JP3560098B2 - 光硬化性樹脂を用いた樹脂シートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光硬化性樹脂を用いて樹脂シートを製造する方法に関するものであり、特に成形型から樹脂シートを取外すまでの間に、樹脂シートが成形型内で破損するのを防止する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
樹脂シートとしては、用途に応じて、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミドなど種々のものが用いられているが、一部の用途、例えば液晶ディスプレイ、タッチパネル、透明導電膜などには光硬化性樹脂から製造した樹脂シートを用いることが検討されている。光硬化性樹脂から樹脂シートを製造するには、最も簡単には、偏平なキャビティを有する成形型に光硬化性樹脂を注入し、成形型の外部から活性エネルギー線を照射して光硬化性樹脂を硬化させ、次いで成形型から硬化した樹脂を取外せばよい。しかし、この方法で樹脂シートを製造すると、成形型内で樹脂シートが破損することが多く、収率が低いという問題がある。従って本発明は、光硬化性樹脂から高い収率で樹脂シートを製造する方法を提供しようとするものである。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、少くとも受光面が活性エネルギー線が透過可能な材料で形成されている偏平なキャビティを有する成形型に、硬化後に成形型との熱膨張率の差が3×10 -5 /℃以上となる光硬化性樹脂を注入し、該受光面を通して活性エネルギー線を照射して光硬化性樹脂を硬化させ、次いで成形型の温度が下記で規定される範囲にある間に硬化した樹脂を成形型から取外すことにより、生成した樹脂シートの成形型内での破損を避けることができる。
T 1 ≧T≧T1−30
T :成形型の温度(℃)
T1 :硬化した樹脂の最高温度(℃)
【0004】
【発明の実施の形態】
本発明においては、光硬化性樹脂を成形型に注入し、次いでこれに活性エネルギー線を照射して樹脂を硬化させて樹脂シートを生成させること自体は、常法に従って行なえばよい。
光硬化性樹脂としては、一般的なラジカル重合開始剤の存在下に、活性エネルギー線により重合して硬化する任意のものを用いることができる。例えばラジカル反応性の(メタ)アクリレートモノマーにラジカル重合開始剤を配合した組成物、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のオリゴマーを、多官能(メタ)アクリレートモノマーに溶解したものにラジカル重合開始剤を配合した組成物などが用いられる。好ましくはラジカル重合開始剤に加えて、チオール基を有する化合物のような連鎖移動剤を含む組成物が用いられる。
【0005】
成形型の材料も光硬化性樹脂の成形に常用されているものを用いることができる。成形型のうち、少くとも活性エネルギー線の照射を受ける面は、活性エネルギー線に対して十分な透過性を有する材料で構成する必要がある。成形型はポリメチルメタクリレートのような透明性のよいプラスチックで構成することもできるが、通常は活性エネルギー線の照射を受けても劣化したり熱変形したりしないようにガラスで構成するのが好ましい。成形型のキャビティの深さ(=生成する樹脂シートの厚さ)は通常3mm以下、好ましくは0.1〜3mmである。0.1mmより薄い樹脂シートは機械的強度が小さく、本発明方法によっても一般に製造が困難なことが多い。逆に3mmより厚い樹脂シートは、本発明方法によらなくても成形型内での破損が比較的少ないことが多い。本発明方法が特に有利に適用されるのは、0.1〜1mmの厚さの樹脂シートを製造する場合、すなわちキャビティの深さが0.1〜1mmの成形型を用いる場合である。
【0006】
なお、所望ならば、成形型の内面に剥離剤を塗布したり恒久的な剥離層を形成しておき、硬化により生成した樹脂シートが成形型から剥離し易いようにすることもできる。この場合にも、剥離剤や剥離層は活性エネルギー線の透過を阻害するものであってはならず、また活性エネルギー線や反応熱により変化しないものでなければならない。
【0007】
硬化に用いる活性エネルギー線は、重合開始剤に応じて紫外線、電子線などから適宜の波長のものを選択して用いればよい。また、その照射量は光硬化性樹脂を硬化させるに十分なものでなければならない。
本発明においては、光硬化性樹脂の注入されている成形型に活性エネルギー線を照射して樹脂を硬化させたのち、成形型がまだ高温に保たれている間に、生成した樹脂シートを成形型から取外す。すなわち、活性エネルギー線の照射及び硬化反応に伴う反応熱により、硬化反応中に樹脂の温度は上昇するが、その到達した最高温度よりも30℃低下するまでの間に成形型から生成した樹脂シートを取外すことにより、生成した樹脂シートの破損を防止することができる。通常は成形型を所定の温度に保温しつつ、成形型から樹脂シートを取外すようにする。成形型の保温は、所定の温度に維持されている雰囲気内に成形型を保持すればよく、また熱風、遠赤外線、電熱ヒーターなどで加温してもよい。
【0008】
本発明者らの検討によれば、光硬化させた樹脂シートが成形型内で破損するのは、成形型と光硬化した樹脂との熱膨率が異なることに起因している。すなわち成形型は、前述の如く、一般にガラスで構成されるが、ガラスは光硬化した樹脂よりも一般に熱膨張率が小さい。従って成形型に光硬化性樹脂を注入し、これに活性エネルギー線を照射して硬化させると、硬化により生成した樹脂シート及びこれが接触している成形型は、硬化反応に伴う反応熱及び照射エネルギー線により高温となる。次いで放冷などにより温度が低下すると、成形型とこれに接している樹脂シートとの熱膨張率の差により樹脂シートに歪みが生じ、ついには樹脂シートが破損するに至る。本発明者らの検討によれば、硬化した樹脂の到達した最高温度での熱膨張率の差が3×10−5/℃以上となると、冷却過程において熱膨張率の差により成形型と樹脂シートとの界面で生ずる歪みを吸収できずに、樹脂シートが破損し易いことが判明した。また、熱膨張率の差が3×10−5/℃以上でも樹脂シートが厚いと、内部で歪みが吸収され易いので破損し難くなる。本発明では、硬化した樹脂の最高温度、すなわち樹脂シートが到達した最高温度からの温度降下が30℃迄の間、換言すれば熱膨張率の差による歪みの発生が比較的小さい間に、成形型から樹脂シートを取外すことにより、樹脂シートの破損を回避することができる。
【0009】
【実施例】
以下に実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
2枚のガラス平板(100×100×5mm)を、その周囲にスペーサーとして幅5mm、厚さ1mmのシリコンゴムを介在させて重ね合わせたものを成形型として用いた。なお、辺の中央部のスペーサーに設けた孔から温度計を挿入し、その先端を成形型のキャビティ内に10mm突出させた。
【0010】
この成形型に、下記(1)式で示されるP−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)キシリレン99重量部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)1重量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(ルシリンTPO、BASF社製品)0.05重量部、ベンゾフェノン0.02重量部を混合して均一になるように攪拌したのち脱泡した光硬化性樹脂を注入した。
【0011】
成形型の上下に、ガラス面から400mm離して、出力80W/cmのメタルハライドランプを設置し、5分間紫外線を照射して光硬化性樹脂を硬化させた。このとき温度計は90℃に達した。
成形型を直ちに90℃に維持されているオーブンに収容し、この中で成形型を分解して生成した樹脂シートを取外した。樹脂シートは成形型に密着しているので、取外し操作は樹脂シートを破損しなように十分に注意して行なった。結果を表−1に示す。
【0012】
【化1】
【0013】
実施例2
成形型を60℃に維持されているオーブン中に収容した以外は、実施例1と全く同様にして樹脂シートを製作した。結果を表−1に示す。
【0014】
比較例1
成形型を55℃に維持されているオーブン中に収容した以外は、実施例1と全く同様にして樹脂シートを製作した。結果を表−1に示す。
比較例2
成形型を50℃に維持されているオーブン中に収容した以外は、実施例1と全く同様にして樹脂シートを製作した。結果を表−1に示す。
【0015】
比較例3
成形型を23℃の室内に放置した以外は、実施例1と全く同様にして樹脂シートを製作した。結果を表−1に示す。
実施例3
2枚のガラス平板(300×400×5mm)を、その周囲にスペーサーとして幅5mm、厚さ1mmのシリコンゴムを介在させて重ね合わせたものを成形型として用いた。なお、長辺の中央部のスペーサーに設けた孔から温度計を挿入し、その先端を成形型のキャビティ内に10mm突出させた。
【0016】
この成形型に、下記(2)式で示されるビス(オキシメチル)トリシクロ〔5,2,1,02,6 〕デカンジメタクリレート94重量部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)6重量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(ルシリンTPO、BASF社製品)0.06重量部、ベンゾフェノン0.04重量部を混合して均一になるように混合したのち脱泡した光硬化性樹脂を注入した。
【0017】
成形型の上下に、ガラス面から400mm離して、出力80W/cmのメタルハライドランプを設置し、30分間紫外線を照射して光硬化性樹脂を硬化させた。このとき温度計は150℃に達した。
成形型を直ちに150℃に維持されているオーブンに収容し、この中で成形型から生成した樹脂シートを取外した。樹脂シートは成形型に密着しているので、取外し操作は、樹脂シートを破損しないように十分に注意して行なった。結果を表−1に示す。
【0018】
【化2】
【0019】
実施例4
成形型を120℃に維持されているオーブン中に収容した以外は、実施例3と全く同様にして樹脂シートを製作した。結果を表−1に示す。
比較例4
成形型を115℃に維持されているオーブン中に収容した以外は、実施例3と全く同様にして樹脂シートを製作した。結果を表−1に示す。
【0020】
比較例5
成形型を110℃に維持されているオーブン中に収容した以外は、実施例3と全く同様にして樹脂シートを製作した。結果を表−1に示す。
比較例6
成形型を23℃の室内に放置した以外は、実施例3と全く同様にして樹脂シートを製作した。結果を表−1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、光硬化性樹脂からシートを製作するに際し、シートの破損を回避することができる。
Claims (3)
- 少くとも受光面が活性エネルギー線が透過可能な材料で形成されている偏平なキャビティを有する成形型に、硬化後に成形型との熱膨張率の差が3×10 -5 /℃以上となる光硬化性樹脂を注入し、該受光面を通して活性エネルギー線を照射して光硬化性樹脂を硬化させ、次いで成形型の温度が下記で規定される範囲にある間に硬化した樹脂を成形型から取外すことを特徴とする光硬化性樹脂を用いた樹脂シートの製造方法。
T 1 ≧T≧T1−30
T :成形型の温度(℃)
T1 :硬化した樹脂の最高温度(℃) - 成形型のうち光硬化性樹脂と接する部分の少くとも一部がガラスで構成されていることを特徴とする請求項1記載の樹脂シートの製造方法。
- 樹脂シートの厚さが0.1〜3mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂シートの製造方法。
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JP9385396A JP3560098B2 (ja) | 1996-04-16 | 1996-04-16 | 光硬化性樹脂を用いた樹脂シートの製造方法 |
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1996
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