JP2925457B2 - 吸引カテーテル装置 - Google Patents

吸引カテーテル装置

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JP2925457B2
JP2925457B2 JP6143518A JP14351894A JP2925457B2 JP 2925457 B2 JP2925457 B2 JP 2925457B2 JP 6143518 A JP6143518 A JP 6143518A JP 14351894 A JP14351894 A JP 14351894A JP 2925457 B2 JP2925457 B2 JP 2925457B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、軸方向に移動可能な拡
張器を収容するようになされた中央カテーテルを有し、
血管から血栓及び栓子を連続的に吸い出すための吸引カ
テーテル装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】上述のタイプのカテーテル装置は、血栓
及び栓子を除去するために使用されており、カテーテル
は、除去すべき血餠まで血管の中を前進されると共に、
その基端を介して吸引装置に接続される。次に、血餠を
吸引し、カテーテルの中の真空によって吸い出す。
【０００３】そのような吸引カテーテル装置によって血
餠を吸い出す際の大きな問題は、血餠がカテーテル自身
よりも大きな直径を有する場合には特に、吸引カテーテ
ルがそのような血餠によって容易に閉塞することであ
る。そのような閉塞を解消するためには、カテーテルを
血管から取り除く必要がある。次に、そのような閉塞し
たカテーテルを体外で洗浄するか、あるいは、未使用の
新しいカテーテルを血管の中に導入する。しかしなが
ら、いずれの場合でも、相当する血管の中にカテーテル
を少なくとも２回導入する必要がある。
【０００４】しかしながら、カテーテルを血管の中に入
れるたび毎に、管壁に苦痛が与えられる。管壁に対して
損傷を与える危険性を低減するために挿入される拡張器
によってカテーテルを前進させる場合でも、そのような
前進はいずれにしても非常にゆっくりと且つ注意深く行
う必要がある。それ自身が既に時間のかかっている洗浄
操作が更に時間をかけることになる。また、カテーテル
を再導入する時には、脈管系の内側の血餠の位置を再度
確認する必要がある。以前に使用されていないカテーテ
ルを導入する場合には、該カテーテルは、最初に使用し
たカテーテルと同様に、完全に殺菌する必要がある。
【０００５】血餠を吸い出す間のそのような吸引カテー
テルの閉塞の危険性を低減するために、種々のカテーテ
ルのデザインが知られている。例えば、欧州特許０１７
７７８２（ＥＰ ０ １７７ ７８２）は、管腔を介し
て血栓を除去するための装置を開示しており、この装置
は回転シャフトを有している。この回転シャフトは、血
餠からフィブリンを取り出し、これにより、血餠を分解
して血液が再度流れることができるようにする。シャフ
ト自身の特殊な丸いチップ、並びに、シャフトの外側の
周囲のカテーテルが、シャフトが管壁を傷つけるのを防
止する。治療部位における圧力はカテーテルを介して測
定することができ、医薬を投与することができる。とり
わけ、カテーテルを介して流体を連続的に吸引すること
ができる。しかしながら、シャフトの周囲のフィブリン
をそのシャフトから機械的に除去する必要があり、その
ような除去を行うためにシャフトをカテーテルから引き
抜く必要がある。
【０００６】また、欧州特許０３６７９８２号（ＥＰ
０３６７ ９８２）は、血栓及び栓子を経皮的に除去す
るための装置としてのカテーテル装置を開示しており、
該カテーテル装置は、カテーテルの先端に、吸引の間に
血餠を分解するための回転プロペラを備えている。血餠
は、吸引装置の助けにより、カテーテルを介して連続的
に吸い出すことができる。
【０００７】しかしながら、上記両方の設計は多くの欠
点を有している。例えば、吸引に使用可能なカテーテル
の断面は、上記回転体、並びに、該回転体を駆動するた
めに必要な駆動軸によって大幅に減少される。また、上
述のように設計されたカテーテルは、上記回転体並びに
該回転体を駆動するために必要な駆動軸を有するため
に、構造が比較的複雑であり、また、製造するのに高価
である。しかしながら、上記器具は拡張器を備えておら
ず、従って、その目的のために準備しなければならない
挿入器具を用いて血管の中へ導入する必要がある。同様
に、拡張器がないために、上記器具を血管に通す際に管
壁に損傷を当たる恐れがあり、その損傷は、カテーテル
の先端開口のエッジによって生ずる。また、周囲の管壁
の部分に対する損傷は、回転破砕ヘッドすなわちチップ
によって完全に除去することはできない。挿入器具を用
いる場合には、最初に血管を中空の穿刺針で穿刺する。
短く比較的安定なガイドワイヤを次に中空の穿刺針並び
に血管に通す。円錐形の拡張器が上記短いガイドワイヤ
の周囲に押し込まれ、該ガイドワイヤをその中心の長手
方向の孔の中に収容する。円錐形の拡張器は、挿入カテ
ーテルが拡張器の周囲で緊密に嵌合するまで刺創点を拡
張する。拡張器及び挿入カテーテルは、互いに厳密に形
成され、それぞれの直径は、適正な吸引カテーテルが挿
入カテーテルを介して血管の中に入ることができるよう
に選択する必要がある。
【０００８】上記タイプのカテーテルの設計も一度だけ
使用するには非常に高価である。しかしながら、数回使
用するのであれば、カテーテル装置全体を十分に洗浄し
て再度殺菌する必要がある。そのような装置はある量の
摩耗を受け、また、繰り返し殺菌することにより材質の
変化が生ずるので、繰り返しの使用には何等かの危険性
が伴う。また、回転体を有するカテーテル装置は故障を
生じやすい。更に、上述のように設計されたカテーテル
装置は、駆動軸が存在するのでその先端が剛性を有して
おり、小さな曲率半径を通して案内することができな
い。最後に、そのような装置は基本的に、比較的大きな
外径を有しており、その結果、適正な大きさの内腔を有
する血管にだけ接近することができる。
【０００９】動脈及び静脈から血餠を吸引するための装
置がドイツ特許ＧＢＭ８９１０６０３．２号（ＤＥ Ｇ
ＢＭ ８９１０６０３．２）に記載されている。この装
置は内側カテーテルを有しており、該内側カテーテルの
先端には膨張可能なバルーン（フォガティ カテーテ
ル：Ｆｏｇａｒｔｙ ｃａｔｈｅｔｅｒ）が設けられて
いる。上記内側カテーテルは、半径方向に膨張可能な端
部ピースを有するスルースカテーテル（ｓｌｕｉｃｅ
ｃａｔｈｅｔｅｒ）によって包囲されている。スルース
カテーテルは外側カテーテルによって包囲されている。
血餠を吸引するために、上記装置は、挿入器具の助けを
受けて、確立されたセルジンガ技術（Ｓｅｌｄｉｎｇｅ
ｒ ｔｅｃｈｎｉｑｕｅ）を用いて血管の中へ経皮的に
導入される。内側カテーテルの先端に設けられるバルー
ンを収縮した状態で血餠に通し、その後膨張させる。次
に、膨張したバルーンを有する内側カテーテルを引っ張
ることにより、血餠をスルースカテーテルの拡大した端
部ぴすの中へ機械的に入れ、該血餠を半径方向に膨張可
能な端部ピースを折り畳むことにより分解し、スルース
カテーテルを内側カテーテルと共に機械的に引っ張るこ
とにより上記血餠を血管から除去する。
【００１０】端部が容易に膨張することのできるスルー
スカテーテルのために、上記装置は、スルースカテーテ
ルよりも大きな直径の血餠をスルースカテーテルの中に
吸引してそのような血餠を血管から除去できるという利
点を有する。しかしながら、上記装置は、血餠が血管か
ら個々に除去されるような用途に限定される。スルース
カテーテルを支援するために真空を与えることができる
が、上記装置は吸引により血餠を連続的に除去するのに
適していない。血餠のフィブリンは、吸引時のスルース
カテーテルの端部の膨張可能なネットに捕捉されたまま
となり、そのようなフィブリンは真空によってだけそこ
に保持され、連続的に吸い出すことはできない。
【００１１】また、スルースカテーテルはその先端領域
に極めて小さい管腔を有しており、その理由は、上記先
端領域は膨張可能な端部ピースのネットを支持する必要
があり、その肉厚は、上記ネットを動かすために必要な
せん断力及び引っ張り力を伝達するために適正に大きな
寸法にする必要があるからである。
【００１２】上述の装置の別の欠点は、スルースカテー
テル及び外側カテーテルは、上記膨張可能なネットのた
めに、それぞれの少なくとも先端領域において比較的高
い剛性を有する必要があることである。従って、そのよ
うな装置は、適正な曲率半径を有する曲がった血管だけ
に使用することができる。しかしながら、小さな曲率半
径を有するねじれた血管には、上述のように設計された
装置を通すことができない。また、スルースカテーテル
の先端に設けられるネットの不適性な膨張により、血管
が損傷を受ける恐れもある。
【００１３】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、別個の挿入器具を用いずに使用することができ、簡
単に使用できると共に構造が簡単で、経済的に製造で
き、吸引カテーテルが閉塞した場合でも迅速に操作で
き、導入する血管に苦痛を与えることなく使用すること
ができ、吸引カテーテルの直径よりも大きな血餠を完全
に除去することができ、その外径に比較して大きな吸引
断面積を有し、血管の経路の急な湾曲部にも可撓性をも
って案内するすることができ、小さな血管の中にも進め
ることができ、基端の剛性が高くて前進させやすく、更
に、血餠の邪魔をしない円滑な吸引開口を有する、血餠
を連続的に吸引するためのカテーテル装置を提供するこ
とである。
【００１４】
【課題を解決するための手段】上述及び他の目的は、軸
方向に移動可能な拡張器を収容するようになされた中央
カテーテルと、該中央カテーテルを同軸状に包囲する外
側カテーテルとを備え、上記外側カテーテルが、上記中
央カテーテルの先端まで押し込めることのできる先端を
有している、血管から血栓及び栓子を連続的に除去する
ための吸引カテーテル装置によって達成される。
【００１５】従って、本発明の吸引カテーテル装置は、
その先端を中央カテーテルの先端まで押し込むことので
きる外側カテーテルを提供する。吸引カテーテル装置の
上述の如き設計により、吸引カテーテル装置は、挿入器
具を用いずに、小さな穿刺開口を介して経皮的に対応す
る血管へ導入することができる。
【００１６】上記２つのカテーテルの先端は、その挿入
の際に通常一致する。しかしながら、上記２つのカテー
テルの先端を一方のカテーテルを越えて突出させること
もできる。このようにすると、カテーテル装置の剛性、
並びに、該カテーテル装置の先端の直径を、該カテーテ
ル装置の基端領域に必要とされる高い剛性、あるいは、
大きな吸引断面積に悪影響を与えることなく、簡単に変
化させることができる。血餠を除去するためには、中央
カテーテル、並びに、嵌合する拡張器及びガイドワイヤ
と共に、外側カテーテルを刺創点の中へ周知の態様で導
入して血管の中へ入れ、除去すべき血餠まで上記血管の
中で前進させる。次に、拡張器及びガイドワイヤを取り
除く。
【００１７】中央カテーテルを吸引装置に接続すること
により、血餠を負圧により吸引しようとすることができ
る。中央カテーテルが除去すべき血餠により閉塞されな
い限り、吸引操作は、通序運の吸引方法と異なるところ
はない。しかしながら、かなり大きな血餠の場合によく
あるように、血餠が中央カテーテルを閉塞した場合に
は、その閉塞を解消させるためには以下の４つの解決策
が可能である。
【００１８】１．閉塞した中央カテーテルを外側カテー
テルから引き抜いて新しい中央カテーテルと交換する。
この新しい中央カテーテルを外側カテーテルに通し、新
しい中央カテーテルで吸引操作を継続する。
【００１９】２．閉塞した中央カテーテルを外側カテー
テルから引き抜き、上記中央カテーテルの代わりに外側
カテーテルを吸引装置に接続し、該外側カテーテルを介
して吸引操作を継続する。
【００２０】３．閉塞した中央カテーテルを外側カテー
テルから引き抜き、上記中央カテーテルの詰まりを除去
する。同じ中央カテーテルを再導入し、同じ中央カテー
テルによって吸引操作を継続する。
【００２１】４．中央カテーテルが閉塞した後に、中央
カテーテルの真空を維持しながら外側カテーテルを前進
させる。このようにすると、血餠全体が外側カテーテル
の中に吸引され、２つのカテーテルを一緒に引き抜くこ
とにより、上記血餠全体が除去される。
【００２２】上記１及び２で説明した中央カテーテルの
挿入及び引き抜きは、外側カテーテルがあるために、血
管に追加の苦痛を与えることなく数回繰り返すことがで
きる。また、中央カテーテルを引き抜き、極めて迅速に
外側カテーテルへ再導入することができる。中央カテー
テルは、血管の中に止まっている外側カテーテルによっ
て、同じ治療点まで信頼性をもって戻すことができる。
治療点を再度決定するのに時間はかからない。本発明の
カテーテルは、その構造が極めて簡単であり、一方が他
方に嵌合する２つのチューブだけから構成され、拡張器
を内側に有している。各部分は大きな荷重に耐える必要
がない。従って、新しいカテーテルが非常に容易に製造
される。
【００２３】本発明のカテーテル装置の別の重要な利点
は、回転体を有するカテーテル装置に比較して、製造コ
ストが非常に効率的であることである。また、回転体を
駆動するための駆動装置を何等設ける必要がない。ま
た、カテーテルの内側の使用可能な断面積が不必要に制
限されない。製造コストが効率的であることは、そのよ
うなカテーテル装置を一度だけ使用するのに都合が良
く、従って、労力がかかり、時間がかかり、使用する材
料に関して極めて問題を生ずることがある使用したカテ
ーテル装置の殺菌を行わなくても良い。カテーテルの内
腔を信頼性をもって洗浄することは一般に困難である。
【００２４】外側カテーテルを吸引装置に接続すること
ができるようにするために、別の好ましい実施例におい
ては、外側カテーテルの基端領域に接続部品を設け、該
接続部品によって外側カテーテルを吸引装置に接続する
ことができる。外側カテーテルを吸引装置に接続するこ
とにより、外側カテーテルから中央カテーテルを引き抜
いた後に外側カテーテルに真空を与え、これにより、外
側カテーテルによって血餠又はその残留物を除去するこ
とができる。
【００２５】本発明の別の実施例は、多くの外側カテー
テルを提供する。このようにすると、中央カテーテルを
引き抜いた後に、外側カテーテルの最内方の部分を用い
て負圧により吸引を行うことができる。そのような設計
によって、新しい中央カテーテルを使用することなく、
複数のカテーテルを順次使用することができる。また、
カテーテル装置の先端における可撓性、大きな吸引断面
積、及び、小さな外径を損なうことなく、カテーテル装
置の基端に高い剛性を得ることができる。
【００２６】本発明の更に好ましい実施例においては、
中央カテーテルの外径が、外側カテーテルの内径に少な
くとも概ね対応し、また、複数の外側カテーテルがある
場合には、内側の外側カテーテルの外径が、その外側に
ある外側カテーテルの内径に対応する。このようにする
と、外側カテーテルの外径は、中央カテーテルの外径よ
りも無視できる程度に大きくなり、従って、カテーテル
装置の直径を不必要に大きくする必要はない。また、そ
のような設計によって、中央カテーテルは外側カテーテ
ルの中で案内される。各カテーテルが互いに関して軸方
向に容易に移動できるように上記直径を選択することは
言うまでもない。また、緊密に嵌合する結果、２つのカ
テーテル又は種々のカテーテルの肉厚を変えることがで
き、実際に、１つだけのカテーテルの肉厚を血管に信頼
性をもって導入できるような十分に高い剛性をもたない
ように薄くし、互いに押し込まれるカテーテルが座屈に
対して十分な剛性又は抵抗力を有するようにすることが
できる。
【００２７】上記移動可能性をもたらすために、本発明
の別の実施例においては、カテーテルの材料はテフロン
（登録商標）とされる。
【００２８】別の実施例においては、拡張器のチップが
シャフトの軸線に対してある角度をなし、拡張器の基端
を回転させることにより、拡張器のチップを異なる方向
に回転させることができる。従って、拡張器は制御可能
となり、ねじれた血管にも信頼性をもって挿入すること
ができる。
【００２９】更に別の実施例においては、拡張器のチッ
プはシャフトの軸線に対して相対的に曲がることができ
る。このようにすると、チップは、さまざまに制御可能
なように、あるいは直線的に設計することができる。
【００３０】
【実施例】本発明の実施例を以下に図面を参照して詳細
に説明する。
【００３１】図１は、吸引カテーテル装置を斜視図で示
している。このカテーテル装置の最も重要な構成要素
は、外側カテーテル１、中央カテーテル２、拡張器３、
及び、ガイドワイヤ４である。ガイドワイヤ４は拡張器
３の中に押し込まれている。ガイドワイヤ４の先端は可
撓性を有しており、これにより、血管を通して前進する
際に血管の壁部に損傷を与えないようになっている。し
かしながら、ガイドワイヤ４は可能な限りのねじれ剛性
を有し、これにより、その先端が永続的に曲がるように
なされている。そのような性質により、ガイドワイヤ４
は、その基端から例えば脈管系の分岐部の中へ導入する
ことができる。
【００３２】拡張器３はそのある部分に関しては管状で
あり、その基端には円錐形のチップ７を有しており、該
チップの軸線は、シャフト８の軸線に対してある角度を
なしている。チップ７は、シャフト８の軸線に対して曲
がることができ、従って、シャフトとは異なる役割を果
たすようになされている。拡張器３の基端を回転させる
と、チップ７は異なる方向へ回転することができる。中
央カテーテル２は、拡張器３のかなりの長さにわたって
該拡張器を包囲しており、その基端には、例えば造影流
体を導入するための接続部品１０を有しており、該接続
部品には止血弁１１が設けられている。中央カテーテル
２は、そのかなりの長さにわたって、外側カテーテル１
に包囲されており、該外側カテーテルの基端にも、接続
部品１３及び止血弁１４が設けられている。
【００３３】図２は、吸引カテーテル装置の別の実施例
を示しており、この実施例と図１に示す実施例との違い
は、第１の外側カテーテル１のかなりの長さにわたって
該外側カテーテル１を包囲する第２の外側カテーテル１
ａが設けられていることである。この外側カテーテル１
ａの基端にも、接続部品１３ａ及び止血弁１４ａが設け
られている。更に別の外側カテーテルを有する実施例も
勿論可能である。
【００３４】血餠の除去を図３を参照して以下に説明す
る。図３に示すカテーテル装置においては、図示を明瞭
にするために、中央カテーテル２の先端側の領域を長手
方向の断面で示している。そのようなカテーテル装置を
血管の中へ導入することは周知であり、従って、最も重
要な点だけを以下に説明する。最初に、ガイドワイヤ４
を皮膚の刺創を介して血管１６の中に入れ、例えば除去
すべき血餠１８、１８ａの付近まで該血管の中を前進さ
せる。次に、中央カテーテル２及び外側カテーテル１と
共に拡張器３を血管１６の中へ導入して必要なだけ前進
させる。その際に、刺創点を拡大するために、拡張器は
中央カテーテル２の先端を越えて若干突出される。カテ
ーテル１、２の基端に設けられる止血弁１１、１４は、
カテーテル装置を通じて血液が流出するのを阻止する。
【００３５】２つのカテーテル１、２は別個の方法で導
入されて前進させることができる。従って、カテーテル
１、２及び拡張器は、それぞれの先端を一致させた状態
で一緒に導入することができる。しかしながら、そのよ
うな導入の際に、中央カテーテル２であるのが好ましい
一方のカテーテルの先端を他方のカテーテルの先端の前
方に位置させることもできる。このようにすると、カテ
ーテル装置の先端領域の剛性及び直径を変えることがで
きる。
【００３６】最後に、中央カテーテル２を除去すべき血
餠１８まで前進させる。この状態においてのみ、拡張器
３はガイドワイヤ４と共に、中央カテーテル２から引き
抜かれて除去される。血餠１８、１８ａは、吸引により
通常の態様で除去される。この目的のために、中央カテ
ーテル２の止血弁１１を取り除き、接続部品１０を介し
て中央カテーテル２を手動吸引装置２０に接続する。手
動吸引装置２０の代わりに、例えば電気駆動型のポンプ
の如き他の器具を用いることも勿論可能である。この時
点において、中央カテーテル２に存在する真空により、
血餠１８、１８ａが連続的に吸い出される。吸引の間に
中央カテーテル２が血餠１８又はその一部１８ａによっ
て閉塞した場合には、中央カテーテル２を外側カテーテ
ル１から引き抜いて洗浄するか、あるいは、新しい中央
カテーテルを外側カテーテル１の中へ押し込み、その新
しい中央カテーテルを吸引装置２０に接続した後に、操
作を続行する。しかしながら、中央カテーテル２を取り
除いた後に、外側カテーテルの止血弁１４を取り除き、
また、外側カテーテルの基端を吸引装置２０に接続する
ことにより、外側カテーテル１を用いて吸引操作を継続
することも可能である。
【００３７】血餠１８、１８ａを除去するための別の方
法は、中央カテーテル２に作用する真空、並びに、外側
カテーテル１の前方への運動によって、血餠を総て１つ
の部片として外側カテーテル１の中に吸引し、次に、好
ましくは中央カテーテル２に真空を維持しながら２つの
カテーテル１、２を同時に引き抜くことにより血餠を除
去することである。この方法は、血餠１８、１８ａが外
側カテーテル１の中へ吸引され、その後カテーテル装置
を血管１６から引き抜く際に、血餠に更に摩擦が作用し
ない限り問題がなく、従って、血餠を安全に除去するこ
とができる。この方法は、外側カテーテル１の内周又は
その中に血栓を固定するために、接続部品１３を介して
外側カテーテル１にも真空を作用させる場合には特に効
果的である。
【００３８】図２に示す如き吸引カテーテル装置を用い
る場合には、上記吸引方法を更に変形することが可能で
ある。従って、中央カテーテル２が閉塞して取り除かれ
た後に、最内方の外側カテーテル１（図２）を用いて吸
引操作を続行することができ、この外側カテーテル１が
閉塞して取り除かれた場合には、その外側にある外側カ
テーテル１ａ（図２）を用いて吸引操作を続行すること
ができる。
【００３９】血栓及び栓子を除去するための通常の装置
とは対照的に、本発明の吸引カテーテル装置は、中央カ
テーテル２が閉塞した場合にわずかの間隔をおいてその
操作を続行することができるという大きな利点を有す
る。従来の装置においては、カテーテルが閉塞するとい
うことは、そのカテーテルを血管から取り除かなければ
ならないことを意味していた。そのような閉塞が生ずる
までに血餠が完全に除去されない場合には、新しいカテ
ーテルを導入しなければならなかった。しかしながら、
そのような新しいカテーテルの導入は通常の問題を引き
起こす。すなわち、患者の血管に再度痛みを与えること
になり、また、カテーテルを血管の適正な位置まで注意
深く案内しなければならない。これは、血餠が刺創点か
ら遠く離れた位置にある場合には特に困難である。ま
た、そのような場合には、貴重な時間が不必要に大幅に
浪費される。
【００４０】結論として、本発明の吸引カテーテル装置
を用いて可能な限り短時間で血餠を除去することがで
き、そのようにする際に、患者の血管に苦痛を与えない
ということが言える。
【図面の簡単な説明】
【図１】挿入された拡張器及びガイドワイヤを有する吸
引カテーテル装置の斜視図である。
【図２】２つの外側カテーテルを有する吸引カテーテル
装置の実施例を示す斜視図である。
【図３】血餠を吸い出す間の吸引カテーテル装置を図解
的に示す斜視図である。
【符号の説明】
１、１ａ 外側カテーテル ２ 中央カテーテル ３ 拡張器 ４ ガイドワイヤ ７ チップ １０、１３ 接続部品 １１、１４ 止血弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) A61M 1/00 580

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 軸方向に移動可能な拡張器（３）を収容
    するようにされた中央カテーテル（２）を有し、血管か
    ら血栓及び栓子を連続的に吸い出すための吸引カテーテ
    ル装置において、前記中央カテーテル（２）を同軸状に
    包囲する外側カテーテル（１）を備え、外側カテーテル
    の先端が、前記中央カテーテルの先端まで押し込むこと
    ができ、外側カテーテル（１）の外径が、中央カテーテ
    ル（２）の外径より単に僅かに大きく、中央カテーテル
    （２）の血栓及び栓子を吸い出すための有効直径が、外
    側カテーテル（１）の内径と概略同等であることを特徴
    とする吸引カテーテル装置。
  2. 【請求項２】 請求項１の吸引カテーテル装置におい
    て、前記外側カテーテル（１）は、その基端領域に接続
    部品（１３）を有しており、該接続部品によって前記外
    側カテーテル（１）を吸引装置（２０）に接続すること
    ができることを特徴とする吸引カテーテル装置。
  3. 【請求項３】 請求項１又は２の吸引カテーテル装置に
    おいて、前記外側カテーテル（１）及び前記中央カテー
    テルは、それぞれの基端領域に止血弁（１１、１４）を
    有することを特徴とする吸引カテーテル装置。
  4. 【請求項４】 請求項３の吸引カテーテル装置におい
    て、前記止血弁（１１、１４）は、前記接続部品（１
    ０、１３）に取り外し可能に設けられることを特徴とす
    る吸引カテーテル装置。
  5. 【請求項５】 請求項１乃至４のいずれかの吸引カテー
    テル装置において、複数の外側カテーテル（１、１ａ）
    が設けられ、これら外側カテーテルが、前記中央カテー
    テル（２）に対して同軸状に配列されることを特徴とす
    る吸引カテーテル装置。
  6. 【請求項６】 請求項１乃至４のいずれかの吸引カテー
    テル装置において、前記中央カテーテル（２）の外径
    が、前記外側カテーテルの先端の内径に少なくとも概ね
    対応することを特徴とする吸引カテーテル装置。
  7. 【請求項７】 請求項５の吸引カテーテル装置におい
    て、前記中央カテーテルの外径が、前記外側カテーテル
    （１）の内径に少なくとも概ね対応し、前記内側の外側
    カテーテル（１）の外径が、その外側にある外側カテー
    テル（１ａ）の内径に少なくとも概ね対応することを特
    徴とする吸引カテーテル装置。
  8. 【請求項８】 請求項１乃至７のいずれかの吸引カテー
    テル装置において、前記カテーテルはテフロン（登録商
    標）から形成されることを特徴とする吸引カテーテル装
    置。
  9. 【請求項９】 請求項１乃至８のいずれかの吸引カテー
    テル装置において、前記拡張器（３）はチップ（７）を
    有し、該チップの軸線は、シャフト（８）の軸線に対し
    てある角度を形成し、前記拡張器（３）のチップ（７）
    は、前記拡張器を異なる方向へ回転させることにより回
    転させることができることを特徴とする吸引カテーテル
    装置。
  10. 【請求項１０】 請求項１乃至９のいずれかの吸引カテ
    ーテル装置において、前記拡張器（３）のチップ（７）
    は、その軸線を前記シャフト（８）の軸線に対してある
    角度をなしたままで、曲がることができ、前記チップ
    （７）は、前記拡張器（３）を異なる方向へ回転させる
    ことにより回転させることができることを特徴とする吸
    引カテーテル装置。
  11. 【請求項１１】 請求項１乃至１０のいずれかの吸引カ
    テーテル装置において、ガイドワイヤ（４）が、前記拡
    張器（３）の中で案内されることを特徴とする吸引カテ
    ーテル装置。
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