JP2939441B2 - 食品の呈味改善剤 - Google Patents
食品の呈味改善剤Info
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Description
関する。さらに詳しくは、本発明は有機酸を含有する飲
食品の酸味を和らげ、渋味や苦味を改善する呈味改善剤
に関する。
味からフルーティな調和のとれた新鮮な酸味に改善する
呈味改善剤としてキナ酸が知られている(特開昭53−
26359)。キナ酸は、例えばコーヒー生豆またはコ
ーヒー抽出滓をアルカリ加水分解し、得られた分解液を
強塩基性陰イオン交換樹脂処理した後これをアルカリで
処理し、得られた溶出液をイオン交換膜電気透析装置で
脱塩精製することにより得られる(特開平7−816
9)。
として優れた効果を有するが、本発明者らは、さらによ
り自然な味に近い呈味改善剤を提供すべく鋭意研究を重
ねた結果、クランベリー果汁濃縮物が優れた呈味改善効
果を有することを知った。クランベリー果汁はクエン
酸、リンゴ酸、キナ酸のような有機酸を含んでいる(特
開平4−316468)が、かなりの量の糖類も含んで
おり、また鮮やかなルビー色を呈しているので、呈味改
善剤として果汁のまま或いはその濃縮物を食品に添加す
る場合には、その甘味や色のため、使用量や適用範囲が
制限される。従ってクランベリー果汁或いはその濃縮物
を呈味改善剤として利用するにはその呈味改善効果を維
持しつつ、甘味や色を除去することが必要とされる。
クランベリー果汁濃縮物からなる食品の呈味改善剤より
なる。さらに本発明は、脱色処理および電気透析処理し
たクランベリー果汁濃縮物からなる食品の呈味改善剤よ
りなる。本発明の呈味改善剤を調製するにあたり、クラ
ンベリー果汁濃縮物の脱色はそれ自体公知の方法によっ
て実施され得る。即ち、クランベリー果汁濃縮物を多孔
性樹脂および/または活性炭で処理することにより脱色
する。脱色処理に使用される多孔性樹脂としては、スチ
レン−ジビニルベンゼン共重合体系高分子などがあげら
れ、特に、ポーラスポリマー樹脂HP−20(三菱化学
株式会社製)、XAD−2(オルガノ株式会社製)など
が好適に使用される。
着させた後、水で溶出させることにより、容易に脱色ク
ランベリー濃縮果汁を得ることができる。脱色処理され
たクランベリー濃縮物を好ましくはさらにイオン交換膜
電気透析装置を用いて透析する。陽イオン交換膜と陰イ
オン交換膜を交互に何層も並べ、両端に陽極と陰極を設
置した装置内に試料液を導入する。装置に電流を通じる
ことにより、陽イオン、陰イオンのような電解質は交換
膜を通過し、それぞれ陰極側、陽極側に移動し、塩廃液
層内に濃縮される。一方、非電解質は交換膜を通過せ
ず、そのまま試料液層内にとどまる。上記法にさらに分
画分子量の異なった交換膜を用いた方法、即ち、分子の
大きさで分画する方法を組み合わせることにより目的物
質の分離が可能になる。イオン交換膜電気透析は、陽イ
オン交換膜分画分子量100、300、好ましくは30
0の膜、あるいは陰イオン交換膜分画分子量300、1
000、好ましくは1000の膜を用いて行うのが望ま
しい。電気透析処理によってクランベリー濃縮物に含ま
れている蔗糖、果糖、ブドウ糖などの糖類が除かれる。
酸、クエン酸、リンゴ酸をそれぞれ35〜90%(重
量、以下同じ)、2〜30%、8〜35%含有してお
り、これらの成分が呈味改善効果に大きく貢献している
ものと考えられる。本発明の呈味改善剤は、食品全般に
使用することができるが、特に飲料、菓子、冷菓などに
好適に使用される。通常、食品香料に添加することによ
り食品に適用されるが、飲料などの場合には直接食品に
加えることもできる。添加量は食品中に添加する場合は
食品の概ね0.001〜0.02%、好ましくは0.00
5〜0.15%であり、食品香料に添加する場合は食品
香料の約1〜20%、好ましくは5〜15%含有させる
のが適当である。
さらに具体的に説明する。 実施例1 クランベリー濃縮果汁300gをポーラスポリマー樹脂
HP−20(三菱化学株式会社製)300mlを用いて脱
色後、さらに活性炭で脱色、セライト濾過を経て、濾液
1410gを得た。この濾液をイオン交換膜電気透析装
置(陽イオン交換膜分画分子量:300、陰イオン交換
膜分画分子量:1000)を用いて透析し、塩廃液側に
濃縮液を得た。これを、キナ酸濃度が1%、エタノール
濃度が30%になるようにエタノール水溶液で希釈し、
本発明の呈味改善剤であるクランベリー果汁濃縮物62
0gを得た(成分比:キナ酸35%、クエン酸29%、
リンゴ酸36%)。
XAD−2(オルガノ株式会社製)600mlを用いて脱
色後、さらに活性炭で脱色、セライト濾過を経て、濾液
2800gを得た。この濾液を、イオン交換膜電気透析
装置(陽イオン交換膜分画分子量:300、陰イオン交
換膜分画分子量:300)を用いて透析し、塩廃液側に
濃縮液を得た。これを、キナ酸濃度が2%、エタノール
濃度が20%になるようにエタノール水溶液で希釈し、
本発明の呈味改善剤であるクランベリー果汁濃縮物56
0gを得た(成分比:キナ酸35%、クエン酸30%、
リンゴ酸35%)。
HP−20 100mlに充填後、蒸留水500gを用い
て溶出させ、脱色果汁を得た。さらに活性炭で脱色後、
セライト濾過を行い、脱色クランベリー果汁585g
(可溶性固形分量:8.5%)を得た。この溶液を、イ
オン交換膜電気透析装置(陽イオン交換膜分画分子量:
300、陰イオン交換膜分画分子量:1000)を用い
て透析を行った。塩廃液側に有機酸濃縮液325g(有
機酸濃度:約5%、可溶性固形分:5.5%)を得た。
この溶液を陽イオン交換膜分画分子量:300、陰イオ
ン分画分子量:300の透析膜を用いて電気透析を行
い、試料液側に、本発明の呈味改善剤である無色透明な
透析液295gを得た。この溶液は、酸成分を約2.3
%含み、キナ酸が主成分である(成分比:キナ酸80
%、クエン酸4%、リンゴ酸16%)。その他の成分と
して糖類を約0.5%含む。この溶液を直接、または適
当な方法により濃縮することにより、食品に使用でき
る。
XAD−2 100mlに充填後、蒸留水500gを用い
て溶出させ、脱色果汁を得た。さらに活性炭で脱色後、
セライト濾過を行い、脱色クランベリー果汁580g
(可溶性固形分量:8.3%)を得た。この溶液を、イ
オン交換膜電気透析装置(陽イオン交換膜分画分子量:
300、陰イオン交換膜分画分子量:1000)を用い
て透析を行った。塩廃液側に有機酸濃縮液330g(有
機酸濃度:約4.6%、可溶性固形分:5.6%)を得
た。この溶液を陽イオン交換膜分画分子量:300、陰
イオン分画分子量:300の透析膜を用いて電気透析を
行い、試料液側に、本発明の呈味改善剤である無色透明
な透析液290gを得た。この溶液は、酸成分を約1.
8%含み、キナ酸が主成分である(成分比:キナ酸90
%、クエン酸2%、リンゴ酸8%)。その他の成分とし
て糖類を約0.5%含む。この溶液を直接、または適当
な方法により濃縮することにより、食品に使用できる。
HP−20 100mlに充填後、蒸留水500gを用い
て溶出させ、脱色果汁を得た。さらに活性炭で脱色後、
セライト濾過を行い、脱色クランベリー果汁580g
(可溶性固形分量:8.6%)を得た。この溶液を、イ
オン交換膜電気透析装置(陽イオン交換膜分画分子量:
300、陰イオン交換膜分画分子量:300)を用いて
透析を行い、試料液側に、本発明の呈味改善剤である無
色透明な透析液555gを得た。この溶液は、酸成分を
約1.5%含み、キナ酸が主成分である(成分比:キナ
酸75%、クエン酸2%、リンゴ酸18%)。その他の
成分として糖類を約4%含む。この溶液を適当な方法に
より濃縮することにより、食品に使用できる。
XAD−2 100mlに充填後、蒸留水500gを用い
て溶出させ、脱色果汁を得た。さらに活性炭で脱色後、
セライト濾過を行い、脱色クランベリー果汁585g
(可溶性固形分量:8.5%)を得た。この溶液を、イ
オン交換膜電気透析装置(陽イオン交換膜分画分子量:
300、陰イオン交換膜分画分子量:300)を用いて
透析を行い、試料液側に、本発明の呈味改善剤である無
色透明な透析液550gを得た。この溶液は、酸成分を
約1.2%含み、キナ酸が主成分である(成分比:キナ
酸90%、クエン酸2%、リンゴ酸8%)。その他の成
分として糖類を約3.5%含む。この溶液を適当な方法
により濃縮することにより、食品に使用できる。
HP−20 300mlを用いて脱色後、さらに活性炭で
脱色、セライト濾過を経て、濾液1410gを得た。こ
れを、イオン交換膜電気透析装置を用いることなく、キ
ナ酸濃度1%、エタノール濃度が20%になるようにそ
のまま希釈し、本発明の呈味改善剤である無色透明なク
ランベリー果汁濃縮物388gを得た(成分比:キナ酸
34%、クエン酸29%、リンゴ酸37%)。
(A)で作成した。処方(B)は、このベースにさらに実施
例1で得られたクランベリー果汁濃縮物を8%添加した
ものである。処方(B)で作成したフレーバーは、処方
(A)で作成したフレーバーベースに比べ、レモン果汁に
起因する酸味、苦味、渋みがほどよく抑えられ、よりマ
イルドな味に変化した。
処方(A)で作成した。処方(B)は、このベースに実施例
1で得られたクランベリー果汁濃縮物を9%添加したも
のである。処方(B)で作成したフレーバーは、処方(A)
で作成したフレーバーに比べ、マイルドな酸味感を与え
た。
処方(A)で作成した。処方(B)は、このベースに実施例
3で得られたクランベリー果汁濃縮物を9%添加したも
のである。一方処方(C)は、グレープフレーバーベース
に実施例2で製造したクランベリー果汁濃縮物を9%添
加したものである。処方(B)で作成したフレーバーは、
処方(A)で作成したフレーバーに比べ、穏和な調和のと
れたフルーツの酸味感が増加し、さらに口当たりや後口
も良くなることが判明した。処方(C)で作成したフレー
バーは、処方(B)で作成したフレーバーに比べ、糖類が
ほとんど含まれていないため不必要な甘味感が減少した
分、より自然な酸味感が増加することが判明した。口当
たりや後口の良さの向上も見いだされた。
品に添加することにより、その酸味を和らげ、渋味や苦
味を改善することができる。本発明の呈味改善剤はクエ
ン酸、リンゴ酸、キナ酸を含み、これらが渾然一体とな
ってキナ酸単独を用いた場合に比較してより自然な酸味
を与え、渋味や苦味を和らげる効果を奏するものであ
る。さらに、本発明の呈味改善剤はクランベリー果汁の
ルビー色が脱色され、無色透明であり、糖類も除去され
ているので、特に制限なく、広く食品一般に使用するこ
とができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 脱色処理および電気透析処理したクラン
ベリー果汁濃縮物からなる食品用呈味改善剤。 - 【請求項2】 クランベリー果汁濃縮物を多孔性樹脂お
よび/または活性炭で脱色処理し、次いでイオン交換膜
電気透析処理することを特徴とする請求項1記載の食品
用呈味改善剤の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8205970A JP2939441B2 (ja) | 1996-08-05 | 1996-08-05 | 食品の呈味改善剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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ID=16515737
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8205970A Expired - Fee Related JP2939441B2 (ja) | 1996-08-05 | 1996-08-05 | 食品の呈味改善剤 |
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BR0207218B1 (pt) | 2001-02-13 | 2014-08-26 | Folger Coffee Co | Método para alterar um perfil de componente de café de fonte de café envelhecido, método para imitar um sabor de café não-envelhecido, e método para produzir uma composição de bebida de café |
CA2437770C (en) | 2001-02-15 | 2011-02-01 | The Procter & Gamble Company | Coffee compositions with enhanced flavor characteristics and method of making |
US20110166086A1 (en) | 2008-09-02 | 2011-07-07 | Yoshikazu Toyohara | Flavor improving agent |
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FR3056080B1 (fr) * | 2016-09-20 | 2019-09-13 | West Invest S.A. | Procede de desacidification d’un jus de fruit, notamment d’un jus de canneberge |
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1996
- 1996-08-05 JP JP8205970A patent/JP2939441B2/ja not_active Expired - Fee Related
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