JP2921766B2 - インバータ制御車両の再粘着制御方法 - Google Patents

インバータ制御車両の再粘着制御方法

Info

Publication number
JP2921766B2
JP2921766B2 JP17573690A JP17573690A JP2921766B2 JP 2921766 B2 JP2921766 B2 JP 2921766B2 JP 17573690 A JP17573690 A JP 17573690A JP 17573690 A JP17573690 A JP 17573690A JP 2921766 B2 JP2921766 B2 JP 2921766B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
frequency
inverter
slip
time
adhesion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP17573690A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0469003A (ja
Inventor
忍 保川
晋太郎 大江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Railway Technical Research Institute
Original Assignee
Railway Technical Research Institute
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Railway Technical Research Institute filed Critical Railway Technical Research Institute
Priority to JP17573690A priority Critical patent/JP2921766B2/ja
Publication of JPH0469003A publication Critical patent/JPH0469003A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2921766B2 publication Critical patent/JP2921766B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は誘導電動機を用いたインバータ制御車両の動
輪と軌道面間に発生する空転・滑走時における粘着力を
高く維持させる再粘着制御方法に関するものである。
〔従来の技術〕
まず、従来のインバータ制御車両の空転・滑走時の再
粘着制御手段を、第3〜4図を参照しながら説明する。
第3図において、(11)〜(14)は車両の各動輪の回転
周波数を検出する回転周波数検出器、(21)〜(24)は
各回転周波数検出器から出力される動輪の回転周波数f1
〜f4である。(41a)〜(44a)は動輪の回転周波数f1〜
f4の変化量(時間に対する微分値df1/dt〜df4/dt)を算
出する微分器、(51)〜(54)は各微分器によって算出
された回転周波数の変化量α1〜α4である。α1〜α
4は最大値演算器(60a)に入力されて、(61a)なる回
転周波数の変化量の最大値αmaxが演算される。この回
転周波数の変化量の最大値αmaxは(62a)の空転・滑走
の検知感度設定器の出力である(63a)と比較器(64a)
によって比較され、設定値以上ならば、空転・滑走と判
断し、空転・滑走検知信号(48)を出力し、(48)はす
べり周波数演算器(46a)にすべり周波数パターン(24
0)のDfsoとともに入力される。すべり周波数演算器(4
6a)は、空転・滑走検知信号(48)が、オフの場合、す
べり周波数パターン(240)のDfsoをそのまますべり周
波数(27)のDfsとして出力する。また動輪の回転周波
数(21)〜(24)は最小値演算器(31a)と最大値演算
器(32a)に入力され、それぞれ動輪回転周波数の最小
値(28)と最大値(29)を発生する。そして、これらの
信号とPで示された力行指令(222)、Bのブレーキ指
令(223)が選択回路(37)へ入力され、選択回路(3
7)では力行時は動輪回転周波数の最小値(28)を、ま
たブレーキ時には動輪回転周波数の最大値(29)を動輪
の基準周波数(42)のfrとして選択出力する。この基準
周波数(42)は、力行指令(222)、ブレーキ指令(22
3)およびすべり周波数演算器(46a)の出力であるすべ
り周波数(27)のDfsとともに加/減算器(44)に入力
され、加/減算器(44)では、力行時は基準周波数(4
2)にすべり周波数(27)を加算したものを、またブレ
ーキ時には基準周波数(42)からすべり周波数(27)を
減算したものをインバータ周波数(43)のfinVとして出
力する。そして、空転・滑走検知信号(48)がオンとな
るとすべり周波数演算器(46a)ではその出力であるす
べり周波数(27)を減ずる動作を行う。
上記構成によって実現されている従来の空転・滑走時
の再粘着制御方法を第4図を用いて説明する。
第4図は各動輪が大きさの同じ同時空転を起こした場
合を示したものであり、この図で(21)は第1軸の動輪
の回転周波数、(61a)は各回転周波数の変化量の最大
値であるαmaxを、(63a)は空転検知感度の設定値、
(48)は空転・滑走検知信号、そして(27)はすべり周
波数を表している。図には第2〜第4軸の動輪の回転周
波数は示してないが、同様の変化をするものとする。な
お、このような動輪の全軸空転は非常に多く観測され
る。第4図に示した時刻TAにおいて空転が検知感度以上
になると空転・滑走検知信号(48)がオンとなり、すべ
り周波数を絞り込んで空転している動輪を再粘着させる
ように作用する。しかし空転検知信号は図示の如く時刻
TBで空転検知感度以下になるとオフとなり、この時点か
ら動輪が完全に再粘着しているか否かにかかわらずすべ
り周波数を元の値にまで増大する。このため第4図中に
示した(21)の如く再粘着せずに空転が継続し、しか
も、空転が発生しなければ回転周波数(21)が破線の如
く推移するものとしたときの回転周波数の実際の回転周
波数との差が時間の経過とともに増大し、空転が拡大す
ることが多い。このため、大空転に進展して軌道や車輪
の損傷に至るおそれがある。また、回転周波数の変化量
の大きさだけで検知しているため、検知感度以下の大き
さの空転(または滑走)が発生してもこれを検知するこ
とができず、長い時間空転が持続してやはり大空転に至
ることがしばしば経験される。
以上は空転が発生した場合について示したが、滑走の
場合も従来の再粘着制御方式では、空転の場合同様の制
御となり、滑走が助長されることとなる。
このように従来の再粘着制御方式では、空転あるいは
滑走が発生した場合、動輪を再粘着させることができず
空転や滑走を助長して大空転や大滑走に至り、車輪や軌
道に損傷を与えるおそれがあるほか、粘着係数の著しい
低下を招き、列車の加・減速力となる粘着力が低下して
しまうという欠点があった。
[発明が解決しようとする課題] インバータ制御車両の従来の空転・滑走発生時の空転
・滑走の検出手段および再粘着制御手段では、上記のよ
うに、動輪の回転周波数(21)〜(24)の変化量(51)
〜(54)を微分器(41a)〜(44a)によって算出し、そ
の最大値(61a)が空転・滑走の検知レベルである回転
周波数の変化量の設定値(63a)より大きくなったとき
に空転または滑走を検出しているが、正常な列車加速の
時に誤動作が発生することを防止するため、変化量の設
定値(63a)は大きく設定せざるを得ず、したがって大
きな空転や滑走しか検知できず、また検知レベル以下の
空転や滑走が長時間継続してもこれを検知できず大空転
や大滑走に至ってしまい、粘着係数を著しく低下させて
しまうとともに、軌道や車輪に損傷を発生するという問
題点がある。さらに、空転や滑走を検知するとすべり周
波数(27)の絞り込みを行うが、空転・滑走検知信号
(48)がオンの間だけこの絞り込みが行われ、動輪の回
転周波数の変化量の最大値(61a)が検知レベル以下に
なって空転・滑走検知信号(48)がオフになるとすべり
周波数を元の値に向かって増大させてしまうため、動輪
は再粘着することなく空転あるいは滑走が拡大して列車
の加速や減速に寄与する動輪・軌道間の粘着力を大きく
低下させてしまうという問題点がある。
この発明は上記の問題点を解決するためになされたも
ので、空転・滑走を小さく抑制するとともに粘着力を極
力高く維持することができる再粘着制御方法を提供する
ことを目的とする。
[課題を解決するための手段] この発明のインバータ制御車両の再粘着制御方法であ
って、現在を含む過去のいくつかの時点の動輪速度を時
系列的に記憶しておき、時系列的に記憶されたその動輪
速度から現在時点以降の予測速度を算出し、車輪に空転
が発生してその動輪速度がその予測速度より一定量以上
高くなった場合、または、車輪に滑走が発生してその動
輪速度がその予測速度より一定量以上低くなった場合
に、一定期間その予測速度から算出した誘導電動機の回
転子周波数としての基準周波数によってインバータ周波
数を制御するインバータ周波数抑制制御に移行し、その
インバータ周波数抑制制御の終了時点において空転滑走
を検知するとともにそのインバータ周波数抑制制御の終
了時点におけるインバータ出力電流値から動輪・軌道間
の粘着計数を推定し、推定した該粘着計数をもとに空転
または滑走状態にある動輪の再粘着制御を行うことを特
徴とする。
[作用] 本発明の空転・滑走発生時の再粘着制御は、次のよう
にして行われる。
まず各動輪の現在を含む過去のいくつかの時点の軸速
度を時系列的に記憶しておき、この時系列的に記憶した
軸速度データから現在時点以降の軸速度を予測する。空
転(あるいは滑走)が発生すると実際の軸速度が予測速
度より高くなる(滑走の場合は低くなる)ので、全部の
軸について実際の軸速度と予測速度との速度差がある規
定値以上になると、インバータ周波数を予測速度から決
定して制御する周波数抑制々御に移行する。この場合周
波数抑制々御に移行せずに軸速度によってインバータ周
波数を決定する制御を続行すると、インバータ出力電流
は減少せずインバータ周波数が急速に増大して空転また
は滑走が助長されるのに対して、インバータ周波数抑制
々御をある一定時間継続すると、誘導電動機の発生トル
クは空転(あるいは滑走)の速度に応じて電動機のトル
ク特性に従って減少するので、これに伴ってインバータ
出力電流は減少し、ほぼその時の粘着係数に対応した値
になる。このようにこの時のインバータ出力電流からそ
の時の粘着係数が推定されるので、この電流のインバー
タ周波数抑制々御開始時のインバータ出力電流とすべり
周波数とから、動輪を再粘着させるに必要なすべり周波
数(すべり周波数A)と動輪再粘着後に誘導電動機で発
生すべきその時の粘着係数に相当したトルクを発生させ
るに必要なすべり周波数(すべり周波数B)とを演算す
る。この場合、動輪を再粘着させるに必要なすべり周波
数(すべり周波数A)の演算は、確実に再粘着が可能な
範囲で極力発生トルクの低下が少なくなるような値に選
定する。
このようにインバータ周波数抑制々御を一定時間継続
した後に空転(または滑走)の発生を検知し、この時計
算したすべり周波数Aを指令して動輪を再粘着に向かわ
せ、動輪の回転周波数の変化量の微分値である時ジャー
ク値がある検知レベル以上になったことで再粘着を検知
する。そして再粘着検知後すべり周波数Bを指令して、
その時の粘着係数相当のトルクを速やかに発生させるよ
うにする。実際のすべり周波数がすべり周波数Bに達し
てから一定時間経過しても再び車輪が空転(または滑
走)してインバータ周波数抑制々御に移行することがな
ければ、その時のインバータ制御車両の限流値にまでイ
ンバータ出力電流を増大させるためのすべり周波数の増
大制御を実施して一連の再粘着制御を終了する。
上記の作用においては、軸速度の予測値を用いて空転
あるいは滑走の初期の段階で検知してインバータ周波数
抑制々御を行っているため、その時の粘着係数の低下が
大きい場合であっても微少な空転あるいは滑走の範囲に
とどめてさらなる粘着係数の低下を抑止することができ
る。また周波数抑制々御終了時のインバータ出力電流に
よって確実にその時の粘着係数を推定することができる
ので、トルクの低減量を極力抑制しながら確実に再粘着
を図り、かつまた再粘着後、急速にその時の推定粘着係
数相当のトルクに復帰するので、軌道・車輪間の利用粘
着力の高い再粘着制御を実現することが可能となる。
[実施例] 以下、この発明の一本発明を図を用いて説明する。第
1図はこの発明の一実施例を示すブロック図である。こ
の図において、(11)〜(14)、(21)〜(24)、(31
a)、(32a)、(41a)〜(44a)、(51)〜(54)は第
3図で説明したものと同じものである。動輪の回転周波
数(21)〜(24)であるf1〜f4は微分器(41a)〜(44
a)に入力されて、α1〜α4で示した回転周波数の変
化量(51)〜(54)が微分器(41a)〜(44a)から出力
され、このα1〜α4はさらに別の微分器(71)〜(7
4)に入力されて、動輪の回転周波数の変化量の変化量
である軸ジャーク値(101)〜(104)を発生する。そし
て、この軸ジャーク値(101)〜(104)のγ1〜γ4は
基準ジャーク値設定器(90)で設定されたジャーク値の
設定値(91)であるγoとともに比較器(131)〜(13
4)に入力され、比較器(131)〜(134)では軸ジャー
ク値γ1〜γ4が設定値γo以上である場合には、再粘
着検知信号(141)〜(144)であるR1〜R4をオンとす
る。そして再粘着検知信号(141)〜(144)のR1〜R4は
それぞれすべて周波数演算器(45)に入力される。
また一方動輪の回転周波数f1〜f4は速度演算器(31)
〜(34)に入力されて軸速度(61)〜(64)がある一定
サンプリング時間々隔毎に演算され、軸速度のV1〜V4と
して速度予測器(81)〜(84)にサンプリング時間々隔
毎に順次入力される。速度予測器(81)〜(84)には、
また、後述の全軸空転・滑走検知信号(49)のslipとイ
ンバータ周波数抑制々御開始信号(201)のCFLも入力さ
れる。速度予測器(81)〜(84)では入力されてきた軸
速度V1〜V4を時系列的に記憶し、これらのデータから現
在時点以降の予測速度(111)〜(114)を順次発生し、
Vf1〜Vf4として加/減算器(151)〜(154)に入力す
る。加/減算器(151)〜(154)には、さらに、空転・
滑走検知基準速度差設定器(47)で設定されたインバー
タ周波数制御々御開始速度差検知レベル(12a)である
ΔVoと、力行指令(222)であるP、ブレーキ指令(22
3)のBが入力され、力行指令Pがオンである場合はVf1
〜Vf4にΔVoを加算したものを、またブレーキ指令Bが
オンである場合にはVf1〜Vf4からΔVoを減算したものを
Vfor1〜Vfor4なるインバータ周波数抑制々御開始速度
(161)〜(164)として出力する。なおΔVoはできるだ
け小さい値(例えば1km/h程度)に設定する。これらのV
for1〜Vfor4は軸速度V1〜V4といっしょに比較器(171)
〜(174)に入力される。比較器(171)〜(174)には
ブレーキ指令Bも入力され、軸速度V1〜V4とインバータ
周波数抑制々御開始速度Vfor1〜Vfor4とを比較し、V1〜
V4がVfor1〜Vfor4以上になると(ブレーキ指令Bがオン
の場合はV1〜V4がVfor1〜Vfor4以下になると)、それぞ
れの軸がVfor1〜Vfor4を超えたことを意味する(ブレー
キ指令Bがオンの場合はVfor1〜Vfor4以下になったこと
を意味する)周波数抑制々御開始速度超過信号(181)
〜(184)であるCF1〜CF4をオンとする。CF1〜CF4はAND
回路(200)に入力され、AND回路(200)ではCF1〜CF4
のすべての信号がオンとなると、インバータ周波数抑制
々御開始信号(201)であるCFLをオン状態となる。CFL
は保持回路(46b)に入力され、保持回路(46b)はこれ
によりインバータ周波数抑制々御開始保持信号(201a)
のCFLAをオンにし、選択回路(41)にこれを出力する。
CFLはまたすべり周波数演算器(45)に入力される。さ
らにCFLは遅延回路(47a)に入力され、遅延回路(47
a)ではある時間この信号を遅延した後、全軸空転・滑
走検知信号(49)であるslipを出力する。そしてこのsl
ip信号もすべり周波数演算器(45)に入力される。また
すべり周波数演算器(45)には、基準すべり周波数パタ
ーン(240)であるDfso、インバータ出力電流(25)で
あるCinV、限流値パターン(26)のCimpも入力され、す
べり周波数(27)であるDfsが加/減算器(44)に対し
て出力されるほか、リセット信号(49a)のrsetが遅延
回路(47a)と保持回路(46b)に出力される。
さらにまた、回転周波数f1〜f4は最小値演算器(31
a)と最大値演算器(32a)へ入力され、最小値演算器
(31a)ではf1〜f4の最小値(28)であるfminを、最大
値演算器(32a)ではf1〜f4の最大値(29)であるfmax
を発生する。fminとfmaxは選択回路(37)へ入力され
る。選択回路(37)にはまた力行指令(222)のP、ブ
レーキ指令(223)のBが入力され、Pがオンである場
合にはfminを、またBがオンである場合にはfmaxを選択
して基本の基準周波数(39)のfroとして出力する。ま
た、前述の予測速度Vf1〜Vf4は周波数演算器(211)〜
(214)に入力されて、予測回転周波数(301)〜(30
4)のff1〜ff4として出力される。そしてff1〜ff4は最
小値演算器(33a)と最大値演算器(34a)に入力され、
最小値演算器(33a)ではff1〜ff4の最小値(35)をffm
inとして、最大値演算器(34a)ではff1〜ff4の最大値
(36)をffmaxとして出力する。ffminとffmaxは選択回
路(38)にP、Bとともに入力される。選択回路(38)
はPがオンの場合はffminを、またBがオンの場合はffm
axを選択して予測基準周波数(40)のfrdoとして出力す
る。この予測基準周波数(40)のfrdoは基本の基準周波
数(39)のfroとともに選択回路(41)に入力される。
選択回路(41)では、さらにインバータ周波数抑制々御
開始保持信号CFLAが入力されていて、CFLAがオフの場合
にはfroを、またCFLAがオンの間はfrdoを選択して基準
周波数(42)のfrとして加/減算器(44)に出力する。
加/減算器(44)には、frのほかに、すべり周波数演算
器(45)の出力であるすべり周波数(27)のDfs、力行
指令Pとブレーキ指令Bが入力され、加/減算器(44)
は、Pがオンの場合frにDfsを加算したものを、またB
がオンの場合にはfrからDfsを減算したものをインバー
タ周波数(43)のfinVとして図示していないインバータ
制御装置に対して出力するようになっている。
次に第2図を参照しながら第1図に示したこの発明の
一実施例を具体的に説明する。なお説明は図示しない4
個の動輪が同じ大きさの空転を起こした場合について行
う。第2図において、時刻Toに動輪4軸全部に空転が発
生したものとする。この図で(61)は第1図の回転周波
数検出器(11)で検出した第1軸の回転周波数f1をもと
に減速演算器(31)で演算した軸速度V1を、また(11
1)は第1図の速度予測器(81)で演算された予測速度V
f1を表している。第2図には第2〜第4軸の軸速度V2〜
V4と予測速度Vf2〜Vf4は図示されていないが、(61)の
V1および(111)のVf1と同じ変化をする。時刻To以前に
おいて空転が発生していないので、軸速度V1と予測速度
Vf1はほぼ同じ値となり、したがって、第1図中の加/
減算器(151)で演算されたインバータ周波数抑制々御
開始速度(161)のVfor1を軸速度V1が超えることはない
ので、比較器(171)が周波数抑制々御開始速度超過信
号CF1をオンにすることはない。他の第2〜4軸につい
ても同様であり、AND回路(200)の出力のインバータ周
波数制御々御開始信号CFLはオフのままとなり、これに
ともなって全軸空転・滑走検知信号slipをオフのままで
ある。なお速度予測器(81)に入力されているslipとCF
Lがオフであるので速度予測器(81)は、速度演算器(3
1)で演算された軸速度(61)を順次取り込んで時系列
的に記憶してあるデータを用いて予測速度の演算を行っ
ている。また保持回路(46b)の出力であるインバータ
周波数制御々御開始保持信号(201a)のCFLAもオフのま
まである。そして、力行指令Pがオンであるので、最小
値演算器(31a)で演算された各軸の回転周波数数f1〜f
4のうちの最小値fminが選択回路(37)でfroとして選択
され、選択回路(41)ではCFLAがオフであるのでfroを
基準周波数frとして選択する。一方すべり周波数演算器
(45)では、CFLとslipがともにオフであり、また再粘
着検知信号(141)〜(144)のR1〜R4もオンとなること
がないので、インバータ出力電流CinVとすべり周波数パ
ターンDfsoをもとに限流値Cimpにインバータ出力電流Ci
nVを追随させるべくすべり周波数Dfsを演算して加/減
算器(44)に対して出力する。したがって、加/減算器
(44)では力行指令Pがオンであるので、結局fmin+Df
sをインバータ出力周波数finvとして出力することにな
る。このように全軸空転が発生しない場合には、動輪の
回転周波数のうちの最小のものを基準周波数とし、これ
にすべり周波数を加算したものをインバータ出力周波数
として出力することによって、インバータ出力電流を目
標値に追随させる制御を行っている。
次に第2図に示した時刻Toにおいて全軸空転が発生す
ると、予測速度(111)は時刻To以前の軸速度データを
もとに算出されるので空転発生前の軸速度の変化と同様
の変化を示すことから、軸速度(61)は予測速度(11
1)よりも急速に大きくなり、時刻T1において、第1図
の加/減算器(151)で演算された周波数抑制々御開始
速度Vfor1を超える。これにより第1図の比較器(171)
はその出力CF1をオン状態とする。第2〜4軸について
も第1軸と全く同様に比較器(172)〜(174)がその出
力CF2〜CF4をオンとする。そのためAND回路(200)の出
力のインバータ周波数抑制々御開始信号CFLがオンにな
りCFLがオンとなることによって保持回路(46b)の出力
であるCFLAがオンとなるので、選択回路(41)は、それ
まで基準周波数frとして選択回路(37)の出力であるfr
oすなわち動輪の回転周波数f1〜f4の最小値fminを選択
していたのを中断し、選択回路(38)の出力であるfrdo
すなわち予測速度Vf1〜Vf4を周波数演算器(211)〜(2
14)によって回転周波数ff1〜ff4に変換したもののうち
の最小値ffminを選択して出力する。第2図において(2
7)はすべり周波数Dfs、(25)はインバータ出力電流Ci
nV、(49)は全軸空転・滑走検知信号slipを表している
が、時刻T1でCFLがオンになるとそのときのすべり周波
数Δfszとインバータ出力電流CinVZを第1図中のすべり
周波数演算器(45)が記憶し、加/減算器(44)に対し
てΔfazを出力しつづけるので、加/減算器(44)では
インバータ出力周波数finvとして、fr+Δfszすなわちf
fmin+Δfszを出力する。これにともなって第2図に示
すようにインバータ出力電流CinVは誘導電動機の特性に
従って減少しはじめ、したがって同図の軸速度(61)が
急上昇するのが抑制される。また第1図において、CFL
オンになると遅延回路(47a)では時間Ts後すなわち第
2図に示す如く時刻T2にその出力(49)すなわち全軸空
転・滑走検知信号slipをオンとする。この時刻T2におい
てすべり周波数演算器(45)はこの時の電流AVCinVと、
先に時刻T1において記憶したすべり周波数Δfsz,インバ
ータ出力電流CinVZとから、すべり周波数の指令値Δfsl
owとΔfsupとを下式によって決算する。
Δfslow={Fo(AVCinV)−δF1}× Δfsz/FO(CinVZ) …… Δfsup={Fo(AVCinV)−δF2}× Δfsz/Fo(CinVZ) …… Fo(CinVZ):インバータ出力電流CinVZのときの誘導電
動機n個分の発生トルク Fo(AVCinV):インバータ出力電流AVCinVのときの誘導
電動機n個分の発生トルク δF1:空転軸を再粘着させるに必要な誘導電動機n個分
のトルクの低減量 δF2:制御エラーを吸収するためのマージン n :1台のインバータに接続される誘導電動機の個数
で、ここではn=4としている そしてすべり周波数演算器(45)では、第2図に示す
ように時刻T2においてすべり周波数Δfslowを指令す
る。なお式中のδF1は、空転軸を確実に再粘着させう
る範囲で極力小さい値に選定し、車輪・軌道間の粘着力
の大きな低下を防止するようにする。すべり周波数Δfs
lowの指令により誘導電動機の発生トルクがさらに低下
するので、軸速度(61)は減少し再粘着に向う。なお時
刻T1においてCFLがオンになると、速度予測器(81)で
は、時刻T1以前の軸速度データだけを用いて速度予測の
演算を行い、時刻T1以降に入力にされてくる軸速度デー
タは用いない。時刻T2においてslipもオンになるが、CF
Lかslipのいずれかがオンである間は、速度予測器(8
1)は予測速度の演算にT1以降の軸速度データは用いな
い状態を持続する。そして、時刻T3aおいて軸速度(6
1)がインバータ周波数抑制々御開始速度(161)以下に
なると、インバータ周波数抑制々御開始信号CFLがオフ
となる。さらに、時刻T3で再粘着すると、(101)の軸
ジャーク値γ1が設定値γo以上となり、第1図の比較
器(131)はその出力(141)すなわちR1をγ1がγo以
上である間オン状態とする。第2〜4軸のジャーク値γ
2〜γ4もγ1と同様の変化をするので、比較器(13
2)〜(134)の出力R2〜R4もオンとなる。なお時刻Toで
空転が発生すると、第2図に示すように第1軸のジャー
ク値(101)のγ1が設定値γoを超える場合があるが
(第3〜第4軸も同様)、この時点ではslipがオンとな
っていないので、すべり周波数演算器(45)では、再粘
着検知することはない。時刻T3でR1〜R4がオンになると
すべり周波数演算器(45)は第2図に示すように、すべ
り周波数をΔfslowからΔfsupに急速に増大させる制御
を行い、時刻T4においてすべり周波数がΔfsupになると
時間Tpだけこのすべり周波数を持続する。ところで式
中のγF2は極力これを小さい値に設定すると、時刻T2に
おけるインバータ出力電流AVCinVは、ほぼその時の粘着
係数に相当した値となっているので、すべり周波数Δfs
upを指令すると、ほぼこのときの粘着係数に相当したト
ルクを誘導電動機が発生することになる。
時刻T5で時間Tpが経過すると、第1図においてすべり
周波数演算器(45)は遅延回路(47a)に対してリセッ
ト信号rsetをある短い時間だけ出力し、これによって遅
延回路(47a)では全軸空転・滑走検知信号slipをオフ
とする。slipがオフになると、速度予測器(81)〜(8
4)では、これによって、現在時刻を含めてある一定時
間過去の時点までに入力された軸速度データを用いて予
測速度の演算を行うようになる。またリセット信号rset
は保持回路(46b)には出力され、周波数抑制々御開始
保持信号(201a)のCFLAをオフとする。CFLAがオフとな
ると選択回路(41)では、それまで予測速度Vf1〜Vf4に
もとずいたfrdoを基準周波数frとして選択していたの
を、回転周波数f1〜f4の最小値fminを基準周波数として
選択するようになる。したがってインバータ出力周波数
finvはfmin+Δfsupが出力される。そいて、時刻T5以降
すべり周波数演算器(45)は、第2図に示すように、す
べり周波数(27)をΔfsupから周波数抑制々御開始時の
すべり周波数Δfszに増大させる制御を行い、時刻T6に
おいてΔfszに到達すると、一連の再粘着制御を終了し
て、空転検知前の制御に移行する。但し、時刻T5移行の
すべり周波数増大制御を行っている過程で、再度第1図
のAND回路(200)でインバータ周波数抑制々御開始信号
CFLがオンになると、時刻T1以降の動作を繰り返す。
以上、空転時の再粘着制御方法について示したが、滑
走時もブレーキ指令Bがオンになっていることから、選
択回路(37)および(38)では、最大値演算器(32a)
の出力のfmaxおよび最大値演算器(34a)の出力のffmax
が選択され、fmaxあるいはffmaxからすべり周波数Dfsを
減算したものをインバータ周波数finVとして出力される
が、それ以外は上記の力行の場合と同様の制御が行われ
る。
このように本発明では、空転あるいは滑走を発生され
る原因となる粘着係数の低下が大きい場合であっても、
動輪の予測速度を用いたインバータ出力周波数抑制々御
を行うので、微小な空転や滑走に抑えこむことができ、
またその時の粘着係数をインバータ出力電流から推定で
きるので、動輪を確実に再粘着させることができると同
時に、再粘着させるための誘導電動機発生トルクの低減
量を極力抑制し、さらに再粘着後速やかに推定粘着係数
相当のトルクに復帰させていることから、軌道・車輪間
の粘着力を高く維持した安定な再粘着制御が実現でき
る。
〔発明の効果〕
上記実施例により説明したように、この発明によれ
ば、動輪の予測速度を用いて空転あるいは滑走発生の初
期のうちに検出してインバータ出力周波数抑制を行うの
で、微小な空転や滑走に抑えこむことができ、したがっ
て車輪踏面の損傷の発生を防ぐことができる。また周波
数抑制々御を行うことによって、その時の粘着係数を推
定することができるので、動輪を再粘着させるために必
要な電動機発生トルクの低減量を極力抑制しつつ確実に
再粘着させることが可能である。さらに再粘着後速やか
に推定粘着係数相当のトルクに復帰させている。このた
め、軌道・車輪間の粘着力を高く維持した粘着力の有効
利用が可能な安定な再粘着制御手段を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例を示すブロック図、第2図
は第1図の動作を説明するための波形図、第3図は従来
の再粘着制御手段を示すブロック図、第4図は従来のイ
ンバータ制御車両の再粘着制御手段の説明図である。 (11)〜(14)……回転周波数検出器 (12a)……インバータ周波数抑制々御開始速度差検知
レベル (21)〜(24)……動輪の回転周波数 (25)……インバータ出力電流 (26)……電流パターン (27)……すべり周波数 (28)……回転周波数の最小値 (29)……回転周波数の最大値 (31)〜(34)……速度演算器 (31a)(33a)……最小値演算器 (32a)(34a)(60a)……最大値演算器 (35)……予測回転周波数の最小値 (36)……予測回転周波数の最大値 (37)(38)(41)……選択回路 (39)……基本の基準周波数 (40)……予測基準周波数 (42)……基準周波数 (43)……インバータ出力周波数 (44)(151)〜(154)……加/減算器 (41a)〜(44a)(71)〜(74)……微分器 (45)(46a)……すべり周波数演算器 (46b)……保持回路 (47)……空転・滑走検知基準速度差設定器 (47a)……遅延回路 (48)……空転・滑走検知信号 (49)……全軸空転・滑走検知信号 (49a)……リセット信号 (51)〜(54)……回転周波数の変化量 (61)〜(64)……軸速度 (61a)……回転周波数の変化量の最大値 (62a)……空転・滑走の検知感度設定器 (63a)……空転・滑走検知レベル (64a)(131)〜(134)(171)〜(174)……比較器 (81)〜(84)……速度予測器 (90)……基準ジャーク値設定器 (91)……ジャーク値の設定値 (101)〜(104)……軸ジャーク値 (111)〜(114)……予測速度 (141)〜(144)……再粘着検知信号 (161)〜(164)……インバータ周波数抑制々御開始速
度 (181)〜(184)……インバータ周波数抑制々御開始速
度超過信号 (200)……AND回路 (201)……インバータ周波数抑制々御開始信号 (201a)……インバータ周波数抑制々御開始保持信号 (211)〜(214)……周波数演算器 (222)……力行指令 (223)……ブレーキ指令 (240)……すべり周波数パターン (301)〜(304)……予測回転周波数

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インバータ制御車両の再粘着制御方法であ
    って、現行を含む過去いくつかの時点の動輪速度を時系
    列的に記憶しておき、時系列的に記憶された該動輪速度
    から現時点以降の予測速度を算出し、車輪に空転か発生
    して該動輪速度が該予測速度より一定量以上高くなった
    場合、または、車輪に滑走が発生して該動輪速度が該予
    測速度より一定量以上低くなった場合より、該予測速度
    から算出した誘導電動機の回転子周波数としての基準周
    波数によってインバータ周波数を抑制するインバータ周
    波数抑制制御に移行し、一定時間該インバータ周波数抑
    制制御を継続した時点において空転滑走を検知するとと
    もに空転滑走検知時点におけるインバータ出力電流値か
    ら動輪・軌道間の粘着計数を推定し、該粘着計数をもと
    に空転または滑走状態にある動輪の再粘着制御を行うこ
    とを特徴とするインバータ制御車両の再粘着制御方法。
JP17573690A 1990-07-03 1990-07-03 インバータ制御車両の再粘着制御方法 Expired - Lifetime JP2921766B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17573690A JP2921766B2 (ja) 1990-07-03 1990-07-03 インバータ制御車両の再粘着制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17573690A JP2921766B2 (ja) 1990-07-03 1990-07-03 インバータ制御車両の再粘着制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0469003A JPH0469003A (ja) 1992-03-04
JP2921766B2 true JP2921766B2 (ja) 1999-07-19

Family

ID=16001350

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17573690A Expired - Lifetime JP2921766B2 (ja) 1990-07-03 1990-07-03 インバータ制御車両の再粘着制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2921766B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU738539B2 (en) 1997-09-24 2001-09-20 Hitachi Limited Controller for electric vehicles

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0469003A (ja) 1992-03-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4799161A (en) Control apparatus for maintaining traction in electric rolling stock
JP4137995B1 (ja) 電気車の制御装置
JP3323899B2 (ja) 電気車の制御装置
JP4621377B2 (ja) 電気車制御装置
JP2012034456A (ja) 電動機制御方法及び電動機制御装置
JP2921766B2 (ja) インバータ制御車両の再粘着制御方法
JP2011172472A (ja) 電動機制御方法及び電動機制御装置
JP5063274B2 (ja) 電気車制御装置
JP4058732B2 (ja) 電気車の制御装置
CN111152803B (zh) 粘着控制方法及装置
JPH0884405A (ja) 電気車の制御装置
JP3246075B2 (ja) 電気車の再粘着制御装置
JPS61285002A (ja) 電気車制御方法
JP3102074B2 (ja) 電気車の空転/滑走検出装置
JPH01255402A (ja) 電気車制御方法
JPH06217407A (ja) 電気車制御装置
JPS59175303A (ja) 電気車制御方法
JP2832778B2 (ja) 電気車の空転・滑走制御方式
JP3089920B2 (ja) 電気車の制御装置
JP2000059911A (ja) 電気車の制御装置
JPS59113702A (ja) 誘導電動機式電気車の制御装置
JPH0610449B2 (ja) 車両用駆動力制御装置
JPH1189005A (ja) 電気車の空転再粘着制御装置
JPH1189006A (ja) 電気車の空転再粘着制御装置
JPH0213201A (ja) 電気車の高粘着制御装置