JP2930353B2 - 断面楔状の合成樹脂注型品の製造法 - Google Patents
断面楔状の合成樹脂注型品の製造法Info
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Description
[産業上の利用分野] この発明は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂等からなる異形樹脂板
の製造法、更に詳しくは、上記樹脂のモノマー又はプレ
ポリマーを塊状重合(バルク重合)させて断面が楔状を
なす異形樹脂板を得る方法に関する。 [従来の技術] (1) 背景 近年、ラップトップ型のワープロやパソコン等の液晶
表示部用バックライトとして面発光体を使用した電子機
器製品が使用されるようになってきている。これ等の面
発光体として、EL面発光体や楔状のアクリル樹脂導光板
(以下“楔状導光板”と呼ぶ)と熱又は冷陰極管とを組
み合わせた面発光体が使用されている。 以上の両手段のうち、前者のEL発光体は、単位面積当
たり輝度が比較的低いのみでなく、耐湿性や耐久性に問
題があるため、空調された室内で使用される機器のよう
なものにしか適用できない。これに対し後者の楔状導光
板は、光源となる陰極管の電極構造に留意すれば、湿気
や水滴等に影響され難いので、近年需要が増えつつあ
る。そしてその製造手段としては、現在、所望の金型
を用いて射出成型する方法、及び適当な厚さのアクリ
ル板を機械的に切削加工後、鏡面研磨する方法等が採用
されている。 (2) 従来技術の問題点 しかし、上記の方法の実施には高度で精密な金型が
必要であって、このため金型の製作に多額の費用がかか
るから、一般的に云って、5万枚以上の生産量にならな
いと採算に合わない。かつ実際の製作作業において、鋳
造品の急冷ができないため(急冷は、往々即時的又は経
時的なクラック発生の原因となる)、ショットサイクル
を縮めることができず、このため生産性が低下し、製品
が一層割高なものとなる。なお、製品の透明度が注型製
品に比べて劣ることも射出成型品に共通する問題点であ
る。 一方、の機械的な削り出しによる方法は、使用材料
の2/3以上が削り屑や端材となるのみでなく、導光面の
鏡面研磨にも非常な手数がかかるので、生産性が極めて
悪い。 [発明が解決しようとする課題] そこで本発明が解決を意図する課題は、大きな資本投
下を必要とせず、しかも比較的生産性の高い、低コスト
で、かつ光学的特性に優れた楔状導光板の製造手段を開
発することである。
脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂等からなる異形樹脂板
の製造法、更に詳しくは、上記樹脂のモノマー又はプレ
ポリマーを塊状重合(バルク重合)させて断面が楔状を
なす異形樹脂板を得る方法に関する。 [従来の技術] (1) 背景 近年、ラップトップ型のワープロやパソコン等の液晶
表示部用バックライトとして面発光体を使用した電子機
器製品が使用されるようになってきている。これ等の面
発光体として、EL面発光体や楔状のアクリル樹脂導光板
(以下“楔状導光板”と呼ぶ)と熱又は冷陰極管とを組
み合わせた面発光体が使用されている。 以上の両手段のうち、前者のEL発光体は、単位面積当
たり輝度が比較的低いのみでなく、耐湿性や耐久性に問
題があるため、空調された室内で使用される機器のよう
なものにしか適用できない。これに対し後者の楔状導光
板は、光源となる陰極管の電極構造に留意すれば、湿気
や水滴等に影響され難いので、近年需要が増えつつあ
る。そしてその製造手段としては、現在、所望の金型
を用いて射出成型する方法、及び適当な厚さのアクリ
ル板を機械的に切削加工後、鏡面研磨する方法等が採用
されている。 (2) 従来技術の問題点 しかし、上記の方法の実施には高度で精密な金型が
必要であって、このため金型の製作に多額の費用がかか
るから、一般的に云って、5万枚以上の生産量にならな
いと採算に合わない。かつ実際の製作作業において、鋳
造品の急冷ができないため(急冷は、往々即時的又は経
時的なクラック発生の原因となる)、ショットサイクル
を縮めることができず、このため生産性が低下し、製品
が一層割高なものとなる。なお、製品の透明度が注型製
品に比べて劣ることも射出成型品に共通する問題点であ
る。 一方、の機械的な削り出しによる方法は、使用材料
の2/3以上が削り屑や端材となるのみでなく、導光面の
鏡面研磨にも非常な手数がかかるので、生産性が極めて
悪い。 [発明が解決しようとする課題] そこで本発明が解決を意図する課題は、大きな資本投
下を必要とせず、しかも比較的生産性の高い、低コスト
で、かつ光学的特性に優れた楔状導光板の製造手段を開
発することである。
[課題を解決するための手段] (1) 概念 ポリメチルメタクリレート樹脂、不飽和ポリエステル
樹脂又はエポキシ樹脂などの各モノマーを、適当な重合
開始剤や触媒と共に平行に置かれた平滑な型板間(通常
フロート法ガラス板が使用される)に注入後、適宜加
熱、光照射などの重合促進手段を加えて塊状重合させる
ことにより、板状の樹脂板を得る技術(ガラスセル・キ
ャスト法)は、既に50年以上前から周知である。この場
合、セルに封入したモノマーを可及的脱気すると共に、
反応速度を調整し、かつガラス(型板)を対向面側(内
側)に向かって適宜加圧することにより、重合時の体積
収縮に応じた厚みを持つ、空泡や歪みのない鏡面樹脂板
を比較的容易に得ることができる。 しかし、本願の対象である楔状の注型品においては、
セルガラスが平行していないため、型板を対向面側に向
かって加圧することができないから、ヒケや成形体内部
の空泡がどのようになるかを予想するのは困難である。
恐らくこの理由により、本発明者の知る限り、未だガラ
スセル・キャスト法による楔状導光板の製造が試みられ
たという報告はない。 しかるに本発明者は研究の結果、互いに斜めに対立さ
せた等大の平滑な型板の左右両端側空間を軟質板材でシ
ールすることにより形成される楔状空間内へ被重合モノ
マー等を注入し、直立状態で重合させたとき、幅方向の
収縮率が常に一定であるため、該空間内部の固化しつつ
ある又は固化した樹脂材料の収縮につれて平滑な型板が
揺動する結果、容易に鏡面を持つ楔状導光板を収得しう
ることを見出した。 (2) 概要 本発明は、以上の知見に基づくもので、その要旨は、
二枚の型板の各下端をV字形に突き合わせ、該衝合部を
粘着テープ等を用いて揺動可能に止着すると共に、得ら
れた楔状空間の両端を被重合樹脂モノマーに対し耐溶剤
性に富む軟質板状材料で封鎖し、該空間内へ被重合樹脂
材料を注入した後、空間の上端開口面を適宜シールし、
直立状態のまま重合雰囲気下におくことを特徴とする断
面楔状の合成樹脂注型品の製造法に存する。以下、発明
方法の原理及び詳細につき説明する。 (3) 原理 添付の第1図を参照して、各下端部を衝合させて楔状
に配置した二枚の平滑な型板2,2′の下端部及び左右両
端部を、夫々をビニルテープ等の可曲性シール材3、ガ
スケット4,4′を用いてシールすることにより形成させ
たセル1の内部空間内へ重合性モノマー若しくはプレポ
リマー又はそれらの混合物に、適宜重合開始剤、添加剤
等を加えた粘稠物(シロップ)を封入後(本図イ)、必
要に応じ加熱して塊状重合させると、高分子重合物の形
成と同時に硬化が起こる。この硬化は平滑な型板2,2′
に近い部分から内側に向かって起こるから、外側部分が
硬化しても内部は未だ流動性を保つ。従って、成形体内
部の重合収縮による容積減少により発生する空間が、上
部から重力により続々と流下してくるシロップにより補
填されながらセル内の下方から上方に向かって次第に硬
化が進むから、最終的にメニスカス状の上端面mを形成
して硬化が完了する。しかも幅方向の収縮率は常に一定
であるに拘らず、セル1の上端部の幅が衝合点を軸とし
て当初のbからb′まで縮むが、平滑な型板2,2′の各
内面と硬化により形成された樹脂成形体Rとの界面i
は、ガラスと樹脂との接着性のため常に密着しているか
ら、当初の夾角θがθ′まで減少するものの、得られた
楔状成形体Rの両斜面は平滑な鏡面を形成している(本
図ロ)。従って最終的にセルを分解して該成形体を取り
出した後(本図ハ)、ハ図、線X−X及びY−Y、Z−
Z及びZ′−Z′に沿って夫々切断した後、該切断面を
研磨することにより、全く気泡を含まない製品Pが得ら
れる(本図ニ)。 このように、平滑な型板2,2′の夾角θに可変性があ
ること、換言すれば該夾角に可変性のあるセルを使用す
ることが発明の重要なポイントである。 (4) 樹脂材料 本発明による塊状重合法の対象となる樹脂材料とし
て、特に導光材料を対象とするときはメチルメタクリレ
ートが透明性及び耐候性の点で最も優れている。しかし
適宜紫外線吸収剤等を添加したスチレンモノマーも、安
価でありながら殆どポリメチルメタクリレートに匹敵す
る性能の樹脂注型品を与える。二塩基酸、二価アルコー
ル及びビニルモノマーからなる不飽和ポリエステルも対
象となりうるが、透明性が良くないため、導光板用には
適しない。 (5) セル 本発明におけるセルは、二枚の等大の平滑な型板をV
字形に突き合わせ、該衝合部及び両端のV字状端面を柔
軟な膜状材料及び板状材料を用いてシールして作る。こ
こに前者の目的に利用される膜状材料は、衝合線からの
モノマーの漏洩が殆ど無視できる関係で、自体可曲性を
有するものであれば何でもよく、市販のポリエステルテ
ープ、ビニルテープ、ポリプロピレンテープ、弗素樹脂
テープ等が便利に利用される。これに反し、V字状端面
を封鎖するための板状材料(ガスケット)は、収縮によ
る変形を妨げないと共に、モノマーに侵され難く、かつ
モノマーの重合を阻害しないことが必要であり、具体的
には、例えば軟質ポリ塩化ビニル、シリコーンゴム、弗
素ゴム、エチレン・プロピレンゴム、クロルスルホン化
ポリエチレン、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重
合ゴムなどの厚手シートが利用されるが、実用的には、
ポリ塩化ビニル製の厚手シートを利用するのが経済性の
点から有利である。 なお、ガスケットとガラス板の当接部の外側からも粘
着テープで固定しておくのが好ましい。このためのテー
プは、ポリプロピレン、ポリエチレン若しくはポリエス
テルフィルム又は紙等の一般膜状材料でよく、また粘着
剤も一般用粘着テープに使用されていてもよい。 セルの組立に際しては、上に説明した硬化に伴う夾角
θの減少を考慮し、その分だけ拡げて組む必要がある。
因に、幅方向の収縮率は、全収縮容積の70〜90%程度で
ある。 セルの上端開口面は、原料モノマーの蒸発(メチルメ
タクリレートの場合、沸点約101℃)及び大気の侵入を
避けるため、粘着テープ等を用いてシールしておくか又
は被せ蓋形式のクランプ兼蓋を装着しておくのがよい。
なお、本クランプの材料としては、金属又は120℃程度
の温度に耐える樹脂が好適である。 本発明におけるセルの主材である型板としては、通
常、フロート法ガラス板を用いる。しかしステンレス鋼
鈑、アルミニウム板、クロムメッキ鉄板(フェロタイプ
板)等の金属板も利用でき、伝熱的には却って好ましい
と云えるが、表面の平滑性を高めるため、電解研磨等に
より充分鏡面仕上げしておく必要がある。 なお、所望により型板面に凹凸のレリーフを施したり
梨地仕上げしたりすることによって、注型品に任意の文
字、図形、記号若しくは地模様等を表し又は艶消し面を
形成させることができる。 (6) セルの保持 セルは、重合時出来るだけ直立状態に保つ必要があ
る。このため、必要に応じて枠、スタンド等の治具を使
用するのがよい。適当と考えられる治具の例を後記実施
例中に示す。 (7) 重合 重合は、原料シロップ(予め真空吸引して、溶存及び
抱き込み空気を可及的除去しておくのが好ましい。)を
容れたセルを、水その他の液状熱媒又は加熱空気その他
の気状熱媒により30〜130℃に加熱(温)して行う。な
お、重合熱の発生を考慮しながら反応を徐々に行わせる
と共に、大部分の反応が終わった後も加熱を続けて残存
モノマーの量を1%以下にまで低下させるのが望まし
い。若し実質的な量のモノマーが残存しているとクレー
ジングの原因となる。 [作用] 断面がV字状をなす夾角が可変的なセル内に重合性材
料を容れ、該セルを直立状態に保ちながら塊状重合させ
ると、常に被硬化樹脂体の表面が型板の内面と接触しな
がら、セル内の下部から上方に向かって収縮、硬化が進
むので、最終的にメニスカス状の上面を持つ楔状の成形
体が得られる。この成形体は、型板と同様の平滑な斜面
を備えるので、成形体の上下両端及び左右両側を切除す
ることにより、導光板などとして用途のある截頭楔状の
成形体を製造することができる。 以上の製造法は、高価な金型の使用を必要としないか
ら初期投資が僅かで済み、かつ成形操作が従来の切削法
に比し遥かに簡単であると共に、無駄な端材や切削屑を
生じ難いことが特色である。 [実施例] 以下、実施例により発明実施の態様を説明するが、例
示は単に説明用のもので、発明思想の制限又は限定を意
味するものではない。 実施例1(セルの例) 第2図は、本発明の実施に好適なセルの一例の破断側
面図、第3図は、第2図のセルをスタンド内に収めたも
のを同図に線A−Aに沿って切断した状態を示す垂直断
面図である。 全体1は、二枚の同形同大の矩形フロート法ガラス板
2,2′をV字状に衝合させたものをポリエステル製のテ
ープ3及びポリ塩化ビニルシート製ガスケット4,4′を
用いて組み立てることにより作られ、スタンド10内に載
置される。なおセルの上面も、セル内にシロップSを容
れた後、蓋兼クランプ5により覆われるが、所望によ
り、蓋の代わりにポリエステルテープやビニルテープの
ような膜状シール材で覆ってもよい。 実施例2(製造例その1) 縦12cm、横20cm、厚み2mmのガラス板2枚をそれらの
下端縁部で突き合わせると共に、上縁部に15mmの間隔を
開けて下縁部を粘着テープで接着した。このV字形組ガ
ラス板を木製のセル支持台(第3図参照)に直立させて
セットし、各ガラス板の対向端縁間の間隙に多量の可塑
剤を含む高さ10cm、底面巾1.2mm、厚さ6mmの二等辺三角
形状軟質ポリ塩化ビニルシート(ガスケット)を嵌めた
後、さらにその外側を粘着テープで止めて直立セルを調
製した。 以上のセル内に、約3%程度予備重合させたメチルメ
タクリレートのシロップを90mmの深さまで注入後、セル
の上端開口面を粘着テープで封止し、重合温度を30℃か
ら130℃迄上げ、熱風炉中でゆっくりと重合させた。因
に、触媒としては、常法通りアゾビスイソブチロニトリ
ルを使用した。 重合終了後、セルを解体して注型品を取り出し、その
上下両端及び左右両縁を前記の如くカット及び研磨して
目的の楔状アクリル樹脂注型品を得た。得られた製品
は、光学的に良好な特性を有していた。 なお、本例における反応の開始から昇温及び冷却に要
した時間は約30時間であった。 実施例3(製造例その2) 縦60cm、横60cm、厚み3mmのフロート法ガラス板2枚
を、それらの下端縁部で突き合わせると共に、上縁部に
25mmの間隔を開けて下縁部を粘着テープで接着した。こ
れを製造例1と同様に支持台上に直立させてセットし、
各ガラス板の対向端縁間に、該例と同様に高さ58cm、底
面巾2.4mmのポリ塩化ビニル製ガスケットを嵌め込んだ
後、さらに粘着テープで固定した。 以上のセル内に、前例と同様のメチルメタクリレート
シロップを56cmの深さまで注入し、上部を更に粘着テー
プでシールした後、支持台と一緒に水槽内に深さ57cmま
で浸漬し、通常のメチルメタクリレートモノマーの重合
条件で約30℃から90℃まで徐々に昇温させ、約80時間か
けて重合を完結させた。以後、前例と同様に処理するこ
とにより、大きさ500mm×500mm、最大厚み18mm、最少厚
み1mmの光学的に良質の楔状注型品が得られた。
樹脂又はエポキシ樹脂などの各モノマーを、適当な重合
開始剤や触媒と共に平行に置かれた平滑な型板間(通常
フロート法ガラス板が使用される)に注入後、適宜加
熱、光照射などの重合促進手段を加えて塊状重合させる
ことにより、板状の樹脂板を得る技術(ガラスセル・キ
ャスト法)は、既に50年以上前から周知である。この場
合、セルに封入したモノマーを可及的脱気すると共に、
反応速度を調整し、かつガラス(型板)を対向面側(内
側)に向かって適宜加圧することにより、重合時の体積
収縮に応じた厚みを持つ、空泡や歪みのない鏡面樹脂板
を比較的容易に得ることができる。 しかし、本願の対象である楔状の注型品においては、
セルガラスが平行していないため、型板を対向面側に向
かって加圧することができないから、ヒケや成形体内部
の空泡がどのようになるかを予想するのは困難である。
恐らくこの理由により、本発明者の知る限り、未だガラ
スセル・キャスト法による楔状導光板の製造が試みられ
たという報告はない。 しかるに本発明者は研究の結果、互いに斜めに対立さ
せた等大の平滑な型板の左右両端側空間を軟質板材でシ
ールすることにより形成される楔状空間内へ被重合モノ
マー等を注入し、直立状態で重合させたとき、幅方向の
収縮率が常に一定であるため、該空間内部の固化しつつ
ある又は固化した樹脂材料の収縮につれて平滑な型板が
揺動する結果、容易に鏡面を持つ楔状導光板を収得しう
ることを見出した。 (2) 概要 本発明は、以上の知見に基づくもので、その要旨は、
二枚の型板の各下端をV字形に突き合わせ、該衝合部を
粘着テープ等を用いて揺動可能に止着すると共に、得ら
れた楔状空間の両端を被重合樹脂モノマーに対し耐溶剤
性に富む軟質板状材料で封鎖し、該空間内へ被重合樹脂
材料を注入した後、空間の上端開口面を適宜シールし、
直立状態のまま重合雰囲気下におくことを特徴とする断
面楔状の合成樹脂注型品の製造法に存する。以下、発明
方法の原理及び詳細につき説明する。 (3) 原理 添付の第1図を参照して、各下端部を衝合させて楔状
に配置した二枚の平滑な型板2,2′の下端部及び左右両
端部を、夫々をビニルテープ等の可曲性シール材3、ガ
スケット4,4′を用いてシールすることにより形成させ
たセル1の内部空間内へ重合性モノマー若しくはプレポ
リマー又はそれらの混合物に、適宜重合開始剤、添加剤
等を加えた粘稠物(シロップ)を封入後(本図イ)、必
要に応じ加熱して塊状重合させると、高分子重合物の形
成と同時に硬化が起こる。この硬化は平滑な型板2,2′
に近い部分から内側に向かって起こるから、外側部分が
硬化しても内部は未だ流動性を保つ。従って、成形体内
部の重合収縮による容積減少により発生する空間が、上
部から重力により続々と流下してくるシロップにより補
填されながらセル内の下方から上方に向かって次第に硬
化が進むから、最終的にメニスカス状の上端面mを形成
して硬化が完了する。しかも幅方向の収縮率は常に一定
であるに拘らず、セル1の上端部の幅が衝合点を軸とし
て当初のbからb′まで縮むが、平滑な型板2,2′の各
内面と硬化により形成された樹脂成形体Rとの界面i
は、ガラスと樹脂との接着性のため常に密着しているか
ら、当初の夾角θがθ′まで減少するものの、得られた
楔状成形体Rの両斜面は平滑な鏡面を形成している(本
図ロ)。従って最終的にセルを分解して該成形体を取り
出した後(本図ハ)、ハ図、線X−X及びY−Y、Z−
Z及びZ′−Z′に沿って夫々切断した後、該切断面を
研磨することにより、全く気泡を含まない製品Pが得ら
れる(本図ニ)。 このように、平滑な型板2,2′の夾角θに可変性があ
ること、換言すれば該夾角に可変性のあるセルを使用す
ることが発明の重要なポイントである。 (4) 樹脂材料 本発明による塊状重合法の対象となる樹脂材料とし
て、特に導光材料を対象とするときはメチルメタクリレ
ートが透明性及び耐候性の点で最も優れている。しかし
適宜紫外線吸収剤等を添加したスチレンモノマーも、安
価でありながら殆どポリメチルメタクリレートに匹敵す
る性能の樹脂注型品を与える。二塩基酸、二価アルコー
ル及びビニルモノマーからなる不飽和ポリエステルも対
象となりうるが、透明性が良くないため、導光板用には
適しない。 (5) セル 本発明におけるセルは、二枚の等大の平滑な型板をV
字形に突き合わせ、該衝合部及び両端のV字状端面を柔
軟な膜状材料及び板状材料を用いてシールして作る。こ
こに前者の目的に利用される膜状材料は、衝合線からの
モノマーの漏洩が殆ど無視できる関係で、自体可曲性を
有するものであれば何でもよく、市販のポリエステルテ
ープ、ビニルテープ、ポリプロピレンテープ、弗素樹脂
テープ等が便利に利用される。これに反し、V字状端面
を封鎖するための板状材料(ガスケット)は、収縮によ
る変形を妨げないと共に、モノマーに侵され難く、かつ
モノマーの重合を阻害しないことが必要であり、具体的
には、例えば軟質ポリ塩化ビニル、シリコーンゴム、弗
素ゴム、エチレン・プロピレンゴム、クロルスルホン化
ポリエチレン、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重
合ゴムなどの厚手シートが利用されるが、実用的には、
ポリ塩化ビニル製の厚手シートを利用するのが経済性の
点から有利である。 なお、ガスケットとガラス板の当接部の外側からも粘
着テープで固定しておくのが好ましい。このためのテー
プは、ポリプロピレン、ポリエチレン若しくはポリエス
テルフィルム又は紙等の一般膜状材料でよく、また粘着
剤も一般用粘着テープに使用されていてもよい。 セルの組立に際しては、上に説明した硬化に伴う夾角
θの減少を考慮し、その分だけ拡げて組む必要がある。
因に、幅方向の収縮率は、全収縮容積の70〜90%程度で
ある。 セルの上端開口面は、原料モノマーの蒸発(メチルメ
タクリレートの場合、沸点約101℃)及び大気の侵入を
避けるため、粘着テープ等を用いてシールしておくか又
は被せ蓋形式のクランプ兼蓋を装着しておくのがよい。
なお、本クランプの材料としては、金属又は120℃程度
の温度に耐える樹脂が好適である。 本発明におけるセルの主材である型板としては、通
常、フロート法ガラス板を用いる。しかしステンレス鋼
鈑、アルミニウム板、クロムメッキ鉄板(フェロタイプ
板)等の金属板も利用でき、伝熱的には却って好ましい
と云えるが、表面の平滑性を高めるため、電解研磨等に
より充分鏡面仕上げしておく必要がある。 なお、所望により型板面に凹凸のレリーフを施したり
梨地仕上げしたりすることによって、注型品に任意の文
字、図形、記号若しくは地模様等を表し又は艶消し面を
形成させることができる。 (6) セルの保持 セルは、重合時出来るだけ直立状態に保つ必要があ
る。このため、必要に応じて枠、スタンド等の治具を使
用するのがよい。適当と考えられる治具の例を後記実施
例中に示す。 (7) 重合 重合は、原料シロップ(予め真空吸引して、溶存及び
抱き込み空気を可及的除去しておくのが好ましい。)を
容れたセルを、水その他の液状熱媒又は加熱空気その他
の気状熱媒により30〜130℃に加熱(温)して行う。な
お、重合熱の発生を考慮しながら反応を徐々に行わせる
と共に、大部分の反応が終わった後も加熱を続けて残存
モノマーの量を1%以下にまで低下させるのが望まし
い。若し実質的な量のモノマーが残存しているとクレー
ジングの原因となる。 [作用] 断面がV字状をなす夾角が可変的なセル内に重合性材
料を容れ、該セルを直立状態に保ちながら塊状重合させ
ると、常に被硬化樹脂体の表面が型板の内面と接触しな
がら、セル内の下部から上方に向かって収縮、硬化が進
むので、最終的にメニスカス状の上面を持つ楔状の成形
体が得られる。この成形体は、型板と同様の平滑な斜面
を備えるので、成形体の上下両端及び左右両側を切除す
ることにより、導光板などとして用途のある截頭楔状の
成形体を製造することができる。 以上の製造法は、高価な金型の使用を必要としないか
ら初期投資が僅かで済み、かつ成形操作が従来の切削法
に比し遥かに簡単であると共に、無駄な端材や切削屑を
生じ難いことが特色である。 [実施例] 以下、実施例により発明実施の態様を説明するが、例
示は単に説明用のもので、発明思想の制限又は限定を意
味するものではない。 実施例1(セルの例) 第2図は、本発明の実施に好適なセルの一例の破断側
面図、第3図は、第2図のセルをスタンド内に収めたも
のを同図に線A−Aに沿って切断した状態を示す垂直断
面図である。 全体1は、二枚の同形同大の矩形フロート法ガラス板
2,2′をV字状に衝合させたものをポリエステル製のテ
ープ3及びポリ塩化ビニルシート製ガスケット4,4′を
用いて組み立てることにより作られ、スタンド10内に載
置される。なおセルの上面も、セル内にシロップSを容
れた後、蓋兼クランプ5により覆われるが、所望によ
り、蓋の代わりにポリエステルテープやビニルテープの
ような膜状シール材で覆ってもよい。 実施例2(製造例その1) 縦12cm、横20cm、厚み2mmのガラス板2枚をそれらの
下端縁部で突き合わせると共に、上縁部に15mmの間隔を
開けて下縁部を粘着テープで接着した。このV字形組ガ
ラス板を木製のセル支持台(第3図参照)に直立させて
セットし、各ガラス板の対向端縁間の間隙に多量の可塑
剤を含む高さ10cm、底面巾1.2mm、厚さ6mmの二等辺三角
形状軟質ポリ塩化ビニルシート(ガスケット)を嵌めた
後、さらにその外側を粘着テープで止めて直立セルを調
製した。 以上のセル内に、約3%程度予備重合させたメチルメ
タクリレートのシロップを90mmの深さまで注入後、セル
の上端開口面を粘着テープで封止し、重合温度を30℃か
ら130℃迄上げ、熱風炉中でゆっくりと重合させた。因
に、触媒としては、常法通りアゾビスイソブチロニトリ
ルを使用した。 重合終了後、セルを解体して注型品を取り出し、その
上下両端及び左右両縁を前記の如くカット及び研磨して
目的の楔状アクリル樹脂注型品を得た。得られた製品
は、光学的に良好な特性を有していた。 なお、本例における反応の開始から昇温及び冷却に要
した時間は約30時間であった。 実施例3(製造例その2) 縦60cm、横60cm、厚み3mmのフロート法ガラス板2枚
を、それらの下端縁部で突き合わせると共に、上縁部に
25mmの間隔を開けて下縁部を粘着テープで接着した。こ
れを製造例1と同様に支持台上に直立させてセットし、
各ガラス板の対向端縁間に、該例と同様に高さ58cm、底
面巾2.4mmのポリ塩化ビニル製ガスケットを嵌め込んだ
後、さらに粘着テープで固定した。 以上のセル内に、前例と同様のメチルメタクリレート
シロップを56cmの深さまで注入し、上部を更に粘着テー
プでシールした後、支持台と一緒に水槽内に深さ57cmま
で浸漬し、通常のメチルメタクリレートモノマーの重合
条件で約30℃から90℃まで徐々に昇温させ、約80時間か
けて重合を完結させた。以後、前例と同様に処理するこ
とにより、大きさ500mm×500mm、最大厚み18mm、最少厚
み1mmの光学的に良質の楔状注型品が得られた。
以上説明した通り、本発明は、光学的特性に優れた多
種多様の楔状導光板を、低コストで量産しうる方法を提
供し得たことにより、関連産業界及び需要者の利益に貢
献しうる。
種多様の楔状導光板を、低コストで量産しうる方法を提
供し得たことにより、関連産業界及び需要者の利益に貢
献しうる。
第1図は、本発明方法の原理を示す断面図及び斜視図、
第2図は、本発明の実施に好適なセルの一例の破断側面
図、第3図は、第2図のセルをスタンド内に収めたもの
を同図の線A−Aに沿って切断した状態を示す垂直断面
図である。 図中の主要な符号の意味は以下の通り:− 1:セルの全体; ・2,2′:1の型板、3:同型板衝合部止着用粘着テープ、
4,4′:ガスケット、5:同蓋クランプ; 10:セル支持台(スタンド); R:樹脂、S:重合用シロップ; P:楔状注型品。
第2図は、本発明の実施に好適なセルの一例の破断側面
図、第3図は、第2図のセルをスタンド内に収めたもの
を同図の線A−Aに沿って切断した状態を示す垂直断面
図である。 図中の主要な符号の意味は以下の通り:− 1:セルの全体; ・2,2′:1の型板、3:同型板衝合部止着用粘着テープ、
4,4′:ガスケット、5:同蓋クランプ; 10:セル支持台(スタンド); R:樹脂、S:重合用シロップ; P:楔状注型品。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 11:00 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29C 39/00 - 39/44 B29C 33/38 B29C 33/42
Claims (4)
- 【請求項1】二枚の型板の各下端をV字形に突き合わ
せ、該衝合部を粘着テープ等を用いて揺動可能に止着す
ると共に、得られた楔状空間の両端を被重合樹脂モノマ
ーに対し耐溶性に富む軟質板状材料で封鎖し、該空間内
へ被重合樹脂材料を注入した後、空間の上端開口面を適
宜シールし、直立状態のまま重合雰囲気下におくことを
特徴とする断面楔状の合成樹脂注型品の製造法。 - 【請求項2】被重合樹脂材料が、メチルメタクリレート
及び/又はその流動性プレポリマーである請求項1記載
の樹脂板の製造法。 - 【請求項3】被注入重合材料と接する型板の面が、平滑
面、艶消し面若しくは模様面を有するガラス板又は金属
板である請求項1記載の製造法。 - 【請求項4】軟質板状材料が、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合ゴ
ム、ポリ塩化ビニル、シリコーンゴム及び弗素ゴムから
なる高分子材料群から選択された材料である請求項1記
載の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3115390A JP2930353B2 (ja) | 1990-02-08 | 1990-02-08 | 断面楔状の合成樹脂注型品の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3115390A JP2930353B2 (ja) | 1990-02-08 | 1990-02-08 | 断面楔状の合成樹脂注型品の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03234511A JPH03234511A (ja) | 1991-10-18 |
JP2930353B2 true JP2930353B2 (ja) | 1999-08-03 |
Family
ID=12323499
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3115390A Expired - Fee Related JP2930353B2 (ja) | 1990-02-08 | 1990-02-08 | 断面楔状の合成樹脂注型品の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2930353B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102008041136A1 (de) | 2008-08-11 | 2010-02-18 | Evonik Röhm Gmbh | Vorrichtung und Verfahren zur Herstellung von Kunststoff-Körpern durch Polymerisation von ethylenisch ungesättigten Monomeren und/oder (Pre)polymer |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20100155987A1 (en) * | 2007-08-23 | 2010-06-24 | Woo-Sung Kim | Method and gaskets for casting acrylic films |
-
1990
- 1990-02-08 JP JP3115390A patent/JP2930353B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102008041136A1 (de) | 2008-08-11 | 2010-02-18 | Evonik Röhm Gmbh | Vorrichtung und Verfahren zur Herstellung von Kunststoff-Körpern durch Polymerisation von ethylenisch ungesättigten Monomeren und/oder (Pre)polymer |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03234511A (ja) | 1991-10-18 |
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