JP2907445B2 - 4輪駆動車のトルク配分装置 - Google Patents

4輪駆動車のトルク配分装置

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JP2907445B2 JP20848189A JP20848189A JP2907445B2 JP 2907445 B2 JP2907445 B2 JP 2907445B2 JP 20848189 A JP20848189 A JP 20848189A JP 20848189 A JP20848189 A JP 20848189A JP 2907445 B2 JP2907445 B2 JP 2907445B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、4輪駆動車において、その前輪と後輪のト
ルク配分を可変制御するトルク配分装置に関する。
(従来の技術) エンジン出力により前輪および後輪を駆動する4輪駆
動車においては、前・後輪のトルク配分を発進時等のよ
うな前・後輪の荷重分布が変化する運転状態に応じて最
適の比率に可変制御することが望まれる。そのための方
法としてたとえば特開昭60−1030号公報によれば、トラ
ンスミッションによって変速されたエンジン出力をリン
グギヤから前輪差動装置に入力する一方、このエンジン
出力をリングギヤから油圧クラッチおよび中間ギヤを経
て後輪差動装置に分配するように構成すると共に、この
分配時に、上記油圧クラッチにおける入力側摩擦板と出
力側摩擦板との締結力を可変制御して該油圧クラッチの
後輪側への伝達トルク容量を変化させ、これによって前
輪と後輪とのトルク配分を調整する技術が開示されてい
る。これによれば、油圧クラッチを制御することによっ
て前・後輪のトルク配分を任意に設定でき、たとえば前
述の発進時にあっては、加速に伴う後輪側への荷重移動
に対応させて該後輪の駆動力を増加させ、発進加速性能
を向上させることができる。
(発明が解決しようとする課題) ところで、上記のようなトルク配分装置を備えた4輪
駆動車では、前輪と後輪とのトルク配分比が5:5となる
クラッチ完全締結時を除き、トルク配分の偏りにより発
生する前輪と後輪との回転速度差は油圧クラッチにおけ
る入力側摩擦板と出力側摩擦板との相対的な滑りによっ
て吸収される。つまり、該クラッチは、上記両摩擦板が
前・後輪の回転速度差に対応する相対回転数でスリップ
しながら、その締結力に応じて調整されたトルクを伝達
することになる。その場合、両摩擦板の締結力が弱く、
したがって両摩擦板の相対回転数が高い(スリップ量が
多い)場合は、両摩擦板は円滑にスリップするのである
が、両摩擦板の締結力が比較的強く、したがって相対回
転数が低い(スリップ量が少ない)と、入力側摩擦板と
出力側摩擦板との係脱が短い周期でスリップ状態と締結
状態とを繰り返し、これに起因するジャダーと称される
特有の振動が発生するのである。
これを避けるためには、トルク配分調整時のクラッチ
制御を、入・出力側摩擦板の相対回転数が常に大きい状
態で行うようにすればよいが、前述の従来例では、クラ
ッチ入力側摩擦板の回転数は前輪の回転数に等しく、出
力側摩擦板の回転数は後輪の回転数に等しくなるから、
前・後輪の回転速度差よりもクラッチの両摩擦板の相対
回転数を大きくすることはできない。そのため従来は前
・後輪の回転速度差が小さいジャダー発生領域を避けて
トルク配分の制御を行わざるをえなかった。
そこで本発明は、前・後輪の回転速度差よりも、クラ
ッチにおける入・出力側摩擦板の相対回転数が常に大き
くなるように構成して、上記回転速度差、すなわち前・
後輪のトルク配分の偏りが小さな領域でもトルク配分の
制御ができる4輪駆動車のトルク配分装置を提供するこ
とを課題とする。
(課題を解決するための手段) 本発明は上記の課題に対処すべく次のように構成した
ことを特徴とする。
すなわち、エンジン出力を分割して前輪側および後輪
側にそれぞれ伝達する2つの動力伝達経路のいずれか一
方にクラッチを設け、該クラッチの締結力を制御するこ
とにより前・後輪のトルク配分を変化させるようにした
4輪駆動車のトルク配分装置において、上記クラッチが
設けられた動力伝達経路に遊星歯車機構を配設し、該遊
星歯車機構を構成するリングギヤ、プラネタリキャリ
ヤ、サンギヤのうちのいずれか一つの要素を上記エンジ
ン出力が入力される入力要素、他の一つを当該車輪側へ
動力を出力する出力要素とすると共に、該入力要素と出
力要素との間に相対回転が生じたときに、この相対回転
が増幅される二つの要素間に上記クラッチを介設したこ
とを特徴とする。
(作用) 上記の構成によれば、クラツチを完全に締結した場合
には、遊星歯車機構を構成する全要素が一体化されるこ
とにより、該機構の入力要素と出力要素、つまり当該動
力伝達経路のエンジン側と車輪側とが直結されることに
なり、したがってエンジン出力は二つの動力伝達経路に
均等に分割されて、前輪側および後輪側に等しい回転速
度で、かつ5:5のトルク配分で伝達されることになる。
一方、この状態から上記クラッチの締結力を低下させ
ると、該クラッチの伝達トルクが減少することにより、
当該動力伝達経路を介して駆動される車輪のトルク配分
が他方の動力伝達経路を介して駆動される車輪のトルク
配分より小さくなる。そして、これに伴ってトルク配分
の大きな車輪の回転速度がトルク配分のちいさな車輪の
回転速度より大きくなって、前・後輪間に回転速度差が
生じるため、上記遊星歯車機構においても、この回転速
度差と対応する速度差で入力要素と出力要素との間に相
対回転を生じることになる。このとき、上記クラッチ
は、入力要素と出力要素の回転速度差が増幅される二つ
の要素間に介設されているため、該クラッチの入力側摩
擦板と出力側摩擦板とは、上記入・出力要素間の相対回
転速度、すなわち前・後輪の回転速度差より大きな相対
回転でスリップすることになる。これにより、クラッチ
の入力側および出力側摩擦板が小さな相対速度でスリッ
プすることによるジャダーが防止されると共に、このジ
ャダーが発生するクラツチのスリップ速度が一定である
とすれば、これを回避しながら、前・後輪の回転速度差
をより小さな値に設定することが可能となり、換言すれ
ば、前・後輪のトルク配分の制御範囲を偏りが小さい方
向へ拡大することが可能となる。
また、上記クラッチは、遊星歯車機構の入・出力要素
間の相対回転が増幅される二つの要素間に介設されてい
るので、完全締結時における伝達トルクが入・出力要素
を直接結合する場合より小さくなり、したがって該クラ
ッチの小容量化が可能となる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
第1図は本発明の第1実施例を示し、この実施例の4
輪駆動車ではエンジン1が車体に横置きに配置され、そ
の出力がトランスミッション2を経て出力ギヤ3に取り
出されるようになっている。また、一方前輪4、4の車
軸5、5間には前輪差動装置6が、後輪7、7の車軸
8、8には後輪差動装置9が備えられており、上記の出
力ギヤ3に取り出されたトランスミッション2の出力が
分割されて、上記前輪差動装置6および後輪差動装置9
に伝達されると共に、前輪差動装置6に対しては後記す
る遊星歯車機構11および湿式多板式の油圧クラッチ10を
介して伝達されることにより、前・後輪のトルク配分の
可変制御が可能とされている。
すなわち、前輪4、4の一方の車軸5には、その軸線
方向に並べて油圧クラッチ10と遊星歯車機構11とが該車
軸5を貫通させた状態で装備されている。遊星歯車機構
11は第1図および第2図に示すように、上述の出力ギヤ
3によって駆動されるプラネタリキャリヤ12と、このプ
ラネタリキャリヤ12に回転自由に軸支された複数のプラ
ネタリギヤ13…13と、これらのプラネタリギヤ13…13の
内側および外側にそれぞれ噛合して回転するリングギヤ
14、およびサンギヤ15とを有する。そして、プラネタリ
キャリヤ12には一体的にベベルギヤ16が設けられ、これ
が後輪差動装置9に動力を伝達するプロペラシャフト17
のベベルギヤ18に噛合されていると共に、該シャフトの
後端のベベルギヤ19が後輪差動装置9の入力用ベベルギ
ヤ20に噛合されている。
また、遊星歯車機構11のリングギヤ14とサンギヤ15と
の間には前述の油圧クラッチ10が介装される。すなわ
ち、該クラッチにおける入力側摩擦板21がサンギヤ15
に、出力側摩擦板22がリングギヤ14にそれぞれ連結され
ている。そして、リングギヤ14が上記前輪差動装置6に
連結され、該ギヤ14の回転が前輪差動装置6に入力され
るようになっている。なお、図示していないが、油圧ク
ラッチ10には入力側と出力側の摩擦板21、22を締結さ
せ、またその締結力を可変制御するための油圧制御手段
が備えられている。
以上の構成において、エンジン1ないしトランスミッ
ション2の出力が遊星歯車機構11の出力ギヤ3からプラ
ネタリキャリヤ12に入力されると、その動力は該プラネ
タリキャリヤ12からベベルギヤ16、18を介してプロペラ
シャフト17に伝達され、さらに該シャフト17の後端のベ
ベルギヤ19およびこれに噛み合うベベルギヤ20を経て後
輪差動装置9に入力される。そして、該差動装置9で左
右に分割されて、車軸8、8を介して後輪7、7を駆動
するその場合、上記ベベルギヤ16、18間のギヤ比とベベ
ルギヤ19、20間のギヤ比の積が1になるように設定すれ
ば、後輪7、7は遊星歯車機構11におけるプラネタリキ
ャリヤ12と常に等しい回転数で駆動されることになる。
一方、上記出力ギヤ3から取り出された動力は遊星歯
車機構11のプラネタリキャリヤ12から前輪差動装置6に
も伝達され、車軸5、5を介して前輪4、4を駆動する
が、その際に油圧クラッチ10の締結力により前輪4、4
側への伝達トルクが制御され、これに伴って前・後輪の
トルク配分が変化する。次に、このトルク配分動作を第
2図を参照して説明する。
いま油圧クラッチ10において入・出力側摩擦板21、22
が完全に締結されているとし、かつ出力ギヤ3によって
駆動されるプラネタリキャリヤ12の回転方向が第2図中
の矢印A方向であるとすると、クラッチ10の完全締結に
よってリングギヤ14とサンギヤ15とが一体にロックされ
るから、プラネタリキャリヤ12、リングギヤ14、および
サンギヤ15は一体的に矢印A方向に回転する。したがっ
て、その場合、プラネタリキャリヤ12と前輪差動装置6
とが直結され、その結果、前輪4、4と後輪7、7との
トルク配分比は5:5となる。またクラッチ10の出力とし
て出力側摩擦板22から前輪差動装置6に与えられる回転
数はプラネタリキャリヤ12と同一、つまり後輪回転数と
同一となるから、前輪4、4と後輪7、7の回転速度差
はゼロである。
この状態から図示しない油圧制御手段により油圧クラ
ッチ10の入・出力側摩擦板21、22の締結力を低下させる
と、該クラッチ10の伝達トルクが減少することにより、
前輪4、4側へのトルクが減少し、これに伴って後輪
7、7側へのトルクが増大する。また、このようにトル
ク配分比が変化すると、後輪7、7の回転速度が前輪
4、4の回転速度より大きくなり、その前・後輪回転速
度差が車体側ではクラッチ10の入力摩擦板19と出力側摩
擦板20とのスリップによる相対回転によって吸収され、
他方、路面に対しては駆動力の大きい後輪7、7の路面
上のスリップとして吸収される。そして、このようなト
ルク配分の変化は油圧クラッチ10の締結力の大きさに対
応し、締結力を低下させるほど前輪4、4側に分配され
るトルクが減少するから、このクラッチ締結力の制御に
よって前輪4、4と後輪7、7とのトルク配分を任意に
調整できることになる。
ところで、油圧クラッチ10の締結力を低下させると、
第2図示す遊星歯車機構11おいてはリングギヤ14とサン
ギヤ15とのロックが解除される。この状態では、プラネ
タリキャリヤ12は依然として後輪7、7と等しい回転数
で回転し続け、したがってプラネタリギヤ13…13もこの
回転数と同一の回転数での公転運動を保持してリングギ
ヤ14、サンギヤ15を矢印A方向に駆動しようとするが、
クラッチ10の出力側摩擦板22に連結されているリングギ
ヤ14は前輪4、4の回転数で回転するから、トルク配分
の変化に伴う前・後輪回転速度差が発生すると、同時に
プラネタリキャリヤ12はリングギヤ14に対して前・後輪
回転速度差に等しい回転数で矢印A方向に相対回転す
る。このため、各プラネタリギヤ13…13は第2図矢印A
方向に公転しつつ、矢印B方向に自転する。そして、こ
のリングギヤ14の回転遅れによるプラネタリギヤ13…13
の自転により、プラネタリキャリヤ12に対するサンギヤ
15の進みが生起される。この場合、プラネタリキャリヤ
12(後輪回転数)に対するリングギャ14(前輪回転数)
の遅れは前・後輪回転速度差に等しいから、リングギヤ
14とサンギヤ15との相対回転数は前・後輪回転速度差を
増幅した量となって、該リングギヤ14とサンギヤ15とが
大きな速度差で相対回転することになる。
なお、この相対回転量がリングギヤ14とサンギヤ15と
の歯数比によって決定されるのはもちろんである。ま
た、トルク配分比を変えた場合、現実にはトルク配分が
大きくなる後輪7、7の回転速度が上昇し、かつトルク
配分が小さくなる前輪4、4の回転速度が低下して前・
後輪回転速度差が発生すると考えられるのが、ここでは
説明を簡略化して理解を容易にするため、後輪7、7の
回転速度を一定とし、これに対して前輪4、4が相対的
な回転遅れを生じるものとして記述している。
そして、前述のリングギヤ14とサンギヤ15との相対回
転は、サンギヤ15に油圧クラッチ10の入力側摩擦板21が
連結され、リングギヤ14に出力側摩擦板22が連結されて
いるから、そのまま両摩擦板21、22の相対回転となり、
その結果、両摩擦板21、22は前・後輪回転速度差よりも
大きな相対回転数でスリップすることになる。
これを更に第7図イの速度線図を用いて説明する。な
お、この速度線図においても、後輪回転数を一定として
前輪の回転数が相対的に低下するものとして、説明を簡
略化する。
いま、遊星歯車機構11におけるリングギヤ14とサンギ
ヤ15の歯数をそれぞれZ1、Z2として、これらがたとえば
2:1の関係にあり、かつ前・後輪回転速度差をΔNT、ク
ラッチ10の入・出力側摩擦板21、22の相対回転数をΔN
C、またプラネタリキャリヤ12の回転数(後輪回転数)
が一定とすると、クラッチ10が完全締結されたロック状
態では(前輪と後輪とのトルク配分比が5:5のとき)、
前述のようにプラネタリキャリヤ12、リングギヤ14、サ
ンギヤ15は図中のL1なる後輪回転数で一体回転するが、
リングギヤ14とサンギヤ15とのロックを解除した状態で
は、前・後輪回転速度差ΔNTの発生によって、前輪側の
リングギヤ14が後輪側のプラネタリキャリヤ12に対し相
対的にレベルL0方向に減速するため、プラネタリキャリ
ヤ12が保持する後輪回転数L1を一定と仮定したとき、リ
ングギヤ14の減速分がプラネタリギヤ13…13の自転を伴
ってサンギヤ15に与えられることにより、該サンギヤ15
は前記の歯数比に従ってリングギヤ14の減速分の2倍の
回転数だけプラネタリキャリヤ12に対して相対的に増速
される。そして、この場合のリングギヤ14とサンギヤ15
との相対回転数はそのままクラッチ10の入力側と出力側
の摩擦板21、22に伝達されるから、ΔNT:ΔNCの関係は
1:3となって、前・後輪回転速度差ΔNTの3倍のクラッ
チ相対回転数ΔNCが得られるのである。
以上のようにして、前・後輪回転速度差が小さい場合
にも、油圧クラッチ10における入力側摩擦板21と出力側
摩擦板22との相対回転数を大きくとってスリップさせる
ことができ、両摩擦板19、20がちいさな相対回転数でス
リップすることによるジャダーが抑止されることにな
る。また、該油圧クラッチ10は、前輪4、4側へ動力を
伝達するプラネタリキャリヤ12とリングギヤ14の相対回
転が増幅されるリングギヤ14とサンギヤ15との間に介設
されているから、その伝達トルクは前輪4、4へのトル
クより小さくなり、したがって該クラッチ10の容量を小
さくすることが可能になる。
以上の第1実施例は、エンジン出力が出力ギヤ3より
遊星歯車機構11のプラネタリキャリヤ12に入力される場
合であるが、このような入力経路を採用する変形例とし
て第3図イおよびロに示す構造が考えられる。なお、以
下の説明でもリングギヤ14とサンギヤ15との歯数比が2:
1であることを前提としている。
第3図イは、入力側摩擦板21aをリングギヤ14に連結
し、出力側摩擦板22aをサンギヤ15に連結して、遊星歯
車機構11に油圧クラッチ10aを組みこんだものである。
この構造では、前・後輪回転速度差の発生によって第1
図構造とは逆に、第7図ロの速度線図に示すように前輪
4側のサンギヤ15の回転が、一定と仮定する後輪回転数
を保持するプラネタリキャリヤ12に対して前・後輪回転
速度差分遅れ勝手となるから、このサンギヤ15の遅れ分
がプラネタリギヤ13の自転を伴ってリングギヤ14に入力
され、該リングギヤ14は前述の歯数比2:1に従って減速
分の1/2倍、プラネタリキャリヤ12に対し増速され、そ
の結果ΔNT:ΔNCの比は1:1.5、したがって前・後輪回転
速度差ΔNTの1.5倍のクラッチ相対回転数ΔNCが得ら
れ、この変形例においても入・出力側摩擦板21a、22aは
前・後輪回転速度差よりも大きな相対回転を行う。
第3図ロは、入力側摩擦板21bをプラネタリキャリヤ1
2に連結し、出力側摩擦板22bをサンギヤ15に連結する一
方、前輪差動装置6をリングギヤ14にむすびつけて遊星
歯車機構11に油圧クラツチ10bを組みこんだもので、前
・後輪回転速度差の発生によって前輪4、4側のリング
ギヤ14の回転が、一定と仮定する後輪回転数を保持する
プラネタリキャリヤ12に対し前・後輪回転速度差分遅れ
を生じると、前述の歯数比2:1に従ってサンギヤ15はそ
の前・後輪回転速度差分の2倍、プラネタリキャリヤ12
に対して増速され、第7図ハのような速度線図が得られ
る。但し、第3図ロの構造では、リングギヤ14とサンギ
ヤ15の間では前・後輪回転速度差ΔNTの3倍の相対回転
が発生するが、後輪回転数と等しいプラネタリキャリヤ
12に入力側摩擦板21bが連結されている関係上、入力側
摩擦板19がサンギヤ15に連結されていた第1図構造とは
異なり、リングギヤ14とサンギヤ15との相対回転数から
前・後輪回転速度差ΔNT分(換言すれば、プラネタリキ
ャリヤ12に対するリングギヤ14の相対的な減速分)が引
かれた値が入力側摩擦板21bと出力側摩擦板22bとの相対
回転数ΔNCとなるので、ΔNT:ΔNCの関係は1:2、ゆえに
前・後輪回転速度差の2倍のクラッチ相対回転数とな
る。
第4図はエンジン出力を出力ギヤ3から遊星歯車機構
111のリングギヤ114に入力する構造とした第2実施例を
示し、油圧クラッチ100の入力側摩擦板121がプラネタリ
キャリヤ112に連結されると共に、出力側摩擦板122がサ
ンギヤ115と前輪差動装置6とに連結され、さらにプラ
ネタリキャリヤ112にサンギヤ115に噛合する第1プラネ
タリギヤ113aと、リングギヤ114に噛合する第2プラネ
タリギヤ113bとが軸支されると共に、これらプラネタリ
ギヤ113a、113b同士が相互に噛合されている。なお、こ
の実施例構造では上記から明らかなように、リングギヤ
114が後輪7、7の回転数を保持する。
この構造における遊星歯車機構111の動作を第5図を
参照しつつ説明する。
いま油圧クラッチ100において入力側と出力側との両
摩擦板121、122が完全締結されているとし、かつ出力ギ
ヤ3によって回転されるリングギヤ114の回転方向が第
6図中の矢印A方向であるとすると、上記の完全締結に
よって第5図の場合と同様にプラネタリキャリヤ112と
サンギヤ115とが一体にロックされるから、リングギヤ1
14、プラネタリキャリヤ112、およびサンギヤ115は同方
向Aに一体回転する。この状態から入力側と出力側の両
摩擦板121、122の締結力を低下させると、プラネタリキ
ャリヤ112とサンギヤ115とのロックが解除される。この
ためトルク配分の変化に伴う前輪4、4と後輪7、7の
回転速度差が発生して、リングギヤ114に対するサンギ
ヤ115の遅れを生じると、サンギヤ115に噛当されている
第1プラネタリギヤ113aの矢印B1方向の自転が生起さ
れ、したがって第2プラネタリギヤ113bが逆方向の矢印
B2方向に自転する。この結果、一方ではリングギヤ114
に対するサンギヤ115の回転遅れが、他方ではリングギ
ヤ114に対するプラネタリキャリヤ112の進みが生起さ
れ、プラネタリキャリヤ112とサンギヤ115とが大きな相
対回転を行う。これによって第7図ニに示すような速度
線図が得られる。すなわち、前・後輪回転速度差の発生
によって前輪4、4側のサンギヤ115が、一定と仮定す
る後輪回転数を保持するリングギヤ114に対し減速され
ると、プラネタリキャリヤ112はリングギヤ114に対して
増速される。そのためプラネタリキャリヤ112およびサ
ンギヤ115に連結されている入力側摩擦板121と出力側摩
擦板122とが、前・後輪回転速度差よりも大きな相対回
転数でスリップすることになる。
なお、この第4図構造では、サンギヤ115とプラネタ
リキャリヤ112との間で相対回転が取り出されるので、
第1と第2のプラネタリギヤ113a、113bの歯数が同一と
すると、リングギヤ114とサンギヤ115との歯数比に関係
なく、サンギヤ115の減速分とプラネタリキャリヤ112の
増速分とは1:1の関係にあり、その結果ΔNT:ΔNCが1:2
となり、前・後輪回転速度差の2倍のクラッチ相対回転
数が得られる。
第6図は第4図の変形例を示し、第4図構造との相違
は、油圧クラッチ100aにおける入力側摩擦板121aをサン
ギヤ115に、また出力側摩擦板122aをプラネタリキャリ
ヤ112と前輪差動装置6とに連結した点にある。この変
形例では第4図の場合と異なり、遊星歯車機構111のロ
ックが解除され、前・後輪回転速度差が発生すると、前
輪側のプラネタリキャリヤ112がリングギヤ114に対し遅
れが生じて第1および第2プラネタリギヤ113a、113bは
それぞれ第5図に示した矢印方向B、Cとは逆方向に自
転し、その結果第7図ホのごとき速度線図が得られる。
この場合も前・後輪回転速度差ΔNTの2倍のクラッチ相
対回転数ΔNCとなる。
以上のように、油圧クラッチ10、100を用いて前輪
4、4と後輪7、7のトルク配分を可変調整するにあた
って、油圧クラッチ10、10a、10b,100、100aに遊星歯車
機構12、112を組み合わせて、該遊星歯車機構を構成す
るリングギヤ、プラネタリキャリヤ、サンギヤのうちの
一つの要素にエンジン動力を入力させ、他の一つから前
輪側へ動力を出力させるようにすると共に、これら入力
要素と出力要素との間に相対回転が生じたときに、この
相対回転が増幅される二つの要素間にクラッチを介設
し、これによって油圧クラッチの入力側摩擦板21、21
a、21b、121、121aと出力側摩擦板22、22a、22b、122、
122aとを、前・後輪回転速度差よりも高い相対回転数で
スリップさせるから、前・後輪回転速度差がたとえ小さ
くとも入力側と出力側との両摩擦板の滑り量が大きく保
たれ、両摩擦板がちいさな相対回転数でスリップするこ
とによるジャダーの発生が抑止され、従来ではジャダー
が発生したトルク配分制御範囲でも、該ジャダーの発生
を排除してトルク配分の制御が行える。
(発明の効果) 以上の説明から明らかなように本発明によれば、クラ
ッチの締結力を低下させることにより、該クラッチの伝
達トルクを減少させて前輪と後輪とのトルク配分を変化
させる際、前輪と後輪との間に生じる回転速度差を遊星
歯車機構によって増幅させて、クラッチにおける入力側
摩擦板と出力側摩擦板との間に作用させるようにしたか
ら、トルク配分変化時における上記入・出力側摩擦板の
スリップ時の相対回転数を前・後輪回転速度差よりも高
く保つことができる。これにより、クラッチの入力側と
出力側との摩擦板が小さな相対速度でスリップすること
に基づくジャダーが防止されると共に、このジャダーが
発生するクラツチのスリップ速度が一定であるとすれ
ば、これを回避しながら、前・後輪の回転速度速度差を
より小さな値に設定することが可能となる。これによ
り、前・後輪のトルク配分の制御範囲を偏りが小さい方
向へ拡大することが可能となって、トルク配分比の制御
領域を広げることができる。
また、上記クラッチは、遊星歯車機構の入・出力要素
間の相対回転が増幅される二つの要素間に介設されてい
るので、完全締結時における伝達トルクが入・出力要素
を直接結合する場合より小さくなり、したがって該クラ
ッチの小容量化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例を示し、第1図は第1実施例にお
ける4輪駆動車の駆動系の平面図、第2図は第1実施例
に用いる遊星歯車機構の動作説明図、第3図イ、ロはそ
れぞれ第1実施例の変形例における駆動系の要部平面
図、第4図は第2実施例における駆動系の要部平面図、
第5図は第2実施例に用いる遊星歯車機構の動作説明
図、第6図は第2実施例の変形例における駆動系の要部
平面図、第7図イ〜ホは上記の各実施例および各変形例
における遊星歯車機構のそれぞれ速度線図である。 1……エンジン、4……前輪、7……後輪、10,10a,10
b,100,100a……湿式クラッチ(油圧クラッチ)、11,111
……遊星歯車機構、12,112……プラネタリキャリヤ、1
4,114……リングギヤ、15,115……サンギヤ。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジン出力を分割して前輪側および後輪
    側にそれぞれ伝達する2つの動力伝達経路のいずれか一
    方にクラッチを設け、該クラッチの締結力を制御するこ
    とにより前・後輪のトルク配分を変化させるようにした
    4輪駆動車のトルク配分装置であって、上記クラッチが
    設けられた動力伝達経路に遊星歯車機構を配設し、該遊
    星歯車機構を構成するリングギヤ、プラネタリキャリ
    ヤ、サンギヤのうちのいずれか一つの要素を上記エンジ
    ン出力が入力される入力要素、他の一つを当該車輪側へ
    動力を出力する出力要素とすると共に、該入力要素と出
    力要素との間に相対回転が生じたときに、この相対回転
    が増幅される二つの要素間に上記クラッチを介設したこ
    とを特徴とする4輪駆動車のトルク配分装置。
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