JP2894871B2 - 鋼管の多段加熱炉および多段加熱方法 - Google Patents

鋼管の多段加熱炉および多段加熱方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、厚肉鋼板を冷間塑性加
工して丸鋼管または角形鋼管を成形する工程で、折曲げ
加工に基づく鋼板の局部材質の劣化、残留応力の発生が
あるのに対し、前記成形鋼管材質を一定時間、均一な所
定温度に加熱して調質し、冷間加工による鋼材質の劣化
を修復するようにした、大径丸鋼管または角形鋼管の材
質改善工法に関する。
【0002】
【従来の技術】建築物のコラムとして使用される、肉厚
鋼板を折り曲げ成形したワン・シームまたはツー・シー
ム大径角形鋼管の量産方法は、従来、文献上はともか
く、実用的には大別して、次のような工法が採用されて
いる。 一枚板鋼板を、その長手軸方向に平行し、かつ、幅
方向に沿い重複して、隅角部相当個所を四個所折曲げ、
断面を角形鋼管近似の形状に成形した後、鋼板の両側エ
ッジ部を突合わせ溶接し、断面角形のワン・シーム大径
鋼管を成形する。 一枚板鋼板を、その長手軸方向に平行し、かつ、幅
方向に沿って二個所折曲げて断面コ字形に成形したもの
を、一対、向い合わせ、断面角形の鋼材を構成し、両脚
エッジ部を突合わせ溶接して、ツー・シームの大径角形
鋼管を製造する。
【0003】 帯鋼板を長手軸方向に搬送しながら、
これを丸鋼管成形ロールスタンドに通して断面丸形に成
形し、サイジング工程を経て、一旦、電縫丸鋼管を製造
した後、前記丸鋼管の断面を角形に整形してワン・シー
ムの大径角形鋼管を形成する。 また、上記工法の中途においてワンシーム大径丸鋼管
が形成される。ワンシームの大径丸鋼管の成形工法は、
このほか、UOプレス方式などが行われている。このよ
うな工法が細部に亘っては、それぞれ、若干の差異があ
るにしても、広く実施されている。上述のように、従
来、実施されている大径丸鋼管または角形鋼管の経済的
な製造方法には、いずれの場合においても厚肉鋼板の冷
間塑性変形、すなわち、鋼管形成のため厚肉鋼板の冷間
折曲げ、または角形鋼管形成のため隅角部鋼板に対する
略、90°の冷間折曲げ加工が含まれる。
【0004】ところで、平坦な厚肉鋼板に対し、冷間に
おいて略、90°の折曲げ加工を施した場合には、鋼板の
折曲げ部に所要のRを与えたにしろ、その隅角部鋼材断
面における中立面の外側素材には引張り力が、内側には
圧縮力が強く働きながら塑性変形が行われる結果、局部
材質は伸びが小さく、素材の引っ張り強さと降伏点との
比が非常に小さくなって当該個所の材質が劣化し、変形
個所に繰返し応力が加わると脆性破壊が生じるおそれな
しとしない。また、外力を取り去った後にも、限界を超
えた冷間塑性変形に基づく残留応力が生じている。
【0005】従来、この種の大径丸鋼管または角形鋼管
の仕様については、もっぱら、その形状・構造上の特
性、または施工上の特徴に対しメリットが認められ需要
が伸びてきたが、前記の成形・加工状態から顧みるに、
鋼管素材に内在する材質的な弱点または不安定部分につ
いての客観的、技術的な分析・検討が充分でない状態の
まま、大径鋼管が市場に流通している傾向があった。と
ころが、近来、冷間折曲げ加工によって成形された大径
鋼管が建築物のコラムとして多用され、また、中・高層
建築物のコラムとしても使用されようとするに及んで、
鋼管成形時における前記冷間折曲げ加工に基づく局部材
質の劣化が、当該個所の脆性変化を促進するおそれがあ
ることに需要者、識者の関心または反省が高まってきて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明方法は、それら
ユーザー等からの要望に応えて、従来公知の製法に基づ
き成形された大径丸鋼管または角形鋼管における冷間塑
性変形の隅角部付近の鋼材を焼き鈍して、当該個所の鋼
板材質の劣化を回復するための、熱処理に用いる鋼管の
多段加熱炉または多段加熱方法を提供しようとするもの
である。すなわち、冷間成形による丸鋼管の熱処理にし
ても、角形鋼管の焼き鈍しにしても、コラムに使用でき
るような軸方向に長い規格長の鋼管を収容し、これを全
長にわたって同時に加熱することができる長大な炉を設
備して、その炉内温度を隈無く均一に制御することは困
難で、場所によって炉内に温度差が生じることは免れ難
いから、同炉に収容した鋼管の軸方向加熱温度にしても
これと同様である。そして、長い鋼管の軸方向に温度差
が生じると、全体として熱膨張歪が生じ、鋼管に曲が
り、捩じれなど生じて材質が安定せず、熱処理後、その
歪矯正のために大型な設備が必要になる。また、上記熱
処理方式では、そのための加熱炉を成形装置中にインラ
インで設備することができない。
【0007】そこで本出願人は、さきに、加熱炉内を、
被熱処理材の長手軸搬送方向に沿って複数に区画し、こ
れを加熱室と非加熱室とに交互に分けると共に、それら
を複数段直列に連ねるよう構成して、加熱炉内に装入し
た鋼材(管)を、その区画内を貫通して搬送する間に、
先端部分から順次加熱し、次に、加熱しない炉の部分で
前記鋼材部分の加熱温度を均一化して温度差に基づく鋼
材の歪を開放し、さらに、また、炉の第二の加熱室で当
該鋼材部分を加熱し直すといった工程を繰返すことによ
って、徐々に鋼材の加熱温度を均一に上昇させると共に
加熱に基づく鋼材の歪を分散させ、温度上昇に伴なって
被熱処理材に全体として大きな歪が生じることの少な
い、または、生じない多段加熱炉または加熱工法を提案
(特願平2−219986号 歪の出ない角形鋼管の加
熱炉および工法参照)した。
【0008】ところで、熱処理対象材を、その長手軸方
向に加熱炉内を搬送することにより、順次加熱する方式
では、各加熱室の加熱温度をすべて一様にするよう管理
しただけでは、鋼材に対する加熱効率が良好でないこと
が分った。すなわち、多段式加熱炉では、被熱処理材が
搬入される側の加熱室の温度をより高くしておいて、処
理材搬送方向に順次、加熱温度を下げるように加熱室の
温度勾配を施すことが、加熱炉から搬出するまでに鋼管
を必要な温度まで加熱するのに、短時間で最も効率良
く、かつ、効果的に加熱エネルギーを利用できるもので
あることに気付いた。
【0009】けだし、多段加熱方法では、第一区画加熱
室および同加熱室に近い炉部分には、連続して、次々と
常温の鋼管が搬入されるので、ここでは炉全体に比べ、
より高温の炉内雰囲気を維持するよう制御することによ
り、搬入鋼材の効果的な加熱を可能にするものと解され
る。そこで本発明は、上述新規の知見に基づいた多段加
熱炉を開発し、熱処理による鋼管の歪または捩じれの発
生を可及的に少なくする熱効率の良い多段熱処理方法
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するため、次に述べるとおりの各構成要件を具備し
ている。 (1)加熱炉内を、被熱処理材の搬送方向に沿って複数
区画に区分し、前記区画に対し、一区画おきに被熱処理
材の加熱室と非加熱室とを交互に設けると共に、前記加
熱室は、加熱気体を用いかつ攪拌手段によって加熱室内
雰囲気を攪拌・循環させるように構成し、前記加熱室
の室温は、被熱処理材の搬入側加熱室が、より高温で、
搬出側加熱室側に進むにしたがって、比較的低温である
よう温度管理されていることを特徴とする鋼管の多段加
熱炉。
【0011】(2)加熱炉内を、被熱処理材の搬送方向
に沿って複数区画に区分し、前記区画に対し、一区画お
きに被熱処理材の加熱室と非加熱室とを交互に設け、前
加熱室、加熱気体を用いかつ加熱室内雰囲気を攪拌
・循環させるように構成、軸方向に長い被熱処理材
加熱炉内で搬送しながら、加熱室を通過する間、その先
端部分から順次、均等に加熱し、また非加熱室を通過す
間、被熱処理材を加熱することなく加熱温度を均一化
し、このような被熱処理材の加熱と非加熱温度均一化と
を交互に繰返すとともに、加熱室群での加熱を、被熱処
理材の搬入側加熱室が、より高温で、搬出側加熱室側に
進むにしたがって、比較的低温で行うことによって、加
熱に基づく前記被熱処理材の歪の発生を抑え、被熱処理
材全体を均一な所要温度で熱処理することを特徴とする
鋼管の多段加熱方法
【0012】
【作用】熱的にそれぞれ遮断し、区画された加熱炉を貫
通して、規格長の被熱処理材を装入、搬送し、その先端
部分から、より高温雰囲気の第一加熱室(第一区画)で
加熱すると共に、同被加熱部分が、次の第一非加熱(冷
却)室(第二区画)に搬入されている間中、同室内で冷
媒ガスに触れ、または吹付けられ、当該被熱処理材部分
の加熱温度を外気に放散させる一方、熱伝導などの作用
により材質全部の温度を均一化させ、不等加熱によって
生じた熱膨張歪を開放・分散させる。被熱処理材の当該
部分が炉の第二加熱室(第三区画)に搬入されると、同
部分は、第一加熱室の加熱温度よりも、若干低い加熱室
温雰囲気に設定されており、鋼材の当該部分は、その加
熱温度で再加熱される。同部分が、さらに第二非加熱室
(第四区画)まで搬送されると、前記第一非加熱室同様
の作用が行われ、被熱処理材の加熱温度の均等化と熱膨
張歪の分散がなされる。
【0013】次の、第三加熱室(第五区画)の加熱温度
雰囲気は、上記第二加熱室の、それよりも若干低く設定
してある。また、第三非加熱室(第六区画)の作用は、
さきに説明した第一非加熱室における作用と、略、同様
と解して良い。このような工程を順次繰返して、結局、
或る時間内に被熱処理材が加熱炉の鋼管搬出口を通過す
るときに同処理材の全部を外見上さしたる歪なしに、所
要の加熱温度にまで高め、要すれば、その後、緩やか
に、かつ、均一に上記加熱温度を低下させるようにして
鋼管材質の焼き鈍しを完了する。上述のような被熱処理
材焼き鈍しのための多段加熱炉または加熱方式は、厚肉
の大径角形鋼管隅角部、溶接継手、溶接個所等の鋼材の
調質のため、大径鋼管成形装置にインラインで設置可能
であることは勿論、軸方向に長大な丸鋼管、棒鋼、型鋼
等を対象とする熱処理に利用することもできる。
【0014】また、丸鋼管または角形鋼管等被熱処理材
は、多段加熱炉に装入する場合に単列または間隔をおい
て複数列に並べて搬入可能であり、まとめて熱処理する
ことができる。特に、角形鋼管については、角形断面位
相をソロバン玉状に揃えて加熱炉に搬入すれば、能率良
く、かつ、鋼管加熱状態が均一になる。上記加熱室に装
備する加熱手段としては、ガスバーナ、LPG、LN
G、軽油、灯油、重油等を燃料とするバーナ、電熱、誘
導加熱等の電気的加熱手段が公知であり、必要に応じ
て、それぞれ利用することができる。
【0015】本発明によれば、 (1)軸方向に長い被熱処理材を長手軸に沿って見掛け
上、短い部分に分割して、これらを徐々に加熱するため
に軸直角方向に現われる熱膨張歪が少ない。 (2)軸方向に長い被熱処理材を連続的に熱処理するこ
とができる。 (3)鋼材を最初から比較的に高温加熱炉を通すため
に、肌荒れを生ずるおそれなく所要の熱処理温度を得る
のが容易である。 (4)熱処理に基づいて生じる被熱処理材の曲がり、捩
じれ量が少ないので、熱処理後に鋼材に残る歪の矯正設
備を簡単にすることができる。 (5)被熱処理材の組織を均一化し、材質が安定する。 (6)必要に応じ、加熱後に被熱処理材を均一に強制的
に冷却し、素材に軽度の焼き入れを施し、これを強化す
ることもできる。 (7)素材の冷間加工に基づく局所材質の脆性化、劣化
を解消または修復でき、高品質の製品を提供することが
できる。
【0016】
【実施例】以下に、本発明方法および同方法を実施する
多段加熱炉の大略実施例について、図面に沿って説明す
るが、同炉の詳細は、本出願当時の当業界における公知
の技術レベルの範囲内で、適宜変形が可能であるから、
格別の理由が見当らない限り、この実施例の具体的構造
のみに基づいて本発明の構成要件を限定解釈すべきでは
ない。
【0017】(その1)図1は、規格長の鋼管母材を連
続して調質する多段加熱炉の概略側面図で、区画された
各加熱室の炉内温度と非加熱室との関係を示し、図2
は、前記加熱炉を構成する加熱室の一つの正断面図であ
る。図1中、は、加熱炉本体で、その軸方向長さは、
たとえば、12m〜13m、2は、被熱処理材で規格長、た
とえば、12m長の丸鋼管で、そのサイズは、径216φm
m、板厚10.7 mmである。31 、32 、33 …は加熱炉
の各一部を構成する第一、第二、第三…加熱室で、同
室には、その長手軸に対し直角方向断面において、図2
に示すように、搬送される丸鋼管群領域の垂直中心線の
対称側位置と、その天井位置とに、それぞれガスバーナ
5が設けてあり、同バーナの燃料(炎)噴射方向は、
略、当該室内壁に沿い、搬送される鋼管周壁面を包むよ
うに流動し、可能な限り前記管壁を均一に加熱するよう
配置されている。その目的を、より効果的に達成するた
めに加熱室内雰囲気を撹拌・循環するファン6を室内壁
適所に設けてある。
【0018】各加熱室の断面幅広さは、丸鋼管2が複数
本通るのに余裕がある程度の大きさとする。ただし、並
列搬送の鋼管周壁横側にも均等に加熱ガスが触れるよう
に、並列隣接鋼管相互の間隔は、たとえば管径の1/2
程度より狭く設定することは好ましくない。本実施例の
場合には、各加熱室内に生じる燃焼ガスは格別の排気手
段により加熱室から吸引し、それらは最終的に一つにま
とめて排気する。なお、同図においては、被熱処理材を
支承するローラが表示されているが、当該ローラは、実
際には、非加熱室内に設備されている。また、加熱室の
上記燃焼ガスが、そのまま隣接する非加熱室側に流出す
ると、それによって非加熱室内温度が、より上昇するの
で、これを妨げるため、たとえば、非加熱室内圧力は加
熱室内雰囲気に比べ、より高圧に保持される。
【0019】かくして、第一加熱室(第一区画)31
室内温度は、略、1250℃に維持・制御するよう設定され
ており、次の第二加熱室(第三区画)32 の室内温度
は、略、1000℃を維持するよう設定し、第三加熱室(第
五区画)33 の室内温度は、略、800 ℃を維持するよう
制御され、図で、鋼材搬出口側の第四加熱室(第七区
画)34 の室内温度は、略、800 ℃を保持するよう制御
している。被熱処理材の容量、搬送速度にも関係がある
が、これによって、搬出鋼管温度が、略、300 ℃〜400
℃程度になるよう加熱されることが目標になっている。
【0020】41 、42 、43 …は、加熱炉の他の一
部を構成する第一、第二、第三…非加熱室で、同室は、
加熱室31 、32 …と交互に、かつ、一つ宛順番に加熱
炉長手軸方向に並べて連結され、全体として一つの加熱
を構成している。前記非加熱室内には、鋼管2のガ
イド兼搬送ローラ7を設置する。同手段には、加熱鋼管
からの伝導熱、その他に基づき加熱されるのを防ぐため
の冷却装置を設備しなければならない。もしくは、その
ために非加熱室を外気に開放する場合もあって良い。上
記並列鋼管の相互間隔を確保する目的で、鋼管搬送ロー
ラ周面には周方向に沿って、それぞれ間隔を置いて複数
の鋼管保持溝(ガイド)を設ける。角鋼管の場合には、
上記ガイド溝の形は、角鋼管断面がサイコロ状位相に保
持されるように形成するもの(図3参照)と、ソロバン
状位相に保持するよう形成するもの(図4参照)とが、
あり得る。
【0021】前記非加熱室は、鋼管2または隣接加熱室
からの輻射、伝導作用または燃焼ガス流入などに基づい
て、熱エネルギーが集積・滞留し、同室が、それぞれの
所定温度を維持できない状態にならないように、鋼管搬
入、出開口の面積を可及的に狭く設定(鋼管に熱処理歪
の発生がないので可能である)するほか、同室には冷却
用の圧力空気を供給して、より高圧状態を保持し、必要
に応じて非加熱室の周壁に熱エネルギー吸収のため熱媒
体を流通させるジャケットまたは熱エネルギー放散フィ
ン等を設けて、非加熱室の室内温度をコントロールする
ことができる。さらに、非加熱室の長手軸方向長さは搬
送中の丸鋼管周壁の加熱温度を均一化させるため、適宜
長さに設定する。再び、図1において、規格長鋼管2
は、外気15℃(母材温度)で加熱炉1内に送り、速さ6
m/分で装入されると、まず、第一加熱室(第一区画)
1 を通過する間に高温ガスに触れて加熱され、管周壁
が略、200 ℃に温度上昇するが、当該部分が次の第一非
加熱室(第二区画)41 を通過する間に、前記鋼管の不
均等加熱温度が伝導によって均一化すると共に、輻射熱
が失われて鋼管部分の温度が全体的に150 ℃程度に降下
する。このため、当該部分の加熱膨張による素材の歪も
中心軸に対して均等になり、外部的な歪の形では現れな
い。
【0022】前記鋼管は、引き続いて第二加熱室(第三
区画)32 に搬入され、当該個所が再度加熱されて管壁
温度が約400 ℃に上昇するが、その後工程で第二非加熱
室(第四区画)42 を通過する際に、加熱温度が均等化
され、かつ、若干、温度降下が生じる。これにより、前
工程の第二加熱室32 で加熱された鋼管2に不均等熱膨
張歪が生じたとしても、次の第二非加熱室42 内を前記
鋼管が搬送される間に、その歪が均一化して外部的には
現われない。炉内の温度分布は図1に示すように、加熱
室温度が被熱処理材の搬出口近くになるに従って低く設
定してあることに特徴がある。
【0023】以上、図1に示すような工程を繰返しなが
ら丸鋼管の特定部分は、加熱炉1内を約4分かかって通
過する間に、順次、加熱されて被熱処理材の母材温度
は、最高300 ℃〜400 ℃程度の温度まで上昇し、炉外に
搬出された後は、そこで緩やかに空冷することにより、
鋼材の焼き鈍しが完了する。かくして、厚肉鋼板を冷間
加工によって塑性変形し、成形した丸鋼管素材の残留応
力、または略、90°折曲げて形成した角形鋼管の各隅角
部付近の材質の脆性化、劣化を熱処理によって調質し、
当該個所の鋼材について、外力に対し材質の伸びが大き
く、引張り強さと降伏点の比を旧に近いように戻すこと
ができる。また、必要により、熱処理鋼管を均等に急冷
するようにして軽く焼き入れして、熱処理によって柔ら
かくなった製品材質を強化することができる。
【0024】本実施例では、規格長の鋼管を並べて4
本、一度に加熱炉に装入するようにしているが、連続丸
鋼管または角形鋼管を対象に熱処理しても良いことはい
うまでもない。また、被熱処理材が規格長の丸鋼管また
は角形鋼管であって、加熱炉に対して被熱処理材を間
欠的に装入するようにしているが、その鋼管周壁または
隅角部付近の材料の焼き鈍しの程度は、連続裝入の場合
も殆んど、これと相違はない。
【0025】(その2)図4は、加熱炉を構成する非
加熱室の一つの正断面図を示すもので、ここ(加熱室を
含めて)で搬送されている被熱処理角鋼管2は、周面に
ガス流が均等に接触するように断面位相がソロバン状に
保持されている。同図に示す非加熱室は、規格長の角鋼
管2を複数本、並列して同時に装入・調質するもので、
その室内下側には、同室を横切って水平に軸支駆動され
る軸方向に細長の鋼管搬送ローラ7を配置し、前記ロー
ラ周面には周方向に沿って等間隔に複数の溝8を設け、
同溝に角鋼管2の一つの隅角部を載置し、その長手軸方
向に搬送するようにしている。
【0026】上述、搬送ローラ7周面の溝8の相互間隔
は、取扱最大径の鋼管がローラ7に載置されたときの鋼
管周壁相互の隣接距離が所定の長さになるように、あら
かじめ設けてある。搬送ローラ部材7は、これに応じ
て、軸方向に鋼管径の複数倍の長さを備えたローラによ
り構成されている。前記ローラ7には、さきに述べたよ
うな強制冷却手段を設備する。9は、上記複数本の被熱
処理材が装入、搬出される開口であって、その開口断面
積は、熱効率などからみて、可及的に狭いものとなって
いる。本実施例の、その他の構成、作用については、実
施例(その1)の当該説明を参照されたい。
【0027】
【発明の効果】本発明多段加熱炉および多段加熱方法
は、以上述べたとおりであるから、 (1)軸方向に長い被熱処理材を見掛け上、長さ方向に
短い部分に分割して、それらを徐々に、かつ、順次に加
熱し、放冷することを繰り返して高温加熱するようにし
たから、軸直角方向の熱膨張歪が出にくい。 (2)被熱処理材装入側の加熱室の温度を、より高めに
設定、制御するようにしたので、可及的に短時間で所望
の熱処理を施し、前記処理に基づくコストアップ要因を
少なくできる。 (3)被熱処理材の曲がり、捩じれが出にくいため、鋼
管の並列装入時における加熱室の断面容積を小さくでき
る。 (4)このため、炉内に設ける被熱処理材のガイドを簡
単にすることができる。 (5)熱処理後に被熱処理材に生じる歪が少ないため、
後工程の歪矯正設備が簡単で良い。 (6)冷間塑性加工に基づく材料の劣化、脆性化を回復
し、均一、かつ、高品質の製品を提供する。 (7)連続した被熱処理材の熱処理も可能である。
【0028】等々、従来公知の鋼材熱処理手段では期待
することができない格別の作用および効果を奏する。ま
た、連続的素材の処理でも、規格長材料の焼き鈍しで
も、単数であっても、複数本同時であっても可である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明加熱方法を実施する多段加熱炉の一実施
例の概略側面図。
【図2】前記多段加熱炉を構成する加熱室の一つの正断
面図。
【図3】本発明加熱炉を構成する非加熱室の一つの別の
実施例の正断面図。
【図4】本発明加熱炉を構成する非加熱室の一つの他の
実施例の正断面図。
【符号の説明】
1 多段式加熱炉 2 被熱処理材(鋼管) 3 加熱室 4 非加熱室 5 加熱バーナ 6 攪拌ファン 7 搬送ローラ 8 鋼管支持溝 9 開口部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C21D 1/30 C21D 1/30 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21D 9/00 - 9/44 C21D 9/50 C21D 1/26 C21D 1/30 B21B 45/00 B21C 37/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱炉内を、被熱処理材の搬送方向に沿
    って複数区画に区分し、前記区画に対し、一区画おきに
    被熱処理材の加熱室と非加熱室とを交互に設けると共
    に、前記加熱室は、加熱気体を用いかつ加熱室内雰囲気
    を攪拌・循環させるように構成し、前記加熱室群の室温
    は、被熱処理材の搬入側加熱室が、より高温で、搬出側
    加熱室側に進むにしたがって、比較的低温であるよう温
    度管理されていることを特徴とする鋼管の多段加熱炉。
  2. 【請求項2】 加熱炉内を、被熱処理材の搬送方向に沿
    って複数区画に区分し、前記区画に対し、一区画おきに
    被熱処理材の加熱室と非加熱室とを交互に設け、前記
    熱室、加熱気体を用いかつ加熱室内雰囲気を攪拌・循
    環させるように構成、軸方向に長い被熱処理材を加熱
    炉内で搬送しながら、加熱室を通過する間、その先端部
    分から順次、均等に加熱し、また非加熱室を通過する
    間、被熱処理材を加熱することなく加熱温度を均一化
    し、このような被熱処理材の加熱と非加熱温度均一化と
    を交互に繰返すとともに、加熱室群での加熱を、被熱処
    理材の搬入側加熱室が、より高温で、搬出側加熱室側に
    進むにしたがって、比較的低温で行うことによって、加
    熱に基づく前記被熱処理材の歪の発生を抑え、被熱処理
    材全体を均一な所要温度で熱処理することを特徴とする
    鋼管の多段加熱方法
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