JP2902979B2 - 耐食性に優れた内面Snめっき銅管およびその製造方法 - Google Patents
耐食性に優れた内面Snめっき銅管およびその製造方法Info
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Description
nめっき銅管、とくに建物等の給水、給湯系配管、空調
機配管等に使用される内面Snめっき銅管、およびその
製造方法に関する。
内面の耐食性を向上させるために、銅管の内面にSnめ
っき皮膜を形成することが行われている。従来、銅管の
内面にSnめっき皮膜を形成する方法として、長尺な銅
管コイルあるいは複雑な形状の銅管に対して、低コスト
且つ簡便に均一なめっき皮膜を形成することができるよ
いう観点から、とくに置換型の無電解めっきが工業的に
実施されている。
膜の形成は、銅管の内部に、例えば塩化第1錫、チオ尿
素および酒石酸からなる置換めっき液を流通させること
により行われる(特開平4−45282号公報、特開平
4−131384号公報)が、従来の置換めっき液によ
り形成されたSnめっき皮膜は、しばしば灰黒色に変色
し、耐食性が低下することが経験されている。変色した
めっき皮膜は、皮膜が脆くなり、密着力が低下して剥離
が生じ易くなるとともに、自然電位が貴に変位し、十分
な耐食性が得られなくなる。
による耐食性低下の原因を解明するために、変色しため
っき皮膜を分析し、検討を行った結果、変色しためっき
皮膜には、とくに皮膜の表層部に硫化物を多く含む層が
形成されており、硫化物を含む層が厚くなるほどSnめ
っき層が外観上灰黒色化することが観察され、変色、耐
食性低下が、Snめっき処理中にSnめっき皮膜に硫黄
が取り込まれることに起因するものであることを究明し
た。
みは、C=Sの結合を有する硫黄化合物、例えばチオ尿
素またはその誘導体をめっき処理において使用すること
によるものであることを見出した。しかし、上記の硫黄
化合物は、現在の無電解Snめっきにおいては錯化剤と
して不可欠なものであり、めっき液の成分から除去する
ことはできない。発明者らは、Snめっき皮膜への硫黄
の取り込みを減少させるために、めっき液を低温で銅管
内に流通させる方法も試みたが、十分な効果が得られ
ず、低温で処理するほど、めっき皮膜の析出速度が低下
するため、所定の膜厚を得るために時間を要し、コスト
アップを招くという難点も生じた。
きにより銅管内面に形成されるSnめっき皮膜における
上記の問題点を解消するために、Snめっき皮膜中の硫
黄分の分布と変色、耐食性低下との関連性、および錯化
剤を添加しためっき液を使用した場合にも、Snめっき
皮膜の変色、耐食性低下が生じないための処理方法につ
いて実験、検討を重ねた結果としてなされたものであ
り、その目的は、Snめっき皮膜中の硫黄分の分布を特
定することによって安定した耐食性を有する内面Snめ
っき銅管を提供するとともに、めっき皮膜の析出速度を
低下させることなく、Snめっき皮膜への硫黄の取り込
みを低減させ耐食性を向上させた内面Snめっき銅管の
製造方法を提供することにある。
めの本発明による耐食性に優れた内面Snめっき銅管
は、内面に無電解めっきにより平均厚さで0.3〜3.
0μmのSnめっき皮膜を形成した銅管であって、該S
nめっき皮膜が金属Snおよび酸化Snを主体としてな
り、Snめっき皮膜の膜厚をtとした場合、Snめっき
皮膜の表面から膜厚方向に1/4・t深さまでの表層部
におけるSnめっき皮膜中の硫黄の含有量が平均値で
0.01〜5wt%であることを構成上の特徴とする。
nめっき銅管の製造方法は、銅管の内部に、+2価Sn
イオン、硫酸、チオ尿素、芳香族スルホン酸またはその
塩、リン酸化合物および非界面活性剤を含有し、且つ上
記+2価Snイオンの含有量を0.2mol/l以下と
し、pHを0.5以下に調整した無電解めっき液を流通
させることにより、銅管の内面にSnめっき皮膜を形成
させることを特徴とする。
通常は給水給湯用配管材料として一般的に用いられるリ
ン脱酸銅管(JIS H3300 C1220)である
が、P以外の脱酸剤としてB、Mg、Si等が使用され
た脱酸銅管においても、何らその効果を妨げられること
なく本発明を適用することが可能である。また、耐食性
向上を目的としてSn、Al、Zn、Mn、Mg等の各
種元素が微量添加された低銅合金管についても、銅含有
量が96重量%以上であれば、リン脱酸銅管と同様、何
らその効果を妨げられることなく本発明を適用すること
ができる。
おいて、めっき皮膜への硫黄分の取り込みは、めっき皮
膜の表層部で生じ易く、硫黄を含有するめっき層がめっ
き皮膜の表層から膜厚方向(銅素地の方向)に増加する
と、十分な耐食性が得られなくなり、皮膜の黒変色化も
顕著となる。銅管の実使用環境において、十分な耐食性
を得るためには、金属Snおよび酸化Snを主体とする
Snめっき皮膜において、皮膜の厚さをtをした場合、
めっき皮膜の表面から膜厚方向に1/4・tの深さまで
の表層部におけるSnめっき皮膜中の硫黄含有量が平均
値で5wt%以下にすることが必須であり、硫黄含有量
が5wt%を越えると耐食性が不十分となることが発明
者らによる多くの実験結果から判明した。
皮膜中の硫黄分を無くすことが好ましいが、硫黄化合物
を錯化剤として使用する置換型の無電解Snめっき処理
においては、めっき皮膜への硫黄分の取り込みを無くす
ことは実際上不可能である。Snめっき皮膜形成後に皮
膜中の硫黄分を除去することは必ずしも不可能ではない
が、除去のための工程が増えるとともに大幅なコストア
ップとなり実用的ではない。本発明では、通常のめっき
処理法において、めっき皮膜中への硫黄の取り込みを抑
制し得る限界として、上記表層部における硫黄含有量の
下限を0.01wt%とした。
(1/4)×t深さより深い素地側部に金属Snおよび
酸化Snの存在が十分でない部分があっても、表層部が
十分な耐食性をそなえているから、腐食は内部まで浸透
することがなく内部が保護され、めっき皮膜全体として
優れた耐食性が与えられる。また、膜厚の1/4に相当
する硫黄分を含有する表層部において、硫黄分がめっき
皮膜の表面で高く、表面から内部にかけて硫黄分が減少
するような分布となっている場合、たとえSnめっき皮
膜の表面部が腐食により剥離しても、その下層に硫黄を
ほとんど含有しない金属Snおよび酸化Snを主体とす
るめっき層が存在するから十分な耐食性が維持される。
0μmの範囲が好ましく、0.3μm未満では、銅管使
用時の施工に際しての変形により、めっき皮膜に割れが
生じ耐食性が害されるおそれがある。3.0μmを越え
るめっき皮膜を形成しても耐食性の向上効果が飽和する
とともに、コスト上昇をもたらす。
の内部に置換型の無電解Snめっき液を流通させること
により製造される。好ましくは、銅管としてコイル状銅
管を使用し、めっき液を連続的に通液する。めっき液の
組成としては、+2価Snイオン、硫酸、錯化剤として
チオ尿素、芳香族スルホン酸またはその塩、Snの酸化
防止剤(沈殿防止剤)としてリン酸化合物、およびめっ
き皮膜を均一に析出させるための非界面活性剤を含有す
る。上記+2価Snイオンの供給薬品としては、硫酸第
一錫、塩化第一錫などが使用されるが、硫酸第一錫がと
くに好適に使用される。
の濃度を0.2mol/l以下にし、めっき液のpHを
0.5以下に調整することが重要である。+2価Snイ
オンの濃度が0.2mol/lを越えると、めっき処理
中に、めっき皮膜への硫黄分の含有が多くなり、めっき
皮膜の外観が灰色〜黒色に変色し易い。めっき液のpH
を0.5以下にすることにより、めっき皮膜中への硫黄
分の取り込みが抑制される。しかしながら、めっき液の
pHを下げ過ぎると、めっき皮膜の析出速度が低下する
とともに、めっき液から高濃度の硫化水素ガスが発生し
て作業の危険性が高くなるおそれがあるため、好ましく
はpHを0.1〜0.4の範囲に調整する。
0.3〜3.0μmの金属Snおよび酸化Snを主体と
するSnめっき皮膜を形成し、めっき皮膜の表面から特
定深さまでの表層部における皮膜中の硫黄の含有量を特
定範囲に限定することにより、Snめっき皮膜の変色、
めっき皮膜の密着力低下による皮膜剥離が防止され、十
分な耐食性が維持される。また、めっき液中に必須成分
として含有する+2価Snイオンの含有量、およびめっ
き液のpHを特定することによって、C=Sの結合を有
する硫黄化合物が存在しても、めっき処理中において、
めっき皮膜への硫黄分の取り込みが抑制され、めっき皮
膜の変色が防止され、優れた耐食性が保持される。
明する。 実施例1 外径22.22mm、肉厚0.81mm、長さ4000
mmの硬質リン脱酸銅管を被めっき処理材として、管内
を脱脂、ソフトエッチングしたのち、表1に示す濃度の
硫酸第一錫を含み、チオ尿素1.0mol/l、次亜リ
ン酸0.2mol/l、フェノールスルホン酸ナトリウ
ム0.2mol/l)非界面活性剤(コダック(株)製
トリトンX−100)2.0g/lを含有する置換型S
nめっき液を80℃に温度調整し、めっき液のpHを硫
酸で表1に示す値に調整して、銅管内に40分間流通さ
せることにより、銅管内面にSnめっき皮膜を形成し
た。
下に示す方法で、平均めっき皮膜厚、めっき皮膜の表層
部の硫黄含有量を測定し、耐食性を評価した。 めっき皮膜厚:(株)中央製作所製の電解式めっき厚さ
測定器(TH−10P)を用いて測定した。 めっき皮膜中の硫黄含有量:めっき皮膜の表面をオージ
ェ分析し、めっき皮膜(厚さt)の表面から1/4・t
深さまでの表層部における硫黄含有量を測定した。測定
は1つの試験材について3か所行い、平均値を算出し
た。 耐食性評価:定電位電解試験により評価した。各試験材
を長さ100mmに切断して半割りにし、外面の銅露出
部をマニュキュアでマスキングしたのち、これを東京都
上水道水中で200mV vs.SCEに定電位電解し
た。3日間電解を続け、試験材に生じる腐食の有無を観
察した。
硫黄含有量の測定結果、耐食性の評価結果を表2に示
す、表2にみられるように、本発明に従い、硫酸第一錫
の濃度を0.2mol/l以下、pHを0.5以下とし
ためっき液を使用して形成したSnめっき皮膜は、いず
れも銀白色の色調を示し、めっき皮膜中の硫黄含有量は
少なく、耐食性に優れていた。
めっき材として、実施例1と同様に管内面を脱脂、ソフ
トエッチングしたのち、表3に示す濃度の硫酸第一錫を
含み、チオ尿素1.0mol/l、次亜リン酸0.2m
ol/l、フェノールスルホン酸ナトリウム0.2mo
l/l、非イオン界面活性剤(コダック(株)製トリト
ンX−100)2.0g/lを含む置換型無電解Snめ
っき液を80℃に温度調整し、めっき液のpHを硫酸で
表3に示す値に調整して、銅管内に40分間流通させる
ことにより、銅管の内面にSnめっき皮膜を形成した。
施例1と同一方法により、平均めっき皮膜厚、めっき皮
膜の表層部の硫黄含有量を測定し、耐食性の評価を行っ
た。結果を表4に示す。表4に示すように、試験材N
o.5は、めっき液中に含有される硫酸第一錫の濃度が
0.2mol/lを越えているため、めっき皮膜表層部
の硫黄含有量が高く、めっき皮膜は黒色に変色し耐食性
が劣っている。試験材No.6、No.7は、めっき液
のpHが本発明の限界を越えているため、めっき皮膜が
灰色〜黒色に変色し耐食性もよくない。
0mmのコイル状のリン脱酸銅管を被めっき材として、
管内面を脱脂、酸洗したのち、下記組成の置換型無電解
Snめっき液を70℃に温度調整し、当該めっき液を流
通時間を変えて銅管の内部に流通させることにより、銅
管の内面にSnめっき皮膜を形成した。
施例1と同じ方法により、平均めっき皮膜厚、めっき皮
膜の表層部の硫黄含有量を測定した。また試験材を長さ
1mに切断し、ベンダーを用いて90°曲げ加工を施し
たのち半割りにして、内面に形成されているめっき皮膜
の割れ発生の有無を走査電子顕微鏡(×1000)で観
察し、めっき皮膜の追随性を評価した。
験材を10cmの長さに切断し半割りにし、管内面に形
成されているめっき皮膜面に、名古屋市上水にNaCl
を添加してCl濃度を100ppmとし、且つフタル酸
水素カリウムを加えてpHを6〜6.5に調整して5日
間当て続けた。なお、ジェット流の噴出孔の直径は1.
5mm、噴出孔から試験材の表面までの距離は2mmと
した。測定、評価結果を表5に示す。なお、表5におい
て、本発明の条件を外れるものには下線を付した。
材No.8〜12は、いずれも優れためっき皮膜の追随
性、耐食性を示した。試験材No.13は、平均めっき
皮膜厚が小さいため曲げに対する追随性が劣り、試験材
No.14〜17は、めっき皮膜表層部の硫黄含有量が
多いため耐食性がわるい。
に優れ、変形に対し良好な追随性をそなえた内面Snめ
っき銅管が提供される。当該銅管は、建物等の給水、給
湯配管などの淡水配管や空調機配管に好適に使用され、
過酷な水質環境下でも腐食の発生を避けることができ、
産業上きわめて有用である。
Claims (2)
- 【請求項1】 内面に無電解めっきにより平均厚さで
0.3〜3.0μmのSnめっき皮膜を形成した銅管で
あって、該Snめっき皮膜が金属Snおよび酸化Snを
主体としてなり、Snめっき皮膜の膜厚をtとした場
合、Snめっき皮膜の表面から膜厚方向に1/4・t深
さまでの表層部におけるSnめっき皮膜中の硫黄の含有
量が平均値で0.01〜5wt%であることを特徴とす
る耐食性に優れた内面Snめっき銅管。 - 【請求項2】 銅管の内部に、+2価Snイオン、硫
酸、チオ尿素、芳香族スルホン酸またはその塩、リン酸
化合物および非イオン界面活性剤を含有し、且つ上記+
2価Snイオンの含有量を0.2mol/l以下とし、
pHを0.5以下に調整した無電解Snめっき液を通液
することにより、銅管の内面にSnめっき皮膜を形成す
ることを特徴とする耐食性に優れた内面Snめっき銅管
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16461295A JP2902979B2 (ja) | 1995-06-07 | 1995-06-07 | 耐食性に優れた内面Snめっき銅管およびその製造方法 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08333686A JPH08333686A (ja) | 1996-12-17 |
JP2902979B2 true JP2902979B2 (ja) | 1999-06-07 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GR1003280B (el) * | 1998-01-22 | 1999-12-06 | v 9 ��@ 0#0 6f@*t 5�*5 @*�*:*� s5 s@6*t 99#0 | 6* θ θs@ t s * fs@s#9f0 @* t st sfs@ Νθ@v 9 θ@6*@*s#t*υ5 f@*Ν5u 0*5 @*Ν5 ss5t*υ#6*0f@ 5 @f9* tυθ9 s*#s |
-
1995
- 1995-06-07 JP JP16461295A patent/JP2902979B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Title |
---|
「ぶりきとティンフリースチール」東洋鋼鈑株式会社著(1970−9−30)株式会社アグネ 発行 162頁13行 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08333686A (ja) | 1996-12-17 |
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