JP2913722B2 - 内燃機関の可変圧縮比装置 - Google Patents

内燃機関の可変圧縮比装置

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JP2913722B2 JP2007528A JP752890A JP2913722B2 JP 2913722 B2 JP2913722 B2 JP 2913722B2 JP 2007528 A JP2007528 A JP 2007528A JP 752890 A JP752890 A JP 752890A JP 2913722 B2 JP2913722 B2 JP 2913722B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、内燃機関(以下、必要に応じ「エンジン」
という)の可変圧縮比装置に関する。
[従来の技術] 従来より、エンジン中負荷域よりも大きい高負荷域や
高エンジン回転域においてはノッキングを発生させない
ようにしながら、中負荷域以下では熱効率を上げて燃費
等の改善をはかるべく、圧縮比を可変にしうるエンジン
が各種提案されている。
かかる圧縮比可変機構は、例えば特公昭63−32972号
公報に開示されている。この公報に開示された圧縮比可
変機構は、エンジンのコネクティングロッドの両端の軸
支部の一方に、コネクティングロッドの軸受孔とこの軸
受孔を挿通する支軸とを互いに偏心させる偏心軸受を、
ピストンからの荷重と支軸からの反力とが偏心すること
によって生じる回転力によって自在に回転するように設
け、更には軸受半径方向に移動可能なロックピンを駆動
することにより偏心軸受の回転を自由と固定との間に切
り替えるための油圧式作動式ロック手段を設けて、この
ロック手段への供給作動オイルの圧力を、ピストン位置
の検出手段と運転条件の検出手段との信号を受けるコン
ピュータからの信号により、ロック中には常時ロック手
段に油圧力がかかり、ロック解除中にはロック手段に油
圧力がかからない条件下で制御するようにしたものであ
る。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、このような従来の内燃機関の可変圧縮
比機構では、このロック手段への供給作動オイルの圧力
を、ロック中には常時ロック手段に油圧力にかけている
が、この場合、作動オイルはピストンを挾んで設けられ
た油圧室の一方にしか作用させていないので、かかる油
圧室内の油圧が遠心力やコネクティングロッドの往復運
動の加速度によって大きく変動し、これによりロック動
作が不確実になるおそれがあり、その結果ロック時の信
頼性が低下するという問題点がある。
ところで、特公昭63−49057号公報には、ロックピン
穴やロックピンの固定室に流体圧を供給してエンジンの
圧縮比を切り換えるようにした技術が開示されている。
しかしながら、この技術は、油通路を介してロックピ
ンに作用する油圧が回転数に応じて変化したり、作動油
の温度変化によって粘性が異なり油圧応答性が変化した
りする不具合を改善するためのものであって上述の課題
を解決できるようなものではなかった。
本発明は、このような問題点を解決しようとするもの
で、遠心力やコネクティングロッドの往復運動の加速度
によって、ロック手段によるロック・アンロック動作が
不確実にならないようにした、内燃機関の可変圧縮比装
置を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] このため、請求項1に記載の本発明の内燃機関の可変
圧縮比装置は、内燃機関の気筒内を往復動するピストン
に一端部を枢支されると共に他端部をクランクシャフト
に枢支されたコネクティングロッドをそなえ、該コネク
ティングロッドの両端部における枢支部のいずれか一方
に該コネクティングロッドの軸受穴とこの軸受穴を挿通
する支軸とを相互に偏心させる偏心スリーブが回転可能
に設けられ、該偏心スリーブの回転を所要位置で固定し
うる偏心スリーブロック手段が設けられて、該偏心スリ
ーブロック手段が、該偏心スリーブに形成された係合部
に係合しうるピン部材と、該ピン部材に連結されたピス
トン部を移動させることによって該ピン部材を駆動しう
るピストン式流体圧駆動機構とをそなえて構成され、該
ピストン式流体圧駆動機構が、該ピストン部の両側に流
体圧室をそなえるとともに、一方の流体圧室に該ピスト
ン部を他方の流体圧室側へ移動させるべく付勢するリタ
ーンスプリングをそなえ、且つ、上記の両流体圧室に予
め所要の流体圧を印加しておく手段と、該ピストン部を
該リターンスプリングの付勢力に抗して該一方の流体圧
室側へ移動させるべく該他方の流体圧室に該所要の流体
圧よりも高い流体圧を印加しうる手段とをそなえている
ことを特徴としている。
また、請求項2に記載の本発明の内燃機関の可変圧縮
比装置は、内燃機関の気筒内を往復動するピストンに一
端部を枢支されると共に他端部をクランクシャフトに枢
支されたコネクティングロッドをそなえ、該コネクティ
ングロッドの両端部における枢支部のいずれか一方に該
コネクティングロッドの軸受穴とこの軸受穴を挿通する
支軸とを相互に偏心させる偏心スリーブが回転可能に設
けられ、該偏心スリーブの回転を所要位置で固定しうる
偏心スリーブロック手段が設けられて、該偏心スリーブ
ロック手段が、該偏心スリーブに形成された係合部に係
合しうるピン部材と、該ピン部材に連結されたピストン
部を移動させることによって該ピン部材を駆動しうるピ
ストン式流体圧駆動機構とをそなえて構成され、該ピス
トン式流体圧駆動機構が、該ピストン部の両側に流体圧
室をそなえるとともに、該両流体圧室間で差圧が生じ低
圧側においても所要の流体圧を有するように両流体圧室
に流体圧を印加し且つ一方の流体圧室の流体圧の方が高
い状態と他方の流体圧室の流体圧の方が高い状態との切
替が可能な手段をそなえていることを特徴としている。
[作 用] まず、請求項1記載の本発明の内燃機関の可変圧縮比
装置では、ピストン式流体圧駆動機構においてそのピス
トン部の両側に形成された両流体圧室に予め所要の流体
圧を印加しておく。
そして、例えばピストン部を一方の流体圧室側へ移動
させてピン部材をある方向へ駆動する場合は、他方の流
体圧室に上記所要の流体圧よりも高い流体圧を印加す
る。これにより、ピストン部がリターンスプリングの付
勢力に抗して一方の流体圧室側へ移動する。
また、ピストン部を他方の流体圧室側へ移動させてピ
ン部材を逆方向へ駆動する場合は、他方の流体圧室を元
の上記所応の流体圧状態に戻す。これにより、ピストン
部がリターンスプリングの付勢力によって他方の流体圧
室側へ移動する。
次に、請求項2記載の本発明の内燃機関の可変圧縮比
装置では、ピストン式流体圧駆動機構においてそのピス
トン部の両側に形成された両流体圧室間で差圧が生じ低
圧側においても所要の流体圧を有するように両流体圧室
に流体圧を印加するが、例えばピストン部を一方の流体
圧室側へ移動させてピン部材をある方向へ駆動する場合
は、他方の流体圧室の流体圧の方が高い状態にする。こ
れにより、ピストン部が両流体室間の差圧によって一方
の流体圧室側へ移動する。
また、ピストン部を他方の流体圧室側へ移動させてピ
ン部材を逆方向へ駆動する場合は、一方の流体圧室の流
体圧の方が高い状態に切り替える。これにより、ピスト
ン部が両流体室間の差圧によって他方の流体圧室側へ移
動する。
[実 施 例] 以下、図面により本発明の実施例について説明する
と、第1〜8図は本発明の第1実施例としての内燃機関
の可変圧縮比装置を示すもので、第1図は低圧縮比状態
にあるときの様子を示す全体構成図、第2図は低圧縮比
応対にあるときの様子を示すコネクティングロッドの正
面図、第3図は高圧縮比状態にあるときの様子を示す全
体構成図、第4図は高圧縮比状態にあるときの様子を示
すコネクティングロッドの正面図、第5図は第1,3図の
V部拡大断面図、第6図は低圧縮比状態にあるときの様
子を示す油圧駆動機構の断面図、第7図は高圧縮比状態
にあるときの様子を示す油圧駆動機構の断面図、第8図
はその油圧回路図であり、第9〜13図は本発明の第2実
施例としての内燃機関の可変圧縮比装置を示すもので、
第9図は低圧縮比状態にあるときの様子を示す全体構成
図、第10図は高圧縮比状態にあるときの様子を示す全体
構成図、第11図は低圧縮比状態にあるときの様子を示す
油圧駆動機構の断面図、第12図は高圧縮比状態にあると
きの様子を示す油圧駆動機構の断面図、第13図はその油
圧回路図であり、第14図はクランクシャフトの各部寸法
等を説明する図、第15図は油圧駆動機構およびその油圧
供給系にかかる油圧の特性図であり、各図中、同じ符号
はほほ同様の部分を示している。
まず、第1実施例について説明する。
さて、第1〜4図に示すように、コネクティングロッ
ド6が、その小端部をガソリンエンジン(内燃機関)の
気筒内を往復動するピストン8のピストンピン7に枢支
されるとともに、その大端部をクランクシャフト1のク
ランクピン2に枢支されている。
また、このコネクティングロッド6の大端部における
枢支部には、コネクティグロッド6の軸受穴とこの軸受
穴を挿通する支軸としてのクランクピン2とを相互に偏
心させる偏心スリーブ5が回転可能に設けられている。
即ちこの偏心スリーブ5はその内周円の中心とその外周
円の中心とが偏心しており、偏心最大位置からクランク
ピン2の外周を180゜回転すると最小偏心位置を採りう
るようになっている。
なお、偏心スリーブ5の内周面とクランクピン2の外
周面との間には、第5図に詳しく示すように、偏心スリ
ーブ5の内周面付きのメタル軸受9が介装されるととも
に、偏心スリーブ5の外周面とコネクティングロッド6
の軸受穴の内周面との間には、コネクティングロッド6
の軸受穴の内周面付きのメタル軸受10が介装されてい
る。これにより、偏心スリーブ5とクランクピン2との
間で摺動できるとともに、偏心スリーブ5とコネクティ
ングロッド6の軸受穴との間で摺動できるようになって
いる。
ところで、偏心スリーブロック手段11が設けられてい
るが、この偏心スリーブロック手段11は、偏心スリーブ
5の軸方向即ちクランクシャフト1の軸方向の移動しう
るピン部材としてのストッパピン12をそなえており、こ
のストッパピン12をそのピストン式流体圧駆動機構とし
ての油圧駆動機構11Aで作動させることにより、偏心ス
リーブ5に形成された2つの係合部5a,5bにストッパピ
ン12を係合させて、この偏心スリーブ5の回転を2つの
位置(上記の偏心最大位置と最小偏心位置)で固定しう
るものである。
さらに、この偏心スリーブロック手段11について詳述
する。第6,7図に示すように、まず、ストッパピン12の
中間部には、フランジ状にピストン部12aが拡径して一
体に設けられており、このピストン部12a付きストッパ
ピン12が、コネクティングロッド6の大端部に形成され
た貫通穴に嵌合されている。この貫通穴はコネクティン
グロッド6の大端部をクランクシャフト軸方向に貫通し
ており、3つの径を有する3段穴部として構成されてい
て、一端部に位置する小径穴部はストッパピン12の径と
ほぼ同じで、中間部に位置する中径穴部はピストン12a
の径とほぼ同じで、他端部に位置する大径穴部はピスト
ン12aより大きく設定されている。
従って、この貫通穴にピストン部12a付きストッパピ
ン12を入れると、貫通穴に小径穴部にストッパピン12が
液密に挿通されるとともに、貫通穴の中径穴部にピスト
ン部12aが液密に挿嵌される。そして、リターンスプリ
ング15を入れて、更に貫通穴の大径部とほぼ同径で中央
部にストッパピン12とほぼ同径の貫通穴を形成されたキ
ャップ16を嵌め込み、このキャップ16をコネクティング
ロッド6にボルト等にて固定すると、ストッパンピン12
がその一端部を貫通穴の小径部に液密に嵌挿されるとと
もにその他端部をキャップ16の貫通穴に液密に嵌挿され
て、貫通穴の中径部がピストン部12aにて2つのチャン
バ13,14に分割される。そして、このチャンバ13,14にそ
れぞれ油圧通路17,18が連通接続されるようになってい
る。これにより、これらの2つのチャンバは、ピストン
部12aの両側に形成される油圧室(流体圧室)13,14とし
て構成される。なお、リターンスプリング15は油圧室13
内に装填されて、ピストン部12a付きストッパピン12を
油圧室14側へ付勢していることになる。なお、ピストン
部12a両側の受圧面積は等しく設定されている。
これにより、このストッパピン12に付設のピストン部
12a,油圧室13,14,リターンスプリング15,キャップ16等
で、ストッパピン12に連結されたピストン部12aを移動
させることによってストッパピン12を駆動しうるピスト
ン式油圧駆動機構11Aが構成される。
また、偏心スリーブ5は、第1〜4図に示すごとく、
コネクティングロッド6の大端部を挟むように軸方向に
離隔したフランジ部を有しているが、一方のフランジ部
における偏心スリーブ5が偏心最小位置を採るような部
分には、切欠き状の係合部5aが形成されるとともに、他
方のフランジ部における偏心スリーブ5が偏心最大位置
を採るような部分には、切欠き状の係合部5bが形成され
ていて、ストッパピン12が第3,7図に示すように右方へ
移動して第1の位置をとった状態で、第3,4図に示すよ
うに、ストッパピン12と係合部5bとが係合して、偏心ス
リーブ5が最大偏心位置でコネクティングロッド6の大
端部に固定されるとともに、ストッパピン12が第1,6図
に示すように左方へ移動して第2の位置をとった状態
で、第1,2図に示すように、ストッパピン12と係合部5a
とが係合して、偏心スリーブ5が最小偏心位置でコネク
ティングロッド6の大端部に固定されるようになってい
る。
そして、偏心スリーブ5が最大偏心位置でコネクティ
ングロッド6の大端部に固定されると、コネクティング
ロッド6は見掛け上最も伸びた状態になって、高圧縮比
状態を実現することができ、偏心スリーブ5が最小偏心
位置でコネクティングロッド6の大端部に固定される
と、コネクティングロッド6は見掛け上最も縮んだ状態
になって、低圧縮比状態を実現することができるのであ
る。なお、この低圧縮比状態での圧縮比はエンジンがノ
ッキングを起こさない程度の値が選ばれ、これは通常の
エンジンにおいて設定されている値とほぼ同等である。
したがって、高圧縮比状態での圧縮比が通常のエンジン
で設定されている値よりも高い値として設定されること
になる。
さらに、両油圧室13,14に油圧通路17,18を通じて予め
所要の油圧(標準油圧)を印加しておく手段と、ピスト
ン部12a付きストッパピン12をリターンスプリング15の
付勢力に抗して油圧室13側へ移動させるべく、油圧室14
に上記の標準油圧よりも高い油圧(標準油圧+α)を印
加しうる手段とが設けられている。
すなわち、油圧通路17,18は、第1,3図に示すように、
クランクシャフト1のクランクジャーナル3からクラン
クアーム4の部分を通ってクランクピン2から更にメタ
ル軸受9,偏心スリーブ5,メタル軸受10およびコネクティ
ングロッド6の大端部を通って、それぞれ油圧室13,14
に連通接続されている。
なお、メタル軸受9とクランクピン2との間およびメ
タル軸受10と偏心スリーブ5との間は摺動するので、第
5図に示すごとく、メタル軸受9,10の内周面には、この
内周面を一周しそれぞれ油圧通路17,18につながる2条
の無端状溝が形成され、メタル軸受9に形成された各溝
には偏心スリーブ5に形成された油圧通路17,18の部分
に整合する貫通穴が形成されるとともに、メタル軸受10
に形成された各溝にもコネクティングロッド6の大端部
に形成された油圧通路17,18の部分に整合する貫通穴が
形成されている。
また、第8図に示すように、油圧通路17のクランクシ
ャフト外の部分はメインギャラリ23側につながるととも
に、油圧通路18のクランクシャフト外の部分はサブオイ
ルポンプ24またはメインギャラリ23側につながってい
る。すなわち、オイルタンクあるいはオイルパン20から
のオイル(潤滑油)はリリーフバルブ21付きのオイルポ
ンプ19によって所要油圧(標準油圧を供給する油圧)の
オイルとしてオイルフィルタ22を介してメインギャラリ
23へ供給され、このメインギャラリ23からは油圧通路17
を通じて標準油圧のオイルを供給する。さらに、メイン
ギャラリ23からのオイルは、サブオイルポンピ24へ供給
されて更に高い油圧(標準油圧+α)として吐出される
ようになっているが、このサブオイルポンプ24からの油
圧はスイッチングバルブ25を介してメインギャラリ23か
らの油圧と選択的に油圧通路18へ供給されるようになっ
ている。すなわち、スイッチングバルブ25を第8図に示
すようにa位置にすると、油圧通路18へはメインギャラ
リ23からの標準油圧が供給され、スイッチングバルブ25
をb位置にすると、油圧通路18へはサブオイルポンプ24
からの高い油圧(標準油圧+α)が供給されるようにな
っている。
したがって、スイッチングバルブ25をb位置にする
と、油圧通路18へはサブオイルポンプ24からの高い油圧
(標準油圧+α)が供給されて、油圧室14にこの高い油
圧が供給される。このとき油圧室13内には油圧通路17を
介してメインギャラリ23からの標準油圧が供給されてい
るので、リターンスプリング15の付勢力に抗してピスト
ン部12a付きスントッパピン12が、第3,7図に示すように
右方へ移動して、第1の位置をとると、第3,4図に示す
ように、ストッパピン12と係合部5bとが係合して、偏心
スリーブ5が最大偏心位置でコネクティングロッド6の
大端部に固定される。これにより、コネクティングロッ
ド6は見掛け上最も伸びた状態になって、高圧縮比状態
を実現することができる。
また、スイッチングバルブ25をa位置にすると、油圧
通路18へはメインギャラリ23からの標準油圧が供給され
て、油圧室14にもこの標準油圧が供給される。このとき
油圧室13内には油圧通路17を介してメインギャラリ23か
らの標準油圧が供給されているので、リターンスプリン
グ15の付勢力によって、ピストン部12a付きストッパピ
ン12が、第2,6図に示すように左方へ移動して、第2の
位置をとると、第1,2図に示すように、ストッパピン12
と係合部5aとが係合して、偏心スリーブ5が最小偏心位
置でコネクティングロッド6の大端部に固定される。こ
れにより、コネクティングロッド6は見掛け上最も縮ん
だ状態になって、低圧縮比状態を実現することができ
る。
なお、オイルポンプ19,サブオイルポンプ24は共にエ
ンジンによって駆動されるようになっている。
また、第8図中の符号26はリリーフバルブで、このリ
リーフバルブ26は、(標準油圧+α)と標準油圧との差
圧αが一定となるように調整するものである。
さらに、27はスイッチングバルブ25の切替制御用のオ
イルコントロールバルブで、このオイルコントロールバ
ルブ27をa位置にすると、スイッチングバルブ25のパイ
ロット油圧が低下してスイッチングバルブ25をa位置に
することができ、オイルコントロールバルブ27をb位置
にすると、スイッチンバルブ25のパイロット油圧が上が
ってスイッチングバルブ25をb位置にすることができる
ようになっている。
そして、このオイルコントロールバルブ27へはコント
ローラ40からの切替制御信号が入力されるようになって
いるが、コントロール40は、エンジン負荷センサ41やエ
ンジ回転数センサ42からの検出信号を受けて、エンジン
中負荷域よりも大きいエンジン高負荷域あるいはエンジ
ン高回転域を検出すると、オイルコントロールバルブ27
をa位置にするような制御信号を出し、エンジン中負荷
以下の領域を検出すると、オイルコントロールバルブ27
をb位置にするような制御信号を出すようになってい
る。
上述の構成により、エンジン中負荷以下の領域を検出
すると、オイルコントロールバルブ27をb位置にするよ
うな制御信号を出すので、スイッチングバルブ25もb位
置になって、油圧通路18へはオイルポンプ24からの高い
油圧が供給されて、油圧室14にこの高い油圧(標準油圧
+α)が供給される。このとき油圧室13内には油圧通路
17を介してメインギャラリ23からの標準油圧が供給され
ているので、結果として上記の高い油圧(標準油圧+
α)と標準油圧との差圧αがピストン部12aにかかり、
これによりこの差圧α分がリターンスプリング15の付勢
力に抗してピストン部12a付きストッパピン12を第3,7図
に示すように右方へ移動させる。その結果、ストッパピ
ン12が第1の位置をとり、第3,4図に示すように、スト
ッパピン12と係合部5bとが係合し、偏心スリーブ5が最
大偏心位置でコネクティングロッド6の大端部に固定さ
れる。これにより。コネクティングロッド6は見掛け上
最も伸びた状態になって、高圧縮比状態となる。このよ
うに高圧縮比状態にすると、熱効率が良くなり、燃費の
向上等が期待できる。
また、エンジン中負荷域よりも大きいエンジン高負荷
域あるいはエンジン高回転域を検出すると、オイルコン
トロールバルブ27をa位置にするような制御信号を出す
ので、スイッチングバルブ25もa位置となって、油圧通
路17,18へは共にメインギャラリ23からの標準油圧が供
給されて、油圧室13,14に標準油圧が供給される。これ
により、リターンスプリング15の付勢力によって、ピス
トン部12a付きストッパピン12が、第2,6図に示すように
左方へ移動して、第2の位置をとると、第1,2図に示す
ように、ストッパピン12と係合部5aとが係合して、偏心
スリーブ5が最小偏心位置でコネクティグロッド6の大
端部に固定される。その結果、コネクティングロッド6
は見掛け上最も縮んだ状態になって、低圧縮比状態とな
る。このように低圧縮比状態にすることにより、ノッキ
ングを確実に回避することができる。
このようにこの第1実施例では、両油圧室13,14にベ
ースとしてそれぞれ標準油圧の制御油圧を印加している
ので、エンジン回転数やクランク角度の変化により、両
油圧室間の圧力差が変化せず、これにより遠心力やコネ
クティングロッド6の往復運動の加速度等によって、ス
トッパピン12の作動が不確実になることはない。
また、ストッパピン12がクランクシャフト1の軸方向
に移動しうるように構成されているので、コネクティン
グロッドの往復運動等に基づき生じる慣性力の影響を受
けてもストッパピン12を確実に動作させることができ
る。
さらに、ストッパピン12が第1の位置をとると、偏心
スリーブ5を最大偏心位置でコネクティングロッド6の
大端部に固定することができるとともに、ストッパピン
12が逆方向に移動して第2の位置をとると、偏心スリー
ブ5を最小偏心位置でコネクティングロッド6の大端部
に固定することができるので、ストッパピン12の駆動タ
イミングを考える必要がなく、これにより圧縮比を変更
するための制御を簡素化することができる。これに対
し、特公昭63−32972号公報に記載のものでは、ピスト
ン位置を検出してロックピン突出タイミングを制御する
必要があり、制御が複雑になる。
上記のように油圧室13,14へ供給される制御油圧はシ
リンダブロックジャーナル→クランクシャフト1のクラ
ンクピン2→コネクティグロッド6の経路を経て供給さ
れるため、この制御油圧はクランクシャフト遠心力やコ
ネクティングロッド遠心力を受けて大きく変動する。
即ち、第14図に示すように、クランクシャフト角速度
をω、クランク半径をR、クランクジャーナル半径をr
j、クランクピン半径をrp、クランクピン中心からスト
ッパピン中心までの油路長をlとし、ジャーナル部の油
圧をPAとすると、角速度ωにおけるクランクピン中心で
の油圧PPCは次のようになる。
PPC=P+(1/A)∫Δmrω=P+(1/2)ρω(R-rj) …(1) ここで、Aは油路の断面積、Δmは微小距離間の油の
質量、ρは油の密度である。
さらに、コネクティングロッド供給油圧PCRは次のよ
うになる。
PCR=PPC+(1/A)∫Δmrω =P+(1/2)ρω(R-rj)+ρω・R・rp・cosωt …(2) 同様に、コンクティングロッド・ストッパピン部油圧
PSPは次のようになる。
PSP=PA(1/2)ρω(R-rj)+ρωR(rp+l)cosωt =P+ρω{(1/2)(R-rj)+R(rp+l)cosωt} …(3) ここで、 PB=(1/2)ρω(R2−rj2) …(4) PC=ρω2R(rp+l)cosωt …(5) とすると、PAはエンジン回転数およびオイル粘性係数の
関数、PBはエンジン回転数およびクランク位相の関数で
あるから、コネクティングロッド6に内蔵されたストッ
パピンの制御油圧は第15図に示すように大きく変動す
る。なお、第15図において、コネクティングロッド供給
油圧PCRはクランクピン部油圧(max,min)(特性B,C)
であり、コネクティングロッド・ストッパピン部油圧P
SPはストッパピン部油圧(max,min)(特性D,E)であ
る。
しかし、本実施例のように、両油圧室13,14間に差圧
分αが作用するようにすれば、クランクシャフト遠心力
やコネクティングロッド遠心力を受けて変動する圧力分
が相殺されるため、エンジン回転数やクランク位相の影
響を受けない油圧供給系を形成することができるのであ
る。
次に第9〜13図を用いて第2実施例を説明する。
さて、この第2実施例も、第9,10図に示すように、コ
ネクティグロッド6の大端部における枢支部に、コネク
ティングロッド6の軸受穴とこの軸受穴を挿通する支軸
としてのクランクピン2とを相互に偏心させる偏心スリ
ーブ5が、偏心最大位置と最小偏心位置を採りうるよう
に回転可能に設けられている。
また、偏心スリーブロック手段11も設けられており、
この偏心スリーブロック手段11も、偏心スリーブ5の軸
方向、即ちクランクシャフト1の軸方向に移動しうるピ
ン部材としてのストッパピン12をそのピストン式流体圧
駆動機構としての油圧駆動機構11Aで作動させることに
より、偏心スリーブ5に形成された2つの係合部5a,5b
にストッパピ12を係合させて、この偏心スリーブ5の回
転を2つの位置(上記の偏心量大位置と最小偏心位置)
で固定しうるものである。
なお、この実施例においても、偏心スリーブ5は、コ
ネクティグロッド6の大端部を挟むように軸方向に離隔
したフランジ部を有しており、一方のフランジ部におけ
る偏心スリーブ5が偏心最小位置を採るような部分に
は、切欠き状の係合部5aが形成されるとともに、他方の
フランジ部における偏心スリーブ5が偏心最大位置を採
るような部分には、切欠き状の係合部5bが形成されてい
て、ストッパピン12が第10,12図に示すように右方へ移
動して第1の位置をとった状態で、第10図に示すよう
に、ストッパピン12と係合部5bとが係合して、偏心スリ
ーブ5が最大偏心位置でコネクティングロッド6の大端
部に固定されるとともに、ストッパピン12が第9,11図に
示すように左方へ移動して第2の位置をとった状態で、
第9図に示すように、ストッパピン12と係合部5aのが係
合して、偏心スリーブ5が最小偏心位置でコネクティン
グロッド6の大端部に固定されるようになっていて、更
に偏心スリーブ5が最大偏心位置でコネクティングロッ
ド6の大端部に固定されると、コネクティングロッド6
は見掛け上最も伸びた状態になって、高圧縮比状態を実
現することができ、偏心スリーブ5が最小偏心位置でコ
ネクティングロッド6の大端部に固定されると、コネク
ティングロッド6は見掛け上最も縮んだ状態になって、
低圧縮比状態を実現することができるようになってい
る。
ところで、この第2実施例では、偏心スリーブロック
手段11の構造が前述の第2実施例と異なる。
すなわち、ピストン部12a付きストッパピン12を、コ
ネクティングロッド6の大端部に形成された貫通穴に嵌
合して、キャップ16をコネクティングロッド6にボルト
等にて固定することにより、貫通穴の中径部がピストン
部12aにて2つのチャンバ13,14に分割されて、これが油
圧室として構成され、各チャンバ13,14に油圧通路17,18
が連通接続されていることは前述の第1実施例と同じで
あるが、この第2実施例では、油圧室13,14のいずれに
もリターンスプリングは装填されていない。
その代わりに、両油圧室13,14間で差圧α′(α′<
α)が生じ低圧側においても所要の油圧(標準油圧)を
有するように両油圧室13,14に油圧を印加し且つ一方の
油圧室13の油圧の方が高い状態(標準油圧+α′)と他
方の油圧室14の油圧の方が高い状態(標準油圧+α′)
との切替が可能な手段を有している。
かかる手段について更に詳述する。
すなわち、油圧通路17,18は、第9,10図に示すよう
に、クランクシャフト1のクランクジャーナル3からク
ランクアーム4の部分を通ってクランクピン2から更に
メタル軸受9,偏心スリーブ5,メタル軸受10およびコネク
ティングロッド6の大端部を通って、それぞれ油圧室1
3,14に連通接続されているが、第13図に示すように、油
圧通路17,18のクランクシャフト外の部分はサブオイル
ポン24またはメインギャラリ23側につながっている。す
なわち、オイルタンク20からのオイル(潤滑油)はリリ
ーフバルブ21付きのオイルポンプ19によって所要油圧
(標準油圧)のオイルとしてオイルフィルタ22を介して
メインギャラリ23へ供給され、このメインギャラリ23か
らのオイルは、サブオイルポンプ24へ供給されて更に高
い油圧(標準油圧+α′)として吐出されるようになっ
ているが、このサブオイルポンプ24からの油圧はスイッ
チングバルブ25′を介してメインギャラリ23からの油圧
と選択的に油圧通路17,18へ供給されるようになってい
る。すなわち、スイッチングバルブ25′を第13図に示す
ようにa位置にすると、油圧通路17へはメインギャラリ
23からの標準油圧が供給されるとともに、油圧通路18へ
はサブオイルポンプ24からの高い油圧(標準油圧+
α′)が供給される一方、スイッチングバルブ25をb位
置にすると、油圧通路18へはメインギャラリ23からの標
準油圧が供給されるとともに、油圧通路17へはサブオイ
ルポンプ24からの高い油圧(標準油圧+α′)が供給さ
れるようになっているのである。これにより、両油圧室
13,14間には、常時差圧α′が生じていることになる。
したがって、スイッチングバルブ25′をa位置にする
と、油圧通路17へはメインギャラリ23からの標準油圧が
供給されるとともに、油圧通路18へはサブオイルポンプ
24からの高い油圧(標準油圧+α′)が供給されて、油
圧室13には標準油圧が供給され、油圧室14には(標準油
圧+α′)が供給される。これにより、ピストン部12a
付きストッパピン12が第10,12図に示すように右方へ移
動して、第1の位置をとり、第10図に示すように、スト
ッパピン12と係合部5bとが係合して、偏心スリーブ5が
最大偏心位置でコネクティングロッド6の大端部に固定
される。これにより、コネクティングロッド6は見掛け
上最も伸びた状態になって、高圧縮比状態を実現するこ
とができる。
また、スイッチングバルブ25′をb位置にすると、油
圧通路18へはメインギャラリ23からの標準油圧が供給さ
れるとともに、油圧通路17へはサブオイルポンプ24から
の高い油圧(標準油圧+α′)が供給されるので、ピス
トン部12a付きストッパピン12が第9,11図に示すように
左方へ移動して、第2の位置をとり、第9図に示すよう
に、ストッパピン12と係合部5aとが係合して、偏心スリ
ーブ5が最小偏心位置でコネクネィングロッド6の大端
部に固定される。これにより、コネクティングロッド6
は見掛け上最も縮んだ状態になって、低圧縮比状態を実
現することができる。
なお、ピストン部12a両側の受圧面積は等しく設定さ
れており、ピストン部12aの摺動摩擦は無視できるほど
小さいものとする。
また、第13図中の符号26′はリリーフバルブで、この
リリーブバルブ26′は、(標準油圧+α′)は標準油圧
との差圧α′が一定となるように調整するものである。
さらに、27′はスイッチングバルブ25′の切替制御用
のオイルコントロールバルブで、このオイルコントロー
ルバルブ27′をa位置にすると、スイッチングバルブ2
5′のパイロット油圧が低下してスイッチングバルブ2
5′をa位置にすることができ、オイルコントロールバ
ルブ27′をb位置にすると、スイッチングバルブ25′の
パイロット油圧が上がってスイッチングバルブ25′をb
位置にすることができるようになっている。
そして、このオイルコントロールバルブ27′へはコン
トローラ40からの切替制御信号が入力されるようになっ
ているが。コントローラ40は、エンジン負荷センサ41や
エンジン回転数センサ42からの検出信号を受けて、エン
ジン中負荷域よりも大きいエンジン高負荷域あるいはエ
ンジン高回転域を検出すると、オイルコントロールバル
ブ27′をb位置にするような制御信号を出し、エンジン
中負荷以下の領域を検出すると、オイルコントロールバ
ルブ27′をa位置にするような制御信号を出すようにな
っている。
上述の構成により、エンジン中負荷以下の領域を検出
すると、オイルコントロールバルブ27′をa位置にする
ような制御信号を出すので、スイッチングバルブ25′も
a位置になって、油圧通路17へはメインギャラリ23から
の標準油圧が供給されるとともに、油圧通路18へはサブ
オイルポンプ24からの高い油圧(標準油圧+α′)が供
給されて、油圧室14内の油圧の方が高い状態となるの
で、結果として上記の高い油圧(標準油圧+α′)と標
準油圧との差圧α′がピストン部12aにかかり、これに
よりこの差圧α′分がピストン部12a付きストッパピン1
2を第10,12図に示すように右方へ移動させて、第1の位
置をとる。その結果、第10図に示すように、ストッパピ
ン12と係合部5bとが係合して、偏心スリーブ5が最大偏
心位置でコネクティングロッド6の大端部に固定され
る、これにより、コネクティングロッド6は見掛け上最
も伸びた状態になって、高圧縮比状態となる。このよう
に高圧縮比状態にすると、熱効率が良くなり、燃費の向
上等が期待できる。
また、エンジン中負荷域よりも大きいエンジン高負荷
域あるいはエンジン高回転域を検出すると、オイルコン
トロールバルブ27′をb位置にするような制御信号を出
すので、スイッチングバルブ25′もb位置となって、油
圧通路18へはメインギャラリ23から標準油圧が供給され
るとともに、油圧通路17へはサブオイルポンプ24からの
高い油圧(標準油圧+α′)が供給されて、今度は逆に
油圧室13内の油圧の方が高い状態となるので、ピストン
部12a付きストッパピン12が第9,11図に示すように左方
へ移動して、第2の位置をとり、第9図に示すように、
ストッパピン12と係合部5aとが係合して、偏心スリーブ
5が最小偏心位置でコネクティングロッド6の大端部に
固定される。その結果、コネクティングロッド6は見掛
け上最も縮んだ状態になって、低圧縮比状態となる。こ
のように低圧縮比状態にすることにより、ノッキングを
確実に回避することができる。
このようにこの第2実施例では、両油圧室13,14間で
差圧α′が生じ低圧側においても所要の油圧(標準油
圧)を有するように両油圧室13,14に油圧を印加し且つ
一方の油圧室13の油圧の方が高い状態(標準油圧+
α′)と他方の油圧室14の油圧の方が高い状態(標準油
圧+α′)との切替が可能な手段を有しているので、エ
ンジン回転数やクランク角度の変化により、両油圧室間
の圧力差が変化せず、これにより遠心力やコネクティン
グロッド6の往復運動の加速度等によって、ストッパピ
ン12の作動が不確実になることがないほか、両油圧室1
3,14間の差圧α′は前述の第1実施例における差圧α
(この差圧αはリターンスプリング15の付勢力に打ち勝
つ大きさが必要である)に比べ小さいものでよい(理論
的には正の任意の値をもてばよい)ので、例えばエンジ
ン低回転時のようなサブオイルポンプ24の吐出能力が低
いときにおいても、確実にストッパピン12を駆動するこ
とができるものである。
また、ストッパピン12がクランクシャフト1の軸方向
に移動しうるように構成されているので、コネクティン
グロッドの往復運動等に基づき生じる慣性力の影響を受
けてもストッパピン12を確実に動作させることができ
る。
さらに、ストッパピン12が第1の位置をとると、偏心
スリーブ5を最大偏心位置でコネクティングロッド6の
大端部に固定することができるとともに、ストッパピン
12が逆方向に移動して第2の位置をとると、偏心スリー
ブ5を最小偏心位置でコネクティングロッド6の大端部
に固定することができるので、ストッパピン12の駆動タ
イミングを考える必要がなく、これにより圧縮比を変更
するための制御を簡素化することができる。
なお、上記の各実施例において、偏心スリーブロック
手段11,29のストッパピン12,30の駆動手段として、圧油
を用いたものを使用したが、その他所要圧の流体(液体
や気体)を用いたものを使用してもよい。
[発明の効果] 以上詳述したように、請求項1記載の本発明の内燃機
関の可変圧縮比装置によれば、内燃機関の気筒内を往復
動するピストンに一端部を枢支されると共に他端部をク
ランクシャフトに枢支されたコネクティングロッドをそ
なえ、コネクティングロッドの両端部における枢支部の
いずれか一方にコネクティングロッドの軸受穴とこの軸
受穴を挿通する支軸とを相互に偏心させる偏心スリーブ
が回転可能に設けられ、偏心スリーブの回転を所要位置
で固定しうる偏心スリーブロック手段が設けられて、偏
心スリーブロック手段が、偏心スリーブに形成された係
合部に係合しうるピン部材と、ピン部材に連結されたピ
ストン部を移動させることによってピン部材を駆動しう
るピストン式流体圧駆動機構とをそなえて構成され、ピ
ストン式流体圧駆動機構が、ピストン部の両側に流体圧
室をそなえるとともに、一方の流体圧室にピストン部を
他方の流体圧室側へ移動させるべく付勢するリターンス
プリングをそなえ、且つ、上記の両流体圧室に予め所要
の流体圧を印加しておく手段と、ピストン部をリターン
スプリングの付勢力に抗して一方の流体圧室側へ移動さ
せるべく他方の流体圧室に該所要の流体圧よりも高い流
体圧を印加しうる手段とをそなえているので、エンジン
回転数やクランク角度の変化により、両流体圧室間の圧
力差が変化せず、これにより遠心力やコネクティングロ
ッドの往復運動の加速度等の影響を受けても、ピン部材
が確実に作動するという利点がある。
すなわち、慣性力による作動流体圧の変動分が完全に
相殺され、コネクティングロッドの長手方向の両側の流
体通路の差圧が一定に保たれるため、エンジン回転数
や、クランク角の変化により、両流体通路における作動
流体の圧力差が変化せず、これにより遠心力やコネクテ
ィングロッドの往復運読の加速度等の影響を受けず、ポ
ンプの吐出圧力が十分高くない場合でも確実にピン部材
の切り換えを確実に行なうことができる。
さらに、上述の構成によりクランク軸のクランク角位
置にかかわらず、圧縮比モードの切換に併せてピン部材
の切り換えが常時可能となるため、煩雑な制御を省略で
き安価で本装置を提供することができる。
また、請求項2記載の本発明の内燃機関の可変圧縮比
装置は、ピストン式流体圧駆動機構が、ピストン部の両
側に流体圧室をそなえるとともに、両流体圧室間で差圧
が生じ低圧側においても所要の流体圧を有するように両
流体圧室に流体圧を印加し且つ一方の流体圧室の流体圧
の方が高い状態と他方の流体圧室の流体圧の方が高い状
態との切替が可能な手段をそなえているので、エンジン
回転数やクランク角度の変化により、両油圧室間の圧力
差が変化せず、これにより遠心力やコネクティングロッ
ドの往復運動の加速度等によって、ピン部材の作動が不
確実になることがないほど、高い流体圧を供給する加圧
手段の吐出能力が低いときにおいても、確実にピン部材
を作動できる利点がある。
すなわち、請求項2記載の発明においても、請求項1
に記載の発明と同様に、慣性力による作動流体圧の変動
分が完全に相殺され、コネクティングロッドの長手方向
の両側の流体通路の差圧が一定に保たれるため、エンジ
ン回転数や、クランク角の変化により、両流体通路にお
ける作動流体の圧力差が変化せず、これにより遠心力や
コネクティクロッドの往復運動の加速度等の影響を受け
ず、ポンプの吐出圧力が十分高くない場合でも確実にピ
ン部材の切り換えを確実に行なうことができる。
さらに、上述の構成によりクランク軸のクランク角位
置にかかわらず、圧縮比モードの切換に併せてピン部材
の切り換えが常時可能となるため、煩雑な制御を省略で
き安価で本装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1〜8図は本発明の第1実施例としての内燃機関の可
変圧縮比装置を示すもので、第1図は低圧縮比状態にあ
るときの様子を示す全体構成図、第2図は低圧縮比状態
にあるときの様子を示すコネクティングロッドの正面
図、第3図は高圧縮比状態にあるときの様子を示す全体
構成図、第4図は高圧縮比状態にあるときの様子を示す
コネクティングロッドの正面図、第5図は第1,3図のV
部拡大断面図、第6図は低圧縮比状態にあるときの様子
を示す油圧駆動機構の断面図、第7図は高圧縮比状態に
あるときの様子を示す油圧駆動機構の断面図、第8図は
その油圧回路図であり、第9〜13図は本発明の第2実施
例としての内燃機関の可変圧縮比装置を示すもので、第
9図は低圧縮比状態にあるときの様子を示す全体構成
図、第10図は高圧縮比状態にあるときの様子を示す全体
構成図、第11図は低圧縮比状態にあるときの様子を示す
油圧駆動機構の断面図、第12図は高圧縮比状態にあると
きの様子を示す油圧駆動機構の断面図、第13図はその油
圧回路図であり、第14図はクランクシャフトの各部寸法
等を説明する図、第15図は油圧駆動機構およびその油圧
供給系にかかる油圧の特性図である。 1……クランクシャフト、2……クランクピン、3……
クランクジャーナル、4……クランクアーム、5……偏
心スリーブ、5a,5b……係合部、6……コネクティング
ロッド、7……ピストンピン、8……ピストン、9,10…
…メタル軸受、11……偏心スリーブロック手段、11A…
…ピストン式流体圧駆動機構としての油圧駆動機構、12
……ストッパピン(ピン部材)、12a……ピストン部、1
3,14……油圧室(流体圧室)、15……リターンスプリン
グ、16……キャップ、17,18……油圧通路、19……オイ
ルポンプ、20……オイルタンク、21……リリーブバル
ブ、22……オイルフィルタ、23……メインギャラリ、24
……サブオイルポンプ、25,25′……スイッチングバル
ブ、26,26′……リリーフバルブ、27,27′……オイルコ
トロールバルブ、28……偏心スリーブ、28a,28b……係
合部、29……偏心スリーブロック手段、30……ストッパ
ピン(ピン部材)、30a……ピストン部、31,32……油圧
室(流体圧室)、33……リターンスプリング、34……キ
ャップ、35……ピストン式流体圧駆動機構としての油圧
駆動機構、40……コントローラ、41……エンジン負荷セ
ンサ、42……エンジン回転数センサ。
フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭58−32151(JP,U) 特公 昭52−47093(JP,B2) 特公 昭63−49057(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F02D 15/02 F16C 7/06 F16H 21/20

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の気筒内を往復動するピストンに
    一端部を枢支されると共に他端部をクランクシャフトに
    枢支されたコネクティングロッドをそなえ、該コネクテ
    ィングロッドの両端部における枢支部のいずれか一方に
    該コネクティングロッドの軸受穴とこの軸受穴を挿通す
    る支軸とを相互に偏心させる偏心スリーブが回転可能に
    設けられ、該偏心スリーブの回転を所要位置で固定しう
    る偏心スリーブロック手段が設けられて、該偏心スリー
    ブロック手段が、該偏心スリーブに形成された係合部に
    係合しうるピン部材と、該ピン部材に連結されたピスト
    ン部を移動させることによって該ピン部材を駆動しうる
    ピストン式流体圧駆動機構とをそなえて構成され、該ピ
    ストン式流体圧駆動機構が、該ピストン部の両側に流体
    圧室をそなえるとともに、一方の流体圧室に該ピストン
    部を他方の流体圧室側へ移動させるべく付勢するリター
    ンスプリングをそなえ、且つ、上記の両流体圧室に予め
    所要の流体圧を印加しておく手段と、該ピストン部を該
    リターンスプリングの付勢力に抗して該一方の流体圧室
    側へ移動させるべく該他方の流体圧室に該所要の流体圧
    よりも高い流体圧を印加しうる手段とをそなえているこ
    とを特徴とする、内燃機関の可変圧縮比装置。
  2. 【請求項2】内燃機関の気筒内を往復動するピストンに
    一端部を枢支されると共に他端部をクランクシャフトに
    枢支されたコネクティングロッドをそなえ、該コネクテ
    ィングロッドの両端部における枢支部のいずれか一方に
    該コネクティングロッドの軸受穴とこの軸受穴を挿通す
    る支軸とを相互に偏心させる偏心スリーブが回転可能に
    設けられ、該偏心スリーブの回転を所要位置で固定しう
    る偏心スリーブロック手段が設けられて、該偏心スリー
    ブロック手段が、該偏心スリーブに形成された係合部に
    係合しうるピン部材と、該ピン部材に連結されたピスト
    ン部を移動させることによって該ピン部材を駆動しうる
    ピストン式流体圧駆動機構とをそなえて構成され、該ピ
    ストン式流体圧駆動機構が、該ピストン部の両側に流体
    圧室をそなえるとともに、該両流体圧室間で差圧が生じ
    低圧側においても所要の流体圧を有するように両流体圧
    室に流体圧を印加し且つ一方の流体圧室の流体圧の方が
    高い状態と他方の流体圧室の流体圧の方が高い状態との
    切替が可能な手段をそなえていることを特徴とする、内
    燃機関の可変圧縮比装置。
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