JP2921444B2 - 楽音合成装置 - Google Patents

楽音合成装置

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JP2921444B2
JP2921444B2 JP7200281A JP20028195A JP2921444B2 JP 2921444 B2 JP2921444 B2 JP 2921444B2 JP 7200281 A JP7200281 A JP 7200281A JP 20028195 A JP20028195 A JP 20028195A JP 2921444 B2 JP2921444 B2 JP 2921444B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、擦弦楽器や管楽器
等の楽音を模擬する楽音合成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の楽音合成装置の基本的構成を図1
1に示す。楽音合成装置は、図11に示すように、遅延
手段101、ローパスフィルタ(LPF)102及びフ
ィードバック係数乗算器(FB)103が縦続に接続さ
れて構成された遅延ループを有しており、この遅延ルー
プに励振波形を供給するために加算器104が備えられ
ている。遅延手段101は発生する楽音信号のピッチを
任意のピッチとするための手段であり、LPF102は
発生される楽音信号の音色を決めるための手段である。
また、フィードバック係数乗算器103は遅延ループの
フィードバックゲインを決めるためのものであり、発音
中においては1.0近辺に設定される。
【0003】このように構成された楽音合成装置におい
て、キーオンのタイミングで励振波形を加算器104に
供給すると、加算器104を介して入力された励振波形
が、遅延手段101、LPF102、フィードバック係
数乗算器103からなる遅延ループを循環するようにな
る。この場合、励振波形は多くの周波数成分を含むイン
パルスやホワイトノイズとされるが、遅延ループの周波
数特性は、遅延ループ全体の遅延時間で定められる周波
数を基本波とした時、基本波とその倍長波成分だけが通
過域となる「くし形」の周波数特性とされるため、阻止
域の周波数成分は減衰が早くなり、基本波とその倍長波
成分が主に循環し続けるようになる。
【0004】これにより、所望のピッチの楽音信号を図
示するように遅延ループから取り出すことができる。な
お、フィードバック係数乗算器103のFB係数は図1
2(b)に示すように発音中は1.0とされるが、キー
オフのタイミングで小さい値に切り替えられる。する
と、遅延ループを循環していた楽音信号は、図12
(a)に示すようにフィードバックゲインが小さくされ
たために、急速に減衰していくようになる。この場合、
遅延ループを循環している楽音信号の直流レベルは、破
線で図示するように楽音信号の減衰と共に減衰していく
ようになる。
【0005】次に、遅延手段101の遅延時間を変更し
た場合の楽音合成装置の動作例を図13を参照しながら
説明する。この図に示すように遅延手段101には中央
の位置から中間タップが設けられており、遅延手段10
1の終端及び中間タップがスイッチ105に接続されて
いずれかに切り替えられるようにされている。今、スイ
ッチ105の可動接点Cが固定接点Aに接続されて遅延
手段101の終端からの遅延出力がLPF102に入力
されている。この時、LPF102と係数乗算器103
の遅延時間を無視して遅延ループの総遅延時間が遅延手
段101の遅延量で決まるものとすると、遅延手段10
1の入力から終端までの遅延時間に応じた基本ピッチの
楽音信号が遅延ループを循環することになる。
【0006】そこで、励振波形を加算器104に供給し
て遅延ループを励振すると、例えば図14のAに示すよ
うな循環信号が遅延手段101から出力される。この
時、時点t1においてスイッチ105を固定接点Aから
固定接点Bへ切り替えると、図14Bに示すハッチング
を施した負の波形信号が、スイッチ105から出力され
る。この波形信号はLPF102、係数乗算器(FB)
103および加算器104を通過して遅延手段101に
再度入力されて、その中間タップ位置まで遅延された時
に遅延手段101から再び出力されるようになる。
【0007】この場合、遅延手段101の中間タップま
での遅延時間は遅延手段101の終端までの遅延時間の
半分とされているため、スイッチ105が切り替えられ
るまでの波形信号の半周期に相当することになる。した
がって、半周期に相当する時点t1からt2までの波形
信号が繰返し遅延ループを循環するようになり、スイッ
チ105からは図14Cに示すような不連続な波形信号
が出力されるようになる。また、この波形信号は図示さ
れるように負の領域だけで変化する信号となるので、ス
イッチ105が切り替えられるまでは含まれていなかっ
た直流成分が発生するようになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記したように、従来
の楽音合成装置においては、係数乗算器に設定されるフ
ィードバック係数を切り替えた時や、遅延手段の遅延時
間を切り替えた時に直流成分が発生したり、直流成分が
変動したり、波形の不連続が生じたりする。このように
遅延ループの中で直流成分が発生したり変動すると、出
力を取り出した後でハイパスフィルタにより直流成分を
除去してもクリックノイズとして認識されてしまうとい
う問題点があった。また、波形の不連続が生じた場合に
も同様にクリックノイズが発生するという問題点が生じ
る。
【0009】そこで、本発明は遅延手段の遅延時間等を
変化させた時に、波形の不連続や直流成分の発生や急な
変動が生じないようにした楽音合成装置を提供すること
を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の楽音合成装置は、少なくとも生成する楽音
の音高に相当する遅延時間を有する遅延手段を備える遅
延ループ部を有する楽音合成装置において、前記遅延手
段が分割されて、負の係数が設定される係数乗算器の入
力側と出力側に接続されており、前記遅延手段の遅延時
間を変更する場合に、前記係数乗算器の入力側と出力側
に接続された遅延手段の遅延時間が等しくなるように、
当該遅延手段の遅延量を変更すると共に、前記係数乗算
器の入力側と出力側に接続された遅延手段の各々におい
て、変更前の遅延時間に対応する信号から変更後の遅延
時間に対応する信号に徐々に切り替えるようクロスフェ
ードするものである。
【0011】本発明によれば、遅延手段が少なくとも2
分割されていると共に、負の係数が設定される係数乗算
器を介して接続されているため、遅延手段の遅延時間を
変更しても波形の不連続が発生することがないと共に、
直流成分の発生や変動を防止することができる。したが
って、遅延手段の遅延時間を変更してもクリックノイズ
が発生されることを防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の楽音合成装置の原理を示
す構成図を図1に示し、図2にその動作を説明するため
の等価的な図を示す。この図において、1は2分割され
た一方であり、その中央に中間タップを有する第1遅延
手段、2はキーオン中は−1に近い係数が設定され、キ
ーオフ時に0に近い負の数が設定される第1係数乗算器
(FBR)、3は2分割された他方であり、その中央に
中間タップを有する第2遅延手段である。4はキーオン
中は−1に近い係数が設定され、キーオフ時に0に近い
負の数が設定される第2係数乗算器(FBL)、5は遅
延ループに励振波形を供給するための加算器、SW1は
第1遅延手段1の遅延時間を切り替えるための第1スイ
ッチ手段、SW2は第2遅延手段3の遅延時間を切り替
えるための第2スイッチ手段である。
【0013】このように構成された楽音合成装置におい
て、遅延ループは第1遅延手段1、第1係数乗算器(F
BR)2、第2遅延手段3、第2係数乗算器(FBL)
4、および加算器5とにより構成される。楽音合成装置
には一般に音色を付加するためにLPFが遅延ループ内
に備えられるが、この場合は説明を簡略化するために省
略している。なお、遅延ループ内の遅延時間は係数乗算
器2,4の遅延時間を無視すると、第1遅延手段1の遅
延時間と、第2遅延手段3の遅延時間との加算値とな
り、この遅延時間が、遅延ループで循環生成される楽音
信号の音高に相当するものとなる。
【0014】例えば図1に示す楽音合成装置が弦の中の
波動をシミュレートしたものとすると、遅延ループ内の
信号は右向き、左向きの速度波の成分に対応し、右およ
び左の端部では固定端をシミュレートしたものとされ
る。ここで、第1スイッチSW1がB側に接続されて第
1遅延手段1の中間タップが選択されていると共に、第
2スイッチSW2がB’側に接続されて第2遅延手段3
の中間タップが選択され、さらに第1係数乗算器2およ
び第2係数乗算器4の係数が−1に近く設定されている
場合に、励振波形が加算器5に供給されたとする。する
と、第1遅延手段1にはその上に示すような右向きの進
行波が進行していき、第2遅延手段3にはその下に示す
ような左向きの進行波が進行していくようになる。
【0015】なお、第1遅延手段1における終端までの
遅延量をτA、その中間タップまでの遅延量をτB、第
2遅延手段2における終端までの遅延量をτA’、中間
タップまでの遅延量をτB’とする。この時、τAとτ
A’、およびτBとτB’とはほぼ等しくされている。
この場合の等価的に表した図を図2(a)に示すが、係
数乗算器2,4は省略している。この図に示すように、
遅延量τBの第1遅延手段(DB )1と遅延量τB’の
第2遅延手段(DB ’)3とは等価的に接続されてお
り、同図(b)に示すように両遅延手段1,3内に半波
づつの信号が入り、遅延ループに1周期分の信号が入る
ことになる。
【0016】この時、第1スイッチSW1をA側に切り
替えると共に、第2スイッチSW2を同時にA’側に切
り替えたとする。両スイッチSW1,SW2を切り替え
た瞬間において、遅延量τAの第1遅延手段1には図1
に示すような基準レベルを含む波形が入っており、遅延
量τA’の第2遅延手段3には図1に示すような基準レ
ベルを含む波形が入っている。そして、この場合は図2
(c)に示すように等価的に表されるようになる。すな
わち、この図に示すように、遅延量τAの第1遅延手段
(DA )1と遅延量τA’の第1遅延手段(DA ’)2
とは等価的に接続されており、同図(d)に示すように
信号が入ることになり、スイッチSW1,SW2の切替
前に比較して2倍の周期の信号が遅延ループに入るよう
になる。ただし、基準レベルを含む波形とされるので、
倍調波が増大するようになる。
【0017】このように、第1遅延手段1と第2遅延手
段3とに等分に分割して、負の係数が設定される係数乗
算器を介して接続することにより遅延手段を構成すると
共に、遅延手段の遅延時間を切り替える場合に、遅延手
段1の増加する遅延量(τA−τB)と、遅延手段3の
増加する遅延量(τA’−τB’)を略等しい遅延量と
するように切り替えることにより、遅延手段の遅延量を
切り替える場合に波形に不連続が発生しないと共に、直
流成分も発生することがなくなる。なお、中間タップは
その遅延手段1,3の中央に設ける必要はなく、上記条
件を満たせば任意の位置に設けることができる。
【0018】次に、図1に示す構成において第1スイッ
チSW1および第2スイッチSW2が、前述と逆にA側
あるいはA’側からB側あるいはB’側へ切り替えられ
る時の動作を図3および図4を参照しながら説明する。
図3において、第1スイッチSW1がA側に接続されて
第1遅延手段1の終端Aが選択されていると共に、第2
スイッチSW2がA’側に接続されて第2遅延手段3の
始端Aが選択され、さらに第1係数乗算器2および第2
係数乗算器4の係数が−1に近く設定されている場合
に、励振波形が加算器5に供給されたとする。すると、
第1遅延手段1にはその上に示すような右向きの進行波
が進行していき、第2遅延手段3にはその下に示すよう
な左向きの進行波が進行していくようになる。
【0019】この場合の動作を等価的に表した図を図4
(a)に示すが、係数乗算器2,4は省略して示してい
る。この図に示すように、遅延量τAの第1遅延手段
(DA)1と遅延量τA’の第2遅延手段(DA ’)3
とは等価的に接続されており、同図(b)に示すように
両遅延手段1,3内に半波づつの信号が入り、遅延ルー
プに1周期分の信号が入ることになる。この時、第1ス
イッチSW1をB側に切り替えると共に、第2スイッチ
SW2を同時にB’側に切り替えたとする。両スイッチ
SW1,SW2を切り替えた瞬間において、遅延量τB
の第1遅延手段1には1/4周期の波形が入っており、
遅延量τB’の第2遅延手段3には反転された1/4周
期の波形が入っている。
【0020】この場合の動作は、図4(c)に示すよう
に等価的に表されるようになる。この図に示すように、
遅延量τBの第1遅延手段(DB )1と遅延量τB’の
第2遅延手段(DB ’)2とは等価的に接続されるよう
になり、この中に同図(d)に示すような信号が入るこ
とになり、スイッチSW1,SW2の切替前に比較して
半分の周期、すなわち2倍のピッチの信号が遅延ループ
に入るようになる。この信号の波形は、図示するように
倍調波を豊富に含む音となる。このように、τA≒τ
A’かつτB≒τB’の条件のもとで、第1スイッチS
W1および第2スイッチSW2をA側からB側へ切り替
えることにより、遅延手段の遅延量を変更してピッチを
上昇させる場合にも波形に不連続が発生しないと共に、
直流成分も発生することはない。また、直流成分が発生
しないと、生成する信号のダイナミックレンジを大きく
できる効果もある。なお、中間タップはその遅延手段
1,3の中央に設ける必要はなく、上記条件を満たせば
任意の位置でよい。
【0021】ところで、前記した図1に示す構成におい
ては生成する楽音のピッチを変更する場合にスイッチを
切り替えることにより行っているが、スイッチはよく知
られているようにクリックを発生しやすいので、実際に
はスイッチを使用することなく図5あるいは図6に示す
ような構成にしてピッチを切り替えるようにする。図5
は係数乗算器に設定する係数rにより遅延手段の切替を
行うようにした例であり、図6は遅延手段の1段以内の
微小な遅延時間の遅延制御も行えるようにした例を示し
ている。
【0022】図5において、縦続された遅延手段10お
よび遅延手段11は前記図1の第1遅延手段1に相当
し、縦続された遅延手段12および遅延手段13は前記
図1の第2遅延手段3に相当する。14,15,16お
よび18,19,20は係数乗算器であり、17,21
は加算器である。ただし、この図5においては図1に示
す構成の右半分のピッチを変更する構成だけを示してい
る。
【0023】ここで、乗算係数rが1とされているとす
ると、係数乗算器15,16および係数乗算器18,2
0には0の乗算係数が設定されると共に、係数乗算器1
4および係数乗算器19には1の乗算係数が設定される
ことになり、遅延手段10が加算器17および加算器2
1を介して遅延手段13に接続されるようになる。すな
わち、遅延手段11および遅延手段12は遅延ループか
ら切り離されるようになり、遅延ループの遅延量は減少
してピッチが上昇するようになる。この場合、遅延手段
11に入力される信号は断ち切られ、遅延手段12に入
力される信号も断ち切られるようになり、遅延手段11
および遅延手段12が遅延ループに挿入される場合に、
信号が残ることによる影響を防止することができる。
【0024】そして、乗算係数rを0とすると、係数乗
算器14および係数乗算器19には0の乗算係数が設定
されると共に、係数乗算器15,16および係数乗算器
18,20には1の乗算係数が設定されることになり、
遅延手段10が遅延手段11と接続されると共に、遅延
手段12が遅延手段13に接続されるようになる。すな
わち、遅延手段11および遅延手段12は遅延ループに
挿入されるようになり、遅延ループの遅延量が増大して
ピッチが下降するようになる。また、乗算係数rを徐々
に1から0あるいは0から1に変化させるようにするこ
とができる。この場合、乗算係数rを徐々に1から0に
変化させるようにすると、遅延手段10の信号から遅延
手段11の信号にクロスフェードされると共に、係数乗
算器2の信号から遅延手段12の信号にクロスフェード
される。また、乗算係数rを徐々に0から1に変化させ
るようにすると、遅延手段11の信号から遅延手段10
の信号にクロスフェードされると共に、遅延手段12の
信号から係数乗算器2の信号にクロスフェードされる。
なお、図示されていないが遅延手段10〜13の単位量
ごとに遅延量は単位量(1クロックに相当する時間)ご
とに可変できるようにされて、生成する楽音のピッチを
種々のピッチとすることができるようにされている。
【0025】しかしながら、高精度のピッチの楽音信号
を生成するためには、遅延手段において1クロック以内
の遅延量についても調整する必要がある。そこで、これ
を図6に示すようにして実現している。ただし、この図
6では図5における上半分だけに相当する部分の構成だ
けを示している。この図において、22,23および2
5,26は係数乗算器であり、24,27は加算器であ
る。ここで、遅延手段10から係数乗算器22へ接続さ
れているタップは、最終段より1クロックに相当するタ
ップであり、遅延手段11においても同様に、遅延手段
11から係数乗算器25へ接続されているタップは、最
終段より1クロックに相当するタップである。
【0026】遅延手段10における遅延量を調整する場
合は、遅延量を制御する遅延制御データの整数部により
遅延手段10の段数を制御し、遅延制御データの小数部
を乗算係数fB として係数乗算器23に設定すると共
に、(1−fB )を乗算係数として係数乗算器22に設
定する。そして、係数乗算器22と係数乗算器23の出
力を加算器24で加算することにより、1クロック以内
の遅延量を乗算係数fBに応じて補間演算により加算器
24から得ることができる。
【0027】遅延手段11においても同様であり、遅延
手段11においては遅延制御データの小数部を乗算係数
A として係数乗算器26に設定している。以降の動作
は同じとされるので省略する。この場合、遅延手段11
が切り離されている時は遅延制御データの小数部を乗算
係数fB として設定するが、遅延手段11が挿入されて
いる時は、乗算係数rが0とされて係数乗算器22およ
び係数乗算器23は切り離されるので、遅延制御データ
の小数部を乗算係数fA として設定する。このように、
遅延制御データの小数部に対応する遅延はいわゆるFI
R(Finite Impulse Responce )フィルタの構成により
行われる。(他の方法としてAPFを用いて小数遅延を
実現してもよい。)
【0028】また、本発明の楽音合成装置により擦弦楽
器を模擬した構成を図7に示す。擦弦楽器は、弦の中途
を弓等により擦って演奏するものであるので、擦弦楽器
を模擬した物理音源モデルにおいては、図7に示すよう
に弦をシミュレートする遅延手段を左右に分割したその
間に励振制御部が設けられる構成とされている。すなわ
ち、遅延手段30と遅延手段31、および遅延手段32
と遅延手段33とに左右に分割されていると共に、本発
明の楽音合成装置の特徴点とされる遅延手段30と遅延
手段33、および遅延手段31と遅延手段32とに上下
に分割されている。そして、左右に分割された遅延手段
30と遅延手段31、および遅延手段32と遅延手段3
3との間に励振制御部が設けられている。
【0029】この図に示す楽音合成装置においては、遅
延手段30〜33の遅延量を調整することにより生成さ
れる楽音信号のピッチを調整する。調整する態様は、前
記図1および図3において説明したとおりであるので省
略するが、スイッチSW1ないしスイッチSW4は同時
に切り替えられるようにされる。また励振制御部におい
て、弓速度信号Vbと、左側に位置する遅延手段30の
出力および右側に位置する遅延手段32の出力が入力さ
れる加算器76は、弦における弓との接触部が弓の移動
により変位することと、この接触部が弦上を進行する振
動波により変位することとをシミュレートしている。
【0030】また、非線形変換部71は加算器76より
の出力を非線形変換して弓の移動により弦の変位状態を
シミュレートするもので、その変換特性がそのブロック
内に示されている。すなわち、弓を弦に擦りつけた場
合、弓速度が小さい時には、弓と弦の間における摩擦力
は静止摩擦係数により主に支配されて弦速度は弓速度と
ほぼ同じになるが、弓速度が大きくなると、摩擦力は動
摩擦係数により主に支配されるようになって弦速度は弓
速度より遅くなるものであり、この現象が非線形変換部
71によりシミュレートされている。
【0031】また、乗算器72には弓圧力Fbの逆数1
/Fbが、乗算器には弓圧力Fbが乗算係数として供給
されて、1/Fbが乗算された加算器76の出力が非線
形変換部71に入力されると共に、非線形変換部71の
出力に弓圧力Fbが乗算される。これは、摩擦係数が弦
に付与される弓圧力により変化して、非線形変換部71
の非線形特性が変更されることをシミュレートするため
である。そして、乗算器73の出力は加算器74および
加算器75に供給されて遅延ループに供給される。な
お、図7に示す楽音合成装置においては音色を付加する
LPFは省略されていると共に、係数乗算器FBRおよ
び係数乗算器FBLには、キーオン中には−1に近いフ
ィードバック係数が、キーオフ時には0に近い負のフィ
ードバック係数が設定される。
【0032】図7に示す楽音合成装置を実現化した詳細
な構成を図8に示す。この図に示す楽音合成装置におい
ては励振制御部40の構成により、擦弦楽器類あるいは
管楽器類をシミュレートすることができる汎用性のある
構成とされている。この図に示す楽音合成装置は、励振
制御部(EXCT)40を挟んで右側と左側とでそれぞ
れ4分割された遅延手段41R,42R,43R,44
R、41L,42L,43L,44Lと、上側と下側と
に分割された遅延手段間に挿入された係数乗算器(FB
R)54Rと係数乗算器(FBL)54Lとで構成され
ている。ただし、音色を付加するLPFは省略されてい
る。この楽音合成装置において、例えば右側の上半分の
構成は前記図6に示す構成と同じとされており、その下
半分の構成は上半分の構成と同じミラー構成とされてお
り、さらに、左側の構成は右側の構成と同じミラー構成
とされている。
【0033】このように、遅延手段の構成は前記図6に
示す構成と同じとされているのでその詳細な動作の説明
は省略するが、遅延ループにより生成する楽音のピッチ
を低くする場合は、乗算係数rを0として8つのすべて
の遅延手段が縦続されるようにする。この場合の遅延量
Dは、D=2×(D1R+D2R)+2×(D1L+D
2L)とされる。また、遅延ループにより生成する楽音
のピッチを高くする場合は、遅延手段42R,43Rに
おける遅延量D2Rと、遅延手段42L,43Lにおけ
る遅延量D2Lが短くなるように制御する。この場合、
遅延制御データの小数部を乗算係数fA (fA ’)とす
る遅延量の制御も行われるが、係数乗算器50R(57
R,50L,57L)および係数乗算器49R(58
R,49L,58L)にはその遅延手段の終段および1
クロック前に相当するその前段に限らず、任意の段およ
び1クロック前に相当するその前段とすることができ
る。
【0034】さらに、遅延ループにより生成する楽音の
ピッチを高くする場合は、乗算係数rを1として遅延手
段42R,43Rおよび遅延手段42L,43Lを切り
離す。そして、遅延手段41R,44Rにおける遅延量
D1Rと、遅延手段41L,44Lにおける遅延量D1
Lが短くなるように制御する。この場合、遅延制御デー
タの小数部を乗算係数fB (fB ’)とする遅延量の制
御も行われるが、係数乗算器46R(62R,46L,
62L)および係数乗算器45R(61R,45L,6
1L)にはその遅延手段の終段および1クロック前に相
当するその前段に限らず、任意の段および1クロック前
に相当するその前段とすることができる。なお、遅延量
D1RとD1Lとは略等しくされ、遅延量D2RとD2
Lも略等しくされる。
【0035】次に、擦弦楽器類をシミュレートする場合
の励振制御部40の構成の一例を図9に示す。この励振
制御部例においては制御信号(CONTROL )として、発音
と音色の制御に関連する弓速度Vbと、音色制御用の弓
圧力Fbが入力されるが、その構成は前記図7に示す構
成と同じとされているのでその説明は省略する。ただ
し、図9においては弓圧力Fbがそのまま入力されてい
るので、非線形変換部71に前置する乗算器は除算器7
2’とされる。
【0036】次に、管楽器類をシミュレートする場合の
励振制御部40の構成の一例を図10に示す。この励振
制御部例においては制御信号(CONTROL )として、発音
と音色の制御に関連する息圧Pbと、音色等の制御を行
うアンブシュールEとが入力されている。すなわち、減
算器86に息圧Pbが入力され、この減算器86の出力
がマウスピース内の圧力変化に対するリードの応答特性
をシミュレートするリード特性制御部87に入力され、
リード特性制御部87はマウスピースをくわえる圧力に
相当するアンブシュールEに応じて特性が制御されるこ
とにより、生成された励振信号が、乗算係数k3が設定
された係数乗算器88を介して加算器81に供給される
ことにより、遅延ループを励振している。
【0037】この励振制御部40の右側は、マウスピー
スの例えば右側の管に相当し、この場合左側はマウスピ
ースの左側の管に相当している。そして、右側からの進
行波は乗算係数k2が設定された係数乗算器83を介し
て加算器81に入力され、左側からの進行波は乗算係数
k1が設定された係数乗算器89を介して加算器81に
入力される。この加算器81の出力は減算器82を介し
て右側に伝達されていくと共に、減算器84を介して左
側に伝達されていくようになる。さらに、減算器85に
供給されてマウスピース側に戻される。また、減算器8
2には右側からの進行波が励振部において反射されるも
のとして入力されている。同様に減算器84には左側か
らの進行波が励振部において反射されるものとして入力
されている。なお、乗算係数k1〜k3は管形状すなわ
ち音色に応じて設定される。
【0038】以上説明した本発明の楽音合成装置におい
て、遅延ループ内にLPF等のフィルタを挿入するよう
にしてもよい。また、乗算係数rは、適宜、音高変換に
対応して変化する時間関数発生器(エンベロープ・ジェ
ネレータ)を用意して制御するようにすればよい。さら
に、各乗算係数rを乗算係数rにより制御される側の遅
延手段の遅延量D2R(D2L)に合わせて変化させる
ようにしてもよい。また、乗算係数(1−r)を√(1
−r)として、リニアに変化するようにしてもよい。ま
た、小数部の遅延はFIRフィルタで行うようにした
が、オールパスフィルタ(APF)により行うようにし
てもよい。
【0039】さらにまた、本発明の楽音合成装置は可変
遅延を用いるディレイ、リバーブ、コーラス等の各種音
響エフェクト装置にも適用することができる。なお、本
発明の楽音合成装置は当然ハードウェアで構成すること
ができるが、DSP(Digital Signal Processor)やM
PU(Micro Processing Unit )、コンピュータシステ
ム等に音源アルゴリズム対応プログラムを実行させるこ
とにより実現することもできる。
【0040】
【発明の効果】本発明は以上のように、遅延手段が少な
くとも2分割されていると共に、負の係数が設定される
係数乗算器を介して接続されているため、遅延手段の遅
延時間を変更しても波形の不連続が発生することがない
と共に、直流成分の発生や変動を防止することができ
る。したがって、遅延手段の遅延時間を変更してもクリ
ックノイズが発生されることを防止することができると
共に、ダイナミックレンジを広く使用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の楽音合成装置のピッチを低くする原
理を説明するための構成図である。
【図2】 本発明の楽音合成装置のピッチを低くする動
作原理を説明するための等価的な構成図および波形図で
ある。
【図3】 本発明の楽音合成装置のピッチを高くする原
理を説明するための構成図である。
【図4】 本発明の楽音合成装置のピッチを高くする動
作原理を説明するための等価的な構成図および波形図で
ある。
【図5】 本発明の楽音合成装置の実際の構成の一部を
示す図である。
【図6】 本発明の楽音合成装置の他の実際の構成の一
部を示す図である。
【図7】 本発明の楽音合成装置を擦弦楽器類に適用し
た場合の構成の原理図である。
【図8】 本発明の楽音合成装置を各種楽器に適用でき
る汎用性のある構成を示す図である。
【図9】 図8に示す楽音合成装置を擦弦楽器類に適用
する場合の励振制御部の構成例を示す図である。
【図10】 図8に示す楽音合成装置を管楽器類に適用
する場合の励振制御部の構成例を示す図である。
【図11】 従来の楽音合成装置の基本構成を示す図で
ある。
【図12】 従来の楽音合成装置の動作を説明するため
の図である。
【図13】 従来の楽音合成装置のピッチを変更する構
成の例を示す図である。
【図14】 従来の楽音合成装置のピッチを変更する動
作を説明するための波形図である。
【符号の説明】
1,3,10,11,12,13,30,31,32,
33,41R,42R,43R,44R,41L,42
L,43L,44L 遅延手段、2,4,35,36
フィードバックゲイン用の係数乗算器、5,17,2
1,24,27,47R,51R,53R,60R,4
7L,51L,53L,60L,74,75,76,8
1 加算器、14,15,16,17,18,19,2
0,22,23,25,26,45R,46R,49
R,50R,55R,56R,57R,58R,59
R,61R,62R,45L,46L,49L,50
L,55L,56L,57L,58L,59L,61
L,62L,83,84,88,89係数乗算器、40
励振制御部、71 非線形変換部、72,73 乗算
器、82,84,85,86 減算器、87 リード特
性制御部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも生成する楽音の音高に相当
    する遅延時間を有する遅延手段を備える遅延ループ部を
    有する楽音合成装置において、 前記遅延手段が分割されて、負の係数が設定される係数
    乗算器の入力側と出力側に接続されており、前記遅延手
    段の遅延時間を変更する場合に、前記係数乗算器の入力
    側と出力側に接続された遅延手段の遅延時間が等しくな
    るように、当該遅延手段の遅延量を変更すると共に、前
    記係数乗算器の入力側と出力側に接続された遅延手段の
    各々において、変更前の遅延時間に対応する信号から変
    更後の遅延時間に対応する信号に徐々に切り替えるよう
    クロスフェードすることを特徴とする楽音合成装置。
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