JP2926520B2 - 構造物の振動制御装置 - Google Patents

構造物の振動制御装置

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JP2926520B2
JP2926520B2 JP9127791A JP9127791A JP2926520B2 JP 2926520 B2 JP2926520 B2 JP 2926520B2 JP 9127791 A JP9127791 A JP 9127791A JP 9127791 A JP9127791 A JP 9127791A JP 2926520 B2 JP2926520 B2 JP 2926520B2
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博 川瀬
康裕 林
透 石井
哲志 清川
裕 稲田
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郁夫 高橋
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種建築・土木構造物
等における、特に地震時の制振対策として採用された場
合に好適な、構造物の振動制御装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】構造物の制震対策として、風や地盤振動
に伴う構造物の振動を構造物自体に設けた減衰装置によ
り抑制する方法、あるいは、地盤の振動を直接抑制する
方法などが知られている。
【0003】前者の減衰装置を構造物自体に設ける振動
抑制方法の具体例としては、例えば基礎部とその上の建
築物本体との間に、ゴム積層構造、オイルダンパー、履
歴ダンパー等の減衰装置を介在させる方法や、建築物の
上部に液体利用の減衰装置を設ける方法などがある。後
者の地盤振動を直接抑制する方法の具体例としては、地
盤に溝(トレンチ)を掘る方法や、地盤の中に溝の代わ
りに地盤よりも固いあるいは高密度の壁を作っておく方
法などががある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来方法には、それぞれ次のような課題が存す
る。まず、構造物自体に減衰装置を設けておく方法の場
合、減衰装置の作用により構造物自体の振動については
ある程度抑制できるが、構造物下の地盤振動や地震波等
によって構造物に入力される地震力そのものを抑制する
ことはできない。また、この方法では、このように地震
波入力等によって生じる構造物の振動を単に減衰装置に
よって抑制するだけであるから、構造物の振動の大きな
要素である、地盤と構造物との相対変位についてはこれ
を抑制することはできない。さらに、軟弱地盤上に建つ
構造物の場合には、地盤が液状化することにより、構造
物及び構造物に接続する地中埋設管(水道管、ガス管
等)に被害を及ぼすことがあるが、このように構造物自
体に減衰装置を設けておく方法ではこの被害を避けるこ
とはできない。
【0005】一方、構造物の特に地震時における制震対
策、及び構造物下の液状化防止対策という観点からすれ
ば、構造物が立地する地盤の振動を直接抑制することが
できればより効果的である。しかし、地盤振動を抑制す
る従来方法のうち、地盤に溝を設ける方法では、地表付
近にエネルギーが集中し水平方向に伝播する表面波を遮
断する場合には効果があるものの、下方から入射する実
体波には効果がない。また、表面波遮断の効果を十分に
発揮させるためには、溝の深さを波の波長程度にしなけ
ればならない。一般の構造物に影響を与える地盤振動の
波長は、普通数m〜数十mであるから、振動数が高い場
合を除きかなり深い溝を掘らなければならないという
題点がある。
【0006】また、地盤中に地盤よりも固いあるいは高
密度の壁を作ってやることも波動の遮断に有効である
が、この方法も基本的には下方から入射する実体波には
効果がなく、しかも壁の厚さは入射波の波長に応じて共
振が起こらないように適当な値に設定しなければならな
い等の問題がある。そして、このように地盤振動を抑制
する方法においてもやはり地盤と構造物との相対変位を
抑制することは不可能である。
【0007】本発明は以上のような点を考慮してなされ
たもので、構造物が立地する地盤とその構造物との相対
変位を直接抑制することができ、これによって、構造物
の振動および地盤の振動をも同時に抑制することができ
る構造物の振動抑制装置を提供しようとするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
構造物と、該構造物よりも下方の地盤との間に、それら
構造物と地盤とを接続して、地震等における前記構造物
と地盤との相対変位を抑制するための変位抑制機構を設
、該変位抑制機構を、構造物に設けたエネルギー吸収
用の減衰装置と、構造物よりも下方の地盤中において斜
下方に延在させてその一端を地盤中に固定するととも
に、他端を前記減衰装置に接続した引張部材とを備えた
構成とし、かつ、当該引張部材を、構造物と地盤との相
対変位により生じる引張力のみを前記減衰装置に伝達す
る構成としたことを特徴としている。
【0009】請求項2に係る発明は、請求項1記載の構
造物が基礎部を備え、該基礎部に前記減衰装置が設けら
れていることを特徴としている。
【0010】請求項3に係る発明は、請求項2記載の構
造物の基礎部の左右に滑動手段が設けられ、これら滑動
手段の間の前記基礎部に減衰装置が設けられ、前記基礎
部よりも下方の地盤中には、基礎部の直下において互い
に交差して斜下方に延在する少なくとも一対の引張部材
が配設され、各引張部材の各々の一端は地盤中に固定さ
れるとともに、各々の他端は前記滑動手段をそれぞれ介
して前記減衰装置に接続されていることを特徴としてい
る。
【0011】請求項4に係る発明は、請求項1または3
に記載の引張部材の少なくとも一部がワイヤー等の索状
体で構成されていることを特徴としている。
【0012】請求項5に係る発明は、請求項3記載の減
衰装置が、構造物への固定部に対して回転可能な可動部
とこの可動部に回転抵抗を与える抵抗体とを備え、一対
の引張部材は、各々の他端部において互いに連続する一
本の索状体からなり、該索状体の一部が前記可動部に卷
回された構成であることを特徴としている。
【0013】請求項6に係る発明は、請求項3記載の滑
動手段が、構造物への支持部を備えた回転体からなり、
該回転体と支持部との間には、回転体に対して回転抵抗
を与える抵抗体が設けられていることを特徴としてい
る。
【0014】
【作用】請求項1記載の振動制御装置では、構造物と、
該構造物よりも下方の地盤との間に両者を接続する形態
で設けられた変位抑制機構の作用により、それら構造物
と地盤との相対変位が抑制され、結果的に構造物自体の
振動、並びに構造物直下の地盤の振動が抑制される。
た、構造物と地盤との相対変位が引張部材を介して減衰
装置に伝達される。その場合において、引張部材は引張
力のみを減衰装置に伝達するものであるから、座屈対策
などが不要なうえに、小さな部材でも大きな力の伝達が
可能になる。
【0015】請求項2記載の振動制御装置では、構造物
の基礎部に減衰装置を設けているので、構造物の振動を
基礎部分から直接抑制することが可能になる。
【0016】請求項3記載の振動制御装置では、引張部
材が地盤中で互いに交差する形態となって基礎部の左右
の滑動手段を介して減衰装置に導かれているので、構造
物と地盤との特に水平方向の相対変位が拡大して減衰装
置に伝達されることになる。
【0017】請求項4記載の振動制御装置では、引張部
材が減衰装置に接続される部分や滑動手段に直接接触す
る部分等に可橈性を持つ索状体を用い、それ以外の部分
については十分な強度を有する部材であれば索状体以外
の部材を用いるようにすることもできる。
【0018】請求項5記載の振動制御装置では、減衰装
置が回転式減衰装置として機能し、構造物と地盤との相
対変位は一本の索状体を介してその回転式減衰装置に伝
達される。
【0019】請求項6記載の振動制御装置では、滑動手
段がそれ自体の機能の他に減衰装置としての機能をも発
揮する。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
して説明する。図1は、構造物の振動制御装置の概略縦
断面図を示すものである。この図において、全体として
符号Aで示すものが制振対象である構造物、符号Bで示
すものが構造物Aと地盤Gとの間に設けられて地震時等
における両者間の相対変位を抑制する変位抑制機構であ
る。
【0021】構造物Aとしては、図示例では地盤Gによ
って支持される基礎部1と、その上の建物本体2とが一
体に構築されたものが示されている。変位抑制機構B
は、構造物Aに設けられたエネルギー吸収用の減衰装置
3と、構造物Aよりも下方の地盤G中において斜下方に
延在してその一端が地盤中に固定されると共に、他端が
前記減衰装置3に接続された引張部材4とを備え、該引
張部材4は、構造物Aと地盤Gとの相対変位により生じ
る引張力のみを前記減衰装置3に伝達する構成とされて
いる。
【0022】これらの詳細について、さらに図2及び図
3をも参照して説明すると、構造物Aの基礎部2内の水
平方向になる左右部分には、滑動手段5、6がそれぞれ
設けられている。これら滑動手段5、6は、引張部材4
を基礎部1内に導く導入部滑車(回転体)5a、6a
と、引張部材4を水平方向へ方向転換して減衰装置3へ
と導く水平部滑車(回転体)5b、6bとによりそれぞ
れ構成されている。これらの導入部滑車及び水平部滑車
は、図2に示すように(一方側のみ図示)、各々の回転
軸5cを支持する支持部5dを備え、この支持部5dは
基礎部1の補強部5eに対して図示しないアンカー等に
より強固に固定されている。引張部材4には、例えば鋼
製ワイヤーなどのように高い引張強度を有し、かつ引張
力のみを伝達することが可能な索状体が用いられてい
る。
【0023】構造物を支持している地盤Gは、堅い地盤
G2の上に軟弱な地盤G1が載っている二層地盤構造の
ものが示されている。そして、索状体からなる前記引張
部材4の場合、ここでは、左右一対の引張部材4、4と
なるべき引張部材が一本の索状体で構成されており、従
ってこの実施例では、一本の索状体のその両端が構造物
Aの中心から水平方向に可能なかぎり互いに十分に間隔
を持つように位置決めされて下方の堅い地盤G2中にア
ンカーされて固定され、途中でX字状に交差した形態で
基礎部1左右の滑動手段5、6をそれぞれ介して減衰装
置3に導かれ、中間部がその減衰装置3の後述する同軸
プーリに卷回されることで減衰装置3に接続されてい
る。
【0024】前記引張部材4は、地盤との直接接触を防
ぐ意味から、地盤中に埋設された比較的大径のさや管7
の中に収納されている。そして、このさや管7の下端の
地盤中には、引張部材4の端部を地盤G2に固定する定
着用充填材8が充填されている。このさや管7の内径と
しては、地盤振動時において引張部材4が接触しない程
度の大きさに設定されている。
【0025】構造物Aの基礎部1への引張部材4の取り
込み口は、基礎部1の床1aに設けられた開口1bとさ
や管7の上端との間を例えばゴム製の伸縮継手9で構成
し、地震時にさや管7に働く力が基礎部に作用しないよ
うに構造的に絶縁される構成とされている。
【0026】エネルギー吸収用の減衰装置3としては、
ここでは往復回転式のものが示され、基礎部1の床1a
に補強部1cを介して固定された固定部10と、この固
定部10に対して回転可能に設けられた可動部11と、
これら固定部10及び可動部11との間に充填された粘
性体12とを備えた基本構成とされている。
【0027】即ち、固定部10は上面が開放された有底
の短筒状に構成され、その内部に同心円筒を形成する複
数の短筒体13が設けられて内部が環状に区画され、そ
してこれらの区画された部分に前記粘性体12が充填さ
れている。前記固定部10の軸線位置には、可動部11
の回転中心となる鉛直軸14が設けられ、この鉛直軸1
4の上部に該鉛直軸14と一体に回転する前述の同軸プ
ーリ15が固着されている。鉛直軸14の前記プーリ1
5の下部側には水平のフランジ板16が設けられ、この
フランジ板16の下面から前記各短筒体13で区画され
た環状空間内に延出して粘性体12との間で回転抵抗を
起こさせるための回転翼17が複数突設されている。こ
こで、前記引張部材4はその中間部が、減衰装置3の構
造に対応して同軸プーリ15に弛みの生じない状態で複
数回卷回され、これによって引張部材4に生じる引張力
が減衰装置3に伝達されるように構成されている。
【0028】このように構成された振動制御装置におい
て、今、地盤G、構造物の基礎部1が地震力を受けて振
動し、ある瞬間には図3に実線で示すように水平に右方
向に変位(相対変位)したとする。すると、構造物基礎
部1の右端部と構造物直下の地中のある深さの地盤部分
の左端部(例えば引張部材4の地盤G2へのアンカーに
よるいわゆる左側の固定端付近)との間の相対距離が増
大し、よってこれら2点間に張られた引張部材4は引っ
張られ、その変位は導入部滑車5aと水平部滑車6aを
経て減衰装置3に伝えられる。この際、引張側索状体
(引張部材4の図において左端部の固定端から減衰装置
3に至る部分の索状体を引張側索状体と呼ぶ。)はその
張力により弾性変形し、固定端と滑動手段との間の相対
変位のうちの幾分かを吸収するが、大部分は減衰装置3
に対する入力となる。
【0029】この入力に基づいて、減衰装置3は、その
固定部10と可動部11との間に充填されている粘性体
12の回転抵抗作用により、入力変位もしくは入力速度
に比例した減衰力を発生し、引張側索状体の張力と釣り
合う。こうして、地盤の右方向への変位に対し、引張側
索状体と減衰装置によってその変位を抑える方向に力が
発生し、構造物基礎部に作用する。
【0030】一方、構造物基礎部1の左端部と構造物直
下の地中のある深さの地盤部分の右端部(例えば引張部
材4の地盤G2へのアンカーによるいわゆる右側の固定
端付近)との間の相対距離は減少するので、圧縮側索状
体(引張部材4の図において右端部の固定端から減衰装
置3に至る部分の索状体を圧縮側索状体と呼ぶ。)には
大きな張力は働かず、ただ引張側索状体に引かれるま
ま、たるみを生じることなく移動する。
【0031】反対に、次の瞬間には水平に左方向に変位
したとすると、構造物基礎部1の左端部と構造物直下の
地中のある深さの地盤部分の右端部との間の相対距離が
増大し、よってこれら2点間に張られた索状体は引っ張
られ、その変位は導入部滑車5b、および水平部滑車6
bを経て減衰装置3に伝えられ、減衰装置3は入力変位
もしくは入力速度に比例した減衰力を発生し索状体と釣
り合う。こうして、地盤、構造物基礎部1の左方向への
変位に対し、右方向への振動抑制力が効果的に発生す
る。
【0032】上記の振動抑制作用において、地盤ー構造
物基礎部の振動エネルギーは、主として減衰装置3によ
り熱エネルギーとなって消費されることになる。また、
実施例のように、構造物基礎部と地中部分を直接つなぐ
ことで、構造物基礎部の小さな振幅に対しても引張部材
4の大きな振幅が得られる。即ち、構造物基礎部と地中
部分との相対変位そのものを取り出すことができる。こ
れにより減衰装置3に対する入力が大きくなり、少ない
減衰装置で効率良くエネルギー吸収することが可能とな
る。また、このように引張部材4を途中で交差する形態
のいわゆるクロス状に張って一部をループ状としたこと
により、構造物基礎部と地中部分との相対変位を実質的
に拡大させて減衰装置3に導くことができ、従ってこの
点からもエネルギー吸収効率、即ち、振動抑制効果を高
めることができる。
【0033】図3は、本発明の第二実施例を示すもので
ある。なお、同実施例において先の実施例と共通する構
成要素については同一符号を示してある。この実施例に
おける特徴点は、先に示した回転式減衰装置3の代わり
にゴム積層型減衰装置20を用いたものである。従って
この場合、引張部材4は減衰装置20の上部に強固に固
定された構成とされている。なお、この場合における作
用効果についても先の実施例の場合とほぼ同様なので、
それらについての説明は省略する。
【0034】ここで、図3において鎖線で示すように、
表層地盤G1に溝(トレンチ)21を堀り、表層地盤を
構造物直下部分とその周囲部分に分離すれば、制振対象
となる構造物下の地盤部分が限定されることから、振動
抑制機構による振動抑制効果をさらに高めることができ
る。また、通常の地盤は深くなるにしたがって堅くなる
成層構造をしているので、地震時における地表付近の構
造物とそれより下方の地中との相対変位を抽出するとい
う意味からは、実施例で示すように、引張部材の地中に
対する固定端は表層とのS波速度のコントラストが大き
な堅い層に設けた方がより効果的である。その場合にお
いて、水平線と引張部材とのなす角度が大きくなると、
引張部材の張力と水平力との間の変換効率が悪化するの
で、引張部材はできるだけ水平に近くなるようにするの
が望ましい。
【0035】上記実施例において、減衰装置3として
は、ストロークが大きく左右両方向とも同一の性能を持
っているものであれば、例えば高減衰ゴムを用いたも
の、鉛入り積層ゴムを用いたもの、オイルダンパーとて
この原理を用いたもの、履歴ダンパーを用いたものな
ど、既に実用化あるいは提案されているものを単独で、
もしくはこれらを組み合わせて用いるようにしても良
い。
【0036】また、引張部材を構造物基礎部内へ取り込
む滑動手段として、鉛直面内で回転可能な導入部滑車及
び水平部滑車を上下に配設した例を示したが、上下の滑
車を一つの滑車で兼用させる構成としてもよく、さら
に、この滑動手段自体に対し、例えば回転体となる滑車
とその支持部との間に、滑車に対する機械的な回転抵抗
を与える抵抗体を付設するようにしても良い。
【0037】また、実施例における引張部材4は、その
全体について鋼製ワイヤー等の索状体を用いた構成とし
たが、例えば引張部材4の地盤G2に対する固定端部分
から滑動手段の近くに至る部分については、鋼棒や細い
H鋼などのように比較的曲がりやすくてしかも十分な強
度を有する部材を用いるようにしても良い。なお、実施
例では制振対象となる構造物として建物を例示したが、
本発明の技術思想を考慮した場合、通常の建物に限ら
ず、例えばコンクリートや鋼材その他の構造用材料で構
成した人口地盤等の各種構造物の振動制御技術としても
適用可能である。また、当然のことであるが、本発明に
係る変位抑制機構は必要に応じて複数設けてもよいこと
は言うまでもない。
【0038】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明にお
ける構造物の振動制御装置によれば、下記の如き種々の
優れた効果を奏することができる。
【0039】請求項1記載の振動制御装置においては、
構造物と、該構造物よりも下方の地盤との間に、地震等
における前記構造物と地盤との相対変位を抑制するため
の変位抑制機構を設けた構成としたので、構造物の振動
の主要原因である構造物と地盤との相対変位そのものを
抑制し、結果的に構造物自体の振動、並びに構造物直下
の地盤の振動を同時に抑制することが可能になり、した
がって、従来のように構造物自体あるいは地盤自体に対
して個別に振動抑制対策を施すのに比べてより効率的に
振動抑制効果を発揮させることができる。さらに、軟弱
地盤上に建つ構造物の場合は、地震時に地盤自体が液状
化することによる、構造物を支持する基礎杭の折損やそ
れに伴う構造物の大規模な被害並びに構造物に接続する
水道管、ガス管等の地中埋設管の被害の防止に役立つ。
【0040】しかも、構造物と地盤との相対変位を、そ
れら構造物と地盤とを接続する引張部材を介して減衰装
置に伝達する構成とし、その場合において、引張部材は
引張力のみを減衰装置に伝達するようにしているから、
相対変位を抽出する引張部材自体の座屈対策などが不要
なうえに、小さな部材でも大きな力の伝達が可能にな
る。
【0041】請求項2記載の振動制御装置においては、
構造物の基礎部に減衰装置を設けているので、構造物の
振動を基礎部分から直接抑制することが可能になる。
【0042】請求項3記載の振動制御装置においては、
引張部材を地盤中で交差する形態として基礎部の左右の
滑動手段を介して減衰装置に導く構成としているので、
構造物と地盤との特に水平方向の相対変位を実質的に拡
大して減衰装置に伝達させることができる。
【0043】請求項4記載の振動制御装置では、引張部
材として、減衰装置に接続される部分や滑動手段に直接
接触する部分等に可橈性を持つ索状体を用い、それ以外
の部分については十分な強度を有する部材であれば索状
体以外の部材を用いるようにすることもできるので、強
度対策や防錆対策、レイアウト、設計上の制約などにお
いて構成上の自由度を得ることができる。
【0044】請求項5記載の振動制御装置においては、
減衰装置を往復回転式減衰装置として機能させ、この減
衰装置の可動部に対して一本に連続する索状体を巻き付
けることで、構造物と地盤との相対変位をその回転式減
衰装置に伝達させるようにしているので、圧縮側となる
索状体部分に弛みが生じることもなく、左右の相対変位
の抑制作用に対して不釣り合いを発生させることがな
い。
【0045】請求項6記載の振動制御装置においては、
引張部材の滑動手段にそれ自体の機能の他に減衰装置と
しての機能をも発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る構造物の振動制御装置の第1実施
例を示す概略縦断面図である。
【図2】図1の要部の拡大断面図である。
【図3】本発明に係る構造物の振動制御装置の第2実施
例を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
A 構造物 B 変位抑制機構 G 地盤 1 基礎部 1a 床 2 建物本体 3、20 減衰装置 4 引張部材 5、6 滑動手段 5a、6a、5b、6b 滑車(回転体) 10 本体部 11 可動部 12 粘性体 15 鉛直軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 透 東京都中央区京橋二丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 清川 哲志 東京都中央区京橋二丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 稲田 裕 東京都中央区京橋二丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 南部 世紀夫 東京都中央区京橋二丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 高橋 郁夫 東京都中央区京橋二丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−203541(JP,A) 特開 平2−30806(JP,A) 特開 昭62−90479(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E02D 27/34 F16F 15/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物と、該構造物よりも下方の地盤と
    の間に、それら構造物と地盤とを接続して、地震等にお
    ける前記構造物と地盤との相対変位を抑制するための変
    位抑制機構を設けてなり、前記変位抑制機構は、構造物
    に設けられたエネルギー吸収用の減衰装置と、構造物よ
    りも下方の地盤中において斜下方に延在してその一端が
    地盤中に固定されるとともに、他端が前記減衰装置に接
    続された引張部材とを備え、かつ、当該引張部材は、構
    造物と地盤との相対変位により生じる引張力のみを前記
    減衰装置に伝達する構成であることを特徴とする構造物
    の振動制御装置。
  2. 【請求項2】 前記構造物は基礎部を備え、該基礎部に
    前記減衰装置が設けられていることを特徴とする請求項
    記載の構造物の振動制御装置。
  3. 【請求項3】 構造物の基礎部の左右に滑動手段が設け
    られ、これら滑動手段の間の前記基礎部に前記減衰装置
    が設けられ、前記基礎部よりも下方の地盤中には、基礎
    部の直下において互いに交差して斜下方に延在する少な
    くとも一対の引張部材が配設され、各引張部材の各々の
    一端は地盤中に固定されるとともに、各々の他端は前記
    滑動手段をそれぞれ介して前記減衰装置に接続されてい
    ることを特徴とする請求項2記載の構造物の振動制御装
    置。
  4. 【請求項4】 前記引張部材の少なくとも一部がワイヤ
    ー等の索状体で構成されていることを特徴とする請求項
    1または3記載の構造物の振動制御装置。
  5. 【請求項5】 前記減衰装置は、前記構造物への固定部
    に対して回転可能な可動部とこの可動部に回転抵抗を与
    える抵抗体とを備え、前記一対の引張部材は、各々の他
    端部において互いに連続する一本の索状体からなり、該
    索状体の一部が前記可動部に卷回された構成であること
    を特徴とする請求項3記載の構造物の振動制御装置。
  6. 【請求項6】 前記滑動手段は、前記構造物への支持部
    を備えた回転体からなり、該回転体と支持部との間に
    は、回転体に対して回転抵抗を与える抵抗体が設けられ
    ていることを特徴とする請求項3記載の構造物の振動制
    御装置。
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