JP2923280B1 - 成形用フィルムとその製造方法 - Google Patents

成形用フィルムとその製造方法

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Abstract

【要約】 【課題】 薄いフィルムであっても成形が可能であり、
図柄層の成形性が優れクラックが生じないで見栄えがよ
く、図柄と成形品の位置合わせが容易な成形フィルムを
生産性よく製造することができる成形用フィルムとその
製造方法を提供する。 【解決手段】 透明で成形可能な成形性フィルム2の一
方の面に寸法安定性の良好な支持フィルム3を非成形部
分に剥離可能なように積層し、成形性フィルム2の他方
の面に成形可能なインキよりなる図柄層4を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、成形によりパッ
ケージやケースとして使用される成形品の原材料、ある
いは、玩具、電気製品、自動車などの部品として使用さ
れる成形品の原材料となる成形用フィルムとその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】成形性フィルムを、真空成形やプレス成
形により成形品とし、ケースやパッケージ、あるいは、
各種部品として使用しているものがある。そして、これ
らの成形品に装飾効果を持たせるため、図柄層を設けた
後(図7参照)、成形をする方法がある(図8〜10参
照)。
【0003】上記の方法において、成形可能な成形性フ
ィルムの片面に、紫外線硬化型インキを用いて図柄を印
刷し、紫外線照射により紫外線硬化型インキを硬化させ
て図柄層を形成している。図柄層を形成するために通常
の印刷インキを用いないのは、インキの乾燥工程におい
て成形性フィルムが加熱されることになり、成形性フィ
ルムの寸法安定性が保てないからである。したがって、
図柄層を形成するには、インキの固化に加熱を必要とし
ない紫外線硬化型インキが用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の技術に
よれば、成形性フィルム単体を成形することになるが、
成形性フィルムの膜厚が薄いと扱いにくいため、必要以
上に厚いフィルムを使う必要があり、不経済であった。
【0005】また、図柄層を構成する紫外線硬化型イン
キ皮膜は成形性に劣るため、成形性フィルムを成形した
際にクラックが発生し、見栄えが悪くなるという問題が
ある。
【0006】また、成形時の予備加熱により成形性フィ
ルムの寸法安定性が保てず、図柄と成形品の位置合わせ
が困難である(図10参照)。特に、成形品が大面積で
ある場合、見当が一致したものを得るのが困難である。
【0007】したがって、この発明は、上記のような問
題点を解消し、薄いフィルムであっても成形が可能であ
り、図柄層の成形性が優れクラックが生じないで見栄え
がよく、図柄と成形品の位置合わせが容易な成形フィル
ムを生産性よく製造することができる成形用フィルムと
その製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の成形用フィル
ムとその製造方法は、以上の目的を達成するために、つ
ぎのように構成した。
【0009】つまり、この発明の成形用フィルムは、透
明で成形可能な成形性フィルムの一方の面に寸法安定性
の良好な支持フィルムが非成形部分に剥離可能なように
積層され、成形性フィルムの他方の面に成形可能なイン
キよりなる図柄層が設けらるように構成した。
【0010】また、上記の発明において、成形性フィル
ムが長尺であるように構成してもよい。
【0011】また、上記の発明において、成形性フィル
ムと支持フィルムが熱圧着されたものであるように構成
してもよい。
【0012】また、上記の発明において、成形性フィル
ムと支持フィルムが接着剤または粘着剤を介して積層さ
れたものであるように構成してもよい。
【0013】また、この発明の成形用フィルムの製造方
法は、透明で成形可能な成形性フィルムの一方の面に寸
法安定性の良好な支持フィルムを全面的に積層し、他方
の面に図柄層を形成した後、支持フィルムにおいて成形
性フィルムの成形部分と重複した部分を除去するように
構成した。
【0014】また、上記の発明において、成形性フィル
ムと支持フィルムとを熱圧着して積層するように構成し
てもよい。
【0015】また、上記の発明において、成形性フィル
ムと支持フィルムとを接着剤または粘着剤を介して積層
するように構成してもよい。
【0016】また、この発明の成形用フィルムの製造方
法は、寸法安定性の良好な支持フィルム上に溶融もしく
は溶解状態の樹脂をキャスティングし、乾燥・冷却して
透明な成形性フィルムを形成し、次いで成形性フィルム
上に図柄層を形成し、その後支持フィルムにおいて成形
性フィルムの成形部分と重複した部分を除去するように
構成した。
【0017】
【発明の実施の形態】図面を参照しながらこの発明の実
施の形態について詳しく説明する。
【0018】図1は、この発明の成形用フィルムの一実
施例を示す断面図である。図2は、この発明の成形用フ
ィルムの製造方法の一工程を示す断面図である。図3〜
5は、この発明の成形用フィルムにより成形品を得る工
程を示す断面図である。図6は、この発明の成形用フィ
ルムにより得た成形品の一実施例を示す断面図である。
図中、1は成形用フィルム、2は成形性フィルム、3は
支持フィルム、4は図柄層、5は金型、6は成形品であ
る。
【0019】この発明の成形用フィルム1は、透明で成
形可能な成形性フィルム2の一方の面に寸法安定性の良
好な支持フィルム3が非成形部分に剥離可能なように積
層され、成形性フィルム2の他方の面に成形可能なイン
キよりなる図柄層4が設けられたものである(図1参
照)。
【0020】成形性フィルム2としては、透明なもので
あり、アクリル系樹脂、ナイロン系樹脂、ウレタン系樹
脂、オレフィン系樹脂などからなるフィルム、あるい
は、これらに熱可塑性エラストマーを混合したもの、無
延伸もしくは低延伸のポリエステルフィルムなどを用い
るとよい。膜厚は、20〜300μmが好ましい。
【0021】支持フィルム3としては、2軸延伸ポリエ
ステルフィルム、ポリエーテルオレフィンフィルム、ポ
リイミドフィルムなどの寸法安定性・耐熱性に優れたプ
ラスチックフィルムや、紙、金属箔などを使用すること
ができる。膜厚は、20〜300μmが好ましい。
【0022】成形性フィルム2と支持フィルム3とは、
熱圧着もしくは接着剤または粘着剤を介して積層すると
よい。
【0023】熱圧着の場合、加熱された成形性フィルム
2および支持フィルム3の温度が、成形性フィルム2の
軟化温度より30℃以上高くならない範囲で行うのが望ま
しい。成形性フィルム2の軟化温度より30℃以上高い温
度になると、成形性フィルム2の伸縮によりしわなどが
生じるおそれがある。
【0024】接着剤または粘着剤としては、アクリル樹
脂系、ビニル樹脂系のものが適している。接着剤または
粘着剤は、支持フィルム3に固着し、剥離後に成形性フ
ィルム2に残らないことが望ましい。
【0025】粘着剤を使用する場合、溶剤などに溶解も
しくは分散したものをグラビアコーター、リバースコー
ター、リップコーターなどを用いて0.1〜30μm程度塗
布し、ラミネーターにより圧着する。後で不要な支持フ
ィルム3を除去する必要があるため、剥離荷重は10〜40
0g/cmであることが望ましい。
【0026】図柄層4は、成形性フィルム2の支持フィ
ルム3を積層しない側の面に形成する。図柄層4は、成
形可能な柔軟性を有していることが必要である。図柄層
4の材質としては、ウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、ポ
リエステル系樹脂、アクリル系樹脂など、特にウレタン
系樹脂、さらにはそのエラストマーをバインダーとし、
適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色
インキを用いるとよい。印刷層の形成方法としては、オ
フセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法な
どの通常の印刷法などを用いるとよい。特に、多色刷り
や階調表現を行うには、オフセット印刷法やグラビア印
刷法が適している。また、単色の場合には、グラビアコ
ート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート
法を採用することもできる。
【0027】また、図柄層4として金属薄膜層を用いて
もよい。金属薄膜層は、金属光沢を表現するためのもの
であり、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレー
ティング法、鍍金法などで形成する。表現したい金属光
沢色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、ク
ロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、
鉛、亜鉛などの金属、これらの合金または化合物を使用
する。部分的な金属薄膜層を形成する場合の一例として
は、金属薄膜層を必要としない部分に溶剤可溶性樹脂層
を形成した後、その上に全面的に金属薄膜を形成し、溶
剤洗浄を行って溶剤可溶性樹脂層と共に不要な金属薄膜
を除去する方法がある。この場合によく用いる溶剤は、
水または水溶液である。また、別の一例としては、全面
的に金属薄膜を形成し、次に金属薄膜を残しておきたい
部分にレジスト層を形成し、酸またはアルカリでエッチ
ングを行い、レジスト層を除去する方法がある。なお、
金属薄膜層を設ける際に、金属薄膜層の密着性を向上さ
せるために、前アンカー層や後アンカー層を設けてもよ
い。前アンカー層および後アンカー層の材質としては、
2液性硬化ウレタン樹脂、熱硬化ウレタン樹脂、メラミ
ン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、塩素含有ゴム系
樹脂、塩素含有ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキ
シ系樹脂、ビニル系共重合体樹脂などを使用するとよ
い。前アンカー層および後アンカー層の形成方法として
は、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート
法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法
などの印刷法がある。特に、成形により伸ばされる部分
に金属薄膜層を設ける場合は、インジウムやスズのクラ
スター蒸着膜を設けるのが好ましい。
【0028】支持フィルム3は、成形性フィルム2の成
形部分と重複した部分を除去する。除去方法としては、
レーザーカット法やトムソン法が有効であり、切断深さ
を調整することにより成形性フィルム2を切断すること
なく支持フィルム3のみを切断することができる。除去
する支持フィルム3は、分離されたパターンでもよい
し、連続したパターンでもよい。
【0029】このようにして、成形用フィルム1を得る
ことができる。
【0030】なお、上記の成形用フィルム1の製造方法
はその一例であり、このほかの製造方法であってもよ
い。たとえば、支持フィルム3上にキャスティングによ
り成形性フィルム2を形成してもよい。キャスティング
する材料は、融点以上に加熱され溶融状態となったもの
を一定膜厚で支持フィルム3上にコートし、冷却を経て
フィルム状の膜とすることができる。また、溶剤に溶解
した溶液状態のものをコーティングし、溶剤を揮発乾燥
することで、フィルム状の膜を形成してもよい。
【0031】成形用フィルム1を利用して成形品6を得
るには、次のようにするとよい。
【0032】まず、金型5に成形用フィルム1を配置す
る(図3参照)。その際、枚葉の成形用フィルム1を1
枚づつ送り込んでもよいし、長尺の成形用フィルム1の
必要部分を間欠的に送り込んでもよい。長尺の成形用フ
ィルム1を使用する場合、位置決め機構を有する送り装
置を使用して、成形用フィルム1の図柄層4と金型5と
の見当が一致するようにするとよい。また、成形用フィ
ルム1を間欠的に送り込む際に、成形用フィルム1の位
置をセンサーで検出した後に成形用フィルム1を固定す
るようにすれば、常に同じ位置で成形用フィルム1を固
定することができ、図柄層4の位置ずれが生じないので
便利である。
【0033】次に、熱源により成形用フィルム1を加熱
軟化させるとともに真空吸引および/または圧空によ
り、金型5の表面に密着させる(図4参照)。また、金
型プレスにより成形用フィルム1を金型5表面に密着さ
せてもよい。
【0034】次いで、金型5から成形用フィルム1を取
り出す(図5参照)。最後に支持フィルム3を除去する
(図6参照)。また、トムソン刃などにより不要部分を
切断して除去する。このようにして、成形品6を得るこ
とができる。特に、複数の製品を同時に加工する場合、
製品間の成形されない部分に支持フィルム3が積層され
ていることで成形工程での引っ張り応力や、フィルム自
重によるフィルムのたわみや変形を減少することが可能
であり、安定した成形加工が可能である。
【0035】
【実施例】厚さ100μmの離型紙を支持フィルムとし、
その上に溶融ウレタン樹脂を厚さ100μmになるように
押し出し成形法により形成して成形性フィルムを積層し
た。
【0036】次いで、成形性フィルム表面にスクリーン
印刷法にて図柄層を形成した後、成形する部分に対応す
る形状に支持フィルムのみをトムソン刃にて切断し除去
して成形用フィルムを得た。
【0037】この成形用フィルムを用いて成形したとこ
ろ、真空成形によりパッケージ状に成形が可能であっ
た。また、複数個のパッケージを同時に成形した場合で
あっても、支持フィルムによって薄い成形性フィルムが
保持されているため作業性がよく、また図柄層の成形性
が優れクラックが生じないで見栄えがよく、図柄と成形
品の位置合わせが精度よく仕上がった。
【0038】
【発明の効果】この発明は、前記した構成からなるの
で、次のような効果を有する。
【0039】この発明の成形用フィルムは、成形性フィ
ルムに支持フィルムが積層されているために、成形性フ
ィルムが薄いフィルムであっても成形が可能である。ま
た、図柄層の成形性が優れるため、クラックが生じない
で見栄えがよい。また、成形用フィルムの寸法安定性が
優れるため、図柄と成形品の位置合わせが容易である。
【0040】また、この発明の成形用フィルムの製造方
法によれば、上記の成形用フィルムを容易に得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の成形用フィルムの一実施例を示す断
面図である。
【図2】この発明の成形用フィルムの製造方法の一工程
を示す断面図である。
【図3】この発明の成形用フィルムにより成形品を得る
工程を示す断面図である。
【図4】この発明の成形用フィルムにより成形品を得る
工程を示す断面図である。
【図5】この発明の成形用フィルムにより成形品を得る
工程を示す断面図である。
【図6】この発明の成形用フィルムにより得た成形品の
一実施例を示す断面図である。
【図7】従来の成形用フィルムの一実施例を示す断面図
である。
【図8】従来の成形用フィルムにより成形品を得る工程
を示す断面図である。
【図9】従来の成形用フィルムにより成形品を得る工程
を示す断面図である。
【図10】従来の成形用フィルムにより得た成形品の一
実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 成形用フィルム 2 成形性フィルム 3 支持フィルム 4 図柄層 5 金型 6 成形品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29C 51/00 - 51/46

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明で成形可能な成形性フィルムの一方
    の面に寸法安定性の良好な支持フィルムが非成形部分に
    剥離可能なように積層され、成形性フィルムの他方の面
    に成形可能なインキよりなる図柄層が設けられているこ
    とを特徴とする成形用フィルム。
  2. 【請求項2】 成形性フィルムが長尺である請求項1に
    記載の成形用フィルム。
  3. 【請求項3】 成形性フィルムと支持フィルムが熱圧着
    されたものである請求項1〜2のいずれかに記載の成形
    用フィルム。
  4. 【請求項4】 成形性フィルムと支持フィルムが接着剤
    または粘着剤を介して積層されたものである請求項1〜
    2のいずれかに記載の成形用フィルム。
  5. 【請求項5】 透明で成形可能な成形性フィルムの一方
    の面に寸法安定性の良好な支持フィルムを全面的に積層
    し、他方の面に図柄層を形成した後、支持フィルムにお
    いて成形性フィルムの成形部分と重複した部分を除去す
    ることを特徴とする成形用フィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 成形性フィルムと支持フィルムとを熱圧
    着して積層する請求項5に記載の成形用フィルムの製造
    方法。
  7. 【請求項7】 成形性フィルムと支持フィルムとを接着
    剤または粘着剤を介して積層する請求項5に記載の成形
    用フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 寸法安定性の良好な支持フィルム上に溶
    融もしくは溶解状態の樹脂をキャスティングし、乾燥・
    冷却して透明な成形性フィルムを形成し、次いで成形性
    フィルム上に図柄層を形成し、その後支持フィルムにお
    いて成形性フィルムの成形部分と重複した部分を除去す
    ることを特徴とする成形用フィルムの製造方法。
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