JP2935862B2 - 射出成形方法および射出成形用金型 - Google Patents

射出成形方法および射出成形用金型

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、射出成形用金型および成形方法に関し、詳
しくは金型内に充填された成形品のヒケの制御に関す
る。
〔従来の技術〕
従来、成形品のヒケ防止機構として以下の様な考案が
開示されている。
例えば、実開昭63−125521号公報には、ボス部を有す
る成形品を成形する際、キャビティ内におけるボス部に
嵌合するコアピン下部にバネを配し、そのバネのバネ圧
力によりボス部での成形品表面のヒケを防止する考案が
提案されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかるに、前記従来技術では、ボス(コアピン)に作
用を与える物がバネであるため、経時的なバネの性能劣
化が欠点となる。また、ヒケ制御をバネ力量により行っ
ているが、バネ力量の精度を保つことは難しいものであ
り、従ってヒケ防止の制御も難しい。さらに、保圧をか
けないで成形を行う場合、成形品に対しボスによる部分
的な圧縮力が発生し、逆にボスの部分にヒケを発生する
こととなる。
因って、本発明は前記従来技術における欠点に鑑みて
開発されたもので高精度な成形品が得られる射出成形方
法および射出成形用金型の提供を目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本発明の射出成形方法は、
プラスチックを成形素材としてキャビティ内で成形品を
射出成形する射出成形方法において、前記キャビティの
一部を形成する固定板及び可動板の第1キャビティ面を
温度制御すると共に、前記キャビティの一部を形成する
突出ピンの第2キャビティ面を前記第1キャビティ面と
は異なる温度で温度制御し、前記キャビティ内に射出さ
れたプラスチックの固化スピードに差を与えることによ
り、成形品にヒケを発生させる部分とヒケを発生させな
い部分とを制御することを特徴としている。
又、本発明の射出成形方法は、プラスチックを成形素
材としてキャビティ内で成形品を射出成形する射出成形
方法において、前記キャビティを形成するキャビティ面
に粗面部分と鏡面部分とを成形し、前記キャビティ内に
射出されたプラスチックと前記粗面部分との接触状態に
よって前記粗面部分と鏡面部分との間に温度差を発生さ
せ、前記プラスチックの固化スピードに差を与えること
により、成形品にヒケを発生させる部分とヒケを発生さ
せない部分とを制御することを特徴としている。
本発明の射出成形用金型は、プラスチックを成形素材
として成形品を成形するためのキャビティを有する射出
成形用金型において、前記キャビティの一部を形成する
第1キャビティ面を有する固定板及び可動板と、前記キ
ャビティの一部を形成する第2キャビティ面を有する突
出ピンと、前記第2キャビティ面を前記第1キャビティ
面とは異なる温度で制御する温度制御手段と、を具備
し、前記キャビティ内に射出されたプラスチックの固化
スピードに差を与えることにより、成形品にヒケを発生
させる部分とヒケを発生させない部分とを制御すること
を特徴としている。
又、本発明の射出成形用金型は、プラスチックを成形
素材として成形品を成形するためのキャビティを有する
射出成形用金型において、前記キャビティを形成するキ
ャビティ面に粗面部分と鏡面部分とが形成されており、
前記キャビティ内に射出されたプラスチックと前記粗面
部分との接触面積と、前記プラスチックと前記鏡面部分
との接触面積との間に差を持たせ、前記プラスチックの
固化スピードに差を与えることにより、成形品にヒケを
発生させる部分とヒケを発生させない部分とを制御する
ことを特徴としている。
〔作用〕
本発明は、キャビティの一部を形成する固定板及び可
動板と、キャビティの一部を成形する突出ピンとを異な
る温度で温度制御することにより、成形品へのヒケを操
作するものである。
又、本発明は、キャビティのキャビティ面に形成した
粗面部分及び鏡面部分との間に温度差を生じさせること
により、成形品へのヒケを操作するものである。
〔実施例〕
以下、本発明に係る射出成形用金型および成形方法の
実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施例) 第1図は、本発明に係る射出成形用金型の第1実施例
を示す半截断面図である。
1は射出成形用金型で、この射出成形用金型1は固定
側取付板2に取着された金型の上金型面(キャビティ
面)3aを有する固定板3で構成された固定側と、固定板
3と対向配設された金型の下金型面(キャビティ面)4a
を有する可動板4に連設構成された受板5・スペーサブ
ロック6および可動側取付板7の可動側とで構成されて
いる。スペーサブロック6には突出板上8と突出板下9
が上下動自在に配設されている。突出板上8には突出ピ
ン10のつば部10aを嵌合する穴8aが形成されている。こ
の穴8aに突出ピン10を嵌合し、突出板上8と突出板下9
をボルト11により螺着し、突出ピン10を立設する。突出
ピン10は受板5の穴5aを遊貫し、その上端は可動板4の
穴4bを貫通し可動板4の下金型面4aに達する。この突出
ピン10の中間には温度調節機能として熱源12が設置され
ており、熱源12からのコード13が射出成形用金型1の近
傍に設けたコントロール装置14に接続されている。
以上の構成より成る金型のコントロール装置14よりコ
ード13を介し熱源12に所定の電流を流し熱源12を発熱さ
せる。この熱は突出ピン10に伝わり、熱伝達により突出
ピン10の上端10aは所望の温度に加熱される。
一方、上下金型面3a,4aにて形成されるキャビティに
充填された樹脂15は固定板3と可動板4により温度制御
されている。因って、コントロール装置14により樹脂15
の温度よりも高い温度を突出ピン10の上端10aに設定す
ると、樹脂15が突出しピン10の上端10aによって加熱さ
れ、樹脂15における上端10aの接触部と非接触部とに温
度差が発生する。
本実施例によれば、突出ピン10と上端10aの接触部と
非接触部とは樹脂15の固化スピードが異なり、上端10a
の接触部における樹脂15の固化スピードは遅くなる。従
って、その固化スピードの差により突出ピン10の上端10
aに接する樹脂15の接触部にはヒケが発生する。そし
て、非接触部にはヒケが発生せずに良好な転写が行われ
る。
尚、熱源12に代り電子冷凍素子を設置して構成し、突
出ピン10を冷却した例を以下に述べる。
コントロール装置14よりコード13を介し電子冷凍素子
に所定の電流を流し突出ピン10を冷却する。突出しピン
10の上端10aは熱伝達により所望する温度に冷却され
る。
上下金型面3a,4aにて形成されたキャビティに充填さ
れ温度制御された樹脂15の温度よりも低い温度を突出ピ
ン10の上端10aに設定すると、該上端10aに接する樹脂15
の接触部と非接触部とに温度差が生じる。
突出しピンの上端10a温度を低くすると接触部と非接
触部とは樹脂15の固化スピードが異なり、接触部の樹脂
15の固化スピードは早くなる。この固化スピードの差に
より、突出ピン10の上端10aと接する樹脂15の接触部は
非接触部よりも突出ピン10の上端10aへの樹脂15の転写
が早くなり、接触部にヒケ等の発生が無くなる。
(第2実施例) 第2図は、本発明に係る射出成形用金型の第2実施例
を示す部分拡大断面図である。
本実施例は、前記第1実施例における突出ピン10に設
けた熱源12を取除き、新たにヒケ防止用ピン16を設けて
構成した点が異なり、他の構成は同一の構成から成るも
ので、同一構成部分には同一番号を付してその説明を省
略する。
本実施例は、可動板4にヒケ防止用ピン16の一部を埋
没し、その上端16aが可動板4の下金型面(キャビティ
面)4aの一部を形成するように構成されている。このヒ
ケ防止用ピン16の下端16bには熱源17が設置され、熱源1
7には図示を省略したコントロール装置に接続するコー
ド18が設けられている。
本実施例の作用・効果は、前記第1実施例と同様な作
用・効果が得られるものであり、作用・効果の説明は省
略する。
尚、本実施例では突出ピン10に設けた熱源12を取除い
たが、本発明は係る実施例に限定されるものではなく、
突出ピン10に熱源12を設けてもよいことは勿論である。
(第3実施例) 第3図は、本発明に係る射出成形用金型の第3実施例
を示す部分拡大断面図である。
本実施例は、前記第2実施例におけるヒケ防止用ピン
16に代り、図示を省略したコントロール装置からのコー
ド19を下端20bに接続したカートリッジヒータ20を可動
板4に埋没し、ビス21で固定して構成した点が異なり、
他の構成は同一の構成から成るもので、同一の構成には
同一番号を付して説明を省略する。
本実施例の作用・効果は、前記第1実施例と同様な作
用・効果が得られるものであり、作用・効果の説明は省
略する。
尚、本実施例は前記第2実施例と同様に、突出しピン
10に熱源12を設けることもできるものである。
(第4実施例) 第4図は、本発明に係る射出成形方法に用いる金型の
部分拡大断面図である。
本実施例は、前記第1実施例における突出ピン10より
熱源を取除くとともに、頭部22a(上端)を粗面にした
ピン22(突出ピンまたはヒケ防止用ピン)で構成した点
が異なり、他の構成は同一の構成から成るもので、同一
の構成には同一番号を付してその説明を省略する。
本実施例における金型のピン22は、その頭部(上端)
22aを粗面(砂面)にし面粗度を悪く形成し、頭部22a以
外のキャビティ内面を鏡面に形成したものである。
以上の構成から成る装置を用いての成形は、成形の際
に保圧をかけずに成形を行う。この保圧をかけずに成形
することとピン22の頭部22aを粗面にしたことにより、
樹脂15と頭部22aとの接触面積が小さくなり、熱伝達に
よる冷却スピードが頭部22aの接触しないキャビティ内
面に比べ遅くなる。因って、頭部22a以外では早く固ま
ることになり、樹脂15におけるピン22の頭部22aと接す
る接触部はヒケが発生する。この為非接触部にはヒケが
発生せずに良好な転写が行われる。
(第5実施例) 第5図は、本発明に係る射出成形方法に用いる金型の
部分拡大断面図である。
本実施例における装置は、前記第4実施例と同一な装
置を用いて成形を行うものであり、構成の説明は省略す
る。
本実施例の成形は、成形の際に保圧をかけて成形を行
う。この保圧をかけて成形することとピン22の頭部22a
を粗面にしたことにより、樹脂15と頭部22aとの接触面
積が大きくなり、熱伝達による冷却スピードが頭部22a
と接触しない非接触部に比べ早くなる。因って、樹脂15
におけるピン22の頭部22aと接する接触部には発生しな
い。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明の射出成形方法及び射出
成形用金型によれば、固定板及び可動板の第1キャビテ
ィ面と、突出ピンの第2キャビティ面とを異なる温度で
温度制御することにより、キャビティ内のプラスチック
に対して温度差を発生させてプラスチックの固化スピー
ドを制御しているため、キャビティ内における成形品へ
の転写性を自由に制御することが可能となると共に、通
常の射出成形に用いる部材だけで温度制御を行うため、
温度制御のための新たな部材が不要となる。
又、本発明の射出成形方法及び射出成形用金型によれ
ば、キャビティ面に粗面部分と鏡面部分とを形成し、粗
面部分と鏡面部分との間に温度差を発生させることによ
り、キャビティ内のプラスチックに対して温度差を発生
させてプラスチックの固化スピードを制御しているた
め、キャビティ内における成形品への転写性を自由に制
御することができると共に、温度制御のための新たな部
材が不要となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る射出成形用金型の第1実施例を示
す半截断面図、第2図は同第2実施例を示す部分拡大断
面図、第3図は同第3実施例を示す部分拡大断面図、第
4図は本発明に係る射出成形方法に用いる金型の第4実
施例を示す部分拡大断面図、第5図は同第5実施例を示
す部分拡大断面図である。 1……射出成形金型 2……固定側取付板 3……固定板 4……可動板 5……受板 6……スペーサブロック 7……可動側取付板 8……突出板上 9……突出板下 10……突出ピン 11……ボルト 12,17……熱源 13,18,19……コード 14……コントロール装置 15……樹脂 16……ヒケ防止用ピン 20……カートリッジヒータ 21……ビス 22……ピン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 登 東京都渋谷区幡ケ谷2丁目43番2号 オ リンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 山田 満喜男 東京都渋谷区幡ケ谷2丁目43番2号 オ リンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 芳賀 健二 東京都渋谷区幡ケ谷2丁目43番2号 オ リンパス光学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−128218(JP,A) 特開 昭56−167410(JP,A) 特開 昭56−86731(JP,A) 特開 昭57−115330(JP,A) 特開 平1−180315(JP,A) 特開 昭55−53542(JP,A) 特開 昭59−158231(JP,A) 実開 昭59−157803(JP,U) 実開 昭56−69421(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29C 45/26 - 45/44 B29C 45/73 - 45/78 B29C 33/02 - 33/04 B29C 33/44

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスチックを成形素材としてキャビティ
    内で成形品を射出成形する射出成形方法において、 前記キャビティの一部を形成する固定板及び可動板の第
    1キャビティ面を温度制御すると共に、前記キャビティ
    の一部を形成する突出ピンの第2キャビティ面を前記第
    1キャビティ面とは異なる温度で温度制御し、 前記キャビティ内に射出されたプラスチックの固化スピ
    ードに差を与えることにより、成形品にヒケを発生させ
    る部分とヒケを発生させない部分とを制御することを特
    徴とする射出成形方法。
  2. 【請求項2】プラスチックを成形素材としてキャビティ
    内で成形品を射出成形する射出成形方法において、 前記キャビティを形成するキャビティ面に粗面部分と鏡
    面部分とを形成し、 前記キャビティ内に射出されたプラスチックと前記粗面
    部分との接触状態によって前記粗面部分と鏡面部分との
    間に温度差を発生させ、 前記プラスチックの固化スピードに差を与えることによ
    り、成形品にヒケを発生させる部分とヒケを発生させな
    い部分とを制御することを特徴とする射出成形方法。
  3. 【請求項3】プラスチックを成形素材として成形品を成
    形するためのキャビティを有する射出成形用金型におい
    て、 前記キャビティの一部を形成する第1キャビティ面を有
    する固定板及び可動板と、 前記キャビティの一部を形成する第2キャビティ面を有
    する突出ピンと、 前記第2キャビティ面を前記第1キャビティ面とは異な
    る温度で制御する温度制御手段と、を具備し、 前記キャビティ内に射出されたプラスチックの固化スピ
    ードに差を与えることにより、成形品にヒケを発生させ
    る部分とヒケを発生させない部分とを制御することを特
    徴とする射出成形用金型。
  4. 【請求項4】プラスチックを成形素材として成形品を成
    型するためのキャビティを有する射出成形用金型におい
    て、 前記キャビティを形成するキャビティ面に粗面部分と鏡
    面部分とが形成されており、前記キャビティ内に射出さ
    れたプラスチックと前記粗面部分との接触面積と、前記
    プラスチックと前記鏡面部分との接触面積との間に差を
    持たせ、 前記プラスチックの固化スピードに差を与えることによ
    り、成形品にヒケを発生させる部分とヒケを発生させな
    い部分とを制御することを特徴とする射出成形用金型。
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