JP2918130B2 - プロピレン系樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents

プロピレン系樹脂発泡体及びその製造方法

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JP2918130B2
JP2918130B2 JP3290533A JP29053391A JP2918130B2 JP 2918130 B2 JP2918130 B2 JP 2918130B2 JP 3290533 A JP3290533 A JP 3290533A JP 29053391 A JP29053391 A JP 29053391A JP 2918130 B2 JP2918130 B2 JP 2918130B2
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義昭 百瀬
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プロピレン系樹脂発泡
体及びその製造方法に関し、詳しくは柔軟性に優れたプ
ロピレン系樹脂発泡体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】長尺形状の発泡体を製造するための方法
として、熱可塑性樹脂を押出機内で発泡剤と溶融混練し
た後、低圧下に押出して発泡せしめる押出発泡法が広く
採用されている。
【0003】オレフィン系樹脂の押出発泡法において
は、樹脂と発泡剤との溶融混練物を押出機内から低圧下
に押出した際に、溶融混練物中の発泡剤が膨張すること
により発泡が行われるが、樹脂の温度を高くすると粘度
が急激に低下してしまい樹脂が発泡剤を保持できず樹脂
中から逃散して連続気泡の発泡体となり、逆に樹脂の粘
度を高くするために樹脂温度を低くすると樹脂の結晶化
が進行し、その結果、充分且つ均一に発泡しなくなって
発泡体表面が凹凸となってしまうため、押出発泡は充分
に均一な発泡が行われるとともに発泡剤を樹脂中に保持
し得る粘弾性を樹脂が有する温度で行う必要がある。発
泡に適した粘弾性が得られる温度範囲は樹脂の種類によ
って異なっており、一般にこの温度範囲を発泡適性温度
範囲と称している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、低密度
ポリエチレン等に比べて結晶化度が高いプロピレン系樹
脂は樹脂の粘弾性が僅かな温度変化によって大きく変化
し、発泡適性温度範囲は非常に狭い。このような狭い温
度範囲内に樹脂温度を保持して押出発泡を行うことは非
常に困難なことであり、押出発泡温度が変動して発泡適
性温度範囲から外れた時に発泡した部分は連続気泡構造
となったり表面が凹凸となったりし、全体が良好で均質
な性状の発泡体は得難かった。従来、無架橋のプロピレ
ン系樹脂の場合、比較的良好な発泡体を得ることができ
るのは、密度が0.2g/cm3 を超える低発泡倍率のもの
か、密度が0.013g/cm3 未満の高発泡倍率のものと
されている。
【0005】上記のような問題は、プロピレン系樹脂の
高い結晶性に起因するものと考えられており、密度が0.
2g/cm3 を超える低発泡倍率の押出発泡体が比較的良
好に得られるのは、発泡剤の量に比べて樹脂の割合が多
いため、押出発泡時の樹脂温度をその樹脂の結晶化温度
よりもかなり高い温度に設定することができることに起
因するためと考えられる。また密度が0.013g/cm3
未満の高発泡倍率の発泡体を比較的良好に得ることがで
きるのは以下の理由による。
【0006】一般に、押出発泡途上にある発泡中のオレ
フィン系樹脂には冷却手段を用いて外部から冷却操作を
施し、それによって、気泡壁を固化させて良好な発泡体
を得ようとしている。しかし、プロピレン系樹脂は低密
度ポリエチレンに比べ結晶化度が高いため、結晶化の際
の発熱量が大きい。この熱が上記冷却ひいては気泡壁の
固化を妨げ、発泡途上にあるプロピレン系樹脂の気泡を
破壊したり変形させたりする。そこで発泡剤を多量に配
合して発泡することで、発泡剤の気化熱(膨張熱)を利
用して発泡途上のプロピレン系樹脂の温度を急激に低下
させ、これによって気泡壁の固化を促進させる。また多
量の発泡剤は押出機中での樹脂の結晶化を遅らせる働き
がある。その結果、比較的良好に発泡体が得られるので
ある。ただし、この場合、発泡剤を多量に配合する必要
性から、得られる発泡体は必然的に密度が0.013g/
cm3 未満の高発泡倍率のものとなる。また、この場合に
おいても発泡適性温度範囲はわずか0.6℃程度に過ぎな
い。
【0007】本発明者等は無架橋のプロピレン系樹脂で
は上記高発泡倍率或いは低発泡倍率の押出発泡体しか得
られない実情に鑑み鋭意研究した結果、特定のメルトテ
ンションを持つプロピレン系樹脂を使用することによ
り、密度が0.2〜0.013g/cm3 のプロピレン系樹脂
押出発泡体であっても容易に製造し得ることを見出し、
先に出願を行った(特願平3−86168号)。
【0008】しかしながら、プロピレン系樹脂はエチレ
ン系樹脂に比べて結晶化度が高く、硬度が高いため、上
記方法で得られるプロピレン系樹脂発泡体はエチレン系
樹脂発泡体に比べて脆く柔軟性に欠けるという問題があ
り、特にプロピレン系樹脂がプロピレン単独重合体の場
合には更に柔軟性が低下するという欠点があった。
【0009】本発明は上記の点に鑑みなされたもので、
緩衝材として有用な柔軟性に優れたプロピレン系樹脂発
泡体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち本発明のプロピレン
系樹脂発泡体は、長鎖分岐を有すると共にドローダウン
性〔但し、ドローダウン性とは、230℃に加熱した溶
融プロピレン系樹脂をメルトインデクサーのノズル(口
径2.095mm、長さ8mm)より10mm/分の一定速度で
紐状に押出し、次いで該紐状物を上記ノズルの下方に位
置する張力検出プーリーの上方に位置する送りロールを
通過させた後、巻取りロールで巻取る一方で巻取りロー
ルの巻取り速度を除々に増加させていって紐状物を切断
させ、この切断時点における紐状物の巻取り速度をい
う。〕が60m/分以下であるプロピレン系樹脂と、直
鎖状超低密度ポリエチレンとの混合樹脂からなり、且つ
該混合物中における直鎖状超低密度ポリエチレンの含有
量が3〜45重量%である無架橋のプロピレン系樹脂を
基材樹脂とすることを特徴とする。
【0011】また本発明のプロピレン系樹脂発泡体の製
造方法は、長鎖分岐を有する上記特定の無架橋プロピレ
ン系樹脂と発泡剤とを押出機内で溶融混練し、次いで押
出機先端に取付けられたダイスを通して低圧下に押出発
泡させることを特徴とする。本発明においてドローダウ
ン性が60m/分以下であるプロピレン系樹脂としては
特にプロピレン単独重合体が好ましい。
【0012】本発明発泡体を構成する基材樹脂は、ドロ
ーダウン性が60m/分以下のプロピレン系樹脂と、直
鎖状超低密度ポリエチレンとの混合物であるが、上記ド
ローダウン性が60m/分以下のプロピレン系樹脂は、
通常のプロピレン系樹脂と異なり、主鎖に長鎖分岐を有
するものでなければならない。このような特殊な樹脂
は、通常の結晶性線状プロピレン系樹脂(通常、重量平
均分子量100000以上)であって、しかもその中に
アタクチック分又は/及びアイソタクチックではありな
がら結晶していない成分を含む樹脂(以下、本発明で用
いるドローダウン性が60m/分以下のプロピレン系樹
脂と区別するために、この樹脂を“通常のプロピレン系
樹脂”と称する。)に対し、低温分解型(分解温度:室
温〜120℃程度)の過酸化物を混合して120℃以下
に加熱し、通常のプロピレン系樹脂の主鎖にアタクチッ
ク又は/及び結晶していないアイソタクチック成分を分
岐鎖として結合せしめる等の方法により得ることがで
き、通常、主として端部に長鎖分岐を有する枝別れ状構
造を有すると考えられる。
【0013】本発明で用いるプロピレン系樹脂を得るた
めに用いる通常のプロピレン系樹脂は、プロピレン単独
重合体でも、プロピレンとプロピレン以外の少量のオレ
フィンとの共重合体のいずれであっても良い。共重合体
の場合、プロピレンと共重合せしめられるプロピレン以
外のオレフィンとしては、エチレン或いは炭素数4〜1
0のα−オレフィンが挙げられ、これらオレフィンは1
種又は2種以上組み合わせて使用することができる。炭
素数4〜10のα−オレフィンとしては、例えば1−ブ
テン、イソブチレン、1−ペンテン、3−メチル−1−
ブテン、1−ヘキセン、3,4-ジメチル−1−ブテン、1
−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン等が挙げられ
る。
【0014】上記低温分解型の過酸化物としては、ジ
(s−ブチル)ペルオキシジカーボネート、ビス(2−
エトキシ)ペルオキシジカーボネート、ジシクロヘキシ
ルペルオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルペルオ
キシジカーボネート、ジ−n−ブチルペルオキシジカー
ボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、
t−ブチルペルオキシネオデカノアート、t−アミルペ
ルオキシネオデカノアートおよびt−ブチルペルオキシ
ピバラート等が例示される。
【0015】ドローダウン性が60m/分以下であるプ
ロピレン系樹脂は、上記通常のプロピレン系樹脂を、攪
拌機を備えた反応器中で攪拌しながらアルゴン等の不活
性ガスで反応容器内を置換し、次いで上記過酸化物を樹
脂1kg当たり通常5〜50ミリモル添加し、攪拌を続
けながら120℃程度まで、好ましくは70〜105℃
程度に加熱して反応させ(通常30〜120分間)、し
かる後、反応を停止させて得られる。反応停止に当たっ
ては、メチルメルカプタンのような反応停止剤を反応容
器に導入したり、あるいは反応生成物を130〜150
℃程度に20〜40分間加熱する方法等が採用される。
プロピレン系樹脂分子鎖中に長鎖分岐が存在するか否か
は、次の方法で確認することができる。即ち、伸長流動
測定装置(例えば、レオメトリックス社の伸長流動測定
装置:商品名RER−9000)を用い、プロピレン系
樹脂から測定サンプルを作製し、このサンプルのひずみ
速度(秒 −1 )における伸長粘度(poise)と時間
(秒)との関係をグラフ化する。このグラフ上におい
て、長鎖分岐を有するプロピレン系樹脂と長鎖分岐を有
しないプロピレン系樹脂とは、長鎖分岐を有するプロピ
レン系樹脂は伸長粘度曲線の傾きが時間とともに大きく
なるのに対し、長鎖分岐を有しないプロピレン系樹脂で
は伸長粘度曲線の傾きは時間とともに小さくなることか
ら区別することができる。 上記レオメトリックス社の伸
長流動測定装置(RER−9000)による測定結果か
ら、長鎖分岐を有するプロピレン系樹脂及び長鎖分岐を
有しないプロピレン系樹脂のひずみ速度における伸長粘
度と時間との関係を示したのが図2のグラフである。グ
ラフ中の曲線Aは長鎖分岐を有するプロピレン系樹脂を
示し、曲線Bは長鎖分岐を有しないプロピレン系樹脂を
示す。このグラフより、長鎖分岐を有するプロピレン系
樹脂では、伸長粘度曲線の傾きは時間とともに大きくな
るのに対し、長鎖分岐を有しないプロピレン系樹脂で
は、伸長粘度曲線の傾きは時間とともに小さくなること
がわかる。 尚、測定サンプル及び測定条件は下記の通り
である。 ・測定サンプルの大きさ、形状:長さ30mm、直径5
mmの円柱状 ・ひずみ速度:1.0秒 −1 ・測定温度:基材樹脂の融点+20℃(但し、融点は基
材樹脂1〜5mgを示差走査熱量計によって10℃/分
で昇温した時に得られるDSC曲線の吸熱ピークの頂点
の温度とする。)
【0016】本発明で用いるドローダウン性が60m/
分以下のプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体で
あってもプロピレン系共重合体であっても良いが、特に
プロピレン単独重合体の場合に特に効果が顕著であるた
め好ましい。
【0017】本発明で用いるプロピレン系樹脂は、好ま
しくはドローダウン性が30m/分以下、特に好ましく
は15m/分以下である。このドローダウン性とは、2
30℃に加熱した溶融プロピレン系樹脂をメルトインデ
クサー(口径2.095mm、長さ8mm)より10mm/分の
一定速度で紐状に押出し、次いで該紐状物を上記ノズル
の下方に位置する張力検出プーリーの上方に位置する送
りロールを通過させた後、巻取りロールで巻取る一方で
巻取りロールの巻取り速度を除々に増加させていって紐
状物を切断させ、この切断時点における紐状物の巻取り
速度をいう。
【0018】ドローダウン性は上記長鎖分岐の数や長さ
により調整することができる。一般的にいって、長鎖分
岐の数が多いほど、また分岐の長さが長いほど、この値
は低下する傾向にある。従って所望のドローダウン性の
プロピレン系樹脂を得るには、これらのことを加味して
反応条件を設定する必要がある。長鎖分岐を持たない
か、分岐を持っていても短か過ぎたり僅かであるもの
や、或いは通常のプロピレン系樹脂の場合には、ドロー
ダウン性が60m/分を上回ってしまう。このような通
常のプロピレン系樹脂を使用して押出発泡を行って密度
0.2〜0.013g/cm3 程度の発泡体を得ようとして
も、得られる発泡体はコルゲートや表面凹凸が多く、商
品価値のないものとなってしまう。
【0019】上記VLDPEは分子構造的には一般的な
直鎖状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと称す
る。)と類似しているが、短鎖分岐をLLDPEより多
く持たせる等の方法により、LLDPEよりも結晶化度
を低下させ、LLDPEや一般的な高圧法低密度ポリエ
チレン(以下、LDPEと称する。)よりも更に低密度
とした軟質ポリエチレンである。VLDPEは通常、密
度0.870〜0.914g/cm3 を有するが、密度0.88
0〜0.910g/cm3 のものが好ましい。
【0020】本発明の発泡体を構成する基材樹脂は、前
記ドローダウン性が60m/分以下のプロピレン系樹脂
と、上記VLDPEとの混合物よりなる無架橋のプロピ
レン系樹脂であり、該基材樹脂中におけるVLDPEの
含有量は3〜45重量%であることが必要であるが、V
LDPEの含有量は5〜40重量%が好ましく、特に1
0〜30重量%が好ましい。ドローダウン性が60m/
分以下のプロピレン系樹脂と、VLDPEとでは融点の
差が大きいため(両者の差は約35℃以上)、両者の発
泡温度における粘度の差が大きく、このため基材樹脂中
におけるVLDPEの含有量が45重量%を超えると得
られる発泡体の内部において気泡同志の連通する割合が
高くなる。また3重量%未満では脆性改善、柔軟性向上
の効果が得られない。
【0021】尚、ドローダウン性について付言すると、
一般的に混合樹脂中のVLDPE含有量が3重量%程度
以下である場合には、混合樹脂のドローダウン性は本発
明におけるプロピレン系樹脂のドローダウン性を維持す
るが、VLDPE量が増加するに従って、その値は高く
なる傾向にある。本発明においては、混合樹脂における
ドローダウン性も前記プロピレン系樹脂のドローダウン
性の範囲を維持することが望ましいので、VLDPEの
含有量が高いほど、それと混合するプロピレン系樹脂の
ドローダウン性を低いものとすることが望ましい。
【0022】本発明で用いるドローダウン性が60m/
分以下のプロピレン系樹脂は、その結晶化温度+15℃
における半結晶化時間が800秒以上であることが好ま
しく、特に1000秒以上であることが好ましい。この
半結晶化時間の測定には結晶化速度測定器を用いること
ができる。半結晶化速度を測定するには、まずフィルム
状の試料を保持した支持体を、結晶化速度測定器のエア
バス内に入れて試料を完全に溶融させ、次いで溶融試料
を支持体ごと試料の結晶化温度+15℃の温度に保持さ
れたオイルバス中に、光源と光センサーの光路を遮るよ
うに浸漬し、溶けた試料が再度固化するまでの間、光セ
ンサーにおいて常に一定の光量が検出されるように光源
の電圧を調整し、図1に示す如き電圧〜時間曲線を得
る。この曲線における電圧が一定値となった時の電圧を
0 とした時、電圧が1/2V0 となるまでの時間を半
結晶化時間とした。
【0023】本発明の発泡体は、通常、密度0.6〜0.0
18g/cm3 、且つ厚み0.1〜150mmを目標に押出発
泡して得る。本発明の発泡体を得る方法として、押出機
内で上記基材樹脂と発泡剤とを溶融混練した後、この溶
融混練物を押出機先端に取り付けたダイスを通して低圧
下に押出して発泡する方法が採用される。特にシート状
の発泡体を得るためには、環状のリップを有するサーキ
ュラーダイスを用い、このダイスのリップより押出発泡
してチューブ状の発泡体を得、次いでこのチューブを切
り開いてシート状とする方法が通常採用される。
【0024】発泡剤としては、無機発泡剤、揮発性発泡
剤、分解型発泡剤等を用いることができる。無機発泡剤
としては、二酸化炭素、空気、窒素等を用いることがで
きる。揮発性発泡剤としてはプロパン、n−ブタン、i
−ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シ
クロブタン、シクロペンタン等の環式脂肪族炭化水素、
トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、ジ
クロロテトラフロロエタン、メチルクロライド、エチル
クロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水
素等を用いることができる。また分解型発泡剤として
は、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレン
テトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、重炭酸ナト
リウム等を用いることができる。これらの発泡剤は適宜
混合して用いることもできる。発泡剤の使用量は、発泡
剤の種類、所望する発泡倍率等によっても異なるが、例
えば密度0.2〜0.013g/cm3 程度の発泡体を得るた
めの発泡剤の使用量の目安は、基材樹脂100重量部当
たり、揮発性発泡剤0.5〜25重量部(ブタン換算)程
度である。また密度0.09g/cm3 を超える発泡体を得
るための発泡剤の使用量の目安は、基材樹脂100重量
部当たり、無機発泡剤の場合0.1〜10重量部程度であ
り、分解型発泡剤の場合0.1〜5重量部程度である。
【0025】本発明方法において基材樹脂と発泡剤との
溶融混練物中に、更に気泡調整剤を添加しても良い。気
泡調整剤としてはタルク、シリカ等の無機粉末や多価カ
ルボン酸の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム或
いは重炭酸ナトリウムとの反応混合物等が挙げられる。
気泡調整剤は基材樹脂100重量部当たり13重量部程
度以下添加することが好ましい(ただし、前記無機充填
剤を樹脂に多量に含有させる場合は除く。)。また必要
に応じて、更に熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、
着色剤等の添加剤を添加することもできる。
【0026】本発明においては、予め基材樹脂中に、総
重量の40重量%を限度として無機充填剤を含有させて
も良い。無機充填剤としては、例えばタルク、シリカ、
炭酸カルシウム、クレー、ゼオライト、アルミナ、硫酸
バリウム等が挙げられる。これらの平均粒径は1〜70
μmであることが好ましい。このような無機物を多量に
含有させた場合、得られる発泡体は耐熱性が向上すると
ともに焼却処理の際の燃焼カロリーを低下させることが
可能となる。
【0027】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。尚、実施例、比較例において使用した樹脂の物
性を表1、表2に示した。また実施例、比較例において
発泡剤、気泡調整剤の添加量は、これらと混合樹脂(た
だし、比較例5のみ単独樹脂)との総量を100重量%
とした時の重量%である。使用した樹脂のドローダウン
性及びメルトテンションの測定にはメルトインデクサー
と、(株)東洋精機製作所製のメルトテンションテスタ
ーII型を組み合わせて用い、半結晶化時間の測定にはコ
タキ商事(株)製の結晶化速度測定器MK−801型を
使用した。
【0028】尚、ドローダウン性の測定においては、7
8.5m/分が測定可能な上限値であるため、78.5m/
分で紐状物が切断しなかった場合には、「78.5m/分
以上」と表した。また、紐状物が切断する直前のプーリ
ーで検出される張力(gf)を読み取り、これをメルト
テンションとした。但し紐状物が78.5m/分の巻取り
速度において切断しない場合には、この速度においてプ
ーリーで検出された張力をメルトテンションとした。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】表3に示す基材樹脂に、発泡剤(イソブタ
ン)及び気泡調整剤(タルク)を同表に示す割合で押出
機(スクリュー径50mm、L/D=46)に配合し、溶
融混練した後、同表に示す発泡温度において押出機先端
に取付けられた75mmφ(ダイス径)、間隙(リップク
リア)0.3mmのサーキュラーダイスよりチューブ状に押
出発泡する一方でチューブ状発泡体の内表面が冷却用マ
ンドレル(マンドレル径200mm)に接するようにして
引取り、その後、このチューブ状発泡体を押出方向に切
り開いてシートを得た。この際の押出条件を表3に、得
られた発泡シートの性状を表4に示す。
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【発明の効果】以上説明したように本発明方法では、基
材樹脂が無架橋のプロピレン系樹脂であるにもかかわら
ず、基材樹脂の発泡適性温度範囲が広いため、押出発泡
温度のコントロールが容易であり、無架橋プロピレン系
樹脂を基材樹脂に用いて全体が均質で優れた性状のプロ
ピレン系樹脂発泡体を得ることができる。また本発明方
法により得られた発泡体は収縮やコルゲートがなく、し
かも無架橋プロピレン系樹脂を基材樹脂とした発泡体の
欠点であった脆性が改善され、柔軟性に優れたものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】結晶化速度測定によって得られた電圧〜時間曲
線である。
【図2】長鎖分岐を有するプロピレン系樹脂と長鎖分岐
を有しないプロピレン系樹脂のひずみ速度における伸長
粘度と時間との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 23:12 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 9/00 - 9/14 B29C 44/00 - 44/60 B29C 47/00 - 47/96

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長鎖分岐を有すると共にドローダウン性
    が60m/分以下であるプロピレン系樹脂と、直鎖状超
    低密度ポリエチレンとの混合物からなり、且つ該混合物
    中における直鎖状超低密度ポリエチレンの含有量が3〜
    45重量%である無架橋のプロピレン系樹脂を基材樹脂
    とすることを特徴とするプロピレン系樹脂発泡体〔但
    し、ドローダウン性とは、230℃に加熱した溶融プロ
    ピレン系樹脂をメルトインデクサーのノズル(口径2.0
    95mm、長さ8mm)より10mm/分の一定速度で紐状に
    押出し、次いで該紐状物を上記ノズルの下方に位置する
    張力検出プーリーの上方に位置する送りロールを通過さ
    せた後、巻取りロールで巻取る一方で巻取りロールの巻
    取り速度を除々に増加させていって紐状物を切断させ、
    この切断時点における紐状物の巻取り速度をいう。〕。
  2. 【請求項2】 ドローダウン性が60m/分以下である
    プロピレン系樹脂がプロピレン単独重合体である請求項
    1記載のプロピレン系樹脂発泡体。
  3. 【請求項3】 長鎖分岐を有すると共にドローダウン性
    が60m/分以下であるプロピレン系樹脂と、直鎖状超
    低密度ポリエチレンとの混合物からなり、且つ該混合物
    中における直鎖状超低密度ポリエチレンの含有量が3〜
    45重量%である無架橋のプロピレン系樹脂と発泡剤と
    を押出機内で溶融混練し、次いで押出機先端に取付けら
    れたダイスを通して低圧下に押出して発泡させることを
    特徴とするプロピレン系樹脂発泡体の製造方法〔但し、
    ドローダウン性とは、230℃に加熱した溶融プロピレ
    ン系樹脂をメルトインデクサーのノズル(口径2.095
    mm、長さ8mm)より10mm/分の一定速度で紐状に押出
    し、次いで該紐状物を上記ノズルの下方に位置する張力
    検出プーリーの上方に位置する送りロールを通過させた
    後、巻取りロールで巻取る一方で巻取りロールの巻取り
    速度を除々に増加させていって紐状物を切断させ、この
    切断時点における紐状物の巻取り速度をいう。〕。
  4. 【請求項4】 ドローダウン性が60m/分以下である
    プロピレン系樹脂がプロピレン単独重合体である請求項
    4記載のプロピレン系樹脂発泡体の製造方法。
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