JP2934594B2 - シンクロトロン放射光ビーム集光装置 - Google Patents

シンクロトロン放射光ビーム集光装置

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JP2934594B2
JP2934594B2 JP25577395A JP25577395A JP2934594B2 JP 2934594 B2 JP2934594 B2 JP 2934594B2 JP 25577395 A JP25577395 A JP 25577395A JP 25577395 A JP25577395 A JP 25577395A JP 2934594 B2 JP2934594 B2 JP 2934594B2
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正弘 遠藤
順一郎 棚瀬
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、円形粒子加速器
(シンクロトロン)から取出したシンクロトロン放射光
ビームをミラーにより反射させて集光し、実験装置に導
くためのシンクロトロン放射光ビーム集光装置に関する
もので、さまざまな物質の物性を調べたり、タンパク質
の構造を解明する等、物質科学や生命科学の基礎研究や
半導体素子開発等、最先端の技術分野に広く適用するこ
とができる。
【0002】
【従来の技術】シンクロトロン放射光は円形粒子加速器
(シンクロトロン)から取出されるが、このシンクロト
ロン放射光の光軸は平行ではなく、縦方向へはわずかに
拡散する傾向があるのに対し、横方向へは大きく拡散す
る傾向にある。
【0003】そのため、シンクロトロン放射光ビームを
特定の方向に集光させるには、縦方向成分については極
く小さく精密に屈折させ、横方向成分については大きく
屈折させる必要がある。一般には、横断面が凹面状の長
尺ミラーを超高真空中に設置し、その長尺ミラーにより
シンクロトロン放射光ビームを反射させて横方向成分を
一点に集光するように屈折させているが、縦方向成分に
ついては極く小さく精密に屈折させる必要があるため、
長尺ミラーを長手方向にわずかに弯曲させて、縦方向成
分の屈折を微調整できるようにしておくことが望まし
い。
【0004】そこで、従来のシンクロトロン放射光ビー
ム集光装置は、横断面が凹面状の長尺ミラーを超高真空
中に設置し、その長尺ミラーを枠体により保持せしめ、
その枠体の底面を、長尺ミラーの両端より中央寄りに位
置する支点で支持し、枠体の両端に下向き押圧力を作用
させて、長尺ミラーを長手方向に上向きにわずかに弯曲
させるか、或は枠体の底面を長尺ミラーの両端に位置す
る支点で支持し、枠体の両端より中央寄りの2点に下向
きの押圧力を作用させて、長尺ミラーを長手方向に下向
きにわずかに弯曲させることにより、シンクロトロン放
射光の縦方向成分の屈折を微調整し、シンクロトロン放
射光ビームを特定の方向に集光させるようにしていた。
この弯曲機構は4点曲げ方式と称されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記
点曲げ方式を採用した従来のシンクロトロン放射光ビー
ム集光装置においては、長尺ミラーを保持する枠体の両
端又は中央寄りの2点に、それぞれ別々に作動される油
圧シリンダー等の機械的な牽引手段を介して押圧力を作
用させ、長尺ミラーを長手方向にわずかに弯曲させるよ
うにしているため、2点における押圧力のバランスを取
るのがきわめてむずかしく、少しでもアンバランスであ
ると、シンクロトロン放射光の光軸に乱れを生じて、シ
ンクロトロン放射光ビームを所定の位置に集光させるこ
とができず、シンクロトロン放射光の縦方向成分の屈折
を微調整するのに相当の熟練を必要とし、制御しずらい
と言う欠点があった。又、4点曲げ方式の従来の装置に
おいては、長尺ミラーに押圧力が直接的に作用するた
め、超精密に表面加工された高価な長尺ミラーが破損し
やすいと言う欠点があった。
【0006】本発明は、上記従来の欠点に鑑みて提案さ
れたもので、シンクロトロン放射光の縦方向成分の屈折
を精密かつ容易に微調整することができ、制御が容易で
あると共に、軽量でコンパクトに製作することができ、
長尺ミラーの破損を防止し得るシンクロトロン放射光ビ
ーム集光装置を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するために、超高真空中に設置され、シンクロトロン
放射光ビームを反射させる横断面が凹面状の長尺ミラー
と、その長尺ミラーの両端をそれぞれ上下から面状に
ランプする両側面に支軸を有する枠形をした固定部材
と、その固定部材の支軸を軸受を介して支承する支柱に
支持された外枠とを有し、アームにより各外枠に支持せ
しめたステップモータと各固定部材の支軸とをそれぞれ
トーションバーを介して同一軸芯線上で連結せしめて、
シンクロトロン放射光ビーム集光装置を構成したことを
特徴とするものである。
【0008】本発明のシンクロトロン放射光ビーム集光
装置は上記のような手段をもって構成されているので、
ステップモータを駆動すると、ステップモータがステッ
プ状に回転し、その回転力はトーションバーを介して両
固定部材の支軸にそれぞれ作用されるため、固定部材に
よって上下から面状にクランプされた長尺ミラーには、
外枠の軸受に支承された固定部材の支軸の軸芯回りの曲
げモーメントが作用して、長尺ミラーが長手方向に弯曲
され、シンクロトロン放射光の縦方向成分の屈折はステ
ップモータによって精密に微調整され、任意に制御され
ることになる。なお、ステップモータ15のステップの
回転力はトーションバーの弾性によって緩衝されるの
で、長尺ミラーに過大な曲げモーメントが直接的に作用
することはなく、長尺ミラーの破損は防がれる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示す実施の形
態に基づいて具体的に説明する。図1は、本発明実施の
一形態を示すシンクロトロン放射光ビーム集光装置の部
分縦断側面図で、図2はそのシンクロトロン放射光ビー
ム集光装置の左端の上部を一部取外した平面図を示し、
図3は図2における矢視A−A線に沿った横断面図であ
る。
【0010】図において、1はシンクロトロン放射光ビ
ームを反射させる長尺ミラーで、その横断面は凹面状に
形成され、鏡面2を上にして超高真空中に設置されてい
る。3は長尺ミラー1の両端をクランプする枠形をした
固定部材で、天板3a、底板3b、両側板3c、3cよ
り構成され、ボルト4にて固定されている。
【0011】5は長尺ミラー1を無理なく押圧して保持
する板状をしたスペーサで、固定部材3の天板3aと長
尺ミラー1の上面両側との間に介装され、ボルト6にて
天板3aに取付けられている。従って、長尺ミラー1は
上下から面状にクランプされていることになる。7は固
定部材3の両側板3c、3cの両側面に設けられた水平
方向の支軸である。
【0012】8は固定部材3を囲む外枠で、天枠8a、
底枠8b、両側枠8c、8cより構成され、ボルト9に
て固定されている。10は軸受で、固定部材3の両側面
に水平に設けられた支軸7は、この軸受10を介して外
枠8の両側枠8c、8cに支承されている。
【0013】11は架台12に立設された支柱で、外枠
8は、その底板8bを支柱11の上端のフランジ13に
ボルト14にて固定することにより、支柱11に支持さ
れている。
【0014】15はギヤ付のステップモータで、下端が
ボルト16により底枠8bに固定されたアーム17にボ
ルト18にて固定され、外枠8に支持せしめられてい
る。19はトーションバーで、アーム17により各外枠
8に支持せしめられたステップモータ15と各固定部材
3の支軸7とは、トーションバー19を介して同一軸芯
線上で連結せしめられている。なお、20は外枠8の天
枠8aに設けられたボルト6調整用の穴である。
【0015】上記のように構成されたシンクロトロン放
射光ビーム集光装置においては、ギヤ付のステップモー
タ15を駆動させると、ステップモータ15はパルス入
力によってステップ状に回転し、その回転力はトーショ
ンバー19を介して固定部材3の支軸7に伝達されるこ
とになる。この時、ステップモータ15のステップ状の
回転力は、トーションバー19の弾性によって緩衝され
るため、ステップモータ15によって両固定部材3、3
が、軸受10を介して外枠8に支承された支軸7の軸芯
回りに回動しても、固定部材3により面状にクランプさ
れた長尺ミラー1には過大な曲げモーメントが直接的に
作用することはない。
【0016】従って、長尺ミラー1は、その両端に均等
に曲げモーメントが徐々に作用して、長手方向に弯曲さ
れるので、超高真空中において長尺ミラー1により反射
されるシンクロトロン放射光の縦方向成分は、長尺ミラ
ー1の長手方向の弯曲度に応じて精密に屈折されること
になる。なお、ステップモータ15はデジタル制御が可
能であり、長尺ミラー1の長手方向の弯曲度の目標値と
実測値との誤差信号を利用してフィードバック制御を行
い、シンクロトロン放射光の縦方向成分の屈折の微調整
制御を容易に行うことができる。但し、固定部材3や外
枠8等は、図示の実施の形態に限定されるものではな
く、適宜設計変更可能であることは言うまでもない。
【0017】又、トーションバー19は、その一端がス
テップモータ15の回転力によりねじられると、他端に
はトーションバー19の横性係数に応じた回転力が発
生するため、トーションバー19の径や長さを変更した
り、左右で異なる特性のトーションバー19を使用する
だけで、ステップモータ15を変更することなく、各種
の長尺ミラー1に対応することができ、トーションバー
19と長尺ミラー1の特性値から、ステップモータ15
の回転量に対応する長尺ミラー1の長手方向の弯曲度を
あらかじめ計算により算出しておくこともできる。
【0018】但し、長尺ミラー1の両端は、それぞれト
ーションバー19を介して別々のステップモータ15に
より曲げモーメントが作用されるようになっているた
め、両方のステップモータ15を同期させれば、長尺ミ
ラー1は左右対称に弯曲し、両方のステップモータ15
に別々に異なるパルス数を入力して駆動すれば、長尺ミ
ラー1を左右非対称に弯曲させることができ、シンクロ
トロン放射光の縦方向成分をさらに複雑に屈折させて、
特殊な実験等にも対応することが可能である。
【0019】
【発明の効果】以上具体的に説明したように、本発明に
よれば、トーションバーを介して長尺ミラーに曲げモー
メントを作用させているので、長尺ミラーに無理な負荷
がかからず、高価な長尺ミラーを破損させる恐れはな
い。又、両固定部材の支軸とトーションバーとステップ
モータとは、それぞれ同一軸芯線上で連結されているの
で、長尺ミラーの両端にそれぞれ必要な曲げモーメント
を正確に作用させて、シンクロトロン放射光の縦方向成
分の屈折を精密に微調整することができ、フィードバッ
ク制御等も容易である。
【0020】又、使用する長尺ミラーに応じて、トーシ
ョンバーはその横弾性係数や、径、長さを適宜最適のも
のに変更することができるので、コストが安く、軽量
で、コンパクトに製作することができる等の効果を有
し、実用上きわめて有効なシンクロトロン放射光ビーム
集光装置を提供することができる。
【0021】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示すシンクロトロン放
射光ビーム集光装置の部分縦断面図である。
【図2】図1に示すシンクロトロン放射光ビーム集光装
置の左端の上部を一部取外した平面図である。
【図3】図2における矢視A−A線に沿った横断面図で
ある。
【符号の説明】
1 長尺ミラー 2 鏡面 3 固定部材 4 ボルト 5 スペーサ 6 ボルト 7 支軸 8 外枠 9 ボルト 10 軸受 11 支柱 12 架台 13 フランジ 14 ボルト 15 ステップモータ 16 ボルト 17 アーム 18 ボルト 19 トーションバー 20 穴
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05H 13/04 G21K 1/00 - 7/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超高真空中に設置され、シンクロトロン
    放射光ビームを反射させる横断面が凹面状の長尺ミラー
    と、その長尺ミラーの両端をそれぞれ上下から面状に
    ランプする両側面に支軸を有する枠形をした固定部材
    と、その固定部材の支軸を軸受を介して支承する支柱に
    支持された外枠とを有し、アームにより各外枠に支持せ
    しめたステップモータと各固定部材の支軸とをそれぞれ
    トーションバーを介して同一軸芯線上で連結せしめ、ス
    テップモータの回転力をトーションバーを介して長尺ミ
    ラー両端に曲げモーメントとして作用させ、長尺ミラー
    を長手方向に弯曲させられる様にしたことを特徴とする
    シンクロトロン放射光ビーム集光装置。
JP25577395A 1995-09-08 1995-09-08 シンクロトロン放射光ビーム集光装置 Expired - Lifetime JP2934594B2 (ja)

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