JP2918075B2 - 高速版板交換を行うことのできる印刷装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高速版板交換を行うこ
とのできるオフセット印刷機の印刷装置であって、交互
に使用される２つの版胴を有し、これらの版胴にインキ
装置と少なくとも１つの湿し装置とが配属されており、
ゴム胴と対抗圧胴とが設けられていて、このゴム胴と対
抗圧胴との間にウエブが案内される形式のものに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】ドイツ連邦共和国実用新案登録第８４１
０６１９号明細書によれば、ゴム胴から水平方向で胴抜
き可能な版胴を備えたオフセット印刷装置が公知であ
る。各版胴が、写し取りミスを修正するために、又は版
板の湾曲又は緊張のずれを修正するために、側方−、周
方向−及び対角線方向調節装置を備えている場合、正確
な見当合わせを維持しながら裏面印刷を行うことができ
るように版胴をずらすことは、困難で、胴入れ技術的に
非常に面倒である。しかも、この公知の印刷装置の構成
において、紙の破れが生じないようにするためには、ゴ
ム胴又は対抗圧胴を同様に別々に胴入れ及び胴抜き可能
にしなければならない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の課題
は、冒頭に述べた形式の印刷装置を改良して、高速版板
交換を行うために、版胴が動かないようにすることであ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この課題を解決した本発
明によれば、版胴が互いに所定の間隔を保って定置に配
置されており、ゴム胴が、種々異なる３つの位置で調節
可能な偏心体軸受を有していて、これら３つの位置で、
ゴム胴が、ウエブに印像を転写するために、２つの版胴
の一方に選択的に胴入れ可能、又は２つの版胴及び対抗
圧胴から胴抜き可能であって、インキ装置が、２つの版
胴の一方に対して胴入れ可能若しくは胴抜き可能に配置
されている。

【０００５】

【効果】以上のように本発明によれば、版胴を動かさず
に、版板交換を高速で行うことができる。

【０００６】

【実施例】図１に示されたオフセット印刷装置は、ゴム
胴１を有しており、該ゴム胴１はこのゴム胴１の下側に
ある対抗圧胴２と協働する。ゴム胴１と対抗圧胴２とは
印刷機の両側壁（これらの両側壁のうちの１つの側壁３
が図３に示されている）に公知の形式で偏心軸受４，５
によって支承されている。この偏心軸受４によってゴム
胴１は３つの種々異なる位置６，７，８に移動せしめら
れる。同様に対抗圧胴２は偏心軸受５によって３つの異
なる位置に切換え可能である。ゴム胴１と対抗圧胴２と
の間にウエブ９が通過案内される。

【０００７】水平なウエブガイドにおいて、ウエブ９を
巻き掛けるために、ゴム胴１及び対抗圧胴２の軸は互い
に斜めに配置されている。

【０００８】ゴム胴１には、互いに間隔を保って配置さ
れた２つの版胴１０，１１が配属されている。これらの
版胴１０，１１は印刷機の側壁に定置に支承されてい
る。版胴１０，１１は、ゴム胴１が選択的にその可能な
位置６で版胴１０に胴入れ、その位置８で版胴１１に胴
入れされるように位置決めされている。ゴム胴１は位置
７で両方の版胴１０，１１から胴抜きされている。この
位置７におけるゴム胴１及び対抗圧胴２は図１で一点鎖
線で示されている。両方の版胴１０，１１のそれぞれに
は、それぞ交換しようとする版板１４，１５を流動的に
引き戻すための導入ローラ１２，１３が配属されてい
る。

【０００９】印刷工程中には、２つの版胴１０，１１の
うちの１つだけが、ゴム胴１及びインキ着けローラ１６
に接触する。インキ着けローラ１６は両端部がそれぞれ
１つの調節レバー１７に支承されている。調節レバー１
７は、トラバース運動する摩擦ローラとして構成された
インキ装置ローラ１８を中心にして旋回可能に配置され
ている。インキ装置ローラ１８には、任意のインキ装置
の図示していない別のローラが当接している。

【００１０】インキ着けローラ１６にはさらに別の示し
液装置２０の湿し液供給ローラ１９が当てつけられてい
る。この湿し液供給ローラ１９は両端部が、それぞれ２
つのヒンジレバー２１，２２で支承されており、これら
２つのヒンジレバーのうちのヒンジレバー２１はインキ
着けローラ１６の軸を中心にして旋回可能であって、ヒ
ンジレバー２２が定置の湿し装置２３軸を中心にして旋
回可能である。これらのヒンジレバー２１，２２は、湿
し液供給ローラ１９が湿し装置ローラ２３及びインキ着
けローラ１６と常に接触するように働く。しかしなが
ら、ヒンジレバー２１又は２２を使用する代わりに、湿
し液供給ローラ１９をインキ着けローラ１６又は湿し装
置ローラ２３に確実に当てつける押圧ローラを使用して
もよい。

【００１１】１つのインキ着けローラ１６を使用する代
わりに、インキ着けローラ１８の軸線を中心にして旋回
可能な共通の支持体に支承された２つのインキ着けロー
ラを設けてもよい。これによって、湿し装置２０はイン
キ装置ローラ１８に有利に胴入れされるか、又は各版胴
に固有の湿し装置が直接配置されている。

【００１２】図示のオフセット印刷機によれば両面印刷
を行うことができる。このために、通過案内されるウエ
ブ９を中心にして鏡像対称的に別の印刷装置が設けられ
ている。この別の印刷装置のゴム胴は対抗圧胴２を形成
している。またこの対抗圧胴２には、互いに間隔を保っ
て定置に配置された２つの版胴２４，２５が配属されて
いる。２つの版胴２４，２５のそれぞれには、それぞれ
１つの導入ローラ２６，２７が胴入れされており、これ
らの導入ローラ２６，２７は、各版板２８，２９が簡単
に導入されるように働く。前述のように、２つの版胴２
４，２５には組み込み式のインキ−湿し液−着けローラ
が配属されている。このインキ−湿し液−着けローラに
は、インキ着けローラ１６におけるのと同様に、インキ
装置及び湿し装置が胴入れ可能である。

【００１３】勿論、図１に示された印刷機は相前後して
配置することができるので、極端な場合、印刷機全体
を、片持式の版板交換を行うための同様に複数の印刷ユ
ニットから構成することもできる。ウエブ９をゴム胴１
及び対抗圧胴２に巻き掛けるための付加的なウエブガイ
ド部材は不必要である。

【００１４】ゴム胴１及び対抗圧胴２の軸方向の構成部
分を互いに斜めに配置させるための手段によって、ウエ
ブ９はゴム胴１及び対抗圧胴２に巻き掛けることができ
る。

【００１５】図２には、ゴム胴１と対抗圧胴２とを互い
に機械的に連結するための連結手段及び伝動装置が示さ
れている。図示の側で偏心体４，５によって側壁３に支
承された、ゴム胴１及び対抗圧胴２の軸３０，３１には
歯車３２，３３が組み込まれている。ゴム胴１の歯車３
２は２重歯車として構成されており、歯車３２は歯車３
３にかみ合っていて、歯車３２の別の歯車３５は、機械
伝動装置の定置に位置決めされた軸３７の歯車３６にか
み合っている。

【００１６】ゴム胴１及び対抗圧胴２を配置変えするた
めに、偏心軸受４，５には公知の形式で空圧式の調節装
置が働くようになっている。交換時に偏心軸受４，５
が、ゴム胴１及び対抗圧胴２に可能な３つの位置６，
７，８の間で伝達運動を加える間、ゴム胴１の軸３０は
歯列３５によって機械伝動装置の軸３７の歯車３６の外
周を転動する。それと同時に、これによって生ぜしめら
れるゴム胴１の運動が周方向で、歯列３４が歯車３３と
かみ合うことによって対抗圧胴２に伝達され、この時に
歯車３３は歯列３４に対して逆方向に回転する。

【００１７】ゴム胴１と対抗圧胴２とを機械的に連結さ
せることによって、ゴム胴１及び対抗圧胴２の位置を変
える際に、間隔Ｓ（調節間隔）の補償が可能である。す
なわち、ポイント３８（ゴム胴１と対抗圧胴２との接触
点）を、例えば位置８から位置６へ間隔Ｓだけ戻し回転
させることによって補償が可能である。

【００１８】図２では、ゴム胴１のゴムブランケットの
ための緊締溝３９ａと、対抗圧胴２のゴムブランケット
のための４０ａとが位置８で接触し合っている。位置６
では、緊締溝３９ｂ及び４０ｂが、ゴム胴１及び対抗圧
胴２の周方向で間隔Ｓだけずらされている。調節間隔と
しての間隔Ｓを補償することによって、後置接続された
印刷機又は折り機に対する正しい見当合わせが得られ
る。また、中央の位置７において位置６と位置８との間
で交換する際に軸３７を中心にしてゴム胴１と対抗圧胴
２とを一緒に運動させる際に、ゴム胴１と対抗圧胴２と
が分離され、この際に歯列３４と歯車３３とがかみ合っ
たまま維持される。

【００１９】位置６及び８では、ゴム胴１と対抗圧胴２
との間の最小間隔が調節される。

【００２０】歯車３２(２重歯車)及び歯車３３は、別の
歯車(図示せず)にかみ合っており、この別の歯車から、
版胴１０，１１２４，２５の伝動装置が導出されてい
る。

【００２１】版胴１０，１１，２４，２５を機械伝動装
置とは無関係に停止及び駆動させることができるように
するために、版胴１０，１１，２４，２５の軸の間には
それぞれ公知の形式で電気的に断続可能なカップリング
が介在されている。各版胴、つまりゴム胴１及びインキ
着けローラ１６が当てつけられ胴入れされている各版胴
が回転している間に、連結解除されて停止している別の
版胴の版板を交換することができる。導入ローラ１２，
１３によって、交換しようとする版板が、回転するイン
キ着けローラ１６及び回転するゴム胴１と接触すること
は避けられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１実施例による印刷機の概略的な横断
面図である。

【図２】図１に示したゴム胴及び対抗圧胴の概略的な横
断面図である。

【図３】図２に示した印刷機の２つのゴム胴のための伝
動装置の概略図である。

【符号の説明】

１，４０ａ ゴム胴、 ２ 対抗圧胴、 ３ 側壁、
４，５ 偏心軸受、６，７，８ 位置、 ９ ウエブ、
１０，１１ 版胴、 １２，１３ 導入ローラ、 １
４，１５ 版板、 １６ インキ着けローラ、 １７
調節レバー、１８インキ装置ローラ、 １９ 湿し液供
給ローラ、 ２０ 湿し装置、２１，２２ヒンジレバ
ー、 ２３ 湿し装置ローラ、 ２４，２５ 版胴、２
６，２７ 導入ローラ、 ２８，２９ 版板、 ３０，
３１ 軸、 ３４，３５ 歯列、 ３６ 歯車、 ３７
軸、 ３８ ポイント、 ３９，３９ａ，３９ｂ，４
０ａ，４０ｂ 緊締溝

フロントページの続き (72)発明者 エーリヒ ヴェヘ ドイツ連邦共和国 アウグスブルク シ ェンケンドルフシュトラーセ 34 (56)参考文献 特開 平４−7152（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B41F 13/24 - 13/40 B41F 7/36 B41F 31/30

Claims (10)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 高速版板交換を行うことのできるオフセ
   ット印刷機の印刷装置であって、交互に使用される２つ
   の版胴を有し、これらの版胴にインキ装置と少なくとも
   １つの湿し装置とが配属されており、ゴム胴と対抗圧胴
   とが設けられていて、このゴム胴と対抗圧胴との間にウ
   エブが案内される形式のものにおいて、版胴（１０，１
   １）が互いに所定の間隔を保って定置に配置されてお
   り、ゴム胴（１）が、種々異なる３つの位置（６，７，
   ８）で調節可能な偏心体軸受を有していて、これら３つ
   の位置（６，７，８）で、ゴム胴（１）が、ウエブ
   （９）に印像を転写するために、２つの版胴（１０，１
   １）の一方に選択的に胴入れ可能、又は２つの版胴（１
   ０，１１）及び対抗圧胴（２）から胴抜き可能であっ
   て、インキ装置が、２つの版胴（１０，１１）の一方に
   対して胴入れ可能若しくは胴抜き可能に配置されている
   ことを特徴とする、高速版板交換を行うことのできる印
   刷装置。
2. 【請求項２】 対抗圧胴（２）が、ウエブ（９）を中心
   にして鏡像対称的に構成された、裏面印刷を行う印刷機
   のゴム胴として構成されている、請求項１記載の印刷装
   置。
3. 【請求項３】 インキ装置がインキ着けローラ（１６）
   を有しており、該インキ着けローラ（１６）が選択的
   に、２つの版胴（１０，１１）の一方に胴入れ可能又
   は、２つの版胴（１０，１１）から胴抜き可能である、
   請求項１又は２記載の印刷装置。
4. 【請求項４】 インキ着けローラ（１６）がインキ装置
   ローラ（１８）に当てつけられいて、このインキ装置ロ
   ーラ（１８）の軸線を中心にして旋回可能に支承されて
   いる、請求項１から３までのいずれか１項記載の印刷装
   置。
5. 【請求項５】 １つの湿し装置（２０）だけに、インキ
   着けローラ（１６）に当接する湿し液供給ローラ（１
   ９）が設けられている、請求項１から４までのいずれか
   １項記載の印刷装置。
6. 【請求項６】 湿し液供給ローラ（１９）がインキ着け
   ローラ（１６）の軸線を中心にして旋回可能に構成され
   ている、請求項５記載の印刷装置。
7. 【請求項７】 ２つの版胴（１０，１１）のそれぞれに
   版板ガイド装置（１２，１３）が配属されている、請求
   項１記載の印刷装置。
8. 【請求項８】 前記版板ガイド装置（１２，１３）が、
   それぞれ取り付けようとする版板（１４，１５）を迅速
   に取り付けるための取り付けローラとして構成されてい
   る、請求項７記載の印刷装置。
9. 【請求項９】 ゴム胴（１）がその軸（３０）で２重の
   歯車（２２）を有していて、対抗圧胴がその軸（３１）
   で、前記歯車（３２）とかみ合う簡単な歯車（３３）を
   有しており、前記歯車（３２）の別の歯列（３５）が、
   機械伝動装置に接続された歯車（３６）とかみ合ってい
   る、請求項１から８までのいずれか１項記載の印刷装
   置。
10. 【請求項１０】 ウエブ（９）を巻き掛けるために、ゴ
    ム胴（１）の軸及び対抗圧胴（２）の軸が互いに斜めに
    配置されている、請求項１から９までのいずれか１項記
    載の印刷装置。