JP2935818B2 - リニアリティコイル - Google Patents

リニアリティコイル

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JP2935818B2
JP2935818B2 JP7228647A JP22864795A JP2935818B2 JP 2935818 B2 JP2935818 B2 JP 2935818B2 JP 7228647 A JP7228647 A JP 7228647A JP 22864795 A JP22864795 A JP 22864795A JP 2935818 B2 JP2935818 B2 JP 2935818B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、テレビジョン受
像機などのブラウン管画像表示装置における画面上の水
平方向の画像の歪みを補正する水平直進性補正回路に用
いられるリニアリティコイルの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】ブラウン管画像表示装置における水平偏
向回路を構成する水平偏向コイルに流れる鋸歯状波電流
を、単一の部品でありながら、この電流による走査の始
め側と終わり側とでそれぞれ補正する合成インダクタン
スを生じさせるリニアリティコイルが、先に本出願人に
より開示されている。(特願平6−160754)
【0003】このリニアリティコイルは、互いに巻線の
向きを逆にした二個のコイルを直列に接続して構成され
ている。第一のコイルは、水平偏向コイルに流される鋸
歯状波電流による走査の始め側でインダクタンスを高く
し、走査の終り側でインダクタンスを低くする作用を有
する。これとは逆に、第二のコイルは、水平偏向コイル
に流される鋸歯状波電流による走査の始め側でインダク
タンスを低くし、走査の終り側でインダクタンスを高く
する作用を有する。したがって、両者の合成インダクタ
ンスは、水平偏向コイルに流れる鋸歯状波電流をこの鋸
波状波電流における走査の始め側と終わり側の双方にお
いて補正しうるものとなる。
【0004】インダクタンスが大きくなれば、鋸歯状波
電流は小さくなるので、この従来のリニアリティコイル
によれば、走査の初め側と終わり側とでそれぞれ水平偏
向コイルに流れる鋸波状波電流を部分的に小さくするよ
うに補正できる。したがってまた、インダクタンスの変
化率を大きくすれば、単位時間あたりの鋸波状波電流の
増減率が大きくなるように補正できる。
【0005】また、このリニアリティコイルを構成する
二個のコイルには、永久磁石が添装されて所望のバイア
スが付与されており、インダクタンスの変化の中心値が
与えられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、前記従来の
リニアリティコイルは、該リニアリティコイルを単一部
品化して設置基板面積を減少させるなどの観点から、該
リニアリティコイルを構成する一対のコイルを、各コイ
ルの磁心が略同一の線上に位置されるように近接して構
成していることから、一方のコイルより発生する磁気が
他方のコイルに少なからず影響を及ぼすものであった。
このため、一対のコイルの合成インダクタンスは、それ
ぞれのコイル単独のインダクタンスを単純に合成したも
のとはならないことが多く、所要の合成インダクタンス
を生じさせるコイルの組み合わせを選択する際に格別の
配慮を要するものであった。
【0007】また、前記インダクタンスは、コイルの巻
き線数に比例して増減する。したがって、例えば、前記
走査の終わり側において鋸歯状波電流の最大値を所定値
まで低める必要がある場合には、この走査の終わり側に
おいてインダクタンスの最大値が高まるように、例え
ば、前記第二のコイルの巻き線数を増やすことが通例試
みられる。しかし、従来のリニアリティコイルにおい
て、コイルの巻き線数を単純に増やした場合、インダク
タンスの最大値は高められても、この最大値を中心とし
たインダクタンスの変化は緩やかなものとなり易いた
め、前記走査の終わり側における鋸歯状波電流の補正を
適切になし難い場合があった。
【0008】そこでこの発明は、互いに逆向きの磁束を
生じるように構成され、かつ、直列に接続される一対の
コイルを近接して備えたリニアリティコイルにおいて、
第一に、一方のコイルより発生する磁気が他方のコイル
に及ぼす影響を可及的に減少させることを目的とする。
また、第二に、コイルの巻き線数を増やすことなく、イ
ンダクタンスの最大値を高め、かつ、この最大値をを中
心としたインダクタンスの増減率を大きくすることを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明では、互いに逆向きの磁束を生
じるように構成され、かつ、直列に接続される一対のコ
イルK、Kを近接して備えたリニアリティコイルA〜D
において、該一対のコイルK、Kの少なくとも一方が、
該コイルKによって生じる磁気を他方のコイルKに作用
させないように構成されたシールド部材を備えているも
のとした。
【0010】また、請求項2記載の発明では、互いに逆
向きの磁束を生じるように構成され、かつ、直列に接続
される一対のコイルK、Kを近接して備えたリニアリテ
ィコイルA〜Dにおいて、該一対のコイルK、Kには、
該コイルKに生じる磁極の一方または双方の側に、永久
磁石Mを備えてさせてあると共に、該一対のコイルK、
Kの少なくとも一方が、該コイルKによって生じる磁気
を他方のコイルKに作用させないように構成されたシー
ルド部材を備えているものとした。
【0011】また、請求項3記載の発明では、請求項1
又は請求項2記載のリニアリティコイルA〜Dにおける
シールド部材が、少なくとも一方の筒端40a側が塞が
れた強磁性材料からなる筒状ケース40としてあり、こ
の筒状ケース40の軸中心線方向にコイルKの磁心K’
を揃えるように、該筒状ケース40に一対のコイルK、
Kの少なくとも一方が収められている構成を備えたもの
とした。
【0012】さらに、請求項4記載の発明では、請求項
1、請求項2、又は請求項3記載のリニアリティコイル
A〜Dが、前記一対のコイルK、Kを、両コイルK、K
の磁心の軸線K’が略同一線上に揃うように、備える構
成のものとした。
【0013】
【発明の実施の態様】以下、この発明の実施の形態を、
図1ないし図7に基づいて説明する。
【0014】なお、図1ないし図3は、この発明の典型
的な実施の形態の一つとされるリニアリティコイルAの
全体構成を理解し易いように、該リニアリティコイルA
を構成する各部品、すなわち、前記一対のコイルK、K
としてのコイル10および11、永久磁石Mとしての永
久磁石20および30、筒状ケース40、ベース50に
分解した状態で(図1)、また、リニアリティコイルA
を縦断面の状態として(図2)、さらに、側面から見た
状態で(図3)、それぞれ示している。
【0015】また、図4は、リニアリティコイルAに流
される鋸波状波電流Iと、このリニアリティコイルAを
構成する前記コイル10のインダクタンスとコイル11
のインダクタンスとの合成インダクタンスLとの関係を
波形図として示すと共に(図4における上側の図)、該
鋸波状波電流Iの時間tの経過に伴う変化の状態を波形
図として示している。(図4における下側の図)
【0016】また、図5ないし図7は、図1ないし図3
に示されるリニアリティコイルAの構成の一部を変更し
て構成されるリニアリティコイルB、C、Dをそれぞ
れ、縦断面の状態として示している。
【0017】以上の各図に示されるリニアリティコイル
A〜Dは、テレビジョン受像機などのブラウン管画像表
示装置における画面上の水平方向の画像の歪みを補正す
る水平直進性補正回路に用いられ、この水平偏向回路を
構成する水平偏向コイルに流れる鋸歯状波電流を、単一
の部品でありながら、走査の始め側と終わり側とでそれ
ぞれ補正する合成インダクタンスLを生じさせる機能を
有する。
【0018】すなわち、この実施の形態におけるリニア
リティコイルA〜Dは、互いに逆向きの磁束を生じるよ
うに構成され、かつ、直列に接続される一対のコイル
K、Kを近接して備えていると共に、該一対のコイル
K、Kの少なくとも一方が、該コイルKによって生じる
磁気を他方のコイルKに作用させないように構成された
シールド部材を備えている。
【0019】かかる構成より、この実施の形態における
リニアリティコイルA〜Dによれば、一方のコイルKよ
り発生する磁気が他方のコイルKに及ぼす影響を減少さ
せることができる。この結果、一対のコイルK、Kの合
成インダクタンスLは、それぞれのコイルK単独のイン
ダクタンスを合成したものに近似したものとされるの
で、所要の合成インダクタンスLを生じさせるために必
要とされる一対のコイルK、Kを容易に選択して、リニ
アリティコイルを構成することができる。
【0020】また、互いに逆向きの磁束を生じるように
構成され、かつ、直列に接続される一対のコイルK、K
を近接して備えたリニアリティコイルA〜Dにおいて、
該一対のコイルK、Kに、該コイルKに生じる磁極の一
方または双方の側に、永久磁石M、Mを備えさせると共
に、該一対のコイルK、Kの少なくとも一方が、該コイ
ルKによって生じる磁気を他方のコイルKに作用させな
いように構成されたシールド部材を備えている構成とす
ることが、この発明の最良の実施の形態の一つとされ
る。
【0021】かかる構成より、リニアリティコイルを構
成する二個のコイルK、Kに、永久磁石Mの磁界に応じ
た所望のバイアスを付与させることができると共に、一
方のコイルKより発生する磁気および該一方のコイルK
に備えられた永久磁石Mが他方のコイルKに及ぼす影響
を減少させることができる。
【0022】この結果、この実施の形態においても、一
対のコイルK、Kの合成インダクタンスLは、それぞれ
のコイルKの単独のインダクタンスを合成したものに近
似したものとされるので、所要の合成インダクタンスL
を生じさせるために必要とされる一対のコイルK、Kを
容易に選択して、リニアリティコイルを構成することが
できる。
【0023】また、前記実施の形態におけるリニアリテ
ィコイルにおいて、シールド部材が、少なくとも一方の
筒端40a側が塞がれた強磁性材料からなる筒状ケース
40としてあり、この筒状ケース40の軸中心線方向に
コイルKの磁心K’を備えるように、該筒状ケース40
に一対のコイルK、Kの少なくとも一方Kを収める構成
とすることがこの発明の最良の実施の形態の一つとされ
る。
【0024】かかる構成より、近接して設けられた一方
のコイルKに生じる磁気が、他方のコイルKに与える影
響を低減することができると共に、筒状ケース40によ
りコイルKに添装された永久磁石Mの漏れ磁束を少なく
することができ、磁心K’を通る該永久磁石Mの磁束密
度を高くさせることができる。ここで、インダクタンス
は、コイルKの磁心K’を通る磁束密度が高いほど最大
値が高くなり、また、この磁束密度を高くした場合、こ
の最大値を中心とした増減率が大きくなることが認めら
れる。したがって、このリニアリティコイルを構成する
一対のコイルK、Kのうち筒状ケース40に収められた
一方のコイルKは、同様の巻き線数のコイルKに比し、
そのインダクタンスの最大値を高くし、かつ、該最大値
を中心としたインダクタンスの増減率を大きくする。
【0025】この結果、この実施の形態におけるリニア
リティコイルによれば、水平偏向コイルに流れる鋸歯状
波電流に対して、例えば、この電流による走査の終わり
側におけるこの電流の最大値を所定値まで低める補正を
適切に行うことができる。
【0026】また、前記実施の形態におけるリニアリテ
ィコイルにおいて、一対のコイルK、Kを、両コイル
K、Kの磁心K’の軸線が略同一線上に揃うように備え
る構成とすることが、この発明の最良の実施の形態の一
つとされる。
【0027】かかる構成より、特に、前記機能を有する
リニアリティコイルの設置基板面積を最小のものとする
ことができる。
【0028】次いで、図1ないし図4に基いて、この発
明の典型的な実施の形態の一つとされるリニアリティコ
イルAについて詳細に説明する。
【0029】このリニアリティコイルAは、図1および
図2に特に示されるように、磁心K’としてのドラム型
磁心10aを備えるコイル10と、磁心K’としてのド
ラム型磁心11aを備えるコイル11とを、両コイル1
0、11の磁心10a、11aの軸線が略同一線上に揃
うように、コイル10を上側に、コイル11を下側に配
して構成されている。
【0030】上側に配されるコイル10は、下側に配さ
れるコイル11に向き合わない側にある磁心10aの鍔
10a’に厚さ方向に着磁された円盤状をなす永久磁石
20を添装して備えており、この永久磁石20の磁気に
より所望の直流バイアスが付与される構成とされてい
る。
【0031】一方、下側に配されるコイル11は、上側
に配されるコイル10に向き合わない側にある磁心11
aの鍔11a’下面に厚さ方向に着磁された円盤状をな
す永久磁石30を添装して備えており、この永久磁石3
0の磁気により所望の直流バイアスが付与される構成と
されている。
【0032】この実施の形態においては、前記コイル1
0および11は、いずれもドラム型磁心10a、11a
の両鍔10a’、10a’・11a’、11a’間の小
径部10a”、11a”に巻線をして構成されている。
また、両コイル10および11の巻線方向は互いに逆向
きであり、この結果、両コイル10および11は互いに
逆向きの磁束を生じさせる構成とされている。
【0033】また、前記永久磁石20および30は、前
記コイル10、11に対して、該コイル10、11に生
じる磁極の磁性と異極となるように磁極を向けて、該コ
イル10、11の前記鍔10a’、11a’に前記のよ
うに添装してある。
【0034】すなわち、例えば、前記上側に配されるコ
イル10が上側の鍔10a’にN極を、下側の鍔10
a’にS極を現わさせるように巻線されており、かつ、
前記下側に配されるコイル11が上側の鍔11a’にS
極を、下側の鍔11a’にN極を現わさせるように巻線
されている場合にあっては、前記コイル10の上側の鍔
10a’にS極が向けられるように永久磁石20は添装
され、また、前記コイル11の下側の鍔11a’にS極
が向けられるように永久磁石30が添装される。(図2
参照)
【0035】また、この実施の形態においては、前記下
側に配されるコイル11が、該コイル11によって生じ
る磁気を前記上側に配されるコイル10に作用させない
ように構成されたシールド部材として、一方の筒端40
a側が塞がれると共に、例えばフェライト、鉄等の強磁
性材料からなり、かつ、前記コイル11を内部に収める
筒状ケース40が用いられている。
【0036】すなわち、この実施の形態においては、前
記筒状ケース40は、前記下側に配されるコイル11お
よびコイル11に添装された前記永久磁石30の双方
を、この筒状ケース40の軸中心線方向にコイル11の
磁心および永久磁石30の中心線を備えるように収め入
れる内部空間を有している。そして、前記コイル11
は、上側の鍔11a’を筒状ケース40の塞がれた一方
の筒端40a内側面に接しさせるように、該筒状ケース
40の開口された他方の筒端40b側から、該筒状ケー
ス40内に収められている。そして、該筒状ケース40
の一方の筒端40aの外側面が前記上側に配されるコイ
ル10の下側の鍔10a’に接する構成とされている。
【0037】この結果、この実施の形態においては、こ
の筒状ケース40により、前記上側に配されるコイル1
0および永久磁石20より生じる磁気が下側に配される
コイル11に及ぼす影響を減少させることができ、従っ
て、また、前記下側に配されるコイル11および永久磁
石30により生じる磁気が上側に配されるコイル10に
及ぼす影響を減少させることができる。
【0038】また、前記下側に配されるコイル11から
生じる磁気の外部への漏れ出しを、前記筒状ケース40
により減少させることができ、この結果、該コイル11
の磁心11aを通る磁束密度を高くすることができる。
【0039】また、この実施の形態においては、略円盤
状をなすベース50に対して、前記のようにコイル11
および永久磁石30を収めた筒状ケース40を、該筒状
ケース40の開口された筒端40b側で接するように載
せ置くと共に、この筒状ケース40の塞がれた筒端40
a側に前記コイル10および永久磁石20を載せ置い
て、これら各部材を接着などして固定、組み付け、しか
る後に、プラスチック製のフィルム状のチューブ60
で、これら永久磁石20、コイル10および筒状ケース
40並びにベース50の下面を除く箇所を覆っている。
【0040】なお、この実施の形態においては、ベース
50の下面に、4本の端子51、51…が設けてあり、
コイル10の巻線の両端をこの端子51、51…のいず
れか2本にそれぞれ結線させると共に、コイル11の巻
線の両端をその余の2本の端子51、51…にそれぞれ
結線させる構成としてある。この結果、該端子51、5
1…を直列回路に接続することにより、前記コイル10
および11を直列に接続して用いることができる。
【0041】以上のように構成されるこの実施の形態に
おけるリニアリティコイルAは、互いに逆向きの磁束を
生じるように構成され、かつ、直列に接続される一対の
コイル10、11を備えることから、このリニアリティ
コイルAに図4の下図に示されるように時間tの経過に
伴って周期的に増減を繰り返す、前記水平偏向回路を構
成する水平偏向コイルに流される鋸波状波電流Iを流し
た場合、このリニアリティコイルAによる合成インダク
タンスLは、図4の上図に示されるように、該鋸波状波
電流Iが最小値を示す側、すなわち、このリニアリティ
コイルAから出力されて水平偏向コイルに入力される該
電流Iによる走査の始め側において、前記上側に配され
るコイル10の特性により部分的に大きくなり、かつ、
該電流Iが最大値を示す側、すなわち、該電流Iによる
走査の終り側においてまた、前記下側に配されるコイル
11の特性により部分的に大きくなる。
【0042】特に、この実施の形態においては、前記上
側に配されるコイル10に比し、下側に配されるコイル
11の巻き線数を少なく構成してあり、コイルのインダ
クタンスは巻き線数に比例して大きくなることから、こ
のリニアリティコイルAによる合成インタクタンスL
は、前記電流Iが最小値を示す前記走査の始め側におけ
るピークL’における値に比べて、前記電流Iが最大値
を示す前記走査の終り側におけるピークL”における値
を低くする特性を示す。
【0043】また、巻き線数の少ない前記下側に配され
るコイル11は、前記筒状ケース40に収められてお
り、コイル11より生じる磁束の漏れが減少されること
が想定され、このことに起因して、コイル11によりも
たらされる前記走査の終り側の合成インダクタンスLの
変化は、コイル11の巻き線数に比してピークL”にお
ける合成インダクタンスLの値を高くし、また、このピ
ークL”を中心としてインダクタンスLの増減率を大き
くするような変化、すなわち、ピークL”を中心として
合成インダクタンスLの波形を急峻とさせるように変化
することが認められる。
【0044】以上に説明したリニアリティコイルAは、
該リニアリティコイルAの上側に配されたコイル10の
上側の鍔10a’に永久磁石20を添装すると共に、該
リニアリティコイルAの下側に配されたコイル11の下
側の鍔11a’に永久磁石30を添装する構成とされて
いるが、この発明の実施の形態の一つとして、上側に配
されるコイル10の下側の鍔10a’の下側面にこのコ
イル10の該鍔10a’側に生じる磁極と異極になるよ
うに永久磁石20を添装した構成としても良い。(図
5、リニアリティコイルB)
【0045】また、上側に配されるコイル10の下側の
鍔10a’の下側面にこのコイル10の該鍔10a’側
に生じる磁極と異極になるように永久磁石20を添装す
ると共に、下側に配されるコイル11の上側の鍔11
a’の上側面にこのコイル11の該鍔11a’側に生じ
る磁極と異極になるように永久磁石30を添装した構成
としても良い。(図6、リニアリティコイルC)
【0046】また、上側に配されるコイル10の上側の
鍔10a’の上側面にこのコイル10の該鍔10a’側
に生じる磁極と異極になるように永久磁石20を添装す
ると共に、下側に配されるコイル11の上側の鍔11
a’の上側面にこのコイル11の該鍔11a’側に生じ
る磁極と異極になるように永久磁石30を添装した構成
としても良い。(図7、リニアリティコイルD)
【0047】また、必要に応じて、上側に配されるコイ
ル10の上下両側の鍔10a’10a’の双方に一対の
永久磁石20、20がそれぞれ添装されるように、ある
いは、下側に配されるコイル11の上下両側の鍔11
a’、11a’の双方に一対の永久磁石30、30がそ
れぞれ添装されるようにして、リニアリティコイルAを
構成しても良い。
【0048】また、リニアリティコイルAを構成する一
対のコイル10、11の双方をそれぞれ前記筒状ケース
40に収めて、それぞれのコイル10、11において該
コイル10、11により生じる磁束の漏れを減少できる
ように構成しても良い。
【0049】
【実施例】次いで、図8ないし図11に基いて、この発
明の実施例を説明する。先ず前記発明の実施の形態にお
いて説明したリニアリティコイルAの構成を備えた実施
例を、以下のように構成、用意した。
【0050】リニアリティコイルAの上側に配されるコ
イル10は、磁心10aの長さを10mm,磁心10a
の径を4.5mmとし、巻き線数を37.5回としたも
のを用いた。また、コイル10に添装される永久磁石2
0は、直径を15mm,厚さを6mmとしたフェライト
製のものを用いた。リニアリティコイルAの下側に配さ
れるコイル11は、磁心11aの長さを9mm,磁心1
1aの径を4.5mmとし、巻き線数を11.5回とし
たものを用いた。また、コイル10に添装される永久磁
石30は、直径を15mm,厚さを3mmとしたフェラ
イト製のものを用いた。コイル11を収める筒状ケース
40は、内径を16mm,上側に配されるコイル10の
鍔10a’に接する筒端40a部の厚さを2.5mmと
したフェライト製のものを用いた。
【0051】次いで図8に示される構成を備えた比較例
を、以下のように構成、用意した。
【0052】比較例に係るリニアリティコイルの上側に
配されるコイル100は、磁心100aの長さを10m
m,磁心100aの径を4.5mmとし、巻き線数を3
7.5回としたものを用いた。また、コイル100に添
装される永久磁石200は、直径を15mm,厚さを6
mmとしたフェライト製のものを用いた。比較例に係る
リニアリティコイルの下側に配されるコイル101は、
磁心101aの長さを9mm,磁心101aの径を4.
5mmとし、巻き線数を11.5回としたものを用い
た。また、コイル10に添装される永久磁石300は、
直径を15mm,厚さを3mmとしたフェライト製のも
のを用いた。コイル100の下側の鍔100a’とコイ
ル101の上側の鍔101a’との間には、前記実施例
の筒状ケース40の肉厚と等しい、厚さを2.5mmと
するゴム製のスペーサ400を挟み込み状に設けた。コ
イル100とコイル101とは、相互に逆向きの磁束を
生じるように、その巻き線方向を異ならせて用意した。
【0053】比較例に係るリニアリティコイルを構成す
るコイル100に対して、±4アンペアの範囲の電流I
を流したところ、このコイル100は、−4アンペアか
ら0アンペアの範囲でインダクタンスの値を比較的大き
くし、かつ、−2.5アンペア付近でインダクタンスを
最大とすると共に、0アンペアから+4アンペアの範囲
ではインダクタンスの値を略10μH前後で横這とする
特性を示すことが認められた。(図9において破線で示
す波形)
【0054】次いで、比較例に係るリニアリティコイル
を構成するコイル101に対して、±4アンペアの範囲
の電流Iを流したところ、このコイル101は、−4ア
ンペアから0アンペアの範囲でインダクタンスの値を比
較的小さくすると共に、0アンペアから+4アンペアの
範囲ではインダクタンスの値を略10μHで横這とする
特性を示すことが認められた。(図9において一点鎖線
で示す波形)
【0055】次いで、比較例に係るリニアリティコイル
を構成するコイル100および101の双方に対して、
±4アンペアの範囲の電流Iを流したところ、−4アン
ペアから0アンペアの範囲でインダクタンスの値を比較
的大きくし、かつ、−2.5アンペア付近でインダクタ
ンスを最大とすると共に、−2アンペアから0アンペア
の範囲で急激にインダクタンスを減少させ、かつ、0ア
ンペアから+4アンペアの範囲ではインダクタンスの値
を略20μH前後で横這とする合成インダクタンスL−
aを示すことが認められた。(図9において実線で示す
波形)
【0056】一方、実施例に係るリニアリティコイルA
を構成するコイル10に対して、±4アンペアの範囲の
電流Iを流したところ、このコイル10は、−4アンペ
アから0アンペアの範囲でインダクタンスの値を比較的
大きくし、かつ、−3.5アンペア付近でインダクタン
スを最大とすると共に、−3アンペアから−1アンペア
の範囲で急激にインダクタンスを減少させ、0アンペア
から+4アンペアの範囲ではインダクタンスの値を略1
0μH前後で横這とする特性を示すことが認められた。
(図10において破線で示す波形)
【0057】次いで、実施例に係るリニアリティコイル
Aを構成するコイル11に対して、±4アンペアの範囲
の電流Iを流したところ、このコイル11は、−4アン
ペアから0アンペアの範囲でインダクタンスの値を比較
的小さくすると共に、0アンペアから+4アンペアの範
囲ではインダクタンスの値を比較的大きくし、かつ、+
2アンペアから+3アンペアの範囲でインダクタンスを
急激に大きくさせ、+3アンペア付近でインダクタンス
の値を略30μHとすると共に、+3アンペアから+4
アンペアの範囲でインダクタンスの値を小さくする特性
を示すことが認められた。(図10において一点鎖線で
示す波形)
【0058】次いで、実施例に係るリニアリティコイル
Aを構成するコイル10および11の双方に対して、±
4アンペアの範囲の電流Iを流したところ、−4アンペ
アから0アンペアの範囲でインダクタンスの値を比較的
大きくし、かつ、−3.5アンペア付近でインダクタン
スの値を略110μHと最大とすると共に、−3アンペ
アから−1アンペアの範囲で急激にインダクタンスを減
少させて0アンペア付近でインダクタンスの値を略15
μHとし、この後、+2アンペアから+3アンペアの範
囲で再びインダクタンスの値を略40μHまで急激に大
きくさせる合成インダクタンスL−bを示すことが認め
られた。(図10において実線で示す波形)
【0059】前記比較例と実施例との比較の結果、筒状
ケース40を用いない比較例に対して、筒状ケース40
を用いた実施例は、前記電流Iが+2アンペアから+3
アンペアとされる範囲において、合成インダクタンスL
−bの値を大きくし、かつ、+3アンペア付近で示され
るピークを中心とした増減率を大きくすることが認めら
れた。
【0060】この結果、比較例においては、コイル10
0とコイル101との合成インダクタンスL−aは、0
アンペアから+4アンペアの範囲において比較的小さ
く、かつ、その増減率を小さくするのに対して、実施例
においては、コイル10とコイル11との合成インダク
タンスL−bは、−3.5アンペアから−1アンペアの
範囲において値を大きくし、かつ、−3.5アンペア付
近のピークを中心とした増減率を大きくするばかりか、
+2アンペアから+3アンペアの範囲において、再び値
を大きくし、かつ、+3アンペア付近のピークを中心と
した増減率を大きくすることが認められた。
【0061】なお、前記発明の実施の形態において説明
したリニアリティコイルAの構成を備えた実施例を、サ
イズコイル、コンデンサ、チョークコイルを用いないで
構成される水平直進性補正回路に組み込んだ状態で、松
下電気株式会社製のNTSCCOLOR BAR GE
NERATOR(製品番号VP−8552A)によるク
ロスハッチングを32インチのテレビジョン受像機のブ
ラウン管画面に表示させて、表示されたクロスハッチン
グのうち画面の両端に位置する該画面の上下方向に沿っ
た一対の縦線間の間隔612.5mmを17等分にした
寸法36.03mmに対する隣り合う一対の縦線間の間
隔の比率を算出したところ、画面の両端の縦線間の間隔
を17等分にした寸法36.03mmに対する隣り合う
一対の縦線間の間隔の偏差が特に画面の両端側において
も+−3%以内に収まることが認められ、走査の初め側
のみならず走査の終り側においても実施例に係るリニア
リティコイルを用いると、画面の水平方向の画像の歪を
効果的に低減できることが認められた。(図11参照、
なお図11においてグラフの横軸に表示されている番号
は、画面に表示されることが可能なクロスハッチングを
構成する縦線のうち実際に画面に表示された縦線の画面
の左側からの順番を示しており、したがってまた、同図
中における例えば1−2との表示は、画面に表示された
1番目の縦線と2番目の縦線との間の間隔を示してい
る。)
【0062】
【発明の効果】請求項1記載の発明に係るリニアリティ
コイルは、互いに逆向きの磁束を生じるように構成さ
れ、かつ、直列に接続される一対のコイルK、Kを近接
して備えていると共に、該一対のコイルK、Kの少なく
とも一方が、該コイルKによって生じる磁気を他方のコ
イルKに作用させないように構成されたシールド部材を
備えており、一方のコイルKより発生する磁気が他方の
コイルKに及ぼす影響を減少させることができる特長を
有する。
【0063】また、請求項2記載の発明では、互いに逆
向きの磁束を生じるように構成され、かつ、直列に接続
される一対のコイルK、Kを近接して備えたリニアリテ
ィコイルにおいて、該一対のコイルK、Kに、該コイル
Kに生じる磁極の一方または双方の側に、永久磁石Mを
備えさせると共に、該一対のコイルK、Kの少なくとも
一方が、該コイルKによって生じる磁気を他方のコイル
Kに作用させないように構成されたシールド部材を備え
ており、リニアリティコイルを構成する二個のコイル
K、Kに、永久磁石Mの磁界に応じた所望の直流バイア
スが付与させることができると共に、一方のコイルKよ
り発生する磁気および該一方のコイルKに備えられた永
久磁石Mが他方のコイルKに及ぼす影響を減少させるこ
とができる特長を有する。
【0064】また、請求項3記載の発明では、特に、リ
ニアリティコイルを構成するシールド部材が、少なくと
も一方の筒端40a側が塞がれた強磁性材料からなる筒
状ケース40としてあり、この筒状ケース40の軸中心
線方向にコイルKの磁心を揃えるように、該筒状ケース
40に一対のコイルK、Kの少なくとも一方を収める構
成とすることから、近接して設けられた一方のコイルK
に生じる磁束が、他方のコイルKに与える影響を低減す
ることができると共に、筒状ケース40によりコイルK
に添装された永久磁石Mの漏れ磁束を少なくして、磁心
K’を通る該永久磁石Mの磁束密度を高くさせることが
でき、また、これを通じて、このリニアリティコイルを
構成する一対のコイルK、Kのうち筒状ケース40に収
められた一方のコイルKについては、同様の巻き線数の
コイルKに比し、そのインダクタンスの最大値を高く
し、かつ、該最大値を中心としたインダクタンスの増減
率を大きくさせることができる特長を有する。
【0065】また、請求項4記載の発明では、特に、リ
ニアリティコイルを構成する一対のコイルK、Kを、両
コイルKの磁心の軸線が略同一線上に揃うように備える
構成とすることから、特に、前記機能を有するリニアリ
ティコイルの設置基板面積を最小のものとすることがで
きる特長を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】リニアリティコイルAの分解斜視図
【図2】リニアリティコイルAの縦断面図
【図3】リニアリティコイルAの側面図
【図4】リニアリティコイルAに流される鋸歯状波電流
Iと合成インダクタンスLとの関係を示す波形図(上の
図)および該鋸歯状波電流Iと時間tとの関係を示す波
形図(下の図)
【図5】リニアリティコイルBの縦断面図
【図6】リニアリティコイルCの縦断面図
【図7】リニアリティコイルDの縦断面図
【図8】比較例に係るリニアリティコイルの縦断面図
【図9】比較例に係るリニアリティコイルに流される電
流Iと合成インダクタンスL−aとの関係を示す波形図
【図10】実施例に係るリニアリティコイルに流される
電流Iと合成インダクタンスL−bとの関係を示す波形
【図11】実施例に係るリニアリティコイルを水平直進
性補正回路に組み込んだテレビジョン受像機のブラウン
管画面の水平方向の歪み率を示す説明図
【符号の説明】
K コイル K’ 磁心 M 永久磁石 40 筒状ケース 40a 筒端

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに逆向きの磁束を生じるように構成
    され、かつ、直列に接続される一対のコイルを近接して
    備えたリニアリティコイルにおいて、 該一対のコイルの少なくとも一方が、該コイルによって
    生じる磁気を他方のコイルに作用させないように構成さ
    れたシールド部材を備えていることを特徴とするリニア
    リティコイル。
  2. 【請求項2】 互いに逆向きの磁束を生じるように構成
    され、かつ、直列に接続される一対のコイルを近接して
    備えたリニアリティコイルにおいて、 該一対のコイルには、該コイルに生じる磁極の一方また
    は双方の側に、永久磁石を備えてさせてあると共に、 該一対のコイルの少なくとも一方が、該コイルによって
    生じる磁気を他方のコイルに作用させないように構成さ
    れたシールド部材を備えていることを特徴とするリニア
    リティコイル。
  3. 【請求項3】 シールド部材が、少なくとも一方の筒端
    側が塞がれた強磁性材料からなる筒状ケースとしてあ
    り、 この筒状ケースの軸中心線方向にコイルの磁心を揃える
    ように、該筒状ケースに一対のコイルの少なくとも一方
    が収められていることを特徴とする請求項1又は請求項
    2記載のリニアリティコイル。
  4. 【請求項4】 一対のコイルを、両コイルの磁心の軸線
    が略同一線上に揃うように、備えたことを特徴とする請
    求項1、請求項2又は請求項3記載のリニアリティコイ
    ル。
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