JP2897255B2 - 磁気記録再生装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、テープ走行の安定化を図るVTR等の磁気
記録再生装置に関する。

［発明の概要］ この発明は、記録／再生，巻き戻し時等に、シャーシ
に装着されたテープカセットのテープ走行の安定化を図
るようにした磁気記録再生装置において、 上記シャーシに装着されたテープカセットのテープに
接触して静電気を該シャーシに逃がすテープガイドを、
テープカセット内の前面開口部側のガイド軸に対する上
記テープのラップ角を可変させるように該前面開口部に
沿って移動自在に配設したことにより、 テープ走行時に発生する静電気を確実に除去してテー
プ走行性の安定化をより一層図ることができるようにし
たものである。

［従来の技術］ 従来、所謂β方式用のテープカセットを使用したVTR
では、テープをローディングした状態で記録／再生，早
送り，巻き戻し等の各種動作を行っている。そのためテ
ープ走行系のロスが発生し、早送り，巻き戻しを短時間
で行うことができなかった。

そこで、より高速で、早送り、巻き戻しを行なおう
と、上記テープカセット内にテープをアンローディング
して引き込んだ状態でテープ走行させることが考えられ
る。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、上記β方式用のテープカセットには、
その前面開口部側に設けられたガイド軸にステンレスを
使用したものと、樹脂を使用したものがあり、後者にお
いて、テープをテープカセット内に引き込んで早送り，
巻き戻しを行なうと、静電気が発生し、テープ走行が不
安定になったり、テープを巻き取ることができなくなっ
たりする点が指摘されている。

そこで、この発明は、テープ走行時に発生する静電気
を確実に除去し、より安定したテープ走行を得ることが
できる磁気記憶再生装置を提供するものである。

［課題を解決するための手段］ 本発明の磁気記録再生装置は、シャーシに装着された
テープカセットのテープに接触して静電気を該シャーシ
に逃がすようになっていると共に、テープカセット内の
前面開口部側のガイド軸に対する上記テープのラップ角
を可変させるテープガイドと、上記テープガイドを取り
付けていると共に、シャーシに移動可能に取り付けられ
ていて、一方向に移動させることにより上記テープガイ
ドによる上記ガイド軸に対する上記テープのラップ角を
増大させ、反対方向に移動させることにより上記テープ
ガイドによる上記ガイド軸に対する上記テープのラップ
角を減少させるガイドレバーと、上記ガイドレバーを上
記テープガイドによる上記ガイド軸に対する上記テープ
のラップ角を増大させる方向に付勢しているバネ部材
と、上記テープのローディング時に上記バネ部材のバネ
力に抗して上記ガイドレバー及びテープガイドを上記ガ
イド軸に対する上記テープのラップ角を減少させる方向
に移動させ、上記テープのアンローディング時に上記バ
ネ部材のバネ力によって上記ガイドレバー及びテープガ
イドを上記ガイド軸に対する上記テープのラップ角を増
大させる方向に移動させるガイドレバー操作部材とを備
えている。

［作用］ 上記テープのローディング時には、上記ガイドレバー
操作部材によって上記バネ部材のバネ力に抗して上記ガ
イドレバー及びテープガイドを一方向に移動させ上記テ
ープガイドによる上記ガイド軸に対する上記テープのラ
ップ角を減少させる。

また、上記テープのアンローディング時には、上記バ
ネ部材のバネ力によって上記ガイドレバー及びテープガ
イドは、他方向に戻り移動して上記ガイド軸に対する上
記テープのラップ角を増大させる。

［実施例］ 以下、この発明の一実施例を図面と共に詳述する。

第１図において、１はＵローディングするβ方式のVT
R（磁気記録再生装置）であり、その金属製のシャーシ
２上にはヘリカルスキャン方式の回転ヘッドドラム３を
設けてある。このシャーシ２上の回転ヘッドドラム３に
所定距離隔てた位置には、昇降自在の図示しないカセッ
トホルダーにより装填されるテープカセット４の供給リ
ール５と巻取リール６が係合する図示しない一対の供給
リール台，巻取リール台をそれぞれ配置してある。この
テープカセット４の前面開口部4aより露出した磁気テー
プＴは、上記シャーシ２の回転ヘッドドラム３の回りに
配設されたローディングリング等から成る供給側ローデ
ィング機構７、及び巻取側ローディング機構20によりテ
ープカセット４内から上記回転ヘッドドラム３の周面に
ローディング，アンローディングされるようになってい
る。

上記シャーシ２の装着されたテープカセット４の前面
開口部4aの右側には、該前面開口部4aに沿って円弧状に
湾曲した長孔2aを形成してある。また、上記シャーシ２
の裏面の上記装着したテープカセット４の前面開口部4a
右側の前後一対のガイド軸8,9の外寄りに対向する位置
には、Ｌ字型のガイドレバー10を軸11を介して基部10a
を回転自在に支持してある。このガイドレバー10の先端
部10b上には、上記長孔2aよりシャーシ２上に突出して
上記装着されたテープカセット４内の前面開口部4a右側
の前側のガイド軸８に対する磁気テープＴのラップ角
（巻付け角）を可変させる金属棒状のテープガイド12を
立設してある。また、上記ガイドレバー10の基端部10c
とシャーシ２の裏面に配置されたフック部2dとの間には
バネ部材（以下、第１の引張りコイルバネという）13を
介在してある。この第１の引張りコイルバネ13の引張り
力により上記ガイドレバー10が上記軸11を中心として図
中反時計方向に回るように付勢されている。また、上記
シャーシ２の裏面の回転ヘッドドラム３と上記一対のリ
ール台の間には、図示しないガイドで支持されたガイド
レバー操作部材（以下、スライド板という）14を左右方
向に往復移動自在に配設してある。このスライド板14の
一側右寄りに突出形成された係止部14aとシャーシ２の
裏面に配置されたフック部2eとの間には第２の引張りコ
イルバネ15を介在してある。この第２の引張りコイルバ
ネ15の引張り力の方が、上記ガイドレバー10を引張る上
記第１の引張りコイルバネ13の引張り力より大きくなっ
ている。そして、上記第２の引張りコイルバネ15の引張
り力によりスライド板14の先端の折曲部14bが上記ガイ
ドレバー10の中途突出部10dに当たることにより、該ガ
イドレバー10は図中時計方向に常に回転するように付勢
されている。これにより、ガイドレバー10の先端部に立
設されたテープガイド12が上記シャーシ２の長孔2aの右
側の一端面2bに当たるようになっている。また、上記ス
ライド板14の中途には折曲部14cを上方に突出するよう
に折曲げ形成してある。この折曲部14cは上記シャーシ
２の略中央に形成された矩形の切欠孔2fよりシャーシ２
の上方に突出している。

上記巻取側ローディング機構20は、シャーシ２上の上
記テープカセット４の前面開口部4aからキャプスタン21
にかけて突設された複数個のガイド22,22に案内されて
シャーシ２上に往復移動自在に配設されたローディング
板23と、このローディング板23上の中途に回転自在に設
けられ、磁気テープＴをテープカセット４から上記キャ
プスタン21側に引き出すテープガイド24と、上記ローデ
ィング板23上の後部に図示しない捩りコイルバネ等によ
り所定位置に付勢されてピン枢支されたコ字型のレバー
25を介して回動自在に支持されたピンチローラ26と、上
記ローディング板23上の前部に取付けられたラック27と
で大略構成されている。

上記供給側ローディング機構７及び巻取側ローディン
グ機構20は、そのラック27等に連係される図示しないモ
ータ等から成る駆動機構により互いに逆方向に同時に往
復移動して磁気テープＴのローディング，アンローディ
ングを行うようになっている。この磁気テープＴびロー
ディングエンド（ローディング完了）側に近付くと、図
示しないピンチローラ圧着機構の動作により巻取側ロー
ディング機構20のピンチローラ26がキャプスタン21に圧
着されるようになっている。そして、第２図に示すロー
ディング完了の状態、即ち上記磁気テープＴがピンチロ
ーラ26とキャプスタン21の間に圧着された状態で図示し
ない記録釦、或は図示しない再生釦が押されることによ
り、磁気テープＴに記録等が行われるようになってい
る。この時、上記ローディング板23の下側の一端面23a
は、第２図に示すように、上記スライド板14の中途折曲
部14cから離れており、上記第２の引張りコイルバネ15
の引張り力によりガイドレバー10のテープガイド12はシ
ャーシ２の長孔2aの右側の一端面2bに当接するようにな
っている。また、上記ローディング板23がアンローディ
ング時に復動すると、第３図に示すように、上記ローデ
ィング板23の下側の一端面23aは上記スライド板14の中
途折曲部14cに当たり、上記第２の引張りコイルバネ15
の引張り力に抗してスライド板14を第３図中矢印の方向
に移動させるようになっている。これにより、上記ガイ
ドレバー10のテープガイド12は、上記シャーシ２の長孔
2aの左側の一端面2c近くまで移動するようになってい
る。

なお、上記テープカセット４の前面開口部4aは図示し
ない蓋体により覆われているが、シャーシ２の所定位置
に装着されると、該シャーシ２に設けられた図示しない
押上手段により上記蓋体が回動して上記前面開口部4aが
開くようになっている。

以上実施例のVTR1によれば、磁気テープＴのローディ
ング完了状態（第２図中実線で示す）で、図示しないピ
ンチローラ圧着機構によりピンチローラ26とキャプスタ
ン21間に磁気テープＴを圧着した状態で該磁気テープＴ
は巻取リール６側に送られて回転ヘッドドラム３等を介
して記録／再生される。この際に、ローディング板23の
下側の一端面23aは、第２図に示すように、スライド板1
4の中途折曲部14cから離れており、上記第１の引張りコ
イルバネ13の引張り力に抗して上記第２の引張りコイル
バネ15の引張り力により、ガイドレバー10のテープガイ
ド12はシャーシ２の長孔2aの右側の一端面2bに当接して
いる。

この状態から磁気テープＴの巻き戻し、早送りにする
場合には、アンローディング完了の手前まで、即ち、ロ
ーディング板23の下側の一端面23aが、スライド板14の
中途折曲部14cに当たる直前まで巻取側ローディング機
構20等をアンローディングさせてローディング板23をそ
の位置で停止させる。そして、上記テープガイド12がシ
ャーシ２の長孔2aの右側の一端面2bに当たった状態で、
磁気テープＴを第２図中１点鎖線で示す状態で巻き戻
し、早送りする。このように、ガイドレバー10でテープ
ガイド12を長孔2aの右側の一端面2bに当たった状態で、
磁気テープＴの巻き戻し、早送りをするようにしたの
で、テープカセット４内のガイド軸８に対するラップ角
（巻き付け角）を可及的に小さくして静電気の発生をよ
り抑えていると共に、上記ガイド軸８が樹脂製である場
合に特に発生し易い静電気をシャーシ２側に確実に逃が
して静電気を除去することができる。

また、テープカセット４の取り出し時に、巻取側ロー
ディング機構20を完全にアンローディングさせると、ロ
ーディング板23の復動により、第３図に示すように、該
ローディング板23の下側の一端面23aがスライド板14の
中途折曲部14cに当たり、上記第２の引張りコイルバネ1
5の引張り力に抗してスライド板14が第３図中矢印の方
向に移動する。これにより、上記ガイドレバー10のテー
プガイド12は上記シャーシ２の長孔2aの左側の一端面2c
近くまで移動して磁気テープＴから離れ、テープカセッ
ト４の取り出しに何等支障がない。

このように、上記テープカセット４の前面開口部4aに
沿って設けられたシャーシ２の長孔2aの両端面2b,2c間
に上記テープカセット４の磁気テープＴに接触するテー
プガイド12を往復移動自在に配設したので、磁気テープ
Ｔの巻き戻し、早送り時に、該テープガイド12を上記長
孔2aの右側の一端面2bに当接させることにより上記テー
プカセット４の前面開口部4a側のガイド軸８に対する上
記磁気テープＴのラップ角を可及的に小さくして静電気
の発生を抑制することができる。また、上記テープガイ
ド12により上記磁気テープＴに発生した静電気をシャー
シ２側へ逃がすことができるので、上記テープガイド12
によりガイド軸８のラップ角を小さくできることと相俟
ってテープ走行性を一段と安定化させ、磁気テープＴの
巻き戻し、早い送りを高速で短時間で行うことができ
る。

尚、上記実施例によれば、テープガイドをシャーシに
穿設した長孔に往復移動するようにしたが、上記テープ
ガイドを案内するガイドは上記長孔に限られず、例えば
シャーシに凹状の溝を形成して該凹状の溝に沿ってテー
プガイドを往復移動させるようにしてもよい。

［発明の効果］ 以上のように、この発明によれば、テープカセットの
前面開口部に沿ってテープガイドを移動自在に配設した
ので、上記テープカセットのテープに接触する上記テー
プガイドを移動させることにより上記前面開口部側のガ
イド軸に対する上記テープのラップ角を小さくするよう
に可変させることができ、静電気の発生を抑えることが
できる。また、テープガイドによりテープに発生した静
電気をシャーシ側へ確実に逃がすことができるので、上
記テープガイドによりガイド軸のラップ角を小さくでき
ることと相俟ってテープ走行性を一段と安定化させ、巻
き戻し等を高速且つ短時間で行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を示すテープカセット装着
状態のVTRの全体概略平面図、第２図は同VTRのテープ走
行時の概略部分説明図、第３図は同VTRのテープカセッ
ト取出時の概略部分説明図である。 １……VTR（磁気記録再生装置）、２……シャーシ、４
……テープカセット、4a……前面開口部、８……ガイド
軸、12……テープガイド、13……ガイドレバー、14……
ガイドレバー操作部材。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シャーシに装着されたテープカセットのテ
   ープに接触して静電気を該シャーシに逃がすようになっ
   ていると共に、テープカセット内の前面開口部側のガイ
   ド軸に対する上記テープのラップ角を可変させるテープ
   ガイドと、 上記テープガイドを取り付けていると共に、シャーシに
   移動可能に取り付けられていて、一方向に移動させるこ
   とにより上記テープガイドによる上記ガイド軸に対する
   上記テープのラップ角を増大させ、反対方向に移動させ
   ることにより上記テープガイドによる上記ガイド軸に対
   する上記テープのラップ角を減少させるガイドレバー
   と、 上記ガイドレバーを上記テープガイドによる上記ガイド
   軸に対する上記テープのラップ角を増大させる方向に付
   勢しているバネ部材と、 上記テープのローディング時に上記バネ部材のバネ力に
   抗して上記ガイドレバー及びテープガイドを上記ガイド
   軸に対する上記テープのラップ角を減少させる方向に移
   動させ、上記テープのアンローディング時に上記バネ部
   材のバネ力によって上記ガイドレバー及びテープガイド
   を上記ガイド軸に対する上記テープのラップ角を増大さ
   せる方向に移動させるガイドレバー操作部材と、 を備えたことを特徴とする磁気記録再生装置。