JP2897046B2 - 電気部品用絶縁ターミナルの製造方法 - Google Patents

電気部品用絶縁ターミナルの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は電線、開閉器、電子機器などの電気部品の端
末処理、中継、接続のために用いられる絶縁ターミナル
を製造する方法に関するものである。
[従来の技術] 例えば電力系統の運営や機器の運転操作に必要な各種
の開閉装置は配電盤や制御盤に集中設置しているが、そ
の際に配電盤や制御盤のパネルに対して電気的に絶縁さ
れていなければならない。
第9図はパネルに可溶筒を取付ける従来の一例を示す
ものであって、パネル51に取付孔52と連結孔53とを予め
設けておいて対応する取付孔55と連結孔56とを有する絶
縁基板54を各孔を一致させて重ね、連結孔53、56に貫通
させた連結ボルト57に連結ナット58を緊締することによ
ってパネル51の表面に絶縁基板54を重ね、取付ボルト59
をパネル51の取付孔52側から取付孔55を貫通させて可溶
筒64の端子65と導電線66の端末とを重ねて嵌装するとと
もにその両側からナット60、61を緊締して電気的に接続
し、更に絶縁基板54とナット61との間で絶縁筒62を嵌装
することによって取付ボルト59を固定した構成である。
尚、絶縁筒63の代りに同図右側のように取付ナット63を
ねじ込んで取付ボルト59を絶縁基板54に固定することも
ある。
即ち、パネル51および絶縁基板54には一個の絶縁基板
54についてそれぞれ少なくとも二つずつの連結孔52、55
と少なくとも一つずつの取付孔53、56を設ける必要があ
るとともに、少なくとも二本ずつの連結ボルト57および
それらの連結ナット58と、少なくとも一本ずつの取付ボ
ルト59およびそれらの絶縁筒62または取付ナット63が必
要である。従って、各孔が対応して正確な位置に設けら
れている必要があるばかりか、それらの加工も多数に亘
るため面倒であり、更に部品点数が多いので組付け作業
がきわめて厄介である。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は前記従来の技術がもっている組付けのための
孔が多数必要で加工が面倒である、部品点数が多く組付
け作業がきわめて厄介である、という課題を解決しよう
とするものであって、パネルに固定するための連結ボル
トと電気部品を固定するための取付ボルトとが互いに電
気的に絶縁された一体品とされ、従って組付けのための
孔が少なくて済むとともに少ない部品点数できわめて簡
単にパネルに固定することができる電気部品用絶縁ター
ミナルを提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明は対向する壁に通し孔を有するとともに前記壁
の内面に突出した前記通し孔に連続するスリーブを有す
る金型を用い、パネルに固定するための連結ボルトと電
気部品を固定するための取付ボルトとをそれらの頭部を
キャビティ内に置くとともに軸部を前記スリーブおよび
通し孔に貫通させて前記金型に反対向きに支持させ、合
成樹脂を前記キャビティに注入してその圧力で前記頭部
の底面を前記スリーブの先端面に圧接させた状態で絶縁
台を成形することをもって前記課題を解決するための手
段とした。
通し孔およびスリーブの内径は連結ボルト、取付ボル
トの軸部の外径または山径と等しいか或いはこれよりも
僅かに大きく、スリーブの外径は頭部よりも小径に作ら
れる。これによって、連結ボルトおよび取付ボルトを金
型にがたつくことなく支持することができ、且つ合成樹
脂が頭部底面の軸部周囲を除いた部分も埋込んで絶縁台
に抜ける心配なく固定することができる。また、成形時
に頭部がスリーブに衝って合成樹脂の圧力でそれ以上は
動かないので絶縁台に一定深さで埋込まれ一定強度の製
品を得ることができるばかりか、頭部は互いに反対方向
へ押されて一定間隔で埋込まれるので絶縁性を低下させ
ることもなく、しかもスリーブは軸部を包むとともに頭
部底面が圧接するので合成樹脂が軸部の殊にねじを伝っ
て漏れナットのねじ込みに支障を与え或いは絶縁台の密
度が一定とならず強度に悪影響を与えるという不都合が
ない。
次に、絶縁台は射出成形に限らず圧縮成形、トランス
ファ成形などによって熱可塑性および熱硬化性の合成樹
脂で作ることができるが、繊維補強の耐熱性、機械的強
度に富むもの例えばガラス繊維混入のフエノール樹脂が
好ましい。
更に、金型の対向する通し孔、スリーブは一般に同一
軸線上に設けられるが互いに偏心、例えば連結ボルトの
通し孔、スリーブを絶縁台の中心軸線上に設け取付ボル
トの通し孔、スリーブを中心軸線に対して偏心させる
か、これらをともに絶縁台の中心軸線に対して偏心させ
ることもある。連結ボルト、取付ボルト、絶縁台の中心
軸線を一致させると機械的強度が安定し且つ絶縁性に対
する信頼性が高いが、偏心させると一対の取付ボルトの
間隔を調整できるのでパネルの連結孔位置に狂いがあっ
ても規定寸法の電気部品を支障なく取付けることができ
るという利点がある。
尚、連結ボルトと取付ボルトとは同一寸法のものに限
らず、互いに寸法が異なるものを任意に組合せて使用す
ることができ、また絶縁台は円柱や角柱形など任意の形
状とすることができる。
[作 用] 金型を用いて連結ボルト、取付ボルトの頭部をキャビ
ティ内に位置させて軸部をスリーブ、通し孔に嵌込み、
射出成形やトランスファ成形のときは金型を閉じてから
合成樹脂材料を入れ、圧縮成形のときは合成樹脂材料を
入れてから金型を閉じる。キャビティ内の樹脂圧力で先
ず頭部が押されてその底面がスリーブの先端面に圧接し
軸部をキャビティ内から遮断した状態とし、次で合成樹
脂が回り込んで頭部底面のスリーブ外側部分も埋込む。
金型を開くと合成樹脂の絶縁台の両側方に軸部を突出さ
せて連結ボルト、取付ボルトが互いに電気的に絶縁され
た一体品とされている絶縁ターミナルが得られる。
このような絶縁ターミナルの連結ボルトを配電盤や制
御盤のパネルに固定すると取付ボルトも絶縁状態でパネ
ルに固定されることとなり、組付けのための孔数が連結
ボルト用だけでよいとともに組付け作業がきわめて簡単
である。
[実施例] 第1、2図は本発明に使用する金型の一例を示すもの
であって、符号1で示す金型は中心で左右に分割された
二つの型部片1a、1bからなり、正六角柱のキャビティ2
とその対向する壁3、6に形成された通し孔4、7およ
びこれらに連続して壁3、6の内面に突出したスリーブ
5、8とを有している。通し孔4、7およびスリーブ
5、8はキャビティ2の中心軸線上に配置されており、
且つそれらの内径は互いに等しい。
型部片1a、1bを開いて一方の型部片1aの通し孔4とス
リーブ5に連結ボルト11の軸部12を嵌込むとともにもう
一方の型部片1bの通し孔7とスリーブ8に取付ボルト14
の軸部15を嵌込んでそれらの頭部13、16をキャビティ内
に置き(第3図)、そしてこれらの型部片1a、1bを閉じ
合せて金型1を閉成する。このとき、金型1は軸部12、
15を通し孔4、7およびスリーブ5、8に貫通させそれ
らの先端部を突出させた状態で連結ボルト11、取付ボル
ト14を反対向きに支持するのである(第4図)。
次で一方の型部片1aに設けたゲート9からキャビティ
2の中心部へ向かって溶融合成樹脂材料10を射出法によ
り注入すると、樹脂圧力によってそれぞれの頭部13、16
が押されて底面をスリーブ5、8の先端面に圧接した状
態となる(第5図)。このため二つの頭部13、16は一定
の間隔となり、且つ軸部12、15のキャビティ2に突出し
ている部分はスリーブ5、8に包まれてキャビティ2の
内部から遮断され、溶融合成樹脂材料10が更に注入され
ると頭部13、16の底面にも回り込んでキャビティ2に充
満し頭部13、16の上面および周側面の全部と底面のスリ
ーブ5、8外側部分を埋込む。
金型1を開くとキャビティ2によって成形された正六
角柱形の絶縁台17の両側方に軸部12、15を突出させた連
結ボルト11と取付ボルト14とが互いに電気的に絶縁され
て一体品とされた絶縁ターミナルが得られる。絶縁台17
に埋込まれる軸部12、15の周囲にはスリーブ5、8によ
る隙間18、19が形成されているが、頭部13、16がほぼ完
全に埋込まれているので機械的強度に悪影響はない(第
6、7図)。
尚、金型1を中心軸線に直角の面上で二つ割にする
と、成形品の抜取りが容易であるとともに、連結ボルト
11と取付ボルト14とを互いに偏心させて配置することも
容易である。
このような絶縁ターミナルによると、第9図の従来例
における絶縁基板54、取付孔52が不要となり、第8図に
示すように連結ボルト11をパネル21の連結孔22に貫通し
てナット23と絶縁台17とによりパネル11を挟むことによ
って取付ボルト14がパネル11に絶縁状態で固定されるこ
ととなる。
[発明の効果] 本発明によるとパネルへの連結ボルトと電気部品の取
付ボルトとが絶縁台に互いに安定した絶縁状態と機械的
強度で一体に固定され、且つ各ボルトの軸部に合成樹脂
が漏れ伝わらないのでナットのねじ込みに支障を与え或
いは電気部品の導電性を劣化させるという心配がないと
ともに、単一品で部品点数が少ないためパネルにきわめ
て簡単に固定することができる絶縁ターミナルが容易に
製造できるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に使用する金型の一例の縦断面図、第2
図(A)(B)は第1図のA−A線、B−B線に沿う断
面図、第3図、第4図、第5図は成形工程を説明する縦
断面図、第6図は成形品である絶縁ターミナルの縦断面
図、第7図は第6図の右側面図、第8図はパネルへの取
付け例を示す正面図、第9図は従来例の断面図である。 1……金型、2……キャビティ、3、6……壁、4、7
……通し孔、5、8……スリーブ、11……連結ボルト、
12、15……軸部、13、16……頭部、14……取付ボルト、
17……絶縁台、

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対向する壁に通し孔を有するとともに前記
    壁の内面に突出した前記通し孔に連続するスリーブを有
    する金型を用い、パネルに固定するための連結ボルトと
    電気部品を固定するための取付ボルトとをそれらの頭部
    をキャビティ内に置くとともに軸部を前記スリーブおよ
    び通し孔に貫通させて前記金型に反対向きに支持させ、
    合成樹脂を前記キャビティに注入してその圧力で前記頭
    部の底面を前記スリーブの先端面に圧接させた状態で絶
    縁台を成形することを特徴とする電気部品用絶縁ターミ
    ナルの製造方法。
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