JP2896787B2 - ゼオライト触媒の活性維持法 - Google Patents

ゼオライト触媒の活性維持法

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JP2896787B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ゼオライト触媒を用いてメタノールとアン
モニアからメチルアミンを製造する際のゼオライト触媒
の活性維持法に関する。更に詳しくは、本発明は上記メ
チルアミン製造に於いて、通常の条件下では避けられな
い特定の微量不純物の反応系への混入を抑制することに
よるゼオライト触媒の活性維持法に関する。
〔従来の技術〕 メチルアミンは、一般にメタノールとアンモニアを原
料とし、シリカアルミナのような固体酸触媒を用い、圧
力5〜40atm、反応温度350〜450℃という条件下に於い
て製造される。ここではアンモニアの窒素原子に結合す
るメチル基の数により、モノ、ジ及びトリメチルアミン
(以下各々MMA、DMA、TMAと記す)の三種のメチルアミ
ンが生成する。各メチルアミンはいずれも各種溶剤、医
薬品、有機合成、染色助剤、界面活性剤等の中間原料と
して有用であるが、製品需要は主にジメチルホルムアミ
ドの原料として大量に消費されるDMAに圧倒的に偏って
おり、日本国内に於いては、MMA、TMAの需要はDMAの10
分の1程度に過ぎない。ところが、このような触媒の下
では、生成物の組成は熱力学的に決定され、通常の条件
下ではほぼ同量のMMA、DMA、及びTMAが同時に生成す
る。従って、生成したMMA、TMAの大部分は分離後に反応
系へ戻され、原料として再利用される。また、平衡上DM
Aの生成を促進する目的で大過剰のアンモニアを使用し
なければならず、このような余剰のメチルアミン及び未
反応アンモニアの分離とリサイクルのために装置が大型
化し、大量のエネルギーを消費するプロセスとなってい
る。このようなプロセスは例えばハイドロカーボンプロ
セシング(Hydrocarbon Processing,1981,Nov.,1985)
に詳細に述べられている。
このような、反応が熱力学平衡関係に支配される所謂
従来触媒法に対して、ゼオライト触媒の形状選択性を利
用することにより、第一もしくは第二アミン(MMAもし
くはDMA)優勢の非平衡反応生成物を得る方法が昨今開
発されている。これは、第一アミンあるいは第二アミン
と第三アミンの限界分子径の中間的なサイズの細孔入口
径を有するゼオライト(結晶性アルミノシリケート)を
触媒として用い、第三アミン分子の細孔外への拡散を妨
げることによって、第一或いは第二アミンを選択的に得
る方法である。この方法に依れば、DMAを熱力学的平衡
とは無関係に選択的に生成させることが可能であり、こ
の結果リサイクルMMA、TMA及びアンモニア過剰量が大幅
に減少し、プロセスの小型化、省エネルギー等のメリッ
トがもたらされる。このようなゼオライト触媒として
は、ZSM−5もしくはZSM−21を利用してMMAを優先的に
得る方法〔USP4082805〕、モルデナイト、フェリエライ
ト、エリオナイトもしくはクリノプチロライトを用いMM
Aを優先的に得る方法〔特開昭56−113747号公報〕、レ
ビナイトを用いMMAを優先的に得る方法〔EP107457〕、
そしてDMAを優先的に得る方法に関しては、低バインダ
ーAゼオライトを利用する方法〔特開昭58−69846号公
報〕、Fu−1による方法〔特開昭54−148708号公報〕、
モルデナイトによる方法〔特開昭58−49340号公報〕、
モルデナイトもしくはクリノプチロライトによる方法
〔特開昭57−4169444号公報、特開昭59−21005号公
報〕、Rho、ZK−5、シャバサイトもしくはエリオナイ
トによる方法〔特開昭61−254256号公報〕等が提案され
ている。
こういった非平衡組成を与える触媒を用いたメチルア
ミン製造プロセスに関する報告は極めて数少ないが、藤
田ら、触媒Vo129、No.4(1987)に概説が記載されてい
る。このようなプロセスに於いては、DMA選択性は従来
法即ち熱力学的平衡選択率に比べて約2倍、TMA選択率
は約1/5に改善されている。しかしながら、ここで用い
られるゼオライト触媒のTMA選択率が極めて低いこと、
また反応系へ戻されたTMAはこの触媒上では殆ど反応し
ないことから、TMAの生産能力(DMA対比)はこのような
触媒の下では非常に狭い幅に限定される。このようなこ
とから幅広い任意の比率で各メチルアミンを生産するこ
とを目的として、従来の平衡支配型の触媒とゼオライト
触媒とを並行或いは直列に併用する方法も提案されてい
る〔特開昭57−169445号公報〕。
ゼオライト触媒を用いてメチルアミンを製造するプロ
セスの特徴の一つは、従来より低い温度で反応が行われ
ることである。この理由は、低温に於いて分子形状選択
性の効果が増大すること、及びコークの副生量が反応温
度の低下に伴い減少し、触媒寿命が延長することであ
る。他の特徴の一つは、従来と異なりメタノールを完全
には反応させないことであり、メタノール転化率は通常
80〜98%に抑えられる。これは転化率が98%を超えると
形状選択性の効果が急激に低下するためである。従って
多くの場合、未反応メタノールは分離回収し、反応系へ
リサイクルして再利用される。
一般にゼオライト触媒上に於けるコークの生成は比較
的多く、またゼオライトの触媒活性はその影響を極めて
鋭敏に受けやすい。特にモルデナイトのような一次元細
孔構造を持つゼオライトはコークによる活性劣化を受け
やすいとされている。例えば、モルデナイト触媒を使用
したメチルアミン製造では、コークの生成を抑制するた
めに300℃以下という限界的な低温を用いても、触媒活
性の経時的な低下は著しく大きい。工業的操業の場合、
触媒寿命は2〜3ヶ月程度であってゼオライト触媒の効
率的な使用は、非常に困難となっている。
ゼオライト触媒のコーク生成量を抑制し、或いはその
影響を軽減する目的で種々の方法がこれまでに提案され
てきた。例えばPd、P等の第三物質を導入する方法[小
野、化学と工業38,100(1985)]、触媒の酸性質(酸強
度分布)の制御による方法[澤ら、第58回触媒討論会
(A)講演予稿集]、触媒外部表面活性の選択的被毒に
よる方法[Dejaifve et.al.,J.Gatal.70,123(198
1)]、ゼオライト結晶のサイズの調整による方法[杉
本ら、触媒、Vol.25,13P(1983)]、触媒の親疎水性の
調整による方法[岡崎ら、触媒、Vol.25,4P(1983)]
等が検討されている。しかしながら、このような方法は
ゼオライト触媒のコークによる活性劣化の本質的な解決
とはならず、ゼオライト触媒を使用するプロセスには触
媒の再生装置が組み込まれ、連続或いは頻繁な再生が工
程の一部とならざるを得ないのが現状である。メチルア
ミンの工業的製造プロセスに於いては、このように定常
的に頻繁な触媒再生を行うことは、生産コスト及び生産
能力上不利であるため、触媒活性の低下を防ぎ長期の連
続操業を可能とする方法の開発が望まれている。
〔本発明が触媒しようとする問題点〕
本発明が解決しようとする問題点は、上記の点にあ
る。すなわち本発明の目的は、メチルアミンの製造プロ
セスに用いるゼオライト触媒の活性を維持し、操業途中
の触媒再生を不要化、或いはその頻度を減少する方法を
確立することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、この問題につき鋭意検討の結果、ゼオ
ライト触媒を使用したメチルアミン製造プロセスに於い
ては、副生する多数の炭素化合物の中でアルデヒド化合
物、特にホルムアルデヒドがコーク生成に極めて重大に
関与しており、これらの化合物のゼオライト触媒層への
流入をある特定量以下に抑制することにより、触媒の寿
命が大幅に延長することを見出した。
メチルアミンの製造ではメタン、エタン等の低級炭化
水素類、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、ジメチルエー
テル、ホルムアルデヒドを主とするアルデヒド類、高級
アミン類、及びBTX等の芳香族炭化水素等の化合物が微
量副生するが、ゼオライト触媒の下では、おそらくその
形状選択性の効果と、反応の低温化の効果により、これ
らの不純物の副生は従来の平衡支配型の触媒に比べ1/2
〜1/10程度に抑制される。
一般に炭素化合物の反応系への混入は、どのような炭
素化合物であれ、カーボン生成反応の原料となり得るこ
とから触媒劣化に悪影響を与えることが予想されるが、
本発明者らの検討によると、メチルアミン製造プロセス
で反応系に混入の可能性があるアルデヒド化合物以外の
炭素化合物が触媒寿命に与える影響はアルデヒド化合物
に比べると桁違いに小さいことが判明した。すなわち、
アルデヒド化合物、特にホルムアルデヒドは、他の炭素
化合物が全く影響を及ぼさないような極微量でカーボン
生成を著しく促進し、触媒寿命に極めて大きな影響を及
ぼすという特異的な現象が生ずることを究明した。ま
た、反応系へ流入する不純物総量に対するこれらアルデ
ヒド化合物の割合は5%にも満たない極めて少ないもの
である。
触媒層に混入するホルムアルデヒドは、主としてメチ
ルアミン合成反応に於いて副生物として生成したもので
ある。モルデナイト等のゼオライト触媒の下では300℃
前後の反応温度に於いては、アルデヒド化合物は反応生
成ガス中に約200〜300ppm、或いはそれ以上存在し、こ
れを精製系で分離除去することは、通常の操作を行う限
りに於いては容易ではなく、その殆どは回収メタノール
に混入する。工業的製造プロセスの場合、この回収メタ
ノールのリサイクルによる反応系へのアルデヒド化合物
の混入量はHCHO換算で約0.4g/hr・kg−cat或いはそれ以
上である。原料のアンモニア及びメタノールに関して
は、一般的な工業用グレードを用いる限りに於いては、
その実勢値は通常問題ないが、アセチル化合物に関する
規格はかなり緩く、ホルムアルデヒドについては規格が
無いことから混入の恐れがある。また、メチルアミンの
製造プラント、或いは他のプラントからの回収メタノー
ルには応々にしてアルデヒド化合物の混入の機会が多
い。例えば通常メチルアミン製造プラントを隣接するジ
メチルホルムアミド製造プラントからの回収メタノール
は、多くのアルデヒド化合物を含み、これをメチルアミ
ンの原料として使用するためには、これらのアルデヒド
化合物を除去してから使用しなければならない。また、
前述のように各メチルアミンの幅広い生産比率を可能と
するために、従来の平衡型の触媒がゼオライト触媒と併
用されることがあるが、従来触媒のホルムアルデヒド副
生量はゼオライト触媒より一般に多く(400℃反応では3
00℃ゼオライト触媒の場合の10倍以上のホルムアルデヒ
ドを副生する)、従来触媒反応塔流出物からのアルデヒ
ド化合物が反応系へ混入する可能性が大きい。後記する
ように本発明に従い、これらのアルデヒド化合物の反応
系への混入量を特定することによって、ゼオライト触媒
の活性を維持することが出来る。
第1図は、ホルムアルデヒドによるゼオライト触媒寿
命への影響について実験的に調べたものであって、ゼオ
ライト触媒に於ける活性劣化定数及び活性半減期(メタ
ノールの消費反応速度定数が1/2に減少するまでの期
間)と反応器へのホルムアルデヒド流入量の関係を示し
ている。これによれば、ホルムアルデヒドの流入量が約
0.2g/hr・kg−cat以上で活性劣化速度が急激に増大す
る。そして、アルデヒド化合物の反応系への混入の防止
策を何等行わなかった場合、即ち触媒層へのホルムアル
デヒド流入量が約0.4g/hr・kg−catであった場合、反応
活性の半減期(メタノールの消費反応がメタノールに対
して一次反応であるとした場合の反応速度定数kが1/2
に減少するまでの期間)は、アルデヒド化合物を全く含
まない原料を使用した場合の25%であった。これに対
し、流入量を約0.15g/hr・kg−catに抑制すると、この
値が60%まで改善された。この様に、ホルムアルデヒド
の反応系への流入量を0.15g/hr・kg−catに制御するこ
とによって、触媒寿命を2倍以上延長し、更にこれを0.
01g/hr・kg−cat以下に制御することにより4倍以上に
延長することが出来た。即ち本発明の目的は上述の知見
に基づいて達成されたものである。
従って本発明は、メタノールとアンモニアを含む混合
物からメチルアミンを合成する反応に用いるゼオライト
触媒の活性を維持する方法に於いて、該ゼオライト触媒
に付すべき混合物中に不純物として含まれるアルデヒド
化合物の量をホルムアルデヒド換算で約0.15g/hr・kg−
cat以下に抑制することを特徴とするゼオライト触媒の
活性維持法である。
本発明はゼオライト触媒或いはゼオライト触媒と従来
の平衡支配型の触媒(非ゼオライト質固体酸触媒と称す
る)とを併用するメチルアミン製造プロセスに適用出来
る。
本発明が対象とするゼオライト触媒は、例えばY型ゼ
オライト、モルデナイトのようにメチルアミン合成に活
性を示すものである。特に、メチルアミン合成反応に分
子形状選択性を示すゼオライト、即ち、モルデナイト、
Fu−1、シャバサイト、エリオナイト、Rho、ZK−1、
ゼオライトA、レビナイト等やこれらのゼオライトをい
ろいろな処理法で修飾したものを挙げることが出来る。
本発明方法に於いては、ゼオライト触媒に付すべき混
合物中に不純物として含まれるアルデヒド化合物の量を
ホルムアルデヒド換算で約0.15g/hr・kg−cat以下にす
る必要がある。好ましくは0.1g/hr・kg−cat以下、更に
好ましくは0.05g/hr・kg−cat以下である。アルデヒド
化合物を除去する方法としては、例えば精密な蒸留又は
アルカリ、硫酸水素ナトリウムなどの化学処理による方
法を挙げることが出来る。
本発明によるメチルアミン合成反応は、反応温度230
〜350℃、好ましくは250〜320℃の範囲で行われる。圧
力は常圧〜50atm好ましくは5〜30atm、N/C(反応系に
於ける窒素原子と炭素原子の数の比率)1〜3、空間速
度600〜2000/hr及びメタノール転化率80〜98%という反
応条件が用いられる。
また、本発明方法がゼオライト触媒と非ゼオライト質
固体酸触媒とを併用する場合、例えば第2図に示すよう
な態様をとることが出来る。
すなわち、精製系で製品の各メチルアミンを分離した
後のリサイクルアミン(MMA、TMA)及び未反応アンモニ
アの全部または大部分はライン8から、ライン1から供
給される原料のメタノール及びアンモニアと共にライン
2を経てゼオライト触媒反応器(ZR)へ供給される。メ
タノール回収塔(M)に於いて回収された未反応メタノ
ール(アルデヒド化合物を含む)は実質上その全量がラ
イン10からライン5を経て非ゼオライト質固体酸触媒反
応器(AR)へ供給される。又、ライン11から供給される
ライン8からのリサイクルアミン及び未反応アンモニア
の残部、及び(または)ライン4から供給されるゼオラ
イト触媒反応器(ZR)からの生成物の一部もライン5を
経て非ゼオライト質固体酸触媒反応器(AR)へ供給され
る。ゼオライト触媒反応器(ZR)からの生成物は全部又
はその多くの部分がライン3から、非ゼオライト質固体
酸触媒反応器(AR)からの生成物はその全量がライン6
からそれぞれライン7を経て精製系(D)へ送られる。
精製系(D)に於いては、製品の各メチルアミンがライ
ン12から回収され、分離されたリサイクルアミン及び未
反応アンモニアは前記のように転送され、未反応メタノ
ールは副生物のアルデヒド化合物と共にライン9からメ
タノール回収塔(M)へ送られる。
上記のプロセスでは、回収メタノールはその全量が非
ゼオライト質固体酸触媒反応器へ供給されるが、該触媒
はメタノール中に含まれるアルデヒド化合物によってそ
の活性及び安定性が影響を受けることなく、かえってア
ルデヒド化合物を分解することが出来る。従って、メタ
ノール回収塔に於いては、アルデヒド化合物の高度な分
離操作を行う必要がないため装置が簡略化でき、またゼ
オライト触媒に付すべき混合物へのアルデヒド化合物の
混入が防止される。
使用される非ゼオライト質固体酸触媒としては、シリ
カ及び(または)アルミナを主成分とする多孔質固体酸
触媒、例えばアルミナ(例えばγ−アルミナ)、シリカ
アルミナなどを挙げることが出来る。反応条件は反応温
度350〜450℃好ましくは370〜420℃、反応圧力、常圧〜
50atm好ましくは5〜30atmである。ここでの反応には必
要に応じてフレッシュなメタノールまたはアンモニアを
供給してもよい。ゼオライト触媒に於ける反応条件は前
述の通りである。
〔実験例〕
以下に実施例及び比較例により本発明の構成及び効果
をより具体的に説明する。
比較例1 長さ800mm、1/2Bのステンレス反応管に直径約5mmのペ
レット状のNa−H型モルデナイト(Na含量0.7wt%)74m
lを同粒径の不活性固体希釈剤と共に充填し、320℃の反
応温度、20atmの圧力の下にアンモニア、メタノール、M
MA、DMA、TMAの混合物(NH3/MMA/DMA/TMA/メタノール=
46.0/12.2/0.1/5.0/36.7wt%)にホルムアルデヒドを30
0pm又は880ppm添加したものを約1g/minの流速で連続的
に流通して反応を行わせた。定期的に流出物のサンプリ
ングを行い、ガスクロマトグラフィーにより未反応メタ
ノールの量を分析し、メタノールに対し一次反応の速度
定数で表した活性の経時的な変化を測定し、表1−No.
(5)〜(6)の結果を得た。
実施例1 比較例1と同様な反応装置及び触媒を用い、同様な反
応条件の下に同様なアンモニア、メタノールの混合物に
ホルムアルデヒドを0〜90ppm添加したものを連続的に
流通させ反応を行わせしめ、表1−No.(1)〜(4)
に示す活性経時変化の結果を得た。
比較例2 比較例1と同様な反応管に、直径約3mm、長さ約10mm
の円筒状のY型ゼオライト(HY)約60mlを直径約5mmの
不活性希釈剤と共に充填し、比較例1と同様な原料にホ
ルムアルデヒドを300ppm、又は2000ppm添加したものを
同様な条件下にて連続的に反応を行わせしめ、活性の経
時的な変化を測定し、表1−No.(9)、(10)の結果
を得た。
実施例2 比較例1と同様な装置及び比較例4と同様な触媒を用
い、同様な反応条件の下に同様なアンモニア、メタノー
ル、及びメチルアミンの混合物にホルムアルデヒドを0
〜90ppm添加したものを連続的に流通させ反応を行わせ
しめ、表1−No.(7)、(8)に示す活性経時変化の
結果を得た。
比較例3 比較例1と同様な反応装置及び触媒を用い、同様な反
応条件の下に同様なアンモニア、メタノール、MMA、DM
A、TMAの混合物にメタン、エチレン、プロピレン及び1
−ブテンを添加したものを連続的に流通させて反応を行
わせしめ、表2−(1)に示す活性経時変化を得た。
比較例4 比較例1と同様な反応装置及び触媒を用い、同様な反
応条件の下に同様なアンモニア、メタノール、MMA、DM
A、TMAの混合物にトルエン及びキシレンを添加したもの
を連続的に流通させて反応を行わせしめ、表2−No.
(2)に示す活性経時変化を得た。
実施例3 非ゼオライト質固体酸触媒としてシリカアルミナ40ml
を充填した内径18mm、長さ300mmの反応管にアンモニ
ア、メタノール、MMA、DMA、TMAの混合物を、反応温度4
00℃、圧力20atm、流速約1g/minの条件下で供給し反応
を行った。その結果を表3に示した。
〔実験結果の説明〕 反応活性はメタノールに対し一次反応(反応速度定数
k[1/sec])、そして活性劣化のパターンは指数劣化
(k=koexp(−bt),b:劣化定数[1/day]、t:経過時
間[day])で近似した。触媒寿命は、不純物を添加し
ない純アンモニア/メタノール/メチルアミン原料に対
しての活性半減期(k→1/2kに要した期間)の比率θ/
θHCHO=0及び劣化定数の比率b/bHCHO=0で示した。
(1)比較例1は、反応系の不純物の除去に関して何等
策を講じない場合を想定し、約0.4g/hr・kg−cat以上の
ホルムアルデヒドを純アンモニア、メタノール及びメチ
ルアミンより成る原料に添加し、温度320℃にてゼオラ
イト触媒上で反応させ(等温反応)、その劣化速度を測
定したものである。実施例1は同様な実験を比較例の場
合より少ないホルムアルデヒド流入量に対して行ったも
のである。比較例1及び実施例1の結果を図示したもの
が第1図である。
これによるとホルムアルデヒド流入量が0.4g/hr・kg
−cat前後(この時、触媒寿命は約2.5ヶ月)ではθ/θ
HCHO=0=0.25であり、これ以上では急激に劣化速度が
増大する。これを0.15g/hr・kg−catに減少させること
により、θ/θHCHO=0は約0.6となった。即ち、触媒
寿命は約2.4倍に延長された。(これは、工業的な観点
からほぼ満足することのできる触媒寿命である約6ヶ月
に相当する。)更に、0.05g/hr・kg−catまでホルムア
ルデヒドの流入量を抑制することによってθ/θ
HCHO=0は約0.8まで改善され、流入量が0.01g/hr・kg
−catの場合は、θ/θHCHO=0≒1となり、触媒寿命
は約4倍に延長された。(これは工業的な面から充分に
満足することが出来る約1年或いはそれ以上という触媒
寿命に相当する。) (2)比較例2及び実施例2はY型ゼオライト触媒に対
するホルムアルデヒド流入量の影響について調べたもの
であるが、活性の経時的変化はNa−H型モルデナイト触
媒に於ける場合と同様の傾向である。
(3)比較例3及び4は反応系に混入の可能性があるア
ルデヒド類以外の含炭素化合物即ち芳香族及び脂肪族炭
化水素について、その影響を調べたものであるが、これ
らの化合物の存在は、ホルムアルデヒド化合物の場合と
桁違いに多い流入量であっても、触媒寿命には殆ど影響
を及ぼさない。従って、上記の実験例よりアルデヒド化
合物のみが特異的に極めて微量で触媒寿命に影響を及ぼ
していることが明らかである。
(4)実施例3は第2図に示されるプロセスを想定した
ものである。表3−No.(2)はライン5に相当する混
合物を非ゼオライト質固体酸触媒上で反応させたもので
あって、この混合物にはホルムアルデヒドが1,400ppm存
在するが、表3−No.(1)のホルムアルデヒドを含ま
ないものに比べ劣化定数及び生成物中に含まれるホルム
アルデヒドの量が変化していないことから、非ゼオライ
ト質固体酸触媒はホルムアルデヒドの存在によってその
活性が影響されず、また同触媒上ではホルムアルデヒド
の分解が起きていることが判る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、ゼオライト(NaH型モルデナイト)触媒に於
ける活性劣化定数及び活性半減期(メタノールの消費反
応速度定数が1/2に減少するまでの期間)と反応器への
ホルムアルデヒド流入量の関係を示したものである。横
軸はホルムアルデヒドの流入量(g/hr・kg−cat)、縦
軸はホルムアルデヒドの流入量が0の場合を1とした活
性劣化定数の比b/bHCHO=0(左)及び活性半減期の比
θ/θHCHO=0(右)を表す。 第2図はゼオライト触媒と非ゼオライト質固体酸触媒と
を併用するメチルアミン製造プロセスに於ける本発明の
好ましい一具体例を示すフローシートである。 ZR:ゼオライト触媒反応器 AR:非ゼオライト質固体酸触媒反応器 D:精製系 M:メタノール回収塔
フロントページの続き (72)発明者 二階堂 雄康 神奈川県横浜市鶴見区大黒町10番1号 日東化学工業株式会社内 審査官 海老原 えい子 (56)参考文献 特開 昭60−45550(JP,A) 特開 昭63−8358(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B01J 21/00 - 37/36 C07C 209/16 C07C 211/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】未反応原料および生成物の一部をリサイク
    ル使用させながらメタノールとアンモニアを含む混合物
    からメチルアミンを合成する反応に用いるゼオライト触
    媒の活性を維持する方法に於いて、該ゼオライト触媒に
    付すべき混合物中に不純物として含まれるアルデヒド化
    合物の量をホルムアルデヒド換算で0.15g/hr・kg−cat
    以下に抑制することを特徴とするゼオライト触媒の活性
    維持法。
  2. 【請求項2】ゼオライト触媒と共に非ゼオライト質固体
    酸触媒を使用する請求項1記載のゼオライト触媒の活性
    維持法。
  3. 【請求項3】請求項1記載のゼオライト触媒の活性維持
    法に於いて、ゼオライト触媒と非ゼオライト質固体酸触
    媒とを併用し、反応生成物から回収した未反応メタノー
    ルの全量を非ゼオライト質固体酸触媒へ供給することを
    特徴とするゼオライト触媒の活性維持法。
  4. 【請求項4】ゼオライト触媒がメタノールとアンモニア
    からモノメチルアミン或いはジメチルアミンを生成する
    反応に分子形状選択性を発現するゼオライトである請求
    項1,2又は3記載のゼオライト触媒の活性維持法。
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