JP2926925B2 - ニッケル・水素蓄電池用負極 - Google Patents

ニッケル・水素蓄電池用負極

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孝夫 小倉
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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

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  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ニッケル・水素蓄電池の負極に用いる電気
化学的に水素の吸蔵、放出が可能な蓄電池用負極に関す
るものである。
従来の技術 エレクトロニクス機器の小形、軽量化に伴ないニッケ
ル・カドミウム電池の高容量化の研究が進んでいる。当
初、ニッケル極、カドミウム極ともに焼結式と呼ばれる
タイプの電極が用いられていたが高容量化のため、ニッ
ケル極、カドミウム極ともにペースト式と呼ばれる方式
が開発され、現在に至っている。また、利用率向上のた
め、ニッケル極にはコバルト、カドミウム・亜鉛等の添
加カドミウム極ではニッケル・カーボン等の導電材ある
いはポリビニルアルコール、メチルセルロースのような
活物質の凝集防止剤の添加等が研究されている。しか
し、すでに、ニッケル極、カドミウム極の特性上、限界
に近いと言われている。そこで、近年、注目を集めてい
るのが、ニッケル・水素電池である。ニッケル極はニッ
ケル・カドミウム電池と同一であるが、水素極は水素吸
蔵合金を用いた電池であり、これはカドミウム極のよう
に多くの充放電リザーブを必要としないため、設計面か
ら有利となり、電池での高容量化が可能となる。現在、
最も可能性のある水素吸蔵合金電極は平衡圧が比較的低
い、LaNi5系であり、積極的に研究が進められている。
発明が解決しようとする課題 ニッケル、カドミウム電池では充電終了末期あるいは
直後においてのみ電池缶内の圧力が高くなる。ところ
が、ニッケル・水素電池では、水素吸蔵合金中の水素が
一部解離し、常に一定の水素ガスが系内に存在する。こ
のため、水素吸蔵合金の水素解離圧が高いと、電池缶内
の圧力が高くなってしまう。LaNi5は前述したように平
衡圧が比較的低いといっても、0.3〜0.4MPa(40℃)
で、ニッケル・カドミウム電池の約0.1MPa(40℃)に比
べるとかなり高い。さらに充電時に至っては通常行なわ
れている2〜3時間程度の充電で、電池缶内の圧力が1M
Pa以上となってしまう。一方、電池缶は安全上1〜2MPa
程度で作動する安全弁を取り付ける必要がある。このた
め、上記の圧力に達してしまうと、活物質ともいえる水
素ガスが電池系外に逃げ、安全上問題であると同時に容
量低下を起こす一因となる。このため、LaNi5を用いた
電池では充放電サイクル寿命特性がニッケル・カドミウ
ムに電池に比べて著しく低いという問題点があった。
課題を解決するための手段 問題点を解決する方法としては水素吸蔵合金の平衡圧
を下げることが最も有効である。ニッケル・水素電池の
平衡圧はPCT曲線から求めることができる。第1図に、
一例としLaNi5のPCT曲線を示した。横軸が水素吸蔵量、
縦軸が水素圧力である。電池での平衡圧はこの線図にお
けるプラト一部に相当する。発明者らは、この平衡圧と
単位格子の体積との関係において検討したところ、単位
格子体積と平衡圧LogPとの間に直線関係を見出した。こ
の関係式はLogP=−0.335V+28.555(但し、P:平衡圧、
Vは単位格子体積)である。それを第2図に示した。こ
こで、電池の平衡内圧が0.2MPa以下であれば、充電時に
おいても、その内圧が1MPa以上となることはなく、この
時の水素吸蔵合金の単位格子の体積は87.2Åである。
すなわち、単位格子の体積が87.2Å以上のCaCu5形の
結晶構造を合金を用いることにより、ニッケル・水素電
池の平衡圧を下げることができる。
作用 本発明の電極をニッケル・水素蓄電池に用いると、平
衡圧をLaNi5を用いた電極に比べて抑制でき、安全性が
高まる。また、充電時に内圧が上昇しても安全弁が作動
する領域には至らず、長寿命なニッケル・水素電池を提
供することができる。
実施例 以下、本発明を実施例により説明する。
実施例1作成した合金組成を第1表のAからGに示
す。LaNi5はアーク溶解炉と高周波溶解炉で作成した2
種を用いた。その他の合金はすべてアーク溶解炉により
作成したものを用いた。次にこの合金をスタンプミルで
粉砕し、320メッシュアンダーの粉末とした。これらの
粉末のX線回折の結果から求めた単位格子体積と平衡圧
の関係を第3図に示した。この結果、単位格子の体積と
平衡圧log Pとは直線関係にあることが認められた。平
衡圧を0.2MPa以下にするためには87.2Å以上にする必
要があることがわかった。第3図において、A′〜G′
はA〜Gに対応する合金粉末を用いた電池である。
実施例2 実施例1で作成した合金粉末をポリビニルアルコール
の10%水溶液でペースト状とし、発泡メタルに充填し、
電極とした。対極には公知の方式で作製された焼結式ニ
ッケル極を用いた。セパレータはナイロン不織布を用い
た。これらの電池構成要素をAA形サイズに切断し、組み
込んだ。電解液は30%水酸化カリウム溶液とした。な
お、電池容量は700から750mAhであった。
第4図に0.5cmAで充電した時の電池内圧曲線を示す。
図中において、電池aは電極Aを用いた電池を示し、以
下同様にb〜gはB〜Gの電極を用いた電池である。電
池aは充電開始後約2時間40分で1.4MPaになり安全弁が
作動した。電池dは充電終了時まで約1.1MPa、電池eは
約0.8MPa、電池fは約1.6MPaであった。
実施例3 実施例2で用いた電池を0.5cmAで3時間充放電、オー
プン20分、1cmAで放電したときの充電サイクル寿命試験
結果を示した。このように電池a、b、cは充放電をく
り返すと50サイクル目には初期容量の50%近くにまで低
下してしまっった。しかし、電池d、e、f、gは、そ
れらの電池にくらべると、非常に充放電サイクルによる
劣化が少なく、本発明による電極を用いた電池が有用で
あることがわかる。この理由は、充電時に内圧が上昇
し、水素ガスが系外に出てしまうためであろうと推定さ
れる。なお、平衡圧の低いf、gによる容量の低下はニ
ッケル極によるものと思われる。
発明の効果 このように、本発明は、CaCu5形結晶構造を有し、カ
ルシウムサイトがランタン、ネオジウム、セリウム、プ
ラセオジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、マ
グネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムの
うち少なくとも1種以上の元素からなり、かつ銅サイト
がクロム、マンガン、コバルト、ケイ素、ニッケル、
銅、アルミニウム、亜鉛のうち少なくとも1種以上の元
素からなる水素吸蔵合金を用いたニッケル・水素蓄電池
用負極であって、前記水素吸蔵合金の単位体積を87.2Å
以上としたことにより、これ以外の負極を用いたニッ
ケル・水素蓄電池に比べて、電池内圧を抑制でき、充放
電サイクル寿命をのばすことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はLaNi5のPCT曲線図、第2図はCaCu5形構造を有
する単位格子体積と平衡圧の関係図、第3図は第1表で
作製した合金の単位格子の体積と平衡圧の関係図、第4
図は0.5cmAで充電したときの電池内圧曲線図、第5図は
充放電サイクルに伴なう放電容量の変化を示す図であ
る。 D′〜G′:電池、d〜g:電池
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−48042(JP,A) 特開 平2−277737(JP,A) 特開 平2−111837(JP,A) 特開 平1−162741(JP,A) 特開 昭61−203561(JP,A) 特開 平1−290742(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 19/00 F H01M 4/24 Z

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】CaCu5形結晶構造を有し、カルシウムサイ
    トがランタン、ネオジウム、セリウム、プラセオジウ
    ム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、マグネシウ
    ム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムのうち少な
    くとも1種以上の元素からなり、かつ銅サイトがクロ
    ム、マンガン、コバルト、ケイ素、ニッケル、銅、アル
    ミニウム、亜鉛のうち少なくとも1種以上の元素からな
    る水素吸蔵合金を用いたニッケル・水素蓄電池用負極で
    あって、前記水素吸蔵合金の単位体積を87.2Å以上と
    したことを特徴とするニッケル・水素蓄電池用負極。
JP2194637A 1990-07-23 1990-07-23 ニッケル・水素蓄電池用負極 Expired - Lifetime JP2926925B2 (ja)

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JP2764502B2 (ja) * 1992-06-09 1998-06-11 古河電池株式会社 水素吸蔵電極を用いた密閉蓄電池の製造法並びにその電極用水素吸蔵合金
JP6583616B2 (ja) * 2015-05-29 2019-10-02 国立大学法人名古屋大学 水素吸蔵量測定方法および水素吸蔵量測定装置

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