JP2931939B2 - Lactobacillus delbrueckii 種染色体への遺伝子組込み方法及び遺伝子組込み体 - Google Patents

Lactobacillus delbrueckii 種染色体への遺伝子組込み方法及び遺伝子組込み体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品産業で有用である
乳酸桿菌Lactobacillus delbrueckii種(Lb.delbruecki
i種)染色体DNAへの遺伝子組込み方法、遺伝子組込
み体、及び該遺伝子組込み体の利用に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】乳酸桿
菌Lb. delbrueckii種に属するLb. delbrueckii subsp.
bulgaricus、及びLb. delbrueckii subsp. lactisは、
ヨーグルト及びチーズ等の発酵乳製品の製造に、またL
b. delbrueckii subsp. delbrueckiiは乳酸製造などに
用いられ、これら3亜種とも産業上極めて有用な乳酸菌
である。特にLb. delbrueckii subsp. bulgaricusは、S
treptococcus salivarius subsp. thermophilusととも
にヨーグルト製造に必須の乳酸菌であり、世界中のヨー
グルト生産に用いられている。
【0003】これらLb. delbrueckii種の乳酸桿菌のも
つ特性を、遺伝子操作の方法で改良したり新たな形質を
付与したりすることが出来れば、その産業的有用性は一
層大きなものとなる。例えば、Lb. delbrueckii種が糖
を代謝して生成する乳酸はD-乳酸であり、人間など哺乳
動物が体内で生成するL-乳酸とは光学的に異なるもので
ある。食品への応用の場合、乳酸の旋光性は人間が体内
で作る乳酸と同じL型であることが好ましい(但し、人
間が通常食べるヨーグルトなど発酵乳製品に含まれるD-
乳酸の量では健康に全く問題がないことはいうまでもな
い)。また、ファージ耐性を賦与することが出来ればフ
ァージ汚染を防止することが可能であり、プロテアーゼ
活性やラクトース資化性などの性質を遺伝子レベルでコ
ントロール出来れば、発酵スピードの改良や従来と特性
の異なる発酵生産物を得ることも可能となる。また、香
味の改良や甘味蛋白・ペプチドの生産をLb. delbruecki
i種で行うこともできる。更に、人間に有用な生理活性
物質(酵素・ホルモン・ワクチン等)を生産させ、腸管
で働く医薬として開発することも可能であろう。
【0004】乳酸菌の遺伝学的研究は近年急速に進展し
つつあり、遺伝子操作による有用な乳酸菌の育種・改良
は、特にチーズ乳酸球菌を中心として、精力的に研究さ
れている。Lactococcus lactis種では種々のベクターや
制限修飾系を欠損する宿主などが既に開発され、効率よ
い形質転換系が確立され、異種遺伝子の発現も報告され
ている(文献1)。また産業的応用に必要な染色体DN
Aへの目的遺伝子の挿入による安定化についても様々な
試みがなされている。例えば、宿主染色体DNAの一部
や挿入因子を利用した相同組換えが報告され、その応用
としてプロテアーゼ遺伝子の染色体への組込み(文献
2)や二重交叉による遺伝子の失活(文献3)などが報
告されているが、これまでの報告は組込みベクターに乳
酸菌以外の細菌に由来する選択マーカー遺伝子(抗生物
質耐性など)や、複製に必要な領域も含むため、食品の
応用には向かない。最近、Lactococcus由来の乳糖資化
性プラスミドが、株によっては高温で不安定となり、染
色体DNAに組込まれる例が知られ、食品に適する組込
みベクターとして研究が開始された例(文献4)も報告
されている。また、一部の乳酸桿菌でも効率の良い形質
転換系が報告され、異種遺伝子を染色体DNAに組込
み、発現させた例(文献5)も知られている。
【0005】しかしながら、今までのところ、有用遺伝
子を染色体DNAに組込み、形質を安定化し、かつ食品
レベルで安全と考えられる組換え体(組込み体)は報告
されておらず、この課題を解決する新しい方法論が望ま
れている。
【0006】一方これらの先進的な研究と比べると、 L
b. delbrueckii種では遺伝学的研究が遅れており、遺伝
子導入の例として報告されているのは、数例のみであ
る。
【0007】最近本発明者らはLb. delbrueckiiの3亜
種の全てでpAMβ1プラスミド(文献6)を接合伝達させ
ると、フリーのプラスミドとして複製されずに、該プラ
スミドが染色体DNAへ組込まれる現象について報告し
た(文献7)。これらの報告により、今後Lb. delbruec
kii種の育種改良を行うことが期待される。特にpAMβ1
がLb. delbrueckii種染色体DNAに組込まれる現象
は、有用遺伝子の安定化につながると考えられる。しか
しながら、pAMβ1が比較的大きなプラスミドであるため
取扱いが難しく、今までin vitroでpAMβ1に他の遺伝子
を挿入し、ベクターとして利用したという報告はない。
しかも、pAMβ1は接合伝達性と抗生物質耐性を有するた
め、pAMβ1をベクターとして用いた場合、染色体DNA
に組込まれたままでは食品への応用には適さないと考え
られる。
【0008】Lb. delbrueckii種の形質を形質転換や接
合伝達で改良し、食品への応用を可能とするためには、
何よりも安全性の確保が大切である。そのためには、少
なくとも、改良されたLb. delbrueckii種が安全性の確
認された要素(菌株・遺伝子・DNA等)のみから構成
されることが必要である。更に、産業的応用に適するた
めには、改良されたLb. delbrueckii種が安定であるこ
とはもちろん、改良点以外の菌株の形質が元の菌株より
劣らないことも重要である。従って、本発明の目的は、
目的の有用遺伝子をLb. delbrueckii種染色体DNAへ
組み込ませ、当該遺伝子の安定化を図ると共に、安全性
・産業的有用性を保証する方法を確立することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の3段階か
らなる、Lb. delbrueckii種の染色体DNAへの遺伝子
組込み法であって、 第1段階:Lb. delbrueckii種の染色体DNA上の組込
むべき部位の両側(すなわち、上流及び下流)の2つの
ゲノムDNA断片を、組込もうとする遺伝子の上流及び
下流に結合し、それをベクターであるpAMβ1プラスミド
に挿入して組込みプラスミドを構築し、 第2段階:構築したプラスミドを接合伝達法によってL
b. delbrueckii種に導入し、染色体DNAへの組込みに
よってエリスロマイシン耐性を示す接合伝達株を得、 第3段階:得られた接合伝達株をエリスロマイシンの存
在しない非選択条件下で培養を繰返した後、相同組換え
によってpAMβ1プラスミド由来のDNA配列を失いエリ
スロマイシン感受性に変わったクローンを選別し、その
中から、組込み遺伝子がLb. delbrueckii種染色体DN
Aに残存する遺伝子組込み体を選別することを特徴とす
るLb. delbrueckii種染色体DNAへの遺伝子組込み方
法及び該方法により得られた遺伝子組込み体並びに組込
みプラスミドに係るものである。以下、本発明について
具体的に述べる。 第1段階:「組込みプラスミド」の構築 目的を達成するためには有用遺伝子をLb. delbrueckii
種染色体DNAの目的の部位への組込むことが必要であ
る。即ちベクターとして使用できるのは、接合伝達性が
あり、選択マーカーを有し、かつ、Lb. delbrueckii種
の染色体DNAへの組込みが可能なものでなければなら
ない。このようなベクターとして例えば、既に染色体へ
の組み込みが知られているpAMβ1プラスミドが最適であ
ると考えられるが、これ以外にも接合伝達性を有するpI
P501や乳糖資化性プラスミド(文献14)などの利用も
考えられる。
【0010】接合伝達性プラスミドとして以下pAMβ1プ
ラスミドを使用する場合について述べると、前記した如
く本プラスミドが比較的大きく(26.5kb)多くの制限部
位を有するため、エリスロマイシン(以下、Emと略称
することがある)耐性及び接合伝達性を損なうことな
く、目的の遺伝子を挿入した組換えプラスミドを得たと
の報告はない。本発明者らはpAMβ1上のEm耐性遺伝子
を失活させたpAMβ1のDNA断片と、挿入しようとする
DNA断片とEm耐性遺伝子とを結合させたものとを、
ライゲーション反応で結合し、目的のDNA断片が挿入
された組換えプラスミドだけがEm耐性として選択出来
るように工夫をして、Em耐性及び接合伝達性を損なう
ことなく目的の遺伝子を有する組換えプラスミドを得る
ことに成功した。
【0011】例えば、pAMβ1をそのユニークな制限部位
であるAvaIとScaIとで切断すると、Em耐性遺伝子の一
部を含む断片が除去されるが、残りの約26kbのDNA断
片中にはプラスミドの複製領域及び接合伝達性を支配す
る領域はそのまま保持される。前記AvaIとScaIの切断断
片を平滑末端化し、これに、目的の遺伝子とEm耐性遺
伝子を含むDNA断片を平滑末端化してライゲーション
して、適当な宿主へ形質転換すればEm耐性を示す形質
転換体より目的の組換えプラスミドを保持するクローン
を選択することが出来る。組換えプラスミドを構築する
ための宿主としては、pAMβ1の複製が可能で、制限修飾
系が欠損した株など形質転換効率がよいものであれば特
に制限はない。例えば、枯草菌(Bacillus subtilis RM
125株など)、乳酸球菌(Lactococcus lactis subsp. l
actis MG1363株など)などのグラム陽性細菌が使用でき
る。次に、食品への応用を可能とするためには、ベクタ
ーであるpAMβ1由来の塩基配列が除去されることが求め
られる。そのためには、相同組換えによる不要な塩基配
列の除去が可能となるように工夫した組換えプラスミド
を構築する事が必要である。即ち、Lb. delbrueckii 種
の染色体DNA上の目的の部位に遺伝子を組み込むため
に、該部位の両側(すなわち、上流及び下流)のゲノム
DNA断片(またはそれらと相同性の高い塩基配列を保
持するDNA断片)を調製し、前記2つのゲノムDNA
断片を遺伝子の上流及び下流(または、下流及び上流)
に結合し、これにEm耐性遺伝子を結合させた後、前記
の方法などによってEm耐性遺伝子を欠失したpAMβ1プ
ラスミドベクターとライゲーションして組換えプラスミ
ドを構築する(図1)。
【0012】この様にして構築した組換えプラスミドに
は、宿主染色体と相同な塩基配列が2カ所存在するの
で、2回の相同組換え(2重交差)を起こした場合に、
選択マーカー遺伝子やpAMβ1ベクター由来のDNA配列
が全て除去され、目的の遺伝子のみが染色体DNAに組
み込まれた遺伝子組込み体が取得できる。なお、前記2
つのゲノムDNA断片は目的に応じて選択すればよい。
Lb. delbrueckii種の染色体DNA上の特定の遺伝子を
他の遺伝子と置換したり、または失活させる場合は、当
該遺伝子の上流及び下流のゲノムDNA断片を用いるの
が好適である。また、単にLb. delbrueckii種の染色体
DNA上に遺伝子を組込みたい場合は、Lb. delbruecki
i種の生育に必須な遺伝子が失活しないように、例えば
rRNA遺伝子などの多コピー遺伝子や遺伝子間のスペ
ーサー領域等のゲノムDNA断片を選択する。このよう
にして得られた組換えプラスミドを、以後「組込みプラ
スミド」と呼ぶ。即ち「組込みプラスミド」とは、接合
伝達性プラスミドをベクターとし、組込もうとする目的
の遺伝子の前後にLb. delbrueckii種の染色体DNA断
片を有し、染色体DNA上の相同部分での組換えを起こ
し得るものである。
【0013】第2段階:Lb. delbrueckii種への接合伝
達・染色体への組込み 「組込みプラスミド」の供与菌としては、第1段階で取
得した形質転換株をそのまま用いればよい。しかし、L
b. delbrueckii 種への接合伝達頻度が低く接合伝達株
が得られない場合は、さらに当該形質転換株から「組込
みプラスミド」を接合伝達頻度の高い菌株(例えばLact
ococcus lactisなど)へ接合伝達法で移し、得られた接
合伝達株を供与菌とする方法が有効である。目的の「組
込みプラスミド」を受容菌であるLb. delbrueckii種へ
接合伝達するには、フィルター法を応用し(文献9)、
供与菌と受容菌の混合培養(接合伝達)時にポリエチレ
ングリコールを含有する培地を用いる本発明者らが開発
した方法(文献7)が本種への接合伝達法として好適で
ある。
【0014】接合伝達株は、Em耐性を指標として選択
できる。接合伝達株であることの確認は、通常の微生物
学的方法で調べられる菌株の性質、Em耐性などで判定
できるが、導入した「組込みプラスミド」がプラスミド
として複製していない事を確認し、更にサザンハイブリ
ダイゼーション法による染色体DNAの解析によって、
当該プラスミドが染色体DNAに組込まれていることが
確認できる。第1段階で作成した「組込みプラスミド」
には、2カ所の染色体DNA断片が含まれているので、
接合伝達株の多くでは当該プラスミドがこのどちらかの
部位(相同な配列)で1回目の組換えを起こし、染色体
DNAに組込まれていると考えられる(図2)。 第3段階:2回目の相同組換えによる不要遺伝子の除去 以上のようにして得られた接合伝達株の染色体DNAに
は目的の遺伝子が組込まれているが、同時にベクターで
あるpAMβ1などの不要な遺伝子も存在する。従ってこの
ままでは食品への応用には適さないので、相同組換えに
よって不要な遺伝子の除去を行う必要がある。その原理
は、第2段階において染色体の相同部位に組込まれた
「組込みプラスミド」内のもう一方の染色体DNAとの
相同な部位での2回目の組換えによって、「組込みプラ
スミド」内の2カ所の相同な部位に挟まれるDNAの塩
基配列が除かれたクローンを選択することである(図
3)。「組込みプラスミド」を組込んだ接合伝達株をE
m非存在の条件下で培養を繰り返すと、2回目の相同組
換えによってpAMβ1の塩基配列を含むDNA断片が脱落
したものが、検出し得る頻度で出現する。即ち、接合伝
達株をEm非存在下の脱脂粉乳培地或いはMRS培地で継
代した後、単一コロニーを多数得、Emに感受性となっ
たクローンを取得する。継代回数と調べるコロニー数を
増やせばEm感受性クローンを得ることが可能であり、
それらの中に目的のクローンが存在する。このようなク
ローンには、ベクターであるpAMβ1由来のDNA配列は
残存しない。Lb. delbrueckii種染色体中に目的の遺伝
子が組込まれ、かつ、pAMβ1由来のDNA配列を保持し
ないクローンを以下「遺伝子組込み体」と呼ぶ。
【0015】このような「遺伝子組込み体」は、以下の
特質を持つ。 (1)目的の遺伝子が染色体DNAに組込まれているの
で安定に保持され、プラスミドで導入したときに見られ
る目的遺伝子の脱落の恐れがない。 (2)導入する遺伝子を食品に使われている生物由来に
限定すれば、「遺伝子組込み体」にはpAMβ1の遺伝子が
残存せず、染色体DNAに導入された遺伝子が食品製造
用の生物由来であるので、遺伝子の構成としては安全な
もののみから成り、安全性が保証され食品への応用が可
能と考えられる。 (3)「遺伝子組込み体」の遺伝子構成で元のLb. delb
rueckii種と異なるのは新たに染色体に組込んだ遺伝子
のみであるので、適当な組込み部位を選択すれば元来の
性質を保持したまま新しい形質をLb. delbrueckii種に
賦与することが出来る。従って、産業的に有用な特性が
損なわれないため、「遺伝子組込み体」の産業的応用性
が確保される。
【0016】どのような遺伝子を染色体に組込むか、ま
た、染色体DNAに相同な2カ所のDNA断片の選び方
によって、多様な「遺伝子組込み体」を作出することが
可能である。
【0017】以上述べた方法で、染色体DNAに存在す
る特定の遺伝子を他の遺伝子と置換する事ができる。こ
の応用としては、例えば、Lb. delbrueckii種のD-乳酸
脱水素酵素遺伝子をL-乳酸脱水素酵素遺伝子に置き換え
ることにより、L-乳酸を生成し D-乳酸を生成しないLb.
delbrueckii種を作成することができる。また、染色体
DNA上の特定の遺伝子の一部を欠失させたDNA断片
を有する組込みプラスミドを作成し前記のようにしてL
b. delbrueckii種の染色体DNA上の当該遺伝子を置換
すれば、特定の遺伝子を欠失したLb. delbrueckii種の
クローンを得ることが出来る。このような方法で、例え
ば制限修飾系遺伝子を失活したLb. delbrueckii種の変
異株を作成できるので、形質転換効率のよい宿主の育種
が可能となる。更に、Lb. delbrueckii 種が保持しない
外来遺伝子をLb. delbrueckii種染色体DNAに付加す
ることも可能である。このような方法で有用な形質、例
えば甘味蛋白質や食品用酵素の生産などの新しい形質を
Lb. delbrueckii種に賦与することが可能である。
【0018】組込む遺伝子のコピー数は1コピーでも構
わないが、該遺伝子の発現量を多くするために多コピー
を染色体DNAに組込ませても構わない。
【0019】以下本発明を実施例により説明するが本発
明はこれら実施例には限定されない。
【実施例】
【0020】実施例1 D-乳酸脱水素酵素の精製および
部分アミノ酸配列の決定 Lb. delbrueckii subsp. bulgaricus M-878株(工業技
術院微生物工業技術研究所に寄託番号FERM BPー3758とし
て寄託されている;以下、M-878株と略称することがあ
る)を、1%グルコースをLCM培地(文献10)に添
加したLCMG培地で37℃一晩培養し、その菌体を超
音波で破砕し、遠心分離によって菌体破片を除いて得ら
れた菌体粗抽出液からD-乳酸脱水素酵素(以下、LB-LDH
と略称することがある)を精製した。酵素活性は、50mM
トリス塩酸緩衝液(pH 7.5)、5mMピルビン酸、0.2mM還
元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを含む活性
側定液中で、1分間に1μmoleの還元型ニコチンアミド
アデニンジヌクレオチドを酸化型に変換する酵素の量と
して定義した。LB-LDHは、粗抽出液から、DEAEセルロー
ス(Whatman社)カラムクロマトグラフィ(pH 5.5)、
フェニルセファロース(Pharmacia社)カラムクロマト
グラフィ(pH 5.5)、及びMONO Q HR5/5カラム(Pharma
cia社)を用いた高速液体クロマトグラフィ(pH 7.0)
により、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(文献1
1に準じた方法による)において、単一バンドを示すま
で精製された。菌体湿重量20gからの精製過程を表1に
示した。
【0021】
【表1】
【0022】精製されたLB-LDH約1μgを、4M尿素存在
下、リジルエンドペプチダーゼ(Sigma社)で37℃16時
間切断し、得られたペプチド断片をC8 疎水性カラム
(東洋ソーダ社)を用いた高速液体クロマトグラフィに
より分離した。得られたLB-LDHの部分ペプチドをアミノ
酸シークエンサーに供し、アミノ酸配列を決定した。う
ち一本のアミノ酸配列は、Gln-Ala-Asp-Val-Ile-Ser-Le
u-His-Val-Pro-Asp-Val-Pro-Ala-Asn-Val-His-Met-Ile-
Asn(以降は判読不可)であった。
【0023】実施例2(相同配列の作成) 実施例1に示されたアミノ酸配列の第15番目から第20番
目までの配列(Asn-Val-His-Met-Ile)に相当する可能
性のある全ての塩基配列を含む混合オリゴヌクレオチド
(以下、PrAと略称することがある)を合成した(図
4)。合成にはApplied Biosystems社のDNA合成機38
0A型を用いた。M-878株よりSaitoとMiuraの方法(文献
12)に準じた方法で染色体DNAを調製した。得られ
たM-878株の染色体DNAに対して、PrAをプローブ
として用い、常法(文献13)にしたがってサザンハイ
ブリダイゼーションを行った。HindIIIとBamHIとで切断
した染色体DNAに対して、PrAプローブは、約1,40
0塩基対(bp)の断片に特異的にハイブリダイズした。
【0024】M-878株の染色体DNAをHindIIIとBamHI
とで切断し、常法に従ってアガロースゲル電気泳動で分
離した後に、約1,400bpの断片を含む領域だけを切り出
し、BIO101社のGENECLEAN DNA精製キットを用いて回
収した。回収した断片を、HindIIIとBamHIとで切断した
大腸菌プラスミドpBluescriptSK+(東洋紡社)にライゲ
ーションし、大腸菌TG1株(Amersham社)に形質転換し
て得られたコロニーを、常法(文献13)にしたがって
PrAプローブを用いたコロニーハイブリダイゼーショ
ンで選択し、LB-LDH遺伝子の一部を含むプラスミドpSDL
HB2(図5のA)を得た。キロシークエンスキット(寳
酒造社)およびシークエネースver 2.0 7-deazaシーク
エンシングキット(United States Biochemical社)を
用い、pSDLHB2に挿入されたM-878株由来染色体DNA部
分のDNA塩基配列を決定した。配列中には、実施例1
に示したLB-LDH部分ペプチドのアミノ酸配列に相当する
塩基配列が含まれていた。
【0025】pSDLHB2をNruIとHindIIIで切断して得られ
る約250bpのDNA断片をプローブとしたサザンハイブ
リダイゼーションを行った結果、NruIとBamHIとで切断
したM-878株染色体DNAのうち、約800bpの断片が特異
的にハイブリダイズした。この断片を、pSDLHB2の場合
と同様の方法で、HincIIとBamHIとで切断したpBluescri
ptSK+中にクローニングし、プラスミドpSDLHB4(図5の
A)を得た。pSDLHB4に挿入されたDNA断片の塩基配
列を同様に決定した。pSDLHB4とpSDLHB2の挿入断片から
得られたDNA配列から決定されたLB-LDH遺伝子全体の
塩基配列を配列番号1に示した。LB-LDH構造遺伝子部分
は、配列番号1に示した塩基配列の第361番目のAから
第1,362番目のAまでのオープンリーディングフレーム
に相当する。pSDLHB2に挿入されたDNA断片は、LB-LD
HのC末端部分と3'-側の非翻訳領域に相当し、pSDLHB4
に挿入されたDNA断片は、LB-LDHのN末端部分と5'-
側の非翻訳領域に相当する。また、実施例1で得られた
部分アミノ酸配列は、配列番号1の第955番目のCか
ら第1,014番目のCまでの塩基配列によりコードさ
れるアミノ酸配列に相当し、PrAは、配列番号1の配
列の第997番目から第1,013番目までの塩基配列に合致し
た。なお、文献14において報告されているLb. delbru
eckii subsp. bulgaricus LMG6901株(LMG6901株)のD-
乳酸脱水素酵素遺伝子と比較した結果、本LB-LDHとLMG6
901株のD-乳酸脱水素酵素とは、遺伝子の塩基配列が数
十ケ所異なっていることが判明した。
【0026】決定されたLB-LDH遺伝子の塩基配列を基に
して、オリゴヌクレオチド、Pr1、Pr2、Pr3
(図4)を合成した。約1ngのpSDLHB4を基質、Pr1
とPr2をプライマーとし、AmpliTaqTMDNAポリメラ
ーゼ(Cetus社)を用いて、以下の条件でプライマー・
チェイン・リアクション(PCR)反応を行った。すなわ
ち、50mM KCl、10mMトリス緩衝液(pH 8.4)、2.5mM Mg
Cl2、200μM dATP、200μM dCTP、200μM dGTP、200μM
TTP、200μg/mlゼラチン、1μMプライマー(Pr1、
Pr2)、5ユニットAmpliTaqTMDNAポリメラーゼを
含む反応液50μlに、ミネラルオイル(Sigma社)を40μ
l重層し、94℃で1分間、55℃で1分間、72℃で2分間
の処理を25回繰り返した。その結果、約370bpのDNA
断片が特異的に増幅され、これを断片Nと名付けた(図
5のB)。断片Nは、LB-LDH遺伝子の5'-側の非翻訳領
域のみに相当する。
【0027】pSDLHB2約1ngを基質とし、Pr3とM13ユ
ニバーサルRVプライマー(図4;寳酒造社)をプライマ
ーとして同様なPCR反応を行った結果、約590bpのDNA
断片が特異的に増幅され、これを断片Cと名付けた(図
5のC)。断片Cは、LB-LDH遺伝子の3'-側の非翻訳領
域のみに相当する。増幅された断片Nおよび断片Cを、
アガロースゲル電気泳動で分離した後に切り出した。回
収した断片Nを制限酵素EcoRIとEcoT22Iとで、また断片
CをBamHIとEcoT22Iとでそれぞれ切断し、EcoRIとBamHI
で切断したpBR322プラスミド(寳酒造社)にライゲーシ
ョン反応させ、pBRLD13を得た(図6のD)。
【0028】実施例3(L-乳酸脱水素酵素遺伝子との結
合) 乳酸球菌Streptococcus salivarius subsp. thermophil
us M-192株(明治乳業ヘルスサイエンス研究所保有株)
由来のL-乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子(特開平3-
251172参照;以下ST-LDHと略称することがある)のDN
A塩基配列より、オリゴヌクレオチドPr4とPr5
(図4)を合成した。これらをプライマーとして、ST-L
DH遺伝子を含む大腸菌プラスミドpBEV1(特開平3-25117
2参照)を基質としたPCR反応を行い、特異的に増幅され
た約1,000bpのDNA断片を得た(図6のE)。これを
断片Lと名付けた。断片Lは、ST-LDH遺伝子の構造遺伝
子に相当する。
【0029】増幅された断片Lを実施例2と同様の方法
で、アガロースゲルより切り出した。実施例2で得られ
たpBRLD13プラスミドをEcoT22Iで切断したものと、切り
出した断片LのDNA末端を、それぞれDNA bluntin
gキット(寳酒造社)を用いて平滑化した後にライゲー
ションを行い、pBRLD21(図6のF)を得た。断片L
と、断片N及び断片Cとの結合部分の塩基配列を図8に
示した。この結合によってST-LDH遺伝子の開始コドンお
よび終止コドンが再生され、全体として、配列番号1に
示したLB-LDH遺伝子中のLB-LDH構造遺伝子(塩基番号3
61から1362まで)のみが、ST-LDH構造遺伝子(断
片L)と置き換わった構造が生じる。
【0030】実施例4(pβL-Intプラスミドの構築) 実施例3において得られたpBRLD21をKpnIで切断し、エ
リスロマイシン耐性カセットプラスミドp8Em1(図6の
G)よりKpnIを用いて切り出したEm耐性遺伝子(約1.
1千塩基対(kb)のDNA断片)と結合し、pBLEm211プ
ラスミド(図7のH)を得た。
【0031】Enterococcus faecalis由来の接合伝達性
プラスミドpAMβ1(図7のI)をベクターとして利用す
るにあたり、pAMβ1は全長約26.5kbと比較的大きく、組
換えを行なうのが困難であると考えられたため、pAMβ1
上のEm耐性遺伝子を失活させ、挿入するDNA断片中
にEm耐性遺伝子を含ませておくことで、挿入されたも
のだけがEm耐性としてポジティブに選択できるような
工夫をした。すなわち、pAMβ1をAvaIとScaIとで切断し
て(文献15)pAMβ1上のEm耐性遺伝子の一部を削除
し、約26kbのDNA断片を調製した。また、pBLEm211を
BamHIで切断し、ST-LDHの構造遺伝子とLB-LDHの非翻訳
領域およびEm耐性遺伝子を含む約3.1kbのDNA断片
を調製し、その両者を末端平滑化処理後ライゲーション
した。ライゲーション反応後の反応液をChangらの方法
(文献16)に従って形質転換頻度の高い枯草菌Bacill
us subtilis(以下B. subtilisという)207-25株(文献
17)の形質転換に用い、25μg/mlのエリスロマイシン
を含むDM3培地プレート上で選択してEm耐性の形質転
換株を得た。得られた形質転換株をLG培地(文献16)
中で培養し、37℃で一晩培養して得られる菌体から、An
dersonらの方法(文献18)に準じた方法でプラスミド
を調製した。実施例3で得られた断片Lをプローブとし
て、形質転換株プラスミドに対してハイブリダイゼーシ
ョンを行ない、ハイブリダイズするものを選択した。制
限酵素による切断パターンを解析した結果、形質転換株
は、図9に示される制限酵素地図を有する2種類の組込
みプラスミドのうちいずれかを含有していた。これら組
込みプラスミドをそれぞれ、pβL-Int1、pβL-Int2と命
名した。以下、これらを総称してpBL-Int プラスミドと
呼ぶ。
【0032】実施例5 乳酸球菌へのpβL-Intプラスミ
ドの導入 pβL-Intプラスミドを保持する枯草菌(B. subtilis 20
7-25(pβL-Int1)株及びB. subtilis 207-25(pβL-Int2)
株)をpβL-Int プラスミドの供与菌として、Lb. delbr
ueckii subsp. bulgaricusへの接合伝達を種々の条件下
で試みたが、全く成功しなかった。しかし、pAMβ1につ
いては既に乳酸球菌Lactococcus lactisを供与菌として
Lb. delbrueckii 種への接合伝達に成功しているので
(文献7)、Lactococcus lactisを供与菌とする系でp
βL-IntプラスミドをLb. delbrueckii 種へ接合伝達す
る試みを行った。
【0033】そのため、上記の枯草菌を供与菌として、
寒天平板培養法による接合伝達で乳酸球菌Lactococcus
lactisへpβL-Intプラスミドを導入した。具体的には以
下に述べる。明治乳業ヘルスサイエンス研究所保有のLa
ctococcus lactis subsp. lactis M-3024株(以下 M-3
024株と略称することがある)をLCMG培地で32℃15時間
静置培養した。供与菌であるB. subtilis 207-25(pβL-
Int1)株、及びB. subtilis 207-25(pβL-Int2)株は、E
m25μg/mlを添加した普通ブイヨン培地(栄研化学株式
会社)で37℃15時間振盪培養した。これらの供与菌及び
受容菌の培養液を各々 1 ml ずつ取り、混合して5分間
遠心(3,000rpm、4℃)した後、沈澱した菌体を洗浄用
緩衝液(20mM Tris-HCl、pH 7.0)で一度洗浄してから
同一の緩衝液0.5mlに懸濁した。この懸濁液0.2ml をLCM
G寒天培地平板上に塗布し、32℃で8時間培養した(こ
の培養中に枯草菌から乳酸球菌へのpβL-Intプラスミド
の接合伝達が行われる)。培養後、寒天平板培地に滅菌
水10mlを加えて菌体を回収した。この菌体懸濁液を遠心
(3,000rpm、5分、4℃)した後、1mlの滅菌水に再懸
濁し適当に希釈して選択用寒天培地に塗布した。これを
嫌気条件下で(BBL ガスパックジャー;Beckton Dickin
son社)32℃2日間培養した。
【0034】なお、選択培地はEm 25μg/mlを添加し
たBacto Litmus Milk培地(Difco社)を用いたが、嫌気
条件下で32℃の培養を行えば、25μg/mlのEmを添加し
たBL寒天培地(栄研化学)でも接合伝達株の選択が可能
であった。この様にして得られたEm耐性コロニーを純
化(単一コロニー分離)した後、性質を調べた結果接合
伝達株であることを確認しこれらをLactococcus lactis
subsp. lactis M-3024(pβL-Int1)及びLactococcus la
ctis subsp. lactis M-3024(pβL-Int2)と命名した。以
下、これを各々M-3024(pβL-Int1)及びM3024(pβL-I
nt2)と呼ぶことがある。これらの株は、微生物学的諸
性質(糖の資化性・生育可能温度・細胞形態・NaCl耐性
度)がM-3024株と同一であった。しかも、Em耐性が強
く(1mg/ml Em存在下でも生育可能)、また、各々の
株を供与菌としてメンブレン・フィルター法による接合
伝達(文献8)を行った結果Lb. plantarum JCM1149株
へEm耐性を移行させることが出来たので、接合伝達性
を有することが判明した。以上の方法で、pβL-Int1及
びpβL-Int2を保持する枯草菌から当該プラスミドを乳
酸球菌M-3024株へ移行することができた。以後の実験で
はこれらの接合伝達株をLb. delbrueckii 種への接合伝
達の供与菌として用いた。なお、ここには示さないが、
この株以外のLactococcus lactisを用いても、枯草菌か
らのpβL-Intプラスミドの接合伝達、及びその接合伝達
株を用いて更にpβL-IntプラスミドをLb. delbrueckii
subsp. bulgaricusへ接合伝達させることが可能であっ
たので、特にM-3024株でなければならない理由はない。
【0035】実施例6 Lb. delbrueckii subsp. bulga
ricus染色体DNAへのpβL-Intプラスミドの組込み 枯草菌から直接の接合伝達が不成功であったので、実施
例5で得られた乳酸球菌M-3024(pβL-Int1)株、及び M-
3024(pβL-Int2)株を供与菌としてLb. delbrueckii sub
sp. bulgaricus TS株への接合伝達を試みた。
【0036】受容菌として用いたLb. delbrueckii subs
p. bulgaricus TS株(以下、TS株と略称することがあ
る)は、突然変異処理によって、テトラサイクリン、ス
トレプトマイシン、リファンピシンへの耐性を賦与した
株で、M-878株由来である。但し、M-878株が保有するプ
ラスミドpBUL-1はTS株では自然脱落し、TS株にはプラス
ミドが存在しない。このTS株を、蟻酸ナトリウム5mg/m
lを含有し最終pHを5.5に調製したLCMG培地(以下、F-LC
MG培地と呼ぶ)で37℃15時間培養した。F-LCMG培地を用
いたのは、この培地で培養したTS株細胞が短桿状とな
り、接合伝達頻度が高くなるためである。供与菌のH-30
24(pβL-Int1)株及びH-3024(pβL-Int2)は、Em 2
5μg/ml添加LCMG培地で32℃15時間静置培養した。
【0037】以後の接合伝達の方法は、文献7と同様で
ある。5分間の遠心(3,000rpm)と洗浄用緩衝液での洗
浄を3度繰り返した後、供与菌及び受容菌を、同緩衝液
中に濁度(OD660)が1.5となるように各々懸濁した。こ
の様にして調製した懸濁液を、供与菌:受容菌の液量比
が1:10となるように混合した後300μl取り、予め滅菌
したメンブレンフィルター(Millipore社,HAWP025:po
re size 0.45μm)に載せ、真空ポンプで吸引濾過し
た。引き続き減圧下で、このフィルターの上から約100m
lの滅菌水を通水し、両菌をフィルターに強く捕捉した
(文献9)。このフィルターを、試験管の底に入れ25%
Polyethylene Glycol 6000(FulkaChemie AG社製)を
含有するMRS培地(Difco社:Lactobacillus MRS Brot
h)3mlを注いでフィルターを浸した。37℃で18時間静
置培養した後、フィルター内の乳酸菌を培地中に分散さ
せるため試験管を2分間最大スピードでVortex Mixerに
かけ充分懸濁した。これに3mlのMRS培地を加え、45℃
で3時間静置培養した。この懸濁液全てを、Em(25μ
g/ml)と1.5%の寒天を含有し、予め約50℃に保持したM
RS培地(Lactobacillus MRS Broth:Difco社)で混釈
し、各々3枚のプレートに分注した。固化後、プレート
を嫌気条件下(ガスパックジャー)で45℃で培養した。
供与菌の乳酸球菌は42℃以上では全く生育せず、また受
容菌であるLb. delbrueckii subsp. bulgaricus TS株は
Emに感受性であるので、この条件で生育できるのは、
pβL-IntプラスミドがTS株に移行した接合伝達株のみで
ある。45℃で2日間培養した結果、同時に行った各々三
連の実験よりpβL-Int1及びpβL-Int2 が接合伝達した
と考えられるEm耐性のコロニーが各々1個ずつ出現し
た。これらのコロニーを純化してその性質を調べた結
果、真の接合伝達株であることが判明した。
【0038】これらのクローンを各々 TS::pβL-Int1 2
0A及びTS::pβL-Int2 26A(以下、単に20A株及び26A株
と略称することがある)と命名した(なお、TS::pβL-I
ntはTS株の染色体にpβL-Intプラスミドが組み込まれて
いることを表す)。これらの20A株及び26A株は、微生物
学的性質が受容菌であるTS株と以下の点を除いて同一で
あり(表2)、TS株由来であることは明らかである。TS
株との相違点としては、(1)20A株及び26A株がEm耐
性であること、(2)生成する乳酸が、20A株及び26A株
ではD-乳酸とL-乳酸をほぼ等量生成すること(表2)で
ある。これらの表現型はpβL-Int プラスミドの移行に
よってもたらされたものと結論された。しかし、20A株
及び26A株のプラスミドを文献24に準じた方法で調製し
た結果、この接合伝達株には全くプラスミドが検出され
なかった。従って、pβL-Int プラスミドはTS株の染色
体DNAに組み込まれたと考えられた。実際、pAMβ1を
プローブとしてサザンハイブリダイゼーションを行った
結果、20A株及び26A株の染色体DNAとハイブリダイズ
したことから、pβL-Int プラスミドが染色体へ組み込
まれたことが確認された。以上の結果より、20A株及び2
6A株はTS株の染色体にM-3024(pβL-Int1)株及びM-3024
(pβL-Int2)株からpβL-Int1及びpβL-Int2プラスミ
ドが組み込まれ、Em耐性とL-乳酸生成能が賦与された
接合伝達株であることが明確となった(図2参照)。
【0039】
【表2】
【0040】実施例7 L-乳酸のみを生成する遺伝子組
込み体の取得(その1) 次に、この接合伝達株20A株をEm非存在下で継代を繰
り返し、pβL-Intプラスミド中に存在するD-LDH遺伝子
の前後の配列で2回目の相同組換えを起こしたクローン
を取得した(図3参照)。
【0041】20A株を寒天プレートに塗布して得た単一
コロニー(single colonies)を3つ取得し、各々脱脂
粉乳培地(10% skim milk、0.1% yeast extract 含
有:121℃7分オートクレーブ滅菌)で継代培養した。
なお、不要な突然変異等が起こらないように、紫外線や
γ線の照射、薬剤処理など一切行わなかった。培養後固
化した培地10μlを1mlの新しい脱脂粉乳培地に接種す
る方法で継代培養を20回繰り返した。各々20回継代した
培養液を適当に希釈後、MRS寒天培地プレートに塗布し
ガスパックジャーで42℃で1〜2日間嫌気培養して単一
コロニーを多数得た。これら単一コロニーを拾い、Em
(25μg/ml)を添加したMRS寒天プレート及び無添加のM
RS寒天プレートに接種し嫌気条件で培養して、Emに対
する耐性・感受性を判定した。
【0042】その結果、20A株より得た同等と考えられ
る3つのクローンを継代培養して各々100個ずつ合計300
個の単一コロニーを調べた結果、Emに感受性のクロー
ンがそれぞれ、0 、3、11個存在した(残りは全てEm
に耐性を示した)。これら14個の感受性クローンが生成
する乳酸を測定した結果、L-乳酸のみを生成するものが
5個、D-乳酸のみを生成するものが9個であった。Em
感受性株の中にはD-乳酸とL-乳酸を同時に生成するもの
は認められなかった。一方、Em耐性のクローンをラン
ダムに10個拾い生成乳酸を測定した結果、これらすべて
が継代前の20A株と同様にD-乳酸とL-乳酸をほぼ等量生
成した。Em感受性のクローンのうち、L-乳酸のみを生
成する(L-Lactic acid producing)株を「LL株」と命
名した(取得した5個のクローンをそれぞれ、TS-LL01
〜TS-LL05 株と呼ぶ)。TS-LL01株(工業技術院微生物
工業技術研究所に寄託番号FERM P-3910として寄託され
ている)を含むこれらクローンの性質は、細胞形態・生
育可能温度・資化出来る糖の種類・プラスミドが存在し
ないこと・3種の抗生物質(テトラサイクリン、ストレ
プトマイシン、リファンピシン)に対する耐性が、親株
TS株と同じであった(表2参照)。しかし、Emに対す
る耐性、及び、生成する乳酸については表3に示す様
に、TS-LL01株は、接合伝達株20A株とも、親株であるTS
株とも異なる性質を示した。
【0043】
【表3】
【0044】この様に、TS-LL01〜LL05株はTS株由来
で、L-乳酸のみを生成しEmに感受性である。従って、
この株は図3に示すように、接合伝達時の第1回目の相
同組換えの後で、Em非存在下での継代培養中にもう一
方の相同部位で2回目の相同組換えを起こし、ベクター
であるpAMβ1とD-LDH遺伝子を同時に失って出来たと考
えられた。なお、Em感受性でもD-乳酸のみを生成する
ものは、最初と同じ部位で2回目の相同組換えを起こし
たため、pAMβ1とL-LDH遺伝子の配列を同時に失い、TS
株と同じ遺伝子組成にもどったと考えられる。次に、こ
の可能性を確かめるために、各株の染色体DNAを単離
して、pAMβ1プラスミド、D-LDH(LB-LDH)遺伝子、及びL
-LDH(ST-LDH)遺伝子DNAをプローブとしてサザンハイ
ブリダイゼーションを行った。方法は文献13に準じた
が、pAMβ1DNAはEcoRIとHindIIIで完全切断したDN
A断片全てを、また、LB-LDH遺伝子は、HindIIIとStuI
による切断断片0.75kbを配列番号1の551番目に存在す
るHindIII部位と1275番目に存在するStuI部位とで切断
したDNA断片)ST-LDH遺伝子DNAはSspI切断断片1.
2kbのDNA断片(ST-LDH(特開平3-251172号)の1701
番目と2926番目のSspI部位で切断したDNA断片)をそ
れぞれ放射性同位元素(32P)で標識した後プローブと
して用いた。DNA断片の標識は、Amersham社のMultip
rime DNA labeling systemsを使用した。その結果、
pAMβ1DNAをプローブとした場合、接合伝達株である
20A株ではハイブリダイゼーションが認められたが、TS-
LL01 株及び宿主であるTS株では全く認められなかっ
た。従って、TS-LL01株にはpAMβ1の塩基配列が残存し
ていないと結論された。
【0045】また、LB-LDH遺伝子、及びST-LDH遺伝子を
プローブとした実験より、TS-LL01株にはLB-LDH遺伝子
が存在せず、ST-LDH遺伝子が存在することが明確になっ
た。同時に行った実験より、TS株にはLB-LDH遺伝子が存
在してST-LDH遺伝子が存在せず、20A株では両遺伝子が
共存することが確認された。以上の結果から、Em非存
在下での接合伝達株20A株の継代によって得られたTS-LL
01株等の「遺伝子組込み体」は、図3に示す2回目の相
同組換えで生じ、pAMβ1とD-LDH遺伝子を失い、ヨーグ
ルト乳酸球菌由来のL-LDH遺伝子が残存して出来たと考
えられる。出来上がったTS-LL01〜LL05株の染色体は、
理論的にはD-LDH(LB-LDH)構造遺伝子がL-LDH(ST-LD
H)構造遺伝子と置換された以外は、元の株であるTS株
の染色体と全く同一であると考えられる。従って、TS-L
L01〜LL05株は、(1)生成する乳酸がL-乳酸のみであ
るが、(2)食品としての安全性にも問題が無く、
(3)安定性・生産性等の点でも親株と較べて何等遜色
が無いと考えられ、本発明によって当初の課題が完全に
解決された一例と言える。
【0046】実施例8 L-乳酸のみを生成する遺伝子組
込み体の取得(その2) 実施例6及び7の結果は、Lb. delbrueckii subsp. bul
garicus TS株を受容菌にした時の結果である。本発明の
有用性を調べるため、他の株で同様の結果が得られるか
どうかを試した。Lb. delbrueckii subsp. bulgaricus
の標準株であるATCC11842株(以下、ATCC11842株と略称
することがある)を受容菌として、実施例6のLb. delb
rueckii subsp. bulgaricus TS株とほぼ同様の方法でp
βL-Int プラスミドの接合伝達を行った。ATCC11842株
はMRS液体培地で37℃15時間培養し洗浄後、濁度(OD66
0)が1.5となるように懸濁した。実施例6の供与菌と同
様に調製した乳酸球菌 M-3024(pβL-Int2)株の細胞懸濁
液と、受容菌であるATCC11842株の細胞懸濁液を、液量
比1:10で混合した液300μlを用いて実施例6と同様に
接合伝達を行った。その結果、同時に行った2連の実験
より、1個のEm耐性コロニーを取得することが出来
た。この株をLb. delbrueckii subsp. bulgaricus ATCC
11842::pβL-Int2 426株(以下、426株と略称すること
がある)と命名した。この株の微生物学的諸性質からL
b. delbrueckii subsp. bulgaricusであること、またE
m耐性を示すがプラスミドを保持せず、D-乳酸とともに
ほぼ等量のL-乳酸を生成することから、426株がpβL-In
t2プラスミドによる接合伝達株であり、本プラスミドが
ATCC11842株の染色体DNAに組み込まれていると考え
られた。この426株を、実施例7と同様に、Em非存在
下(脱脂粉乳培地)で継代を25回繰り返した後、単一コ
ロニーを取得し調べた結果、Em感受性のクローンが全
体の約2%の割合で出現した。それらが生成する乳酸を
調べた結果、L-乳酸のみを生成するものがあり、そのう
ちの1クローンをLb. delbrueckii subsp. bulgaricus
ATCC11842-LL201と命名した(工業技術院微生物工学技
術研究所に寄託番号FERM BP-3908として寄託されてい
る;以下、LL201株と略称することがある)。なお、実
施例7と同様にEm感受性のクローンには他に D-乳酸
のみを生成する株もあったが、D-乳酸とL-乳酸の両方を
同時に生成するものは無かった。LL201株は、その微生
物学的諸性質からATCC11842株由来であり、プラスミド
を保持せずEm感受性であった。しかし、生成する乳酸
はL-乳酸のみであり、実施例7と同様にpAMβ1全体をプ
ローブとして、染色体DNAをサザンハイブリダイゼー
ション法で調べた結果、426株の染色体とはハイブリダ
イゼーションが認められたが、LL201株のそれにはpAMβ
1プラスミドが存在しないことが判明した。従って、LL2
01株はTS-LL01株と同様に、図3に示すようなD-LDH遺伝
子がL-LDH遺伝子に置換された「遺伝子組込み体」であ
ると考えられる。この結果から、本発明の方法でLb. de
lbrueckii subsp. bulgaricusの標準株のLL株が取得で
きたので、本方法の有効性が一層明らかとなった。
【0047】以上は、Lb. delbrueckii subsp. bulgari
cusの結果であるが、本発明はそれのみにとどまらず、L
b. delbrueckii種の他の2亜種subsp. lactis及びsubs
p. delbrueckiiにも適用可能であることは明らかであ
る。何故なら、これら2亜種の乳酸桿菌でも接合伝達に
よってpAMβ1プラスミドが染色体DNAに組み込まれる
からである(文献7)。しかも、これら2亜種とLb. de
lbrueckii subsp. bulgaricusのDNAの相同性はきわ
めて高く(文献19)、D-LDH 遺伝子のDNA塩基配列
も高い相同性が期待されるため、本発明の組込みプラス
ミドpβL-Intがそのままでも使用可能であると考えられ
るからである。もし、これら3亜種のD-LDH遺伝子の塩
基配列に低い相同性しかなく、実施例6や7の様な「相
同組換え」が起こらない場合は、実施例1〜4で示した
と同様に、目的の菌株よりD-LDH遺伝子をクローニング
してそれを利用したpβL-Int のようなプラスミドを構
築すればよい。本発明は、Lb. delbrueckii種に属する
3亜種はもちろんのこと、接合伝達によってpAMβ1プラ
スミドが染色体DNAに組み込まれる細菌全てに適用可
能である。
【0048】(引用文献) 1. Teuber, M. (1990), Food Biotech., 4(1), 537-. 2. Leenhoults, K. J., J. Gietema, J. Kok, and G. V
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【0049】
【発明の効果】本発明の本質は、接合伝達性プラスミド
pAMβ1がLb. delbrueckii種で複製されず、染色体DN
Aに組み込まれて初めてEm耐性遺伝子が発現するとい
う現象を利用し、pAMβ1をベクターとして用いて目的の
遺伝子を宿主染色体DNAに組み込むことである。しか
もその際に、組み込もうとする宿主菌の染色体DNAの
一部を目的の遺伝子の前後に挿入すれば、染色体DNA
上の組込み位置を指定することができるとともに、接合
伝達株の継代をEm非存在下で繰り返すことによって、
ベクターとして用いたpAMβ1など食品への応用に適さな
い遺伝子を除去出来る点にある。従って、任意の遺伝子
を本発明の方法でLb. delbrueckii種の菌の染色体DN
Aに組み込み、且つ、ベクターであるpAMβ1のDNA配
列を除去することができるので、広く食品・医薬品・飼
料などの生産に応用することが可能である。本発明によ
り、D-乳酸のみを生成するLb. delbrueckii種乳酸桿菌
をL-乳酸のみを生成するように改良できる。しかも、組
込み体(LL株)では染色体DNAのD-乳酸脱水素酵素遺
伝子がヨーグルト乳酸球菌由来のL-乳酸脱水素酵素遺伝
子と置換している以外は元来の遺伝子構成と同一である
と考えられるので、食品としての安全性が確保されると
共に、L-乳酸生成能が安定に保持され、従来と同じ特性
を持つヨーグルト等の食品製造が可能である。これらの
LL株の出現によって、Lb. delbrueckii subsp. bulgari
cusやLb. delbrueckii subsp. lactis をスターター乳
酸菌として、含有する乳酸が100%L-乳酸であるヨーグ
ルトや発酵乳飲料の製造が、初めて可能となった。ま
た、Lb. delbrueckii subsp. delbrueckiiのLL株を用い
れば、従来の製造方法でL-乳酸を製造することができ
る。本発明の効果はそれにとどまらず、Lb. delbruecki
i 種の他の染色体遺伝子、例えば、プロテアーゼ遺伝子
や糖資化性遺伝子等の改良や遺伝子の増幅など、また更
には、特定の遺伝子を失活させることができるので、制
限・修飾系遺伝子の欠損株の取得など、今までに全く報
告がなかった遺伝学的改変・改良を可能とするものであ
る。また、Lb. delbrueckii種が保持していない外来の
遺伝子を組み込む事もできるので、例えば、植物由来の
甘味蛋白・ペプチド生産遺伝子を組み込み、乳製品発酵
中に甘味成分を作り出す株を作出できるほか、バクテリ
オシン産生・耐性遺伝子を賦与したり、アミラーゼ・プ
ロテアーゼ等の食品用の酵素遺伝子を賦与して工業生産
に用いることもできる。更に、人間や家畜などの消化管
で作用する酵素・ホルモン・ワクチン等の医薬を Lb. d
elbrueckii 種乳酸桿菌を宿主として生産することも可
能となるであろう。
【0050】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:1949 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(other nucleic acid) 起源 生物名:Lactobacillus delbrueckii subsp.bulgaricus 株名:M-878 配列 GGATCCAACA CCAGATCAAG AGCTTGTTTG ACCCAATGAA CCTGCTCAAT CCAAAGCACA 60 AGATCGATTA AGCGGCAGCA ATCAGCAAAT AACATAGAAG AAAAGTGGCA TAACATTCTT 120 GTAAGAGAGG ATATTATGCC GCTTTTTGCT TAAAAAATCC GTTACTATAA ACTAGCTGCA 180 GTCAAAACAT TTTCAACTTT GTGAAAGATA TTTTTTTCAC TTCAAAAATC ATCTTGTCCA 240 TATTGATGTT TAGCGCTTTC ATCCAAATTA TATTGTTCAC GTGACTGGTT TTTAGTGTTA 300 TCTTTCACCT TTTTGTGTTA CTATTATCAA TGTAAGAGCA AGAATAACGG AGGGACAATT 360 ATGACTAAAA TTTTTGCTTA CGCAATTCGT GAAGATGAAA AGCCATTCTT GAAGGAATGG 420 GAAGACGCTC ACAAGGACGT CGAAGTTGAA TACACTGACA AGCTTTTGAC ACCAGAAACT 480 GCTGCTTTGG CAAAGGGTGC TGACGGTGTT GTTGTTTACC AACAACTTGA CTACACCGCT 540 GAAACTCTGC AAGCTTTGGC AGACAACGGC ATCACTAAGA TGAGCCTGCG TAACGTTGGT 600 GTTGACAACA TCGACATGGC TAAGGCTAAG GAACTTGGCT TCCAAATCAC CAACGTTCCA 660 GTTTACTCAC CAAACGCCAT CGCAGAACAC GCTGCTATCC AAGCTGCCCG CATCCTGCGT 720 CAAGACAAGG CTATGGACGA AAAGGTTGCC CGTCACGACT TGCGTTGGGC ACCAACTATC 780 GGCCGTGAAG TTCGCGACCA AGTTGTTGGT GTTATAGGTA CTGGCCACAT CGGTCAAGTC 840 TTCATGCAAA TCATGGAAGG CTTCGGCGCT AAGGTTATCG CTTACGACAT CTTCCGCAAC 900 CCAGAATTGG AAAAGAAGGG CTACTACGTA GACTCACTTG ACGACCTGTA CAAGCAAGCT 960 GACGTTATTT CCCTGCACGT TCCTGACGTT CCAGCTAACG TTCACATGAT CAACGACGAG 1020 TCAATCGCTA AAATGAAGCA AGACGTAGTT ATCGTTAACG TATCACGTGG TCCATTGGTT 1080 GACACTGACG CGGTTATCCG TGGTTTGGAC TCAGGCAAGA TCTTCGGTTA CGCAATGGAC 1140 GTTTACGAAG GTGAAGTTGG CATCTTCAAC GAAGACTGGG AAGGCAAGGA ATTCCCAGAC 1200 GCACGTTTAG CTGACTTGAT CGCTCGTCCA AACGTTCTGG TAACTCCACA CACTGCTTTC 1260 TACACTACTC ACGCTGTTCG CAACATGGTA GTTAAGGCCT TCGACAACAA CCTTGAATTG 1320 GTTGAAGGCA AGGAAGCTGA AACTCCAGTT AAGGTTGGCT AATCTAGCCG CTTAGAAATC 1380 CCTTTTTTAA AACCTACAGA TTTTCTTACA ACAATCTACT TAAAAATTAC TTACATTACT 1440 TTACAAATAC ATACTTTTAA ACTTATCCAT TAAAATCTAA AACGAAAACC CGCGGGGCCT 1500 TCTCACCCGC GGGTTTTTGC TTGCTTATTT TTGGAGTAGA ATATACTGAA AGTAACTGTA 1560 AAAGAAAAAG TGTCGCCAAT TGCAAGAATA AATTGAACAC TTACCATAAC ATCTCGTAGA 1620 TTTTGACTAT CTACGCCGGT AAATGCGGTC AAGTTCGGTG TCAAAGTACT CTTCTGGAGT 1680 CTTGTAGTTT AAGTCTTCCG AGGAAGAGAG TTGCACCATA CCTCGATCTT AGCAATATCT 1740 TCCACACGGT ACTTATCCAT ACGGTCTCCC TTGGGAATAT AGCGTCTGAT AAGCCCGTTG 1800 TGCCGTTCTA CGCTGCCTTT ATCACAGGAT GTATAAGGGT GAGCGTAGTA CACAAGAGTC 1860 TTGGAAACTT GCTCAAGATC GGATAGATCT GCGAACCCAG ATCCGTTGTC GGTTGTGATA 1920 GACTTAAAGA TTTGATTCCA TTTGGATCC 1949
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法によるLb. delbrueckii種の染色体
DNAへの遺伝子組込み法の第1段階を模式的に示す。
【図2】本発明方法によるLb. delbrueckii種の染色体
DNAへの遺伝子組込み法の第2段階を模式的に示す。
【図3】本発明方法によるLb. delbrueckii種の染色体
DNAへの遺伝子組込み法の第3段階を模式的に示す。
【図4】オリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。PrA
の配列は、Lb. delbrueckii subsp. bulgaricus M-878
株のD-乳酸脱水素酵素(LB-LDH)の部分ペプチドの第15
番目から第20番目までのアミノ酸配列に相当する塩基配
列である。重複する塩基は、縦に列挙した。Pr1の配
列は、EcoRIおよびKpnIの認識部位の配列と、LB-LDH遺
伝子の塩基配列(表1)の、第7番目から第23番目まで
の塩基配列からなる。Pr2の配列は、EcoT22Iの認識
部位の配列と、同じく第344番目から第360番目の塩基配
列の相補配列からなる。Pr3の配列は、EcoT22Iの認
識部位の配列と、同じく第1,361番目から第1,377番目の
塩基配列からなる。Pr4の配列は、Streptococcus sa
livarius subsp. thermophilus M-192株由来のL−乳酸
脱水素酵素遺伝子のDNA塩基配列(特願平2-45976参
照)の、第1,852番目から第1,868番目までの塩基配列か
らなる。Pr5の配列は、同じく第2,817番目から第2,8
34番目までの塩基配列の相補配列からなる。RVは、M13
プライマーRV(寳酒造)の塩基配列である。
【図5】pβL-Int1およびpβL-Int2の構築までの一部を
示す。 A:Lb. delbrueckii subsp. bulgaricus M-878株のD-
乳酸脱水素酵素(LB-LDH)遺伝子周辺の制限酵素地図
と、pSDLHB2およびpSDLHB4に含まれる断片を示す。 B:LB-LDH遺伝子の5'-側非翻訳領域である断片Nを示
す。 C:LB−LDH遺伝子の3'-側非翻訳領域である断片
Cを示す。
【図6】pβL-Int1及びpβL-Int2の構築までの一部を示
す。 D:pBRLD13の制限酵素地図である。 E:Streptococcus salivarius subsp. thermophilus M
-192株のL-乳酸脱水素酵素遺伝子(ST-LDH)の構造遺伝
子部分である断片Lを示す。 F:pBRLD21の制限酵素地図である。 G:p8Em1の制限酵素地図である。
【図7】pβL-Int1及びpβL-Int2の構築までの一部を示
す。 H:pBLEm211の制限酵素地図である。 I:pAMβ1の制限酵素地図である。 図中、横縞の矢印はLB-LDHの構造遺伝子、黒四角は同5'
-側非翻訳領域、白四角は同3'-側非翻訳領域、縦縞の矢
印はST-LDH構造遺伝子、太線矢印(Emr)はpAMβ1由
来のエリスロマイシン耐性遺伝子およびその転写方向、
細線矢印(Apr)はアンピシリン耐性遺伝子およびそ
の転写方向、直線細矢印は、図1に示されたオリゴヌク
レオチド・プライマーおよびその5'-側から3'-側への方
向、repはpAMβ1の複製領域、traはpAMβ1の接合伝達に
必要な領域を示す。
【図8】断片Lと、断片Nおよび断片Cとの結合部分の
塩基配列を示す。図中、二列の配列はDNAの二本鎖を
表わし、上が5'-から、下が3'-からの配列を示す。ま
た、結合によって再生されたStreptococcus salivarius
subsp. thermophilus M-192株のL-乳酸脱水素酵素遺伝
子の開始および終止コドンを四角で囲んで示した。
【図9】pβL-Int1およびpβL-Int2の制限酵素地図を示
す。図中、横縞の矢印はLb. delbrueckii subsp. bulga
ricus M-878株のD-乳酸脱水素酵素の構造遺伝子、黒四
角は同5'-側非翻訳領域、白四角は同3'-側非翻訳領域、
縦縞の矢印はStreptococcus salivarius subsp.thermop
hilus M-192株のL-乳酸脱水素酵素の構造遺伝子、太線
矢印(Emr)はpAMβ1由来のエリスロマイシン耐性遺
伝子およびその転写方向、repはpAMβ1の複製領域、tra
はpAMβ1の接合伝達に必要な領域を示す。
【符号の説明】
Av :AvaI Bm: BamHI Ec: EcoRI E22:EcoT22I Hd: HindIII Kp: KpnI Ml: MluI Nr: NruI Ps: PstI Sc: ScaI
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大津 公美 神奈川県小田原市成田540番地 明治乳 業ヘルスサイエンス研究所内 (56)参考文献 特開 平3−251172(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/09 C12N 1/21 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の3段階からなる、乳酸桿菌Lactobac
    illus delbrueckii(Lb. delbrueckii)種の染色体DN
    Aへの遺伝子組込み方法であって、 第1段階:Lb. delbrueckii種の染色体DNA上の組込
    むべき部位の両側の2つのゲノムDNA断片を、組込も
    うとする遺伝子の上流及び下流に結合し、それをベクタ
    ーであるpAMβ1プラスミドに挿入して組込みプラスミド
    を構築し、 第2段階:構築したプラスミドを接合伝達法によってL
    b. delbrueckii種に導入し、染色体DNAへの組込みに
    よってエリスロマイシン耐性を示す接合伝達株を得、 第3段階:得られた接合伝達株をエリスロマイシンの存
    在しない非選択条件下で培養を繰返した後、相同組換え
    によってpAMβ1プラスミド由来のDNA配列を失いエリ
    スロマイシン感受性に変わったクローンを選別し、その
    中から、組込み遺伝子がLb. delbrueckii種染色体DN
    Aに残存する遺伝子組込み体を選別することを特徴とす
    るLb. delbrueckii染色体DNAへの遺伝子組込み方
    法。
  2. 【請求項2】 組込もうとする遺伝子が、当該遺伝子の
    蛋白質又はペプチドをコードする領域を1コピーまたは
    多コピー含んでいるか、又は、当該コードする領域の一
    部を欠失している請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 組込もうとする遺伝子がL-乳酸脱水素酵
    素遺伝子である請求項1又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】 組込もうとする遺伝子の両側に結合する
    染色体DNA上の2つのゲノムDNA断片が図5中の断
    片N及び断片Cで示されるものである請求項1、2又は
    3記載の方法。
  5. 【請求項5】 Lactobacillus delbrueckii種の染色体
    DNA上の組込むべき部位の両側の2つのゲノムDNA
    断片を、組込もうとする遺伝子の上流及び下流に結合
    し、これにエリスロマイシン耐性遺伝子を結合したDN
    A断片と、プラスミドpAMβ1上のユニークな制限酵素部
    位であるAVaIとエリスロマイシン耐性遺伝子上に存
    在するScaI部位を該制限酵素で切断して得られるエリス
    ロマイシン耐性を発現しない約26kbのpAMβ1のDNA断
    片とを結合して得られる組込みプラスミド。
  6. 【請求項6】 約29kbの分子量で図9に示される制
    限酵素地図を有するpβL−Int1又はpβL−In
    t2である請求項5記載の組込みプラスミド。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれか1項記載の方法
    により遺伝子を染色体DNAに組込み、遺伝予の付加、
    置換、又は欠失を起こしたLactobacillus
    delbrueckii種の遺伝子組込み体。
  8. 【請求項8】 L−乳酸のみを生成し、D−乳酸を生成
    しないことを特徴とする請求項7記載のLactoba
    cillus delbrueckii種の遺伝子組込
    み体。
  9. 【請求項9】 染色体DNAのD−乳酸脱水素酵素遺伝
    子がL−乳酸脱水素酵素遺伝子と置換され、かつ、pA
    Mβ1由来のDNA配列を保持しない請求項7又は8記
    載のLactobacillus delbrueck
    ii種の遺伝子組込み体。
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