JP2909737B2 - Pc板タイルの先付工法 - Google Patents

Pc板タイルの先付工法

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JP2909737B2 JP62085684A JP8568487A JP2909737B2 JP 2909737 B2 JP2909737 B2 JP 2909737B2 JP 62085684 A JP62085684 A JP 62085684A JP 8568487 A JP8568487 A JP 8568487A JP 2909737 B2 JP2909737 B2 JP 2909737B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> この発明は、施工後剥落し難いPC板タイルの先付工法
に関するものである。 <従来の技術と発明が解決しようとする問題点> タイルはそれ自身耐久性に優れているので外装仕上げ
材として多用されているが、施工安全性は必ずしも充分
ではなく、入念に施工された仕上げであっても、10年を
境として部分的剥落・落下の危険性が高い。 従って、長期的な劣化をいかにして防止するかが、タ
イルの外装仕上材としての将来を決定するものである。 従来、タイルの剥落・落下を防止する方法として、コ
ンクリートに接着用モルタル(ポリマーセメントスラリ
ー)を吹き付けた後、立体網目構造を有する不織布を張
付けてローラー型バイブレーターで上から押え、接着用
モルタルとなじませた後タイルを張付ける工法が存在し
た。 しかしこの工法は、直接建造物等の施工現場において
行なわれるので、実際には不織布を張付けるのは容易で
はなく、また折角不織布を張付け使用しても、接着用モ
ルタルと不織布を充分になじませるための労力と施工時
間を必ずしも充分に費やすことができず、従ってタイル
の剥落・落下防止に充分な効果が発揮されないことが多
かった。 また最近では、タイルを先付したPC板タイルが使用さ
れるようになったが、これを製造するPC板タイルの先付
工法においては、接着用モルタルとタイルとの間に不織
布を挾む工法は存在しなかった。 以上の事情を考慮して発明者は、PC板タイルの先付工
法において、タイルと接着用モルタルの間に不織布を介
在させると、従来の現場において施工する場合と異な
り、施工時間に余裕があるので不織布を充分に接着用モ
ルタルとなじませることができること、また接着用モル
タルとして、一定の配合を有し、かつコンシステンシー
の大きい(セルフレベリング性が大きい)モルタルを使
用すると、これを単に流し込むだけで、なお一層不織布
を接着用モルタルとなじませることができると共に、施
工も容易になることを発見し本発明を完成した。 <問題点を解決するための手段> すなわちこの発明は、下記(1)の構成を有するもの
である。 (1)タイルの裏面を上にして、これを型枠内に敷き積
め、その表面(タイルの裏面)に接着用モルタルを塗
り、更にその上にコンクリート、または鉄筋コンクリー
トを打設した後、養生・脱型するPC板タイルの先付工法
において、前記タイルと接着用モルタルとの間に不織布
を介在させると共に、接着用モルタルとして、セルフレ
ベリング性の大きい、次に記載するモルタル組成物を使
用することを特徴とするPC板タイルの先付工法。 (A)ポルトランドセメント 30乃至55部 (B)硅砂 30乃至70部 (C)炭酸カルシウム 10乃至20部 (D)ドロマイトプラスター 1.0乃至10部 (E)メチルセルロース 0.01乃至0.1部 (F)メラミン系樹脂 0.1乃至1.0部 この発明に使用する不織布は、立体網目構造を有し、
耐アルカリ性の合成樹脂製(ポリプロピレン系合成繊
維)が適している。 次に本願発明を工程順に分けて記載する。 第1工程:タイルの裏面を上にして、これを型枠内に
敷き積める。隙間が生ずる場合には、硬目のモルタルを
充填して完全にシールする。 第2工程:第1工程終了後のタイルの裏面に不織布を
張る(敷く)。 第3工程:第2工程終了後の不織布の上に接着用モル
タルを塗り上から押えて、不織布とタイルをなじませ
る。このとき、ローラー型バイブレーター等を使用して
もよい。しかし後述するように、本願発明に係るコンシ
ステンシーの大きい接着用モルタルを使用する場合に
は、単に流し込むだけでほぼ十分である。 第4工程:更にその上にコンクリート、または鉄筋コ
ンクリートを打設した後、養生・脱型する。 また、接着用モルタルとしては、次に記載する(A)
〜(F)の組成を有するモルタル組成物を使用する。こ
のモルタルは、施工後亀裂が生じ難く、かつコンシステ
ンシーが大きいので好適である。 (A)ポルトランドセメント 30乃至55部 (B)硅砂 30乃至70部 (C)炭酸カルシウム 10乃至20部 (D)ドロマイトプラスター 1.0乃至10部 (E)メチルセルロース 0.01乃至0.1部 (F)メラミン系樹脂 0.1乃至1.0部 この接着用モルタルの(A)〜(G)の材質、及び役
割(機能)についてについて説明すると次のとおりであ
る。 (A)普通のポルトランドセメントを用いる。セメント
量は目地の強度、タイルの付着力、ひび割れの点から30
〜50%が好ましい。 (B)硅砂の粒度はあまり大きい粒度の硅砂を用いると
コンシステンシーが悪くなるので直径0.6mm以下(5
号)が望ましい(例えば東洋シリカサンド)。硅砂と炭
酸カルシウムの比は、流動性の点から70:30特に程度が
適している。 (C)炭酸カルシウムはブレーン5000±500cm2/gの微粉
が望ましい(例えば日立寒水石。)セメント量と炭酸カ
ルシウム量の和は、作業性、保水性、ひび割れの点から
40〜75%が好ましい。 (D)ドロマイトプラスターは、例えば日本プラスター
社製のものを用いる。ドロマイトプラスターは、流動性
を阻害するが、ひび割れを阻止するので欠かせない。 (E)メチルセルロースは、例えば信越化学工業(株)
製Hiメトローズ90SH−30,000cp(グリオキザール付加ヒ
ドロキシプロピルメチルセルローズ)のものを用いる。
このメトローズは、左官用としては、#4000が通常使用
されているが、皮張り(タイルの付着に関係あり)の点
から#30000の方が好ましい(#の次の数字は粘度を表
している)。 (F)メラミン系樹脂は例えば昭和電工(株)製メルメ
ントF−10(メラミンホルムアルデヒド縮合物スルホン
化変性樹脂)を用いる。メチルセルロースとの併用で、
流動性は向上するが、ブリージング(タイルの付着に関
係あり)、皮張り、凝結、ひび割れの点から0.8%程度
が好ましい。 (G)従来のモルタルは、PC工場の現場で調合(原料の
砂を現場調達)するため、タイルの目地の色がパネル間
で異なり、美観を妨げていたが、本願のモルタル組成物
はそのような心配がない。 なお、消泡剤は目地の仕上がりの点から添加した方が
好ましく、また膨張剤は、乾燥収縮を低減するためSL材
に入っているものもあるが、蒸気養生を行うと、目地の
ひび割れ、タイルの浮き、剥離が起こる場合があり、膨
張量のコントロールが難しいので添加してはいない。 更に、接着用モルタル組成物としては、SBR等を添加
したポリマーセメント(通常ポリマーのエマルジョンを
4〜5%)を使用すると好結果が得られる。 次に、この発明に係る接着用モルタル組成物の代表例
を第1表に、またこれと従来のモルタル、及びセメント
系SL材等とを比較した結果を第2表に示す。 註1 1:2モルタル及び1:3モルタルのフロー値はJIS R5
201(セメントの物理試験方法)に準じて行なった。 また、セメント系SL材,本願の代表例及び代表例
のフロー値は水平に支持された平滑なガラス板上にJIS
R5201(セメントの物理試験方法)に規定されるフロー
コーンを置き、その中に試料をフローコーンの上端まで
流し込み、ただちにフローコーンを鉛直に上げ、スラリ
ーの流れが止った後その拡がりを直角2方向から測定
し、平均値で示した。 註2 流動時間は水平に支持された平滑なガラス板上に
JIS R5201(セメントの物理試験方法)に規定されるフ
ローコーンを置き、その中に試料をフローコーンの上端
まで流し込み、直ちにフローコーンを鉛直に上げ、スラ
リーの流れが止る迄の時間を測定し、平均値で示した。 註3 供試体は脱型後温度20℃、湿度60%の恒温室中で
養生した。 註4 強度試験及び乾燥収縮試験はそれぞれJIS R5201
及びJCEASH−11(モルタルの硬化乾燥による長さ測定試
験方法)に準じて行なった。 註5 付着強さ試験はJIS A5304(歩道用コンクリート
平板)の規格製品を用いてコンクリート表面にエチレン
酢酸ビニルエマルジョン共重合(固形分45%)の3希釈
液を塗布(200g/m2)し乾燥後厚さ10mmに試料を充填し
成形する。材令後、ダイヤモンドカッターにより4×4c
mの大きさにコンクリート面に達するまで切り込み、エ
ポキシ樹脂接着剤により接着強さ用鉄製アタッチメント
を取り付けエポキシ樹脂接着剤硬化後、建研式引っ張り
力試験器により、付着強さ試験を行なった。 なお、付着強さは次式により算出した。 付着強さ(Kg/cm2)=最大荷重(Kg)/付着面積(c
m2) 註6 表面亀裂試験はJIS A5304(歩道用コンクリート
平板)の規格製品を用い、コンクリート表面にエチレン
酢酸ビニルエマルジョン共重合(固形分45%)の3倍希
釈液を塗布(200g/m2)し、乾燥後厚さ10mmに試料を充
填し成形する。材令28日後目視観察して亀裂の有無を確
認した。 前記表1及び表2によれば本願の代表例、は、フ
ロー値、流動時間共に他と比較して抜群に優れており、
しかも表面に亀裂が生じていない。 なお、本願の代表例の収縮率はセメント系SL材と比較
して大きい値となっているが、亀裂と収縮値とは直接関
係があるものではなく、収縮率が大きくても全体として
モルタル組成物が安定していれば亀裂は発生しない。 このように、本願発明の接着用モルタル組成物は、コ
ンシステンシーが大きく、しかも亀裂が生じにくい特徴
を有するので、PC板タイルの先付工法において、タイル
の裏面を上にして型枠内に敷き積め、その表面(タイル
の裏面)に不織布を張った(敷いた)後、接着用モルタ
ルを型枠内に流し込むだけで、接着用モルタルと不織布
をなじませることができる。 <発明の効果> 以上のように本願発明に係るPC板タイルの先付工法に
よれば、剥落、かつ落下の危険が少ないPC板タイルを容
易に製造することができるという効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 会沢 貞夫 東京都府中市若松町1−30−6 (56)参考文献 特開 昭56−56812(JP,A) 特開 昭57−74465(JP,A)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.タイルの裏面を上にして、これを型枠内に敷き積
    め、その表面(タイルの裏面)に接着用モルタルを塗
    り、更にその上にコンクリート、または鉄筋コンクリー
    トを打設した後、養生・脱型するPC板タイルの先付工法
    において、前記タイルと接着用モルタルとの間に不織布
    を介在させると共に、接着用モルタルとしてセルフレベ
    リング性の大きい、次に記載するモルタル組成物を使用
    することを特徴とするPC板タイルの先付工法。 (A)ポルトランドセメント 30乃至55部 (B)硅砂 30乃至70部 (C)炭酸カルシウム 10乃至20部 (D)ドロマイトプラスター 1.0乃至10部 (E)メチルセルロース 0.01乃至0.1部 (F)メラミン系樹脂 0.1乃至1.0部 2.モルタル組成物中の硅砂の直径が0.6mm以下である
    特許請求の範囲第1項記載のPC板タイルの先付工法。 3.モルタル組成物中の炭酸カルシウムの微粒子の表面
    積が5000±500cm2/gの範囲である特許請求の範囲第1項
    記載のPC板タイルの先付工法。 4.接着用モルタルとしてポリマーディスパージョンを
    使用する特許請求の範囲第1項記載のPC板タイルの先付
    工法。
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