JP2907363B2

JP2907363B2 - 電気音響変換器

Info

Publication number: JP2907363B2
Application number: JP4286629A
Authority: JP
Inventors: 高裕曽根
Original assignee: SUTAA SEIMITSU KK
Current assignee: SUTAA SEIMITSU KK
Priority date: 1992-09-30
Filing date: 1992-09-30
Publication date: 1999-06-21
Anticipated expiration: 2014-06-21
Also published as: JPH06113394A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、入力される電気信号を
音響に変換する電気音響変換器に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、電磁型の電気音響変換器は、図６
及び図７に示すように、合成樹脂で成形された円筒形を
成す外装ケース２を備えており、この外装ケース２の開
口部側にはベース部４が設置されている。このベース部
４は、外装ケース２の開口部を閉塞する閉塞手段である
とともに、磁気駆動部５の支持部材としての機能を果た
す部分であって、鉄心６、ベース８、基板１０、端子１
２、１４及び加締めピン１６、１８の５種類７個の部品
で構成されている。即ち、基板１０とベース８とは鉄心
６の後部の加締めにより固定されている。ベース部４は
基板１０とベース８を以て二重構造を成しており、ま
た、基板１０には加締めピン１６、１８を以て端子１
２、１４が固定されている。

【０００３】鉄心６は、磁気駆動部５の一部を構成して
おり、その周囲にはコイル２０が巻回され、そのリード
部２２、２４は個別に端子１２、１４に接続されてい
る。このコイル２０の周囲部には、ベース８に固定され
た環状を成すマグネット２６が設置されている。

【０００４】また、この電気音響変換器では、外装ケー
ス２の内部に段部２７が設けられて前面側を径小、後部
側を径大とし、その段部２７とベース８との間に支持部
材としての間隔保持環２８が設置されている。この間隔
保持環２８との内周部に形成された受座面には磁気的な
振動を機械的な振動に変換する振動板３０が設置されて
いる。この振動板３０は、鉄心６の端面との間に機械的
な振動を許容するための間隙３２を以て設置されてい
る。そして、振動板３０には磁片３４が固定され、その
前面側の外装ケース２の内部には共鳴振動を生じさせる
ための共鳴空間３６が設けられている。そして、外装ケ
ース２の前面側には、共鳴空間３６を外気に開放する円
筒状を成す放音孔３８が形成されている。

【０００５】したがって、このような電気音響変換器で
は、端子１２、１４に適当なレベルの電気信号が加えら
れると、その電気信号によってコイル２０が励磁され、
その励磁によって振動板３０が図面上、上下方向に振動
する。この振動板３０の振動は、加えられる電気信号の
振幅及び周波数に依存するのである。その結果、振動板
３０の振動によって生じた音響が、共鳴空間３６による
共鳴振動を伴いながら、放音孔３８から外気に放出され
る。この場合、ベース部４は、振動板３０の背面側から
の気密保持の機能をも果たしており、音響を発生する上
で、一定の音響特性に寄与している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
電気音響変換器では、外装ケース２におけるベース部４
の占める割合が極めて大きく、その小型化、軽量化を妨
げる原因になっている。従来、小型化、軽量化のため、
鉄心６を短くすることが行われてきたが、このような方
法は、コイル２０の巻回数やその巻回形態に影響し、電
気音響変換器の偏平化が発生磁界の低下、即ち、磁気駆
動力の低下を来し、音圧の低下を生じさせる欠点があっ
た。

【０００７】また、外装ケース２に大きな容積を占める
共鳴空間３６を小さくすることは、電気音響変換器の小
型化を図る上で有効である。共鳴空間３６は、音響を発
生する上で重要な共鳴効果を果たしている。したがっ
て、その狭小化は、共鳴効果の悪化を来し、磁気駆動力
の低下よりも遙かに音響特性に悪影響を与え、得策とは
いえないのである。

【０００８】このため、本発明者は、電気音響変換器の
特性を犠牲にすることなく、ベース部を偏平にした電気
音響変換器を提案している。

【０００９】そこで、本発明は、ベース部材のハイブリ
ッド化を以てベース部分の簡略化を実現した電気音響変
換器を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の電気音響変換器
は、図１に例示するように、磁界を発生するマグネット
（２６）と、電気信号を振動磁界に変換する磁気駆動部
（５）と、前記マグネットの前記磁界とともに、前記磁
気駆動部の振動磁界を受けて振動する振動板（３０）と
を有し、前記電気信号を音響に変換する電気音響変換器
であって、前記振動板の前面側に共鳴空間とともに、そ
の共鳴空間を外気に開放する放音孔が形成され、振動板
の背面側に前記マグネット及び前記磁気駆動部を内蔵す
る外装ケース（２）と、この外装ケースの背面側開口部
を塞いで前記背面空間を封止し、前記磁気駆動部の鉄心
が固定されて磁気回路を成す金属板であって、透孔又は
切欠きが形成されて前記磁気駆動部のコイル（２０）の
リード部（２２、２４）を引き出すベース部材（メタル
ベース基板４０）と、このベース部材の表面に絶縁皮膜
を介在して形成されて前記リード部が電気的に接続され
た導電パターン（５０、５２）とを備えたことを特徴と
する。

【００１１】

【作用】本発明の電気音響変換器では、ベース部材を金
属板で形成し、その上に絶縁皮膜を介在させて端子パタ
ーンが形成されている。そして、べース部材には、磁気
駆動部のコイルのリード部を引き出すための透孔又は切
欠きが形成され、この透孔又は切欠きを通して引き出さ
れたリード部が端子パターンされている。その結果、ベ
ース部の厚さないし占有体積の削減が図られている。

【００１２】そして、このようなベース部材の単純化は
不要な振動の抑制効果に寄与し、音響特性の改善にも寄
与するものである。

【００１３】

【実施例】以下、本発明を図面に示した実施例を参照し
て詳細に説明する。

【００１４】図１及び図２は、本発明の電気音響変換器
の一実施例を示している。この電気音響変換器では、ベ
ース部４に金属材料で形成された板状のベース部材とし
て単一のメタルベース基板４０を用いている。このメタ
ルベース基板４０は、外装ケース２の背面側の開口を閉
塞する円形状を成す閉塞部４２にその一部を直径方向に
延長させた端子部４４を形成したものであり、この端子
部４４には、この実施例の場合、外装ケース２側にＬ字
形に折り曲げた折曲げ部４６が形成されている。

【００１５】そして、このメタルベース基板４０の閉塞
部４２及び端子部４４の外面部には、絶縁ペースト等の
印刷又は塗布等によって絶縁皮膜４８が形成されてい
る。さらに、この絶縁皮膜４８の表面には、この絶縁皮
膜４８を絶縁手段として選択的に導電ペーストの印刷、
めっき等の導体形成手段により、複数の端子パターンと
して導電パターン５０、５２が形成されている。この導
電パターン５０、５２は、電子機器の小型化や簡易化の
ために電気音響変換器に付随する回路や素子の実装用と
してもよく、単なるリードである必要はない。

【００１６】この実施例の場合、閉塞部４２には、その
中心部より僅かに離間した位置に、外装ケース２に内蔵
された磁気駆動部５のコイル２０のリード部２２、２４
を引き出すための透孔５４、５６が形成されている。各
透孔５４、５６は、メタルベース基板４０を外装ケース
２に接合する前の素材としての金属板に打抜き加工等に
よって形成する。各透孔５４、５６は、磁気駆動部５の
コイルのリード部２２、２４をメタルベース基板４０の
背面側に引き出す手段であるから、これらの透孔５４、
５６と同等の機能を持つ単一又は複数の切欠きをメタル
ベース基板４０の縁部等に形成し、この切欠きを以てリ
ード部２２、２４を引き出すようにしてもよい。

【００１７】そして、各透孔５４、５６から引き出され
たリード部２２、２４が半田や導電性接着剤を以て導電
パターン５０、５２に電気的に接続されている。また、
透孔５４、５６には絶縁手段及び固定手段としての絶縁
剤５３が充填されている。これによって、リード部２
２、２４に不要な応力が加わるのを防止でき、断線等の
不慮の事故から電気音響変換器を保護して電気音響変換
器の信頼性の向上に寄与するものである。

【００１８】また、外装ケース２は、合成樹脂を成形し
た円筒形を成すものであり、その基本構成は従来の電気
音響変換器と同様であるが、この実施例では、メタルベ
ース基板４０を以てベース部４を構成していることか
ら、偏平化されている。また、ベース部４における鉄心
６の有効長は、図６における鉄心６の基板１０を貫通す
る部分及び加締め部分を除いた長さに設定されているか
ら、この実施例の電気音響変換器では、鉄心６の有効長
は明らかに短くなっており、そのことからも電気音響変
換器の高さが低くなっていることが判る。

【００１９】そして、メタルベース基板４０の中心部分
には透孔５８が形成され、この透孔５８には、鉄心６の
径小部６０が圧入されて固定され、立設されている。即
ち、鉄心６は、従来のような結合手段としての付帯的な
機能がなく、単純に磁心としての機能を果たしている。
このように鉄心６とメタルベース基板４０とは磁気的に
閉回路を成し、磁気駆動部５の磁路の一部を構成してい
る。また、この鉄心６の固定手段としては、径小部６０
及び透孔５８にねじを切ってねじ止めする方法の他、溶
接、接着剤による固定等の各種の方法を取ることができ
る。

【００２０】この鉄心６の周囲にはコイル２０が巻回さ
れるとともに、その周囲には円環状を成すマグネット２
６が設置されて、磁気駆動部５が構成されている。マグ
ネット２６は、コイル２０の周囲との間に僅かな間隔を
持たせてメタルベース基板４０の上面に接着剤等を以て
強固に固定されている。

【００２１】そして、このマグネット２６と閉磁路を成
し、磁気駆動部５における鉄心６からの振動磁界によっ
て駆動される振動板３０が設置されている。この振動板
３０の周縁部は、マグネット２６を包囲して設けられた
間隔保持環２８の内周部に形成された受座面に固定され
ている。外装ケース２の内側は、段部２７を設けて前面
側を径小、その後方を径大に形成され、この径大部分に
は間隔保持環２８が嵌め込まれて機械的に位置決めさ
れ、かつ固定されているのである。

【００２２】また、振動板３０の外面側の中心部には、
振動板３０に質量を与え、且つ磁気効率を向上させるた
めの磁片３４が固定されている。この振動板３０の前面
側には、外装ケース２によって共鳴空間３６が形成され
ており、この共鳴空間３６を外気に開放する円筒状を成
す放音孔３８が磁片３４に対向する形態で設けられてい
る。

【００２３】次に、図３は、メタルベース基板４０の具
体的な実施例を示している。メタルベース基板４０は、
外装ケース２を閉塞する閉塞手段であるとともに、磁気
的には閉磁路の一部を構成し、適当な剛性を持たせるた
め、金属板で構成したものである。このため、リード部
２２、２４を外部に引き出す端子を成す導電パターン５
０、５２が形成されている。この実施例は、メタルベー
ス基板４０の表面部に絶縁ペースト等で絶縁皮膜４８を
形成し、その表面に導電ペーストを以て導電パターン５
０、５２を形成したものである。絶縁皮膜４８は絶縁塗
料、酸化皮膜等で形成し、導電パターン５０、５２は銅
箔等で形成してもよい。

【００２４】このような構成によれば、図４に示すよう
に、電子機器のプリント基板６２の導電パターン６４に
合わせて閉塞部４２及び端子部４４を載せ、半田６６を
以て電気的に接続するとともに、機械的に固定すること
ができる。即ち、電気音響変換器の設置のために別部材
を設ける必要がなく、電気音響変換器の回りの機械的な
構成及び電気的な接続構成を簡略化することができる。

【００２５】そして、この電気音響変換器では、鉄心６
の有効長やマグネット２６等の磁気駆動部５の形態に何
ら変更を加えることなく、メタルベース基板４０を用い
たことによってベース部４が簡略化され、偏平化ととも
に、鉄心６は、磁気的な機能以外の他の部材の結合部材
等に利用されることがなく、従来の加締めのための長さ
も不要となったため、部品点数減による構成の簡略化に
加え、加工ないし組立工程の簡略化をも図ることができ
たのである。また、メタルベース基板４０の採用が不要
な振動を抑制する効果があり、音響特性の改善にも寄与
しているのである。

【００２６】次に、図５は、本発明の電気音響変換器の
他の実施例を示している。即ち、メタルベース基板４０
の端子部４４に設けられた折曲げ部４６は、図５に示す
ように、背面側に向けて形成してもよく、その形態がハ
イブリッド化を妨げるものではない。特に、メタルベー
ス基板４０を用いた電気音響変換器は、その偏平化だけ
でなく、端子形態にも変革をもたらすものであって、単
なるリードから回路の一部や固定手段の簡易化等の自由
度を高めるものである。したがって、このような形態と
すれば、電気音響変換器を取り付けるべきプリント基板
６２側に折曲げ部４６が挿入可能な透孔６８を形成し、
この内部に折曲げ部４６を挿入して仮に固定した後、そ
の背面側の導電パターン６４との間に半田６６又は導電
性接着剤を載せ、電気的な接続とともに機械的に固定す
ることができる。図４に示した実施例と比較すると、プ
リント基板６２との固定強度がより高まり、信頼性を高
めることができる利点がある。

【００２７】また、実施例では、端子部４４とプリント
基板６２との接続ないし固定を半田や導電接着剤で行っ
た場合について説明したが、本発明の電気音響変換器
は、ビス及びナット等の機械的な固定手段、シャーシの
切り起こし等の手段を用いてもよく、固定手段の自由度
を損なうものではない。

【００２８】また、実施例では、ベース部材であるメタ
ルベース基板４０を用いたことによって、電気音響変換
器の偏平化及び小型化が図られたことを強調している
が、このようなベース部材の構成は、従来からの電気音
響変換器の内部形態を同一にし、その外面側にメタルベ
ース基板４０を設置して偏平化を犠牲にしても、端子構
造の形態の変更による利点は無視することができない。
したがって、本発明の電気音響変換器は、実施例の電気
音響変換器の磁気駆動部の形態に限定されるものではな
い。

【００２９】また、実施例では、メタルベース基板にリ
ード部２２、２４の引出し手段として透孔５４、５６を
形成したものを説明したが、その応用例としては、メタ
ルベース基板４０にスルーホールを形成し、その部分に
絶縁被膜を介在させて導電パターンを形成し、この導電
パターンにコイル２０のリード部２２、２４をメタルベ
ース基板４０の上面側で接続するようにしてもよい。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来の端子をベース部材を金属化し、その表面に絶縁皮
膜を介在させて端子パターンを形成して端子とし、この
端子パターンに磁気駆動部のコイルのリード部を接続し
たので、構成の簡略化とともに、電気音響変換器の偏平
化を図ることができ、さらに音響特性の改善をも図るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の電気音響変換器の一実施例を示す縦断
面図である。

【図２】図１に示した電気音響変換器の背面部を示す平
面図である。

【図３】図１に示した電気音響変換器におけるメタルベ
ース基板の構成を示す断面図である。

【図４】図１に示した電気音響変換器の取付け状態を示
す縦断面図である。

【図５】本発明の電気音響変換器の他の実施例及びその
取付け状態を示す縦断面図である。

【図６】従来の電気音響変換器を示す縦断面図である。

【図７】図６に示した電気音響変換器の背面部を示す平
面図である。

【符号の説明】

２外装ケース５磁気駆動部２０コイル２２，２４リード部２６マグネット３０振動板４０メタルベース基板（ベース部材）４８絶縁皮膜５０，５２導電パターン５４，５６透孔

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】磁界を発生するマグネットと、電気信号を振動磁界に変換する磁気駆動部と、前記マグネットの前記磁界とともに、前記磁気駆動部の
振動磁界を受けて振動する振動板と、を有し、前記電気信号を音響に変換する電気音響変換器
であって、前記振動板の前面側に共鳴空間とともに、その共鳴空間
を外気に開放する放音孔が形成され、振動板の背面側に
前記マグネット及び前記磁気駆動部を内蔵する外装ケー
スと、この外装ケースの背面側開口部を塞いで前記背面空間を
封止し、前記磁気駆動部の鉄心が固定されて磁気回路を
成す金属板であって、透孔又は切欠きが形成されて前記
磁気駆動部のコイルのリード部を引き出すベース部材
と、このベース部材の表面に絶縁皮膜を介在して形成されて
前記リード部が電気的に接続された導電パターンと、を備えたことを特徴とする電気音響変換器。