JP2897381B2 - 新規なテトラペプチド、その中間体、それらの製造法並びに抗アレルギー剤、血管拡張剤もしくは免疫調節剤 - Google Patents

新規なテトラペプチド、その中間体、それらの製造法並びに抗アレルギー剤、血管拡張剤もしくは免疫調節剤

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JP2897381B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、新規なテトラペプチド、その中間体、それ
らの製造法並びに抗アレルギー剤、血管拡張剤もしくは
免疫調節剤に関する。
[従来の技術] 各種アレルギー疾患の予防及び治療のために種々の薬
物が提案され、開発が行われ、既にいくつかが市販に供
されている。
アレルギー症状のうち、即時型アレルギー反応である
気管支喘息、じん痲疹、アレルギー性鼻炎などはI型ア
レルギー反応として分類される。このI型アレルギー反
応は、発症機序および抗アレルギー剤の作用機序から一
般に次の三段階から成るものと考えられている。すなわ
ち、最初体内に侵入した外来性抗原に対して、マクロフ
ァージ、T細胞及びB細胞の相互作用によってIgE抗体
が産生され、このIgE抗体が組織の肥満細胞や血中の好
塩基球のFcレセプターに固着して感作が成立することに
なる。この過程が第1段階である。つぎに、再び外来抗
原が体内に侵入すると、細胞のFcレセプターに固着した
IgE抗体と外来性抗原が結合し、抗原抗体反応が引き金
となって細胞膜酵素の活性化、細胞内へのカルシウムイ
オンの流入などが起こり、それによって酵素反応などの
生化学的変化、脱顆粒などの組織学的変化が引き起こさ
れる。その結果、ヒスタミンやSRS−Aなどのケミカル
メディエーター(化学伝達物質)が細胞外へ遊離され
る。この過程が第2段階である。第2段階で細胞外に遊
離したケミカルメディエーターは、平滑筋の収縮、毛細
血管透過性の亢進及び粘液の分泌を促進し、種々のアレ
ルギー症状を惹起する。この過程が第3段階である。
従来から知られている抗アレルギー剤のうち、非特異
的減感作療法剤及び抗体産生抑制剤は第1段階に作用す
る薬物である。この第1段階のみに特異的に作用する薬
物は市販されていない。第2段階に作用する薬物として
は、クロモグリク酸ナトリウム(以下、DSCGと略す)、
トラニラストなどのケミカルメディエーター抑制剤があ
る。第3段階に作用する薬物としては抗ヒスタミン剤及
び気管支拡張剤がある。
更に特公昭60−2318号公報には抗アレルギー性ペプチ
ドについての開示がなされている。上記公報によればこ
のペプチドは下記の一次構造式 によって示されるように、IgE抗体のFc領域のアミノ酸
残基5個から成るIgE抗体由来のペンタペプチドであ
る。
このペプチドは第1段階のIgE抗体産生を抑制する作
用は確認されていないが、第2段階の最初に起こる肥満
細胞へのIgE抗体の結合を阻止すると共に、第2段階の
既に結合したIgE抗体をこのペプチドで置換することに
よって、アレルギー反応を遮断するものと考えられる。
[発明が解決しようとする課題] 従来の抗アレルギー剤の開発は、上記のアレルギー症
状発症の3つの段階のうちの1つの段階に作用する薬物
の開発に向けられ、この3つの段階の連鎖をいずれかの
段階で遮断することによってアレルギー症状発症を予防
し、又は治療しようとしてきた。そしてこのような方法
によって一応の効果が期待される療法が開発されてき
た。
しかしながら、既知のこうした化学療法剤は上記の3
つの段階の連鎖を完全に遮断するものではない。そのた
め、3つの段階の1つに作用する薬剤と他の1つに作用
する薬剤とを組み合わせて用いることによって、連鎖の
遮断を完全なものとする発想のものに複数個の薬剤を組
み合わせて使用することも行われているが、その効果は
必ずしも期待通りのものではない。
そこで、単一の薬剤で上記のアレルギー症状発症の3
つの段階のうちの複数の段階に作用しうる薬剤が開発さ
れた場合には、抗アレルギー剤としての効果が一層高ま
ることが期待され、このような薬剤の開発が望まれてい
るのである。
また上記のアレルギー症状発症のメカニズムから、Ig
E抗体のFc領域由来のペプチド又はそれと類似するペプ
チドを開発することによって優れたアレルギー剤が入手
できる可能性も考えられ、このようなアプローチからの
新規なペプチドの開発も期待されていたのである。
本発明は、IgE抗体のFc領域のペプチド部分又はその
類似ペプチドを種々合成し、優れた薬理活性をもつ抗ア
レルギー性ペプチドを提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成するため、本発明者らはIgE抗体のFc
領域にみられるペプチドに着目し、従来液相法では困難
とされた−Asp−Gly−を有するペプチド又はその誘導体
を副反応を抑えながら収率良く合成する方法を見出し、
種々の−Asp−Gly−結合を含むオリゴペプチドを合成し
て、その抗アレルギー活性を検討した結果、H−Ser−A
sp−Gly−Lys−OHで表わされるテトラペプチドがヒスタ
ミン遊離を抑制するとともにIgE抗体産生を抑制するこ
とを見出した。
すなわち本発明は、 (1)次の式〔I〕 (ただし、SerはL−セリン残基、AspはL−アスパラギ
ン酸残基、Glyはグリシン残基、LysはL−リジン残基を
示す)で表されるテトラペプチド又はその薬学的に許容
される塩。
(2)次の式〔II〕 (ただし、SerはL−セリン残基、AspはL−アスパラギ
ン酸残基、Glyはグリシン残基、LysはL−リジン残基、
Zはベンジルオキシカルボニル基、Bzlはベンジル基を
示す)で表されるL−セリン−L−アスパラギン酸−グ
リシン−L−リジン誘導体。
(3)次の式〔III〕 (ただし、AspはL−アスパラギン酸残基、Glyはグリシ
ン残基、LysはL−リジン残基、Bocはt−ブチルオキシ
カルボニル基、Bzlはベンジル基、Zはベンジルオキシ
カルボニル基を示す)で表されるL−アスパラギン酸−
グリシン−L−リジン誘導体。
(4)Boc−Gly−OH(ただし、Glyはグリシン残基、Boc
はt−ブチルオキシカルボニル基を示す)で表されるグ
リシン誘導体とH−Lys(Z)−OBzl(ただし、LysはL
−リジン残基、Zはベンジルオキシカルボニル基、Bzl
はベンジル基を示す)で表されるL−リジン誘導体を、
脱水縮合させて、Boc−Gly−Lys(Z)−OBzlとし、次
いで酸でBoc基を外し、これにBoc−Asp(OBzl)−OHで
表されるL−アスパラギン酸誘導体を加え、脱水縮合さ
せてBoc−Asp(OBzl)−Gly−Lys(Z)−OBz1とし、次
いで酸でBoc基を外し、これにZ−Ser−OHで表されるL
−セリン誘導体を加え、脱水縮合させたのち、接触還元
することを特徴とする上記(1)のH−Ser−Asp−Gly
−Lys−OHの製造法。
(5)Boc−Gly−OH(ただし、Glyはグリシン残基、Boc
はt−ブチルオキシカルボニル基を示す)で表されるグ
リシン誘導体とH−Lys(Z)−OBzl(ただし、LysはL
−リジン残基、Zはベンジルオキシカルボニル基、Bzl
はベンジル基を示す)で表されるL−リジン誘導体を、
脱水縮合させてBoc−Gly−Lys(Z)−OBzlとし、次い
で酸でBoc基を外し、これにBoc−Asp(OBzl)−OHで表
されるL−アスパラギン酸誘導体を加え、脱水縮合させ
てBoc−Asp(OBzl)−Gly−Lys(Z)−OBzlとし、酸で
Boc基を外し、これにZ−Ser−OHで表されるL−セリン
誘導体を加え、脱水縮合させることを特徴とする上記
(2)のZ−Ser−Asp(OBzl)−Gly−Lys(Z)−OBzl
の製造法。
(6)Boc−Gly−OH(ただし、Glyはグリシン残基、Boc
はt−ブチルオキシカルボニル基を示す)で表されるグ
リシン誘導体とH−Lys(Z)−OBzl(ただし、LysはL
−リジン残基、Zはベンジルオキシカルボニル基、Bzl
はベンジル基を示す)で表されるL−リジン誘導体を、
脱水縮合させてBoc−Gly−Lys(Z)−OBzlとし、次い
で酸でBoc基を外し、これにBoc−Asp(OBzl)−OHで表
されるL−アスパラギン酸誘導体を加え、脱水縮合させ
ることを特徴とする上記(3)のBoc−Asp(OBzl)−Gl
y−Lys(Z)−OBzlの製造法。
(7)上記(1)のテトラペプチド又はその薬学的に許
容される塩を有効成分として含有する抗アレルギー剤。
に関するものである。
更に、本発明者らは、式〔I〕で表されるテトラペプ
チドの薬理作用を鋭意検討したところ、意外にもこれが
血管拡張作用や免疫調節作用をも有することを見出し、
本発明を完成した。
すなわち、本発明は、 (8)上記(1)のテトラペプチド又はその薬学的に許
容される塩を有効成分として含有する血管拡張剤。
(9)上記(1)のテトラペプチド又はその薬学的に許
容される塩を有効成分として含有する免疫調節剤。
に関するものである。
本発明のH−Ser−Asp−Gly−Lys−OHで表されるテト
ラペプチドの薬学的に許容される塩としては、ナトリウ
ム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩及びカルシウム
塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩のような金
属塩、アンモニウム塩、有機塩基類、有機酸塩、無機酸
塩等が挙げられる。
本発明のZ−Ser−Asp(OBzl)−Gly−Lys(Z)−OB
zlで表されるL−セリン−L−アスパラギン酸−グリシ
ン−L−リジン誘導体はH−Ser−Asp−Gly−Lys−OHで
表されるテトラペプチドの中間体である。
本発明のBoc−Asp(OBzl)−Gly−Lys(Z)−OBzlで
表されるL−アスパラギン酸−グリシン−L−リジン誘
導体はZ−Ser−Asp−(OBzl)−Gly−Lys(Z)−OBzl
で表されるL−セリン−L−アスパラギン酸−グリシン
−L−リジン誘導体の中間体である。
本発明の式〔I〕で表されるテトラペプチドH−Ser
−Asp−Gly−Lys−OHは下記の第1〜6の工程を経て製
造することができる。
ただしSer、Asp、Gly、Lys、Boc、Z及びBzlは上記と
同じで次の意味を表わす。
Ser:L−セリン残基 Asp:L−アスパラギン酸残基 Gly:グリシン残基 Lys:L−リジン残基 Boc:t−ブチルオキシカルボニル Z:ベンジルオキシカルボニル Bzl:ベンジル 第1の工程で用いるα−アミノ基をBoc基で保護した
グリシン誘導体Boc−Gly−OH、及びα−カルボキシル基
はBzl基で保護し、β−カルボキシル基はZ基で保護し
たリジン誘導体H−Lys(Z)−OBzlはL体のものを用
いる。これらは遊離形又は塩の形のものが市販されてお
り、容易に入手できる。
Boc−Gly−OHとH−Lys(Z)−OBzlの脱水縮合反応
は次のようにして行なうことができる。Boc−Gly−OHを
ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、塩化メチ
レン、アセトニトリル等から選ばれる溶媒(混合溶媒で
もよい)に溶かし、0℃以下、好ましくは−8℃以下、
Boc−Gly−OHに対しモル比で1.0〜1.4倍量のジシクロヘ
キシルカルボジイミド(以下DCCと略す)及び1−ヒド
ロキシベンゾトリアゾール(以下HOBtと略す)を加えて
攪拌し、Boc−Gly−OHに対して等モルのH−Lys(Z)
−OBzlを加え、0℃以下、好ましくは−8℃以下、1〜
10時間、好ましくは4〜6時間攪拌する。引き続き室温
で1〜10時間、好ましくは4〜6時間攪拌する。この段
階で温度を初めに0℃以下とするのは副生物(アシル尿
素)の生成を抑えるためであり、次いで温度を室温とす
るのはペプチド結合の形成を促進させるためである。
反応により生成する副生物及び未反応の原料は濾過、
アルカリ洗浄等の適当な方法で除き、溶媒は減圧蒸発等
の方法で除いたのち、再結晶等により、Boc−Gly−Lys
(Z)−OBzlを得る。
第2の工程で、Boc−Gly−Lys(Z)−OBzlから、Boc
基を外すために用いる酸としてはトリフルオロ酢酸(以
下、TFAと略す)、塩酸、臭化水素酸、ギ酸等がある。
これらの酸と共に、アニソール、チオアニソール、フェ
ノール、メタクレゾール等のカチオン除去剤を加えても
よい。Boc−Gly−Lys(Z)−OBzlの10〜30倍量(モル
比)のTFA等の酸と1〜1.3倍量(モル比)のアニソール
等のカチオン除去剤を加え、Boc基が外れるまで攪拌す
る。反応後、酸及びカチオン除去剤を除くためエーテ
ル、石油エーテル等の溶媒を加える。沈殿物をとり、真
空乾燥等の適当な方法で乾燥し、H−Gly−Lys(Z)−
OBzlを得る。
第3の工程で、反応に用いる原料の一つ、α−アミノ
基をBocで保護し、β−カルボキシル基をBzlで保護した
アスパラギン酸誘導体Boc−Asp(OBzl)−OHはL体のも
のを用いる。これらは遊離形又は塩の形のものが市販さ
れており、容易に入手できる。
Boc−Asp(OBzl)−OHとH−Gly−Lys(Z)−OBzlの
脱水縮合反応は次のようにして行なうことができる。Bo
c−Asp(OBzl)−OHをジメチルホルムアミド等の極性の
大きい溶媒に溶かし、0℃以下、好ましくは−8℃以
下、Boc−Asp(OBzl)−OHに対しモル比で1.0〜1.4倍量
のDCC及びHOBtを加え、1〜10時間、好ましくは4〜6
時間攪拌する。次いで、第2の工程で得たH−Gly−Lys
(Z)−OBzlをBoc−Asp(OBzl)−OHに対して等モルと
り、ジメチルホルムアミド等の溶媒に溶かして加え、更
に10℃以下で1〜24時間攪拌する。この反応を10℃以下
で行うのはAsp−Glyのあいだで起こる副反応(イミド体
の生成)を抑えるためである。
反応終了後、副生物及び未反応の原料の除去は第1の
工程と同様に行い、再結晶等によりBoc−Asp(OBzl)−
Gly−Lys(Z)−OBzlを得る。
第4の工程では、第3の工程で得たBoc−Asp(OBzl)
−Gly−Lys(Z)−OBzlを、第2の工程と同様な条件
で、酸によりBoc基を外す。
第5の工程で、反応に用いる原料の一つ、α−アミノ
基をZ基で保護したセリン誘導体、Z−Ser−OHはL体
のものを用いる。これらは、遊離形のものが市販されて
おり、容易に入手できる。
Z−Ser−OHとH−Asp(OBzl)−Gly−Lys(Z)−OB
zlの脱水縮合反応は第2の工程の脱水縮合反応の場合と
同様に行なう。
第6の工程では、第5の工程で得たZ−Ser−Asp(OB
zl)−Gly−Lys(Z)−OBzlを接触還元により、保護基
を外して、目的とするテトラペプチドH−Ser−Asp−Gl
y−Lys−OHを得る。触媒として、Pd黒や炭素粉末を担体
としたPd炭素触媒等を用い、Z−Ser−Asp(OBzl)−Gl
y−Lsy(Z)−OBzlを、例えばメタノール、酢酸、水の
混液等の溶媒に溶かし、水素ガスを通じ攪拌すればよ
い。
反応終了後、触媒をろ過により除く。ろ液は液が少量
になるまで減圧濃縮し、エーテル等の有機溶媒を加えて
振り混ぜ、未反応の原料及び不純物等を除く。水層か
ら、ゲルクロマトグラフィー等の通常の精製手段によ
り、精製されたH−Ser−Asp−Gly−Lys−OHを得る。
式〔I〕で表されるテトラペプチドの薬学的に許容さ
れる塩は、上記第6の工程において保護基を外したの
ち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基又は塩
酸、酢酸等の酸を加え、相当する塩とすることもできる
し、式〔I〕で表されるテトラペプチドを単離したのち
に、上記の同様に塩基又は酸を加えて塩とすることもで
きる。
本発明物質の構造、純度の確認は高速液体クロマトグ
ラフィー、元素分析、アミノ酸分析等により行う。
本発明の抗アレルギー剤、血管拡張剤又は免疫調節剤
は製薬的に許容される担体又は希釈剤と本化合物又は医
薬品として許容されるその塩からなる製剤を包含する。
塩の好ましい例はナトリウム塩、カリウム塩等のアルカ
リ金属塩及びカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカ
リ土類金属塩のような金属塩、アンモニウム塩、有機塩
基類、有機酸塩、無機酸塩等が挙げられる。本製剤は、
患者への投薬後、活性成分が迅速に、持続的に又は遅延
的に遊離するように製剤化することができる。
本発明の抗アレルギー剤、血管拡張剤又は免疫調節剤
は経口的又は非経口的に投与するための形態を適宜に採
り得る。代表的な投与方法としては経口、直腸、皮膚透
過、皮下、静脈内、筋肉内、吸入または鼻腔内経路を含
む種々の経路により投与することができる。
これらの投与方法では、本発明の抗アレルギー剤、血
管拡張剤又は免疫調節剤は種々の薬学的製剤の形態で投
与されうる。これらの薬学的製剤の形態としては、錠
剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、散剤、トロ
ーチ剤、坐剤、シロップ剤、クリーム剤、軟膏剤、ハツ
プ剤、注射剤、懸濁剤、吸入剤、エアロゾール剤などが
ある。また他の抗アレルギー剤、血管拡張剤、免疫調節
剤又はその他の医薬と共に二重層錠、多重層錠などとす
ることもできる。さらに錠剤の場合には必要に応じて通
常の剤皮を施し、例えば糖衣錠、腸溶被錠とすることも
できる。
錠剤、顆粒剤、散剤などの固体製剤とする場合は、製
剤化に当って公知の添加剤、例えば乳糖、ショ糖、ブド
ウ糖、結晶セルロース、コーンスターチ、リン酸カルシ
ウム、ソルビトール、グリシン、カルボキシメチルセル
ロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴ
ム、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、
ステアリン酸マグネシウム、タルク等を添加することが
できる。
半固体製剤とする場合は、植物性ワックス、ミクロク
リスタリンワックス、脂肪例えばタロー、ラノリンなど
の材料を添加することができる。
液体製剤とする場合は、添加剤、例えば塩化ナトリウ
ム、ソルビトール、グリセリン、オリーブ油、アーモン
ド油、プロピレングリコール、エチレングリコール、エ
チルアルコールなどの材料を添加することができる。
式〔I〕で表されるペプチドの投与量は、患者の年
令、体重、症状などにより適宜増減することができる
が、経口投与の場合の投与量は1日当たり0.01〜10mg/k
g、鼻腔内では1回の投与量は0.1〜100mgである。非経
口投与の場合の量は1日当たり10〜1,000μg/kgであ
る。
[実施例] 以下に記載する実施例によって本発明を具体的に説明
する。
(実施例1) Boc−Asp(OBzl)−Gly−Lys(Z)−OBzlの製造 H−Lys(Z)−OBzl・HCl(国産化学製)20.35gをジ
メチルホルムアミド(以下、DMFと略す)35mlに溶解
し、氷冷下トリエチルアミン7mlを加え中和したのち、B
oc−Gly−OH(国産化学製)8.76g、HOBt(国産化学製)
7.43g及びDCC(国産化学製)11.35gを加えて3時間、更
に4℃で16時間攪拌した。副生物のジシクロヘキシル尿
素をろ過により除去後、酢酸エチル300mlを加え、順次
飽和食塩水、8wt%炭酸ナトリウム、飽和食塩水、8wt%
クエン酸、そして飽和食塩水で洗浄した。酢酸エチル層
を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、再び少
量の酢酸エチルに溶かし、ろ過したのち、溶媒を完全に
留去し、オイル状物質(Boc−Gly−Lys(Z)−OBzl)2
1.1g(収率80%)を得た。
上記のBoc−Gly−Lys(Z)−OBzl 13.98gにアニソー
ル2ml及びTFA20mlを加えて溶かし、室温で1時間攪拌し
Boc基を切断した。エーテル/石油エーテル混合溶液
(容量比1:1)80mlを加え沈澱させたのち、残渣[H−G
ly−Lys(Z)−OBzl・TFA]を水酸化ナトリウムを含む
デシケーターで吸引乾燥した。
別にBoc−Asp(OBzl)−OH(国産化学製)8.41g、HOB
t 3.92g及びDCC 5.98gをとり、DMF20mlに溶解し、氷冷
下3時間攪拌し、次いで先のH−Gly−Lys(Z)−OBzl
・TFAのトリエチルアミン3.64mlを含むDMF(15ml)溶液
を加え、4℃で一晩攪拌した。
ジシクロヘキシル尿素をろ過で除去後、酢酸エチル40
0mlを加え、次いで飽和食塩水、8wt%Na2CO3、飽和食塩
水、8wt%クエン酸、飽和食塩水及び水で順次洗浄し
た。酢酸エチル層を無水流酸ナトリウムで乾燥し、溶媒
を留去した。石油エーテルで沈澱させ、更に酢酸エチル
/石油エーテルで再沈澱させBoc−Asp(OBzl)−Gly−L
ys(Z)−OBzl 14.75g(収率76.9%)を得た。
融点:70〜72℃ ▲[α]26 D▼:−19.0°(c=1.0、DMF) 薄層クロマトグラフィーのRf値:0.80 元素分析値:(C39H48N4O10・1/2H2Oとして) (%) C H N 理論値: 63.14 6.66 7.55 実測値: 63.13 6.64 7.72 酸分解後のアミノ酸分析値:(モル比) アスパラギン酸 0.8 グリシン 0.8 リジン 1.0 なお、薄層クロマトグラフィーはプレートとしてシリ
カゲル60(メルク社製)を用い、展開溶媒はクロロホル
ム/メタノール/水(容量比で8:3:1)混液で行った。
(実施例2) Z−Ser−Asp(OBzl)−Gly−Lys(Z)−OBzlの製造 実施例1で得たBoc−Asp(OBzl)−Gly−Lys(Z)−
OBzl 2.40gにアニソール0.43ml及びTFA4.24mlを加えて
溶かし、室温で1時間攪拌しBoc基を切断した。エーテ
ル/石油エーテル混合溶液(容量比1:1)80mlを加え沈
澱させたのち、残渣[H−Asp(OBzl)−Gyl−Lys
(Z)−OBzl・TFA]を水酸化ナトリウムを含むデシケ
ーターで吸引乾燥した。
別にZ−Ser(OBzl)−OH(国産化学製)0.84g、HOBt
0.54g及びDCC 0.83gをとり、DMF10mlに溶解し、氷冷下
3時間攪拌し、次いで先のH−Asp(OBzl)−Gly−Lys
(Z)−OBzl・TFAのトリエチルアミン0.49mlを含むDMF
(10ml)溶液を加え、4℃で一晩攪拌した。
ジシクロヘキシル尿素をろ過で除去後、酢酸エチル20
0mlを加え、次いで飽和食塩水、8wt%Na2CO3、飽和食塩
水、0.1N HCl及び飽和食塩水で順次洗浄した。酢酸エチ
ル層を無水流酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。
石油エーテルで沈澱させ、更に酢酸エチル/石油エーテ
ルで再沈澱させZ−Ser−Asp(OBzl)−Gly−Lys(Z)
−OBzl 1.20g(収率43%)を得た。
融点:70〜72℃ ▲[α]26 D▼:−16.8°(c=0.75、DMF) 薄層クロマトグラフィーのRf値:0.83 元素分析値:(C45H51N5O12・H2Oとして) (%) C H N 理論値: 61.99 6.12 8.03 実測値: 61.99 5.99 8.30 酸分解後のアミノ酸分析値:(モル比) アスパラギン酸 0.9 セリン 1.1 グリシン 0.8 リジン 1.0 (実施例3) H−Ser−Asp−Gly−Lys−OHの製造 実施例2で得たZ−Ser−Asp(OBzl)−Gly−Lys
(Z)−OBzl 400mgにメタノール20ml、酢酸8ml及び水1
2mlを加えて溶かし、5%Pd−炭素800mgを加え、水素ガ
スを4時間通じ、すべての保護基を切断した。Pd−炭素
をろ過により除去し、ろ液に水を加え、溶媒を減圧下で
留去し、エーテルで洗浄した。再び水を加え、約2mlに
減圧濃縮したのち、セファデックスG−10(ファルマシ
ア社製、2.5×42cm)カラムにかけ、0.5wt%酢酸水溶液
で展開し、フラクション4mlずつ分取した。24〜29番目
のフラクションに単一性のピークを認め、この部分を集
め凍結乾燥し、テトラペプチドH−Ser−Asp−Gly−Lys
−OH60.8mg(収率32%)を得た。
▲[α]26 D▼:−8.6°(c=0.16、H2O) 薄層クロマトグラフィーのRf値:0.53 高速液体クロマトグラフィー:第1図 元素分析値: (C15H17N5O8・1/2CH3COOH・3H2Oとして) (%) C H N 理論値: 38.71 7.31 14.14 実測値: 38.80 7.13 14.12 酸分解後のアミノ酸分析値:(モル比) アスパラギン酸 0.9 セリン 0.9 グリシン 0.8 リジン 1.0 なお、薄層クロマトグラフィーは、展開溶媒をn−ブ
タノール/ピリジン/酢酸/水(容量比で1:1:1:1)混
液としたほかは実施例1と同様に行った。また高速液体
クロマトグラフィーはウォーターズ社の高速液体クロマ
トグラフィー装置M600型で、カラムとしてYMCパックA
−302 ODS(山村化学研究所製、4.6×150mm)を用い、
溶媒は0.05%TFAを含む水溶液と0.05%TFAを含むアセト
ニトリルの95:5(容量比)混合液、続いて70:30(容量
比)混合液を段階的に用い、流速は0.5ml/min、検出波
長220mmで行った。
[実験例] 以下の薬理実験例で、式〔I〕で表されるペプチドが
ヒスタミン遊離抑制作用とともにIgE抗体産生抑制作用
を有するため、抗アレルギー剤として利用しうること、
また、このペプチドが血管拡張作用を有するため、心不
全、高血圧症等の疾患の治療に利用しうること、更には
このペプチドがマイトージェンで刺激したリンパ球の活
性化反応を抑制し、インターロイキン(IL)−1、IL−
6、TNF等の液性因子の産生能を高める作用を有するた
め、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス等の自
己免疫疾患の治療に有用な免疫調節剤として利用しうる
ことを説明する。
(実験例1) H−Ser−Asp−Gly−Lys−OH(式[I]のペプチド)の
ヒスタミン遊離抑制作用 体重300〜350gの雄性ウイスター系ラットを受動感作
し、その腹腔内肥満細胞を用いて試験を行った。受動感
作に用いるラット抗血清はMotaの方法[Immunology,7,
p.681(1964)]およびHamaokaの方法[J.Immunology,1
13,p.958(1974)]に準じて作製した。すなわち、卵白
アルブミン(10mg/kg)をウイスター系雄ラット(体重2
00〜250g)の両大腿部筋肉内に5ml/kgを注射し、同時に
2×1010個の百日咳死菌(Killed Bordetella Pertussi
s)を腹腔内に投与して免疫した。初回感作から12日目
にエーテル麻酔下に腹部大動脈から採血し、抗血清を分
離した。抗血清は−20℃で凍結保存した。抗血清の力価
は48hrラットPCA反応により測定し、その力価が128〜25
6倍のものを実験に供した。得られた卵白アルブミンラ
ットIgE血清を2倍希釈し、その1mlを腹腔内に投与して
感作した。感作48hr後にラットを出血致死させ、腹腔内
にリン酸緩衝化液(NaCl 8g、KCl 0.2g、Na2HPO4・12H2
O 2.88g、KH2PO4 0.2g、EDTA・2Na 0.2g及びウシ血清ア
ルブミン1gを精製水に溶かして1リットルとした溶液、
pH7.4、以下PBS(−)と略記する)15mlを注入し、約2
分間軽く腹部をマッサージ後、開腹して腹腔内細胞を採
取した。この細胞浮遊液を遠心分離(1,000rpm、10分
間)し、更にPBS(−)で再懸濁し、アラビアゴム比重
液(比重1.075)で重層し、遠心分離(2,500rpm、10分
間)した。沈殿した細胞をPBS(−)で2回洗浄し、新
たにPBS(+)[PBS(−)のうちEDTA・2Naに代えてCaC
l2 0.1gを添加した溶液、PBS(+)と略記する]に浮遊
させ、1×105個/mlに調整した後、シリコンで処理した
試験管にその細胞浮遊液を0.8mlずつ分注し、37℃で10
分間プレインキュベートした。細胞浮遊液を入れた試験
官にPBS(+)で希釈した種々の溶液の検体溶液を0.1ml
添加し、37℃で15分間インキュベート後、肥満細胞から
ヒスタミンを浮遊させるために抗原である卵白アルブミ
ン(最終濃度1mg/ml)とフォスファジチル−L−セリン
(最終濃度100μg/mg)の混合溶液0.1mlを加え、さらに
15分間インキュベートしてヒスタミンを遊離させた。た
だし、比較薬剤の一つのDSCGは抗原添加30秒前に加え、
抗原添加後更に15分間インキュベートした。氷冷したPB
S(+)1mlを加え反応を停止させ、2,500rpmで10分間遠
心分離した。上清2mlをとり、4wt%過塩素酸溶液1mlを
加え、遊離ヒスタミン量を定量する試料とした。全ヒス
タミン量を定量する試料は無処置の肥満細胞浮遊液(1
×105個/ml)0.8mlを10分間沸騰水中に置き、次いで4wt
%過塩素酸を添加して、試料とした。
各試料のヒスタミン量は蛍光法により測定し、次式に
より、ヒスタミン遊離率(%)を算出した。
ヒスタミン遊離率(%)= (遊離ヒスタミン量/全ヒスタミン量)×100 式[I]で表わされるペプチドと比較薬剤のヒスタミ
ン遊離率(%)を第2図に示した。第2図から明らかな
ように、式[I]で表わされるペプチドは10-5M以上の
濃度で明らかにヒスタミン遊離抑制作用を示し、その作
用は比較薬剤のH−Asp−Ser−Asp−Pro−Arg−OHより
強く、DSCGと同程度又はそれ以上の強さであった。
(実験例2) 式[I]のペプチドのIgE抗体産生抑制作用 免疫動物は、1群5匹のBALB/c雄マウス(6週令)と
し、抗原のジニトロフェニルアスカリス(DNP−Ascari
s)10μgを免疫増強剤の水酸化アルミニウムゲル4mgに
吸着させて、下記に示す2通りの実験を行った。
一方の実験では式[I]のペプチド1mgを腹腔内に投
与し、30分間後にDNP−Ascarisと水酸化アルミニウムゲ
ルを腹腔内に投与し、その後14日目に採血して血清を得
た。
他方の実験ではDNP−Ascarisと水酸化アルミニウムゲ
ルを腹腔内に投与し、7日目、14日目及び21日目の計3
回、式[I]のペプチド1mgを腹腔内に投与し、28日目
に採血して血清を得た。
両実験で得られた血清はラットの48時間PCA反応を行
い、抗体価を測定した。
すなわち、Wistar系雄ラット(200〜250g)の背部の
皮内に血清を感作し、48時間後に0.5wt%エバンスブル
ーを含むDNP−Ascaris溶液を尾静脈内に注射し、現われ
る色素斑を30分後に測定してIgE抗体価を求めた。な
お、PCA反応で得られた抗体価がIgE抗体であることを確
認するために、血清をあらかじめ56℃で3時間加熱処置
したもので感作し、同様に操作して、PCA反応によって
抗体価を測定した。
式[I]のペプチドを1mg/kg投与したときのIgE抗体
産生量をPCA反応で求めた抗体価で表わしたものが第3
図及び第4図である。第3図及び第4図から明らかなよ
うに、式[I]のペプチドはIgE抗体産生を強く抑制し
た。なお、加熱処理血清の抗体価は一方の実験(第3図
の斜線部分)ではほとんど0であったが、他方の実験
(第4図の斜線部分)では、わずかではあるが抗体価を
示した。
(実験例3) 式〔I〕のペプチドの血管拡張作用 体重2.5〜3Kgの雄の家兎の胸部大動脈を摘出し、幅4m
m、長さ25〜30mmの大動脈ラセン条片標本を作成した。T
yrode液10ml中、37±1℃で95容量%酸素及び5容量%
炭酸ガスの混合ガスを通気しながら大動脈ラセン条標本
を2g重の負荷をかけて懸垂し、1h保って安定させた。次
いで塩化カリウムを最終濃度が104mMとなるように、又
はノルエピネフリンを最終濃度が10-6Mとなるよう加え
て血管収縮を惹起させ、それぞれに式〔I〕のペプチド
H−Ser−Asp−Gly−Lys−OHを累積投与して、血管の弛
緩反応を観察した。なお、比較薬剤としてはニトロプル
シド(ナトリウム塩)及びベラパミルを用いた。
第1表及び第2表は、それぞれ塩化カリウムで収縮さ
せた血管及びノルエピネフリンで収縮させた血管を用い
たときの、式〔I〕のペプチド及び比較薬剤の血管拡張
作用を弛緩率で表した結果である。
第1表及び第2表の結果から、式〔I〕のペプチドは
カリウムで引き起こした血管収縮に対してほとんど弛緩
作用を示さないが、ノルエピネフリンで引き起こした血
管収縮に対しては用量依存的に弛緩作用を示し、その作
用はペラパミルよりもニトロプルシドに類似しているこ
とがわかった。
(実験例4) 式〔I〕のペプチドの循環器系へ及ぼす影響 式〔I〕で表されるペプチドの循環器系へ及ぼす影響
を調べるため、本ペプチドをラットの静脈内に投与して
血圧、心拍数及び心電図を観察した。
体重300〜350gのウィスタ系雄ラットをウレタン(1.5
g/Kg静注)で麻酔したのち、左側大腿動脈に挿入したカ
ニューレからトランスジューサを介して動脈圧を測定
し、また心拍数は心電図(第II誘導)のR波をトリガー
として心拍数量計により測定した。
なお、本ペプチドはラットの体重1Kg当り30mgを生理
食塩水に溶かし大腿静脈から投与した。第5図は本ペプ
チドを投与したのちのラットの血圧(平均血圧)及び心
拍数を示したグラフである。
投与直後から血圧の降下が起こり、1分後で血圧は最
小値(投与前の平均血圧に比べ8%減少)を示した。し
かし投与3分後には投与前の血圧を回復した。いっぽ
う、心拍数は投与直後に6%減少し、その減少は60分間
持続した。また心電図では、投与直後にQT間に軽度の延
長が認められたものの、QRSの幅は変化がなかった。
(実験例5) 各種レクチンで刺激したリンパ球の幼若化に及ぼす式
〔I〕のペプチドの効果 ヘパリン存在下採血した健常人から、フィコール−ハ
イパキュー(Ficoll−Hypaque)比重遠心法にて単核細
胞を採取し、ウシ胎児血清(FBSと略す、大日本製薬
製)を10容量%添加したRPMI−1640培養液(ギブコ社
製)にこれを浮遊した。細胞数の濃度を1×106個/mlに
調整し、これを96穴マイクロプレート(ファルコン社
製)の各ウエルに100μlずつ分注した。次いでPHA(Ph
ytohemagglutinin)1μg/ml、Con−A(Concanavalin
A)10μg/mlもしくはPWM(Pokeweed mitogen)15μg/ml
の各レクチン(いずれも第一化学薬品製)、及び所定濃
度のペプチド〔I〕を添加し、10%FBS添加RPMI−1640
培地を加えて最終液量を200μlとしたのち、5容量%C
O2インキュベータ内、37℃で72時間培養した。培養終了
24時間前に3H−チミジン0.5μCiを加え、セル−ハーベ
スター(Bio−Lab社製)にて細胞を回収し、液体シンチ
レーションカウンターで3H−チミジン取込量を測定し
た。第3表はその測定結果を示し、表中の数字は平均カ
ウント数(cpm)±標準誤差を示す。
第3表の結果から、式〔I〕のペプチドは、マイトー
ゲンを添加しない場合、リンパ球の3H−チミジン取込量
にあまり影響を及ぼさないが、各レクチン、特にCon−
Aで刺激したリンパ球の3H−チミジン取込量を強く抑制
することがわかる。
(実験例6) 液性因子産生能に及ぼす式〔I〕のペプチドの効果 ヘパリン存在下採血した健常人から、フィコール−ハ
イパキュー比重遠心法で分離した単核細胞を、FBS10容
量%を添加したRPMI−1640培養液に浮遊した。これを培
養チューブ(ファルコン2054チューブ)に1×106個/ml
ずつ分注し、式〔I〕で表されるペプチドを添加して、
インキュベータにて一週間培養を行った。培養終了後、
遠心して(1,500rpm、10分間)、上清を採取し、培養上
清中の液性因子を測定した。インターロイキン1(IL−
1)及び腫瘍壊死因子(TNF)はそれぞれアマシャム社
及びメドジニックス社のラジオイムノアッセイキットで
測定した。インターロイキン6(IL−6)は抗IL−6抗
体(ジエンザイム社製)を用いた酵素免疫測定法(ELIS
A)で行った。測定結果を第4表に示した。なお数値は
平均±標準誤差を表す。
第4表の結果から、式〔I〕のペプチドはIL−1、IL
−6及びTNFの産生を促進することがわかる。
[発明の効果] 本発明により、抗アレルギー剤として優れた性質をも
つほかに、血管拡張剤及び免疫調節剤としても有用な新
規ペプチドを提供することができた。
また、式〔II〕及び式〔III〕で表されるペプチド誘
導体は、式〔I〕で表されるペプチドを製造する際の中
間体として重要で、この化合物を経由することにより、
式〔I〕で表されるペプチドを容易に製造することがで
きた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のH−Ser−Asp−Gly−Lys−OHの高速液
体クロマトグラムを示す。縦軸は220nmの紫外線吸収の
強度、横軸は溶出時間(分)である。 第2図は、本発明のH−Ser−Asp−Gly−Lys−OH及び比
較薬剤(H−Asp−Ser−Asp−Pro−Arg−OH及びDSCG)
のヒスタミン遊離率(%)を示したグラフである。縦軸
はヒスタミン遊離率(%)、横軸は化合物及び濃度
(M)である。 第3図は、本発明のH−Ser−Asp−Gly−Lys−OHの前投
与によって産生されたIgE抗体価を示したグラフで、斜
線の部分は加熱処理した血清の抗体価である。 第4図は、IgE抗体産生の持続期に本発明のH−Ser−As
p−Gly−Lys−OHを投与した場合に産生されたIgE抗体価
を示したグラフで、斜線の部分は加熱処理した血清の抗
体価である。第3図及び第4図はそれぞれ縦軸に抗体
価、横軸に化合物及びその投与量(mg/kg)を示してい
る。 第5図はH−Ser−Asp−Gly−Lys−OHの循環器系(血圧
及び心拍数)へ及ぼす影響を示すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07K 5/093 A61K 37/02 ABR (72)発明者 入江 大祐 茨城県日立市東町4丁目13番1号 日立 化成工業株式会社茨城研究所内 (72)発明者 松尾 克郎 茨城県日立市東町4丁目13番1号 日立 化成工業株式会社茨城研究所内 (72)発明者 徳永 麻子 茨城県日立市東町4丁目13番1号 日立 化成工業株式会社茨城研究所内 (72)発明者 石川 文雄 千葉県市川市新田1丁目2番7号―103 (56)参考文献 特開 平2−299589(JP,A) 特開 平1−316398(JP,A) 特開 平3−291299(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) CA(STN) REGISTRY(STN) WPI(DIALOG)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の式〔I〕 (ただし、SerはL−セリン残基、AspはL−アスパラギ
    ン酸残基、Glyはグリシン残基、LysはL−リジン残基を
    示す)で表されるテトラペプチド又はその薬学的に許容
    される塩。
  2. 【請求項2】次の式〔II〕 (ただし、SerはL−セリン残基、AspはL−アスパラギ
    ン酸残基、Glyはグリシン残基、LysはL−リジン残基、
    Zはベンジルオキシカルボニル基、Bzlはベンジル基を
    示す)で表されるL−セリン−L−アスパラギン酸−グ
    リシン−L−リジン誘導体。
  3. 【請求項3】次の式〔III〕 (ただし、AspはL−アスパラギン酸残基、Glyはグリシ
    ン残基、LysはL−リジン残基、Bocはt−ブチルオキシ
    カルボニル基、Bzlはベンジル基、Zはベンジルオキシ
    カルボニル基を示す)で表されるL−アスパラギン酸−
    グリシン−L−リジン誘導体。
  4. 【請求項4】Boc−Gly−OH(ただし、Glyはグリシン残
    基、Bocはt−ブチルオキシカルボニル基を示す)で表
    されるグリシン誘導体とH−Lys(Z)−OBzl(ただ
    し、LysはL−リジン残基、Zはベンジルオキシカルボ
    ニル基、Bzlはベンジル基を示す)で表されるL−リジ
    ン誘導体を、脱水縮合させてBoc−Gly−Lys(Z)−OBz
    lとし、次いで酸でBoc基を外し、これにBoc−Asp(OBz
    l)−OHで表されるL−アスパラギン酸誘導体を加え、
    脱水縮合させてBoc−Asp(OBzl)−Gly−Lys(Z)−OB
    z1とし、次いで酸でBoc基を外し、これにZ−Ser−OHで
    表されるL−セリン誘導体を加え、脱水縮合させたの
    ち、接触還元することを特徴とする請求項1記載のH−
    Ser−Asp−Gly−Lys−OHの製造法。
  5. 【請求項5】Boc−Gly−OH(ただし、Glyはグリシン残
    基、Bocはt−ブチルオキシカルボニル基を示す)で表
    されるグリシン誘導体とH−Lys(Z)−OBzl(ただ
    し、LysはL−リジン残基、Zはベンジルオキシカルボ
    ニル基、Bzlはベンジル基を示す)で表されるL−リジ
    ン誘導体を、脱水縮合させてBoc−Gly−Lys(Z)−OBz
    lとし、次いで酸でBoc基を外し、これにBoc−Asp(OBz
    l)−OHで表されるL−アスパラギン酸誘導体を加え、
    脱水縮合させてBoc−Asp(OBzl)−Gly−Lys(Z)−OB
    zlとし、酸でBoc基を外し、これにZ−Ser−OHで表され
    るL−セリン誘導体を加え、脱水縮合させることを特徴
    とする請求項2記載のZ−Ser−Asp(OBzl)−Gly−Lys
    (Z)−OBzlの製造法。
  6. 【請求項6】Boc−Gly−OH(ただし、Glyはグリシン残
    基、Bocはt−ブチルオキシカルボニル基を示す)で表
    されるグリシン誘導体とH−Lys(Z)−OBzl(ただ
    し、LysはL−リジン残基、Zはベンジルオキシカルボ
    ニル基、Bzlはベンジル基を示す)で表されるL−リジ
    ン誘導体を、脱水縮合させてBoc−Gly−Lys(Z)−OBz
    lとし、次いで酸でBoc基を外し、これにBoc−Asp(OBz
    l)−OHで表されるL−アスパラギン酸誘導体を加え、
    脱水縮合させることを特徴とする請求項3記載のBoc−A
    sp(OBzl)−Gly−Lys(Z)−OBzlの製造法。
  7. 【請求項7】請求項1記載のテトラペプチド又はその薬
    学的に許容される塩を有効成分として含有する抗アレル
    ギー剤。
  8. 【請求項8】請求項1記載のテトラペプチド又はその薬
    学的に許容される塩を有効成分として含有する血管拡張
    剤。
  9. 【請求項9】請求項1記載のテトラペプチド又はその薬
    学的に許容される塩を有効成分として含有する免疫調節
    剤。
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