JP2892479B2 - 筬溝内の風速測定方法 - Google Patents

筬溝内の風速測定方法

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JP2892479B2 JP2272135A JP27213590A JP2892479B2 JP 2892479 B2 JP2892479 B2 JP 2892479B2 JP 2272135 A JP2272135 A JP 2272135A JP 27213590 A JP27213590 A JP 27213590A JP 2892479 B2 JP2892479 B2 JP 2892479B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、空気噴射式織機の変形筬の良否を判定する
ために、筬溝内で風速の最大値を測定する方法に関す
る。
〔従来の技術およびその問題点〕
特開昭61−174455号公報は、空気噴射式織機の流速分
布検出装置を開示している。その流速分布検出装置は、
変形筬の内部に複数のピトー管を配置し、筬の長手方向
に移動させながら筬溝内の流速分布を測定している。
上記の流速分布検出装置では、筬溝内で単に流速分布
が測定されるにとどまっているので、筬溝内の気流の流
れが正確に把握できず、筬の良否判定に必要な情報が不
足する。
また、特開平2−160958号公報は、変形筬の良否判定
装置を提案している。その良否判定装置は、変形筬の背
面側で、風速を測定し、変形筬の高さ方向について風速
のピーク位置を検出している。
ところが、その判定装置によると、測定対象の風速が
変形筬の背面流であるため、筬溝内の気流の流れが不明
である。すなわち、筬羽のわずかな形状の違いや、面粗
さの違い、あるいは筬羽の取り付け不良などの不良原因
があっても、背面流は、筬溝内の気流の流れを正確に反
映していない。このため、背面流から、筬の良否が正確
に評価できないことになる。
〔発明の目的〕
したがって、本発明の目的は、変形筬の良否に直接関
係する風速データを筬の長手方向に沿って測定すること
によって、変形筬の良否を正確に判定できるようにする
ことである。
〔発明の解決手段および作用〕
上記目的の下に、本発明は、変形筬の筬溝内に製織時
と同じ条件の下に空気を噴射し、筬溝内の複数の測定点
での風速を変形筬の長手方向に沿って測定し、測定した
複数の風速データに基づいて筬の長手方向の複数箇所ご
とに風速の最大値の位置を求め、これらの位置を可覚的
に確認可能な状態で出力するようにしている。
ここで、複数の測定点は、風速を測定する過程で、筬
溝内で予め設定された二次元または三次元的な座標点に
基づいて順次与えられるか、または風速の最大値を求め
る過程で、測定値の変化に基づいて新たな座標点として
逐次与えられる。なお、測定対象の変形筬は、測定用の
テーブルの上に固定されるか、または予め織機の上に取
り付けられる。そして、測定時の噴射空気は、変形筬の
長手方向に移動可能な専用のノズルによって、または織
機のサブノズル群あるいは測定用のテーブル上で固定の
ノズル群によって与えられる。
〔測定装置の構成〕
第1図および第2図は、測定装置1の一例であり、そ
れぞれ機械的な構成および制御系の構成を示す。
第1図に示すように、測定対象の変形筬2は、水平な
測定用のテーブル3の上に取り付けられたホルダー4の
溝部分に対し、押え5および押えねじ6によって例えば
垂直な状態で固定されており、測定用の1つのノズル7
および風速測定器8と対向している。
測定用のノズル7および風速測定器8は、それぞれブ
ラケット10、11によって、送りテーブル9の上に取り付
けられている。送りテーブル9は、テーブル3の上で、
変形筬2と平行で、長手方向に延びるレール12に沿って
Z軸方向に移動可能な状態となっており、送りテーブル
9上の定位置で固定された送りナット20、これにはまり
合いレール12と平行な送りねじシャフト21、および送り
ねじシャフト21を駆動する送りモータ22によって、変形
筬2の織り幅方向つまりZ軸方向に測定用のノズル7お
よび風速測定器8とともに移動可能な状態となってい
る。なお、ブラケット11の一端には、送りナット13が固
定されており、スライダー16の内部に形成された溝に対
してY軸方向に移動可能な状態ではまり合っている。
測定用のノズル7は、織機のサブノズルと同一の位置
的な条件で設けられており、先端の噴射口から変形筬2
の各筬羽2aごとの筬溝2bに向けて適当な角度で、または
よこ糸の飛走経路と平行な状態で空気を噴射する。な
お、筬溝2bは、1個の筬羽2aの溝内のほか、全部の筬羽
2aについてZ軸方向の連続的な溝の意味にも用いられて
いる。
また、上記風速測定器8は、ピトー管または熱線風速
計などであり、測定用のノズル7に対して所定距離だけ
噴射流の下流側に設定され、先端の検出端を筬溝2bの内
部に臨ませており、ブラケット11側の送りナット13、Y
軸方向の送りねじシャフト14、送りモータ15によってY
軸方向に移動可能であり、しかも送りナット兼用のスラ
イダー16、送りテーブル9に固定された水平方向の案内
ロッド17、送りねじシャフト18および送りモータ19によ
って、筬溝2bの内部で変形筬2に対しX軸方向に接離可
能な状態で支持されている。
そして、第2図に示すように、風速測定器8は、信号
変換器24を介して、データ処理装置25の入力側に接続さ
れている。このデータ処理装置25は、本発明の方法にも
とづく測定データ処理プログラムのほか、送り制御のた
めの制御プログラムを内蔵しており、送りモータ15、1
9、22の回転量制御のために、送り制御器23に接続さ
れ、さらにディスプレイ26、キーボード27、メモリ28お
よびプリンタ29などに接続されている。
〔実施例1〕 この実施例1は、第3図、第4図および第5図に示さ
れており、筬溝2b内で複数の測定点Pを予め設定し、こ
れらの測定点Pの風速データから風速Vの最大値Vaを求
める例である。
まず、オペレータは第3図の最初のステップでキーボ
ード27を操作し、複数の測定点P(xi、yj、zk)を三次
元の座標の値として入力設定し、それをメモリ28に格納
するとともに、測定用の噴射ノズル7に製織時と同じ圧
力の圧力空気を供給し、噴射動作に設定してから、デー
タ処理装置25に開始指令を与える。
ここで、測定点P(xi、yj、zk)は、第4図に示すよ
うに、筬溝2b内に三次元的に設定される。座標値x、y
の添字iおよびjは、それぞれ1〜4程度の整数例えば
1、2・・4および1、2、3として設定され、また座
標値zの添字kは、各筬羽2aと対応する位置および2つ
の筬羽2aの中間位置程度のピッチで設定されるため、筬
羽2aの数の2倍の整数であり、1、2・・nとして表示
されている。図示の例の場合に、測定点Pの総数は、
(4×3×n)となっている。
データ処理装置25に動作指令が与えられた時点で、デ
ータ処理装置25は、メモリ28から測定点P(xi、yj
zk)のデータを読み出し、所定の順序である1つの測定
点P(xi、yj、zk)を指定し、送り制御器23を駆動する
ことによって、風速測定器8の検出端を当該測定点P
(xi、yj、zk)に位置決めしていく。ここで、測定点P
(xi、yj、zk)の位置決めの順序は、任意であり、例え
ば最初に、ある座標値zkを指定し、あるXY平面を特定
し、次にその平面内で座標値xi、yjをそれぞれ順次に変
化させることによって、または最初に、ある座標値xi
yjを指定し、次に座標値zkを変化させることによって、
特定される。
そして、この測定点P(xi、yj、zk)の位置決めの度
に、風速Vが測定される。すなわち風速測定器8は、風
速Vを測定点P(xi、yj、zk)ごとに風速Vに関連する
量、すなわち、水の高さの変化または電気的な信号の変
化として間接的に測定し、信号変換器24に送り込む。信
号変換器24は、風速Vに対応するデータに変換し、デー
タ処理装置25に転送する。もちろん、風速測定器8は、
測定用のノズル7に対しZ軸方向で相対的に一定の距離
を保ちながら、筬溝2bの内部を移動する。
そこで、データ処理装置25は、風速Vのデータを測定
点P(xi、yj、zk)ごとにメモリ28に格納し、所定の番
地に記憶していく。このような位置決め動作、風速Vの
測定、データの入力、および記憶のステップが全ての測
定点P(xi、yj、zk)について完了するまで順次行われ
ていく。
全ての測定点P(xi、yj、zk)について風速Vの測定
が完了した時点で、データ処理装置25は、Z軸の座標値
zkごとにXY平面を特定し、当該XY平面内での風速Vの最
大値Vaを比較演算によって決定し、そのときの測定点P
(xi、yj、zk)をメモリ28の専用番地に入れ直し、記憶
させ、必要に応じて第5図のように、最大値Vaに対応す
る位置をXZ平面およびYZ平面ごとにディスプレイ26の画
面上で表示するか、またはプリンタ29によって出力す
る。
このような測定によって、XYZ軸の三次元上で風速V
の最大値Vに対応する位置が求められる。変形筬2が正
常であれば、この位置は、各筬羽2aの筬溝2b内でほぼ定
位置で、Z軸方向で筬羽2aの間隔に応じて、周期的な変
化を示す。しかし、変形筬2のある筬羽2aの部分に不良
箇所が存在すると、最大値Vaの位置は、その不良の筬溝
2bに対応する近くで不規則な変化を示す。この変化から
変形筬2の不良箇所が発見でき、またその風速Vの最大
値Vaの座標位置から不良原因が推測できる。
〔実施例2〕 この実施例2は、第5図、第6図および第7図に示さ
れており、XY平面上で開始の測定点Pのみを入力してお
き、この測定点Pを微少移動量ずつ順次変更することに
よって、風速Vの変化の傾向を試行法により予測し、速
度曲線の頂点から風速Vの最大値Vaを求める例である。
まず、オペレータは、XY平面上で開始の測定点P
(xi、yj)の例えば、座標値xi=2yj=2、XY平面を特
定するためのZ軸の座標値zk=1、2・・nおよび微少
移動量rや試行点pの数例えば8をキーボード27によっ
て設定し、メモリ28に記憶させた後、測定用のノズル7
を噴射状態に設定し、データ処理装置25に動作の開始指
令を与える。なお、開始の測定点P(2、2)は、風速
Vの最大値Vaとして現れやすい位置に設定される。
データ処理装置25は、最初の座標値zk=1を読み出し
て、XY平面を特定し、このXY平面上で開始の測定点P
(2、2)を指定し、この測定点P(2、2)に風速測
定器8を位置決めし、その位置で風速Vを測定し、その
データを入力し、記憶する。
次のステップで、データ処理装置25は開始の測定点P
(2、2)を中心とする半径r例えば1〔mm〕の円弧上
で8つの試行点p(xi、yj)を座標演算により求め、こ
れらの試行点p(xi、yj)ごとに風速測定器8を順次位
置決めしながら、風速Vを測定し、メモリ28に記憶させ
てから、風速差=〔8つの試行点pごとの風速V−開始
の測定点P(2、2)の風速V〕の計算、または速度増
加率(速度勾配)=〔8つの試行点pごとの風速V−開
始の測定点P(2、2)の風速V/半径r〕の演算をし
て、速度増加率の正符号から風速Vの増加傾向を確認
し、最大の風速差または速度増加率に対応する試行点p
を新たな測定点P(xi、yj)として指定し、位置決め動
作、風速Vの測定、データ入力および記憶動作を実行
し、新たな測定点P(xi、yj)について、新たな測定点
P(xi、yj)を中心とする微少移動量rの新たな8個の
試行点pごとに風速Vを順次測定し、最大の風速差や速
度増加率から増加傾向を判断していく。このような数回
の繰り返し過程で、風速Vのデータが増加傾向から減少
傾向に変化したとき、その前後の測定点Pまたは試行点
pの間に風速Vの最大値Vaが存在することになる。した
がって、風速Vのデータが増加傾向から減少傾向に変化
した時点で、データ処理装置25は、今までの測定された
風速Vのデータの中から最大値Vaを取り出すか、または
必要に応じて円の半径つまり微少移動量rをさらに小さ
な値に設定し、以上の動作を繰り返すことによって、風
速Vの最大値Vaを求めて決定し、それを対応の測定点P
(xi、yj、zk)とともにメモリ28に記憶する。
データ処理装置25は、Z軸の座標値zkごとに以上の動
作を繰り返し、全てのXY平面について完了した時点で、
測定動作を終了する。
そして、これらの最大値Vaの位置データは、必要に応
じて、メモリ28から読み出され、ディスプレイ26に三次
元的に出力し、第5図に例示するように、XY平面上で最
大値Vaに関してのX方向またはY方向のみのZ軸方向の
連続データとして視覚的に確認できるように出力する
か、またはプリンタ29によって、記録紙などに測定点P
または試行点pの座標値とそのときの風速Vの最大値Va
とともに出力される。
このようにして、風速Vの最大値Vaが変形筬2の長手
方向すなわちZ軸方向に連続的に求められる。ここで
も、ある筬羽2aの部分に不良箇所があると、その位置で
風速Vの最大値のデータが複雑な変化を示すため、その
変化状態から筬羽2aの不良箇所が特定でき、しかもその
変化の方向や向きあるいは変化量などから筬溝2bの不良
原因が推測できる。
〔他の実施例〕
以上の実施例は、風速Vの最大値Vaを三次元的に求め
ているが、XZ平面のみ、あるいはYZ平面のみのデータと
して出力することもできる。また、空気噴射は、1つの
測定用のノズル7によって行われているが、測定に必要
な空気噴射は、変形筬2の前面で、所定のピッチごとに
設けられた複数の測定用の固定ノズル群によって、ある
いは良否判定対象の変形筬2を織機のスレー上に取り付
けて、織機のサブノズル群を利用して発生させることも
できる。このときの最大値Vaに対応する位置をXZ平面お
よびYZ平面ごとに表示すれば、第8図のようになる。変
形筬2が正常であれば、最大値Vaに対応する位置は、筬
溝2b内で周期的な変化を示す。しかし、筬羽2aの部分に
不良箇所が存在すると、最大値Vaに対応する位置は、そ
の不良の筬溝2bに対応する近くで不規則な変化を示す。
この変化から変形筬2の不良箇所が発生できる。
なお、風速Vの最大値Vaに対応する位置は、座標上の
点でなく、その点を含む許容範囲領域として与えてもよ
い。
また、測定した風速の最大値の位置をディスプレイ26
等で出力する場合には、第5図および第8図のように、
二次元的に出力するのに代えて、XYZ軸の三次元的に出
力するようにしてもよい。こうすると、不良箇所の発見
がいっそう容易になる。
〔発明の効果〕 本発明では下記の特有の効果が得られる。
筬の長手方向の複数箇所ごとに筬溝内の空気流の最大
値を示す位置が正確に把握できるため、筬溝内での空気
流の挙動が正確に判定でき、したがって筬の良否が容易
に判断できる。
筬溝内で1つの風速測定器によって筬の長手方向に沿
った複数の測定点ごとに風速の最大値が求められるた
め、風速の最大値が必要な測定点について精度良く求め
られる。なお、従来のように、風速測定器が測定点ごと
に複数設けられた場合に、筬溝内で測定箇所が制限され
るため、筬溝の全域について正確な測定が困難となる。
さらに、風速の最大値のデータが二次元的にまたは三
次元的に視覚により確認できる状態で出力されるため、
気流の流れが正確に把握でき、筬の良否が三次元的な観
点から容易に判断できる。
予め測定点が固定されている測定方式では、測定プロ
グラムが複雑にならないため、迅速な測定が可能であ
り、設定された測定点の距離精度内で風速の最大値が速
やかに求められる。しかも筬溝のすべての領域内での測
定が可能となる。
速度変化に応じて試行点がその都度決定される測定方
式では、速度の変化状況が予測できないときに有効であ
るから、新型の筬の検査に利用でき、試行点の設定数や
微少移動量の設定によって必要な精度が確保できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は測定装置の正面図、第2図は測定装置の制御系
のブロック図である。 第3図は実施例1での測定プログラムのフローチャート
図、第4図は座標の説明図、第5図は測定データの出力
状態の説明図である。 第6図は実施例2での測定プログラムのフローチャート
図、第7図は座標の説明図、第8図は測定データの出力
状態の説明図である。 1……測定装置、2……変形筬、2a……筬羽、2b……筬
溝、7……測定用のノズル、……風速測定器、23……送
り制御器、24……信号変換器、25……データ処理装置、
26……ディスプレイ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D03D 47/30 D03J 1/00 G01P 5/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】変形筬の筬溝内に製織時と同じ条件の下に
    空気を噴射し、筬溝内の複数の測定点での風速を変形筬
    の長手方向に沿って測定し、測定した複数の風速のデー
    タに基づいて筬の長手方向の複数箇所ごとに風速の最大
    値の位置を求め、その位置を出力することを特徴とする
    筬溝内の風速測定方法。
  2. 【請求項2】筬溝内で複数の測定点を予め設定し、これ
    らの測定点の風速のデータから比較演算によって風速の
    最大値を求めることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載の筬溝内の風速測定方法。
  3. 【請求項3】測定点を所定の移動ずつ順次変更すること
    によって風速の変化傾向を求め、風速の増加傾向から減
    少傾向への変化から風速の最大値を求めることを特徴と
    する特許請求の範囲第1項記載の筬溝内の風速測定方
    法。
  4. 【請求項4】筬溝内の風速の最大値を変形筬の長手方向
    に沿って連続的に出力することを特徴とする特許請求の
    範囲第1項、第2項または第3項記載の筬溝内の風速測
    定方法。
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