JP2890766B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、架橋中空ポリマー粒子を配合してなる軽量
かつ機械的強度に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
[従来の技術] 熱可塑性樹脂は、成形加工性に優れ、かつ各種の性能
バランスに優れることから各種の成形品の成形材料とし
て広く使用されている。最近、注目されている1つに軽
量化がある。
例えば、これらの成形品を多用する自動車において、
自動車の性能、燃費の向上のために自動車の軽量化が大
きな技術課題としてクローズアップされてきている。ま
た、その他の用途においても、運搬のしやすさ、性能の
向上などから軽量化が注目されている。
従来の成形品の軽量化の方法として、下記が挙げられ
る。
(1)成形品の肉厚を薄くし、ぜい肉をとる方法 (2)発泡剤含有成形材料を用いることで成形品内部を
発泡させる方法 (3)微細な中空ガラス球含有成形材料を用いて、成形
品に中空ガラス球を含有させる方法 方法(1)は最も手軽に実施できる方法であり、すで
に実施され限度に達している。
方法(2)および(3)は軽量化に最も効果の方法で
あるが、発泡させることおよび中空ガラス球を混入する
ことで、成形品の機械的強度を著しく低下し、機械的強
度を必要とする成形品の軽量化の方法として全く実施で
きない。
従って、従来の技術では、熱可塑性樹脂の軽量化は機
械的強度が著しく低下するという大きな課題があった。
[発明が解決しようとする課題] 軽量かつ機械的強度の優れた熱可塑性樹脂について種
々研究を重ねた結果、架橋中空ポリマー粒子を含有させ
た熱可塑性樹脂組成物は従来の方法に比べ、機械的強度
を低下させずに軽量化が可能であることを見出し、本発
明に到達した。
[課題を解決するための手段] 本発明は、熱可塑性樹脂30〜99重量%および架橋中空
ポリマー粒子1〜70重量%からなることを特徴とする熱
可塑性樹脂組成物を提供するものである。
以下、本発明について詳細に述べる。
本発明で使用する架橋中空ポリマー粒子は、種々の方
法で製造することがける。すなわち、 (I)架橋ポリマー粒子中に発泡剤を含有させ、後にこ
の発泡剤を発泡させる方法。
(II)架橋ポリマーにブタンなどの揮発性物質を封入
し、後にこの揮発性物質をガス化膨潤させる方法。
(III)架橋ポリマーを溶融させ、これに空気などの気
体ジェットを吹付け、気泡を封入する方法。
(IV)架橋ポリマー粒子の内部にアルカリ膨潤性の物質
を浸透させて、アルカリ膨潤性の物質を膨潤させる方
法。
(V)w/o/w型モノマーエマルジョンを作成し、重合を
行なう方法。
(VI)不飽和ポリエステル溶液中に顔料を懸濁させた懸
濁溶液中でモノマーを重合する方法。
(VII)架橋ポリマー粒子をシードとして、相溶性の異
なるポリマーをそのシード上に重合、架橋する二段階架
橋方法。
(VIII)ポリマーの重合収縮により製造する方法。
(IX)架橋ポリマー粒子を噴霧乾燥させる方法。
などがあり、これらのうちでは(VII)の製法が好まし
く、最も好ましい態様としては、架橋性モノマー(a)
1〜50重量%、不飽和カルボン酸1〜40重量%および/
またはその他の親水性モノマー5〜99重量%からなる親
水性モノマー(b)1〜99重量%、および前記架橋性モ
ノマーあるいは親水性モノマーと共重合が可能なその他
の重合性モノマー(c)0〜85重量%よりなる重合性モ
ノマー成分100重量部を、混合性モノマー成分のポリマ
ーとは異なる組成の異種ポリマー1〜100重量部の存在
下において水中に分散し、次いで前記重合性モノマー成
分を重合させることを特徴とする製造方法が挙げられる
(特開昭62−127336号公報参照)。さらに、該架橋中空
ポリマー粒子をシードポリマーとして、架橋性モノマ
ー、親水性モノマーおよび重合性モノマーから選ばれた
少なくとも一種をシード重合することにより製造するこ
ともできる(特開平2−140271号および特開平2−1402
72号参照)。
前記、架橋性モノマー(モノマー(a))としては、
ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレー
ト、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリ
メチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタク
リレートなどのジビニル系モノマーあるいはトリビニル
系モノマーを例示することができ、特にジビニルベンゼ
ン、エチレングリコールジメタクリレートおよびトリメ
チロールプロパントリメタクリレートが好ましい。
前記、不飽和カルボン酸などの親水性モノマー(モノ
マー(b))としては、ビニルピリジン、グリシジルア
クリレート、グリシジルメタクリレート、メチルアクリ
レート、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、ア
クリルマミド、メタクリルアミド、N−メチロールアク
リルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、アクリ
ル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、スチレン
スルホン酸ナトリウム、酢酸ビニル、ジメチルアミノエ
チルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒド
ロキシプロピルメタクリレートなどのビニル系モノマー
を例示することができる。このうちメタクリル酸、イタ
コン酸、アクリル酸が好ましい。
前記、その他の重合性モノマー(モノマー(c))と
しては、ラジカル重合性を有するものであれば特に制限
されず、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルス
チレン、ハロゲン化スチレンなどの芳香族ビニル単量
体、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、エチ
ルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタク
リレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチ
ルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラ
ウリルメタクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン
酸アルキルエステル、フェニルマレイミド、シクロヘキ
シルマレイミドなどのマレイミド化合物、ブタジエン、
イソプレンなどの共役ジオレフィンなどを例示すること
ができ、特にスチレンが好ましい。
異種ポリマーは、少なくとも上記重合性モノマー
(a)〜(c)が重合されて得られるポリマーとは異な
る種類あるいは組成のポリマーであること、および重合
性モノマーに溶解しやすいものであること、が必要とさ
れる。
このような異種ポリマーとしては、具体的にはポリス
チレン、カルボキシ変性ポリスチレン、カルボキシ変性
スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−ブタジエ
ンコポリマー、スチレンアクリルエステルコポリマー、
スチレンメタクリルエステルコポリマー、アクリルエス
テルコポリマー、メタクリルエステルコポリマー、カル
ボキシ変性スチレンアクリルエステルコポリマー、カル
ボキシ変性スチレンメタクリルエステルコポリマー、カ
ルボキシ変性アクリルエステルコポリマー、カルボキシ
変性メタクリルエステルコポリマーなどが例示される。
これらのうち、特にポリスチレンまたはスチレン成分を
50重量%以上含むスチレンコポリマーが好ましい。
本発明の架橋中空ポリマー粒子の架橋の強度は、架橋
中空ポリマー粒子が配合される熱可塑性樹脂の溶融温度
で粒子の形態を保つ程度に三次元的に架橋したものをい
う。
本発明の架橋中空ポリマー粒子のガラス転移温度(T
g)は、好ましくは100℃以上、さらに好ましくは120〜2
00℃である。Tgが上記の範囲にあると、本発明の目的と
する一段と優れた効果が得られる。
本発明の架橋中空ポリマー粒子の平均外径は、好まし
くは5μ以下、さらに好ましくは1μ以下、特に好まし
くは0.1〜1μである。この範囲の粒子を用いると、機
械的強度が一段と優れるので好ましい。
本発明の架橋中空ポリマー粒子の内径は、軽量化と機
械的強度のバランスを考慮すると内径が外径の0.2〜0.9
倍の範囲にあることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂は、非晶性ポリマー結晶性、ポ
リマー、液晶ポリマーなどが含まれる。
具体的には、スチレン系樹脂、ゴム強化スチレン系樹
脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、、ポリフェニ
レンエーテル樹脂、ポリアリレーンスルフィド樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、
ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン系
樹脂などを挙げることができる。
本発明に有用なスチレン系樹脂としては、ポリスチレ
ン、ポリクロルスチレン、ポリα−メチルスチレン、ス
チレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−メタク
リル酸メチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重
合体、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、スチレ
ン−α−メチルスチレン−メタクリル酸メチル共重合
体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリロニトリル
−メタクリル酸メチル共重合体などを挙げることがで
き、これらはその1種のみでなく、2種以上を用いるこ
ともできる。
本発明において有用なゴム強化スチレン系樹脂として
は、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂、AES樹脂、
AAS樹脂、MBS樹脂、さらに上記のハイインパクトポリス
チレン、ABS樹脂、MBS樹脂のゴム成分であるブタジエン
系ゴムに代えて、スチレン−ブタジエンブロック共重合
体あるいは該共重合体の水素添加物を用いた樹脂が挙げ
られる。これらは1種または2種以上で使用される。ま
た、上記のスチレン系樹脂とブレンドして使用できる。
本発明において有用な塩化ビニル系樹脂としては、ポ
リ塩化ビニル、塩化ビニルと、50重量%以下、好ましく
は45重量%以下の塩化ビニルと共重合可能な二重結合を
少なくとも1個有する化合物との共重合体を挙げること
ができる。
この共重合可能な二重結合を少なくとも1個有する化
合物の具体例としては、塩化ビニリデン、エチレン、プ
ロピレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸およびそれ
らのエステル、マレイン酸およびそれらのエステル、ア
クリロニトリルなどを挙げることができる。
塩化ビニル系樹脂の重合度は、通常400〜4500であ
り、特に400〜1500が好ましい。
本発明において有用なポリアリーレンスルフィド樹脂
は、式Ar−Sで表わされる構成単位を70モル%以上
含有してなるものである。ここで、Arは、p−フィニレ
ン、m−フェニレン、2,6−ナフタレン、4,4′−ビフェ
ニレン、p,p′−ビベルジル、およびこれらの核置換体
などの炭素原子数6以上の芳香族基を表わす。これらの
うち、該無置換のp−フェニレン核、すなわち式: で表わされる構成単位を有するポリ−p−フェニレンス
ルフィドが成形加工性の点から好ましい。
本発明に有用なポリカーボネート樹脂の例としては、
芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート
樹脂,樹脂族−芳香族ポリカーボネート樹脂などを挙げ
ることができる。一般には、2,2−ビス(4−オキシフ
ェニル)アルカン系、ビス(4−オキシフェニル)エー
テル系、ビス(4−オキシフェニル)スルホンスルフィ
ドまたはスルホキサイド系などのビスフェノール類を重
合して得られる重合体もしくは共重合体であって、必要
に応じてハロゲンにより置換されたビスフェノール類を
用いた重合体である。
本発明に有用なポリエステル樹脂の代表例としては、
ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(プロ
ピレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテルフタレー
ト)(PBT)、ポリ(ペンタメチレンテレフタレー
ト)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタレート)などの芳
香族ジカルボン酸と二価アルコールとから得られるポリ
エステル樹脂および芳香族ジカルボン酸と芳香族ジフェ
ノールから得られる芳香族ポリエステル樹脂である、い
わゆるポリアリレート樹脂を挙げることができる。
ポリアリレート樹脂の具体例としては、ビスフェノー
ルAとテレフタレート酸またはイソフタール酸とによる
ポリエステル樹脂およびコポリエステル樹脂を例示する
ことがでる。これらのうち特に、好ましいものは、PET
およびPBTである。
本発明に有用なポリアミド樹脂は、通常、式 H2NCH2 −NH2 (式中、Xは3〜12の整数である。) で表わされる線状アジミンと、式 HOOCCH2 −COOH (式中、yは2〜12の整数である。) で表わされる線状ジカルボン酸との縮合によって製造さ
れたもの、もしくはラクタムの開環重合によって製造さ
れたものを挙げることができる。
これらのポリアミド樹脂の好ましい例としては、ナイ
ロ6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン4,6、ナ
イロン3,4、ナイロン6,9、ナイロン6、ナイロン12、ナ
イロン11、ナイロン4などがある。また、ナイロン6/6,
10、ナイロン6/6,12、ナイロン6/4,6、ナイロン6/12、
ナイロン6/6,6、ナイロン6/6,6/6,10、ナイロン6/4,6/
6,6、ナイロン6/6,6/6,12、ナイロン6/4,6/10、ナイロ
ン6/4,6/12などの共重合体ポリアミド類を挙げることが
できる。
さらに、ナイロン6/6,T(T:テレフタル酸成分)、テ
レフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸と
メタキシリレンジアミンまたは脂環族ジアミンとにより
得られる半芳香族ポリアミド樹脂、メタキシリレンジア
ミンと上記線状ジカルボン酸とにより得られるポリアミ
ド樹脂、ポリエステルアミド樹脂、ポリエーテルアミド
樹脂およびポリエステルエーテルアミド樹脂などを挙げ
ることができる。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリ
プロピレンなどが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂と架橋中空ポリマー粒子からな
る組成物の組成割合は、熱可塑性樹脂30〜99重量%、好
ましくは50〜95重量%、さらに好ましくは60〜95重量%
であり、一方、架橋中空ポリマー粒子は1〜70重量%、
好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは5〜40重量
%である。熱可塑性樹脂が30重量%未満(架橋中空ポリ
マー粒子が70重量%を超える)の場合には、耐衝撃性、
成形加工性などが低下するので好ましくなく、また熱可
塑性樹脂が95重量%を超える(架橋中空ポリマー粒子が
5重量%未満)場合には、目的とする軽量化ができな
い。
本発明において、架橋中空ポリマー粒子を用いること
が重要であり、架橋中空ポリマー粒子を用いることで、
本発明の目的が達成できる。
本発明の目的とする効果を具体的に示すと、軽量化に
よって同一比重にしたとき、従来の軽量化方法に比べ、
本発明の軽量化方法による材料の方が機械的強度に優れ
ているということである。
本発明の熱可塑性樹脂と架橋中空ポリマー粒子の混合
方法としては、例えば熱可塑性樹脂の粉体、あるいはペ
レットと架橋中空ポリマー粒子の粉体を直接混合する方
法、あるいは乳化重合法で得た熱可塑性樹脂ラテックス
と架橋中空ポリマー粒子のラテックスをブレンドし、そ
のあと共凝固、ポリマー成分の回収、乾燥などの各工程
により、本発明の架橋中空ポリマー粒子含有熱可塑性樹
脂組成物を得ることができる。このラテックスブレンド
による方法は、熱可塑性樹脂が乳化重合法により得られ
るもの、例えばABS樹脂などのゴム強化スチレン系樹脂
を用いた場合に好適な方法である。
また、上記の架橋中空ポリマー粒子含有熱可塑性樹脂
組成物は、既知の酸化防止剤、例えば2,6−ジ−tret−
ブチル−4−メチルフェノール、2−(1−メチルシク
ロヘキシル)4,6−ジメチルフェノール、2,2′−メチレ
ン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノー
ル)、4,4′−チオビス−(6−tert−ブチル−3−メ
チルフェノール)、ジラウリルチオジプロピオネート、
トリス(ジ−ノニルフェニル)ホスファイト、ワック
ス;既知の紫外線吸収剤、例えばp−tert−ブチルフェ
ニルサリシレート、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキ
シベンゾフェノヘン、2−(2′−ヒドロキシ−4′−
n−オクトキシフェニル)ベンゾチアゾール;既知の滑
剤、例えばシリコーンオイルパラフィンワックス、ステ
アリン酸、硬化油、ステアロアミド、メチレンビスステ
アロアミド、n−ブチルステアレート、ケトンワック
ス、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、ヒドロ
キシステアリン酸トリグリセリド;既知の難燃剤、例え
ば酸化アンチモン、水酸化アルミニウ、硼酸亜鉛、トリ
クレジルホスフェート、塩素化パラフィン、テトラブロ
モブタン、ヘキサブロモベンゼン、テトラブロモビスフ
ェノールA;既知の帯電防止剤、例えばステアロアミドプ
ロピルジメチル−β−ヒドロキシエチルアンモニウムニ
トレート;既知の着色剤、例えば酸化チタン、カーボン
ブラック、その他の無機あるいは有機顔料;既知の充填
剤、例えば炭酸カルシウム、クレー、シリカ、ガラス繊
維、ガラス球、カーボン繊維などを必要に応じて添加す
ることができる。
[実 施 例] 以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって限定されるもの
でなはい。
なお、実施例中、部および%は特に断わらない限り、
重量部および重量%を示す。
(1) 架橋中空ポリマー粒子 <架橋中空ポリマー粒子A> スチレン70部、ブタジエエン27部、イタコン酸3部お
よびt−ドデシルメルカプタン12部に、水200部にラウ
リル硫酸ナトリウム0.5部および過硫酸カリウム1.0部を
溶かした水溶液を撹拌しながら、70℃で8時間重合して
ポリマー粒子を得た。このポリマー粒子は、平均粒子系
0.24μm、トリエン不溶解分6%、GPCによる数平均分
子量が5,000、重量平均分子量と数平均分子量との比Mw/
Mn=2.6であった。
次に、このポリマー粒子を種ポリマー粒子として用
い、このポリマー粒子を固型分で10部、ポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル0.1部、ラウリル硫酸ナト
リウム0.4部および過硫酸カリウム0.5部を水900部に分
散した。これにメチルメタクリレート30部、ジビニルベ
ンゼン50部、α−メチルスチレン20部およびトルエン20
部の混合物を加えて70℃で5時間重合したところ、重合
収率98%でトルエンを粒子内部に含むカプセル粒子の分
散液が得られた。
この分散液に対してスチームストリップ処理を行なっ
た後、ポリマー粒子を透過型電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、このポリマー粒子は中央部が透けており、完全な球
形の架橋中空ポリマー粒子であった。
この粒子の外径が0.44μm、内径が0.3μm、Tgが150
℃以上、比重が0.72であった。
<架橋中空ポリマー粒子B> 架橋中空ポリマー粒子Aで用いるメチルメタクリレー
ト50部、ジビニルベンゼン30部に変え、他はAと同様の
方法で外径が0.72μm、内径が0.48、Tgが150℃以上、
比重が0.73の架橋中空ポリマー粒子を得た。
<ガラス中空ビーズ> 旭硝子(株)製 平均粒径 56μm 密 度 0.36g/cm3 (2) 熱可塑性樹脂 T−1:ポリブタジエンゴム含有量が20%、スチレン単量
体単位としての含有量が60%、アクリロニトリル単量体
単位としての含有量が20%であり、かつグラフト率が35
%のABS樹脂 T−2:ポリブタジエンゴム含有量が40%、スチレン単量
体単位としての含有量が45%、アクリロニトリル単量体
単位としての含有量が15%であり、かつグラフト率が50
%のABS樹脂 T−3:スチレン75%とアクリロニトリル25%の共重合体 T−4:ポリカーボネート樹脂 T−5:ポリブチレンテレフタレート樹脂 T−6:ナイロン6樹脂 実施例1〜8 表−1に示した熱可塑性樹脂のペレットと表1に示し
た架橋中空ポリマー粒子粉末を、ヘンシェルミキサーを
用いて混合した(この混合方法を乾式という)。そのあ
と、押出機に供給し、溶融混合し、プレートを押出成形
した。このプレートからアイゾット衝撃強度測定用テス
トピースを切り出し、ASTM D−256に準じてアイゾット
衝撃強度を測定した。
実施例9、10 T−1の重合後のラテックスと架橋中空ポリマー粒子
の重合後の分散液を、表−1に示した組成割合になるよ
うにブレンドし、十分混合した後、凝固剤として塩化カ
ルシウムを添加し、共凝固させた。次いで、90〜95℃で
30分間加熱し、そのあと水を加えて冷却しスラリー液を
得た。次に、遠心脱水機を用いてスラリー液からポリマ
ー成分を回収し、回収されたポリマー成分を十分乾燥
し、架橋中空ポリマー粒子含有ABS樹脂組成物を得た
(この混合方法を湿式という)。この組成物を実施例1
と同様の方法でプレートを押出成形し、テストピースを
切り出した。
比較例1、2 表−1に示した熱可塑性樹脂と表−1に示したガラス
中空ビーズを用い、他は実施例1と同様の方法でテスト
ピースを作製した。この方法であると軽量化ができず、
それに衝撃強度も低い。
比較例3〜7 比較例3〜7は、軽量化の方法として従来一般に行な
われていた発泡剤による熱可塑性樹脂を発泡させる例で
ある。
比較例3は実施例1、比較例4は実施例2、比較例5
は実施例3、比較例6は実施例4、比較列7は実施例5
と、それぞれ比重が同じになるように発泡温度および発
泡剤量を適宜調節することで、比較例3〜7の発泡熱可
塑性樹脂を得た。
発泡方法は、表−1の熱可塑性樹脂に発泡剤アゾ系発
泡剤を添加し、ヘンシェルミキサーで十分混合し、他は
実施例1と同様の方法で発泡プレートを押出成形した。
上記比較例の発泡による軽量化方法は、実施例に比べ
衝撃強度が低い。
従って本発明の軽量化方法は、軽量化と機械的強度バ
ランスが高水準にある。
[発明の効果] 従来の熱可塑性樹脂の軽量化方法としては、発泡剤を
用いて発泡させる方法あるいはガラス中空ビーズを添加
する方法が知られているが、これらの方法は熱可塑性樹
脂の機械的強度を著しく低下させるので、機械的強度が
要求される用途には実用性が全くなかった。
上記の従来の軽量化方法と本発明の軽量化方法によ
り、軽量化を同程度(比重を同じにする)にして耐衝撃
性を比較すると、本発明の方が耐衝撃性の低下が少な
く、従来の軽量化方法に比べ機械的強度の低下が大幅に
改良されている。
このような優れた効果が達成できたのは、架橋中空ポ
リマー粒子を用いることで初めて達成されたものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−283766(JP,A) 特開 平3−50250(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 1/00 - 101/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂30〜99重量%および架橋中空
    ポリマー粒子1〜70重量%からなることを特徴とする熱
    可塑性樹脂組成物。
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