの一回転で二
回苗が圃場に移植される構成としているから、高速で移
植作業が行える。 【００１８】そして、一つの操作具２３の操作により移
植具１４ａ・１４ｂの回転が停止するとともに移植装置
１１が上昇する構成として、旋回時の操作性が良いもの
でありながら、移植具１４ａ・１４ｂを停止させた時
は、二つの移植具１４ａ・１４ｂが共に整地フロ−ト１
６・１７・１７の下面より上位となる停止位置で停止
し、且つ、移植具１４ａ・１４ｂの一回転中二箇所に設
けた停止位置で停止する構成としたから、前記操作具２
３の操作により停止する二つの移植具１４ａ・１４ｂ
は、共に機体の下方に突出することがなく、且つ、従来
よりも早く停止することになり、そのぶん空中で苗がば
ら撒かれることが起こりにくいものとなる。

【図面の簡単な説明】 【図１】苗植機の全体側面図。 【図２】移植装置の平面図。 【図３】移植装置の作動機構図。 【図４】作動停止時の移植具の状態の一例を示す側面
図。 【符号の説明】 １：乗用車体 １１：移植装置 １４ａ・１４ｂ：移植具 １６・１７：整地フロ−ト ２３：操作レバ− ２４：クラッチ

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．乗用車体１の後部に移植装置１１を昇降可能に装着
   した乗用型苗植機において、一つの操作具２３の操作に
   より移植具１４ａ・１４ｂの回転が停止するとともに移
   植装置１１が上昇する構成とし、移植装置１１を各条二
   つの移植具１４ａ・１４ｂを備えて該移植具１４ａ・１
   ４ｂの一回転で二回苗が圃場に移植される構成とし、該
   移植具１４ａ・１４ｂを停止させた時は、二つの移植具
   １４ａ・１４ｂが共に整地フロ−ト１６・１７・１７の
   下面より上位となる停止位置で停止し、且つ、移植具１
   ４ａ・１４ｂの一回転中二箇所に設けた停止位置で停止
   する構成としたことを特徴とする乗用型苗植機。