JP2896553B2 - 熱安定性に優れたハロゲン含有樹脂組成物 - Google Patents

熱安定性に優れたハロゲン含有樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高度に熱安定化された
ハロゲン含有樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン含有樹脂は、熱及び光に対する
安定性に欠けるので、加熱成形加工を行う際に、脱ハロ
ゲン化水素に起因した熱分解を生じ易い。このため、成
形加工品が着色したり、機械的性質が低下するなどの弊
害が生ずる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかる熱及び光に不安
定なハロゲン含有樹脂の欠点を補う為に、過塩素酸で処
理したいわゆる過塩素酸イオン型ハイドロタルサイトを
安定化剤とする発明(特開昭60−203657号公
報)が提案されているが、未だ熱及び光に対して満足な
安定効果を発揮していない。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、発明者等は、種
々検討の結果、ハロゲン含有樹脂にアセチルアセトンの
カルシウム塩、有機錫含硫黄化合物及びハイドロタルサ
イト(若しくは過塩素酸で処理したハイドロタルサイ
ト)を安定剤として併用添加することにより熱安定性に
優れたハロゲン含有樹脂組成物が得られることを見出
し、本発明に至った。
【0005】本発明は、ハロゲン含有樹脂100重量部
に対して、 (a)アセチルアセトンのカルシウム塩0.01〜5重
量部 (b)有機錫硫黄化合物0.01〜5重量部及び (c)ハイドロタルサイト若しくは過塩素酸で処理した
ハイドロタルサイト0.01〜5重量部 からなる安定剤を含有する熱安定性に優れたハロゲン含
有樹脂組成物である。
【0006】本発明によって安定化される塩素含有樹脂
としては、例えば、塩化ビニル樹脂や塩化ビニリデン樹
脂の如きハロゲン化ビニル単独重合体、ハロゲン化ビニ
ルを酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、スチレン、イ
ソブチレン、塩化ビニリデン、無水マレイン酸、ブタジ
エン、イソプレン、メチルメタクリレ−ト、アクリロニ
トリル、ジアルキルマレ−トの如きコモノマ−の一種又
は二種以上と共重合させることによって形成されるよう
な共重合体、後塩素化塩化ビニル樹脂などが挙げられ
る。また、ハロゲン含有樹脂とアクリロニトリル・ブタ
ジエン・スチレン樹脂、メチルメタクリレ−ト・ブタジ
エン・スチレン樹脂、アクリロニトリル・塩素化ポリエ
チレン・スチレン共重合体樹脂、アクリルゴム・アクリ
ロニトリル・スチレン共重合体、アクリルゴム・メチル
メタクリレ−ト・アクリロニトリル共重合体樹脂、酢酸
ビニル・エチレン共重合樹脂、塩素化ポリエチレン、塩
化ゴムなどの耐衝撃改良樹脂とのポリマーブレンド樹脂
などを挙げることができる。
【0007】本発明で添加される有機錫硫黄化合物は、
下記の一般式〔1〕〜〔19〕で表される化合物であ
る。
【0008】
【化1】 (各式中、Rは炭素数1〜18の直鎖若しくは分枝を有
するアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシカルボ
ニルエチル基を、R1 は炭素数1〜36の直鎖若しくは
分枝を有するアルキル基、アルケニル基又はアラルキル
基を、R2 は炭素数1〜22の脂肪酸の残基又は芳香族
酸の残基をそれぞれ示す)
【0009】なお、一般式〔13〕〜〔17〕におい
て、基−OOCR2 の具体例としては、例えば蟻酸、酢
酸、プロピオン酸、酪酸、ビバリン酸、バレリン酸、カ
プリル酸、カプロン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリス
チン酸、パルミチン酸、2−エチルヘキシル酸、ステア
リン酸、アイコサン酸、オレイン酸、リノール酸、リノ
レン酸、トール油酸、大豆油酸、綿実油酸、硬化綿実油
酸、ピーナツ油酸、ヤシ油酸、とうもろこし油酸、ひま
し油酸、硬化ひまし油酸、安息香酸及びt−ブチル安息
香酸(o−,m−,p−)の残基が挙げられる。
【0010】一般式〔1〕〜〔19〕で表される有機錫
硫黄化合物としては、例えばモノメチルスズサルファイ
ド、モノブチルスズサルファイド、モノオクチルスズサ
ルファイド、ジメチルスズサルファイド、ジブチルスズ
サルファイド、ジオクチルスズサルファイド、ジラウリ
ルスズサルファイド、モノメチルスズトリス(2−エチ
ルヘキシルメルカプトアセテート)、モノメチルスズト
リス(イソオクチルメルカプトアセテート)、モノブチ
ルスズトリス(2−エチルヘキシルメルカプトアセテー
ト)、モノブチルスズトリス(イソオクチルメルカプト
アセテート)、モノブチルスズトリス(イソノニルメル
カプトアセテート)、モノオクチルスズトリス(2−エ
チルヘキシルメルカプトアセテート)、モノオクチルス
ズトリス(イソオクチルメルカプトアセテート)、モノ
オクチルスズトリス(ドデシルメルカプトアセテー
ト)、モノオクチルスズトリス(テトラデシルメルカプ
トアセテート)、モノオクチルスズトリス(ヘキサデシ
ルメルカプトアセテート)、モノオクチルスズトリス
(オクタデシルメルカプトアセテート)、ブトオキシカ
ルボニルエチルスズトリス(2−エチルヘキシルメルカ
プトアセテート)、ブトオキシカルボニルエチルスズト
リス(イソオクチルメルカプトアセテート)、モノラウ
リルスズトリス(2−エチルヘキシルメルカプトアセテ
ート)、ジメチルスズビス(2−エチルヘキシルメルカ
プトアセテート)、ジメチルスズビス(イソオクチルメ
ルカプトアセテート)、ジブチルスズビス(2−エチル
ヘキシルメルカプトアセテート)、ジブチルスズビス
(イソオクチルメルカプトアセテート)、ジオクチルス
ズビス(2−エチルヘキシルメルカプトアセテート)、
ジオクチルスズビス(イソオクチルメルカプトアセテー
ト)、ジオクチルスズビス(イソノニルメルカプトアセ
テート)、ジオクチルスズビス(デシルメルカプトアセ
テート)、ジオクチルスズビス(ドデシルメルカプトア
セテート)、ジオクチルスズビス(テトラデシルメルカ
プトアセテート)、ジオクチルスズビス(ヘキサデシル
メルカプトアセテート)、ジオクチルスズビス(オクタ
デシルメルカプトアセテート)、ジオクチルスズビス
(C1018混合アルコールのメルカプトアセテート)、
ジラウリルスズビス(2−エチルヘキシルメルカプトア
セテート)、ジラウリルスズビス(イソオクチルメルカ
プトアセテート)、ビス(ブトオキシカルボニルエチ
ル)スズビス(イソオクチルメルカプトアセテート)、
モノメチルスズトリス(2−エチルヘキシルメルカプト
プロピオネート)、モノブチルスズトリス(イソオクチ
ルメルカプトプロピオネート)、モノオクチルスズトリ
ス(ドデシルメルカプトプロピオネート)、エトオキシ
カルボニルエチルスズトリス(テトラデシルメルカプト
プロピオネート)、モノラウリルスズトリス(イソオク
チルメルカプトプロピオネート)、ジメチルスズビス
(2−エチルヘキシルメルカプトプロピオネート)、ジ
メチルスズビス(イソオクチルメルカプトプロピオネー
ト)、ジブチルスズビス(2−エチルヘキシルメルカプ
トプロピオネート)、ジブチルスズビス(イソオクチル
メルカプトプロピオネート)、ジブチルスズビス(イソ
ノニルメルカプトプロピオネート)、ジオクチルスズビ
ス(2−エチルヘキシルメルカプトプロピオネート)、
ジオクチルスズビス(イソオクチルメルカプトプロピオ
ネート)、ジオクチルスズビス(イソノニルメルカプト
プロピオネート)、ジラウリルスズビス(イソオクチル
メルカプトプロピオネート)、ジラウリルスズビス(2
−エチルヘキシルプロピオネート)、ビス(ブトオキシ
カルボニルエチル)スズビス(イソオクチルメルカプト
プロピオネート)、モノメチルスズ(トリデシルメルカ
プトアセテート)サルファイド、モノブチルスズビス
(イソオクチルメルカプトアセテート)サルファイド、
モノオクチルスズビス(イソオクチルメルカプトアセテ
ート)サルファイド、モノラウリルスズビス(イソノニ
ルメルカプトアセテート)サルファイド、ブトオキシカ
ルボニルエチルスズビス(2−エチルヘキシルメルカプ
トプロピオネート)サルファイド、ビス〔モノメチルス
ズビス(イソオクチルメルカプトアセテート)〕サルフ
ァイド、ビス〔モノオクチルスズビス(2−エチルヘキ
シルメルカプトアセテート)〕サルファイド、ビス〔モ
ノラウリルスズビス(デシルメルカプトアセテート)〕
サルファイド、ビス〔ジメチルスズ(イソオクチルメル
カプトアセテート)〕サルファイド、ビス〔ジブチルス
ズ(イソノニルメルカプトアセテート)〕サルファイ
ド、ビス〔ジオクチルスズ(2−エチルヘキシルメルカ
プトアセテート)〕サルファイド、モノブチルスズ(デ
シルメルカプトプロピオネート)サルファイド、モノラ
ウリルスズ(ステアリルメルカプトプロピオネート)サ
ルファイド、ビス〔モノメチルスズビス(イソオクチル
メルカプトプロピオネート)〕サルファイド、ビス〔モ
ノオクチルスズビス(2−エチルヘキシルメルカプトプ
ロピオネート)〕サルファイド、ビス〔ジメチルスズ
(ノニルメルカプトプロピオネート)〕サルファイド、
ビス〔ジオクチルスズ(イソオクチルメルカプトプロピ
オネート)〕サルファイド、ビス〔ジラウリルスズ(イ
ソオクチルメルカプトプロピオネート)〕サルファイ
ド、ビス〔ビス(ブトオキシカルボニルエチル)スズ
(イソノニルメルカプトプロピオネート)〕サルファイ
ド、モノメチルスズトリス(2−メルカプトエチルオレ
イン酸)、モノブチルスズトリス(2−メルカプトエチ
ルカプリン酸)、モノオクチルスズトリス(2−メルカ
プトエチルトール油酸)、モノラウリルスズトリス(2
−メルカプトエチルステアリン酸)、ブトオキシカルボ
ニルエチルスズトリス(2−メルカプトエチルオクチル
酸)、ジメチルスズビス(2−メルカプトエチルリノー
ル酸)、ジブチルスズビス(2−メルカプトエチルラウ
リン酸)、ジオクチルスズビス(2−メルカプトエチル
オレイン酸)、ジラウリルスズビス(2−メルカプトエ
チルリノレン酸)、ビス(オクトオキシカルボニルエチ
ル)スズビス(2−メルカプトエチルヤシ油酸)、モノ
メチルスズ(2−メルカプトエチルト−ル油酸)サルフ
ァイド、モノブチルスズ(2−メルカプトエチルオクチ
ル酸)サルファイド、モノオクチルスズビス(2−メル
カプトエチルトール油酸)サルファイド、ビス〔モノメ
チルスズビス(2−メルカプトエチルオレイン酸)〕サ
ルファイド、ビス〔モノブチルスズビス(2−メルカプ
トエチル大豆油酸)〕サルファイド、ビス〔モノオクチ
ルスズビス(2−メルカプトエチルトール油酸)〕サル
ファイド、ビス〔モノラウリルスズビス(2−メルカプ
トエチルオクチル酸)〕サルファイド、ビス〔ジメチル
スズ(2−メルカプトエチルトール油酸)〕サルファイ
ド、ビス〔ジブチルスズ(2−メルカプトエチルひまし
油酸)〕サルファイド、ビス〔ジオクチルスズ(2−メ
ルカプトエチルパルミチン酸)〕サルファイド、ジブチ
ルスズ3−メルカプトプロピオネート、ジオクチルスズ
メルカプトアセテートなどを挙げることができる。
【0011】つぎに、本発明に使用されるハイドロタル
サイトは、一般式(1)で示されるマグネシウムとアル
ミニウムの含水複塩化合物であり、天然物でも合成物で
も良い。
【0012】
【化2】 (式中0<x≦0.5、m≧0、AはCO3 をそれぞれ
示す。)
【0013】一般式(1)で表されるハイドロタルサイ
トとしては、例えばアルカマイザ−1〔Mg4 Al
2 (OH)12(CO3 )・3H2 O〕、アルカマイザ−
2〔Mg4 Al2 (OH)12(CO3 )〕、DHT−4
A〔Mg4.5 Al2 (OH)13(CO3 )・3.5H2
O〕(いずれも協和化学工業社製)などが挙げられる。
【0014】また、過塩素酸で処理したハイドロタルサ
イトを得るには、上記ハイドロタルサイトに市販の過塩
素酸の水溶液を接触させればよく、ハイドロタルサイト
中のA成分(アニオン)が、CO3 2- から(ClO4)2
2- に容易に置換され、一般式(2)で表されるような
組成を主成分とする化合物を得ることができる。
【0015】
【化3】 (式中0<x≦0.5、m≧0である。)
【0016】ハイドロタルサイト(若しくは過塩素酸で
処理したハイドロタルサイト)の添加量は、ハロゲン含
有樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部であ
ることが好ましい。
【0017】さらに、本発明のハロゲン含有樹脂組成物
に対して、必要により、酸化防止剤、エポキシ化合物、
有機亜リン酸エステル、紫外線吸収剤、ホウ酸、ホウ酸
エステル、ホウ酸塩、三酸化アンチモン、滑剤、顔料、
充填剤、帯電防止剤、難燃剤、加工助剤、可塑剤等を添
加することができる。
【0018】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明を説明する
が、実施例中の部は重量部を示すものとする。
【0019】実施例1〜4 塩化ビニル樹脂(Geon103EP−8 日本ゼオン
社製)100重量部、ジオクチル錫ビス(イソオクチル
メルカプトアセテ−ト)1.0重量部、アセチルアセト
ンのカルシウム塩0.5重量部及び下記第1表のハイド
ロタルサイトを添加し、190℃の混練ロールにて3分
間混練し、得られた厚さ0.5mmのシ−トを195℃
のオーブンに入れて、熱安定性の試験を行って、黒化す
るまでの時間を測定した。
【0020】
【表1】
【0021】実施例5〜7 塩化ビニル樹脂(Geon103EP−8 日本ゼオン
社製)100重量部、耐衝撃強化剤(カネエースB−5
2 鐘淵化学工業社製)10重量部、ジオクチル錫ビス
(2−エチルヘキシルメルカプトアセテート)1.5重
量部、モノブチル錫サルファイド0.3重量部、アセチ
ルアセトンのカルシウム塩1.0重量部及び下記第2表
の過塩素酸で処理したハイドロタルサイト0.1重量部
を添加し、実施例1〜4の場合と同様の操作をして評価
した。
【0022】
【表2】
【0023】実施例8〜12 後塩素化塩化ビニル樹脂(HA−15F 徳山積水化学
工業社製)100重量部、耐衝撃強化剤(メタブレンC
−150S 三菱レーヨン社製)10重量部、ジメチル
錫ビス(イソオクチルメルカプトアセテート)1.0重
量部、モノメチル錫トリス(イソオクチルメルカプトア
セテート)1.0重量部、ハイドロタルサイト(アルカ
マイザー2 協和化学工業社製)0.5重量部、滑剤
(SL−02理研ビタミン社製)0.5重量部及び下記
第3表のアセチルアセトンのカルシウム塩を添加し、実
施例1〜4の場合と同様の操作をして評価した。
【0024】
【表3】
【0025】実施例13〜22 塩化ビニル樹脂(Geon103EP−8 日本ゼオン
社製)100重量部、後塩素化ポリエチレン(ダイソラ
ックH−135 ダイソー社製)5重量部、アセチルア
セトンのカルシウム塩2.0重量部、ハイドロタルサイ
ト(DHT−4A協和化学工業社製)1.0重量部、滑
剤(SL−02 理研ビタミン社製)0.5重量部及び
下記第4表の有機錫硫黄化合物1.0重量部を添加し、
実施例1〜4の場合と同様の操作をして評価した。
【0026】
【表4】
【0027】
【効果】実施例1〜22の熱安定性試験から明らかなよ
うに、アセチルアセトンのカルシウム塩、有機錫硫黄化
合物及びハイドロタルサイト(若しくは過塩素酸で処理
したハイドロタルサイト)からなる安定剤をハロゲン含
有樹脂に添加すれば、該樹脂を高度に熱安定化する効果
を奏する。このように、本発明のハロゲン含有樹脂組成
物は、耐熱性が高く、柔軟温度を低下させないので、軽
薄短小の製品の熱安定化に適している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 5:58) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 27/00 C08K 3/18 C08K 5/07 C08K 5/58

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハロゲン含有樹脂100重量部に対して、 (a)アセチルアセトンのカルシウム塩0.01〜5重
    量部 (b)有機錫硫黄化合物0.01〜5重量部及び (c)ハイドロタルサイト若しくは過塩素酸で処理した
    ハイドロタルサイト0.01〜5重量部 からなる安定剤を含有する熱安定性に優れたハロゲン含
    有樹脂組成物。
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