JP2937493B2 - 自動二輪車のフロントフォーク - Google Patents

自動二輪車のフロントフォーク

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JP2937493B2
JP2937493B2 JP41162190A JP41162190A JP2937493B2 JP 2937493 B2 JP2937493 B2 JP 2937493B2 JP 41162190 A JP41162190 A JP 41162190A JP 41162190 A JP41162190 A JP 41162190A JP 2937493 B2 JP2937493 B2 JP 2937493B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、上部に径の大きいアウ
タチューブを、下部に径の小さいインナーチューブを持
ついわゆる倒立型のテレスコピック・フォークを用いた
自動二輪車のフロントフォークに関するものである。
【0002】
【従来の技術】テレスコピック・フォークを用いた自動
二輪車においては、フォークの剛性が操縦性に大きな影
響を及ぼす。例えばフォークの剛性が高すぎると、路面
から車体や走行ハンドルバーに伝わる振動が大きくな
り、路面状態の小さな変化が操縦性に与える影響が大き
くなる。そこで従来はインナーチューブ自身に適度な柔
軟性を持たせることにより、フォーク全体の適度な剛性
を得るようにしていた。
【0003】この場合インナーチューブが十分にアウタ
ーチューブから退出した状態ではインナーチューブの柔
軟性を利用できるが、インナーチューブがアウターチュ
ーブ内に深く入ってフォークが短くなった状態ではイン
ナーチューブの柔軟性を利用することができず、フォー
クの剛性が急増することになる。例えば旋回中に前輪ブ
レーキをかけると、遠心力と前方への荷重移動とにより
フロントフォークは大きく縮み、フォークの剛性が過大
になる。このため操縦特性が変化し、例えばアンダース
テア特性が強くなる、等の問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明が解決し
ようとする課題は、フロントフォークが縮んだ状態にお
いても適度の柔軟性を持たせることにより、フロントフ
ォークの伸縮に伴う操縦特性の変化を小さくすることで
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によればこの課題
は、ヘッドパイプ側に保持されるアウターチューブと、
このアウターチューブに下方から摺動自在に挿入された
インナーチューブと、このインナーチューブの下端に取
付けられ前輪を保持するアクスルブラケットとを備える
自動二輪車のフロントフォークにおいて、前記インナー
チューブには前記アクスルブラケットの上縁より上方で
かつインナーチューブの最大圧縮時に前記アウターチュ
ーブ下縁より下方に位置する溝を形成し、インナーチュ
ーブの少くとも前後方向の柔軟性をこの溝付近で大きく
したことを特徴とする自動二輪車のフロントフォーク、
により達成される。
【0006】
【実施例】図1は本発明の一実施例の側面図、図2はそ
のフロントフォークのフルバンプ状態を一部断面した
図、図3はその一部の拡大図、図4は内部構造を省いた
図3におけるIV-IV 線断面図である。
【0007】図1において符号10は車体フレ−ムであ
り、前フレ−ム12と後フレ−ム14とを結合したもの
である。前フレ−ム12はヘッドパイプ16と、ここか
ら斜下後方へのびる左右一対のサイドフレ−ム18(一
方のみ図示)とを有する。サイドフレ−ム18は、断面
コ字形の2つの板金部材を互いに対向させて接合し断面
四角の箱状にしたもので、その後部は下方へ向かって湾
曲している。ヘッドパイプ16には2本のフロントフォ
−ク20が左右へ回動自在に保持され、その下端に操向
前輪22が取付けられている。このフロントフォーク2
0については後記する。
【0008】後フレ−ム14は、シ−トレ−ル24と補
助シ−トレ−ル26とで構成される。シ−トレ−ル24
は左右一対の上チュ−ブ24aとこれを下から支持する
下チュウブ24bとで形成され、これら上・下チュ−ブ
24a、24bの前端がサイドフレ−ム18に固着され
ている。
【0009】補助シ−トレ−ル26は左右一対のチュ−
ブ26a、26aを前後のブリッジ28、30で互いに
結合して一体としたものである。チュ−ブ26a、26
aの前半部分は斜下前方へ向けて折曲され、この下降部
分がシ−トレ−ル24の上チュ−ブ24aの後端と下チ
ュ−ブ24bの後下部とにボルト止めされている。
【0010】32は後輪であり、前端がサイドフレ−ム
18に軸支されたリヤア−ム34の後端に保持されてい
る。リヤア−ム34は図示しないクッションユニットに
より弾性支持される。なおこのリヤア−ム34にはリヤ
フェンダ36が取り付けられている。
【0011】38はV型2サイクル2気筒液冷式エンジ
ンである。このエンジン38はV型を形成する2つのシ
リンダの間に形成されるV型の空間が前方を指向するよ
うにサイドフレ−ム18に搭載される。40は上の気筒
の排気膨張管、42下の気筒の排気膨張管である。44
はエンジン38の冷却用ラジエタ、46は燃料タンクで
ある。燃料タンク46の前部はサイドフレ−ム18に載
り、後部はシ−トレ−ル24の上チュ−ブ24aに載っ
ている。48は運転者用シ−トであり、燃料タンク46
の後方でシ−トレ−ル24の上チュ−ブ24aに取り付
けられている。この運転者用シ−ト48の下方には潤滑
用オイルタンク50および電池52が収容されている。
【0012】補助シ−トレ−ル26には同乗者用シ−ト
54が取り付けられると共に、ライセンスプレ−ト5
6、尾灯58、方向指示灯、荷物箱、工具袋等の市内走
行用部品が取りつけられる。
【0013】次にフロントフォーク20を図2〜4に基
づいて説明する。フロントフォーク20は倒立型のもの
であり、上部のアウタチューブ60と、下部のインナー
チューブ62と、インナ−チューブ62の下端に固定さ
れたアクスルブラケット64とを有する。アウターチュ
ーブ60の上部はヘッドパイプ16に左右へ回動自在に
保持された上・下ブラケット66、68(図1参照)に
固定されている。アクスルブラケット64の車軸孔70
(図2)には前輪22の車軸が保持される。
【0014】アウターチューブ60内の上端には図2に
示すように長いロッド72が固定されている。このロッ
ド72の下端に固定されたピストン74は、アクスルブ
ラケット64側に固定されたダンパチュ−ブ76内を摺
動し、これらによりダンパチュ−ブ76をシリンダとす
る小型のショックアブソーバが形成される。ダンパチュ
ーブ76とインナーチューブ62との間隙にはメインコ
イルばね78が収容される。このバネ78の下端はアク
スルブラケット64に支持される。またばね78の上端
は、アウターチューブ60の上端に固定されたシートパ
イプ80の下端に支持されている。なお図2において、
82はリバウンドコイルばねである。
【0015】インナーチューブ62にはアクスルブラケ
ット64の上縁付近、すなわちアクスルブラケット64
の上縁より上方でかつインナーチューブ62の最大圧縮
時にアウターチューブ61の下縁より下方に位置する環
状の溝84が形成されている(図3、4)。この溝84
は、インナーチューブ62の下部すなわちアクスルブラ
ケット64の上縁付近においてインナーチューブ84に
柔軟性を付与するものである。
【0016】この実施例によれば、フロントフォーク2
0に圧縮方向の力が加わると、インナーチューブ62が
ばね78を圧縮しつつアウターチューブ60内に進入
し、この時ダンパチューブ76内のオイルがピストン7
4に設けたオリフィスを通過して減衰力を発生する。ま
たインナーチューブ62がアウターチューブ60から十
分に退出した状態では、インナーチューブ62全体が湾
曲する際の弾性によりフォーク20は十分に大きな柔軟
性を持つことができる。
【0017】前ブレーキをかけた時などにインナーチュ
ーブ62がアウターチューブ60内に深く入り込むと、
フォーク20がフルバンプに近い状態すなわちインナー
チューブ62が最も圧縮された位置に近くなる。このた
めインナーチューブ62自身の湾曲に伴う柔軟性は殆ど
利用できない。しかし溝84はアウターチューブ60内
には入っていないから、この溝84付近の柔軟性を利用
してフォーク20全体の柔軟性を十分に大きく保つこと
ができる。
【0018】この実施例ではインナーチューブ62に環
状の溝84を形成しているが、図5に示す実施例のよう
に、インナーチューブ62Aの前後方向にのみ溝84
A、84Aを設けてもよい。この実施例によれば、フォ
ーク20Aの横方向の剛性を下げることなく前後方向の
剛性だけを下げることができる。
【0019】以上の実施例では溝84、84Aをインナ
ーチューブ62の外面に設けているが、本発明はこれを
内面に形成しても同様の効果が得られる。
【0020】
【発明の効果】本発明は以上のように、下部のインナ−
チューブに、アクスルブラケット上端より上方でかつイ
ンナーチューブの最大圧縮時にアウターチューブの下縁
より下方に位置する溝を設けたものであるから、インナ
ーチューブはこの溝の付近で柔軟性を増大し、フォーク
が圧縮されたフルバンプ付近の状態ではこの溝の付近の
インナーチューブの柔軟性を利用してフォークの剛性が
過大になるのを防ぐことができる。このためフルバンプ
付近での操縦性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の側面図である。
【図2】そのフロントフォークのフルバンプ状態を示す
一部断面図である。
【図3】その一部拡大図である。
【図4】内部構造を省いた図3におけるIV−IV線断面図
である。
【図5】他の実施例のIV−IV線相当位置の断面図であ
る。
【符号の説明】
16 ヘッドパイプ 20 フォーク 22 前輪 60 アウターチューブ 62、62A インナーチューブ 64 アクスルブラケット84、84A 溝

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘッドパイプ側に保持されるアウターチ
    ューブと、このアウターチューブに下方から摺動自在に
    挿入されたインナーチューブと、このインナーチューブ
    の下端に取付けられ前輪を保持するアクスルブラケット
    とを備える自動二輪車のフロントフォークにおいて、前
    記インナーチューブには前記アクスルブラケットの上縁
    より上方でかつインナーチューブの最大圧縮時に前記ア
    ウターチューブ下縁より下方に位置する溝を形成し、イ
    ンナーチューブの少くとも前後方向の柔軟性をこの溝付
    近で大きくしたことを特徴とする自動二輪車のフロント
    フォーク。
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