JP2913968B2 - 回転差感応継手の伝達トルク制御装置 - Google Patents

回転差感応継手の伝達トルク制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両のエンジン駆動系
に適用され、適用箇所の入出力部材の相対回転差に応じ
て所望の継手伝達トルクを得る回転差感応継手の伝達ト
ルク制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の制御型回転差感応継手と
しては、例えば、特開平3−24329号公報に記載の
ものが知られている。
【0003】上記従来出典には、ハウジングとロータと
が相対回転する時、ピストンシリンダ室から吐出油路を
介してアキュムレータ室へ流出する吐出油をオリフィス
により流出抑制し、この流出抑制によりピストンシリン
ダ室の室圧を増大させて相対回転差に応じた伝達トルク
を発生するピストンポンプタイプの回転差感応継手にお
いて、前記吐出油路がスプール室と連通するスリット状
のロータ開口ポートの位置にスプールを配置し、ステッ
ピングモータにより軸方向の位置制御を行なうことでオ
リフィス開口面積(以下、オリフィス開度)を変更し、
ハウジングとロータとの相対回転差に対する継手伝達ト
ルク特性の制御ゲインを変更する制御型回転差感応継手
が示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の制御型回転差感応継手にあっては、一般的な
手法に従って、所定の目標伝達トルクが決められると、
静的な伝達トルク特性に基づき、その時の相対回転差で
目標伝達トルクを得るオリフィス開度にリアルタイムで
制御する制御ロジックとした場合、例えば、相対回転差
が急激に上昇したり下降したりした場合には、相対回転
差の変動に対する伝達トルクの応答が遅れるという問題
があり、特に、相対回転差が小さい領域で著しい。
【0005】すなわち、図7に示すように、制御型回転
差感応継手の伝達トルク特性は、相対回転差に対して2
次曲線特性を示す。一方、所定の目標伝達トルクTgo
を維持しようとする場合で相対回転差が、例えば、ΔN
1からΔN2へとステップ的に変化し、その後、ΔN2
からΔN1へとステップ的に変化した場合について説明
すると、図9に示すように、相対回転差ΔNの大きさに
比例してオリフィス開度Sを変化させても、吸込,圧縮
で激しく油圧変動する回転差感応継手の作動油には気泡
が混入し圧縮性を持つ為、オリフィス開度Sを増しても
応答遅れによりオーバシュートして油圧及び伝達トルク
が立ち上がるし、オリフィス開度Sを減じても応答遅れ
によりオーバシュートして油圧及び伝達トルクが下降
し、相対回転差が変化する過渡領域では目標伝達トルク
Tgoから外れてしまう。尚、油圧と伝達トルクとの応
答遅れはほとんどない。
【0006】さらに、低相対回転差領域では、圧力を上
げるのに圧縮する必要があり、そのためには流量が必要
であるが、低相対回転差領域では流量が小さい為、圧縮
に要するむだ時間(応答遅れ)が大きくなる。
【0007】本発明は、上述のような問題に着目してな
されたもので、オリフィス開度の変更により継手伝達ト
ルク特性を可変に制御する回転差感応継手の伝達トルク
制御装置において、低相対回転差領域から高相対回転差
領域までの全領域で相対回転差の変化に対する伝達トル
クの高応答性を確保することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の回転差感応継手の伝達トルク制御装置では、
相対回転差微分値に比例し相対回転差に反比例する補正
項を含む目標オリフィス開度演算に基づいてオリフィス
開度を制御する手段とした。
【0009】即ち、図1のクレーム対応図に示すよう
に、ハウジングとロータとが相対回転する時、出力油室
から吐出油路を介してアキュムレータ室へ流出する吐出
油を、アクチュエータaにより開口面積が制御される可
変オリフィスbにより流出抑制し、この流出抑制により
出力油室の室圧を増大させて相対回転差に応じた継手伝
達トルクを発生する回転差感応継手cと、前記ハウジン
グとロータとの相対回転差を検出する相対回転差検出手
段dと、相対回転差の微小時間変化量である微分値を演
算する相対回転差微分値演算手段eと、相対回転差微分
値に比例し相対回転差に反比例する補正項を含む演算式
に基づいて目標オリフィス開度を演算する目標オリフィ
ス開度演算手段fと、前記目標オリフィス開度が得られ
る駆動制御指令を前記アクチュエータaに対し出力する
伝達トルク制御手段gとを備えている事を特徴とする。
【0010】
【作用】まず、相対回転差検出手段dでは、ハウジング
とロータとの相対回転差が検出され、相対回転差微分値
演算手段eでは、相対回転差の微小時間変化量である微
分値が演算される。そして、目標オリフィス開度演算手
段fにおいて、相対回転差微分値に比例し相対回転差に
反比例する補正項を含む演算式に基づいて目標オリフィ
ス開度が演算され、伝達トルク制御手段hにおいて、目
標オリフィス開度が得られる駆動制御指令がアクチュエ
ータaに対し出力される。
【0011】上記制御作動で回転差感応継手cの可変オ
リフィスbの開口面積であるオリフィス開度が所定のオ
リフィス開度に設定されると、設定されたオリフィス開
度に応じて回転差感応継手cの継手伝達トルク特性が決
まり、ハウジングとロータとが相対回転する時、出力油
室から吐出油路を介してアキュムレータ室へ流出する吐
出油が可変オリフィスbのオリフィス開度に応じて流出
抑制され、この流出抑制により出力油室の室圧が増大
し、相対回転差に応じた継手伝達トルクを発生する作用
を示す。
【0012】従って、伝達トルクの応答遅れが問題にな
る相対回転差の急上昇時や急下降時には、相対回転差微
分値の大きさに比例して補正量が大きくなり、目標オリ
フィス開度が相対回転差のみで設定される場合に比べ早
くしかも大きく可変オリフィスbを閉じたり開いたりす
ることになり、作動油に混入している気泡を原因とする
応答遅れ分がこの補正量による応答促進分で相殺され
る。
【0013】また、補正項は相対回転差に反比例する
為、相対回転差が低い領域であるほど大きな補正量とな
り、流量の小さい低相対回転差領域で応答遅れが大きく
なることに対応し、低相対回転差領域でより流量を増し
高相対回転差領域で流量増を抑える補正量により、全相
対回転差領域でほぼ同じ応答性が得られる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0015】まず、構成を説明する。
【0016】図2は本発明実施例の回転差感応継手の伝
達トルク制御装置が適用されたトランスファを示す断面
図、図3は回転差感応継手の軸直交方向断面図、図4は
実施例の回転差感応継手の伝達トルク制御装置が適用さ
れた後輪駆動ベースの四輪駆動車のパワートレーンを示
す概略図、図5は実施例の伝達トルク制御系を示す図で
ある。
【0017】四輪駆動車のパワートレーンを図4により
説明すると、後輪1,2へは、リングギア3→トランス
ファケース4→トランスファギア5→プロペラシャフト
6→リヤディファレンシャル7→左右後輪軸8,9を介
してエンジントルクを直接伝達し、前輪10,11側へ
は、前後輪回転速度差に応じて制御型回転差感応継手1
2で発生する継手伝達トルクをフロントディファレンシ
ャル13でのトルク等配分伝達作用により左右前輪軸1
4,15に伝達するようにしている。そして、フロント
ディファレンシャル13にトルク配分機能を持つ制御型
回転差感応継手12をトランスファケース4に内蔵し、
側部にトランスファギア5を配置することでトランスフ
ァAが構成されている。
【0018】前記フロントディファレンシャル13は、
図1に示すように、トランスファハウジング20に回転
可能に支持されると共にリングギア3を介してエンジン
駆動力が入力されるトランスファケース4と、該ケース
4に支持されるピニオンシャフト21と、該ピニオンシ
ャフト21に回転自在に支持されるピニオン22と、該
ピニオン22に噛合する一対のサイドギア23,24を
備えている。そして、前記サイドギア23は、制御型回
転差感応継手12を介して左前輪軸14にスプライン結
合され、前記サイドギア24は、右前輪軸15にスプラ
イン結合されている。
【0019】前記制御型回転差感応継手12は、図2及
び図3に示すように、前記サイドギア23が一体に形成
されると共に内面にカム面30aが形成されたハウジン
グ30と、左前輪軸14にスプライン結合されたロータ
31と、前記ハウジング30とロータ31との相対回転
差により前記カム面30aに摺接しながら径方向に往復
動する放射状配置のドライビングピストン32と、該ド
ライビングピストン32の往復動に伴なって体積変化す
るシリンダ室33(出力油室に相当)と、ロータ31の
軸心位置に油密状態で固定されたオリフィススリーブ3
4と、該オリフィススリーブ34に形成されたスプール
室35と、該スプール室35に軸方向ストローク可能に
設けられたスプール36と、該スプール36の端部位置
に形成されたアキュムレータ室37を有する。そして、
前記ロータ31には、アキュムレータ室37と前記シリ
ンダ室33とをワンウェイバルブ38を介して連通する
レギュレータ油路39が形成されている。また、前記ロ
ータ31及びオリフィススリーブ34には、シリンダ室
33とスプール室35とを可変オリフィス40を介して
連通する吐出油路41が形成されている。
【0020】前記スプール36とアクチュエータとして
のモータ50との間には、モータ50の回転をスプール
36の軸方向ストロークに変換する制御動作変換機構が
設けられている。また、モータ50には、駆動制御指令
によりモータ回転角度を制御する伝達トルク制御装置が
連結されている。
【0021】前記制御動作変換機構は、図2及び図5に
示すように、トランスファハウジング20に設けられた
モータ50と、そのモータ軸51に設けられたフォーク
52と、該フォーク52に接するアウタースリーブ53
と、該アウタースリーブ53にベアリング54を介して
設けられたインナースリーブ55と、該インナースリー
ブ55に固定されたクロスロッド56と、該クロスロッ
ド56に一端側が固定されると共に左前輪軸14の軸心
位置に配置されたプッシュロッド57とを有して構成さ
れている。尚、図2ではモータ50とモータ軸51は、
断面を90°変えて描かれている。
【0022】前記伝達トルク制御装置は、図4及び図5
に示すように、左右後輪1,2と左右前輪10,11の
それぞれの位置に設けられた車輪速センサ60,61,
62,63と、横加速度センサ64と、これらのセンサ
類からのセンサ信号を入力し、モータ50へ駆動制御指
令を出力する4WDコントローラ66とを有して構成さ
れている。
【0023】次に、作用を説明する。
【0024】図6は4WDコントローラ66において行
なわれる伝達トルク制御作動の流れを示すフローチャー
トであり、以下、各ステップについて説明する。
【0025】ステップ70では、車輪速センサ60,6
1,62,63からの各車輪速と、横加速度センサ64
からの横加速度Ygが読み込まれる。
【0026】ステップ71では、読み込まれた各車輪速
に基づいて前後輪回転速度差ΔNが演算される(相対回
転差検出手段に相当)。
【0027】ステップ72では、前後輪回転速度差ΔN
の微小時間変化量である前後輪回転速度差微分値ΔN’
が演算される(相対回転差微分値演算手段に相当)。
【0028】ステップ73では、車両状態を示す横加速
度Ygにより目標伝達トルクTgがでが求められる。
【0029】尚、伝達トルクの基本制御則として、横加
速度Ygが大きいほど目標伝達トルクTgを小とし、横
加速度Ygが小さいほど目標伝達トルクTgを大とする
制御マップや制御演算式が予め設定されている。
【0030】ステップ74では、前後輪回転速度差ΔN
と前後輪回転速度差微分値ΔN’と目標伝達トルクTg
とに基づいて目標オリフィス開度Sが下記の式で演算さ
れる(目標オリフィス開度演算手段に相当)。
【0031】 S=f(Tg)・{K・(ΔN’/ΔN)a +ΔN} 但し、a,Kは定数、f(Tg)は目標伝達トルクTg
の補正項を含む演算式である。
【0032】そして、{f(Tg)・ΔN}が目標伝達
トルクTgと前後輪回転速度差ΔNによる基本項であ
り、{f(Tg)・K・(ΔN’/ΔN)a }が目標伝
達トルクTgに対し前後輪回転速度差微分値ΔN’に比
例し前後輪回転速度差ΔNに反比例する補正項である。
【0033】ステップ75では、目標オリフィス開度S
が得られる制御指令がモータ50に対して出力される
(伝達トルク制御手段に相当)。
【0034】次に、車両走行時の作用を説明する。
【0035】 (イ)前後輪回転速度差に変化のない走行時 路面摩擦係数の変化がない道路を一定速で走行する場合
のように、前後輪回転速度差ΔNに変化のない車両走行
時には、ステップ72での前後輪回転速度差微分値Δ
N’がΔN’=0となることで、ステップ74では、目
標伝達トルクTgと前後輪回転速度差ΔNによる基本項
{f(Tg)・ΔN}のみによって目標オリフィス開度
Sが求められることになり、ステップ75では、この目
標オリフィス開度Sが得られる制御が行なわれる。
【0036】この伝達トルク制御により、可変オリフィ
ス40において横加速度Ygが大きい時には全開側で、
横加速度Ygが小さい時に全閉側というように、横加速
度Ygに応じて全閉から全開までのいずれかのオリフィ
ス開度が得られ、このオリフィス開度に応じて制御型回
転差感応継手12の継手伝達トルク特性が決まり、前後
輪速度差ΔNによりハウジング30とロータ31とが相
対回転する時、シリンダ室33から吐出油路41を介し
てアキュムレータ室37へ流出する吐出油が可変オリフ
ィス40のオリフィス開度に応じて流出抑制され、この
流出抑制によりシリンダ室33の室圧が増大し、前後輪
回転速度差ΔNに応じた継手伝達トルクを発生する作用
を示す。
【0037】この結果、横加速度Ygが大きな高μ路旋
回時等においては、前後輪回転速度差ΔNの発生に対し
て前輪側へのエンジントルク配分が小さく、タイトコー
ナブレーキング現象等が防止され、横加速度Ygが小さ
な低μ路旋回時や直進走行時には、前後輪回転速度差Δ
Nの発生に対して前輪側へのエンジントルク配分が大き
く、旋回安定性や加速性の向上が図られる。
【0038】 (ロ)前後輪回転速度差が変化する走行時 低摩擦係数路走行時や発進時や中間加速時や中間減速時
等のように、前後輪回転速度差ΔNが変化する車両走行
時には、ステップ72での前後輪回転速度差微分値Δ
N’がΔN’≠0となることで、ステップ74では、基
本項{f(Tg)・ΔN}と補正項{f(Tg)・K・
(ΔN’/ΔN)a }との和によって目標オリフィス開
度Sが求められることになり、ステップ75では、この
目標オリフィス開度Sが得られる制御が行なわれる。
【0039】例えば、図7及び図8に示すように、所定
の目標伝達トルクTgoを維持しようとする場合で前後
輪回転速度差ΔNが、ΔN1からΔN2へとステップ的
に上昇変化し、その後、ΔN2からΔN1へとステップ
的に下降変化した場合について説明する。
【0040】ΔN1からΔN2へとステップ的に上昇変
化する時には、前後輪回転速度差微分値ΔN’が大きな
正値となることで目標オリフィス開度Sは、図8に示す
ように、オリフィス開度S1から急な傾きで大きくな
り、静的な特性による目標オリフィス開度S2を超える
オーバシュート的な特性でオリフィス開度が与えられ
る。これにより、前後輪回転速度差ΔNの大きさのみに
比例してオリフィス開度をS1からS2に変化させて
も、吸込,圧縮で激しく油圧変動する回転差感応継手の
作動油には気泡が混入し圧縮性を持つことが原因の応答
遅れに対し、早くしかも大きなオリフィス開度の変化に
よる応答促進分で応答遅れ分が相殺され、図8の油圧特
性及び伝達トルク特性に示すように、前後輪回転速度差
変化領域での油圧P及び伝達トルクTの立ち上がりが小
さく抑えられる。
【0041】ΔN2からΔN1へとステップ的に下降変
化する時には、前後輪回転速度差微分値ΔN’が大きな
負値となることで目標オリフィス開度Sは、図8に示す
ように、オリフィス開度S2から急な傾きで小さくな
り、静的な特性による目標オリフィス開度S1を超える
オーバシュート的な特性でオリフィス開度が与えられ
る。これにより、上記と同様に、早くしかも大きなオリ
フィス開度の変化による応答促進分で応答遅れ分が相殺
され、図8の油圧特性及び伝達トルク特性に示すよう
に、前後輪回転速度差変化領域での油圧P及び伝達トル
クTの低下が小さく抑えられる。
【0042】このように、前後輪回転速度差ΔNが変化
する過渡領域において伝達トルク応答性が向上し、目標
伝達トルクTgoがほぼ一定に維持される。
【0043】さらに、低相対回転差領域では、圧力を上
げるのに圧縮する必要があり、そのためには流量が必要
であるが、低相対回転差領域では流量が小さい為、圧縮
に要するむだ時間(応答遅れ)が大きくなる。これに対
し、補正項は前後輪回転速度差ΔNに反比例する為、低
相対回転差領域で応答遅れが大きくなることに対応して
相対回転差が低い領域であるほどより流量を増す大きな
補正量となり、また、高相対回転差領域では応答遅れが
小さくなることに対応して相対回転差が高い領域である
ほど流量増が抑えられた補正量となり、全相対回転差領
域でほぼ同じ応答性が得られる。
【0044】つまり、前後輪回転速度差微分値ΔN’の
みにより低相対回転差領域を基準にして補正量を決める
と高相対回転差領域で過剰応答となるし、前後輪回転速
度差微分値ΔN’のみにより高相対回転差領域を基準に
して補正量を決めると低相対回転差領域で応答遅れが残
るというように応答性に差が出る。
【0045】次に、効果を説明する。
【0046】(1)前後輪回転速度差微分値ΔN’に比
例し前後輪回転速度差ΔNに反比例する補正項を含む目
標オリフィス開度Sの演算に基づいてオリフィス開度を
制御する装置とした為、低前後輪回転速度差領域から高
前後輪回転速度差領域までの全領域で前後輪回転速度差
ΔNの変化に対する伝達トルクTの高応答性を確保する
ことができる。
【0047】この結果、低前後輪回転速度差領域での伝
達トルク制御精度の大幅な向上が達成される。
【0048】前後輪回転速度差ΔNが大きく発生し過大
なトルクが伝達される時にオリフィス開度を全閉とする
トルクリミット制御において、全閉制御を確実に行なう
ことができる。
【0049】上記のように一定の伝達トルクTgoを維
持するトルク一定制御において、制御安定性が向上す
る。
【0050】(2)目標伝達トルクTgを横加速度Yg
により与え、旋回性能を向上させる伝達トルク制御にト
ルク安定性やトルク応答性を向上させる本発明のオリフ
ィス開度制御を適用している為、前後輪回転速度差のみ
に対応するオリフィス開度制御の場合に比べ、よりニュ
ートラルな旋回性能が得られるばかりではなく、操縦安
定性が大きく向上する。
【0051】以上、実施例を図面に基づいて説明してき
たが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではな
い。
【0052】例えば、回転差感応継手をトルク配分装置
としてトランスファに適用した例を示したが、回転差感
応継手を左右駆動輪の差動制限装置として適用しても良
い。実施例では、回転差感応継手としてラジアルピスト
ンポンプタイプの継手を示したが、ベーンポンプタイプ
の継手やトロコイドポンプタイプ等、制御型可変オリフ
ィスを用いて継手伝達トルク特性の制御ゲインを変更す
るような継手であれば、実施例で示した以外の継手であ
っても適用できる。
【0053】実施例では、アクチュエータとして、モー
タを用いた例を示したが、サーボモータや油圧モータや
油圧シリンダ等、電気や油圧による他のアクチュエータ
であっても良い。
【0054】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明にあっ
ては、オリフィス開度の変更により継手伝達トルク特性
を可変に制御する回転差感応継手の伝達トルク制御装置
において、相対回転差微分値に比例し相対回転差に反比
例する補正項を含む目標オリフィス開度演算に基づいて
オリフィス開度を制御する手段とした為、低相対回転差
領域から高相対回転差領域までの全領域で相対回転差の
変化に対する伝達トルクの高応答性を確保することがで
きるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回転差感応継手の伝達トルク制御装置
を示すクレーム対応図である。
【図2】本発明実施例の回転差感応継手の伝達トルク制
御装置が適用されたトランスファを示す断面図である。
【図3】回転差感応継手の軸直交方向断面図である。
【図4】実施例の回転差感応継手の伝達トルク制御装置
が適用された後輪駆動ベースの四輪駆動車のパワートレ
ーンを示す概略図である。
【図5】実施例の伝達トルク制御系を示す図である。
【図6】実施例装置の4WDコントローラで行なわれる
伝達トルク制御作動の流れを示すフローチャートであ
る。
【図7】実施例装置での前後輪回転速度差に対する伝達
トルク特性図である。
【図8】実施例装置適用車両で前後輪回転速度差がステ
ップ的に変化する時のオリフス開度,油圧,伝達トルク
の各タイムチャート図である。
【図9】従来制御で相対回転差がステップ的に変化する
時のオリフス開度,油圧,伝達トルクの各タイムチャー
ト図である。
【符号の説明】
a アクチュエータ b 可変オリフィス c 回転差感応継手 d 相対回転差検出手段 e 相対回転差微分値演算手段 f 目標オリフィス開度演算手段 g 伝達トルク制御手段

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジングとロータとが相対回転する
    時、出力油室から吐出油路を介してアキュムレータ室へ
    流出する吐出油を、アクチュエータにより開口面積が制
    御される可変オリフィスにより流出抑制し、この流出抑
    制により出力油室の室圧を増大させて相対回転差に応じ
    た継手伝達トルクを発生する回転差感応継手と、 前記ハウジングとロータとの相対回転差を検出する相対
    回転差検出手段と、 相対回転差の微小時間変化量である微分値を演算する相
    対回転差微分値演算手段と、 相対回転差微分値に比例し相対回転差に反比例する補正
    項を含む演算式に基づいて目標オリフィス開度を演算す
    る目標オリフィス開度演算手段と、 前記目標オリフィス開度が得られる駆動制御指令を前記
    アクチュエータに対し出力する伝達トルク制御手段と、 を備えている事を特徴とする回転差感応継手の伝達トル
    ク制御装置。
JP32898791A 1991-12-12 1991-12-12 回転差感応継手の伝達トルク制御装置 Expired - Fee Related JP2913968B2 (ja)

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