JP2892295B2 - 耐硝酸腐食性が優れたステンレス鋼の溶接施工法 - Google Patents

耐硝酸腐食性が優れたステンレス鋼の溶接施工法

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    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は核燃料再処理設備等の高
酸化性硝酸溶液に接触する環境において使用され、Mo
を含有する316型オーステナイトステンレス鋼を溶接
する際の耐硝酸腐食性が優れたステンレス鋼の溶接施工
法に関する。
【0002】
【従来の技術】Moを含有する316型オーステナイト
ステンレス鋼は、硝酸環境下において耐粒界腐食性の劣
化を生じる場合があるが、放射性廃棄物貯槽等において
前記ステンレス鋼以外の他の合金鋼を使用すると、金属
イオンによる孔食が発生してしまうため、前記ステンレ
ス鋼が使用されている。
【0003】ところで、316型オーステナイトステン
レス鋼の硝酸環境下における腐食機構の解明について、
多くの研究がなされているが、その結論は概ね次のとお
りである。
【0004】即ち、先ず第1に、粒界へのCr炭化物の
析出に伴いCr欠乏層が生成してしまうためであり、第
2に、Laves相[(Fe、Cr)2Mo]、χ相
[Fe1 8Cr6Mo5]又はP化物等の金属間化合物を生
成すると共に、活性溶解してしまうためである。
【0005】そこで、このような問題点を解決すべく母
材に関しては、C及びPを極低含有量に制限したり、オ
ーステナイト安定元素であるNi又はNを増加させるこ
と等が行われている。一方、溶接材料に関して、母材と
同様に極低含有量にCを抑制することが耐食性の改善に
有効であり、被覆アーク溶接棒、MAG溶接用フラック
ス入りワイヤ及びTIG溶接材料等が開発されている。
【0006】また、表面層を溶融処理してδフェライト
を析出させる方法(特開昭62−120425)が提案
されているが、工程増となり接液部が内面側の狭隘な所
である場合には適用が困難である。更に、高Cr溶加材
の使用(特開平3−273194)も公開されている
が、316鋼材に対して高価な高Cr、高Ni系の溶加
材を使用するものであり、コストアップとなる等の問題
があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般
に、核燃料再処理設備等においては極めて優れた耐食性
が要求される。このため、このような箇所における溶接
には、最も高品質な溶接が確保できるTIG溶接が採用
されている。
【0008】なお、硝酸環境において使用されている尿
素プラントには溶接材料として、Ni、Mnを多く含有
する改良型316鋼が開発され、既に多くの実績がある
が、核燃料再処理設備に適用される材料規格とは異なる
ため、本発明の研究において前記改良型316鋼は検討
対象外とした。
【0009】しかしながら、本願発明者等が溶接部の耐
食性に関して種々実験研究した結果、耐硝酸腐食性を考
慮した母材及び溶接材料を使用して溶接しても、その溶
接部における耐食性は、常に良好であるとは限らず、場
合によっては著しい腐食を受けることがあった。
【0010】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、核燃料再処理設備等のように、硝酸等の腐
食性が著しい溶液と接する環境において使用されても、
耐食性が劣化することがない良好な溶接部を得ることが
できる耐硝酸腐食性が優れたステンレス鋼の溶接施工法
を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る耐硝酸腐食
性が優れたステンレス鋼の溶接施工法は、Cを0.02
0重量%以下、Siを0.20乃至0.80重量%、M
nを1.00乃至2.00重量%、Pを0.018重量
%以下、Sを0.015重量%以下、Niを12.00
乃至15.00重量%、Crを16.00乃至18.0
0重量%、Moを2.00乃至3.00重量%含有し、
残部がFe及び不可避的不純物からなるステンレス鋼母
材に対して、Cを0.020重量%以下、Siを0.3
0乃至0.65重量%、Mnを1.0乃至2.5重量
%、Pを0.03重量%以下、Sを0.03重量%以
下、Niを11.0乃至14.0重量%、Crを18.
0乃至20.0重量%、Moを2.0乃至3.0重量
%、Cuを0.75重量%以下含有し、残部がFe及び
不可避的不純物からなる溶加材を使用してTIG溶接す
る方法であって、前記母材の表面側をTIG溶接する工
程と、前記母材の裏面をTIG溶接する工程とを有し、
前記母材裏面の溶接条件は前記母材表面側の最外層溶接
金属表面と開先底部との距離をd(mm)、溶接入熱量
をHI(kJ/mm)とすると、dが5mm以上、HI
≦(d+2)/10を満たすことを特徴とする。
【0012】
【作用】本願発明者等が、従来の耐硝酸腐食性を考慮し
た母材及び溶接材料を使用しても腐食が発生する原因に
ついて詳細な調査分析を行った結果、腐食は溶接金属に
おいて生じ、また次パス以降の溶接熱影響を受けたビー
ドにおいてのみ発生していることから、溶接施工条件が
腐食に対して極めて大きな影響を及ぼしていることが判
明した。
【0013】即ち、溶接金属が溶接後に溶接ビードとし
て構造材の一部となり、その構造材が腐食性の高い溶液
と接する環境において使用され、強い再加熱を受ける場
合、Laves相等の金属間化合物が生成することによ
り、耐食性が極めて劣化してしまう。
【0014】そこで、本願発明者等は、腐食性の大きい
溶液と接する環境において使用されても耐食性が劣化す
ることなく、また良好な耐硝酸腐食性を有する溶接部を
得るための溶接施工方法を開発すべく種々の実験研究を
行った。その結果、夫々所定の成分組成を有するステン
レス鋼及び溶接金属によりTIG溶接を行う場合に、所
定の溶接条件により溶接することで上記目的を達成する
ことを見い出した。以下、溶接母材となるステンレス鋼
及び溶接金属の成分組成の限定理由及び溶接条件につい
て説明する。
【0015】溶接金属のみならず母材も耐食性を必要と
する。従って、母材となるステンレス鋼は以下のような
成分組成であることが必要である。
【0016】C(炭素) 鋼材の良好な耐食性を確保するために最も重要な元素で
ある。Cの添加量が0.020重量%を超える場合には
Cr炭化物の析出により粒界腐食が生じてしまう。従っ
て、Cの含有量は0.020重量%以下とする。
【0017】Si(シリコン) Cr6+を含む低濃度硝酸環境において母材が使用される
場合には、Siを0.20重量%以上添加することによ
り耐食性が極めて向上する。一方、Siの添加量が0.
80重量%を超える場合において、沸騰した65%高濃
度の硝酸環境では耐食性が著しく劣化してしまう。従っ
て、Siの含有量を0.20乃至0.80重量%とす
る。
【0018】Mn(マンガン) Mnは耐食性に対して直接的な影響を及ぼすものではな
いが、耐食性を良好とするオーステナイトの安定性を高
めたり、鋼材の清浄度及び機械的性質を良好とするには
極めて有効な元素である。従って、鋼材が前記効果を発
揮し得るためにMnの含有量は1.00乃至2.00重
量%とする。
【0019】P(リン) Pは不純物として含有されるが、P化物を生成すること
により粒界腐食を発生し、耐食性を損なうため極力低減
させるのが好ましいが、P量の低減化は製造コストを高
くしてしまう。従って、前記効果と製造コストとの兼ね
合いよりPの含有量を0.018重量%以下とする。
【0020】S(硫黄) Sは不純物として含有される元素であり、耐食性に対し
て直接的な影響を及ぼすものではないが、多く含有され
るとMnS等の介在物として耐食性を劣化させてしまう
場合がある。従って、Sの含有量は0.015重量%以
下とする。
【0021】Ni(ニッケル)、Cr(クロム)及びM
o(モリブデン) Ni、Cr及びMoはオーステナイトステンレス鋼にお
ける基本的な成分であり、耐食性及び機械的性質等を適
切に保つにはSUS316Lの規格範囲内とすることが
有効である。従って、Ni、Cr及びMoの含有量は夫
々12.00乃至15.00重量%、16.00乃至1
8.00重量%及び2.00乃至3.00重量%とす
る。
【0022】なお、以上の母材となるステンレス鋼に対
する成分組成の範囲は、硝酸環境下において粒界腐食及
び金属イオンによる孔食に対する耐食性を考慮した31
6型オーステナイトステンレス鋼(JIS G4303
SUS316L)の成分範囲内である。
【0023】次に、溶接金属の成分組成について説明す
る。溶接法は最も高品質な溶接部を得るためTIG溶接
を採用し、溶接金属は以下のような成分組成であること
が必要である。
【0024】C(炭素) Cは溶接金属が耐粒界腐食性を維持するために必要な元
素であり、その添加量は0.020重量%を超えるとC
r炭化物の析出により粒界腐食が生じる。従って、Cの
含有量は0.020重量%以下とする。
【0025】Si(シリコン) Siは溶接金属に適度な流動性を与えると共に、適切な
溶接ビードを生成する作用がある。Siの添加量が0.
30重量%未満では、溶接金属が前記効果を発揮し得
ず、溶接ビードの濡れ性が損なわれ、また融合不良等の
溶接欠陥が生じやすい。一方、Siの添加量が0.65
重量%を超えて高Siとなると、Laves相又はσ相
等の金属間化合物を生成し易くなってしまう。従って、
Siの含有量は0.30乃至0.65重量%とする。
【0026】Mn(マンガン) Mnは脱酸剤として溶接金属の清浄度を良好とする元素
である。この効果を発揮するには1.0重量%以上添加
されていれば十分であるが、2.5重量%を超えて添加
されると、JISの規格範囲外となってしまう。従っ
て、Mnの含有量は1.0乃至2.5重量%とする。
【0027】P(リン) PはP化物を生成することにより粒界腐食を発生すると
共に、溶接金属の高温割れを発生し易くするため、Pの
含有量は少ない方が好ましい。しかし、Pを低減させる
には、清浄性の高い溶解原料を使用したり、特殊精錬、
例えば真空溶解及び脱P精錬等、をする必要があるた
め、溶接材料の製造コストが高くなってしまう。従っ
て、Pの低減と経済性との兼ね合いよりPの含有量を
0.03重量%以下とする。
【0028】S(硫黄) Sは溶接金属の高温割れを発生し易くするため、その含
有量は低く抑制すべきである。しかし、Sを低減させる
には、Pと同様に溶接材料の製造コストが高くなってし
まう。従って、Sの低減と経済性及び品質との兼ね合い
よりSの含有量を0.03重量%以下とする。
【0029】Ni(ニッケル) Niはオーステナイトステンレス鋼溶接金属の成分とし
て必須であり、溶接部の強度及び耐食性等を与える元素
である。また、その含有量は316鋼溶接棒と同様の範
囲内であればよい。従って、Niの含有量は11.0乃
至14.0重量%とする。
【0030】Cr(クロム) Crは耐食性に最も大きな影響を及ぼす元素である。即
ち、Crの添加量が18.0重量%未満であると溶接部
は十分な耐食性を有することができない。一方、Crの
添加量が20.0重量%を超えるとLaves相、χ相
又はσ相等の金属間化合物の生成を助長し、耐食性及び
機械的性質の劣化を招いてしまう。従って、Crの含有
量は18.0乃至20.0重量%とする。
【0031】Mo(モリブデン) Moは316型ステンレス鋼溶接金属の成分として必須
であり、溶接部の耐孔食、隙間腐食性等を与える元素で
ある。Moの添加量が2.0重量%未満では前記効果を
十分に発揮することができず、一方、3.0重量%を超
えるとCrと同様にLaves相、χ相及びσ相等の金
属間化合物の生成を助長してしまう。従って、Moの含
有量は2.0乃至3.0重量%とする。
【0032】Cu(銅) Cuは溶接部に耐孔食性等を与える元素であるが、0.
75重量%を超えて添加すると、耐高温割れ性を損なっ
てしまう。従って、Cuの含有量は0.75重量%以下
とする。
【0033】なお、以上のステンレス鋼溶接金属に対す
る成分組成の範囲は、JIS Z3321 Y316L
を基本とするものである。
【0034】次に、溶接条件について説明する。本願発
明者等は溶接施工条件と耐食性との関係を調査すべく以
下のような耐食性試験、即ちJIS G0573「沸騰
65%硝酸腐食試験方法」に準ずる腐食試験を行った。
【0035】先ず、供試材料として下記表1に示す成分
組成を有する母材及び溶加材を製作した。なお、成分組
成の単位は重量%である。
【0036】
【表1】
【0037】上記表1に示す成分組成を有する母材及び
溶加材を用いて作成した全溶着金属について夫々単独に
よる腐食試験を行い、その結果についても表1に示す。
耐食性の評価については、核燃料再処理設備の材料規格
(RY316ULC)にある平均腐食速度0.35g/
2・時間以下であれば良好な耐食性を有することとし
た。
【0038】従って、上記表1に示すように母材及び溶
加材の腐食量はいずれも規格値の範囲内であり、耐食性
はいずれも良好であるといえる。
【0039】また、溶接継手部の耐食性評価は溶接施工
法により異なるため、片面溶接及び両面溶接の2種類の
溶接を行った。その結果は次のとおりである。
【0040】即ち、図2(c)に示すようなV形開先を
設けた母材に図2(d)に示すように片面TIG溶接に
初層溶接を行い、更に2層、3層盛りで溶接した場合、
その溶接の耐食性は母材板厚により大きく異なり、特に
板厚が厚くなると腐食速度が前記規格値内となる場合も
あるが、板厚が薄くなると前記規格値を大きく上回る結
果となった。そして、この片面溶接では板厚の厚さに関
係なく第1パスである裏波ビードの腐食が著しく、板厚
が厚い場合であっても継手溶接部として良好な耐食性を
得ることはできなかった。
【0041】一方、図2(a)に示すようなV形開先の
母材に先ず図2(b)に示すように母材表面にTIG溶
接を施し、次いで母材裏面に所謂裏はつりを行って表面
溶接時の開先底部部分を再溶融又は機械加工を行って裏
面用の開先を形成する。その後母材裏面に溶接を施すこ
とにより両面溶接を行った場合、腐食試験において著し
い腐食を受けるのは、両側のいずれから溶接を始めても
最初に溶接を行った側であり、また最終溶接側の溶接入
熱量HIと最終溶接側の開先底部から既溶接側の溶接ビ
ード表面までの距離dによって耐食性が大きく異なるこ
とが見い出された。即ち、前記距離dが小さくなるほど
耐食性が劣化し、その傾向は入熱量HIが大きいほど顕
著であった。
【0042】図1は横軸に前記距離dをとって、縦軸に
前記溶接入熱量HIをとり、前記距離dと前記溶接入熱
量HIとの関係を示すグラフ図である。この図1に示す
ように距離dに対して、入熱量HIを適切に低く抑える
ことにより良好な耐食性が得られることが判明した。つ
まり、距離dと入熱量HIとの関係がHI≦(d+2)
/10を満足するものであれば、溶接部において良好な
耐食性が得られる。
【0043】なお、距離dがある程度大きい場合、即ち
適用板厚が厚い場合には、通常の溶接条件範囲である入
熱量により溶接を行えば良好な耐食性が得られる。
【0044】
【実施例】以下、本発明の実施例について、本発明の特
許請求の範囲から外れる比較例と比較して説明する。
【0045】本実施例に係るステンレス鋼母材及び溶加
材は上記表1に示す成分組成を有するものを使用し、ま
た溶接は全てワイヤの直径が2.4mmの手動TIG溶
接(DC、EP;下向き)により行った。
【0046】以上の溶接を下記表2に示す溶接条件に基
づいて行い、JIS G0573「沸騰65%硝酸腐食
試験方法」による耐食性の評価についても下記表2に示
す。
【0047】なお、前記腐食試験は図3に示すように縦
10mm、横50mm、板厚tmmの腐食試験片を使用
し、その試験片を65%硝酸溶液中に保持し、連続24
時間の沸騰試験を行う。そして、その試験を5回繰り返
した結果を下記表2に示している。即ち、試験片の腐食
減量が0.35g/m2・時間以下であれば良好な耐食
性を有し、0.35g/m2・時間より大きい場合は良
好な耐食性が得られないとし、夫々腐食試験結果の欄に
「○」及び「×」により示している。
【0048】
【表2】
【0049】上記表2に示すように、実施例No1〜6
は硝酸環境において極めて優れた耐食性を有している。
【0050】比較例No7、11及び12は、裏はつり
後の開先底部から既溶接側の表層までの距離dが5mm
未満であり、また入熱量HIがHI≦(d+2)/10
を満たしておらず、既溶接部の表層部が最終溶接面側の
溶接時に大きな加熱を受けることにより組織変化を生じ
てしまうため、耐食性が劣化している。
【0051】比較例No8〜10は距離dが5mm以上
あり、最終溶接面側の開先底部と既溶接部表層とは十分
離れているが、入熱量が大きくHI≦(d+2)/10
を満足しないために、既溶接部が加熱されてしまい、耐
食性が劣化している。
【0052】比較例No13〜15は、片面溶接の例で
あるが、いずれも距離dが5mm未満であり、また比較
例No13及び15は入熱量が大きく、裏波ビードを加
熱するため耐食性が劣化している。また、比較例No1
4は入熱量HIが小さくHI≦(d+2)/10を満た
しているが、裏波ビード自身の体積が小さく、距離dが
5mm未満となり熱拡散が十分ではないため、裏波ビー
ドが加熱されることとなり、耐食性が著しく劣化してい
る。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
硝酸等の腐食性の大きい溶液と接する環境において使用
されても、耐食性が劣化することのない良好な溶接部を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】最終溶接側の開先底部から既溶接側表層ビード
表面までの距離dと最終溶接側の溶接入熱量HIとの関
係を示すグラフ図である。
【図2】V形母材に対して両面溶接及び片面溶接の溶接
施工法を示す断面図である。
【図3】腐食試験に使用する試験片を示す斜視図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B23K 35/30 320 B23K 35/30 320B C22C 38/00 302 C22C 38/00 302L 38/44 38/44 38/58 38/58 G21F 9/06 581 G21F 9/06 581Z (72)発明者 百歩 珠子 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 正村 克身 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−101148(JP,A) 特開 平4−93699(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G21C 19/46 G21F 9/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cを0.020重量%以下、Siを0.
    20乃至0.80重量%、Mnを1.00乃至2.00
    重量%、Pを0.018重量%以下、Sを0.015重
    量%以下、Niを12.00乃至15.00重量%、C
    rを16.00乃至18.00重量%、Moを2.00
    乃至3.00重量%含有し、残部がFe及び不可避的不
    純物からなるステンレス鋼母材に対して、Cを0.02
    0重量%以下、Siを0.30乃至0.65重量%、M
    nを1.0乃至2.5重量%、Pを0.03重量%以
    下、Sを0.03重量%以下、Niを11.0乃至1
    4.0重量%、Crを18.0乃至20.0重量%、M
    oを2.0乃至3.0重量%、Cuを0.75重量%以
    下含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる溶加
    材を使用してTIG溶接する方法であって、前記母材の
    表面側をTIG溶接する工程と、前記母材の裏面をTI
    G溶接する工程とを有し、前記母材裏面の溶接条件は前
    記母材表面側の最外層溶接金属表面と開先底部との距離
    をd(mm)、溶接入熱量をHI(kJ/mm)とする
    と、dが5mm以上、HI≦(d+2)/10を満たす
    ことを特徴とする耐硝酸腐食性が優れたステンレス鋼の
    溶接施工法。
  2. 【請求項2】 前記母材表面側のTIG溶接工程と、母
    材裏面側のTIG溶接工程との間に母材裏面側の開先を
    アーク溶融又は機械加工により形成する工程を有するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の耐硝酸腐食性が優れた
    ステンレス鋼の溶接施工法。
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