JP2908993B2 - 高強度及び高押出性Al−Mg−Zn−Cu系アルミニウム合金材 - Google Patents

高強度及び高押出性Al−Mg−Zn−Cu系アルミニウム合金材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車のバンパー又は自
動車の構造材等に使用され、またその他の構造材等にも
使用される高強度及び高押出性Al−Mg−Zn−Cu
系アルミニウム合金材に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム押出し材は、軽量であると
共に優れたエネルギー吸収性を有するため、軽量化及び
エネルギー吸収性が要求される自動車構造材等におい
て、広く使用されている。特に自動車のバンパー又はフ
レーム材等は、軽量性及びエネルギー吸収性が特に必要
であるため、アルミニウム合金の押出し材が使用されて
いる。
【0003】中空押出しには、ポートホール押出しとマ
ンドレル押出しとがあるが、マンドレル押出しは完全な
円形である円筒パイプを押し出す場合は有効であるが、
角筒等のように円形でない場合は、マンドレルの挿入が
困難である。このため、マンドレル押出し法は、工業的
にはあまり使用されていない。一方、角筒状の部材の押
出しに工業的に使用されている中空ポートホール押出し
法においては、角筒の4つのコーナー部における溶着部
で再結晶が発生する。
【0004】バンパー又は自動車構造材のような自動車
部品等の押出し断面は中空部を有する複雑な形状のもの
が多く、押出し性が優れた合金でなければ、精度が高い
押出し材を得ることが極めて困難である。また、このよ
うな押出し材は構造材として使用されるため、より高強
度な合金であることが望まれるが、一般に合金の強度が
向上すると、それに伴い変形抵抗も増大し、押出し性は
低下してしまう。従って、合金の強度を向上させること
ができても、合金の変形抵抗が大きいため、押出し形状
を複雑な形状とすることが困難となる。このように合金
の強度と押出し性とは、一方を向上させると他方が低下
してしまうという相反する関係にある。このため、従
来、両特性をともに向上させた合金、即ち高強度で高押
出し性を有するアルミニウム合金の開発が要望されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
この種の用途に使用される合金として、JIS7003
合金があるが、この合金は7000系合金において比較
的押出し性が優れているものの、自動車の構造材として
使用する場合には強度が不十分である。一方、7000
系合金においてJIS7075合金は高強度を有する
が、押出し性が劣るため、複雑形状の自動車構造材等を
製造することは困難である。
【0006】なお、このJIS7003合金は、Zn:
5.0〜6.5重量%、Mg:0.5〜1.0重量%、
Cu:0.2重量%、Zr:0.05重量%〜0.25
重量%、Ti:0.2重量%、Mn:0.3重量%及び
Cr:0.2重量%を含むアルミニウム合金である。
【0007】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、JIS7003合金よりも優れた強度を有
し、押出し性及び耐応力腐食割れ性がJIS7003合
金と同等かそれ以上であり、自動車のバンパー又は構造
材等に使用して自動車の軽量化及び安全性の向上を図る
ことができる高強度及び高押出性Al−Mg−Zn−C
u系アルミニウム合金材を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る高強度及び
高押出性Al−Mg−Zn−Cu系アルミニウム合金材
は、Mg:0.5乃至0.9重量%、Zn:6.7乃至
9.0重量%、Cu:0.1乃至0.4重量%、Zr:
0.05乃至0.25重量%及びTi:0.005乃至
0.2重量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物
からなる中空ポートホール押出し材であって、この押出
し材の溶着部以外の部分の外面及び内面に夫々肉厚の1
0%以下の厚さの再結晶層が形成されており、内部が繊
維状組織を有し、前記再結晶の平均粒径が150μm以
下であることを特徴とする。
【0009】また、このアルミニウム合金押出し材の組
成として、前記成分の他にAgを0.1乃至0.4重量
%含有することもできる。
【0010】更に、上述の成分組成を有する中空ポート
ホール押出し材の代わりに、中実又はマンドレル押出し
材を使用し、この押出し材の外面に肉厚の10%以下の
厚さの再結晶層が形成され、内部が繊維状組織を有し、
前記再結晶の平均粒径が150μm以下のものに構成す
ることもできる。
【0011】
【作用】本願発明者等は、高強度及び高押出性の双方の
特性が改善されたアルミニウム合金材を開発すべく種々
の実験研究を行った。その結果、アルミニウム合金中の
Znの含有量を増加させることにより変形抵抗を増大さ
せることなく、押出し材の強度を向上させることができ
ることを見出した。また、一般に、Zn量を増加するこ
とにより耐SCC性は悪化してしまうが、Cuの添加量
を増加させ、表面再結晶層の厚さを所定値以下とするこ
とにより、アルミニウム合金は良好な耐SCC性を確保
できることも見出した。
【0012】以下、本発明に係る高強度及び高押出性ア
ルミニウム合金材の成分添加理由及び組成限定理由につ
いて説明する。
【0013】Mg(マグネシウム):0.5乃至0.9
重量% MgはZnと結合してMgZn2を形成することによ
り、合金強度を向上させる。この効果を発揮するには、
Mgの添加量は0.5重量%以上必要である。一方、M
gの添加量が0.9重量%を超えると押出し性等を阻害
してしまう。従って、Mgの含有量は0.5乃至0.9
重量%とする。なお、より一層の合金強度の向上を図る
には、Mgの含有量を0.7乃至0.9重量%とするこ
とが好ましい。
【0014】Zn(亜鉛):6.7乃至9.0重量% Znは上述したように、MgZn2を形成して、合金強
度を向上させる。この場合、Znの添加量が6.7重量
%未満では合金強度の向上を図ることができず、一方Z
nの添加量が9.0重量%を超えると耐応力腐食割れ性
が劣化してしまう。従って、Znの含有量は6.7乃至
9.0重量%とする。なお、より一層の合金強度の向上
を図るには、Znの含有量を7.0乃至9.0重量%と
することが好ましい。
【0015】Cu(銅):0.1乃至0.4重量% Cuは析出強化により合金強度を向上させると共に、伸
び及び耐応力腐食割れ性を向上させる。しかし、Cuの
添加量が0.1重量%未満では、前記効果を発揮し得え
ない。一方、Cuの添加量が0.4重量%を超えると耐
食性及び焼入れ性を低下させてしまう。従って、Cuの
含有量は、0.1乃至0.4重量%とする。なお、より
一層の合金強度及び耐応力腐食割れ性の向上を図るに
は、Cuの含有量は0.1乃至0.2重量%であること
が好ましい。
【0016】Zr(ジルコニウム):0.05乃至0.
25重量% Zrはビレットの均質化処理時において微細な金属間化
合物として析出し、結晶粒を微細化させることにより、
強度、伸び及び耐応力腐食割れ性を向上させる。Zrの
添加量が0.05重量%未満では前記効果を発揮し得な
い。一方、Zrの添加量が0.25重量%を超えると、
粗大な金属間化合物が晶出してしまい、所定の合金強度
の向上が図れない。従って、Zrの含有量は0.05乃
至0.25重量%とする。なお、より一層の強度、伸び
及び耐応力腐食性の向上を図るには、Zrの含有量は
0.1乃至0.2重量%であることが好ましい。
【0017】Ti(チタン):0.005乃至0.2重
量% Tiは鋳造時における結晶粒を微細化することにより合
金強度を向上させる。この効果を発揮させるにはTiの
添加量を0.005重量%以上とすることが必要であ
る。一方、Tiの添加量が0.2重量%を超えると前記
効果が飽和してしまい、また粗大な金属間化合物が晶出
し所定の合金強度が得られない。従って、Tiの含有量
は0.005乃至0.2重量%とする。なお、より一層
の合金強度の向上を図るには、Tiの含有量は0.01
乃至0.04重量%であることが好ましい。
【0018】Ag(銀):0.1乃至0.4重量% Agは合金中に析出することにより、耐応力腐食割れ性
を向上させる。合金材が腐食作用が激しい環境において
使用される場合、又は大きな負荷応力が作用する環境に
おいて使用される場合に添加することが好ましい。Ag
の添加量が0.1重量%未満では前記効果を発揮し得
ず、0.4重量%を超えて添加されると、合金中におい
て粗大な晶出物を生成してしまい、所定の合金強度が得
られない。従って、Agの含有量は0.1乃至0.4重
量%とする。なお、より一層の耐腐食性割れ性を向上さ
せるには、Agの含有量は0.1乃至0.3重量%であ
ることが好ましい。
【0019】次に、表面再結晶層の厚さ及び再結晶の平
均粒径の限定理由について説明する。
【0020】図1(a)は中空押出し材の一例を示す断
面図であり、図1(b)はその一辺の中間部4の断面組
織を示す拡大図である。また、図1(c)は中空押出し
材のコーナー部である溶着部の断面組織を示す拡大図で
ある。この中空押出し材1のコーナー部には溶着部3
a、3b、3c及び3dが形成されている。図1(b)
に示すように、押出し時において押出し材がダイスベア
リングとの摩擦熱等により、その押出し材の外面6及び
内面7において表面再結晶組織8及び9が形成される。
この表面再結晶組織8及び9間の内部は繊維状組織10
となっている。また、図1(c)に示す溶着部において
は、外面6から内面7まで続く再結晶組織13が形成さ
れている。
【0021】本発明においては、図1(b)に示す表面
再結晶組織8及び9が占める部分の厚さtを肉厚3の1
0%以下にする。また、JISH0501における切断
法により求められたこの再結晶組織8及び9の平均粒径
を150μm以下にする。これは、中空押出し材1の外
面6及び内面7において形成される表面結晶組織8又は
9のうち少なくとも一方の再結晶層の厚さtが肉厚3の
10%を超える場合、または前記再結晶の平均粒径が1
50μmを超えて大きくなる場合には耐応力腐食割れ性
が著しく劣化すると共に、強度も低下してしまうからで
ある。従って、溶着部3a〜3d以外の部分の外面6及
び内面7の各表面再結晶層の厚さtを夫々肉厚3の10
%以下とすると共に、前記再結晶の平均粒径を150μ
m以下とする。
【0022】また、図1(c)に示すように、溶着部3
a〜3dにおける各再結晶組織13の最小幅wは、肉厚
の15%を超えると中空押出し材の強度が低下すると共
に耐SCCも劣化してしまう。そのため、各再結晶組織
13の最小幅wは肉厚の15%以下にすることが好まし
い。
【0023】なお、図1(b)及び(c)に示すよう
に、押出しにより表面再結晶8及び9に挟まれた部分は
細長く伸ばされた繊維状組織10となるが、ビレットの
温度が約540℃の高温になると繊維状組織10の内部
においても再結晶組織が析出する。また、従来のように
押出し温度が470〜480℃であると、押出し時の摩
擦熱等により押出し材の温度が500℃を超えてしまう
ことがあり、500℃の温度を超えて再結晶が形成され
る場合はその再結晶は粗大化してしまうことを本願発明
者等は実験により知見した。
【0024】従って、押出し材が500℃の温度を超え
ないように、押出し温度は約450℃であることが好ま
しい。また、再結晶の粗大化の原因として、押出し速
度、押出し比又はビレットの成分等があるが、押出し速
度については10m/分であれば、再結晶が粗大化する
ことはない。
【0025】一般に、7000系アルミニウム合金で
は、常に応力腐食割れが問題となるため、上述したよう
に、本発明においてはZr、Cu及びAgをアルミニウ
ム合金に添加することにより耐応力腐食割れ性の向上を
図っている。
【0026】なお、表面再結晶層の厚さは測定位置によ
ってばらつきがあり一定ではないが、合金材の先端部、
中間部及び後端部を観察し、夫々の位置における平均厚
さが肉厚の10%以下であればよい。
【0027】また、本発明に係る高強度及び高押出性A
l−Mg−Zn−Cu系アルミニウム合金材は、ビレッ
トを均質化処理した後、押出し成形し、その後、溶体化
処理、焼入れ処理及び時効処理を順次行うことにより、
自動車構造材等に成形することができる。なお、均質化
処理、焼入れ処理及び時効処理の条件は従来の7003
合金の場合と同様の条件により行うことができる。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例について、本発明の特
許請求の範囲から外れる比較例と比較して説明する。図
1(a)は、中空押出し材1をその長手方向と直角な方
向に切断した場合の断面形状を示す模式図である。ま
た、図1(b)は、中空押出し材1の一辺の中間部4の
断面組織を示す拡大図であり、図1(c)は、中空押出
し材1のコーナー部5の溶着部の断面組織を示す拡大図
である。
【0029】先ず、下記表1に示す組成のアルミニウム
合金ビレットに対して均質化処理を施した。この場合、
全てのビレットに対して、520℃の温度下で4時間の
均質化処理を行った。
【0030】次に外径が150mmである円筒形のアル
ミニウム合金ビレットを5m/分の押出し速度により押
出し、図1に示すような一辺の長さが40.0mm、肉
厚が2.0mmである中空押出し材を製作した。そし
て、500℃の温度により溶体化処理を施した後、強制
ファン空冷により焼入れを行った。その後、70℃の温
度で5時間と130℃の温度で12時間の2段階の時効
処理を行った。なお、押出し時のビレットを480℃の
温度にして押出しを行った。
【0031】また、以上のようにして製作した供試材
は、中空ポートホール押出しによるものであるが、中実
押出し材においてもその特性は何等異なるものではな
い。
【0032】なお、比較例No11は従来使用されてい
るJIS7003合金より製作した供試材である。
【0033】
【表1】
【0034】以下に、上述のように製作した中空押出し
材である供試材の評価方法について説明する。
【0035】先ず、表面再結晶層の厚さ及び平均粒径に
ついては、図1(a)に示すように、点線で囲まれた中
空押出し材の一辺の中間部4を押出し方向に所定長さ切
り取り、その断面を鏡面研磨仕上げをして、その後エッ
チングを施した。図1(b)は、このような処理を施し
た供試材の断面組織を示す拡大図である。中空押出し材
の外面6及び内面7において夫々表面再結晶組織8及び
9が形成される。この場合の表面再結晶層の厚さ及び平
均粒径は、表面再結晶組織8又は9のいずれか値の大き
い側の結晶層について測定を行った。なお、表面再結晶
層の厚さは供試材の外面6及び内面7の間の肉厚に対す
る表面再結晶組織8又9の結晶層の厚さの割合により示
す。
【0036】次に、中空押出し材の機械的性質を評価す
べく、供試材から引張試験において使用するJIS5号
試験片を製作し、引張強さ、耐力及び伸びについて評価
を行った。
【0037】また、合金の押出し性については、押出し
後の供試材の表面性状を観察すると共に、均質化処理後
のビレットより採取した試験片の高温圧縮試験による変
形抵抗値により評価を行った。なお、前記試験における
試験片の温度は500℃である。
【0038】更に、耐応力腐食割れ性については、3点
支持法により耐力の80%の応力を負荷した試験片を沸
騰状態のクロム酸溶液に360分浸漬させるSCC試験
を行った。この試験によるSCC発生時間により耐応力
腐食割れ性の評価を行った。
【0039】以上の試験結果は、下記表2に示すとおり
である。
【0040】
【表2】
【0041】上記表2に示すように実施例No1〜No
4はいずれも従来品である比較例No11に比べ、優れ
た強度を有しており、強度が向上しても押出し性及び耐
応力腐食割れ性は同等以上の特性を有している。
【0042】一方、比較例No1及びNo2の結果よ
り、Mgの含有量が0.9重量%を超える場合は、押出
し性が低下してしまい、逆にMgの含有量が0.5重量
%未満では合金強度を向上させることができないことが
わかる。
【0043】比較例No3及びNo4の結果より、Zn
の含有量が9.0重量%を超える場合は、耐応力腐食性
が劣化してしまい、一方Znの含有量が6.7重量%未
満では合金強度の向上が十分ではないことがわかる。
【0044】比較例No5及びNo6の結果より、Cu
の含有量が0.4重量%を超える場合は、プレス焼入れ
性が低下してしまうため、合金強度の向上が見られず、
一方Cuの含有量が0.1重量%未満では強度の向上が
十分ではなく、また耐応力腐食割れ性が劣化してしまう
ことがわかる。
【0045】比較例No7及びNo8の結果より、Zr
の含有量が0.25重量%を超える場合は、伸びが低下
してしまい、逆にZrの含有量が0.05重量%未満で
は耐応力腐食割れ性が劣化してしまうことがわかる。
【0046】比較例No9及びNo10の結果より、T
iの含有量が0.2重量%を超える場合は、合金強度の
向上が十分ではなく、また押出し性が劣化してしまっ
た。一方、Tiの含有量が0.005重量%未満では押
出し性は従来と同等であるが、合金強度の向上が十分で
はないことがわかる。
【0047】また、上記表1に示す実施例No4の組成
を有するビレットを種々の押出し温度で押出しすること
により表面再結晶の状態を変えて、耐力及び耐SCC性
について評価を行った。その結果を下記表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】上記表3の実施例No5及びNo6に示す
ように、押出し温度が500℃以下であれば、表面再結
晶の粒径及び層厚さについては本発明の範囲内であり、
耐力及び耐SCC性について良好な結果が得られた。
【0050】一方、比較例No12乃至No14に示す
ように押出し温度が500℃を超えている場合は、表面
再結晶の粒径は粗大化すると共に肉厚に対する表面再結
晶層の厚さの割合が10%を超えてしまうため、これら
の耐力及び耐SCC性はともに劣化している。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
所定の組成を有するアルミニウム合金を押出しして所定
の表面再結晶を形成させることにより、自動車のバンパ
ー又は自動車構造材等に従来使用されているJIS70
03のAl合金と同等以上の押出し性及び耐応力腐食割
れ性を有していると共に、前記Al合金よりも極めて優
れた強度を有するアルミニウム合金材を製造することが
できる。また、前記アルミニウム合金材を自動車のバン
パー又は自動車構造材等に使用することにより、自動車
のより一層の軽量化及び安全性の向上を図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】中空押出し材をその長手方向と直角な方向に切
断した場合の断面形状を示す模式図並びにその一辺及び
1コーナー部の結晶組織を示す拡大図である。
【図2】肉厚に対する表面再結晶層の厚さと耐力及びS
CC発生時間との関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1;中空押出し材 2a,6;中空押出し材の外面 2b,7;同じく内面 3;同じく肉厚 3a〜3d;溶着部 4;中空押出し材の一辺の中間部 5;同じく1コーナー部 8;同じく外面の表面再結晶組織 9;同じく内面の表面再結晶組織 10;同じく肉厚内部の繊維状組織 13;溶着部の再結晶組織
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−247575(JP,A) 特開 昭59−113164(JP,A) 特開 昭49−1418(JP,A) 特開 昭50−102513(JP,A) 特公 昭48−29446(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 21/00 - 21/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg:0.5乃至0.9重量%、Zn:
    6.7乃至9.0重量%、Cu:0.1乃至0.4重量
    %、Zr:0.05乃至0.25重量%及びTi:0.
    005乃至0.2重量%を含有し、残部がAl及び不可
    避的不純物からなる中空ポートホール押出し材であっ
    て、この押出し材の溶着部以外の部分の外面及び内面に
    夫々肉厚の10%以下の厚さの再結晶層が形成されてお
    り、内部が繊維状組織を有し、前記再結晶の平均粒径が
    150μm以下であることを特徴とする高強度及び高押
    出性Al−Mg−Zn−Cu系アルミニウム合金材。
  2. 【請求項2】 Mg:0.5乃至0.9重量%、Zn:
    6.7乃至9.0重量%、Cu:0.1乃至0.4重量
    %、Zr:0.05乃至0.25重量%、Ti:0.0
    05乃至0.2重量%及びAg:0.1乃至0.4重量
    %を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる中
    空ポートホール押出し材であって、この押出し材の溶着
    部以外の部分の外面及び内面に夫々肉厚の10%以下の
    厚さの再結晶層が形成されており、内部が繊維状組織を
    有し、前記再結晶の平均粒径が150μm以下であるこ
    とを特徴とする高強度及び高押出性Al−Mg−Zn−
    Cu系アルミニウム合金材。
  3. 【請求項3】 Mg:0.5乃至0.9重量%、Zn:
    6.7乃至9.0重量%、Cu:0.1乃至0.4重量
    %、Zr:0.05乃至0.25重量%及びTi:0.
    005乃至0.2重量%を含有し、残部がAl及び不可
    避的不純物からなる中実又はマンドレル押出し材であっ
    て、この押出材の外面に肉厚の10%以下の厚さの再結
    晶層が形成されており、内部が繊維状組織を有し、前記
    再結晶の平均粒径が150μm以下であることを特徴と
    する高強度及び高押出性Al−Mg−Zn−Cu系アル
    ミニウム合金材。
  4. 【請求項4】 Mg:0.5乃至0.9重量%、Zn:
    6.7乃至9.0重量%、Cu:0.1乃至0.4重量
    %、Zr:0.05乃至0.25重量%、Ti:0.0
    05乃至0.2重量%及びAg:0.1乃至0.4重量
    %を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる中
    実又はマンドレル押出し材であって、この押出材の外面
    に肉厚の10%以下の厚さの再結晶層が形成されてお
    り、内部が繊維状組織を有し、前記再結晶の平均粒径が
    150μm以下であることを特徴とする高強度及び高押
    出性Al−Mg−Zn−Cu系アルミニウム合金材。
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