JP2914064B2 - 高周波加熱用容器 - Google Patents

高周波加熱用容器

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JP2914064B2 JP4347994A JP34799492A JP2914064B2 JP 2914064 B2 JP2914064 B2 JP 2914064B2 JP 4347994 A JP4347994 A JP 4347994A JP 34799492 A JP34799492 A JP 34799492A JP 2914064 B2 JP2914064 B2 JP 2914064B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高周波加熱装置内で被加
熱物を載置して加熱する容器に関し、特に加熱が容器全
体にわたって均一に加熱することができるようにする容
器構成に関する。
【0002】
【従来の技術】高周波加熱により食品などの被加熱物を
加熱し、温めたり、解凍したりすることが広く行なわれ
るようになってきた。これは高周波加熱が被加熱物の表
面のみならず内部も加熱するため被加熱物の加熱時間を
短縮できるからである。
【0003】図6は高周波加熱調理に用いられる加熱用
容器1である。(蓋は図示していない)前記容器1は一
般的には高周波透過性のプラスチック容器が用いられ
る。容器1の材質は被加熱物が加熱される温度により種
々の材料が用いられる。比較的温度が低い場合はポリエ
チレン(PE)であり、100℃近辺の加熱に対しては
ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ
エチレンテレフタレート(PET)および結晶化ポリエ
チレンテレフタレート(C−PET)などが用いられ
る。さらに高温加熱に対しては前述の結晶化ポリエチレ
ンテレフタレート(C−PET)、ポリサルフォン(P
SP)、ポリエーテルイミド(PEI)およびポリメチ
ルペンテン(TPX)などが用いられる。また、必要に
応じてナイロン(N)などの他のプラスチックとラミネ
ートしたりフィラー(充填材)を混入したりして用いら
れる。
【0004】また、紙にPP、PET、TPX等をラミ
ネートした紙容器も用いられる。図6にみられるように
容器1の底面は平滑であるか、図7(a)および(b)
にみられるように中央部2が全体に盛り上がっている。
このような容器に食品を載置し高周波加熱を行ない、解
凍や温めを行なっていた。
【0005】しかしながら、前記のような容器で加熱し
た場合、底面周辺部は温度上昇するが、中央部の被加熱
物の温度は上昇しにくいという課題が生じていた。
【0006】この課題を解決し加熱の均一性を高めるた
めに図8に示すように容器1の底面2に凸部3を設ける
ことが提案された。(例えば特開昭62−29302
0)これは凸部3を設けることにより、その近辺の温度
が上昇する。これは、高周波は曲面に進入すると、光が
凸レンズで集光するようにその焦点方向に電界が集ま
り、集中加熱されたり、高周波は角に進入すると電界が
集まり、そこに集中加熱されるためといわれている。こ
の現象を利用して温度の均一化をはかろうとするもので
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
容器の構成では被加熱物の温度均一化はしにくかった。
【0008】すなわち、容器1の一部に凸部3を設ける
と、その近辺の温度と上昇する場合もあったが、あまり
上昇しない場合もあった。また、容器1の形状や大きさ
が変わると特に大きさが大きくなると被加熱物の温度を
均一にするのは困難であるという課題があった。
【0009】本発明は前記課題を解決し、容器内の温度
分布を小さくして加熱できる容器構成を提供することを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の高周波加熱用容器の構成を後述のようにし
た。
【0011】
【0012】
【0013】高周波を透過する材料からなる容器の底面
に多角形からなる凸部を設け、この多角形の凸部の角と
前記容器の側面との距離が前記多角形の凸部の辺と前記
容器の側面との距離より短くする構成とした。
【0014】また、高周波を透過する材料からなる四角
形状の容器の側面に近接して底面に円または楕円よりな
る凸部を設け構成とした。
【0015】さらに、底面に設けた凸部の上面に少なく
とも一つの高さが5mmを超える凸部を設ける構成とし
た。
【0016】
【作用】本発明は、前記した構成によって被加熱物を均
一に加熱するようにすることができる。
【0017】
【0018】
【0019】容器の面に多角形の凸部を設け、この凸
部の角が容器の側面に隣接する面に近接するように設け
られているので、この部分に電波が集中し、この近傍が
加熱される。
【0020】また、前記多角形の変わりに円または楕円
を設けても同様の作用を有する。さらに、前記容器の
面に設けられた多角形、円または楕円の凸部のその凸部
部分の面積が大きくなる場合は高さが5mmを超える凸部
を設けるとこの部分にも電波が集中し容器全体が加熱さ
れる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面にもとづいて説
明する。なお、従来と同一機能を有するものには同一記
号を付した。
【0022】図1は本発明の高周波加熱用容器1の斜視
図であり、図2は図1のX−X’線断面図である。
【0023】この容器1はその底面2に多角形からなる
凸部が設けられている。さらに、前記多角形からなる凸
部の平坦部には凸部が設けられている。また側面5には
垂直方向に筋条の凸部が設けられている構成となってい
る。なお、図1には容器1の蓋は記載していないが、蓋
も単なる平面ではなく底面2と同じような形状であるこ
とが好ましい。
【0024】容器1の材質は従来例で記載したように高
周波透過性のプラスチックを主体とした材料でよく、用
途により選択したらよい。
【0025】例えば、真空中で冷凍保存し、高周波加熱
により加熱する食品の容器材質としては真空状態を維持
するためにガス透過性が小さいこと、冷凍状態で保存す
るため耐寒性が優れていること、高周波加熱を行なうた
めの電波透過性に優れていること、封口処理にあたって
簡単に確実にシールできること等が必要条件となる。
【0026】本発明の特徴は容器1の構造を工夫するこ
とにより食品が万遍なくあたためられるようにしたこと
である。すなわち、高周波電波は凸部や角に進入すると
電界が集まりその部分が集中的に加熱されることが知ら
れている。この点を考慮し高周波加熱に適した容器を実
験的に得た。
【0027】以下、底面に凸部を有する容器を用い、こ
の容器に食品としてエビピラフを用いた場合を記す。
【0028】図3は平面の凸部の有無による食品の温度
上昇の違いを実験的に求めたものである。実験に使用し
た容器は図1に示す形状の容器より多角形からなる凸部
を除いた形状すなわち容器底面が平面でその中央に凸部
を有する構成の容器を用いた。容器の開口部寸法は約1
30×150mm、深さ約40mmで底部より30mmの高さ
までエビピラフを入れた。蓋は平面である。凸部の高さ
は底面に対して、10mmである。
【0029】前記エビピラフ入り容器を−20℃に充分
に冷凍した後、高周波加熱装置で加熱した。高周波加熱
装置は、上下給電方式で出力1400Wの装置を用い
た。
【0030】図3は凸部の上5mm(底面より15mm)す
なわちエビピラフの嵩の半分の位置(食品のほぼ中央)
の温度の時間変化を示したものである。実験は各20回
行なった時の結果を示している。底面に凸部を有する場
合は温度の時間変化はA−A’の間の斜線内であった。
すなわち、高周波加熱90秒後には少なくとも60℃強
の温度になっていた。一方、底面に凸部がなく平面状の
場合は、その温度の時間変化はB−B’の間の斜線内で
あった。すなわち、高周波加熱120秒後においても完
全に氷っている場合から、約70℃に温度が上昇してい
る場合まで大きな巾があった。また、高周波加熱120
秒後で氷っている場合はさらに180秒間合計300秒
(5分)間加熱したが、解凍しなかった。
【0031】図4は図3で示した実験において凸部の高
さを変えた場合の温度上昇の度合を示したものである。
図は10ヶの試料の平均値を示したものである。試料間
のばらつきおよびエビピラフとして食する温度として室
温以上と考えると、凸部の高さは5mm以上必要である。
また、温度は凸部の高さが高くなるほど高い温度になる
傾向にある。ただし、凸部の高さは当然容器の高さおよ
び食品の高さにより制約される。なお、他の実験では食
品の高さと凸部の高さとの差が小さくなると凸部により
温められた食品の温度が表面より放熱されるため、凸部
の近傍の食品の温度があまりあがらない傾向にあるのが
みられた。
【0032】凸部を設けることにより、この部分に高周
波が集中することは前記実験より確認される。この凸部
に発生した熱は熱伝導により他の食品の部分へ移動す
る。熱伝導による熱量の移動は2点間の距離に反比例す
る。
【0033】図5は外径200×200cm、深さ40mm
の容器の中心線を線対称の軸とし、その両側に高さ10
mmの凸部を設け、その凸部間の距離を変えた時の凸部間
の中心、すなわち中心線上の底面より15mmの高さの位
置の温度を示す。(エビピラフの嵩約30mm)高周波加
熱時間は120秒である。また、試料数は凸部間の距離
20,30,40,50,60mmの各距離毎に10ヶで
あり、図5に示すAA’間の斜線の部分に測定温度がば
らついていた。凸部間距離が30mmを越えるとバラツキ
が大きくなり、温度が上昇しにくくなる。そして、その
距離が35mmになると温度上昇が室温(20℃)にしか
ならない試料もあった。
【0034】実際の高周波加熱容器は一般に図5で実験
した容器よりも大きさが小さく、側面と底面との角の影
響を受ける。しかも凸部を設ける平面も、正方形、長方
形、円形と多々の形状をしている。従って、前記平面の
形状と前述の凸部間の距離による温度上昇および凸部の
高さが5mm程度の場合も考慮して凸部の設け方に関して
実験を行なった。その結果、凸部は平面(35)2mm2
超えない面積の範囲内に少なくとも一つ設けるのが実用
的であることが判明した。
【0035】前述の実験結果より、高周波加熱容器の底
面に多数の5mmを超える高さの凸部を設けると容器内が
均一に加熱されやすくすることが期待される。しかし、
底面に多数の凸部を設けることは、その凸部間にある食
品が食べにくく実用的でない。したがって、実用的には
図1に示すように底面に大きな凸部を設け、この大きな
凸部のほぼ中央に前述の凸部を設けることが考えられ
る。図1は大きな凸部として多角形からなる凸部4を設
けた場合である。
【0036】以下、図1および図2にもとづいて大きな
凸部の効果について説明する。図1において容器の開口
部寸法は約130×150mm、深が約40mmであり、底
面2の平面寸法は約100×120である。側面は開口
部より底面に向って傾斜し、側面と底面との間は円弧が
設けられている。底面の中央に一辺65mmの正方形の凸
部4が設けられた。この正方形の凸部4は高さが10mm
でその上部には30×30mm2の平面が設けられ、さら
にその中央に凸部3が設けられている。図2は図1の断
面である。
【0037】前記構成の容器にエビピラフを入れ高周波
加熱を行なった結果後述のことが判明した。すなわち、
正方形からなる凸部4の角7が側面に近い程、すなわ
ち、側面と底面2との境界線8に近い程容器の温度上
昇が均一化されることがわかった。しかも、図1に示す
ように角7が境界線8の中央にある場合が容器内の温度
分布は最も均一化された状態となった。本実施例の場
合、高周波加熱90秒で食品の温度は70〜90℃の範
囲内であった。一方、凸部4の辺10と境界線8とが平
行になるように正方形からなる凸部4が設けられた場合
は食品の温度分布が大きく、高周波加熱90秒でその温
度は30〜85℃の範囲内であった。
【0038】前記理由は定かでないが、角7が境界線8
に近い場合、高周波が角部に集まるのは勿論のことそれ
以外に境界線8と角と辺とで構成される角度θ内に電波
が集中してくるためと考えられる。
【0039】また、他の実験では角7と境界線8との距
離が短かい程、温度分布はよく、図1においても正方形
でなく長方形からなる凸部4とした方が食品の温度分布
は小さく、かつ、同じ結果が安定して得られた。
【0040】さらに凸部として、円または楕円の形状の
ものを用いて実験したところ凸部が境界線8に接近して
設けられた場合は同様の効果があった。これは境界線8
と円または楕円の外周とで構成される角度θ内に電波が
集まってくると考えられる。
【0041】以上、本実施例の説明を容器底面の場合に
つき説明したが、同様のことが蓋および側面においても
期待できる。ただし、食品と容器との間に隙間が存在す
る場合(例えば食品と容器の蓋)は前記効果はあまり期
待できない。
【0042】以上述べたように、本発明のように平面に
凸部または/および多角形からなる凸部あるいは円や楕
円からなる凸部を有効に配置すれば、高周波加熱による
食品の温度分布を小さくすることができる。
【0043】また、本発明でいう平面は、完全な平面に
限定されるものではなく、本発明の効果が期待されるよ
うな平面に近い面であってもよい。
【0044】また、本実施例では高周波加熱する食品と
してエビピラフを用いた場合につき説明したが、これに
限定されることなく他の食品についてもほぼ同等の効果
が得られる。
【0045】
【発明の効果】以上のように本発明の高周波加熱用容器
によれば下記の効果が得られる。 ()容器の面に多角形からなる凸部を設け、この凸
部の多角形の角と前記容器の面との距離が前記凸部の
多角形の辺と前記容器の面との距離より短くすること
により、前記凸部近辺の温度上昇を高くすることがで
き、容器内の食品の温度分布を小さくすることができ
る。 ()容器の面に円または楕円からなる凸部を設け、
しかもこの凸部を容器の側面に近接して設けることによ
り、この部分の温度上昇を高くすることができ、容器内
の食品の温度分布を小さくすることができる。 ()高周波加熱用容器の面に、多角形からなる凸部
の角が容器の側面に隣接するように設け、さらに前記多
角形からなる凸部の上面に凸部を設けることにより、前
記角部や凸部に高周波が集中するため、この部分の温度
上昇がたかくなる。したがって、温度が上昇しにくい平
面部に前記構成を採用することにより全体の温度上昇を
高めさらに温度分布を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における高周波加熱用容器の
斜視図
【図2】同図1のX−X’線断面図
【図3】高周波加熱用容器の構成と食品の温度上昇との
関係を示す特性図
【図4】高周波加熱用容器の凸部の高さと温度上昇との
関係を示す特性図
【図5】凸部間の距離と温度上昇との関係を示す特性図
【図6】従来の一実施例における高周波加熱用容器の斜
視図
【図7】従来の他の実施例における高周波加熱用容器の
断面図
【図8】従来の他の実施例における高周波加熱用容器の
断面図
【符号の説明】
1 容器 2 平面(底面) 3 凸部 4 多角形(正方形)からなる凸部 5 側面 7 角 10 辺
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A47J 27/00 B65D 81/34 F24C 7/02 551

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高周波を透過する材料からなる容器の
    に多角形からなる凸部を設け、前記多角形の凸部の角と
    前記容器の側面との距離が前記多角形の凸部の辺と前記
    側面との距離より短くする構成とした高周波加熱用容
    器。
  2. 【請求項2】高周波を透過する材料からなる四角形状の
    容器の側面に近接して底面に円または楕円よりなる凸部
    を設ける構成とした高周波加熱用容器。
  3. 【請求項3】凸部の上面に少なくとも一つの高さ5mm
    超える凸部を設ける構成とした請求項1または2記載の
    高周波加熱用容器。
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