JP2929982B2 - 玉軸受 - Google Patents

玉軸受

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JP2929982B2
JP2929982B2 JP30025095A JP30025095A JP2929982B2 JP 2929982 B2 JP2929982 B2 JP 2929982B2 JP 30025095 A JP30025095 A JP 30025095A JP 30025095 A JP30025095 A JP 30025095A JP 2929982 B2 JP2929982 B2 JP 2929982B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明に係る玉軸受は、工作機
械等に組み込まれる長尺な動力伝達軸の中間部を回転自
在に支持する為に利用する。
【0002】
【従来の技術】工作機械等に組み込まれ、この工作機械
等を回転駆動する動力伝達軸の中には、工場内での電動
モータ等の配置の都合上、長尺なものがある。この様な
長尺な動力伝達軸が回転に伴なって振動するのを防止す
る為、この動力伝達軸の中間部を玉軸受により回転自在
に支持すると共に、この玉軸受を緩衝材を介して支持部
材に対し吸振的に支持する事が行なわれている。
【0003】即ち、例えば図1に示す様に、外周面に断
面が円弧状に凹んだ内輪軌道1を有する内輪2と、内周
面に断面が円弧状に凹んだ外輪軌道3を有する外輪4
と、上記内輪軌道1と外輪軌道3との間に転動自在に設
けられた複数の玉5とから成る玉軸受6のうち、上記内
輪2を動力伝達軸等の回転軸7の中間部外周面に外嵌固
定すると共に、外輪4を支持部材8の内側に、ゴム等の
緩衝材9を介して吸振的に支持している。この結果、長
尺な回転軸7が比較的高速で回転した場合にも、この回
転軸7の中間部が、ぶれる様な振動を起こす事が防止さ
れる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の様に
して動力伝達軸等の回転軸7の中間部を回転自在に支持
する玉軸受6を、緩衝材9を介して支持部材8に支持し
た場合、回転軸7の回転中、しばしば玉軸受6が振動を
起こし、耳障りな騒音を発生してしまう。
【0005】この様な騒音に結び付く振動の発生原因に
就いて本発明者が研究したところ、玉5と、内輪2、外
輪4の軌道輪との間で生じるスラスト振動である事が解
った。即ち、前記内輪軌道1と外輪軌道3とは、何れも
断面円弧状の凹面とされているが、従来の玉軸受6の場
合、各軌道1、3の曲率半径は、何れも玉5の外径Dよ
りも僅かだけ大きく形成していた。この為、各玉5の転
走面と各軌道1、3の内面との間には微小な隙間が形成
されるが、この隙間の内側には、玉軸受6を潤滑する為
のグリースが存在する。
【0006】この為、回転軸7の回転に伴なって玉5が
スラスト方向(図1の左右方向)に振動すると、この振
動がグリースを介して内輪2及び外輪4に伝達されて、
玉軸受6全体が振動し、更に玉軸受6の周囲に存在する
機器が共振して、耳障りな騒音を発生するものである。
【0007】この様な原因による騒音の発生を抑える
為、グリースの粘度を低くして、玉5の振動が内輪2及
び外輪4に伝達されにくくする事も考えられるが、潤滑
すべき部分に形成される油膜の強度低下により、玉軸受
6の寿命が低下する恐れがある為、使用場所等の条件に
よっては採用できない場合が考えられる。本発明の玉軸
受は、上述の様な事情に鑑みて発明されたものである。
【0008】
【課題を解決する為の手段】本発明の玉軸受は、前述し
た従来の玉軸受と同様に、外周面に断面が円弧状に凹ん
だ内輪軌道を有する内輪と、内周面に断面が円弧状に凹
んだ外輪軌道を有する外輪と、上記内輪軌道と外輪軌道
との間に転動自在に設けられた複数の玉とから成る。そ
して、上記外輪が支持部材に対し緩衝材を介して吸振的
に支持される。
【0009】特に、本発明の玉軸受に於いては、上記内
輪軌道と外輪軌道との一方の曲率半径を、上記玉の外径
の51%以下とすると共に、上記内輪軌道と外輪軌道と
の他方の曲率半径を、上記玉の外径の55%以上として
いる。
【0010】
【作用】上述の様に構成される本発明の玉軸受が、回転
軸の中間部を吸振的に支持する際の作用自体は、前述し
た従来の玉軸受と同様である。特に、本発明の玉軸受の
場合には、玉の外径の55%以上の、比較的大きい曲率
半径を有する内輪軌道又は外輪軌道の内面と、上記玉の
接点を除く転走面との間に、比較的大きな軸方向隙間が
残存する様に形成される。この為、回転軸の回転に伴な
って玉がスラスト方向に振動した場合でも、この振動が
上記内輪軌道を有する内輪又は外輪軌道を有する外輪に
伝わり難くなり、結果として玉軸受が振動し難くなる。
【0011】
【実施例】図面を参照しつつ、本発明を更に詳しく説明
する。本発明の玉軸受は、前述した従来の玉軸受と同
様、図1に示す様に、断面が円弧状に凹んだ内輪軌道1
を外周面に有する内輪2と、やはり断面が円弧状に凹ん
だ外輪軌道3を内周面に有する外輪4と、上記内輪軌道
1と外輪軌道3との間に転動自在に設けられた複数の玉
5とから成る玉軸受6のうち、上記内輪2を動力伝達軸
等の回転軸7の中間部外周面に外嵌固定すると共に、外
輪4を支持部材8の内側に、ゴム等の緩衝材9を介して
玉軸受自体を吸振的に支持している。尚、図2中10、
11は、シール体を使用する際、シール体の係止等に用
いるシール溝である。
【0012】特に、本発明の玉軸受に於いては、図2に
示す様に、上記内輪軌道1と外輪軌道3とのうち、内輪
軌道1の曲率半径rを、上記玉5の外径D(図1)の5
1%以下、50%を越える範囲とする(0.50D<r
≦0.51D)と共に、外輪軌道3の曲率半径Rを、上
記玉5の外径Dの55%以上、65%以下(0.55D
≦R≦0.65D)としている。
【0013】上述の様に構成される本発明の玉軸受が、
回転軸7の中間部を吸振的に支持する際の作用自体は、
前述した従来の玉軸受と同様である。特に、本発明の玉
軸受の場合には、玉5の外径Dの55%以上の、比較的
大きい曲率半径Rを有する外輪軌道3の内面と、上記玉
5の接点を除く転走面との間に、比較的大きな軸方向の
隙間が形成され、比較的粘度の高いグリースを使用した
場合に於いても、玉5の外輪4に対するスラスト方向の
変位が、比較的自由に行なわれる。この為、回転軸7の
回転に伴なって玉5がスラスト方向に振動した場合で
も、この振動が上記外輪4に伝わり難くなり、結果とし
て玉軸受6が振動し難くなる。
【0014】本発明者が玉軸受6内に封入するグリース
の粘度と外輪軌道3の曲率半径Rとを種々変えて、玉軸
受6で発生するスラスト方向の振動を測定したところ、
図3に示す様に、外輪軌道3の曲率半径Rが大きくなる
程、玉軸受6に発生するスラスト方向の振動が小さくな
る事が確認された。
【0015】尚、使用した玉軸受6(JIS名番620
6相当)は、玉5の外径Dが9.525mmで、内輪2の
内径が30mm、幅が16mmのものを使用した。又、図3
の実線aは粘度が30cSt の、比較的固いグリースを使
用した場合を、破線bは粘度が15cSt の、比較的柔ら
かいグリースを使用した場合を、それぞれ表わしてい
る。更に、内輪軌道1の曲率半径は玉5の外径Dの5
0.8%のものを使用した。
【0016】
【発明の効果】本発明の玉軸受は、以上に述べた様に、
グリースとして比較的固いものを使用しても、スラスト
方向の振動を有効に抑える事ができ、耳障りな騒音を発
生する事なく、しかも耐久性の優れた玉軸受を提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象となる玉軸受の1例を示す断面
図。
【図2】内輪軌道と外輪軌道との曲率半径を表わす断面
図。
【図3】外輪軌道の曲率半径とスラスト方向の振動との
関係を示す線図。
【符号の説明】
1 内輪軌道 2 内輪 3 外輪軌道 4 外輪 5 玉 6 玉軸受 7 回転軸 8 支持部材 9 緩衝材 10、11 シール溝。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周面に断面が円弧状に凹んだ内輪軌道
    を有する内輪と、内周面に断面が円弧状に凹んだ外輪軌
    道を有する外輪と、上記内輪軌道と外輪軌道との間に転
    動自在に設けられた複数の玉とから成り、且つ上記外輪
    が支持部材に対し緩衝材を介して吸振的に支持される玉
    軸受に於いて、上記内輪軌道と外輪軌道との一方の曲率
    半径を、上記玉の外径の51%以下とすると共に、上記
    内輪軌道と外輪軌道との他方の曲率半径を、上記玉の外
    径の55%以上とした事を特徴とする玉軸受。
JP30025095A 1995-11-17 1995-11-17 玉軸受 Expired - Fee Related JP2929982B2 (ja)

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