JP2931765B2 - 凝集疎水剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、凝集疎水剤に関する
ものである。さらに詳しくは、この発明は、有機汚泥や
汚濁水の処理によって水と固形分とを分離処理するのに
有用な、新しい凝集疎水剤に関するものである。

【０００２】

【従来の技術とその課題】従来より、産業廃棄物や汚泥
処理等においては、水と固形分とを効果的に分離し、洗
浄水の取出しと、固形廃棄物の分別を行うための凝集剤
が使用されてきている。そして、これらの凝集剤として
は、これまでにも各種の成分組成からなるものが知られ
ているが、その代表的なものとしては、高分子系凝集剤
のアクリルアミド系のものやアクリル酸ソーダ系のもの
等が知られている。

【０００３】また、無機系のものとしても、アルミナ・
シリカ系のもの等も知られている。しかしながら、これ
までに知られている凝集剤の場合には、その脱水凝集作
用は必ずしも満足できるものでなく、凝集速度が遅く、
水分と固形分との分離が充分でないという欠点があっ
た。また、従来の凝集剤の場合には、水分と分離した固
形分が再度水と接触するとコロイド状に分散してしまい
凝集状態が破壊されるという問題があった。

【０００４】そこで、このような従来の欠点を解消する
ものとして、凝集分離効果が顕著であって、しかも分離
した固形分の凝集状態が水分によって破壊されることも
ない、新しい、凝集剤の実現が望まれていた。この発明
は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであって、
上記の通りの凝集分離作用に優れ、しかも固形分の凝集
固定作用も良好な凝集剤を提供することを目的としてい
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、重量百分率で、少くとも 硫酸鉄 １０〜２５ 硫酸ナトリウム ５〜１５ ポリ塩化アルミニウム ２０〜４０ 酸化カルシウム １０〜２５ 酸化珪素 ５〜１５ 酸化アルミニウム １〜１０ ポルトランドセメント １〜１０ の組成を有することを特徴とする凝集疎水剤を提供す
る。

【０００６】また、この発明は、上記の組成に加えて、
両性イオン活性剤が全重量の０．０１〜５％配合されて
いる凝集疎水剤をも提供する。さらにまた、この発明に
おいては、硫酸鉄が第一鉄および第二鉄がその重量比に
おいて０〜２５：２５〜０で配合されていることもその
態様としている。

【０００７】

【作用】この発明は、上記の組成とすることにより、よ
り速い凝集とより効率的な水分と固形分との分離性を実
現する。また、分離された固形分は、水分と接触しても
容易には再分散しない。つまり優れた固定作用が実現さ
れる。さらに個々の成分の作用について説明すると、以
下の通り詳述される。硫酸第一鉄、硫酸第二鉄 水和反応により凝集、沈降、疎水（脱水）性のある酸化
イオンが生成される。

【０００８】特に沈降性が早く重金属、ヘキサン等の除
去、ＣＯＤやＢＯＤの低下、脱臭効果等に大変重要な反
応が促進される。この反応では、同時に硫酸が生成さ
れ、その反応を停止するためには、中和剤としてマグネ
シウム、ナトリウム、カリウム等が加えられる。硫酸ナトリウム 水和反応により水酸化物となり、凝集作用と共にイオン
界面活性剤が生成され粒子の電荷を中和し粒子が完全に
疎水化され、水酸化塩作用によりコロイド電価二重層の
厚さが薄くなり粒子相互が吸引し大きな粒子となる。尚
硫酸イオンの中和作用もする。ポリ塩化アルミニウム 水和反応により多価性アルミニウムイオンが生成され、
有効な電荷中和イオンとして働きコロイド粒子を電荷的
に中和吸着して凝集効果を発揮する。酸化カルシウム 水和反応により水酸化カルシウム、炭酸ナトリウムに変
わる、アルミニウムイオンは強い凝集効果を持つと同時
に硫酸を生成しその反応を停止するため中和剤として水
酸化カルシウム及び炭酸カルシウムを有効に作用させる
と共に界面活性の働きとコロイド粒子極性を電荷的に中
和吸着する。酸化珪素 水和反応によりアルカリ金属塩に変わり、極性の吸着、
イオン交換能力、触媒作用を有し、全体的なＰＨを押し
下げる働きをする。アルミニウムイオン、カルシウムイ
オン等の能力を有効的に引出し、上澄水の透明度をより
一段とよくする。

【０００９】被処理水の摘要ＰＨ域が広くなり、ある意
味では万能的な凝集剤として利用可能である。酸化アルミニウム 水和反応により重縮イオンが生成しその高分子体が凝集
効果を発揮する。ＰＨ９以上になると負荷電となり凝集
能力を失なうために水酸化カルシウム等にてこれを中和
する。ポルトランドセメント コロイドフロックの沈降剤とＰＨ調整剤として利用す
る。

【００１０】このような作用を有するこの発明の凝集疎
水剤は、その組成割合を上記の通りとするが、より好ま
しくは 硫酸第一鉄 １０〜１５、 硫酸第二鉄 １０〜１５、 硫酸ナトリウム ８〜１３、 ポリ塩化アルミニウム ２５〜３５、 酸化カルシウム １５〜２３、 酸化アルミニウム ３〜 ８、 ポルトランドセメント ３〜 ８、 の割合とする。

【００１１】この凝集疎外剤は粉末、顆粒状態等で使用
されるが、その際には分割して添加してもよいし、まと
めて対象処理物に添加してもよい。また、上記の各成分
についても、部分的にまとめて複合化してもよいし、た
とえばフライアッシュ等の物質を用いるようにしてもよ
い。凝集活性を損なわない限りでは、その他の無機質担
体が使用されてもよい。

【００１２】以下、実施例を示し、さらに詳しくこの発
明について説明する。もちろん、この発明は、以下の実
施例によって限定されるものではない。

【００１３】

【実施例】表１の組成からなる凝集疎水剤を含水率１２
００％汚泥スラリーに添加した。また比較のために市販
のアクリルアミド系高分子凝集剤も別途添加した。

【００１４】

【表１】

【００１５】この発明の凝集疎水剤の場合と、高分子凝
集剤との場合についてその作用効果を比較すると、次の
表２の通り、この発明のものは極めて優れていた。

【００１６】

【表２】

【００１７】

【発明の効果】この発明により、以上詳しく説明した通
り、汚泥、汚染物の脱水凝集による分離が速やかに進行
し、脱水性も極めて良好となる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−149291（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−254292（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−290204（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−171487（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−76293（ＪＰ，Ａ) 特開 昭49−128886（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B01D 21/01 C02F 1/52 C02F 11/14

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 凝集活性成分が、重量百分率で、 硫酸鉄 １０〜２５ 硫酸ナトリウム ５〜１５ ポリ塩化アルミニウム ２０〜４０ 酸化カルシウム １０〜２５ 酸化珪素 ５〜１５ 酸化アルミニウム １〜１０ ポルトランドセメント １〜１０ の組成を有することを特徴とする凝集疎水剤。
2. 【請求項２】 硫酸鉄は、硫酸第一鉄と硫酸第二鉄とが
   重量比で０〜２５：２５〜０の割合で配合されている請
   求項１の凝集疎水剤。
3. 【請求項３】 両性イオン活性剤がさらに全重量の０．
   ０１〜５％の割合で配合されている請求項１または２の
   凝集疎水剤。