JP2919348B2 - 巻線機用数値制御装置 - Google Patents

巻線機用数値制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、巻線機用数値制御
装置に関し、特に高速に回転するコイルボビンに等ピッ
チ間隔で多層整列巻線を行う巻線機用数値制御装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】コイルボビンに対して等ピッチ間隔に多
層整列巻きを行う場合、トラバース軸の始端側と終端側
の位置が同じような巻幅一定の巻線であれば、トラバー
ス軸が折り返す時にボビンの回転数を落とすことなく巻
線を連続的に行うことができたが、各層毎に巻幅が異な
る等ピッチの整列巻きを必要とするボビンが出現してき
たことにより、1層毎に整列巻きを行い、一旦ボビンの
回転を停止させた後次層の巻き始め位置までトラバース
軸を移動させてから巻線を行うことで実現していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術において、
第1の問題点は、各層毎に巻幅が異なるような形状の巻
線を行う場合、各層毎に整列巻きプログラムを作成する
必要がある。その理由は、巻幅が異なるような形状の整
列巻線を連続に行うことができない為、各層毎にプログ
ラムを作成しなければならないのでプログラムの作成時
間を必要としていた。
【0004】第2の問題は、前層の巻き終わり位置から
次の巻き始め位置へ移動するプログラムを作成する必要
がある。その理由は、ボビン回転を停止することなくピ
ッチの異なる巻線はできない為、各層毎にシフトするプ
ログラムを作成しなければならず、プログラム作成時間
を必要とした。
【0005】第3の問題は、前記作成したプログラムを
順次実行する為、高速に回転するボビンをプログラム毎
に停止することである。その理由は、複数NCプログラ
ムを実行する場合プログラム毎に加減速動作が必ず生じ
る為、層が多くなればなるほど加減速時間の累積が多く
なり生産性を上げることができなかった。
【0006】本発明の目的は、等ピッチの多層整列巻線
を行う場合、各層毎に巻幅が異なるような形状に対し
て、前記問題点を解決することができる巻線機用数値制
御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の巻幅可変機能を
有する巻線機用数値制御装置は、各層毎に一定の割合で
両端の位置がシフトするような形状の巻線において、シ
フト量をパラメータとして設定することにより各層毎に
高速に回転しているボビンを停止することなく、連続に
整列巻線を行うことができるものであり、多品種の形状
の巻線を可能とし、且つ生産性を向上させることができ
る。
【0008】本発明の数値制御装置は、送りピッチと総
巻数とトラバース軸の巻幅とボビン回転速度と断線しな
いよう一定のテンション値にするためボビンが回転する
時の加減速時定数の設定と、2層目以降1層目の巻き始
め位置(始端側)と巻き終わり位置(終端側)に対して
各々シフトできるように設定できるパラメータを有する
NCプログラムを入力するデータ入力部と、前項で設定
されたデータをメモリに格納するデータ格納部と、設定
されたデータに基づき加減速時のボビンの移動量と等ピ
ッチになるようトラバース軸の速度を算出する演算第1
処理部と、ボビン定速回転時における1層あたりの巻幅
に対するボビンの移動量と等ピッチ送りする為にトラバ
ース軸の速度を算出する演算第2処理部と、設定された
シフト量に基づき2層目以降各層の巻幅を算出する演算
第3処理部と、巻幅が変わることにより各層毎に変更と
なるボビン回転の移動量を算出する演算第4処理部と、
始端側または最終端側の一巻きのみ送りピッチに設定さ
れたシフト量を加算した位置へ移動させる為に、トラバ
ース軸の速度を算出する演算第5処理部を有する演算処
理部と、演算処理部により算出されたデータに基づきボ
ビン用サーボモータと、設定された巻幅でトラバースす
る線材を送出するノズルの位置を制御するトラバース軸
用サーボモータを制御するサーボ制御部を有する。
【0009】本発明の巻幅可変機能を有する巻線機用数
値制御装置は、各層毎に一定の割合で両端の位置がシフ
トするような形状の巻線において、シフト量をパラメー
タとして設定することで各層毎に高速に回転しているボ
ビンを停止することなく、連続に整列巻線を行うことに
より、多品種の形状の巻線を高速に実現することができ
る為、生産性を向上させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図1を参照して詳細に説明する。図で、数値制御装置1
2は、送りピッチと総巻数とトラバース軸の巻幅とボビ
ン回転速度と断線しないよう一定のテンション値にする
ためボビン回転時の加減速時定数の設定と、2層目以降
1層目の巻き始め位置(始端側)と巻き終わり位置(終
端側)に対して各々シフトできるように設定できるパラ
メータを有するNCプログラムを入力するデータ入力部
1と、前項で設定されたデータをメモリに格納するデー
タ格納部2と、設定されたデータに基づき加減速時のボ
ビンの移動量とトラバース軸の速度を算出する演算第1
処理部3と、ボビンの定速回転時における等ピッチ送り
する為にトラバース軸の速度算出と1層あたりのボビン
回転の移動量算出する演算第2処理部4と、設定された
シフト量に基づき2層目以降各層の巻幅を算出する演算
第3処理部5と、巻幅が変わることにより各層毎に変更
となるボビン回転の移動量を算出する演算第4処理部6
と、始端側または終端側の一巻きのみ送りピッチに設定
されたシフト量を加算した位置へ移動させる為に、トラ
バース軸の速度を算出し演算第1処理部並びに演算第2
処理部で算出したデータに加算する演算第5処理部7と
を有する演算処理部8と、演算処理部8により算出され
たデータに基づきボビン用サーボモータ10とノズル用
サーボモータ11を制御するサーボ制御部9とからな
る。サーボ制御部9の制御により、サーボモータ10が
回転し、これと連結している連結部13によりボビン1
4が高速に回転する。またボビンの回転に同期してサー
ボモータ11とが回転し、これと連結している連結部1
3により接続されたボールネジ16上を設定された巻幅
でトラバースする線材15を送出するノズル17の位置
を制御する。
【0011】次に、本発明の実施形態の動作について、
図2、図3を参照して詳細に説明する。図2は本発明の
動作を示すフローチャートで、まず巻線処理で、ステッ
プ19はデータ入力部で入力されたNCプログラムに基
づき1層目のボビンの移動量算出処理で、ステップ20
は設定されたボビンの回転速度とピッチデータよりトラ
バース軸の速度算出処理で、ステップ21は加減速時定
数とボビンの回転速度よりボビンの移動量とボビン回転
に同期して動作するトラバース軸の移動量と速度を算出
する処理で、ステップ22はステップ19から21まで
で算出されたデータよりボビンの定速回転時における移
動量とボビン回転に同期して動作するトラバース軸の速
度を算出する処理である。次にステップ23と24が巻
幅可変処理で、ステップ23は入力されたNCプログラ
ムの終端側シフト量Iと終端側シフト量Jのデータチェ
ックを行い、I=0且つJ=0でなければステップ24
の巻幅可変機能処理を行い、そうでなければステップ2
5の従来の等ピッチ・巻幅一定処理を行うものである。
【0012】図3は、巻幅可変機能処理詳細で、シフト
量IとJのデータにより8種の形状パターンの巻線処理
を行う。Iは始端側のシフト量で、I>0の場合巻幅が
始端側で大きくなる形状パターンで始端側シフト量Jの
条件により形状パターンA、B、C、26、27、28
の形状パターンとなる。
【0013】I<0の場合巻幅が始端側で小さくなる形
状パターンで終端側シフト量Jの条件により形状パター
ンD、E、F、29、30、31となる。
【0014】I=0の場合巻幅が始端側で変更なしの形
状パターンで終端側シフト量Jの条件により形状パター
ンG、H、32、33となる。
【0015】以上、I>0の場合偶数層の巻き終わりで
巻幅が大きくなる方向にシフトし、I<0の場合1層目
以外の奇数層の巻き始めで巻幅が小さくなる方向にシフ
トするものである。同様にJ>0の場合奇数層の巻き終
わりで巻幅が大きくなる方向にシフトし、J<0の場合
偶数層の巻き始めで巻幅が小さくなる方向にシフトする
ものである。つまりボビンの回転速度を変更することな
くI、Jの条件によって、トラバース軸の巻き始めまた
は巻き終わりの1巻きの送りピッチと速度を変更し、且
つシフトに伴い各層毎に巻幅とボビン回転の移動量を算
出することにより実現するものである。
【0016】
【実施例】次に、本発明の実施例について、図面を参照
して詳細に説明する。図4は、図3の形状パターンB
(27)を巻線する場合の実施例である。34は巻幅可
変機能巻線固定サイクルNCプログラムであり、35か
ら41までのデータで構成される。35は専用Gコー
ド、36は1層目のトラバース軸(X軸)の巻幅X0、
37はボビンの総巻数Z0(Z軸)、36はボビン1巻
きあたりのトラバース軸送り量P0 (ピッチデータ)、
39は終端側トラバース軸シフト量iで符号付きデー
タ、40は終端側トラバース軸シフト量jで符号付きデ
ータ、41はボビン回転数(rpm)である。また、4
2はNCプログラムデータとは別に、ボビンが41で設
定された回転数に対して加速あるいは減速時の時定数で
ある。図で、43はボビン断面図であり、44は1層目
巻き始め位置、45は1層目巻き終わり位置、46は2
層目巻き始め位置で1層目の45の位置より40のj
(j>0)で設定された量だけシフトした位置に巻線
し、47は2層目巻き終わり位置で、48は2層目巻き
終わり位置47より39のiで設定された量だけシフト
した位置に巻線することを示す。
【0017】図5は、図4で示す形状パターンBの巻幅
可変機能処理によるトラバース軸とボビン軸の動作パタ
ーン図である。49から52はn層のうちのトラバース
軸の1層目から4層目までの巻幅(移動量)の動作図で
あり、53から56はボビンの1層目から4層目までの
巻数(回転量)であり、39は終端側シフト量iで、4
0は終端側シフト量jで、57は始端側シフト量iを動
作させる速度で、58は終端側jを動作させる速度で、
59は38のP0の送り速度である。各データは各層次
のように算出する。 (1)巻幅 Xn 1層目の場合 X1=X0 2層目の場合 X2=X0+j 3層目の場合 X3=X0+i+j 4層目の場合 X4=X0+i+2j n層目の場合 Xn=X0+(A−1)*i+A*j A=n/2 (2)巻数 Kn Kn=Xn/P0 (3)トラバース軸速度 F×(P0ピッチ送り速度) Fx=P0*Fz/60 (4)トラバース軸速度 Fsi(iシフト速度) Fsi=i*Fz/60 (5)トラバース軸速度 Fsj(jシフト速度) Fsj=j*Fz/60 (6)シフト時のトラバース速度 iシフト時 Fxi=Fx+Fsi jシフト時 Fxj=Fx+Fsj 以上最終n層まで再計算をして巻線を行うことにより、
始端位置や終端位置が各層毎にシフトするような多種の
形状巻線を1ブロックのNCデータにパラメータとして
シフト量を入力することで実現し、またシフト時にワー
ク回転速度を落とすことなく整列巻線を実現することが
できるので、プログラム作成時間や生産時間を短縮でき
る効果がある。
【0018】
【発明の効果】本発明の第1の効果は、各層毎に巻幅が
変わるような形状の巻線において、シフト量をパラメー
タとして設定することで各層毎に高速に回転しているボ
ビンを停止することなく、連続に整列巻線を行い生産性
を向上させることができる。その理由は、一層毎に高速
に回転しているボビンを停止させていた従来の技術に対
して、1ボビンあたりの生産性が向上する時間T(se
c)は加減速時定数t(sec)、層数nとすると、T
=(n−1)tとなる。
【0019】第2の効果は、多品種の形状の巻線に対応
することができる。その理由は、NCプログラムのパラ
メータとして入力するシフト量IとJの設定データによ
り、図3に示す形状パターンの巻線を実現することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の巻幅可変機能を有する数値制御装置の
ブロック図である。
【図2】本発明の巻幅可変機能を含む巻線処理のフロー
チャートである。
【図3】本発明の巻幅可変機能処理のフローチャートで
ある。
【図4】本発明の巻幅可変機能を有する数値制御装置の
一実施の形態の動作を示すNCプログラムと整列巻線し
たボビンの断面図である。
【図5】本発明の巻幅可変機能を有する数値制御装置の
動作パターン図である。
【符号の説明】
1 NCプログラムを入力するデータ入力部 2 設定されたデータをメモリに格納するデータ格納
部 3 演算第1処理部 4 演算第2処理部 5 演算第3処理部 6 演算第4処理部 7 演算第5処理部 8 演算処理部 9 サーボ制御部 10 サーボモータ 11 サーボモータ 12 数値制御装置 13 連結部 14 ボビン 15 線材 16 ボールネジ 17 ノズル 19 1層目あたりのボビン軸移動量算出処理 20 トラバース軸速度算出処理 21 加減速処理 22 定速処理 23 シフト量チェック処理 24 巻幅可変機能処理 25 等ピッチ・巻幅一定処理 26 形状パターンA 27 形状パターンB 28 形状パターンC 29 形状パターンD 30 形状パターンE 31 形状パターンF 32 形状パターンG 33 形状パターンH 34 巻幅可変機能巻線固定サイクルNCプログラム 35 専用Gコード 36 1層目のトラバース軸(X軸)の巻幅X0 37 ボビンの総巻数Z0 (Z軸) 38 ボビン1巻きあたりのトラバース軸送り量P
0)ピッチデータ) 39 始端側トラバース軸シフト量iで符号付きデー
タ 40 終端側トラバース軸シフト量jで符号付きデー
タ 41 ボビン回転数(rpm) 42 加速あるいは減速時の時定数 43 ボビン断面図 44 1層目巻き始め位置 45 1層目巻き終わり位置 46 2層目巻き始め位置 47 2層目巻き終わり位置 48 1層目巻き始め位置 49 1層目巻幅 50 2層目巻幅 51 3層目巻幅 52 4層目巻幅 53 1層目巻数 54 2層目巻数 55 3層目巻数 56 4層目巻数 57 始端側シフト量iを動作させる速度 58 終端側jを動作させる速度 59 38のP0の送り速度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−209277(JP,A) 特開 昭61−101372(JP,A) 特公 平7−57669(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B65H 54/28

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各層の始端側と終端側の位置のシフト量
    をパラメータとして追加設定できるようにしたプログラ
    ムと、設定したシフト量を始端側または終端側の1ター
    ンのみピッチデータに加算してピッチデータを変更する
    処理部と、ピッチデータが変わったことによってトラバ
    ース軸の速度を変更する処理部と、1層目のトラバース
    幅にシフトデータを加算して各層のトラバース幅を算出
    する処理部とを有する巻線機用数値制御装置。
  2. 【請求項2】 前記プログラムが1層目のトラバース軸
    のトラバース幅(X0)、ワークのターン数(Z0)、
    ワーク1ターンあたりのトラバース軸送り量(P0)、
    始端側トラバース軸シフト量(i)、終端側トラバース
    軸シフト量(j)、ワークの回転数(Fz)のデータを
    含むことを特徴とする請求項1の巻線機用数値制御装
    置。
  3. 【請求項3】 n層目のデータとして、 巻幅 Xn=X0+i(A−1)+j・A(A=n/
    2) ターン数 Kn=Xn/P0 トラバース軸速度 Fx=P0・Fz/60 を求めることを特徴とする請求項2の巻線機用数値制御
    装置。
  4. 【請求項4】 回転するコイルボビンに等ピッチ間隔に
    多層整列巻線するための数値制御装置であって、 送りピッチと総巻数とトラバース軸の巻幅とボビン回転
    速度と断線しないよう一定のテンション値にするためボ
    ビン回転時の加減速時定数の設定と、2層目以降1層目
    の巻き始め位置(始端側)と巻き終わり位置(終端側)
    に対して各々シフトを可能にすることにより多品種の形
    状コイルを連続に巻線することができるように設定でき
    るパラメータを有するNCプログラムと、 設定されたデータに基づき加減速時のボビンの移動量と
    等ピッチになるようトラバース軸の速度を算出する第1
    演算処理部と、 ボビン定速回転時における1層あたりの巻幅に対するボ
    ビンの移動量と等ピッチ送りする為にトラバース軸の速
    度を算出する第2演算処理部と、 設定されたシフト量に基づき2層目以降変更となる各層
    の巻幅を算出する第3演算処理部と、 巻幅が変わることにより各層毎に変更となるボビンの移
    動量を算出する第4演算処理部と、 シフト量が設定されている場合、始端側または最終端側
    の一巻きのみ送りピッチにシフト量を加算した位置へト
    ラバース軸を動作させる為に、トラバース軸の速度を算
    出する第5演算処理部と、 前記演算処理部により算出されたデータに基づき巻線を
    行う為にボビンを回転させるサーボ軸とトラバース軸の
    サーボ軸を制御するサーボ制御部とを有する数値制御装
    置。
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