JP2903715B2 - 溶接装置 - Google Patents

溶接装置

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JP2903715B2 JP40879590A JP40879590A JP2903715B2 JP 2903715 B2 JP2903715 B2 JP 2903715B2 JP 40879590 A JP40879590 A JP 40879590A JP 40879590 A JP40879590 A JP 40879590A JP 2903715 B2 JP2903715 B2 JP 2903715B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、垂直パイプの内周面を
溶接するための溶接装置に関する。
【0002】
【従来の技術】高所に配置された垂直パイプの内周面を
下方の離れた位置から溶接する溶接装置として図3に示
すものが知られている。図示するようにこの溶接装置a
は、下方から垂直パイプb内に挿入されるロッド状の本
体cと、この本体cの側部に設けられた溶接トーチd
と、上記本体cをZ軸(垂直軸)方向およびθ軸(本体
cの中心軸)廻りに移動・回転制御する駆動部eとから
主に構成されている。
【0003】この溶接装置aを用いて垂直パイプbの内
周面を溶接する場合、先ず、上記本体cを駆動部eによ
ってZ軸方向上方に移動させて垂直パイプb内に下方か
ら挿入する。そして、駆動部eにより本体cをZ軸方向
およびθ軸廻りに移動調節して、本体c側部の溶接トー
チdをパイプb内周面の開先f軌跡に沿ってトレースさ
せ、その開先f位置をセンシングする。つまり、本体c
側部の溶接トーチdのトーチ先端部を電圧検出器として
利用し、パイプb内周面の開先f軌跡の複数点を測定点
とし、各測定点において溶接トーチdを上下させてトー
チdの移動量を電圧の変化として検出し、その結果から
実際の開先f軌跡を求める。その後、このセンシングの
結果に基づいて、上記本体cを駆動部eによってZ軸方
向およびθ軸廻りに移動制御して、上記溶接トーチdに
より開先f軌跡に沿った溶接を行っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
溶接装置aにあっては、上記駆動部eに溶接装置aの総
重量が加わることになる。このように大荷重が加わる駆
動部eをZ軸方向およびθ軸廻りに移動制御すること
は、駆動部eの駆動装置の負担を考慮すると実際上困難
である。
【0005】また、高所に配置された垂直パイプbの内
周面を下方から溶接する都合上、実質的に溶接を行う溶
接トーチdを本体cの上部に設け、この溶接トーチdを
移動制御する駆動部eを本体cの下部に設ける必要があ
る。従って、下方の駆動部eによって上方の溶接トーチ
dをZ軸方向およびθ軸廻りに移動制御すると、本体c
に撓みが生じて溶接トーチdの先端部が大きく振れ、ト
ーチd先端部と開先fとの間隔が変動して健全な溶接が
行えなくなるという問題が生じる。
【0006】また、溶接前に行う開先f位置のセンシン
グ時にも、同様に駆動部eによって本体cをZ軸方向,
θ軸廻りに移動させることになるが、この際にも、本体
cが撓んで溶接トーチd先端部と開先fとの間隔が変動
してしまい、センシング精度が大幅に低下して、開先f
に対する溶接トーチdの狙い位置がズレ、溶接欠陥が多
発することになる。
【0007】特に、溶接すべき垂直パイプbが細径パイ
プの場合、これに挿入可能とするために本体cを細くし
なければならず、本体cの剛性が低下して上記振れ現象
が顕著に起きてしまう。また、上記溶接箇所(開先f位
置)が高所であるほど、本体cの長さLを長くしなけら
ばならず、振れ量が大きくなる。
【0008】以上の事情を考慮して創案された本発明の
目的は、垂直パイプ内に下方からロッド状の本体を挿入
して、本体に設けられた溶接トーチにより垂直パイプ内
周面を溶接する溶接装置において、溶接精度を高めるこ
とができる溶接装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、垂直パイプの内周面を溶接する溶接装置に
おいて、下方から垂直パイプ内に挿入される外筒部と、
該外筒部の頂部に径方向に拡縮自在に設けられ、その
径時に垂直パイプの頂部端面に載置され、外筒部を垂直
パイプ内に回転自在に垂下するストッパと、上記外筒部
内に下方から挿入され外筒部に対して相対移動可能な
装部と、該内装部に設けられ外筒部を貫通して垂直パイ
プ内周面に臨まされた溶接トーチと、上記外筒部に形成
され上記溶接トーチが垂直方向に移動可能に貫通される
窓部と、上記内装部の下端部に接続され内装部を外筒部
に対して相対移動させる駆動部とを備えたことから構成
されている。
【0010】
【作用】垂直パイプ内に下方から外筒部を挿入した後、
外筒部の頂部に位置するストッパを拡径させて、そのス
トッパを垂直パイプの頂部端面に係止させる。これによ
り、外筒部が上記ストッパを介して垂直パイプ内に回転
自在に垂下される。
【0011】その後、外筒部内の内装部をその下部に接
続された駆動部によって垂直方向および周方向に移動・
回転制御して、内装部に備えられた溶接トーチにより垂
直パイプ内周面の溶接を行う。
【0012】この際、溶接トーチは、垂直パイプ内にス
トッパを介して回転自在に垂下された外筒部に形成され
た窓部内を垂直方向に自在に移動すると共に、周方向に
は上記外筒部と一体的に回動する。
【0013】このように、垂直パイプに下方から挿入さ
れた外筒部の自重を、拡径されたストッパによって垂直
パイプの頂部端面に支持させ、内装部の下端部に接続さ
れた駆動部に加わる荷重負担を内装部の自重のみとして
いるので、駆動部の荷重負担が少なくなり、駆動部によ
る溶接トーチの移動の制御精度を高められる。
【0014】
【実施例】以下に本発明の一実施例を添付図面に基づい
て説明する。
【0015】図1に、ボイラ等に用いられる垂直パイプ
1の内周面を溶接する溶接装置2を示す。図示するよう
に、この溶接装置2は、下方から垂直パイプ1内に挿入
されるロッド状の本体3を備えている。この本体3は、
円筒状の外筒部3aと、その内部に設けられ外筒部3a
に対してピストンとシリンダの如く摺接自在に構成され
た内装部3bとからなっている。
【0016】上記内装部3bは、外筒部3aの内径に摺
接する径に形成され外筒部3aの内部に適宜間隔をおい
て配置された複数の円板4と、これら円板4間を連結す
る連結ロッド5と、上記円板4上に設けられた溶接トー
チ6とから構成されている。この溶接トーチ6は、実質
的に溶接を行うトーチ先端部6aが上記外筒部3aの側
部に垂直方向に形成された窓部7から突き出され、垂直
パイプ1の内周面に臨むようになっている。また、この
溶接トーチ6は、上記円板4上の送りネジ機構8によっ
て内装部3bに対して垂直方向(S軸方向)に移動自在
で、かつ図示しないスライド機構によって径方向にも適
正移動可能となっている。
【0017】上記送りネジ機構8を以下に記す。上記溶
接トーチ6は、そのトーチケーシング6bが上記円板4
上に回転自在に立設された送りネジ9に螺合されてい
る。上記トーチケーシング6bにはS軸ピン10が付設
されており、このS軸ピン10が上記外筒部3aに垂直
方向に形成されたS軸ピン溝11にスライド自在に係合
されている。この構成によれば、上記送りネジ9をモー
タMSで回転駆動することにより、トーチケーシング6
bが送りネジ9に沿って螺進することになる。よって、
上記モータMSを右回転,左回転と切り替えれば、溶接
トーチ6がS軸方向に上昇・下降する。上述の送りネジ
機構8は、主に、溶接前に行う開先12位置のセンシン
グの際に、溶接トーチ6を内装部3bに対して垂直方向
(S軸方向)に移動させるために用いられる。本実施例
にあっては、上記開先12は、垂直パイプ1の内周面を
三次元的に斜めに溶接するように楕円軌跡となっている
が、これに限らずパイプ1の内周面を直角に二次元的に
溶接すべく円軌跡のときであってもよい。
【0018】上記内装部3bは、その下部に接続された
駆動部13によってZ軸方向(垂直方向)およびθ軸廻
り(本体の中心軸廻り)に移動されるようになってい
る。この駆動部13は、図1に示すように、モータMZ
により回転駆動されるスクリューシャフト16に螺合さ
れた支持台17上に回転自在に支持されている。図中、
17aは螺合部としてのナットである。このスクリュー
シャフト16は、その下端部が支持フレーム18内の下
部に設けられた軸受部19aに回転自在に支持されてお
り、上端部も同様に支持フレーム18の上部に設けられ
た軸受部19bに軸支されている。このスクリューシャ
フト16は、上記モータMZの回転がベルトまたはギヤ
25を介して伝達されることにより、回転するようにな
っている。このモータMZの回転により、上記支持台1
7は、支持フレーム18に垂直方向に形成されたガイド
24に沿って、その自転が規制されつつZ軸方向に移動
することになる。また、上記支持台17上には、駆動部
13をθ軸廻りに回転させるためのモータMθが設けら
れている。
【0019】このような駆動部13によって内装部3b
をZ軸方向へ移動させると、上記内装部3bは外筒部3
aに対してピストンとシリンダの如く摺接移動する。ま
た、θ軸廻りに回転させると、内装部3bのZ軸ピン1
4が外筒部3aの側部に垂直方向に形成されたZ軸ピン
溝15に係合することにより、内装部3bは外筒部3a
と一体的に回転するようになっている。上記Z軸ピン1
4は内装部3bの円板4に付設されている。また、これ
らのZ軸ピン14およびZ軸ピン溝15は一箇所に限ら
ず、本体3の長手方向,或いは周方向に沿って複数箇所
設けてもよい。
【0020】上記Z軸ピン溝15の溝長さ15Lは、少
なくとも上記開先12の最高部12aと最低部12bと
の間隔長分12Lは必要であり、望ましくは、上記開先
12を充分カバー(移動)できる範囲12LL(12L
L>12L)程度がよい。また、このZ軸ピン溝15の
上下限近傍位置には、オーバシュートによる装置の破損
を防止するためZ軸ピン14の位置を検出するセンサが
(図示せず)備えられている。なお、これらZ軸ピン1
4およびZ軸ピン溝15が特許請求の範囲の係合機構に
相当する。
【0021】一方、上記外筒部3aは、図1に示すよう
に、頂部20が閉塞された円筒体から構成されている。
この頂部20には、径方向に拡縮自在に構成されたスト
ッパ21が備えられている、このストッパ21は、図2
に示すように扇状に形成され、上方から見て120 度間隔
に3個設けられている。これらのストッパ21は、その
縮径時には図2に一点鎖線で示すように外筒部3aの径
方向内方に格納され、拡径時には実線で示すように径方
向外方に延出されるようになっている。このようなスト
ッパ21の拡縮作動は、図示されないエアパイプまたは
溶接用ガスパイプからのエア圧または溶接用ガス圧によ
ってなされるようになっている。
【0022】上記ストッパ21は、図1に示すように、
その拡径時に垂直パイプ1の頂部端面1aに取り付けら
れたアタッチメント22に係止されるようになってい
る。このアタッチメント22は、図2に示すように、ス
トッパ21を支持するストッパ載部22aと、ストッパ
21の外周端部が接触して径方向の位置を決定する周端
部22bとを備えている。上記ストッパ載部22aは、
縮径されたストッパ21と接触しない形状に成形されて
いる。
【0023】上記ストッパ載部22aとストッパ21の
下面部とは相互に滑りやすい材質から滑りやすい形状に
形成されており、上記拡径時において外筒部3aをθ軸
廻り回転させた際に、アタッチメント22上をストッパ
21が良好に摺接するようになっている。例えば、相互
の摺接面を平滑に形成しその間にオイルを介在させた
り、逆に、摺接面に突起物を形成して接触面積を減少さ
せて摺接抵抗の低下を図ったり、或いは、摺接面にベア
リングを介在させることも考えられる。いずれの場合に
あっても、外筒部3aをθ軸廻り回転させた際に外筒部
3aが軸ブレしないように、上記摺接面はθ軸に対して
正確に垂直面出し成形されている。
【0024】上記ストッパ21下方の外筒部3aの側部
には、図1に示すように、径方向に拡縮自在に構成さ
れ、その拡径により垂直パイプ1内面を押圧して本体3
の芯出しを行なう芯出部材23が設けられている。この
芯出部材23も上記ストッパ21と同様に120 度間隔に
3個設けられ、図示されないエアパイプまたは溶接用ガ
スパイプからのエア圧または溶接用ガス圧によって径方
向に拡縮されるようになっている。これら芯出部材23
は、その拡径時に垂直パイプ1内面に押圧される部分が
上記ストッパ21と同様にパイプ1内面に対して滑りや
すい材質から滑りやすい形状たとえばローラ付などで形
成されている。
【0025】上記芯出部材23は、溶接トーチ6の芯ブ
レを考慮すれば、溶接すべき開先12位置の近傍に配置
されるのが望ましい。本実施例にあっては、芯出部材2
3を開先12位置の上方に一か所のみ設けた構成にした
が、これに限らず開先12位置の下方に二か所,三か所
と増設してもよい。
【0026】以上の構成からなる本実施例の作用を述べ
る。
【0027】垂直パイプ1の内周面を溶接するに際し
て、先ず、図1に示すモータMZを回転させて支持台1
7をZ軸方向上方へ移動させ、支持台17に連結された
本体3の内装部3bを上方へ移動させる。この際、本体
3の外筒部3aは、内装部3bのZ軸ピン14が外筒部
3aのZ軸ピン溝15の上端部に係合した状態で、内装
部3bと一体的にZ軸方向上方へ押し上げられる。この
結果、本体3は、内装部3bと外筒部3aとが一体的に
Z軸方向上方に移動し、垂直パイプ1内に挿入される。
この本体3のZ軸方向上方へ移動は、本体3の頂部20
が垂直パイプ1の頂部端面1aから突き出るまで行われ
る。
【0028】そして、本体3の外筒部3aの頂部20に
位置するストッパ21を拡径させ、そのストッパ21を
垂直パイプ1の頂部端面1aにアタッチメント22を介
して係止させる。これにより、本体3は、その外筒部3
aが垂直パイプ1内に垂下され、垂直方向の位置決めが
なされることになる。このとき、本体3の内装部3bは
下方の駆動部13に支持されることになる。なお、上記
3個のストッパ21の内部にそれぞれ荷重を計測するロ
ードセルを組み込んでおき、これらのロードセルが本体
3の外筒部3aの重量値をバランスよく1/3均等で検
出するまで、本体3のZ軸方向への移動制御を行うよう
にしてもよい。これにより、ストッパ21とアタッチメ
ント22との係合状態を確認することができ、係合不良
により本体3が傾いたままで垂下され、その状態で開先
12のセンシングや溶接がなされることを未然に防止で
きる。
【0029】次いで、上記外筒部3aの側部に位置する
芯出部材23を拡径させて、その芯出部材23を垂直パ
イプ1内面に押圧させ、本体3の芯出しを行なう。これ
により、本体3は、垂直パイプ1の中心線と芯出しさ
れ、径方向の位置決めがなされる。
【0030】このように、パイプ1に対する本体3の垂
直方向の位置決め、および径方向の芯出しが終了した
後、駆動部13のモータMZ,Mθを回転させて内装部
3bをZ軸方向に移動させると共にθ軸廻りに回転さ
せ、内装部3bに設けられた溶接トーチ6を垂直パイプ
1内周面の開先12軌跡に沿ってトレースさせる。
【0031】この際、内装部3bと外筒部3aの間に設
けられた係合機構(Z軸ピン14,Z軸ピン溝15)
が、内装部3bを垂直方向に移動させたときには、内装
部3bが外筒部3a内を垂直移動することを許容し、内
装部3bを周方向に移動させたときには、内装部3bと
外筒部3aとを一体的に回転させるように機能する。す
なわち、外筒部3aは、内装部3bのZ軸ピン14が外
筒部3aのZ軸ピン溝15に係合されていることから、
これらピン14,ピン溝15を介して内装部3bと一体
的にθ軸廻りに連れ回る。また、内装部3bのZ軸方向
への移動させると、内装部3bがこの外筒部3a内を外
筒部3aにガイドされつつ相対的に垂直方向に摺接移動
することになる。
【0032】これにより、外筒部3aが垂直パイプ頂部
端面1aからパイプ1内に垂下された状態で、内装部3
bは、この外筒部3a内をピストンとシリンダの如く垂
直方向に摺接移動し、且つ周方向には外筒部3aと一体
となって回転することになる。この際、上記ストッパ2
1および芯出部材23は一体的にθ軸廻りに回転し、ス
トッパ21の下面部がアタッチメント22と摺接すると
共に、芯出部材23の押圧部がパイプ1内周面と摺接す
ることになる。
【0033】このように本体3をθ軸廻りに回転させる
と共にZ軸方向に移動させて、溶接トーチ6のトーチ先
端部6aをパイプ1内周面の楕円状の開先12軌跡に沿
ってトレースさせる。この際、上記トレースの途中で、
本体3の回転移動を数回一時中断し、その都度、モータ
MSによって溶接トーチ6を内装部3bに対して垂直方
向(S軸方向)に移動させ、開先12位置のセンシング
を行う。つまり、上記溶接トーチ6のトーチ先端部6a
を電圧検出器として利用し、パイプ1内周面の開先12
軌跡の複数点を測定点とし、各測定点において溶接トー
チ6をそのトーチ先端部6aが開先12の上下の斜面部
に当たるまでS軸方向に上下させてそのときのトーチ6
の移動量を電圧の変化として検出し、その結果から実際
の開先12軌跡を求める。
【0034】その後、上記センシング結果に基づいて、
モータMZおよびモータMθにより、内装部3bをZ軸
方向およびθ軸廻りに移動制御して、溶接トーチ6を開
先12軌跡に沿って正確にトレースさせ、垂直パイプ1
内周面の溶接を行う。なお、溶接の最中に溶接の熱歪み
などに起因して開先12位置がズレた場合には、一旦装
置を停止させ再度センシングを行うようにしてもよい。
【0035】このような溶接装置2にあっては、上記外
筒部3aが垂直パイプ頂部端面1aに懸下されているこ
とから、駆動部13には溶接装置2の総重量が加わるの
ではなく、内装部3bのみの荷重が加わることになる。
よって、駆動部13の負担がかるくなり、溶接トーチ6
をZ軸方向およびθ軸廻りに移動制御する際の制御精度
が高まることになる。
【0036】また、開先12位置のセンシング時に、外
筒部3aが上記ストッパ21により垂下されて垂直方向
の位置決めがなされると共に、芯出部材23により径方
向に位置決めがなされており、その外筒部3aの内部を
内装部3bが摺接移動することから、外筒部3aがガイ
ドレールの如く機能し、センシング精度が高まることに
なる。
【0037】よって例えば、溶接すべき垂直パイプ1が
細径パイプの場合、これに挿入可能とするために本体3
を細くしなければならないが、このように細い剛性の低
い本体3を用いた場合でも充分なセンシング精度を確保
することができる。また、溶接すべき開先12位置が高
所であるほど、長尺の本体3を用いる必要があるが、こ
の長尺の剛性の低い本体3を用いた場合にあっても充分
なセンシング精度を確保することができる。このように
センシング精度が向上することにより、開先12に対す
る溶接トーチ6の狙い位置のズレが低減し、溶接精度が
高まる。
【0038】また、溶接時に内装部3bをZ軸方向およ
びθ軸廻りに移動制御する際に生じる本体3の撓み・振
れが上記ストッパ21および芯出部材23により抑えら
れるので、上述の如き細く長尺な本体3を用いた場合で
あっても、トーチ先端部6aと開先12との間隔を一定
に保つことができ、健全な溶接が達成される。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る溶接装
置によれば次の如き優れた効果を発揮することができ
る。
【0040】(1) 上記外筒部が垂直パイプ頂部端面に懸
下された状態で溶接を行うことから、駆動部には溶接装
置の総重量が加わるのではなく内装部のみの荷重が加わ
ることになり、駆動部の負担がかるくなる。よって、こ
の駆動部によって溶接トーチをZ軸方向およびθ軸廻り
に移動制御する際の制御精度を高めることができる。
【0041】(2) 垂直パイプ頂部端面に懸下され垂直方
向に位置決めされた外筒部が内装部のガイドレールの如
く機能することにより、内装部に備えられた溶接トーチ
の移動精度を高めることができる。よって、精度の高い
溶接を行うことができる。
【0042】(3) 従って、溶接箇所が高く外筒部および
内装部を長尺に成形せざるを得ない場合や、溶接すべき
垂直パイプのパイプ径が小径で外筒部を細く成形せざる
を得ない場合であっても、精度の高い健全な溶接を行う
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施例を示す溶接装置の概略側面図。
【図2】図1の上面図。
【図3】従来例を示す溶接装置の概略側面図。
【符号の説明】
1 垂直パイプ 1a 頂部端面 2 溶接装置 3a 外筒部 3b 内装部 6 溶接トーチ 13 駆動部 14,15 係合機構 20 頂部 21 ストッパ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 実 神奈川県横浜市磯子区新中原町1番地 石川島播磨重工業株式会社 技術研究所 内 (56)参考文献 実公 昭48−38504(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 37/00 B23K 9/028 B23K 9/127

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 垂直パイプの内周面を溶接する溶接装置
    において、下方から垂直パイプ内に挿入される外筒部
    と、該外筒部の頂部に径方向に拡縮自在に設けられ、そ
    拡径時に垂直パイプの頂部端面に載置され、外筒部を
    垂直パイプ内に回転自在に垂下するストッパと、上記外
    筒部内に下方から挿入され外筒部に対して相対移動可能
    内装部と、該内装部に設けられ外筒部を貫通して垂直
    パイプ内周面に臨まされた溶接トーチと、上記外筒部に
    形成され上記溶接トーチが垂直方向に移動可能に貫通さ
    れる窓部と、上記内装部の下端部に接続され内装部を外
    筒部に対して相対移動させる駆動部とを備えたことを特
    徴とする溶接装置。
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