JP2889922B2 - 水溶性粉体化粧料 - Google Patents

水溶性粉体化粧料

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は水溶性粉体化粧料に関する。さらに詳しく
は、すぐれた水溶性を呈する水溶性粉体化粧料に関す
る。
[従来の技術] 従来、液状の化粧品用機能性成分を乾燥させた粉体化
粧品用機能性成分は、スプレードライ法やフリーズドラ
イ法などによって調製されている。
しかしながら、これらの方法によってえられた粉体化
粧品機能性成分は、水溶性が小さいため、現実に水溶性
粉体化粧料に使用することができず、しかもこれらの方
法は、その操作が複雑であり、また大がかりな設備を必
要とするので、粉体化粧品機能性成分の単価が高いとい
う欠点が内在していた。
〔発明が解決しようとする課題〕
そこで、本発明者らは、前記従来技術に鑑みて、水溶
性にすぐれ、しかも安価な化粧品機能性成分が配合され
た水溶性粉体化粧料を開発するべく鋭意研究を重ねたと
ころ、驚くべきことに水溶性化粧品用機能性成分に、単
糖類と無機酸、有機酸およびそれらの塩の少なくとも1
種とを配合したばあいには、安価であることは勿論のこ
と、えられる水溶性粉体化粧料の水溶性が飛躍的に向上
し、しかもヒトの肌に使用した際にすぐれた使用感が付
与されるというまったく新しい事実を初めて見出し、本
発明を完成するにいたった。
[課題を解決するための手段] すなわち、本発明は(A)水溶性化粧品用機能性成分
(ただし、酸の存在下で塩を形成し、該塩が水溶性を示
すキトサンを除く)、(B)単糖類および(C)有機
酸、無機酸およびそれらの塩の少なくとも1種を含有し
てなり、(B)単糖類の配合量(固形分)が(A)水溶
性化粧品用機能性成分(固形分)1重量部に対して10〜
5000重量部であり、かつ(C)有機酸、無機酸およびそ
れらの塩の少なくとも1種の配合量が(B)単糖類(固
形分)100重量部に対して1〜30重量部である水溶性粉
体化粧料に関する。
[作用および実施例] 本発明の水溶性粉体化粧料は、前記したように、
(A)水溶性化粧品用機能性成分(ただし、酸の存在下
で塩を形成し、該塩が水溶性を示すキトサンを除く)、
(B)単糖類および(C)無機酸、有機酸およびそれら
の塩の少なくとも1種を含有したものであり、(B)単
糖類の配合量(固形分)が(A)水溶性化粧品用機能性
成分(固形分)1重量部に対して10〜5000重量部であ
り、かつ(C)有機酸、無機酸およびそれらの塩の少な
くとも1種の配合量が(B)単糖類(固形分)100重量
部に対して1〜30重量部であるものである。
本発明に用いられる水溶性化粧品用機能性成分(ただ
し、酸の存在下で塩を形成し、該塩が水溶性を示すキト
サンを除く)(以下、単に水溶性化粧品用機能性成分と
いう)としては、たとえば胎盤抽出液、海藻抽出液、乳
酸菌発酵液、酸性ムコ多糖類、コラーゲン、エラスチ
ン、これらの塩または誘導体などがあげられるが、本発
明はかかる例示のみに限定されるものではない。なお、
これら水溶性化粧品用機能性成分は、通常単独でまたは
2種以上を混合して用いられる。
本発明に用いられる単糖類としては、一般に化粧品に
用いられている単糖類であればとくに限定はなく、いず
れのものでも用いうる。前記単糖類の具体例としては、
たとえばキシリット、ソルビット、マンニット、ブドウ
糖、乳糖、果糖などがあげられ、これらの単糖類は通常
単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
前記単糖類の配合量(固形分)は、通常前記水溶性化
粧品用機能性成分(固形分)1部(重量部、以下同様)
に対して10〜5000部、好ましくは20〜2000部、とくに好
ましくは30〜1000部である。前記単糖類の配合量は10部
未満であるばあいには、粉体化が困難となり、また5000
部をこえるばあいには、水溶性化粧品用機能性成分の含
有率が低くなり、充分な化粧効果を期待しえなくなる傾
向がある。
本発明に用いられる有機酸、無機酸およびそれらの塩
の少なくとも1種(以下、酸類という)としては、たと
えば酢酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、コハク酸などの有
機酸およびその塩;リン酸、炭酸、リン酸ナトリウム、
炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウムなどの無機酸およ
びその塩などがあげられ、これらの酸類は通常単独でま
たは2種以上混合して用いられる。なお、これらの酸類
のなかでは、乳酸、クエン酸、コハク酸などはヒトの肌
に対する刺激などが少ないのでとくに好適に使用しうる
ものである。
前記酸類の配合量は、通常単糖類(固形分)100部に
対して1〜30部、好ましくは10〜25部である。前記酸類
の配合量は、1部未満であるばあいには水に対する溶解
性が低下するようになり、また30部をこえるばあいには
ヒトの肌に塗布することを考慮すると酸性度が大きくな
りすぎる傾向がある。
本発明の水溶性粉体化粧料は、前記したように、水溶
性化粧品用機能性成分、単糖類および酸類を含有したも
のであるが、これらの成分以外にも必要に応じてたとえ
ば水溶性高分子化合物であるカルボキシメチルセルロー
スナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、
ペクチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニル
アルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル
酸ナトリウムなどを本発明の目的とする水溶性が阻害さ
れない範囲内で配合してもよい。
本発明の水溶性粉体化粧料をつくる方法についてはと
くに限定はなく、その一例をあげれば、たとえば前記水
溶性化粧品用機能性成分、単糖類および酸類を混練した
のち、造粒機などを用いて顆粒化し、乾燥器などを用い
て乾燥する方法などがあげられるが、本発明はかかる方
法のみに限定されるものではない。
かくしてえられる本発明の水溶性粉体化粧料は、水溶
性にすぐれたものであるので、たとえば化粧水、クリー
ム、乳液、パック、洗顔フォームなどの化粧品に好適に
使用することができ、ヒトの肌へのなじみが良好であ
り、しかもすぐれた使用感を発揮するものである。
なお、本発明の水溶性粉体化粧料を各種化粧品に配合
する際には、かかる水溶性粉体化粧料の配合量は、化粧
品の種類に応じて適宜調整すればよく、とくに限定はな
いが、通常化粧品中に1〜30重量%、なかんづく7〜15
重量%程度含有されるように調整されることが好まし
い。
つぎに本発明の水溶性粉体化粧料を製造例、実施例お
よび処方例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明
はかかる例示のみに限定されるものではない。
製造例1 D−マンニット800g、炭酸水素ナトリウム80g、クエ
ン酸80gおよびクエン酸ナトリウム40gを混合したのち、
胎盤抽出液50g(固形分含量:約1重量%)および酸性
ムコ多糖類抽出液50g(固形分含量:3重量%)を均一な
組成となるまで万能ミキサーを用いて攪拌混合した。
つぎにえられた混合物を押出式造粒機で顆粒化したの
ち、乾燥器(60℃)内で6時間かけて乾燥して水溶性粉
体化粧料をえた。
製造例2 D−マンニット800g、炭酸水素ナトリウム80g、クエ
ン酸70g、クエン酸ナトリウム40gおよびアスコルビン酸
リン酸エステルマグネシウム10gを混合したのち、水性
コラーゲン100g(固形分含量:約1.5重量%)を製造例
1と同様にして攪拌し、乾燥して水溶性粉体化粧料約1k
gをえた。
製造例3 D−マンニット800g、炭酸水素ナトリウム80g、クエ
ン酸ナトリウム40gおよびクエン酸80gを混合したのち、
エラスチン加水分解液100g(固形分含量:約20重量%)
を製造例1と同様にして攪拌し、乾燥して水溶性化粧料
約1kgをえた。
製造例4 D−マンニット800g、炭酸水素ナトリウム80g、クエ
ン酸80gおよびクエン酸ナトリウム40gを均一に混合した
のち、ヒアルロン酸ナトリウム1重量%水溶液100g(固
形分含量:約1重量%)を製造例1と同様にして攪拌混
合し、乾燥して水溶性化粧料約1kgをえた。
比較製造例1 製造例1において、炭酸水素ナトリウム80g、クエン
酸80gおよびクエン酸ナトリウム40gの代わりにD−マン
ニット200gを用いたほかは製造例1と同様にして化粧料
をえた。
比較製造例2 製造例2において、炭酸水素ナトリウム80g、クエン
酸70g、クエン酸ナトリウム40gおよびアスコルビン酸リ
ン酸エステルマグネシウム5gのかわりにD−マンニット
195gを用いたほかは製造例2と同様にして化粧料をえ
た。
比較製造例3 製造例3において、炭酸水素ナトリウム80g、クエン
酸ナトリウム40gおよびクエン酸80gのかわりにD−マン
ニット200gを用いたほかは製造例3と同様にして化粧料
をえた。
比較製造例4 製造例4において、炭酸水素ナトリウム80g、クエン
酸80gおよびクエン酸ナトリウム40gのかわりにD−マン
ニット200gを用いたほかは製造例4と同様にして化粧料
をえた。
実施例1〜4および比較例1〜4 製造例1〜4および比較製造例1〜4でえられた化粧
料について以下の方法により水溶性を調べた。その結果
を第1表に示す。
(水溶性の測定方法) 化粧料10gを秤量し、これを水100mlが注入された100m
l容のビーカーに添加し、マグネチックスターラーで回
転数を一定にして攪拌して水に完全に溶解するまでの時
間を調べた。その結果を第1表に示す。
以上の結果から、本発明の水溶性粉体化粧料はいずれ
もすぐれた水溶性を呈することがわかる。
つぎに本発明の水溶性粉体化粧料を用いた処方例につ
いて説明する。
処方例1(化粧水) (重量部) エタノール 10 グリセリン 1 クエン酸 0.3 パラオキシ安息香酸エステル 0.2 香 料 0.3 精製水 89.2 製造例1でえられた化粧料1gを上記組成からなる化粧
水成分10gに添加し、溶解させて化粧水をえた。
処方例2(クリーム) (重量部) (A)流動パラフィン 9.0 パラフィン 3.0 セタノール 4.0 ビーズワックス 2.0 グリセリルモノステアレート 2.0 ポリオキシエチレン(6)ソルビタンモノステア
レート 5.0 パラオキシ安息香酸ブチル 0.1 (B)グリセリン 3.0 精製水 25.6 (C)香 料 0.3 上記(A)成分および(B)成分をそれぞれ80℃に加
熱後混合攪拌した。50℃まで冷却したのち、(C)成分
を加えてさらに攪拌混合して均一なクリーム成分を調製
し、該クリーム成分10gに製造例2でえられた化粧料1g
を配合してクリームをえた。
処方例3(パック) (重量部) ポリビニルアルコール 15.0 エタノール 10.0 1,3−ブチレングリコール 5.0 パラオキシ安息香酸メチル 0.2 香 料 微量 精製水 全量を100.0とする量 上記成分を混合攪拌して均一なパック成分を調製し、
該パック成分10gに製造例3でえられた化粧料1gを配合
してパックをえた。
試験例1 処方例1〜3の化粧品について、それぞれ以下のモニ
ターテストを行なった。テストモニターは無作為に抽出
した年令20〜40才代の女性20人を対象に選んで実施し
た。その結果を第2表に示す。
(肌へのなじみ) A;非常にしっとりとして感触がよい B;なんとなくしっとりとして感触がよい C;普 通 D;感触がわるい E;感触がきわめてわるい (使用感) F;非常に柔軟で感触がよい(つるつるした感触) G;なんとなく柔軟で感触がよい H:普 通 I;感触がわるい J:感触がきわめてわるい なお比較のため、つぎの比較処方例1〜3で調製され
た比較用化粧品についても同じテストを行なった。その
結果を第2表に示す。
比較処方例1 製造例1でえられた化粧料の代わりに比較製造例1で
えられた化粧料を配合したほかは処方例1と同様にして
化粧水を調製した。
比較処方例2 製造例2でえられた化粧料の代わりに比較製造例2で
えられた化粧料を配合したほかは処方例2と同様にして
クリームを調製した。
比較処方例3 製造例3でえられた化粧料の代わりに比較製造例3で
えられた化粧料を配合したほかは処方例3と同様にして
パックを調製した。
なお、モニターテストの結果、皮膚に異常を訴えた者
はいなかった。
[発明の効果] 本発明の水溶性粉体化粧料は、安価でかつすぐれた水
溶性を呈し、しかも肌へのなじみがよく、また使用感に
すぐれたものであるので、それを配合してなる化粧品
は、肌へののりをよくすることは勿論のこと、使用者に
かかる化粧品を使用せんとする欲求をかりたてるという
効果を奏する。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)水溶性化粧品用機能性成分(ただ
    し、酸の存在下で塩を形成し、該塩が水溶性を示すキト
    サンを除く)、(B)単糖類ならびに(C)有機酸、無
    機酸およびそれらの塩の少なくとも1種を含有してな
    り、(B)単糖類の配合量(固形分)が(A)水溶性化
    粧品用機能性成分(固形分)1重量部に対して10〜5000
    重量部であり、かつ(C)有機酸、無機酸およびそれら
    の塩の少なくとも1種の配合量が(B)単糖類(固形
    分)100重量部に対して1〜30重量部である水溶性粉体
    化粧料。
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