JP2917448B2 - 高周波加熱装置および高周波加熱装置用電磁波検出器 - Google Patents

高周波加熱装置および高周波加熱装置用電磁波検出器

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は食品の有無や解凍状態等を自動的に検知する
高周波加熱装置及び、その高周波加熱装置用電磁波検出
器に関するものである。
従来の技術 近年、高周波加熱装置を用いた食品の解凍を自動化す
る動きが高まっている。
従来は、食品重量をキー入力するタイムオートや、食
品重量を自動的に検出する重量センサを用いて食品重量
を知り、あらかじめ食品重量毎に設定されている最適加
熱時間まで加熱するという手段が主流であった。ところ
が、タイムオートではあらかじめ使用者が食品重量を調
べる必要があり、重量センサでは皿や容器の上に食品を
載せて使用すると重量判定を間違うという問題があっ
た。さらに両手段とも食品の初期温度によらず一定の時
間加熱してしまうので、半分解けかけているような物で
は加熱しすぎとなり、異常に低温のものでは加熱不足と
なるため、出来栄えがばらつく問題があった。
上記欠点を解決するものとして、加熱室内の電磁波を
検出する手段がある。即ち、加熱室内にマイクロ波検波
素子(即ちアンテナ)を配置し、食品に吸収されずに素
子に検出されるマイクロ波電力が食品の重量に反比例す
る特性を用いるもの(特公昭52−2133号公報)であり、
以下、その構成について第10図を用いて説明する。
加熱室1内に冷凍の食品2が置かれ、電波放射部3よ
り電波4が加えられる。この時、食品2に吸収されなか
った電波の一部5が、加熱室1内に取付けられたアンテ
ナ6で検出され、検波回路7で検波されるが、この検出
量は食品2の重量におおよそ反比例するので逆に、食品
2の重量を判別できるのである。
また、第11図の様に食品2の電波の吸収しやすい(ε
r・tanδ)は食品2の温度(T)により変化するの
で、アンテナ6で検出した電波を検波回路7により検波
した検波出力も第12図の様に温度(T)によって変化す
る。よって初期検波出力や検波出力の経時変化で逆に食
品2の初期温度と重量を判別できるのである。
発明が解決しようとする課題 しかしながら、従来の高周波加熱装置では、検波回路
を構成する場合チップ部品のみで構成している事が多
く、検波ダイオード以外のチップ部品に高周波が乗るの
で、チップ部品の取付け方により出力ばらつきが大きく
なったり、チップ部品で損失する電力が大きいため出力
がかせげなかったり、検波出力に高周波成分がのったり
して、検波回路としての特性が悪く、高周波加熱装置の
解凍検知についても安定性がないという課題があった。
そこで、本発明は検波回路の特性を向上させ、信頼度
の高い解凍検知を実現できる高周波加熱装置を提供する
ことを第1の目的としている。
また、本発明は高周波加熱装置の電磁波検出にとって
極めてばらつきが少なく特性の良い電磁波検出器を提供
することを第2の目的としている。
課題を解決するための手段 上記第1の目的を達成するために、本発明の高周波加
熱装置は、食品を格納する加熱室と、食品に電磁波を放
射して加熱する電波放射部と、加熱室内の電磁波の一部
を検出するアンテナと、アンテナの検出した電磁波を検
波するために、マイクロストリップラインと、検波ダイ
オードや抵抗等のチップ部品を有する検波回路と、検波
回路出力により電波放射部からの電磁波の放射を制御す
る制御器とを備え、前記検波ダイオードの出力に側に、
検出すべき電磁波の中心周波数に対してインピーダンス
が0となるオープンスタブのマイクロストリップライン
を設けている。
また、第2の目的を達成するために、本発明の高周波
加熱装置用電磁波検出器は、電磁波検出用のアンテナ
と、マイクロストリップラインと、検波ダイオードや抵
抗等のチップ部品を有する検波回路とを備え、検波ダイ
オードの出力側に、検出すべき電磁波の中心周波数に対
してインピーダンスが0となるオープンスタブのマイク
ロストリップラインを設けている。
作用 本発明の高周波加熱装置は、アンテナで検出した高周
波電力を検波するために、検波回路中にマイクロストリ
ップラインと、検波ダイオードや抵抗等のチップ部品を
有するので、検波ダイオード以降の回路部品に高周波が
乗らないようにマイクロストリップラインを構成するこ
とが出来るので、検波回路の特性が良いものである。
また、検波ダイオードの出力側に、検出すべき電磁波
の中心周波数に対してインピーダンスが0となるオープ
ンスタブのマイクロストリップラインを設けるので、検
波ダイオードに伝播してきた電磁波は、すべてオープン
スタブに伝わる。
さらに、高周波加熱装置用電磁波検出器は、検出回路
中にマイクロストリップラインと検波ダイオード等のチ
ップ部品を有するので、検波ダイオード以降の回路部品
に高周波が乗らないように、マイクロストリップライン
を構成することが出きるので、ばらつき要因が少なく検
波回路の特性が良いものである。
実施例 以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明す
る。
第1図は本発明の一実施例を示す高周波加熱装置の構
成断面図である。加熱室1内に配置された食品2に、電
波放射部3より電波4が放射される。この時、食品2に
吸収されなかった電波の一部5が、樹脂製のスリットカ
バー8を抜け、加熱室1壁面に開けられたスリット9を
通り、プリント基板10上にある銅箔で出来たアンテナ6
で検知され、プリント基板10の裏面にある検波回路7に
伝達され、検波したのち検波回路出力としてリード11に
よって制御器12まで送られる。検波量に応じて制御器12
は食品の状態を知り、最適解凍時間を判定し、電波放射
部3や電波放射部冷却用のファン13の動作を制御する。
第2図は検波回路7およびアンテナ6を加熱室1の壁
面にとの様に取付けているかの一例を示す要部斜視図で
ある。アンテナ6と検波回路7を表と裏に持つプリント
基板10のアース面を、金属板14の半田付け用凸部15の4
ヶ所に半田付けする。その上から電波遮断用の金属カバ
ー16でおおい、加熱室1壁面にスポット溶接で取付けた
金属支持具17にビス18でとも締めする。この構成ではプ
リント基板10(検波回路7)のアースは金属板14への半
田付けで確実にとれ、金属板14と金属支持具17はビス止
めにより確実にショートし、金属支持具17と加熱室1壁
面は溶接により確実にショートするため、取付け位置精
度が良く、アースは確実でビス締めによるストレスを金
属板14が吸収するため検波回路へのストレスが抑えられ
ることが判る。
ここで、プリント基板10と金属板14と金属カバー16を
合わせて電磁波検出器19と呼び、電磁波は金属板すきま
20よりアンテナ6に入るのである。
第3図を用いて電磁波検出器19についてもう少し説明
を加える。
図中(a)のような外観構成の電磁波検出器を(b)
の様にA−A′線断面図で見ると、金属カバー16と金属
板14とを金属カバー16のツメ21を折曲げることで仮止め
していることが判る。この電磁波検出器19は、リード線
11まで含んだユニットとしてどこにでも移動が出来て、
ノイズにも強いものである。
一方、電磁波検出器19の心臓部とも言えるアンテナと
検波回路の構成について第4図で説明する。
第4図はプリント基板10の一例を検波回路7側から見
た図である。図中破線は基板の裏側のパターンを示し、
一点鎖線は裏面でパターンはあるがレジストの無い部分
(即ち、第2図で述べた金属板14に半田付けするための
アース)である。アンテナ6から伝達された電波は、ス
ルーホール22より検波回路7へ導かれ、ショットキーバ
リア・ダイオード23等のチップ部品とマイクロストリッ
プラインで構成される検波回路7で検波されて、リード
線11以降直流となった状態で信号が伝送される。ここ
で、プリント基板10は高周波損失の少ないガラス熱硬化
材やテフロン材で、両面に銅箔のパターンがある物を使
用している。
続いて、第5図の検波回路7の等価回路を用いて、動
作の説明をする。アンテナ6より電磁波が検波回路7内
に入ると、電磁波の中心周波数に対してマイクロストリ
ップラインLB24,LL25は以降の部品に対してオープン
(インピーダンスが無限大)となり、マイクロストリッ
プラインCs26は(インピーダンスが0)となる様に設計
しているため、高周波は抵抗D27とショートキーバリア
・ダイオード23を介してCs26によりグランドに落ちる。
この時ショットキーバリア・ダイオード23により整流さ
れた正方向の出力は直流として負荷抵抗RL28に流れる。
直流の閉ループを形成するために抵抗RB24にも同じ電流
が流れ、RB→RD→D→RLのループをつくる。負荷抵抗に
流れた電流により得られた半波整流波形を抵抗RH30とコ
ンデンサ31が平滑してリード線11に伝えられるのであ
る。ちなみち、検波回路7中のマイクロストリップライ
ン以外の部品は全て、チップ部品である。
ここで、RD27の存在意識を、第6図,第7図を使って
説明する。高周波加熱装置に電磁波検出器19を用いる
と、中に入る食品2によりアンテナ6が検出する電磁波
の電力量や検波回路出力は大きく変化する。例えば、第
6図の様に、横軸が重量で縦軸が検波回路出力であり、
初期温の低いものがa、初期温の高いものがbとする
と、VsminからVsmaxまで変化するという具合である。第
7図はショットキーバリア・ダイオード23の電圧−電流
特性で、この時RD27が(ショットキーバリア・ダイオー
ド23と直列)に無く、第7図の0〜V1の間の範囲で動作
していたとすると、V1付近での感度(変化率又は傾き)
と0付近での感度が極端に違うことになり、第6図で示
した軽負荷は判別しやすいが大負荷は感度が鈍いという
直線性の無い判別をすることになる。ところがRD27を入
れることにより、電力の幾らかをRD27でロスするように
すれば、ショートキーバリア・ダイオード23が0〜V2
の範囲で動作するようになり、直線性をもたせることが
出来るのである。
続いて、第5図で述べたマイクロストリップラインに
ついて説明する。第8図(a)に特性インピーダンスZ0
で長さlのマイクロストリップライン32に負荷インピー
ダンスZL33が接続されている場合を示している。この時
のインピーダンスZiは一般に、 となる。但しλgは基板上の波長を示す。
この(1)式より第5図にあてはめてみると、マイク
ロストリップラインCS26は負荷インピーダンスを接続し
ないいわゆるオープンスタブであり、第8図(b)の様
になる。この時(1)式でZL=∽として簡単にすると、 Zi′=−jZo′cotβl となり、パターン長 に選ぶので となる。即ち、高周波的にショートとなるのである。
一方、第5図のLB24、LL25等は、第8図(c)の様に
考えられCB34、CL35(あるいはC36)をある程度大きな
容量のコンデンサを選ぶと、負荷インピーダンス は0に近づき、 並列に接続された抵抗等も無視できる。即ち、(1)式
でZL=0として簡単にすると、 Zi″=−jZotanβl となり、パターン長 に選ぶので となる。即ち、高周波的にオープンとなるのである。
よって、第5図で述べた動作が実現され、高周波が負
荷抵抗RL側に伝わらない様にしているのである。
第9図にマイクロストリップラインを用いた時のイン
ピーダンスの周波数特性を示す。Cs26は図中a、LB24や
LL25は図中bに相当し、電磁波の中心周波数fo近傍では
設計通りの特性を示す。
実施例の効果について以下に示す。
アンテナやマイクロストリップラインをパターンで形
成しているので、寸法精度はエッチング精度と等しく、
極めて精度が良い効果がある。
プリント基板の材質としてガラス熱硬化材やテフロン
材を使用するので、基板としての高周波伝送損失が少な
く、厚みの管理もされており、ばらつきが少ない効果が
ある。
発明の効果 本発明によると以下の効果がある。
第1の発明の高周波加熱装置と、第2の発明の高周波
加熱装置用電磁波検出器に関して、マイクロストリップ
ラインとチップ部品で検波回路を構成するので、ショッ
トキーバリア・バイオード以降に高周波を伝えないこと
か容易で、チップ部品の取付け方によるマッチングへの
影響を極力抑えることが出来て、チップ部品での不要な
高周波損失を抑える事が出来て、出力に高周波が乗る事
もないため、検波回路の特性が極めて安定で、極めて精
度良い解凍検知が実現できる。
また、検波ダイオードの出力側に、検出すべき電磁波
の中心周波数に対してインピーダンスが0となるオープ
ンスタブのマイクロストリップラインを設けるにで、検
波ダイオードに伝播してきた電磁波は、すべてオープン
スタブに伝わる。
よって、オープンスタブ以外の回路に電磁波が伝播し
ないので、この電磁波によるノイズを発生しにくいとい
う効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の高周波加熱装置の構成を示
す断面図、第2図は同装置の要部分解斜視構成図、第3
図a,bは電磁波検出器の平面図、断面図、第4図は検波
回路の正面図、第5図は検波回路の等価回路構成図、第
6図は重量に対する検波回路の出力変化を示す特性図、
第7図はショットキーバリア・ダイオードの電圧−電流
特性図、第8図a,b,cはそれぞれマイクロストリップラ
インの構成図、第9図はマイクロストリップラインを用
いたインピーダンスの周波数特性図、第10図は従来の高
周波加熱装置の構成を示すブロック図、第11図はε
tanδの温度特性図、第12図は検波回路出力の温度特性
図である。 1……加熱室、2……食品、3……電波放射部、6……
アンテナ、7……検波回路、10……プリント基板、12…
…制御器、19……電磁波検出器、23……ショットキーバ
リア・ダイオード、24〜26……マイクロストリップライ
ン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 要田 正人 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 酒井 伸一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 森山 智美 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−286285(JP,A) 特開 昭52−115267(JP,A) 実開 昭61−92881(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05B 6/68

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】食品を格納する加熱室と、前記食品に電磁
    波を放射して加熱する電波放射部と、前記加熱室内の電
    磁波の一部を検出するンテナと、前記アンテナの検出し
    た電磁波を検波するために、マイクロストリップライン
    と検波ダイオード等のチップ部品を有する検波回路と、
    前記検波回路からの出力により前記電波放射部からの電
    磁波の放射を制御する制御器とを備え、前記検波ダイオ
    ードの出力側に、検出すべき電磁波の中心周波数に対し
    てインピーダンスが0となるオープンスタブのマクロス
    トリップラインを設ける構成とした高周波加熱装置。
  2. 【請求項2】電磁波検出用のアンテナと、マクロストリ
    ップラインと検波ダイオード等のチップ部品を有する検
    波回路とを備え、前記検波ダイオードの出力側に、検出
    すべき電磁波の中心周波数に対してインピーダンスが0
    となるオープンスタブのマクロストリップラインを設け
    る構成とした高周波加熱装置用電磁波検出器。
JP19118290A 1990-07-17 1990-07-18 高周波加熱装置および高周波加熱装置用電磁波検出器 Expired - Fee Related JP2917448B2 (ja)

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